特許第6135619号(P6135619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135619
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】流体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20170522BHJP
   F24F 6/02 20060101ALI20170522BHJP
   A45D 7/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F24F6/00 B
   F24F6/00 H
   F24F6/02 B
   A45D7/02 A
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-169030(P2014-169030)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-44871(P2016-44871A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2015年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100115543
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 康男
(72)【発明者】
【氏名】美寿見 奈穂
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大聡
(72)【発明者】
【氏名】荒井 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小林 朋生
(72)【発明者】
【氏名】高坂 勇
(72)【発明者】
【氏名】柳内 敏行
(72)【発明者】
【氏名】任田 保満
(72)【発明者】
【氏名】陸 茉莉花
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−166058(JP,U)
【文献】 実公昭45−021115(JP,Y1)
【文献】 特開2006−057866(JP,A)
【文献】 実開昭54−115768(JP,U)
【文献】 実開昭51−152246(JP,U)
【文献】 実開昭56−058025(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
A45D 7/02
F24F 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯蔵する流体貯蔵部と、
前記流体貯蔵部に貯蔵された流体から高湿空気を生成する高湿空気生成部と、
前記高湿空気を吹出口から外部へ搬送する経路を構成するダクトと、
前記吹出口を覆うように設けられたダクトカバーと、を備え、
前記ダクトカバーは、複数の板状の横枠体及び縦枠体によって格子状に形成され、付着した結露水が前記横枠体及び前記縦枠体を伝って下方に流れるように構成され、前記横枠体の下面と前記縦枠体の風下側端部との交差部を凹湾曲形状に形成して成る流体搬送装置。
【請求項2】
流体を貯蔵する流体貯蔵部と、
前記流体貯蔵部に貯蔵された流体から高湿空気を生成する高湿空気生成部と、
前記高湿空気を吹出口から外部へ搬送する経路を構成するダクトと、
前記吹出口を覆うように設けられたダクトカバーと、を備え、
前記ダクトカバーは、複数の板状の横枠体及び縦枠体によって格子状に形成され、付着した結露水が前記横枠体及び前記縦枠体を伝って下方に流れるように構成され、複数の前記横枠体のうち、下部のものほど風下側に突出するように構成されて成る流体搬送装置。
【請求項3】
前記ダクトカバーは、複数の前記横枠体のうち、下部のものほど風下側に突出するように構成されて成る請求項に記載の流体搬送装置。
【請求項4】
前記ダクトカバーは、親水性の表面層を形成するための処理が施されている請求項1から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項5】
前記ダクトカバーの下部には、前記ダクトカバーを伝って下方へ移動した結露水を回収する結露水回収部を備える請求項1から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項6】
前記吹出口の下縁部から上方に突出し、前記ダクトカバーの下部を外側から覆う堰部を更に備える請求項1から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項7】
前記ダクトカバーは、前記横枠体の上面が風下側に向かって下方に傾斜して成る請求項から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項8】
前記ダクトカバーは、前記横枠体の風下側の縁部を凸湾曲状に形成して成る請求項から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項9】
前記高湿空気生成部は、
前記流体貯蔵部から搬送された流体を貯める貯水部と、
前記貯水部に貯められた流体を加熱して蒸気を生成する加熱部と、
を備える請求項1から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項10】
風を発生させる送風部を備え、
前記ダクトは、前記送風部が発生させた風の一部が冷却風として流入する冷却風入口を有し、前記高湿空気生成部において生成された高湿空気が前記冷却風入口から流入した冷却風に混合されて前記吹出口へ搬送されるように構成されて成る請求項1から請求項の何れか1項に記載の流体搬送装置。
【請求項11】
前記ダクトとは別個に設けられ、前記送風部が発生させた風の一部をアシスト風として搬送して外部へ放出する送風ダクトと、
前記吹出口の上方に配置され、前記送風ダクトから外部に風を放出するアシスト風吹出口と、を備え、
前記送風ダクトは、前記アシスト風吹出口から放出されたアシスト風が前記吹出口から放出された高湿空気に上方から混合されるように構成されて成る請求項10に記載の流体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、スチーム式美容器に関する技術が開示されている。このスチーム式美容器では、給水タンク内の水を加熱してスチームを生成し、生成されたスチームをノズルのスチーム噴出口から噴出させることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−253340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の装置のように高温のスチームが吹き出される装置では、使用者がノズル等の高温の部位に直接触れることを防止するための構造が求められる。このような構造としては、例えば、高湿空気であるスチームが通過可能であり且つ使用者の指は挿入不可能なダクトカバーをスチームの吹出口に設けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上述したダクトカバーを備える構造では、吹き出される高湿空気がダクトカバー部で結露する。結露水がダクトカバーに付着して滞留すると、高湿空気の放出が阻害されるおそれがある。また、ダクトカバーに滞留していた結露水が高湿空気とともに外部に吹き出されると、床が濡れる等によって使用者に不快感を与えてしまうという問題もある。
【0006】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、高湿空気の吹出口を覆うダクトカバーに付着した結露水が滞留することを防止することのできる流体搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の流体搬送装置は、流体を貯蔵する流体貯蔵部と、流体貯蔵部に貯蔵された流体から高湿空気を生成する高湿空気生成部と、高湿空気を吹出口から外部へ搬送する経路を構成するダクトと、吹出口を覆うように設けられたダクトカバーと、を備え、ダクトカバーは、複数の板状の横枠体及び縦枠体によって格子状に形成され、付着した結露水が前記横枠体及び前記縦枠体を伝って下方に流れるように構成され、前記横枠体の下面と前記縦枠体の風下側端部との交差部を凹湾曲形状に形成して成るものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明の流体搬送装置によれば、高湿空気の吹出口を覆うダクトカバーに付着した結露水は、速やかに下方に流れる。これにより、ダクトカバーに付着した結露水が滞留することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の側面図である。
図2】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態1における流体搬送装置の給水時の本体斜視図である。
図4】本実施の形態における流体搬送装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態1における流体搬送装置のダクトカバー周辺の詳細を示す詳細拡大図である。
図6】本発明の実施の形態1における流体搬送装置のダクトカバー周辺の縦断面を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。また、重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における流体搬送装置の側面図である。また、図2は、本発明の実施の形態1における流体搬送装置の縦断面図である。以下、図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態1における流体搬送装置の構成を説明する。なお、本明細書では、特に断りがない限り、図2における高湿空気の吹出方向を前方及び設置面方向を下方として、前後及び上下を指定する。
【0012】
図1に示すように、流体搬送装置は、本体の外郭をなす本体ケース1を備えている。図2に示すように、本体ケース1の上面の後部には、ふた2が着脱自在に取り付けられている。また、本体ケース1の後面の下部には、本体ケース1の外部から内部に空気を取り込むための開口部1aが形成されている。流体搬送装置の本体(以下、単に「本体」と称する)の内部は、この開口部1aを介して外部と通じている。
【0013】
また、本体ケース1の前面の下部には、操作部3が設けられている。操作部3は、流体搬送装置の電源SW4等を備えている。また、操作部3は、本体の位置の温度及び湿度を検出する温湿度センサ(図示せず)を備えている。
【0014】
図2に示すように、本体ケース1の内部の後側には、給水部5が設けられている。給水部5は、その上部が下向きに凹んだように形成されている。また、給水部5には、水位検知部(図示せず)が設けられている。水位検知部は、後述する給水タンク6内の水位を検知する。
【0015】
また、本体ケース1の内部の後側には、給水部5の上方に、給水タンク6が着脱自在に取り付けられている。給水タンク6は流体である水を貯蔵する流体貯蔵部として機能するものである。給水タンク6の下部には、給水弁6aが設けられている。給水弁6aは、給水タンク6が本体ケース1に取り付けられる際に、給水部5の上部の凹みに嵌るように形成されている。
【0016】
また、本体ケース1の内部の前側下方には、給水タンク6内の水を本体内に貯めるための貯水部7が設けられている。さらに、本体ケース1の内部には、給水部5と貯水部7とを繋ぐ給水路10が設けられている。給水路10の一端は、給水部5の底面に接続されている。給水路10の他端は、貯水部7の底面に接続されている。このため、給水タンク6は、給水弁6a、給水部5及び給水路10を介して貯水部7と通じている。
【0017】
貯水部7の外周面の下部には、加熱部としてのヒータ8が取り付けられている。ヒータ8は、貯水部7内の水を加熱して高湿空気である蒸気を生成する。つまり、貯水部7とヒータ8とにより高湿空気生成部を構成する。
【0018】
貯水部7の上方には、貯水部7から通じる貯水部カバー12が着脱可能に設けられている。貯水部カバー12は、貯水部7の上面から上方へ延びるように形成され、その上端には開口部13が形成されている。
【0019】
貯水部カバー12の更に上方には、冷却風撹拌ダクト14が着脱可能に設けられている。冷却風撹拌ダクト14は、その内部に貯水部カバー12の開口部13が位置するように設けられている。つまり、貯水部カバー12は、冷却風撹拌ダクト14の下面から内部に連通するように設けられている。
【0020】
冷却風撹拌ダクト14の後面側の下端には冷却風入口14aが設けられている。また、冷却風撹拌ダクト14の前面側の上端には開口部26が設けられている。開口部26は、本体ケース1に設けられた吹出口11に向かって開口している。なお、開口部26の開口面は、冷却風入口14aの開口面よりも大きく形成されている。吹出口11には、使用者の指又は手が進入するのを防ぐためのダクトカバー15が設けられている。ダクトカバー15は、例えば格子、メッシュ、又はスリット等の目の細かい形状に構成され、吹出口11全体を覆うように構成されている。なお、ダクトカバー15の詳細な構成については説明を後述する。冷却風撹拌ダクト14は、吹出口11を介して本体の外部と通じる経路を構成している。このため、貯水部7は、貯水部カバー12、開口部13、冷却風撹拌ダクト14、吹出口11及びダクトカバー15を介して本体の外部と通じている。
【0021】
また、本体ケース1の内部の下側且つ貯水部7の後方となる位置には、送風部としての送風ファン16が設けられている。送風ファン16は、駆動することで後方から空気を吸い込み、上方に向かって空気を吹き出す。
【0022】
送風ファン16の上方には、送風ファン16から吹き出された空気が流入する送風ダクト17が設けられている。送風ダクト17は、冷却風撹拌ダクト14とは別個に設けられたダクトであり、冷却風撹拌ダクト14の上方において前方に向かって湾曲している。本体ケース1の上面には別体に構成されたアシスト風路スライド部9が設けられている。アシスト風路スライド部9は、本体ケース1の上面に設けられたレール(図示せず)を介して本体ケース1に前後方向にスライド可能に取り付けられている。アシスト風路スライド部9の前端には、アシスト風吹出口18が設けられている。つまり、アシスト風吹出口18は、吹出口11の上方に位置している。
【0023】
送風ダクト17の先端は、アシスト風路スライド部9のアシスト風吹出口18に連通している。つまり、送風ダクト17は、アシスト風吹出口18を介して本体外部に通じている。また、図2に示すように、アシスト風吹出口18は、アシスト風路スライド部9を本体前方にスライドさせることにより本体前方に移動する。アシスト風吹出口18の周縁の上部には、ルーバー19が設けられている。
【0024】
また、送風ダクト17は、本体内で分岐して冷却風入口14aに接続されている。つまり、送風ダクト17は、冷却風入口14aを介して冷却風撹拌ダクト14とも通じている。但し、送風ダクト17の分岐点から冷却風入口14aへ至る風路はアシスト風路スライド部9へ至る風路よりもその風路面積が小さくなるように形成されている。また、吹出口11におけるダクトカバー15の下部には結露水回収部20が設けられている。
【0025】
また、本体ケース1の内部には、流体搬送装置の運転を制御するための制御部22が設けられている。制御部22は、時間を計測するタイマー機能を備えている。また、制御部22には、ヒータ8の入力端、および送風ファン16の入力端がそれぞれ接続されている。制御部22は、これらの入力端から各部を制御するための信号を送信する。さらに、制御部22には、操作部3の出力端、電源SW4の出力端、給水部5の水位検知部の出力端及び温湿度センサの出力端等がそれぞれ接続されている。制御部22は、これらの出力端から信号を受信する。
【0026】
次に、以上のように構成された流体搬送装置の基本動作について説明する。流体搬送装置の運転が開始される前に、給水タンク6には外部から水が供給される。図3は、本発明の実施の形態1における流体搬送装置の給水時の本体斜視図である。この図に示すように、給水時には先ずアシスト風路スライド部9を前方にスライドさせてふた2を取り外す。次に、給水タンク6を取り出し、給水タンク6に水を入れた後、給水部5に戻す。この際、給水タンク6は、給水弁6aが給水部5の上部の凹みに嵌るように本体ケース1の内部に取り付けられる。給水タンク6内の水は、給水弁6a、給水部5及び給水路10を経て貯水部7に流れ込む。この際に流れ込む水量は、給水弁6aによって調節される。
【0027】
図4は、本実施の形態における流体搬送装置の動作を示すフローチャートである。以下、図4を参照して流体搬送装置の基本動作について説明する。なお、流体搬送装置は、運転開始前に使用者によって適切な位置に設置されるものとする。例えば、睡眠時に顔等を保湿するために使用する場合には、流体搬送装置はベッドサイド、つまり布団の横又は使用者から見て頭側の位置等に設置される。
【0028】
操作部3の電源SW4が押されると、流体搬送装置の電源がON状態となり(ステップS101)、流体搬送装置の運転が開始される。
【0029】
ステップS101に続いて、制御部22は、ヒータ8をON状態にする(ステップS102)。これにより、ヒータ8が発熱し、貯水部7内の水を加熱する。貯水部7内の水は、加熱により水温が上昇し殺菌される。その後、貯水部7内の水は高湿空気である蒸気となり、貯水部カバー12の内部に進入する。貯水部カバー12の内部に充満した蒸気は、その後開口部13を通過して冷却風撹拌ダクト14の内部に流入する。
【0030】
次に、制御部22は、送風ファン16をON状態にする(ステップS103)。これにより、送風ファン16は、本体ケース1の後面の開口部1aから外部の空気を取り入れ、送風ダクト17の内部に空気を送る。送風ダクト17の分岐点から冷却風入口14a側に進まずに送風ダクト17を通過した空気は、アシスト風吹出口18から外部に放出される。以下の説明では、アシスト風吹出口18から放出された空気を「アシスト風」と称することとする。アシスト風の風向は、ルーバー19によって調整される。ここでは、アシスト風は、水平方向よりも若干下方に向かって送風される。
【0031】
一方、送風ダクト17の分岐点から冷却風入口14a側に進んだ空気は、冷却風撹拌ダクト14に流入する。以下の説明では、冷却風入口14aから冷却風撹拌ダクト14に流入した空気を「冷却風」と称することとする。冷却風はダクト内で蒸気と混合される。冷却風撹拌ダクト14に流入した冷却風は常温であるため、蒸気の温度は低下する。蒸気は、温度が低下する過程においてその一部が液化して微細な液胞となる。以下の説明では、この液化した蒸気を「スチーム」と称することとする。空気と混合された蒸気はスチームを含む高湿空気となってダクトカバー15の開口部26を通過する。開口部26を通過した高湿空気は、吹出口11から外部へ放出される。吹出口11から外部へ放出された高湿空気は、アシスト風吹出口18から放出されたアシスト風により、上昇を抑制されつつ前方に搬送される。
【0032】
ステップS103に続いてステップS104に進む。ステップS104では、温湿度センサ(図示せず)によって検出される本体位置の温度及び湿度に応じて運転レベルが決定される。制御部22は、決定された運転レベルに基づいてヒータ8の運転レベルを調整する。例えば、検出された本体位置の温度及び湿度が15℃及び20%であれば、制御部22はヒータ8の運転レベルを強運転とすることで、蒸気の生成量を増大させる。また、検出された温度及び湿度が15℃及び40%であれば、制御部22はヒータ8の運転レベルを弱運転とすることで、蒸気の生成量を抑制させる。このようにして、制御部22は、使用者の顔周りの湿度を睡眠時に適した50〜60%程度に維持する。
【0033】
ステップS104に続いて、ステップS105に進む。ステップS105では、制御部22は、電源SW4がOFF状態であるか否かの判定、流体搬送装置の運転開始から予め設定された時間が経過したか否かの判定、及び水位検知部の検知結果に基づいて給水タンク6内の水量が0であるか否かの判定を行う。これらの判定において、何れの条件も成立しない場合は、再びステップS104に戻る。
【0034】
ステップS105の判定において、何れかの条件が成立した場合、制御部22は、流体搬送装置の電源をOFF状態にする(ステップS106)。
【0035】
以上説明したとおり、本実施の形態の流体搬送装置によれば、高湿空気が指向性を持って搬送されるため、使用者の顔周りの湿度を例えば睡眠時に適した湿度に効率的に加湿することができる。
【0036】
次に、本実施の形態の流体搬送装置の特徴的構成について説明する。流体搬送装置の運転がしばらく続くと、冷却風撹拌ダクト14の内壁及びダクトカバー15に結露水が発生する。冷却風撹拌ダクト14の内壁に付着した結露水のうち、貯水部カバー12の上方の領域に付着した結露水は、壁面を伝って貯水部7へもどる。一方、冷却風撹拌ダクト14の内壁に付着した結露水のうち、吹出口11の周辺に付着した結露水は、結露水回収部20に回収される。
【0037】
ここで、ダクトカバー15に付着した結露水がその場に滞留すると、高湿空気の放出が阻害されるおそれがある。また、ダクトカバー15に滞留していた結露水が高湿空気とともに外部に吹き出されると、床が濡れる等によって使用者に不快感を与えてしまうという問題もある。このため、ダクトカバー15に付着した結露水についても、速やかに結露水回収部20に回収される構造が好ましい。
【0038】
そこで、本実施の形態の流体搬送装置は、ダクトカバー15に付着した結露水が速やかに下方へ誘導されて結露水回収部20に回収されるように、以下に示す構造的特徴を備えている。図5は、本発明の実施の形態1における流体搬送装置のダクトカバー周辺の詳細を示す詳細拡大図である。また、図6は、本発明の実施の形態1における流体搬送装置のダクトカバー周辺の縦断面を示す拡大断面図である。
【0039】
これらの図に示すように、本実施の形態の流体搬送装置のダクトカバー15は、複数の縦枠体25a及び複数の横枠体25bからなる枠体25を備えている。各横枠体25bは、本体ケース1の外郭に沿って円弧状に湾曲された板状の部材によって構成され、指が入らない程度の隙間を開けて複数の横枠体25bが上下方向に並んで配置されている。また、各縦枠体25aは、横枠体25bに直交するように立設された板状の部材であって、複数の縦枠体25aが左右方向に並んで配置されている。このような枠体25の構成によれば、吹出口11が枠体25によって格子状に分割されるので、高湿空気を通過させつつ人の指が冷却風撹拌ダクト14の内部の高温部に触れることを防ぐことができる。
【0040】
また、図5に示すように、横枠体25bの下面と縦枠体25aの前側端部(吹出口11から吹き出す風の風下側端部)との交差部(角隅)には、それぞれ凹湾曲形状に形成されたR形状27が設けられている。上述したとおり、流体搬送装置の運転が行われると、ダクトカバー15に結露水Wが付着する。この際、横枠体25bの下面側に付着した結露水Wは、R形状27によって各枠体25の交差部に滞留することなく下方へ誘導されて横枠体25bの上面に到達する。横枠体25bの上面に付着した結露水Wは、風上側からの送風の力によって横枠体25bの上面に沿って前方へ誘導される。横枠体25bの上面の縁部まで誘導された結露水Wは、重力により当該端部を回りこんで横枠体25bの下面側へ誘導される。このように、枠体25に付着した結露水Wは順に下方へと誘導される。最下部まで誘導された結露水Wは結露水回収部20に回収されて自然蒸発される。これにより、結露水Wが枠体25に付着して滞留することを有効に抑制することが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、複数の横枠体25bのうち、下部に配置されているものほどその縁部が前側(風下側)に突出するように構成されている。このような構成によれば、横枠体25bの上面の縁部まで誘導された結露水Wが大きな塊となって下方に落下した場合であっても下方の横枠体25bによってそれを受け止めることができる。これにより、結露水Wが本体ケース1の外部へ落下してしまうことを防止することができる。
【0042】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、ダクトカバー15を構成する枠体25に親水性の表面層を形成するための処理が施されている。このような構成によれば、枠体25に付着した結露水Wが球状になることなく下方へ誘導されるので、結露水Wが枠体25上で滞留することを有効に防止することができる。
なお、親水性の表面層を枠体25に形成する手段としては、例えば、枠体25を形成する樹脂材料に親水効果を発現させる添加剤(グリセリン脂肪酸エステル等)を加えて成形する、あるいは、枠体25の樹脂材料に二酸化ケイ素(SiO2)化合物等を含む親水処理剤を塗布することで可能となる。
【0043】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、図6に示すように、吹出口11の下縁部から上方に向かって立設され、ダクトカバー15の枠体25の下部を覆う堰部28を備えている。なお、堰部28は、流体搬送装置を平面視した際に枠体25の外縁よりも外側となる位置に立設されている。このような構成によれば、横枠体25bの上面の縁部まで誘導された結露水Wが大きな塊となって下方に落下した場合に本体ケース1の外側に落下して使用者に不快感を与えることを防ぐことができる。
【0044】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、横枠体25bが風上側に向かって下方に僅かに傾斜した形状を有している。このような構成によれば、横枠体25bの上面に付着した結露水Wは、風上側からの送風の力だけでなく、重力によって横枠体25bの上面の傾斜に沿って前方へ誘導される。これにより、結露水Wが横枠体25bの上面に滞留することを有効に抑制することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、横枠体25bの上面の風下側縁部に凸湾曲状のR形状29が設けられている。このような構成によれば、横枠体25bの上面の縁部まで誘導された結露水Wが当該端部を回り込まずに滞留することを有効に防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態の流体搬送装置では、貯水部カバー12、冷却風撹拌ダクト14、ダクトカバー15、及び給水タンク6等を本体ケース1から取り外し可能に構成されている。このため、使用者は流体搬送装置の使用後に本体ケース1からこれらの部品を取り外して洗浄することができる。また、本体ケース1から上記部品を取り外すと、給水部5及び貯水部7が露出する。このため、使用者は、給水部5及び貯水部7についても洗浄することが可能となる。
【0047】
ところで、上述した実施の形態1の流体搬送装置では、ダクトカバー15に付着した結露水が滞留することを抑制するための種々の構造について説明したが、これらの構造の全てを備える必要はない。すなわち、上述した構造のうち、少なくとも何れかを備えていれば、高湿空気の吹出口11を覆うダクトカバー15に付着した結露水が滞留することを抑制することができる。
また、上述の実施の形態では、吹出口11が枠体25によって格子状に分割されている構成を記載しているが、この構成に限定する必要はなく、例えば、斜め形状やリング状など、結露水を下方に誘導することが可能な構成であれば良い。
【符号の説明】
【0048】
1 本体ケース、1a 開口部、3 操作部、4 電源SW、5 給水部、6 給水タンク、6a 給水弁、7 貯水部、8 ヒータ、9 アシスト風路スライド部、10 給水路、11 吹出口、12 貯水部カバー、13 開口部、14 冷却風撹拌ダクト、14a 冷却風入口、15 ダクトカバー、16 送風ファン、17 送風ダクト、18 アシスト風吹出口、19 ルーバー、20 結露水回収部、22 制御部、25 枠体、25a 縦枠体、25b 横枠体、26 開口部、27 R形状、28 堰部、29 R形状
図1
図2
図3
図4
図5
図6