(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<カラーフィルタ>
本発明の実施形態のカラーフィルタは、異なる色の複数の着色層を有するものである。特に、少なくとも、赤色層、緑色層及び青色層の三色を三原色として有し、構成されることが好ましい。そして、有機EL層(発光層)を有して構成される有機EL表示素子に好適に用いることができる。
【0024】
本実施形態のカラーフィルタにおいては、それを構成する複数色の着色層のうちの少なくとも1つが多官能性酸化防止剤を含有することを特徴とする。着色層は、通常、着色組成物を用いて形成される。着色組成物は、着色剤、バインダー樹脂及び架橋剤を少なくとも含有し、必要に応じて、光重合開始剤を含有せしめることにより、着色組成物に感放射線性が付与される。そして、本発明においては、着色組成物に多官能性酸化防止剤を含有せしめ使用される。また、着色組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として使用される。以下、各成分について説明する。なお、着色組成物を構成する各成分においては、カラーフィルタからのアウトガスの原因となり得る不純物を、できる限り排除することが好ましい。
【0025】
[多官能性酸化防止剤]
本実施形態のカラーフィルタを構成する複数色の着色層のうちの少なくとも1つは、多官能性酸化防止剤を含有する。多官能性酸化防止剤とは、1分子中に複数、すなわち、2個以上の酸化防止能を示す基を有する化合物である。多官能性酸化防止剤としては、例えば、2個以上のヒンダードフェノール構造を有する化合物、2個以上のヒンダードアミン構造を有する化合物、2個以上のチオエーテル構造を有する化合物、2個以上のリン原子を有する化合物等を挙げることができる。本発明においては、多官能性酸化防止剤として、ヒンダードフェノール構造、ヒンダードアミン構造及びチオエーテル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種を合計2個以上有する化合物を含有することが好ましい。
【0026】
多官能性酸化防止剤は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。そして、所望の効果を高める点から、分子量300以上の化合物であることが好ましく、ヒンダードフェノール構造、ヒンダードアミン構造及びチオエーテル構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種を2個以上有する重合体(以下、「特定重合体」とも称する。)であることが特に好ましい。多官能性酸化防止剤の分子量が小さすぎると、アウトガスとなって、併せて用いられる有機EL層を劣化させるおそれがある。多官能性酸化防止剤を特定重合体とすれば、多官能性酸化防止剤がバインダー樹脂として機能し得る点でも好ましい。
【0027】
上記ヒンダードフェノール構造を有する重合体としては、例えば、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体を挙げることができる。ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体としては、ヒンダードフェノール構造を有する(メタ)アクリル系単量体が好ましく、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
【0029】
(式(3)中、R
13は相互に独立に炭素数1〜5のアルキル基を示し、R
14は相互に独立に炭素数1〜8のアルキル基を示し、R
15は水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示し、R
16は水素原子又はメチル基を示す。)
【0030】
これらの中でも、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル(メタ)アクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
また、上記ヒンダードアミン構造を有する重合体としては、例えば、ヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体を挙げることができる。ヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、下記式(4)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体を挙げることができる。
【0033】
(式(4)中、R
21は水素原子、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、アシル基、オキシラジカル基又はOR
24を示し、R
24は水素原子、炭素数1〜18の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基又はアシル基を示し、R
22及びR
23は相互に独立にメチル基、エチル基又はフェニル基を示すか、又は互いに結合して炭素数4〜12の脂肪族環を形成し、「*」は結合手であることを示す。)
【0034】
上記式(4)において、R
21及びR
24の炭素数1〜18の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基としては、例えば、炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基及び炭素数3〜8の環状アルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、ヘキサデシル基等を挙げることができる。また、上記式(4)において、R
21及びR
24の炭素数6〜20のアリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等を挙げることができる。また、上記式(4)において、R
21及びR
24の炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、炭素数6〜10のアリール基に炭素数1〜8のアルキル基が結合した基が挙げられ、具体的にはベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、2−フェニルプロパン−2−イル基等を挙げることができる。また、上記式(4)において、R
21及びR
24のアシル基としては、炭素数2〜8のアルカノイル基及びアロイル基が挙げられ、具体的にはアセチル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
【0035】
本実施形態においてR
21としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、オキシラジカル基が好ましく、特に水素原子、オキシラジカル基、メチル基が好ましい。
また、上記式(4)において、R
22及びR
23が互いに結合して形成する脂肪族環としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらのR
22及びR
23としては、メチル基が好ましい。
【0036】
上記式(4)で表される基を有するエチレン性不飽和単量体の具体例としては、例えば、下記式(4−1)で表される化合物、下記式(4−2)で表される化合物等を挙げることができる。
【0038】
(式(4−1)及び式(4−2)において、R
25及びR
27は相互に独立に水素原子又はメチル基を示し、R
26はメチレン基又は炭素数2〜5のアルキレン基を示し、Aは相互に独立に上記式(4)で表される基を示し、Yは−CONH−(*)、−SO
2−(*)、−SO
2NH−(*)を示し(ただし、「*」を付した結合手がAと結合する。)、nは0〜9の整数を示す。)
R
26としては、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。nは0〜8の整数、特に0〜6の整数が好ましい。
【0039】
上記式(4−1)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記式(4−1−1)〜(4−1−7)で表される化合物等を挙げることができる。
【0041】
(式(4−1−1)〜式(4−1−7)において、R
25及びnは上記式(4−1)におけるR
25及びnと同義である。)
【0042】
また、上記式(4−2)で表される単量体の具体例としては、例えば、下記式(4−2−1)〜(4−2−4)で表される化合物等を挙げることができる。
【0044】
(式(4−2−1)〜式(4−2−4)において、R
27は上記式(4−2)におけるR
27と同義である。)
【0045】
これらのうち、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート(上記式(4−1−1)においてR
25がメチル基である化合物)、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(上記式(4−1−2)においてR
25がメチル基である化合物)はそれぞれFA−712HM、FA−711MMとして、日立化成工業株式会社より市販されている。
本実施形態において、上記式(4−1)で表される化合物及び上記式(4−2)で表される化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
また、上記チオエーテル構造を有する重合体としては、例えば、任意のエチレン性不飽和単量体を多官能チオール化合物の存在下でラジカル重合して得られる重合体を挙げることができる。多官能チオール化合物としては、例えば、下記式(5)で表される多官能チオール化合物を挙げることができる。
【0048】
(式(5)において、Zはn価の有機基を示し、R
31はメチレン基又は炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは2〜10の整数を示す。)
【0049】
そして、上記式(5)の多官能チオール化合物としては、例えば、下記式(5−1)で表される化合物が好ましい。
【0051】
(式(5−1)において、Z
1はn価の有機基を示し、R
31及びnは、式(5)におけるR
31及びnと同義である。)
【0052】
上述した多官能チオール化合物としては、例えば、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトブタン酸、3−メルカプトペンタン酸等のメルカプトカルボン酸類と、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)シアヌレート、ソルビトール等の多価アルコールとのエステル化物等を挙げることができる。
【0053】
本実施形態において、好ましい多官能チオール化合物の具体例としては、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(チオグリコレート)、1,4―ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5,−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等を挙げることができる。
上述の多官能チオール化合物は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0054】
上述した特定重合体の製造において、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体等は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。特定重合体は、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体、ヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体のいずれかを重合した重合体であっても、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体とヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体の共重合体であってもよい。また、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体及び/又はヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体を、上述の多官能チオール化合物の存在下でラジカル重合して得られる重合体であってもよい。
【0055】
特定重合体において、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体及びヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体の合計共重合割合は、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは0.1質量%〜10質量%、特に好ましくは0.5質量%〜5質量%である。ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体等の共重合割合が少なすぎると、所望の効果が得られないおそれがあり、一方多すぎると、着色組成物に感放射線性が付与した場合、感放射線性感度が低くなるおそれがある。
【0056】
特定重合体は、ヒンダードフェノール構造等以外に任意の構造を有していてもよいが、下記式(1)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
【0058】
(式(1)において、R
1は水素原子又はメチル基を示し、Xは−COO−(*)又は−CONR
3−(*)(但し、R
3は水素原子又は直鎖状のアルキル基を示し、*はR
2と結合する結合手を示す。)を示し、R
2は直鎖状の脂肪族炭化水素基又は脂環式炭化水素基を示す。)
【0059】
上記式(1)において、R
2で表される直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20(好ましくは1〜15)の直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、特に直鎖状のアルキル基、アルケニル基が好ましい。また、R
2で表される脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20(好ましくは4〜15)の脂環式炭化水素基が好ましく、特にシクロアルキル基、縮合多環炭化水素基、橋かけ環炭化水素基、環状テルペン炭化水素基が好ましい。
【0060】
上記式(1)で表される繰り返し単位を与える単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、デカヒドロ−2−ナフチル(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
これらの単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0061】
特定重合体において、上記式(1)で表される繰り返し単位の共重合割合は、好ましくは30質量%〜95質量%、より好ましくは35質量%〜80質量%、特に好ましくは50質量%〜70質量%である。上記式(1)で表される繰り返し単位をこのような割合で共重合することにより、所望の効果をより高めることができる。
【0062】
また、特定重合体においては、所望の効果をより高める点から、下記式(2)で表される繰り返し単位(但し、上記式(1)で表される繰り返し単位を除く。)の共重合割合が、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下であり、ゼロであることが最も好ましい。
【0064】
(式(2)において、R
4は水素原子又はメチル基を示し、R
5は分岐鎖構造又は芳香族基を有する基を示す。)
【0065】
上記式(2)で表される繰り返し単位を与える単量体としては、例えば、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0066】
また、特定重合体は、カルボキシル基、スルホ基等の酸性官能基を有していることが好ましい。酸性官能基を有していることにより、アルカリ可溶性を付与できるからである。酸性官能基としては、カルボキシル基が好ましい。酸性官能基を与える単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0067】
特定重合体において、酸性官能基を与える単量体の共重合割合は、好ましくは3質量%〜65質量%、より好ましくは5質量%〜60質量%、特に好ましくは10質量%〜45質量%である。酸性官能基を与える単量体をこのような割合で共重合することにより、適度なアルカリ現像性を付与することができる。
【0068】
特定重合体には、更にN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメチルアクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングルコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、アクリロイロモルホリン等の公知の単量体を共重合することができる。
【0069】
特定重合体のGPC(Gel Permeation Chromatography)(溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常、1000〜100000、好ましくは3000〜50000である。
【0070】
特定重合体は、公知の重合方法により製造することができるが、アウトガスの原因となり得る未反応の単量体や重合開始剤等ができる限り残存しないように製造することが好ましい。また、ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体及び/又はヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体をラジカル重合する場合、単官能チオール化合物の存在下で重合すれば、チオエーテル構造を導入することができるので好ましい。
【0071】
本実施形態において、特定重合体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
特定重合体以外の多官能性酸化防止剤としては、以下の化合物を挙げることができる。2個以上のヒンダードフェノール構造を有するフェノール系酸化防止剤として、例えば、下記式(6)で表わされる基を少なくとも2個以上有する化合物(ヒドロキシフェニルプロピオネート系化合物)、ポリヒドロキシベンジル系化合物、チオビスフェノール系化合物、アルカンジイルポリフェノール系化合物等を挙げることができる。中でも、所望の効果を高める点から、ヒドロキシフェニルプロピオネート系化合物が好ましい。
【0074】
式(6)中、R
41及びR
42は、相互に独立に、炭素数1〜10のアルキル基を示すが、炭素数1〜6(より好ましくは炭素数1〜4)のアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、イソブチル基、アミル基、第三アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、第三オクチル基、2−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
【0075】
ヒドロキシフェニルプロピオネート系化合物の具体例としては、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエトキシ]−2,4,8,10−テロラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ-ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン−3−(3,5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]メタン等を挙げることができる。
ポリヒドロキシベンジル系化合物の具体例としては、1,3,5,−トリメチル−2,4,6,−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
チオビスフェノール系化合物の具体例としては、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)等を挙げることができる。
アルカンジイルポリフェノール系化合物の具体例としては、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等を挙げることができる。
【0076】
また、2個以上のヒンダードアミン構造を有するヒンダードアミン系酸化防止剤として、セバチン酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバチン酸−ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)、セバチン酸−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等を挙げることができる。
【0077】
また、2個以上のリン原子を有するリン系酸化防止剤として、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等を挙げることができる。
【0078】
また、2個以上のチオエーテル構造を有するイオウ系酸化防止剤として、例えば、下記式(7)で表わされる基を少なくとも2個以上有する化合物を挙げることができる。
【0080】
式(7)中、R
51は、炭素数1〜30のアルキル基を示すが、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましい。アルキル基としては、上記式(6)のR
41及びR
42と同様のものの他、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基を挙げることができる。
【0081】
このような化合物の具体例としては、2,2−ビス〔{[3−(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル〕−1,3−プロパンジイル−ビス[3−(ドデシルチオ)プロピオナート]、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等を挙げることができる。
【0082】
本実施形態において、特定重合体以外の酸化防止剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本実施形態において、多官能性酸化防止剤としては、所望の効果を高める点から、(1)ヒンダードフェノール構造及びヒンダードアミン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、チオエーテル構造を有する重合体、(2)ヒンダードフェノール構造及びヒンダードアミン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種を有する重合体と、上記2個以上のチオエーテル構造を有するイオウ系酸化防止剤との組み合わせを含有することが好ましい。より具体的には(1)ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体及び/又はヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体と、チオール化合物の存在下でラジカル重合して得られる重合体、(2)ヒンダードフェノール構造を有するエチレン性不飽和単量体及び/又はヒンダードアミン構造を有するエチレン性不飽和単量体を含む単量体の重合体と、上記2個以上のチオエーテル構造を有するイオウ系酸化防止剤との組み合わせを含有することが好ましい。
【0083】
本実施形態において、多官能性酸化防止剤の含有量は、多官能性酸化防止剤が特定重合体である場合、後述する着色剤100質量に対して、好ましくは10質量部〜1000質量部、特に好ましくは20質量部〜500質量部である。一方、特定重合体以外の多官能性酸化防止剤である場合、後述する着色剤100質量に対して、好ましくは0.01質量部〜20質量部、特に好ましくは0.1質量部〜10質量部である。
【0084】
[着色剤]
本実施形態のカラーフィルタを構成する着色剤としては、着色性を有すれば特に限定されるものではなく、有機EL層からの発光スペクトルに応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には、着色剤として、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、有機EL表示素子に用いられる本実施形態のカラーフィルタには高い色純度、輝度、耐熱性等が求められることから、顔料及び/又は染料が好ましい。
【0085】
本実施形態のカラーフィルタを構成する赤色層に使用する着色剤としては、カラーインデックス(C.I.)名で、例えば、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド81:2、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド81:4、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド246、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279等を挙げることができる。これらのうち、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド264よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特にC.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド264の少なくともいずれかを含有することが好ましい。また、赤色層の形成においては、赤色の着色剤と共に黄色の着色剤を併用して適宜調色することもできる。赤色層に使用する黄色の着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びC.I.ピグメントイエロー185よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。赤色層に使用する着色剤としては、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド254の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントイエロー150の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド254とC.I.ピグメントレッド242の組み合わせ、ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド242とC.I.ピグメントイエロー139の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド264とC.I.ピグメントイエロー139の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド264とC.I.ピグメントイエロー150の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド264とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド264とC.I.ピグメントイエロー139の組み合わせ、C.I.ピグメントレッド177とC.I.ピグメントレッド264とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせが好ましい。
【0086】
本実施形態のカラーフィルタを構成する緑色層に使用する着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特にC.I.ピグメントグリーン7を含有することが好ましい。また、緑色層の形成においては、緑色の着色剤と共に黄色の着色剤を併用して調色することが好ましい。緑色層に使用する黄色の着色剤としては、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びC.I.ピグメントイエロー185よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましく、特にC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150及びC.I.ピグメントイエロー185よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。緑色層に使用する着色剤としては、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせ、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントイエロー139の組み合わせ、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントイエロー150の組み合わせ、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせ、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントイエロー139とC.I.ピグメントイエロー150の組み合わせ、C.I.ピグメントグリーン7とC.I.ピグメントグリーン36とC.I.ピグメントイエロー185の組み合わせが好ましい。
【0087】
本実施形態のカラーフィルタを構成する青色層に使用する着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー64等を挙げることができる。これらのうち、C.I.ピグメントブルー15:6を含有することが好ましい。また、青色層の形成においては、青色の着色剤と共に紫色の着色剤を併用して調色することが好ましい。青色層に使用する紫色の着色剤としては、C.I.ピグメントバイオレット23を含有することが好ましい。青色層に使用する青色又は紫色の着色剤としては、トリアリールメタン系レーキ顔料、トリアリールメタン系染料、キサンテン系染料も好ましい。青色層に使用する着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:6単独、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23の組み合わせ、C.I.ピグメントブルー15:6とトリアリールメタン系レーキ顔料の組み合わせ、C.I.ピグメントブルー15:6とトリアリールメタン系染料の組み合わせ、C.I.ピグメントブルー15:6とキサンテン系染料の組み合わせ、C.I.ピグメントブルー15:6とC.I.ピグメントバイオレット23とキサンテン系染料の組み合わせが好ましい。
【0088】
本実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層において、着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0089】
本実施形態において、着色剤として顔料を使用する場合、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。また、顔料は、ソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111に開示されている方法を採用することができる。また、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。
【0090】
[バインダー樹脂]
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物は、バインダー樹脂を含有することができる。上記多官能性酸化防止剤として特定重合体を使用する場合、特定重合体がバインダー樹脂としても機能し得るが、特定重合体以外のバインダー樹脂を併用することにより、基板への結着性、アルカリ現像性、着色組成物の保存安定性を高めることができる。このようなバインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する樹脂であることが好ましい。
【0091】
カルボキシル基を有する樹脂の好ましい態様として、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。該共重合体の好ましい具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平9−311444号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2002−296778号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0092】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0093】
本実施形態において、バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
特定重合体と特定重合体以外のバインダー樹脂を併用する場合、その混合比率(特定重合体:特定重合体以外のバインダー樹脂、質量比)は、好ましくは20:80〜100:0、より好ましくは50:50〜100:0、特に好ましくは80:20〜100:0である。
【0094】
[架橋剤]
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物は、架橋剤を含有することができる。これにより、露光及び/又は加熱に伴う硬化性を有するものとなる。
架橋剤は、2個以上の重合可能な基を有する化合物であれば特に限定されるものではない。重合可能な基としては、例えば、エチレン性不飽和基、オキシラニル基、オキセタニル基、N−アルコキシメチルアミノ基等を挙げることができる。本発明において、架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0095】
上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0096】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0097】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開平11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたイソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種により変性されたジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0098】
また、上記2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1又は2以上のトリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0099】
これらの架橋剤のうち、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸のエステル、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸のエステルの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が、着色層の強度が高く、着色層の表面平滑性に優れる点で特に好ましい。
【0100】
本実施形態において、架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物において、架橋剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常、5質量部〜500質量部、好ましくは50質量部〜300質量部である。この場合、架橋剤の含有量が少なすぎると、十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、架橋剤の含有量が多すぎると、本実施形態の着色組成物にアルカリ現像性を付与した場合に、アルカリ現像性が低下する傾向がある。
【0101】
[光重合開始剤]
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物には、光重合開始剤を含有せしめることにより、感放射線性を付与することができる。光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記多官能性単量体の硬化反応を開始し得る活性種を発生することができる化合物である。
【0102】
このような光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物、O−アシルオキシム系化合物、オニウム塩系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、α−ジケトン系化合物、多核キノン系化合物、ジアゾ系化合物、イミドスルホナート系化合物等を挙げることができる。
【0103】
本実施形態において、光重合開始剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。光重合開始剤としては、チオキサントン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物、トリアジン系化合物及びO−アシルオキシム系化合物の群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0104】
本実施形態における好ましい光重合開始剤のうち、チオキサントン系化合物の具体例としては、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等を挙げることができる。
【0105】
また、上記アセトフェノン系化合物の具体例としては、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等を挙げることができる。
【0106】
また、上記ビイミダゾール系化合物の具体例としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0107】
なお、光重合開始剤としてビイミダゾール系化合物を用いる場合、水素供与体を併用することが、感度を改良することができる点で好ましい。ここでいう「水素供与体」とは、露光によりビイミダゾール系化合物から発生したラジカルに対して、水素原子を供与することができる化合物を意味する。水素供与体としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール等のメルカプタン系水素供与体、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系水素供与体を挙げることができる。本発明において、水素供与体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、1種以上のメルカプタン系水素供与体と1種以上のアミン系水素供与体とを組み合わせて使用することが、更に感度を改良することができる点で好ましい。
【0108】
また、上記トリアジン系化合物の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル基を有するトリアジン系化合物を挙げることができる。
【0109】
また、O−アシルオキシム系化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。O−アシルオキシム系化合物の市販品として、NCI−831、NCI−930(以上、株式会社ADEKA社製)等を挙げることもできる。
【0110】
本実施形態において、アセトフェノン系化合物等のビイミダゾール系化合物以外の光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等を挙げることができる。
【0111】
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物において、光重合開始剤の含有量は、架橋剤100質量部に対して、通常0.01質量部〜120質量部、好ましくは1質量部〜100質量部である。
【0112】
[溶媒]
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物は、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。溶媒としては、着色組成物を構成する各成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0113】
このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等を挙げることができる。
前記溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0114】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該組成物から溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5質量%〜50質量%となる量が好ましく、特に10質量%〜40質量%となる量が好ましい。
【0115】
[その他の添加剤]
本発明の実施形態のカラーフィルタを構成する各色着色層を形成するための着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を更に含有することもできる。
【0116】
上記添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤等を挙げることができる。
【0117】
次に、本発明の実施形態のカラーフィルタの製造方法について説明する。
カラーフィルタを製造する方法としては、フォトリソグラフィー法が好ましい。フォトリソグラフィー法では、まず、基板の表面上に、必要に応じてブラックマトリクスを形成する。次いで、この基板上に、赤色感放射線性着色組成物の液状組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去する。その後、ポストベークすることにより、赤色層のパターンを形成する。
【0118】
次いで、緑色又は青色の感放射線性着色組成物の液状物を用い、上記と同様にして、各液状物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色層のパターン及び青色層のパターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色のパターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本実施形態においては、各着色層を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0119】
着色層を形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の透明基板を挙げることができる。これらの透明基板上に、有機EL素子を駆動するための薄膜トランジスタが形成されていてもよい。
感放射線性着色組成物の液状物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法が好ましい。
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常0.1Torr〜1Torrで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70℃〜110℃で1分〜10分程度である。
【0120】
着色層を形成する際に使用される放射線としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができる。露光光源として、紫外線LEDを使用することもできる。波長は190nm〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
放射線の露光量は、好ましくは10J/m
2〜10000J/m
2である。
【0121】
また、アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5秒〜300秒が好ましい。
ポストベークの条件は、通常180℃〜280℃で10分〜40分程度である。
このようにして形成された着色層の膜厚は、通常0.5μm〜5.0μm、好ましくは1.0μm〜3.0μmである。
【0122】
また、本実施形態のカラーフィルタを製造する方法として、フォトリソグラフィー法以外にインクジェット法を採用することもできる。インクジェット法では、通常、熱硬化性の着色組成物が使用される。
【0123】
このようにして得られたカラーフィルタ上に、必要に応じて保護膜を形成する。保護膜としては、熱硬化性樹脂組成物から形成される有機膜、SiNx膜、SiOx膜等の無機膜を挙げることができる。
【0124】
<有機EL表示素子>
本発明の実施形態の有機EL表示素子は、有機EL層(発光層)を有し、本発明の実施形態のカラーフィルタを有して構成されるものであることが好ましい。そして、本発明の実施形態の有機EL表示素子は、本発明の実施形態のカラーフィルタと、白色光を発光する有機EL素子とを有して構成されるものであることが好ましい。
【0125】
白色光を発光する有機EL素子は、タンデム構造であることが好ましい。有機EL素子のタンデム構造については、上述した、特許文献2及び非特許文献1に開示されている。例えば、有機EL素子は、基板の一面において、光反射性を備えた下部電極と光透過性を備えた上部電極との間に有機EL層を設けた構造を有する。その場合、下部電極は、可視光の波長域において十分な反射率を有する材料により構成されていることが好ましい。そして、下部電極は、陽極として機能するために、有機EL層に正孔を効率よく注入することが可能となるように、仕事関数が十分に大きな材料により構成されていることが好ましい。この場合の下部電極の構成材料としては、具体的には、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、セレン(Se)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)等の金属や、それらの金属の合金等が挙げられる。また、下部電極を上部電極と同様の光透過性の材料により構成し、その下層に光反射層を設けてもよい。
【0126】
上部電極は、陰極として機能するために、有機EL層に電子を効率よく注入すること可能となるように、仕事関数が十分に小さな材料により構成されていることが好ましい。上部電極構成材料としては、具体的には、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)又はカルシウム(Ca)等の相対的に活性な金属と銀(Ag)、アルミニウム(Al)又はインジウム(In)等の相対的に不活性な金属とを含む合金や、酸化錫(SnO
2)、酸化インジウム錫(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)又は酸化チタン(TiO
2)等の光透過性の導電材料等が挙げられる。尚、上部電極は、例えば、上記した2種類の金属(相対的に活性な金属及び相対的に不活性な金属)が積層された積層構造を有していてもよい。
【0127】
有機EL層は、複数の発光層を含み、それら複数の発光層が積層された積層構造(タンデム構造)を有している。この有機EL層は、例えば、複数の発光層には、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層を含むことができる。そして、複数の発光層とともに、それらは発光層を発光させるための複数の発光補助層を併せて有することが好ましい。有機EL層は、例えば、発光層と発光補助層とが交互に積層する積層構造とすることができる。
【0128】
こうした構造の有機EL層を有する有機EL素子は、白色光を発光することができる。その場合、有機EL素子が発光する白色光のスペクトルは、非特許文献1の328ページ、特表2010−527108号公報の
図3に開示されているよう、青色領域(430nm−485nm)、緑色領域(530nm−580nm)及び黄色領域(580nm−620nm)に強い極大発光ピークを有するものが好ましい。これらの発光ピークに加え更に赤色領域(650nm−700nm)に極大発光ピークを有するものがより好ましい。このような白色光を発光する有機EL素子と、上述した着色剤を含有する各色着色層を有するカラーフィルタを組み合わせることにより、NTSC比の高い有機EL表示素子を得ることができる。
【0129】
図1は、本実施形態の有機EL表示素子の要部構造を模式的に説明する断面図である。
【0130】
図1に示す本実施形態の有機EL表示素子1は、有機EL層2を有し、上述した本実施形態のカラーフィルタ3を有して構成される。有機EL層2は、上述したタンデム構造を有し、白色光を発光する有機EL素子を構成する。そして、カラーフィルタ3は、例えば、無アルカリガラスからなるガラス基板等の透明な基板4上に構成され、異なる色の複数の着色層5と各着色層5の間に設けられたブラックマトリクス6とを有するものである。例えば、カラーフィルタ3は、赤色着色層、緑色着色層及び青色着色層の三色の着色層5を有し、構成されることが好ましい。
【0131】
そして、カラーフィルタ3は、それを構成する複数色の着色層5のうちの少なくとも1つが多官能性酸化防止剤を含有することを特徴とする。着色層5は、上述したように、着色組成物を用いて形成される。本発明においては、着色組成物に多官能性酸化防止剤を含有せしめ使用される。
【0132】
本実施形態の有機EL表示素子1は、有機EL層2を形成して有する素子基板10を有する。素子基板10には、無アルカリガラス等のガラス基板の他、樹脂基板を用いることができる。素子基板10上には、有機EL表示素子1の画像表示単位となる画素毎に、不図示の画素回路が形成され、素子層11が構成されている。素子層11の画素回路は、有機EL層2を駆動させることにより発光させる、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)8、それと接続する駆動配線(図示しない)、及び、層間絶縁層(図示しない)等から構成されている。TFT8は、低温ポリシリコンやアモルファスシリコンを活性層として構成することができる。駆動配線は、例えば、アルミニウム(Al)やアルミニウム銅合金(AlCu)等の導電性材料により構成することができる。
【0133】
素子層11の上には、絶縁性の平坦化層12が配置されている。平坦化層12は、素子層11のTFT8及び駆動配線と有機EL層2との間を電気的に分離すると共に、その有機EL層2が配置される下地を平坦化するものである。平坦化層12は、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)等の無機の絶縁性材料や、アクリル樹脂等からなる有機の絶縁性材料により構成されている。
【0134】
平坦化層12の上層には、画素毎に区画されて、有機EL素子を構成する、上述した光反射性の下部電極13が配置されている。
下部電極13は、画素毎に素子層11のTFT8のドレイン端子(図示されない)と平坦化層12を貫通するコンタクトホール(図示されない)により接続されている。
【0135】
隔壁14は、平面的に各画素を格子状に区画する。素子層11におけるTFT8は、光による誤動作を防止するために、隔壁14の下層に配置されるように構成されている。隔壁14は、例えば、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール及びアクリル樹脂等の有機絶縁性材料や酸化ケイ素等の無機絶縁性材料により構成されている。
【0136】
有機EL層2は、下部電極13及び隔壁14を覆って一面に形成されている。また、
図1では、有機EL層2を単層で示しているが、実際には、上述したように、赤色、緑色、青色等の各色の発光層を含む積層構造となっている。そして、有機EL層2には、上述した発光補助層の他、必要な場合に、正孔注入層、及び電子注入層等も含まれる。
【0137】
有機EL層2の上層には、上述した上部電極15が配置されている。
上部電極15の上層には保護層16が設けられる。保護層16は、主に有機EL素子を保護するものであり、例えば、窒化ケイ素(SiN)等の光透過性誘電性材料により構成されたパッシベーション膜である。
【0138】
保護層16の上層であって、保護層16とカラーフィルタ3との間には、接着層17が配置される。そして、本実施形態の有機EL表示素子1では、この接着層17が用いられ、有機EL層2を下部電極13と上部電極15とにより挟持して構成された有機EL素子と、カラーフィルタ3との貼り合せが行われ、それらが一体的に構成される。接着層17は、例えば、エポキシ樹脂等の光透過性の熱硬化性樹脂を用いて形成することができる。
【0139】
以上の構成を有する本実施形態の有機EL表示素子1の各画素からは、カラーフィルタ3の色調に対応した画像光が出射される。例えば、赤色の着色層5を備えた赤色画素の場合、上述したように、有機EL素子から放射される白色光が、カラーフィルタ3の赤色の着色層5に入射する。そして、赤色の着色層5によって赤色光が選択されて、赤色の画像光が形成され、基板4側から出射される。また、緑色、青色の着色層5を有して構成された画素においても同様である。これにより、有機EL表示素子1では、出射される複数の各色の画素からの画像光によりフルカラーの画像表示が可能となる。
【実施例】
【0140】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0141】
<特定重合体及び特定重合体以外のバインダー樹脂の合成>
合成例1
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート12質量部、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ブチルメタクリレート25質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)12質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名:FA−711MM)1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)3質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=11000、Mn=5600、Mw/Mn=1.96であった。この樹脂を特定重合体(B−1)とする。
【0142】
合成例2
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート12質量部、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ブチルメタクリレート25質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)12質量部、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学株式会社製、商品名:スミライザー(登録商標)GM)1質量部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油株式会社製、商品名:パーブチル(登録商標)O)1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)3質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=11300、Mn=5700、Mw/Mn=1.98であった。この樹脂を特定重合体(B−2)とする。
【0143】
合成例3
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、シクロヘキシルメタクリレート22質量部、ラウリルメタクリレート22質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)20質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)3質量部の混合溶液を2時間かけて滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=10800、Mn=5200、Mw/Mn=2.08であった。この樹脂を特定重合体(B−3)とする。
【0144】
合成例4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、ジシクロペンタニルメタクリレート22質量部、ステアリルメタクリレート22質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)20質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)3質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=11000、Mn=5400、Mw/Mn=2.04であった。この樹脂を特定重合体(B−4)とする。
【0145】
合成例5
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート12質量部、シクロヘキシルメタクリレート20質量部、ブチルメタクリレート25質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)12質量部、2,2,6,6−テトラメチルピペリジルメタクリレート(日立化成株式会社製、商品名:FA−712HM)1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びチオール基を有するシルセスキオキサンのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(荒川化学工業株式会社製、コンポセラン(登録商標)SQシリーズ、固形分濃度=25質量%)12質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=12100、Mn=5100、Mw/Mn=2.37であった。この樹脂を特定重合体(B−5)とする。
【0146】
合成例6
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート39質量部、シクロへキシルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート10質量部、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン10質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)4質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液を得た。この樹脂溶液に2−イソシアナトエチルメタクリレート56質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート85質量部を加え、110℃の温度で9時間反応させた。反応終了後の樹脂溶液を2回水洗し、減圧濃縮を行うことにより固形分濃度40重量%の樹脂溶液を得た。得られた樹脂は、Mw=11600、Mn=5700、Mw/Mn=2.03であった。この樹脂を特定重合体(B−6)とする。
【0147】
合成例7
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、メタクリル酸15質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メチルメタクリレート12質量部、シクロヘキシルメタクリレート22質量部、ブチルメタクリレート23質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)12質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート1質量部、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部及びピラゾール−1−ジチオカルボン酸シアノ(ジメチル)メチルエステル4質量部の混合溶液を仕込んで窒素置換を行い、80℃にて3時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=9800、Mn=7600、Mw/Mn=1.29であった。この樹脂を特定重合体(B−7)とする。
【0148】
合成例8
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50質量部、メタクリル酸20質量部、スチレン10質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート28質量部、N−フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)15質量部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を2時間かけて滴下し、この温度を保持して1時間重合した。その後、反応溶液の温度を90℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=10500、Mn=7900、Mw/Mn=1.33であった。この樹脂をバインダー樹脂(B−8)とする。
【0149】
合成例9
冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、N−フェニルマレイミド8質量部、スチレン15質量部、ベンジルメタクリレート15質量部、2−エチルへキシルメタクリレート32質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、メタクリル酸15質量部、アゾビスイソブチロニトリル3質量部及びα−メチルスチレンダイマー4質量部を投入し、90℃で4時間重合した後、アゾビスイソブチロニトリル0.5質量部を追添し更に1時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温し、1時間攪拌することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=11500、Mn=6800、Mw/Mn=1.68であった。この樹脂をバインダー樹脂(B−9)とする。
【0150】
合成例10
冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート100質量部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、商品名:パーブチル(登録商標)O)を仕込んで窒素置換を行い、90℃にて4時間重合した。その後、反応溶液の温度を110℃へ昇温し、1時間攪拌することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。この樹脂を特定重合体(B−10)とする。
【0151】
合成例11
冷却管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150質量部、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジルメタクリレート100質量部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂株式会社製、商品名:パーブチル(登録商標)O)を仕込んで窒素置換を行い、90℃にて4時間重合した。その後、反応溶液の温度を110℃へ昇温し、1時間攪拌することにより、樹脂溶液(固形分濃度=40質量%)を得た。この樹脂を特定重合体(B−11)とする。
【0152】
<赤色顔料分散液の調製>
顔料分散液調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントレッド254を13質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11.5質量部(固形分濃度=40質量%)、特定重合体(B−1)溶液を11.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート64.5質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して赤色の顔料分散液(A−1)を調製した。
【0153】
顔料分散液調製例2〜11
顔料分散液調製例1において、各成分の種類及び配合量を表1に示すように変更した以外は顔料分散液調製例1と同様にして、赤色の顔料分散液(A−2)〜(A−11)を調製した。
【0154】
【表1】
【0155】
表1において、「R254」とはC.I.ピグメントレッド254を、「R242」とはC.I.ピグメントレッド242を、「R177」とはC.I.ピグメントレッド177を、「R264」とはC.I.ピグメントレッド264を、「Y150」とはC.I.ピグメントイエロー150を、「Y139」とはC.I.ピグメントイエロー139を、「LPN21116」とはBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を、「PGMEA」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、「PGME」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルを、それぞれ意味する。
【0156】
<感放射線性赤色組成物の調製>
感放射線性着色組成物調製例1
顔料分散液(A−1)600質量部、バインダー樹脂として特定重合体(B−1)溶液137.5質量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD(登録商標) MAX−3510)70質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(BASF社製、商品名イルガキュア(登録商標)369)30質量部、2,4−ジエチルチオキサントン5質量部、チオール基を有するシルセスキオキサンのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(荒川化学工業株式会社製、コンポセラン(登録商標)SQシリーズ、固形分濃度=25質量%)1質量部、及び溶剤として3−エトキシプロピオン酸エチル230質量部とメトキシブチルアセテート790質量部を混合して、液状の赤色組成物(R−1)を調製した。
【0157】
感放射線性着色組成物調製例2〜11
感放射線性着色組成物調製例1において、各成分の種類及び配合量を表2に示すように変更した以外は感放射線性着色組成物調製例1と同様にして、液状の赤色組成物(R−2)〜(R−11)を調製した。
【0158】
【表2】
【0159】
表2において、各成分は下記のとおりである。
C−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD(登録商標) MAX−3510)
D−1:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(BASF社製、商品名イルガキュア(登録商標)369)
D−2:2,4−ジエチルチオキサントン
G−1:チオール基を有するシルセスキオキサンのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート25質量%溶液(荒川化学工業株式会社製、コンポセラン(登録商標)SQシリーズ)
E−1:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](株式会社ADEKA製、商品名アデカスタブ(登録商標)AO−60)
E−2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)(株式会社ADEKA製、商品名AO−412S)
E−3:t−ブチルカテコール
F−1:3−エトキシプロピオン酸エチル
F−2:メトキシブチルアセテート
【0160】
<緑色顔料分散液の調製>
顔料分散液調製例12
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58を6.8質量部、C.I.ピグメントイエロー150を6.2質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を10.8質量部(固形分濃度=40質量%)、特定重合体(B−1)溶液を13.0質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61.5質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.7質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して、緑色の顔料分散液(A−12)を調製した。
【0161】
顔料分散液調製例13〜23
顔料分散液調製例12において、各成分の種類及び配合量を表3に示すように変更した以外は顔料分散液調製例12と同様にして、緑色の顔料分散液(A−13)〜(A−23)を調製した。
【0162】
【表3】
【0163】
表3において、「G58」とはC.I.ピグメントグリーン58を、「Y150」とはC.I.ピグメントイエロー150を、「Y138」とはC.I.ピグメントイエロー138を、「G7」とはC.I.ピグメントグリーン7を、「Y185」とはC.I.ピグメントイエロー185を、「Y139」とはC.I.ピグメントイエロー139を、「LPN21116」とはBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を、「PGMEA」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、「PGME」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルを、「PGEE」とはプロピレングリコールモノエチルエーテルをそれぞれ意味する。
【0164】
<感放射線性緑色組成物の調製>
感放射線性着色組成物調製例12
顔料分散液(A−12)1025質量部、バインダー樹脂として特定重合体(B−1)溶液65質量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD(登録商標) MAX−3510)70質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(BASF社製、商品名イルガキュア(登録商標)369)25質量部、2,4−ジエチルチオキサントン5質量部、チオール基を有するシルセスキオキサンのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(荒川化学工業株式会社製、コンポセラン(登録商標)SQシリーズ、固形分濃度=25質量%)1質量部、ノニオン系界面活性剤エマルゲンA−60(花王株式会社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5質量%溶液10質量部及び溶剤として3−エトキシプロピオン酸エチル200質量部とメトキシブチルアセテート1050質量部を混合して、液状の緑色組成物(G−1)を調製した。
【0165】
感放射線性着色組成物調製例13〜23
感放射線性着色組成物調製例12において、各成分の種類及び配合量を表4に示すように変更した以外は感放射線性着色組成物調製例12と同様にして、液状の緑色組成物(G−2)〜(G−12)を調製した。
【0166】
【表4】
【0167】
表4において、各成分は下記のとおりである。
D−3:アデカアークルズNCI−831(株式会社ADEKA製)
E−4: ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート/1−メチル−8−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートの混合物(BASF社製、商品名TINUVIN(登録商標)292)
G−2:エマルゲンA−60(花王株式会社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5質量%溶液
【0168】
<青色顔料分散液の調製>
顔料分散液調製例24
着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:6を13質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を11.3質量部(固形分濃度=40質量%)、特定重合体(B−1)溶液を12.5質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート62.5質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテル1.5質量部を用いて、ビーズミルにより混合・分散して、青色の顔料分散液(A−24)を調製した。
【0169】
顔料分散液調製例25〜38
顔料分散液調製例24において、各成分の種類及び配合量を表5に示すように変更した以外は顔料分散液調製例24と同様にして、青色の顔料分散液(A−25)〜(A−38)を調製した。
【0170】
【表5】
【0171】
表5において、「B15:6」とはC.I.ピグメントブルー15:6を、「V23」とはC.I.ピグメントバイオレット23を、「染料(1)」とは下記式(8)で表されるトリアリールメタン系染料を、「染料(2)」とは下記式(9)で表されるキサンテン系染料を、「レーキ顔料(1)」とは下記式(10)で表されるトリアリールメタン系レーキ顔料を、「LPN21116」とはBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)を、「PGMEA」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、「PGME」とはプロピレングリコールモノメチルエーテルを、「EL」とは乳酸エチルを、「CHN」とはシクロヘキサノンを、それぞれ意味する。
【0172】
【化14】
【0173】
【化15】
【0174】
【化16】
【0175】
<感放射線性青色組成物の調製>
感放射線性着色組成物調製例24
顔料分散液(A−24)330質量部、バインダー樹脂として特定重合体(B−1)溶液160質量部、架橋剤としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(日本化薬株式会社製、商品名KAYARAD(登録商標) MAX−3510)70質量部、光重合開始剤として2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(BASF社製、商品名イルガキュア(登録商標)369)15質量部、2,4−ジエチルチオキサントン5質量部、ノニオン系界面活性剤エマルゲンA−60(花王株式会社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート5質量%溶液10質量部及び溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル380質量部とメトキシブチルアセテート400質量部とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125質量部を混合して、液状の青色組成物(B−1)を調製した。
【0176】
感放射線性着色組成物調製例25〜38
感放射線性着色組成物調製例24において、各成分の種類及び配合量を表6に示すように変更した以外は感放射線性着色組成物調製例24と同様にして、液状の青色組成物(B−2)〜(B−15)を調製した。
【0177】
【表6】
【0178】
表6において、各成分は下記のとおりである。
F−3:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
F−4:乳酸エチル
F−5:シクロヘキサノン
【0179】
実施例1
<カラーフィルタの作製>
赤色組成物(R−1)を、ブラックマトリックスが形成されたガラス基板上に、スリットコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、塗膜を形成した。次いで、塗膜が形成された基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、ストライプ状フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を1,000J/m
2の露光量で露光した。その後、アルカリ現像を行った後、超純水で洗浄し、更に230℃で20分間ポストベークを行うことにより、基板上に膜厚2.0μmの赤色のストライプ状着色層を形成した。
次いで、同様の方法により、緑色組成物(G−1)を用いて、赤色のストライプ状着色層の隣に膜厚2.0μmの緑色のストライプ状着色層を形成した。更に、青色組成物(B−1)を用いて同様に、赤色、緑色着色層と隣接した膜厚2.0μmの青色のストライプ状着色層を形成した。
次いで、赤色、緑色、青色の3色からなる着色層上に光硬化性樹脂組成物を用いて保護膜を形成した。このようにしてカラーフィルタ基板を作製した。
【0180】
<有機EL表示素子の作製及び評価>
特表2010−527108号公報の実施例2を参考にして、白色光を発光する有機EL素子を作製した。得られた有機EL素子の発光スペクトルは、青色領域(460nm付近)、緑色領域(570nm付近)、黄色領域(610nm付近)及び赤色領域(660nm付近)に極大発光ピークを示した。この有機EL素子と上記カラーフィルタを貼り合わせ、有機EL表示素子を作製した。
このようにして得られた有機EL表示素子の両電極間に電圧印加し、カラーフィルタに光を照射したところ、優れた色再現性と輝度を示した。また、初期のダークスポットの発生数は0個であり、初期の欠陥は0であった。次に、上記有機EL表示素子を、加速試験として95℃の環境で50時間放置した後、再度カラーフィルタに光を照射したところ、ダークスポットの発生数は0個であり、新たに発生したダークスポットはなかった。即ち、新たな欠陥の発生はなかった。その後、95℃での加熱時間が累積1000時間になるまで、50時間毎に光を照射したところ、新たなダークスポットの発生はなかった。
【0181】
実施例2〜17及び比較例1〜2
実施例1において、表7に示す組み合わせで赤色、緑色及び青色のストライプ状着色層を形成してカラーフィルタを作製したこと以外は、実施例1と同様にして各有機EL表示素子について評価した。全ての実施例において優れた色再現性と輝度を示した。また、ダークスポットの発生数を表7に示す。本実施例の有機EL表示素子は、ダークスポットの発生が無いか、比較例の有機EL表示素子に比べ、ダークスポットの発生数が少ないことがわかった。
【0182】
【表7】