(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135853
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】空調装置の室外機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/48 20110101AFI20170522BHJP
F24F 1/56 20110101ALI20170522BHJP
F24F 1/44 20110101ALI20170522BHJP
【FI】
F24F1/48
F24F1/56
F24F1/44
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-133248(P2013-133248)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-7508(P2015-7508A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】松原 慎弥
【審査官】
佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−161998(JP,U)
【文献】
特開2002−243305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/48
F24F 1/44
F24F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケーシングが仕切り板により上下に仕切られて、下段にエンジンによって駆動される圧縮機が配置された機械室、上段に熱交換器および熱交換用ファンが配置された熱交換器室がそれぞれ形成されるとともに、前記仕切り板に、前記機械室と前記熱交換器室とを連通し前記機械室内の熱気を前記熱交換器室に逃がす一方で、前記熱交換器室から前記機械室内への水の浸入を防ぐ換気口ユニットを備えた空調装置の室外機において、
前記換気口ユニットは、
前記仕切り板に形成された換気用開口を囲み前記仕切り板の上面に台座固定用ネジによって密着固定される水平板枠部と、前記水平板枠部から上方に向けて縦壁を立設し前記換気用開口を囲む筒状の縦枠部とを一体形成した下台座と、
前記下台座の上方から、少なくとも前記縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲を通気可能に覆って前記下台座に固定される上カバーと
を備え、
前記台座固定用ネジは、前記上カバーに覆われて前記下台座の縦枠部で囲まれた部屋内に臨む位置で前記水平板枠部および前記仕切り板を貫通して設けられることを特徴とする空調装置の室外機。
【請求項2】
前記下台座は、前記縦枠部に前記上カバーを支持固定するための支持部が形成され、前記支持部において上カバー固定用ネジによって上カバーを固定するとともに、前記上カバー固定用ネジが前記上カバーを貫通する貫通孔よりも高い位置にまで延びた壁を有し、前記壁によって前記貫通孔から浸入した水が前記部屋内に入ることを阻止することを特徴とする請求項1記載の空調装置の室外機。
【請求項3】
前記下台座は、前記縦枠部の高さ方向の中間位置で前記部屋の外側に突出した支持部が形成され、
前記上カバーは、前記縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲より広い範囲を上方から覆う板状の上面カバー部と、前記上面カバー部の周囲から一体的に下方に延設されて前記縦枠部の外側面との間に通気路を形成する板状の側面カバー部とを備えるとともに、前記側面カバー部の高さ方向の中間位置に前記支持部の上面に載置され貫通孔が穿設された載置平面が形成され、前記上カバー固定用ネジを前記貫通孔に挿通させて前記載置平面にて前記支持部にネジ締め固定されることを特徴とする請求項1または2記載の空調装置の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の室外機に関し、特に、室外機の下段に設けられる機械室と上段に設けられる熱交換器室とを連通して、機械室の熱気を熱交換器室に逃がす換気部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1,2に提案されているように、圧縮機をエンジンによって駆動するタイプの空調装置において、室外機の下段に機械室、上段に熱交換器室を配置したものが知られている。例えば、
図7に示すように、室外機100は、本体ケーシング101が仕切り板110によって上下に仕切られており、下段の機械室120に、エンジン、圧縮機等の機械類121が配設され、上段の熱交換器室130に、冷媒と外気とを熱交換させるための熱交換器131および熱交換用ファン132が配設される。熱交換器室130は、前面および左右側面に熱交換器131を備え、熱交換器131に囲まれる中央部が熱交換後の気体が通過する通路となっている。
【0003】
機械室120の内部は、エンジンの作動により高温となる。そのため、仕切り板110には機械室120と熱交換器室130とを連通する換気用開口111が形成されており、熱交換用ファン132を利用して、機械室120内の熱気を熱交換器室130に吸い上げて室外機100の外に放出できるように構成されている。この換気用開口111には、機械室120内の熱気を熱交換器室130に逃がす一方で、熱交換器室130から機械室120内への水の浸入を防ぐ換気口ユニット200が設けられる。換気口ユニット200は、仕切り板110に形成された換気用開口111の周囲に固定される四角枠状の下台座210と、下台座210を上から覆うように下台座210に支持固定される上カバー220とから構成される。
【0004】
図8は、換気口ユニット200の斜視図を表す。また、
図9は、下台座の平面図を表し、
図10は、
図9におけるA−Aライン位置での換気口ユニット200(仕切り板110に換気口ユニット200が固定された状態)の縦断面、
図11は、
図9におけるB−Bライン位置での換気口ユニット200(仕切り板110に換気口ユニット200が固定された状態)の縦断面を表す。下台座210は、中央に四角い開口211が形成され仕切り板110の上面にシール材230を介して載置される水平板枠部212と、水平板枠部212の内周端から上方に向けて延設される四角筒状の縦枠部213とから構成される。水平板枠部212と縦枠部213とは、樹脂により一体形成される。縦枠部213には、その4つのコーナーに上カバー220を支持するための支持柱214が形成されている。この支持柱214の頂部には、ネジ孔215が形成されている。縦枠部213は、隣り合う支持柱214のあいだとなる4つの縦壁216において、それぞれ上部に切欠217が形成されている。従って、縦枠部213のコーナーを除く4つの縦壁216の高さは、支持柱214の高さよりも低くなっている。また、水平板枠部212には、下台座210を仕切り板110に固定するための貫通孔218が所定の間隔で形成されている。下台座210は、仕切り板110に形成された換気用開口111の周囲を水平板枠部212で囲むように仕切り板110の上面に配置されるとともに、水平板枠部212の裏面と仕切り板110の上面との間にシール材230を介在させた状態で、貫通孔218からネジ231を挿通して、ネジ231を締め付けることにより仕切り板110に固定される。
【0005】
上カバー220は、換気用開口111を含めて下台座210を上から覆う四角い平板である上面カバー部221と、上面カバー部221の周囲から下方に向けて延設される四角筒状の側面カバー部222とから構成される。上面カバー部221と側面カバー部222とは、樹脂により一体形成される。上面カバー部221には、上カバー220を下台座210の支持柱214に固定するための貫通孔224が4つのコーナーに形成されている。上カバー220は、下台座210が仕切り板110に固定された状態で下台座210の上に取り付けられる。この場合、上カバー220は、貫通孔224が支持柱214のネジ孔215に向かい合うように位置決めされた状態で、ネジ232を貫通孔224に挿通して締め付けることにより下台座210に固定される。
【0006】
このようにして換気口ユニット200が仕切り板110に取り付けられると、換気口ユニット200には、上カバー220の上面カバー部221と下台座210の縦枠部213とによって囲まれた部屋225が仕切り板110の換気用開口111に臨むように形成される。機械室120で発生した熱気は、
図11に示すように、換気用開口111からこの部屋225に入り、切欠217から部屋225の外に排出される。そして、熱気は、縦枠部213と側面カバー部222との間に形成された通気路226を通って下方に案内された後に熱交換器室130に排出される。熱交換器室130に排出された熱気は、熱交換用ファン132により吸い込まれて機外に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−68743号公報
【特許文献2】特開2009−68750号公報
【発明の概要】
【0008】
(発明が解決しようとする課題)
このように換気口ユニット200を設けることにより、水が熱交換器室130から通気路226および部屋225を通って機械室120に入ることはないが、
図10に矢印A1にて示すように、下台座210を固定するためのネジ231が挿通される貫通孔218、および、仕切り板110に形成されたネジ孔212から水が浸入して機械室120に入るおそれがある。また、
図10に矢印A2にて示すように、上カバー220を固定するためのネジ232が挿通される貫通孔224から水が浸入して部屋225→換気用開口111→機械室120という経路で機械室120に水が入るおそれもある。このため、ネジ取付部241,242には、貫通孔218,224を塞ぐようにコーキング剤が塗布される。従って、コーキングに伴うコストアップを招いてしまう。また、コーキング処理では100%のシール保証が難しい。
【0009】
本発明は、上記課題に対処するためになされたもので、換気口ユニットにおけるコーキングを少なくできるようにすることを目的とする。
【0010】
(課題を解決するための手段)
上記課題を解決する本発明の特徴は、本体ケーシングが仕切り板(110)により上下に仕切られて、下段にエンジンによって駆動される圧縮機が配置された機械室(120)、上段に熱交換器および熱交換用ファンが配置された熱交換器室(130)がそれぞれ形成されるとともに、前記仕切り板に、前記機械室と前記熱交換器室とを連通し前記機械室内の熱気を前記熱交換器室に逃がす一方で、前記熱交換器室から前記機械室内への水の浸入を防ぐ換気口ユニット(10)を備えた空調装置の室外機において、
前記換気口ユニット(10)は、
前記仕切り板に形成された換気用開口(111)を囲み前記仕切り板の上面に台座固定用ネジ(81)によって密着固定される水平板枠部(30)と、前記水平板枠部から上方に向けて縦壁を立設し前記換気用開口を囲む筒状の縦枠部(40)とを一体形成した下台座(20)と、
前記下台座の上方から、少なくとも前記縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲を通気可能に覆って前記下台座に固定される上カバー(50)とを備え、
前記台座固定用ネジは、前記上カバーに覆われて前記下台座の縦枠部で囲まれた部屋(11)内に臨む位置で前記水平板枠部および前記仕切り板を貫通して設けられることにある。
【0011】
本発明の空調装置の室外機は、本体ケーシングが仕切り板によって上下に仕切られ、下段に機械室が、上段に熱交換器室が形成される。仕切り板には、換気用開口が形成されており、この換気用開口に換気口ユニットが設けられる。換気口ユニットは、下台座と上カバーとを備えており、機械室と熱交換器室とを連通し機械室内の熱気を熱交換器室に逃がす一方で、熱交換器室から機械室内への水の浸入を防ぐ。
【0012】
下台座は、水平板枠部と縦枠部とにより一体形成されている。水平板枠部は、仕切り板に形成された換気用開口を囲み仕切り板の上面に台座固定用ネジによって密着固定される。例えば、水平板枠部は、仕切り板の上面にシール材を介して載置され、台座固定用ネジによって仕切り板に水密に固定される。縦枠部は、水平板枠部から上方に向けて縦壁を立設し換気用開口を囲む筒状に形成されている。上カバーは、台座の上方から、少なくとも縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲を通気可能に覆って下台座に固定される。従って、換気口ユニット内には、上カバーに覆われ、周囲が縦枠部で囲まれた部屋が形成される。この部屋は、外部と連通して通気可能に形成されるが、上カバーで覆われているため内部に水が入らない。
【0013】
台座固定用ネジは、この部屋内に臨む位置で水平板枠部および仕切り板を貫通して設けられ、仕切り板の上面に水平板枠部を固定する。従って、台座固定用ネジが設けられる部位には水がかからないため、台座固定用ネジが水平板枠部および仕切り板を貫通する部位から水が浸入して機械室に入ることはない。これにより、本発明によれば、台座固定用ネジの取付部のコーキング処理が不要となる。従って、低コスト化を図ることができる。また、換気口ユニットのシール性能を向上させることができる。
【0014】
本発明の他の特徴は、前記下台座は、前記縦枠部に前記上カバーを支持固定するための支持部(42,42’)が形成され、前記支持部において上カバー固定用ネジ(82)によって上カバーを固定するとともに、前記上カバー固定用ネジが前記上カバーを貫通する貫通孔(75,75’)よりも高い位置にまで延びた壁(41a,42b)を有し、前記壁によって前記貫通孔から浸入した水が前記部屋内に入ることを阻止することにある。
【0015】
本発明の室外機に設けられる換気口ユニットにおいては、下台座に形成された支持部に上カバーが上カバー固定用ネジによって固定される。上カバー固定用ネジによって上カバーを固定する場合、上カバーに上カバー固定用ネジが貫通することになるため、この貫通部分から水が部屋に侵入することを防止する必要がある。そのために、下台座は、カバー固定用ネジが上カバーを貫通する貫通孔よりも高い位置にまで延びた壁を有しており、この壁によって、貫通孔から浸入した水が部屋内に入ることを阻止する。つまり、貫通孔から部屋までのあいだの水の伝わる経路中に、貫通孔よりも高い位置にまで延びた壁を設けることにより、貫通孔から浸入した水が部屋に伝わる経路を遮断する。従って、本発明によれば、上カバーをネジで固定する場合においても、上カバー固定用ネジの取付部のコーキング処理が不要となる。従って、低コスト化を図ることができる。また、換気口ユニットのシール性能を向上させることができる。
【0016】
本発明の他の特徴は、前記下台座は、前記縦枠部の高さ方向の中間位置で前記部屋の外側に突出した支持部(42)が形成され、
前記上カバーは、前記縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲より広い範囲を上方から覆う板状の上面カバー部(60)と、前記上面カバー部の周囲から一体的に下方に延設されて前記縦枠部の外側面との間に通気路(12)を形成する板状の側面カバー部(70)とを備えるとともに、前記側面カバー部の高さ方向の中間位置に前記支持部の上面に載置され貫通孔(75)が穿設された載置平面(72a)が形成され、前記上カバー固定用ネジ(82)を前記貫通孔に挿通させて前記載置平面にて前記支持部にネジ締め固定されることにある。
【0017】
本発明の室外機に設けられる換気口ユニットにおいては、下台座に形成された支持部に上カバーが上カバー固定用ネジによって固定される。支持部は、縦枠部の高さ方向の中間位置で部屋の外側に突出して形成される。上カバーは、上面カバー部と側面カバー部とを備えている。上面カバー部は、縦枠部の縦壁によって囲まれる範囲より広い範囲を上方から覆う板状体であり、側面カバー部は、上面カバー部の周囲から一体的に下方に延設されて縦枠部の外側面との間に通気路を形成する板状体である。この側面カバー部には、その高さ方向の中間位置に載置平面が形成されている。上カバーは、この載置平面を下台座の支持部の上面に載置させることにより、支持部に支持される。載置平面を支持部によって支持することで、例えば、上面カバー部を縦枠部の先端から上方に離した位置に設定して、部屋の上部周囲を開放して通気路と連通させることができる。
【0018】
載置平面には、貫通孔が穿設されている。上カバーは、載置平面を支持部の上面に載置した状態で上カバー固定用ネジを貫通孔に挿通させて支持部にネジ締め固定される。上カバーに水がかかった場合、貫通孔に水が浸入する可能性がある。しかし、本発明においては、縦枠部の高さ方向の中間位置に支持部が形成されているため、縦枠部が支持部の上面よりも高い位置にまで延びた壁となっている。このため、貫通孔に浸入した水が支持部の上面を伝わっても、縦枠部が、水が部屋に入ることを阻止する。従って、本発明によれば、上カバーをネジで固定する場合においても、上カバー固定用ネジの取付部のコーキング処理が不要となる。従って、低コスト化を図ることができる。また、換気口ユニットのシール性能を向上させることができる。
【0019】
尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、本発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態の空調装置の室外機の一部破断概略斜視図である。
【
図4】
図3のa−a位置における換気ユニットの縦断面図である。
【
図5】
図3のb−b位置における換気ユニットの縦断面図である。
【
図7】従来例の空調装置の室外機の一部破断概略斜視図である。
【
図10】
図9のA−A位置における換気ユニットの縦断面図である。
【
図11】
図9のB−B位置における換気ユニットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る空調装置の室外機について図面を用いて説明する。
図1は、室外機の一部破断概略斜視図、
図2は、室外機に設けられる換気口ユニットの斜視図である。本実施形態の室外機1は、
図7に示した従来装置としての室外機100において、換気口ユニット200に代えて換気口ユニット10を備えたものであり、換気口ユニット以外の構成については従来装置と同様である。従って、従来装置と同じ構成については、図面に従来装置と同一の符号を付して説明を省略する。
【0022】
換気口ユニット10は、仕切り板110に形成された換気用開口111を覆うように設けられ、機械室120で発生した熱気を熱交換器室130に逃がす一方で、熱交換器室130から機械室120内への水の浸入を防ぐものである。換気口ユニット10は、仕切り板110に形成された換気用開口111の周囲に固定される四角枠状の下台座20と、下台座20および換気用開口111を上から覆うように配置されて下台座20に支持固定される上カバー50とから構成される。
図3は、下台座20の平面図を表し、
図4は、
図3におけるa−aライン位置での換気口ユニット10(仕切り板110に換気口ユニット10が固定された状態)の縦断面、
図5は、
図3におけるb−bライン位置での換気口ユニット10(仕切り板110に換気口ユニット10が固定された状態)の縦断面を表す。
【0023】
下台座20は、中央に四角い開口31が形成された四角枠状の水平板枠部30と、水平板枠部30の外周端から上方に向けて延設される四角筒状の縦枠部40とから構成される。水平板枠部30と縦枠部40とは、樹脂により一体形成される。水平板枠部30は、換気用開口111の周囲で、仕切り板110の上面にシール材83を介して載置される部分となる。水平板枠部30には、下台座20を仕切り板110に固定するための貫通孔32が所定の間隔で形成されている。
【0024】
縦枠部40は、水平板枠部30の4辺の外周端から上方に向けて延設された4つの縦壁41から構成される。各縦壁41には、幅方向の中央位置で外方向に突出した支持部42が形成されている。尚、換気口ユニット10における外方向(外側)とは、換気口ユニット10の中心軸(換気用開口111の中心軸)に対して水平方向に離れていく方向を表し、内方向(内側)とは、その反対方向を表す。支持部42は、
図4に示すように、各縦壁41の高さ方向の中間位置に形成されているため、支持部42における上面42aよりも上方にまで縦壁41が延びていることになる。この支持部42における上面42aよりも上方に延びた縦壁41の部分を、特に、上部縦壁41aと呼ぶ。各支持部42には、上カバー50を固定するためのネジ孔43が縦方向に貫通して形成されている。
【0025】
下台座20は、仕切り板110に形成された換気用開口111を水平板枠部30で囲むように仕切り板110の上面に配置されるとともに、水平板枠部30の裏面と仕切り板110の上面との間にパッキン等のシール材83を介在させた状態で、ネジ81を貫通孔32に挿通して締め付けることにより、仕切り板110に形成された貫通孔113にネジ81が螺合して仕切り板110に固定される。水平板枠部30の裏面と仕切り板110の上面との間には、全体にわたってシール材83が配設されるため、貫通孔32の周囲においてもシール材83が設けられる。以下、ネジ81によって下台座20が仕切り板110に固定される部分を台座ネジ部91と呼ぶ。
【0026】
上カバー50は、換気用開口111を含めて下台座20を上から覆う四角い平板である上面カバー部60と、上面カバー部60の周囲から下方に延設される四角筒状の側面カバー部70とから構成される。上面カバー部60と側面カバー部70とは、樹脂により一体形成される。側面カバー部70は、高さ方向の中間位置において外方向に拡がって段状に形成されている。つまり、側面カバー部70は、上面カバー部60の4辺の外周端から下方に向かって延びた4つの上側面壁71と、各上側面壁71の下端から外方向に向かって水平に延びた4つの中段水平壁72と、各中段水平壁72の外周端から下方に向かって延びた4つの下側面壁73とから一体的に形成されている。上側面壁71の高さ方向の長さは、下台座20の上部縦壁41aの高さ方向の長さよりも長く形成されている。
【0027】
側面カバー部70の4側面には、それぞれ幅方向の中間位置に連結用凹部74が形成されている。この連結用凹部74は、下台座20の支持部42に上カバー50を連結する部位となる。連結用凹部74は、中段水平壁72の幅方向における中間部を内側に水平に延ばして形成される中段水平載置壁72aと、上側面壁71の幅方向の中間部を内側に窪ませて円筒状に形成される上凹側面壁71aとから構成される。中段水平載置壁72aの内側端は、円弧状に形成されて、上凹側面壁71aの下端と一体的に連結する。中段水平載置壁72aには、上カバー50を下台座20に固定するための貫通孔75が形成されている。中段水平載置壁72aは、本発明の載置平面に相当する。
【0028】
上カバー50は、下台座20が仕切り板110に固定された状態で、下台座20の各支持部42の上面42aに中段水平載置壁72aを載置することにより、下台座20の全体を上から覆うように位置決めされる。上カバー50を下台座20に載置するとき、下台座20の上部縦壁41aが上凹側面壁71aの内側面に当接して、連結用凹部74を支持部42に案内する。つまり、上部縦壁41aと上凹側面壁71aとが上カバー50の取付時のガイド部材として機能する。従って、簡単に上カバー50を下台座20の所定の位置に載置することができる。
【0029】
この載置状態においては、支持部42のネジ孔43と中段水平載置壁72aの貫通孔75とがほぼ整合している。従って、そのままネジ82を貫通孔75に挿通して締め付けることにより、ネジ82がネジ孔43に螺合して、上カバー50が下台座20の支持部42に支持固定される。以下、ネジ82によって上カバー50が下台座20の支持部20に固定される部分をカバーネジ部92と呼ぶ。
【0030】
図3において、下台座20に対する上カバー50の相対平面位置を二点鎖線にて示している。図示するように、上カバー50の各上側面壁71は、下台座20の各縦壁41から距離D1だけ外側となる位置にて形成され、各下側面壁73は、下台座20の各縦壁41から距離D2だけ外側となる位置にて形成される。従って、上カバー50は、下台座20の縦壁41で囲まれる範囲よりも広い範囲を上から覆っている。
【0031】
このようにして換気口ユニット10が仕切り板110に取り付けられると、換気口ユニット10内には、上カバー50によって覆われ縦枠部40で囲まれた部屋11(中央部屋11と呼ぶ)が換気用開口111に臨むように形成される。縦枠部40の上先端は、上面カバー部60の裏面に当接しない。このため、中央部屋11の上部周囲は、外部と通気可能に開放されている。また、中央部屋11の外周には、縦壁41と側面カバー部70と上面カバー部60とによって囲まれた通気路12が形成される(
図5参照)。この通気路12は、中央部屋11の上部周囲と連通している。従って、機械室120と熱交換器室130とは、中央部屋11および通気路12を介して連通する。
【0032】
室外機1の作動中においては、機械室120内がエンジンの作動によって高温となるが、同時に作動している熱交換用ファン132により機械室120の熱気が吸引される。この場合、機械室120の熱気は、
図5に示すように、換気用開口111を介して中央部屋11に入り、中央部屋11の上部周囲から通気路12に送られる。そして、熱気は、通気路12を下方に向かって流れた後に熱交換器室130に排出され、熱交換用ファン132により吸い込まれて機外に排出される。
【0033】
熱交換器室130には、雨水等の水滴が入ることがある。換気口ユニット10に水滴が落下した場合、その水滴は、上カバー50の上面および側面で受け止められるため、通気路12を通って中央部屋11内に入ることはない。また、中央部屋11内に台座ネジ部91が設けられているため、台座ネジ部91に水滴がかかることはない。従って、ネジ81の貫通する部分から水が機械室120に浸入することはない。また、水平板枠部30がシール材83を介して仕切り板110の上面に密着固定されるため、水平板枠部30と仕切り板110の上面との隙間から水が機械室120に浸入することもない。
【0034】
また、カバーネジ部92に関しても、上部縦壁41aが水の浸入防止壁として機能するため、ネジ82の貫通する部分から水が中央部屋11に浸入することはない。つまり、上部縦壁41aの先端の高さ位置が、支持部42と貫通孔75とが接触する位置よりも高いため、水が貫通孔75から浸入して支持部42の上面42aを伝わったとしても、水は、上部縦壁41aを乗り越えることができず、支持部42の側面から落下する。
【0035】
以上説明した本実施形態の空調装置の室外機1によれば、換気口ユニット10の台座ネジ部91が中央部屋11内に臨むよう設けられているため、台座ネジ部91にコーキング処理を施す必要がない。また、上カバー50を下台座20に固定するカバーネジ部92に関しても、下台座20に貫通孔75よりも高い位置にまで延びた上部縦壁41aが形成されているため、貫通孔75に浸入した水の中央部屋11への入り込みが防止される。従って、カバーネジ部92にコーキング処理を施す必要がない。この結果、コーキング処理が一切不要となり、低コスト化を図ることができる。また、換気口ユニット10のシール性能を向上させることができる。また、上部縦壁41aは、水の浸入防止機能だけでなく上カバー50を下台座20に組み付けるときのガイド片として機能するため、上カバー50の組み付け時における位置決めが容易となる。比較例として、従来装置の換気口ユニット200においては、上カバー220を下台座210に組み付ける場合、4つの貫通孔224の位置が、それぞれ支持柱214のネジ孔215に整合するように上カバー220を配置する必要があり、本実施形態に比べて組み付けにくい。
【0036】
以上、本実施形態に係る空調装置の室外機について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0037】
例えば、
図6に示すように、上カバー50と下台座20との取付位置を変更した構成であってもよい。この換気口ユニット10’は、支持部42’が上カバー50の下側面壁73に当接する位置にまで外方向に延びて形成されるとともに、支持部42’に水平方向にネジ孔43’が形成されている。このネジ孔43’は、支持部42’の外側面42bに開口している。また、上カバー50の下側面壁73には、上カバー50を下台座20に固定するための貫通孔75’が形成されている。この貫通孔75’は、上カバー50の中段水平載置壁72aを支持部42’に載置したときにネジ孔43’と整合する位置に設けられる。上カバー50は、中段水平載置壁72aを支持部42’に載置した状態で、ネジ82を貫通孔75’に挿通して締め付けることにより、ネジ82がネジ孔43’に螺合して、上カバー50が下台座20の支持部42’に支持固定される。
【0038】
この変形例では、貫通孔75’よりも高い位置(貫通孔75’の上端よりも高い位置)にまで延びた支持部42’の外側面42bが壁となって、貫通孔75’に浸入した水の中央部屋11への浸入を防止する。つまり、貫通孔75’に接触する支持部42’の外側面42bの上部によって、貫通孔75’に浸入した水が支持部42’の上面42a’に伝わることを防止する。従って、この変形例では、実施形態の上部縦壁41aが形成されていなくてもよい。これにより、変形例においても、カバーネジ部92’にコーキング処理を施す必要がない。
【0039】
また、本発明は、コーキング処理を一切不要とするものに限るものではなく、下台座20を仕切り板110に固定する台座ネジ部91のコーキング処理のみを不要とするものであってもよい。例えば、下台座20を仕切り板110に固定する台座ネジ部の構成を実施形態と同様とし、上カバー50を下台座20に取り付ける構成については従来装置のようにしてもよい。この場合であっても、従来装置に比べてコーキング処理の数を低減することができる。
【0040】
また、本実施形態および変形例の換気口ユニット10,10’は、平面視で四角形に形成されているが、四角形に限るものではなく、その他の多角形、円形、楕円形などであってもよい。また、本実施形態においては、中央部屋1の回り全体に通気路12が形成されるが、通気路は中央部屋の全周に形成されるものに限らず、中央部屋の特定の側面にのみ形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…室外機、10,10’…換気口ユニット、11…中央部屋、12…通気路、20…下台座、30…水平板枠部、31…開口、32…貫通孔、40…縦枠部、41…縦壁、41a…上部縦壁、42,42’…支持部、42a,42a’…上面、42b…外側面、43,43’…ネジ孔、50…上カバー、60…上面カバー部、70…側面カバー部、71…上側面壁、71a…上凹側面壁、72…中段水平壁、72a…中段水平載置壁、73…下側面壁、74…連結用凹部、75、75’…貫通孔、81…ネジ、82…ネジ、83…シール材、91…台座ネジ部、92…カバーネジ部、100…室外機、101…本体ケーシング、110…仕切り板、111…換気用開口、113…貫通孔、120…機械室、130…熱交換器室。