(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
最も好ましい実施態様の説明
最も好ましい実施態様においては、本発明は、それぞれSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含むことを特徴とする抗脂肪生成/抗肥満組成物に関する。
もう1つの最も好ましい実施態様においては、本発明は、哺乳類細胞内の脂肪生成を抑制する方法に関し、該方法は、脂肪生成性哺乳類細胞を、それぞれSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物と接触させる処置を含む。
【0010】
もう1つの最も好ましい実施態様においては、本発明は、哺乳類の脂肪生成に起因する肥満を治療的に抑制する方法に関し、該方法は、それぞれSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物を、前記治療的抑制を必要とする哺乳類に食事補給する処置を含む。
もう1つの最も好ましい実施態様においては、本発明は、STR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物の、哺乳類細胞内での脂肪生成の抑制のための使用に関する。
【0011】
また、別の実施態様においては、本発明は、ハマスゲの根茎を生物活性指針分別して、
(A)
それぞれSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBと、
(B) ピセアタンノール並びにそのダイマーのそれぞれSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBとを含む抗脂肪生成/抗肥満組成物を取得する方法に関し、該方法は、下記の工程を含む:
1. ハマスゲの根茎を乾燥させ、該根茎を粉砕して粗粉末を調製する工程;
2. 工程1の粉末を3容量のヘキサンで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してヘキサン可溶性画分および廃物質を得る工程;
3. 工程2の廃物質を3容量のメタノールで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してメタノール可溶性活性画分および廃物質を得る工程;
4. 工程3のメタノール可溶性活性画分を水性メタノール中で可溶化し、クロロホルム(CHCl
3)、酢酸エチル(EtOAc)およびメタノールで連続分別して、それぞれ、クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層を得る工程;
5. 前記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層をさらなる生物活性指針分別に供する工程であって、ここで、生物活性パラメーターは前記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層の3T3-L1マウス脂肪細胞(哺乳類脂肪細胞)内での脂肪生成を抑制する能力である;
6. クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層が示す脂肪生成抑制におけるIC
50 (μg/ml)値(それぞれ、0、9.39および66.42)を算出する工程;
7. カラム分画を使用して、前記酢酸エチル層を分別して前記生物活性(脂肪生成抑制)バイオマーカーを同定する工程;該分別工程は、各画分をメタノール:クロロホルムの極性の上昇によって溶出させて前記酢酸エチル層
(画分)のサブ画分を得る工程を含む;
8. 工程7のサブ画分を生物活性(抗脂肪生成)分析に供する工程;
9. 工程8の最も生物活性のサブ画分を同定し、これらの画分をLC-MS分析に供して前記生物活性成分スシルプシンAおよびスシルプシンBを同定する工程;
10. 工程7のサブ画分を分取HPLCに供して精製ダイマーを得、この精製ダイマーを高分解能質量分析(HRMS)、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC-MS/MS)および核磁気共鳴分析(NMR)に供してスシルプシン生物活性成分の
質量および構造を確認する工程:
【化1】
【0012】
本発明者等は、先行する工程2において触れているヘキサン抽出物を調査し、スシルプシンAおよびスシルプシンBが存在しないことを見出した。従って、工程1におけるヘキサン抽出物は、工程7において詳述している酢酸エチル画分とは構成的に異なる。即ち、ハマスゲの酢酸エチル抽出物は、Lemaure et al. 2007. Phytother Res. 21 : 724‐730における調査研究の対象であったヘキサン抽出物とは全く異なる。
【0013】
本明細書の以下の項目は、本発明の最も好ましい実施態様の具体的実施例からなる。
【0014】
〔実施例1〕
ハマスゲの根茎の生物活性指針分別(図1)
方法
ハマスゲの乾燥させた根茎を粉砕して粗粉末を調製した。粉砕した粉末を3容量のヘキサンで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してヘキサン可溶性画分と廃物質を得た。廃物質を、さらに、3容量のメタノールで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してメタノール可溶性活性画分と廃物質を得た。メタノール可溶性活性画分を水性メタノール中で可溶化し、クロロホルム(CHCl
3)、酢酸エチル(EtOAc)およびメタノールで連続分別して、それぞれ、クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層を得た。上記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層を、生物活性パラメーターが上記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層の3T3‐L1マウス脂肪細胞(哺乳類脂肪細胞)内での脂肪生成を抑制する能力であるさらなる生物活性指針分別に供した。脂肪生成抑制の度合を試験するためにSalazar Olivo等(1995年)、Wu Z等(1998年)、Fu M等(2005年)から適応化した場合のオイルレッドO (Oil Red O)染色法の工程は、以下の実施例1Aにおいて説明する。結果は、下記の表Aに示している。
【0015】
〔実施例1A〕
脂肪細胞の最終分化は、大細胞質性小胞内に大量の脂質の蓄積を伴う。脂肪細胞分化を細胞培養において測定する一般的なアッセイ法は、染料オイルレッド‐O (ORO)による。OROは、脂質可溶性鮮赤色染料であり、脂肪細胞分化の信頼し得る指標である。
【0016】
原理:
オイルレッドO (ソルベントレッド27、スダンレッド5B、C.I. 26125、C26H24N4O)は、凍結切片上の中性トリグリセリドおよび脂質並びにパラフィン切片上のある種のリポタンパク質の染色において使用するリソクロム(脂溶性染料)ジアゾ染料である。この染料は、518 (359)nmにおいて最大吸収を有する赤色粉末の外観を有する。オイルレッドOは、スダン染色において使用する染料の1つである。同様な染料としては、スダンIII、スダンIVおよびスダンブラックBがある。染色は、アルコール固定により脂質を除去したときに、新鮮サンプル上で機能しなければならない。オイルレッドOは、はるかに深い赤色をもたらし、従って、染色を観察するのがはるかに容易であることは、スダンIIIおよびスダンIVと大きく置換わっている。オイルレッドOは、油溶性染料である。油溶性染料は、通常の水性アルコール染料溶媒中におけるよりも組織/細胞中のリポイド物質中においてより高い染料溶解性を示す。従って、油溶性染料は、細胞を深く染色する。
【0017】
3T3‐L1細胞(およそ60×10
4細胞数)を48〜72時間種付けして70〜80%密集物を得る。48時間後、新しく調製した200μlのAIM (脂肪生成誘発培地)を添加する。72時間後、種々の濃度の試験化合物を含む200μlのAPM (脂肪生成進行培地)を各ウェルに加える。細胞を、5%のCO2と95%の空気の加湿雰囲気(370℃)中で48時間インキュベートする。上清を集め、レプチン、アディポネクチン、IL‐6およびTNF‐アルファの評価のために保存する。細胞を、100μlの10%ホルマリンを添加することによって固定し、ORO染色を行う。ODを、マイクロプレートリーダーにおいて、492nmで読取る。
【0018】
結果は、グラフパッド(Graphpad)プリズムソフトウェアを使用して、IC
50値として現す。脂肪生成の抑制百分率は、下記のようにして算出する:
%抑制 = C−T/T * 100
上記式中、Cは、分化/未分化細胞におけるオイルレッドOの吸光度であり;
Tは、サンプル、即ち、処理分化/未分化細胞におけるオイルレッドOの吸光度である。
【0020】
酢酸エチル層は、脂肪生成抑制に関して、9.39のIC
50 (μg/ml)値でもって最良の生物活性を例証していた。その後、この画分を、カラム分画に供して生物活性(脂肪生成抑制)バイオマーカーを同定した。カラム分画は、上記酢酸エチル層のサブ画分をメタノール:クロロホルム混合物の極性の上昇によって溶出させる工程を含んでいた。酢酸エチル層の各サブ画分をI、II、IIIおよびIVと名称付けし、生物活性(抗脂肪生成)評価に供した。抗脂肪生成活性評価の本質的工程は、上記実施例1Aにおいて概略した手順を含む。結果は、下記の表Bに要約している。
【0022】
その後、サブ画分IIIおよびIVをLC‐MSに供し、両画分をピセアタンノールダイマースシルプシンAおよびスシルプシンBに濃縮した(
図2および3)。LC‐MS/MS分析は、Thermo Electronics Finnigan LCQ Advantage MAX分光計において、RP C18カラム(250×4.6mm、5μ粒度)を使用して実施した。上記装置は、Thermo‐Finnigan測量PDA検出器、LCポンプおよび自動サンプル採取器からなっていた。移動相は、溶媒(A) 水中0.1%酢酸および溶媒(B) アセトニトリルによる35分間の勾配継続を含んでいた。溶媒(B)濃度は、0〜5分間における5%から、5〜20分間の5〜60%、20〜25分間の60〜100%、25〜27分間の100〜5%に上昇し、27〜35分間は5%で一定のままであった。静置相は、Thermo BDS hypersil C18カラム(寸法:250mm×4.6mm)を含んでいた;流量:1ml/分;検出範囲:260nm。
【0023】
イオン化パラメーター:
APCI 陽性モード;電源電圧:4.50kV;毛管温度:225度;毛管電圧:43.00V。
データ解釈:
スシルプシンAの質量は、470.13であると報告されている。上記プロトコールを使用しての陽性イオン化モードにおいて18.77分にて観察された質量[M+H]は471.08である。スシルプシンBの質量は、486であると報告されている。陽性イオン化モードにおいて17.94分にて観察された質量[M+H]は487.05である。
【0024】
ハマスゲ抽出物中でのピセアタンノールダイマーの存在の最初の確認レベルは、質量に関するこの予備的情報に基づいていた。スシルプシンAは、スシルプシンAの真正サンプルとの直接比較によって直接確認した。
【0025】
その後、各サブ画分を分取HPLCに供して精製ダイマースシルプシンBを得、次いで、この精製ダイマースシルプシンBを分析手段高分解能質量分析(HRMS)、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC‐MS/MS)および核磁気共鳴分析(NMR)を使用して試験してスシルプシンBとして確認した。上記HRMSからのデータは[M+H] = 487.138を示し、この値は、上記ダイマーの構造および上記ダイマーについて報告されたデータ(Sano等、2011年)と極めて良好に一致しており(
図4および5)、また、スシルプシンBの構造は、低温プローブNMRを使用しても確認した(
図6)。上記化合物は、文献(Sano等、2011年)において入手し得るデータとの比較後に同定した。NMRデータ(CD
3OD):δ:56.73、93.50、95.39、100.79、102.93、105.87 x 2、112.21、112.63、114.83、114.91、117.03、118.42、118.61、122.17、129.46、129.53、133.53、135.60、144.90、145.01、145.09、145.21、146.27、158.36、158.56 x 2、161.46。500MHzで得られたAPT (結合陽子試験) NMRスペクトルにより、スシルプシンBの構造をさらに確認した。また、スシルプシンBの真正サンプルもSano等、2011年が分離したパッションフルーツから分離し、本発明者等がハマスゲから上記のようにして分離したスシルプシンBと直接比較し、さらに、HPLC滞留時間、質量スペクトルデータおよびNMRデータの同定もハマスゲにおけるスシルプシンBの存在を最も信頼し得る形で裏付けていた。
【0026】
〔実施例2〕
CYPRO‐AF (活性酢酸エチル画分)およびCYPRO‐D1 (ピセアタンノールダイマースシルプシンAおよびスシルプシンBに自然濃縮した酢酸エチルサブ画分)抽出物のマウスにおける抗肥満作用についての有効性評価
試験目的:
本試験の目的は、CYPRO‐AFおよびCYPRO‐D1抽出物のC57マウスにおける抗肥満作用についての有効性を評価することであった。
【0029】
群分け:
動物の群分けは、体重ランダム化および層別化法によって順化の最終日に実施した。動物の群分けは、使用する動物の体重変動が各群の平均体重の±20%を越えないように実施した。
【0030】
試験デザイン:
動物を、6群、即ち、各々10匹(5匹の雄および5匹の雌)からなる群1、2、3、4、5および6に分割した。群詳細、投与量および群毎の動物の数/性別は、下記の表に示している:
【0031】
調合詳細および投与量:
試験品目Cypro‐AFおよびCypro‐D1を蒸留水に溶解し、種々の投与量を調合した。新たに調合した試験品目を、強制飼養(gavage)により経口経路で投与した。動物当りの投与量容量は、試験期間全体に亘って、全ての動物に対して10ml/kg体重に維持した。下記の表は、試験調合物の詳細を示している。
【0032】
肥満誘発:
G1対照群動物は、10kcal%の脂肪を含有する標準の対照給餌飼料D12450Bを給餌し、G2〜G6群動物は、肥満誘発中および主試験中は、60kcal%の脂肪を含有する高脂肪給餌飼料D12492を給餌した。
【0033】
主試験:
主試験は、肥満誘発後に開始した。Cypro‐AFの3投与量とCypro‐D1の1投与量を、動物に、28日目から27日間連続して毎日投与した。主試験において続けた飼料の給餌は、肥満の誘発において実施した。G1対照およびG2高脂肪給餌対照群動物は蒸留水を投与され、一方、他の群の動物は、試験期間の28日目から54日目まで試験品目を受けた。投与容量は、個々の動物の週間体重に応じて維持した。試験の合計期間は61日間であった(7日間の順化期間+27日間の肥満誘発+27日間の主試験)。
【0034】
観察:
以下の観察を、試験期間中に実施した。
飼料摂取量
個々の動物の飼料摂取量を記録した。週平均飼料摂取量を算出し、記録した。
体重
個々の動物の体重を、1日目の受入日およびその後の試験期間中1週間(±1日)毎に記録した。
臨床観察
全ての動物を、試験期間中、1日2回臨床観察した。
【0035】
臨床病理学:
試験期間の終了時に、血液サンプルを、各動物から、血液学用にはエチレンジアミンテトラ酢酸カリウム(K2‐EDTA)抗凝固剤を含むチューブ内に、臨床化学用には抗凝固剤なしで採取した。抗凝固剤を含まないチューブに採取した血液サンプルは、3000rpmで10分間遠心分離して血清を得た。血液サンプルは、後眼窩叢穿刺(retro‐orbital plexus puncture)法により、軽微なエーテル麻酔下に微細毛管チューブの助けによって無痛的に採取した。以下の血液学および臨床化学パラメーターを分析した。
【0036】
血液学
以下の血液学パラメーターを、Sysmex、KX-21 (Transasia Bio-Medicals社、インド)を使用して評価した:
【0037】
臨床化学
以下の臨床化学パラメーターを、“Erba Mannheim Chem Touchアナライザー”(Transasia Bio‐Medicals社、インド)を使用して血清サンプルから分析した。
【0038】
病理学
試験期間の終了時の後、55日目に、全ての動物を、ガス室において過剰の二酸化炭素に暴露することによって安楽死させ、下記の外的および内的全体解剖に供した。
全体解剖
動物を外的および内的全体病理学検査に供した。
【0039】
臓器重量
全ての動物からの以下の臓器を、必要に応じて何らかの付着組織を取除き、乾燥を避けるためにできるだけ早く湿ったまま秤量した:脳、胸腺、肝臓、副腎、腎臓(対臓器)、脾臓、心臓、卵巣/睾丸(対臓器)。
【0040】
脂肪沈着重量
全ての動物からの以下の脂肪沈着物を集め、秤量した。
1. 副睾丸脂肪
2. 褐色脂肪
3. 卵巣脂肪
【0041】
統計分析および報告書作成
本試験から得られた原データをコンピュータ統計処理に供した。データのコンピュータプリントアウト(付属書の形の)を、元の原データによって検証した。検証後、データを、体重、血液学および臨床化学パラメーター、臓器重量についてのデータに対するダネット事後検定による一元ANOVA(分散分析)に、GraphPad Prismバージョン5.01、GraphPadソフトウェアを使用して供した。全ての分析および比較を、下記で説明しているような報告全体に亘って、a) G1をG3、G4、G5およびG6と比較した場合およびb) G2をG3、G4、G5およびG6と比較した場合の上付き文字による表示によって示した95%信頼レベル(P < 0.05)において評価している:*は、どのような場合も当てはまる統計的有意性(P < 0.05)である。
【0042】
データは、以下を比較することによって、一元ANOVA統計分析に供した:
以下に示すような、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}対G3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}:
【0043】
以下に示すような、G2群{高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)}対G3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}:
【0048】
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における21日目の平均週間体重値において統計的に有意の増大があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0049】
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における28日目の平均週間体重値において統計的に有意の増大があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0050】
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における35、42、49および55日目の平均週間体重値において低下があった。これらの変化は、試験品目の投与に基づくものとみなした。
【0051】
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における21日目の平均週間体重値において統計的に有意の増大があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0052】
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における28日目の平均週間体重値において統計的に有意の増大があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0053】
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}における35、42、49および55日目の平均週間体重値において低下があった。これらの変化は、試験品目の投与に基づくものとみなした。
【0060】
G1対G3、G4、G5およびG6間の血液学パラメーター統計分析比較
平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)
雄動物において、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均MCHC値において統計的に有意な上昇があった。これらの変化は、投与量依存性応答がないので、偶然とみなし得る。
【0061】
平均赤血球容積および平均赤血球ヘモグロビン
雌動物において、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均MCVおよびMCH値において統計的に有意な上昇があった。これらの変化は、投与量依存性応答がないので、偶然とみなし得る。
【0062】
平均赤血球ヘモグロビンおよび平均赤血球ヘモグロビン濃度
雌動物において、G2群{高脂肪飼料対照群(60kcal%の脂肪を含む)}と比較したG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均MCHおよびMCHC値において統計的に有意な上昇があった。この変化は、投与量依存性応答がないので、偶然とみなし得る。
【0067】
G1対G3、G4、G5およびG6間の臨床化学パラメーター統計分析比較
総タンパク質
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均総タンパク質値において統計的に有意の低下があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0068】
トリグリセリド
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均トリグリセリド値において統計的に有意の低下があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0069】
総コレステロール
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均総コレステロール値において統計的に有意の上昇があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均総コレステロール値において統計的に有意の上昇があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0070】
高密度脂質
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均高密度脂質値において統計的に有意の低下があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0071】
低密度脂質
雄動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均低密度脂質値において統計的に有意の上昇があった。これらの変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0072】
超低密度脂質
雌動物においては、G1群{対照群(10kcal%の脂肪を含む)}と比較したG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均超低密度脂質値において統計的に有意の上昇があった。この変化は、飼料の脂肪含有量の差に基づくものとみなした。
【0073】
G2対G3、G4、G5およびG6間の臨床化学パラメーター統計分析比較
トリグリセリド
雄動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均トリグリセリド値において低下があった。平均トリグリセリド値変化におけるこの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0074】
雌動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均トリグリセリド値において統計的に有意の低下があった。平均トリグリセリド値変化におけるこの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0075】
G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均トリグリセリド値において低下があった。平均トリグリセリド値変化におけるこれらの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0076】
総コレステロール
雄動物において、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均総コレステロール値において低下があった。平均総コレステロール値変化におけるこの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0077】
雌動物において、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均総コレステロール値において低下があった。平均総コレステロール値変化におけるこれらの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0078】
高密度脂質
雄動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均高密度脂質値において統計的に有意の低下があった。
平均高密度脂質値変化における統計的に有意な低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0079】
雌動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均高密度脂質値において統計的に有意の低下があった。平均高密度脂質値変化におけるこれらの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0080】
低密度脂質
雄動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均低密度脂質値において低下があった。平均低密度脂質値変化におけるこの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0081】
超低密度脂質値
雄動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G5群{CYPRO‐AF 200mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均超低密度脂質値において低下があった。平均超低密度脂質値変化におけるこの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0082】
雌動物においては、G2群高脂肪飼料対照(60kcal%の脂肪を含む)と比較したG3群{CYPRO‐AF 50mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}、G4群{CYPRO‐AF 100mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}およびG6群{CYPRO‐D1 10mg/kg+高脂肪飼料(60kcal%の脂肪を含む)}の平均超低密度脂質値において大きな低下があった。平均超低密度脂質値変化におけるこれらの低下は、試験品目の作用に基づき得ていた。
【0083】
結論:本試験から、試験品目Cypro‐AFおよびCypro‐D1は、高脂肪飼料誘発肥満雄および雌C57動物においてHDL、トリグリセリド、コレステロール、LDLおよびVLDL濃度のようなパラメーターを低下させることに対する効果を、Cypro‐AFの50、100および200mg/kg体重およびCypro‐D1の10mg/kg体重において有するものと結論付けし得る。統計的に有意な変化は、動物の剖検時の臓器重量および脂肪沈着において観察されなかった。
【0084】
本発明を好ましい実施態様に関連して説明してきたけれども、当業者であれば、明らかに、本発明はそのような実施態様に限定されないことを理解すべきである。むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲に関連してのみ解釈すべきである。
本発明は、さらに、以下の態様であり得る。
〔1〕それぞれ下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含むことを特徴とする抗脂肪生成/抗肥満組成物:
〔2〕脂肪生成性哺乳類細胞を、それぞれ下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物と接触させる処置を含むことを特徴とする、哺乳類細胞内の脂肪生成の抑制方法:
〔3〕哺乳類の脂肪生成に起因する肥満の治療的抑制方法であって、それぞれ下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物を、前記治療的抑制を必要とする哺乳類に食事補給する処置を含むことを特徴とする前記治療的抑制方法:
〔4〕下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBを含む組成物の、哺乳類細胞内での脂肪生成の抑制のための使用:
〔5〕下記の工程を含むことを特徴とする、ハマスゲの根茎を生物活性指針分別して、A) 下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBと、B) ピセアタンノール並びにそのダイマーのそれぞれ下記のSTR#1およびSTR#2によって示されるスシルプシンAおよびスシルプシンBとを含む抗脂肪生成/抗肥満組成物を取得する方法:
1. ハマスゲの根茎を乾燥させ、該根茎を粉砕して粗粉末を調製する工程;
2. 工程1の粉末を3容量のヘキサンで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してヘキサン可溶性画分および廃物質を得る工程;
3. 工程2の廃物質を3容量のメタノールで抽出し、次いで、加熱して3時間還流処理し、濾過してメタノール可溶性活性画分および廃物質を得る工程;
4. 工程3のメタノール可溶性活性画分を水性メタノール中で可溶化し、クロロホルム(CHCl3)、酢酸エチル(EtOAc)およびメタノールで連続分別して、それぞれ、クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層を得る工程;
5. 前記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層をさらなる生物活性指針分別に供する工程であって、生物活性パラメーターが前記クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層の3T3-L1マウス脂肪細胞(哺乳類脂肪細胞)内での脂肪生成を抑制する能力である工程;
6. クロロホルム層、酢酸エチル層および水性メタノール層が示す脂肪生成抑制におけるIC50 (μg/ml)値(それぞれ、0、9.39および66.42)を算出する工程;
7. カラム分画を使用して、前記酢酸エチル層を分別して前記生物活性(脂肪生成抑制)バイオマーカーを同定する工程;該分別工程は、各画分をメタノール:クロロホルムの極性の上昇によって溶出させて前記酢酸エチル層(画分)のサブ画分を得る工程を含む;
8. 工程7の各サブ画分を生物活性(抗脂肪生成)分析に供する工程;
9. 工程8の最も生物活性のサブ画分を同定し、これらの画分をLC-MS分析に供して前記生物活性成分スシルプシンAおよびスシルプシンBを同定する工程;
10. 工程7の各サブ画分を分取HPLCに供して精製ダイマーを得、この精製ダイマーを高分解能質量分析(HRMS)、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC-MS/MS)および核磁気共鳴分析(NMR)に供して各スシルプシン生物活性成分の分子量および構造を確認する工程: