特許第6135717号(P6135717)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135717
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】津波避難装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20170522BHJP
   B63C 9/06 20060101ALI20170522BHJP
   B63B 21/24 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   E04H9/14 Z
   B63C9/06
   B63B21/24
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-143421(P2015-143421)
(22)【出願日】2015年7月1日
(62)【分割の表示】特願2012-32116(P2012-32116)の分割
【原出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2015-222011(P2015-222011A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】503018571
【氏名又は名称】有限会社フジカ
(72)【発明者】
【氏名】藤原 充弘
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3061212(JP,U)
【文献】 特開2006−193133(JP,A)
【文献】 特開2007−177600(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3110611(JP,U)
【文献】 特開2008−074385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
B63B 21/24
B63C 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面・底面・左右側面・前後面を有し内部に水密式の避難空間をもつ6面体で単独浮上および浮遊可能とされた基本体としその避難空間と外部とを連絡するものとして天面および側面のうち側面中段高さ以上の高さに開けられた避難口を密閉部材で開閉可能に備えるとともに給排気手段を備え左右の側面には地盤側から傾斜して登るようにしたスロープあるいは階段などの登降手段が側方張出状に設けられて避難者を上方に避難可能とされかつ底部には浮上時において天面を上に向けるようにするウエイトが設けられるとともに前記基本体側に備わって基本体外域に投錨可能な浮遊阻止用錨を備えてなる避難カプセルである津波避難装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、津波避難装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先般の東日本大震災の津波襲来に先立って下記のような津波避難装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】 特開2008−14112
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された津波避難装置によれば、津波から避難して助かることができるのであるが、東日本大震災において発生した津波は、想定を大きく超えるものであるとともに地盤沈下もあって20mを超えるところもあった。そうした観点から津波避難装置(タワー)の高さも高く見直される傾向にあるが、単に高さを高くするだけでは装置への負荷が想定以上に増大する傾向となるため限界が見えてきているのが現状である。
【0005】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、タワー型津波避難装置のみに頼ることなく他の手段により津波からの避難を可能にした津波避難装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、天面・底面・左右側面・前後面を有し内部に水密式の避難空間をもつ6面体で単独浮上および浮遊可能とされた基本体としその避難空間と外部とを連絡するものとして天面および側面のうち側面中段高さ以上の高さに開けられた避難口を密閉部材で開閉可能に備えるとともに給排気手段を備え左右の側面には地盤側から傾斜して登るようにしたスロープあるいは階段などの登降手段が側方張出状に設けられて避難者を上方に避難可能とされかつ底部には浮上時において天面を上に向けるようにするウエイトが設けられるとともに前記基本体側に備わって基本体外域に投錨可能な浮遊阻止用錨を備えてなる避難カプセルである
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明は、天面・底面・左右側面・前後面を有し内部に水密式の避難空間をもつ6面体で単独浮上および浮遊可能とされた基本体としその避難空間と外部とを連絡するものとして天面および側面のうち側面中段高さ以上の高さに開けられた避難口を密閉部材で開閉可能に備えるとともに給排気手段を備え左右の側面には地盤側から傾斜して登るようにしたスロープあるいは階段などの登降手段が側方張出状に設けられて避難者を上方に避難可能とされかつ底部には浮上時において天面を上に向けるようにするウエイトが設けられるとともに前記基本体側に備わって基本体外域に投錨可能な浮遊阻止用錨を備えてなる避難カプセルであるので、タワー型津波避難装置のみに頼ることなく他の手段により津波からの避難を可能にした津波避難装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】 津波避難装置の一実施形態を示す斜視図。
図2】 他の津波避難装置の実施形態を示す側面図。
図3】 他の津波避難装置の実施形態を示す斜視図。
図4】 他の津波避難装置の実施形態を示す斜視図。
図5】 他の津波避難装置の実施形態を示す斜視図。
図6】 他の津波避難装置の実施形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。各実施形態で説明する各案は関係する他の実施形態においても適用することができる。
図1の実施形態は、上下左右前後の6面体でなる完全水密式の角型コンテナを避難カプセル144としたもので、避難カプセル144の底面にはウエイトを兼ねる架台145が設けられる一方、外側面には、防護手段を兼ねるスロープ146や階段などの登降手段が設けられ、さらに、天面にはスリップ防止処理が施されて避難口を開閉自在とする出入り可能蓋147が設けられている。外部のスロープ146や階段は、メッシュでなく面路としておけば、安定翼となって避難カプセル144の横倒しが防止される。架台145などには、横倒れを防ぐためのウエイトを設けることがある。
【0010】
そして、適宜に手摺148や給排気手段149が設けられ、こうした避難カプセル144を自宅や田畑、市街地などの適宜場所に設置しておいて津波避難用とする。平時は緊急時の備蓄庫を兼ねる倉庫としてや住居として活用してもよい。金庫の役目を兼ねる重要対象物保存庫を内装して固定などしてもよい。室内には、避難口に続く避難スロープあるいは階段などを設ける。覗き窓150や浮遊阻止用錨151を付設してもよい。錨151は天面上に備えてもよい。
尚、架台145内には、ウエイト152を挿通固定して避難カプセル144の安定度を高くするようにしてもよい。また、スロープ146や階段の下空間を活用してフロート143を設けるとより安定度が向上する。
【0011】
図2は他の実施形態を示し、同実施形態は、完全水密式で丸胴形の避難カプセル154を示す。同避難カプセル154は、全長20mに設定してあるが10mでも30mでも長さは限定されない。鋼鉄製、SUS製、RC製、FRP製など材質は限定されない。この避難カプセル154は、外部両側面に昇降階段155を備えて水平に設置した上歩み板153に登ることができるようになっているとともに、出入り可能な避難口を閉止するための密閉蓋156、さらに給排気手段157などを備える一方、避難室の内部には、緊急避難のための滑り路(階段でもよい)158や上下に避難室を形成するための区画壁159などが設けられている。その他、図1に示すような覗き窓150や錨151などを付設してもよく、また、備蓄庫を備えてもよい。昇降階段155は、図1のようなスロープ161でもよい。避難カプセル154は右欄図のように角型断面のものにしてもよい。160は外枠ガードで、津波で流されてくる家屋などの漂流物や固定築造物などに衝当しても避難カプセル154である本体を防護する。160aは底枠、160bは避難カプセル154との連結架台である。外枠ガード160の筋交い162は、同図下欄に示すように、それを支持部材としてその内側にスロープ(あるいは階段)161を配置して登降手段を構成することができる。この場合、筋交い162には手摺163を設けることができる。前記外枠ガード160付き避難カプセル154は、左右並列配置して連結して構成することができる。この場合、外枠ガード160相互を連結する。尚、前記避難カプセル154は、その複数体を並列にして1つの大きな外枠ガード160にまとめて内装することもできる。
【0012】
図3は密閉式避難カプセル170についての他の実施形態を示す。同実施形態は、2つの案を含むもので、1つは、避難口167と密閉ドア168とを側面中段高さに配し、これらに対応するようにスロープや階段などの登降手段169を設けたものであり、2つ目は、避難カプセル170の立体内に盲底式で上方開放型をした脱出室171を形成して密閉式脱出扉172やステップ173などを利用して津波後に脱出ができるようにしたものである。
尚、架台174内には、ウエイト175を挿通固定して避難カプセル154の安定度を高くするようにしてもよい。また、スロープなどの登降手段169の上部下側空間を活用してフロート176を設けるとより安定度が向上する。また、右欄に示すように、登降手段169は地上から上面まで至るものとし、その中途において密閉ドア168を開けて避難可能であるとともに上面にも避難ができるようにしてもよい。
【0013】
図4に示す避難カプセル178は、一端開口式で密閉ドア179を開閉自在に装備したもので、その外周囲に発泡樹脂や中空板金製のフロート180を付設して避難カプセル178の安定性の向上を図るとともに外部からの衝撃を吸収し得るようにしたものである。避難カプセル178は密閉式でもよい。このフロート180を付設する方式は他の実施形態でも適用する。
【0014】
図5に示す避難カプセル182外周に廃棄タイヤでなる緩衝部材183…を多数垂れ下げて外部からの衝撃を緩和するようにしたものである。184は網状材で、緩衝部材183を吊り下げるためのロープ185を掛けるために利用される。
【0015】
図6に示す避難カプセル186は、6面密閉型あるいは図4のような密閉ドア付きのものにおいて、同避難施設186は上からみて安定した幅のある矩形状のものとし、その左右両側あるいは一側に、スロープ187を装備して車両188がスロープ187上および天面上にまで登って避難できるようにしたものである。尚、スロープ187は、人の避難用にも兼用でき、その場合、図示のように密閉ドア189をその中途に対応して配置してもよい。
尚、前記のように図4のような密閉ドア付きのものにすれば、避難カプセル186内にも車両や人を避難させ得る。190は周ガード、191は避難口蓋である。
【符号の説明】
【0016】
144,170,186…避難カプセル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6