(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135747
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】スープ保温用真空二重容器
(51)【国際特許分類】
A47J 41/02 20060101AFI20170522BHJP
B65D 81/38 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
A47J41/02 102B
B65D81/38 E
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-237179(P2015-237179)
(22)【出願日】2015年12月4日
(62)【分割の表示】特願2012-11742(P2012-11742)の分割
【原出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2016-55187(P2016-55187A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2015年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】井奥 浩史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正弘
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3602764(JP,B2)
【文献】
登録実用新案第3094695(JP,U)
【文献】
特許第3582012(JP,B2)
【文献】
実開平02−138647(JP,U)
【文献】
特開平08−000338(JP,A)
【文献】
特開平02−074223(JP,A)
【文献】
米国特許第4200199(US,A)
【文献】
特表2009−528955(JP,A)
【文献】
米国特許第2895636(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0213978(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/02
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁および側壁を有する内筒部と、
開口端部で前記内筒部の開口端部と接合される有底の外筒部と、
前記外筒部と前記内筒部との間に形成される真空空間と
を備え、
前記内筒部の底壁は、開口側に向かって球面状に盛り上がる中央部と、凹円弧状の隅部とを有し、
前記内筒部の側壁は、逆切頭円錐筒形状を呈し、前記内筒部の前記底壁の前記隅部の外縁から延びており、
前記中央部の球面の径は、前記隅部の円弧の径よりも大きい
スープ保温用真空二重容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スープ保温用の真空二重容器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「ジュースや、スープ、味噌汁等を収容するための真空二重保温容器」が開示されている(例えば、特開2001−231693号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−231693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、スープが少量になった場合であっても効率的にスープをすくい出すことができるスープ保温用の真空二重容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面に係るスープ保温用真空二重容器は、内筒部、外筒部および真空空間を備える。内筒部は、底壁
および側壁を有する。外筒部は、底壁を有し、開口端部で内筒部の開口端部と接合される。真空空間は、外筒部と内筒部との間に形成される。そして、内筒部の底壁は、開口側に向かって球面状に盛り上がる中央部と、凹円弧状の隅部とを有する。
また、内筒部の側壁は、逆切頭円錐筒形状を呈し、内筒部の底壁の隅部の外縁から延びている。さらに、中央部の球面の径は、隅部の円弧の径よりも大きい。なお、
外筒部の横断面形状は、円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0006】
このため、このスープ保温用真空二重容器では、スープが少量になってきた場合、スープが必然的に隅部に流れる。ここで、スープ保温用真空二重容器を傾けると、スープが更に隅に集まりやすくなる。したがって、このスープ保温用真空二重容器では、スープが少量になった場合であっても効率的にスープをすくい出すことができる。
【0007】
なお、上述のスープ保温用真空二重容器において、内筒部は、外筒部の形成素材よりも耐蝕性に優れる素材から形成されることが好ましい。かかる場合、内壁部の形成素材は例えばSUS316Lであり、外壁部の形成材料は例えばSUS304である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器の半断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器の容器本体および内蓋の外観斜視図である。
【
図4】変形例(C)に係るスープ保温用真空二重容器の積み重ね収容時における半断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100は、
図1および
図2に示されるように、主に、容器本体110および蓋本体120から構成されている。
なお、以下、容器本体110および蓋本体120についてそれぞれ詳述する。
【0010】
<スープ保温用真空二重容器の構成要素>
(1)容器本体
容器本体110は、いわゆる真空二重容器であって、
図2に示されるように、主に、有底の内筒111および有底の外筒112から形成されている。具体的には、内筒111と外筒112との間に空間SPが形成されるように内筒111の開口端部と外筒112の開口端部とが接合された後、空間SPが真空状態とされることにより容器本体110が形成される(
図2参照)。なお、本実施の形態において、スープ保温用真空二重容器100は、容器本体110のみを複数積み重ねたときに一の外筒112が他の外筒112の雄ネジ部112c(後述)や内筒111の段部111d(後述)に接触しないように、設計されている。
【0011】
内筒111は、
図2に示されるように、主に、内筒側壁部111a、内筒底壁部111b、先端壁部111cおよび段部111dから形成されている。なお、この内筒111は、SUS316L、SUS316、SUS304L等の鋼材から形成されている。内筒111を形成する鋼材としては、外筒112を形成する鋼材よりも耐蝕性に優れるものが採用される。内筒側壁部111aは、逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)を呈している。なお、この内筒側壁部111aのテーパ角θ1は、4°以上8°以下とされることが好ましい。また、この内筒側壁部111aの先端側の開口径は70mm以上100mm以下であることが好ましく、70mm以上90mm以下であることがより好ましく、70mm以上80mm以下であることがさらに好ましい。開口径がこの大きさであれば、スプーンでスープを容易にすくい出すことができる共に容器本体110の保温力をキープすることができ、また、蓋本体120を脱着したときにスープの香りが広がり易く、人の手が入りやすく洗浄しやすいためである。内筒底壁部111bは、中央部CTが開口側に向かって球面状に盛り上がっており、隅部CRが凹円弧状を呈している。そして、中央部CTの球面の径は、隅部CRの円弧の径よりも大きくされている。なお、隅部CRの円弧の径は、蓋本体120に収容される折り畳み式スプーンSNのすくい部の先端の円弧径よりも大きいことが好ましい。スープが少量になったとき、そのスプーンSNでスープをすくい出しやすいようにすることができるからである。また、隅部CRの円弧の径は10mm以上20mm以下であることが好ましく、中央部CTの球面の径は90mm以上110mm以下であることが好ましい。先端壁部111cは略円筒形状を呈しており、その開口径は内筒側壁部111aの開口径よりも大きくなっている。また、この先端壁部111cは、段部111dを介して内筒側壁部111aに接合されている。段部111dは、逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)の部位であって、上述の通り、内筒側壁部111aと先端壁部111cとの間に位置し、内筒側壁部111aと先端壁部111cとを接合している。なお、この段部111dは、蓋本体120が容器本体110に装着されたときに蓋本体120の内蓋121(後述)のパッキン(図示せず)に当接するように、位置決めされている。
【0012】
外筒112は、
図2に示されるように、主に、外筒側壁部112a、外筒底壁部112bおよび雄ネジ部112cから形成されている。なお、この外筒112は、内筒111を形成する鋼材よりも耐蝕性に劣る鋼材から形成されている。例えば、内筒111がSUS306Lから形成されている場合、外筒112は、例えば、SUS306、SUS304L、SUS304、SUS430等の鋼材から形成される。また、例えば、内筒111がSUS306から形成されている場合、外筒112は、例えば、SUS304L、SUS304、SUS430等の鋼材から形成される。また、例えば、内筒111がSUS304Lから形成されている場合、外筒112は、例えば、SUS304、SUS430等の鋼材から形成される。また、例えば、内筒111がSUS304から形成されている場合、外筒112は、例えば、SUS430等の鋼材から形成される。外筒側壁部112aは、内筒側壁部111aと同様に逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)を呈している。なお、外筒側壁部112aのテーパ角θ2は、
図2に示されるように、内筒側壁部111aのテーパ角θ1よりも大きくされている。なお、この外筒側壁部112aのテーパ角θ2は、7°以上18°以下であることが好ましい。使用者が容器本体110を把持しやすくなるからである。外筒底壁部112bは、略円盤形状を呈している。雄ネジ部112cは、外筒側壁部112aの上部内側に形成されており、内蓋側壁部121bに形成される雌ネジ部121c(後述)に螺合することができる。
【0013】
(2)蓋本体
蓋本体120は、
図1および
図2に示されるように、主に、内蓋121および外蓋122から形成されている。
【0014】
内蓋121は、
図2に示されるように、主に、内蓋天壁部121a、内蓋側壁部121b、雌ネジ部121cおよび断熱材収容部121dから形成されている。内蓋天壁部121aは、椀状を呈している。そして、内蓋121に外蓋122が被せられたとき、内蓋天壁部121aと外蓋122との間に空間SSが生成される。なお、本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、この空間SSは折り畳み式スプーンSNの収容空間として用いられる。内蓋側壁部121bは、略円筒形状を呈している。この内蓋側壁部121bの内周面には、
図2に示されるように、雌ネジ部121cが形成されている。上述の通り、この雌ネジ部121cには、容器本体110の雄ネジ部112cが螺合される。断熱材収容部121dは、有底円筒形状を呈しており、平面視において内蓋側壁部121bの内側に設けられている。なお、この断熱材収容部121dの内部には、
図2に示されるように、断熱材HSが充填されている。また、この断熱材収容部121dは、
図2に示されるように、容器本体110に内蓋121が装着された状態において断熱材HSが容器本体110の上端よりも下側に位置するようになるまで下方に延びている。
【0015】
外蓋122は、内蓋121の上部を覆う部材であって、
図1および
図2に示されるように、主に、外蓋天壁部122aおよび外蓋円筒壁部122bから形成される。外蓋天壁部122aは、略円盤形状を呈する。なお、この外蓋天壁部122aには、外筒底壁部112bの形状とほぼ一致する凹部RCが形成されている。スープ保温用真空二重容器100が2つ以上持ち運ばれる場合において、他のスープ保温用真空二重容器100の底部がこの凹部RCに収容される。外蓋円筒壁部122bは、略円筒形状を呈する。
【0016】
<スープ保温用真空二重容器の特徴>
(1)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、外筒112が底側に向かうに従って縮径する。このため、このスープ保温用真空二重容器100では、内筒111の先端側の内径を比較的大きくしつつ、外筒112の底側の外径を比較的小さく保つことができる。したがって、手が小さい女性や子供等は、外筒112の底側を選択してスープ保温用真空二重容器100を把持すれば、比較的楽にスープ保温用真空二重容器100を把持することができる。また、このスープ保温用真空二重容器100では、内筒111は、開口に向かうに従って拡径する。このため、このスープ保温用真空二重容器100は、スープをスプーンSNですくい出しやすくすることができる。したがって、このスープ保温用真空二重容器100は、スープをスプーンSNですくい出すことができると共に、手が小さい女性や子供等であっても把持しやすい。
【0017】
(2)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、内筒111がSUS316L等の鋼材から形成されている。このため、このスープ保温用真空二重容器では、塩分を多量に含むスープが入れられても内筒111が錆びにくい。また、内筒111がプレス加工で深絞り成形される場合、SUS304に比べて加工されやすく、焼鈍処理が不要となる。このため、内筒111の製造効率が向上し、内筒111の製造コストを低減することができる。また、かかる場合、内筒111の肌荒れ(オレンジピール)が少なくなるため、SC加工後の内筒111の状態も向上する。
【0018】
(3)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、内筒底壁部111bの中央部CTが開口側に向かって球面状に盛り上がっており、内筒底壁部111bの隅部CRが凹円弧状を呈している。そして、中央部CTの球面の径は、隅部CRの円弧の径よりも大きい。このため、このスープ保温用真空二重容器100では、スープが少量になってきた場合、スープが必然的に隅部CRに流れる。ここで、スープ保温用真空二重容器100を傾けると、スープが更に隅に集まりやすくなる。したがって、このスープ保温用真空二重容器100では、スープが少量になった場合であっても効率的にスープをすくい出すことができる。
【0019】
(4)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100は、容器本体110のみを複数積み重ねたときに一の外筒112が他の外筒112の雄ネジ部112cや内筒111の段部111dに接触しないように、設計されている。このため、このスープ保温用真空二重容器100は、複数の容器本体110を積み重ねて収容するたびに、雄ネジ部112cや段部111dが変形してその機能が損なわれることを防止することができる。
【0020】
(5)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、
図3に示されるように、容器本体110から蓋本体120を取り外すと共に内蓋121から外蓋122を取り外しておけば、内蓋121を、スープが付着したスプーンSNのトレーとして利用することができ、テーブル等を汚さないで済む。なお、かかる場合、さらに外蓋122を裏返してその外蓋122を内蓋121のトレー代わりとして使用してもよい。
【0021】
(6)
本実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では、容器本体110に内蓋121が装着された状態において、断熱材HSが容器本体110の上端よりも下側に位置するようになるまで断熱材収容部121dが下方に延びている。このため、このスープ保温用真空二重容器100は、その保温力を高く維持することができる。
【0022】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では内筒111の内筒側壁部111aの形状が逆切頭円錐筒形状(逆円錐台筒形状)とされたが、内筒111の内筒側壁部111aの形状は、円筒形状とされてもよいし、逆切頭円錐筒形状と円筒形状とが組み合わせられた形状であってもよい。なお、後者の場合、逆切頭円錐筒形体と円筒形体との接合位置の形状を円弧等(断面視)のなめらかな形状とすることが好ましい。
【0023】
(B)
先の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では外筒側壁部112aのテーパ角θ2が内筒側壁部111aのテーパ角θ1よりも大きくされていたが、外筒側壁部112aのテーパ角θ2は、内筒側壁部111aのテーパ角θ1と同じであってもよいし、内筒側壁部111aのテーパ角θ1よりも大きくされてもよい。
【0024】
(C)
先の実施の形態では特に言及しなかったが、
図4に示されるように、外筒112Aに張り出し部112eが形成されてもよい。なお、この張り出し部112eは、外筒112Aにおいて外筒側壁部112aよりも外側に向かって張り出している。この結果、外筒112Aに段差が生じている。このため、このスープ保温用真空二重容器100Aは、使用者に把持されたとき、この段差が使用者の手に引っ掛かる。したがって、このスープ保温用真空二重容器100Aは、滑りにくく、持ちやすい。また、万一、落下等の衝撃で外筒112Aが凹んだ場合であっても、張り出し部112eにより内筒111と接触する確率が減り、保温力を損なうおそれを低減することができる。
【0025】
なお、
図4中、先の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100の構成要素と異なる構造を有する構成要素については、先の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100の構成要素に付された符号の後に「A」の文字を付している。
【0026】
(D)
先の実施の形態に係るスープ保温用真空二重容器100では蓋本体120が、折り畳み式スプーンSNを収容可能な構造とされたが、蓋本体120は、通常の構造の蓋体であってもよい。すわなち、内蓋121が蓋本体として利用されてもよい。かかる場合、内蓋天壁部121aは、外蓋天壁部122aのような形状とされることが好ましい。
【符号の説明】
【0027】
100,100A スープ保温用真空二重容器
110,110A 容器本体
111 内筒(内筒部)
111b 内筒底壁部(内筒部の底壁)
112,112A 外筒(外筒部)
CR 隅部
CT 中央部
SP 真空空間