(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】PEA−III Ac Bz繊維からの医薬品有効成分(API)の放出に関する。
【
図3】30重量%のAPIを含有するPEA−III Ac Bz繊維の長さ、厚さおよび体積の変化を示す。
【
図4】細い繊維の紡糸のためのDSMマイクロファイバー紡糸装置を備えた、ツインスクリューマイクロ押出のためのDSM Pharma押出機Xceleraに関する。
【
図5】PBS中に浸漬した後、光学顕微鏡を用いて撮影された0日、0.5日、1日および6日目の繊維の写真を示す。
【0009】
本発明に従う繊維は、少なくとも25ゲージの口径を有する薬剤注射針による注入のためのサイズである。一般に、繊維は、100〜50μmの範囲のサイズを有し得る。
【0010】
本発明に従う繊維は、生分解性ポリマー、好ましくは非晶質生分解性ポリマーである生分解性ポリマーを含む。非晶質とは、分子がランダムに配向され、調理済みのスパゲティとよく似て絡み合っていることを意味し、ポリマーはガラス状の透明な外観を有する。ポリマーが非晶質であるかどうかは当業者によって容易に決定することができ、当該技術分野において知られているように、DSCまたはX線回折を用いて測定され得る。
【0011】
生分解性ポリマーは、好ましくは、45〜60Cの範囲の乾燥Tgを有する。さらに、生分解性ポリマーは、好ましくは、37Cよりも低い湿潤Tgを有する。乾燥および湿潤Tgは、ASTM試験法NO.D3418に従って測定することができる。
【0012】
生分解性ポリマーの例は、ポリエステルアミドまたはポリヒドロキシ酸(例えば、PLGAまたはポリL,D−乳酸)である。
【0013】
非晶質生分解性ポリマーの一例は、アルファ−アミノ酸、ジオールおよびジカルボン酸構成要素を含むポリエステルアミドである。
【0014】
好ましくは、繊維は、アルファ−アミノ酸、ジオールおよびジカルボン酸構成要素を含むポリエステルアミドを含む。
【0015】
より好ましくは、繊維は、式I
【化1】
に従うポリエステルアミドを含み、式中、
mは約0.01〜約0.99であり、pは約0.99〜約0.01であり、qは約0.99〜0.01であり、かつnは約5〜約350であり、
R
1は独立して、(C
2〜C
20)アルキレン、(C
2〜C
20)アルケニレン、−(R
9−CO−O−R
10−O−CO−R
9)−、−CHR
11−O−CO−R
12−COOCR
11−、およびこれらの組み合わせからなる群から選択され、
単一のコモノマーmまたはpのそれぞれの中のR
3およびR
4は独立して、水素、(C
1〜C
6)アルキル、(C
2〜C
6)アルケニル、(C
2〜C
6)アルキニル、(C
6〜C
10)アリール、(C
1〜C
6)アルキル、−(CH
2)SH、−(CH
2)
2S(CH
3)、−CH
2OH、−CH(OH)CH
3、−(CH
2)
4NH
3+、−−(CH
2)
3NHC(=NH
2+)NH
2、−CH
2COOH、−(CH
2)COOH、−CH
2−CO−NH
2、−CH
2CH
2−CO−NH
2、−− −CH
2CH
2COOH、CH
3−CH
2−CH(CH
3)−、(CH
3)
2−CH−CH
2−、H
2N−(CH
2)
4−、Ph−CH
2−、CH=C−CH
2−、HO−p−Ph−CH
2−、(CH
3)
2−CH−、Ph−NH−、NH−(CH
2)
3−C−、NH−CH=N−CH=C−CH
2−からなる群から選択され、
R
5は、(C
2〜C
20)アルキレン、(C
2〜C
20)アルケニレン、アルキルオキシまたはオリゴエチレングリコールからなる群から選択され、
R
6は、1,4:3,6−ジアンヒドロヘキシトールの二環式断片であり、
R
7は、水素、(C
6〜C
10)アリール、(C
1〜C
6)アルキルまたは保護基であり、
R
8は独立して、(C
1〜C
20)アルキルまたは(C
2〜C
20)アルケニルであり、
R
9またはR
10は独立して、C
2〜C
12アルキレンまたはC
2〜C
12アルケニレンから選択され、
R
11またはR
12は独立して、H、メチル、C
2〜C
12アルキレンまたはC
2〜C
12アルケニレンから選択される。
【0016】
さらにより好ましくは、繊維は、さらにPEA−III−Ac Bzとして開示される式IIIのポリエステルアミドを含み、式中、mは約0.3であり、pは約0.45であり、qは約0.25であり、nは約5〜100であり、かつ
R
1は、(CH
2)
8であり、
R
3およびR
4は、(CH
3)
2−CH−CH
2−から選択され、
R
5は、(CH
2)
6から選択され、
R
6は、1,4:3,6−ジアンヒドロソルビトール(DAS)であり、
R
7は、ベンジル保護基であり、
R
8は、(CH
2)
4である。
【0017】
PEA−III−Ac Bzのより拡張した記載は、ポリ−8−[(L−Leu−DAS)
0.45(L−Leu−6)
0.3−[L−Lys(Bz)]
0.25である。分率は、合成におけるモノマーの全体の分率を示す。
【化2】
【0018】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は直鎖または分枝鎖炭化水素基を指し、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどが含まれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」または「アルケニレン」は、本明細書において主鎖または側鎖中に少なくとも1つの不飽和結合を含有する二価の分枝状または非分枝状炭化水素鎖を意味するための構造式を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0021】
「アリール」という用語は、本明細書において構造式に関連して約9〜10個の環原子を有するフェニルラジカルまたはオルト縮合二環式炭素環ラジカルを示すために使用され、少なくとも1つの環は芳香族である。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、およびニトロフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
コポリマー中で使用されるアルファ−アミノ酸の少なくとも1つは、天然アルファ−アミノ酸である。例えば、R
3またはR
4がCH
2Phである場合、合成において使用される天然アルファ−アミノ酸はL−フェニルアラニンである。R
3またはR
4がCH
2−CH(CH
3)
2である代替例では、コポリマーは天然アミノ酸のロイシンを含有する。本明細書に記載される2つのコモノマーの変化の範囲内でR
3およびR
4を独立して変化させることによって、他の天然アルファ−アミノ酸、例えば、グリシン(R
3またはR
4がHの場合)、アラニン(R
3またはR
4がCH
3の場合)、バリン(R
3またはR
4がCH(CH
3)
2の場合)、イソロイシン(R
3またはR
4がCH(CH
3)−CH
2−CH
3の場合)、フェニルアラニン(R
3またはR
4がCH
2−C
6H
5の場合)、リジン(R
3またはR
4が(CH
2)
4−−NH
2の場合)、またはメチオニン(R
3またはR
4が−(CH
2)
2S(CH
3)の場合)、およびこれらの混合物を使用することもできる。
【0023】
PEAコポリマーは、好ましくは、15,000〜200,000ダルトンの範囲の数平均分子量(Mn)を有する。本明細書に記載されるPEAコポリマーは、コポリマーの2つのビス−(アルファアミノ酸)含有単位および場合によりリジンベースのモノマーの様々な分子量および様々な相対的割合において作ることができる。特定の使用のために適切な分子量は、当業者によって容易に決定される。適切なMnは、約15,000〜約150,000ダルトン、例えば、約30,000〜約80,000または約35,000〜約75,000程度であろう。Mnは、ポリスチレンを標準として用いてTHF中でのGPCにより測定される。
【0024】
生分解性ポリマーのその他の例としては、ポリエステルアミド、ポリヒドロキシアルカノアート(PHA)、ポリ(3−ヒドロキシアルカノアート)、例えば、ポリ(3−ヒドロキシプロパノアート)、ポリ(3−ヒドロキシブチラート)、ポリ(3−ヒドロキシバレラート)、ポリ(3−ヒドロキシヘキサノアート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノアート)およびポリ(3−ヒドロキシオクタノアート)など、ポリ(4−ヒドロキシアルカノアート(hydroxyalkanaote))、例えば、ポリ(4−ヒドロキシブチラート)、ポリ(4−ヒドロキシバレラート)、ポリ(4−ヒドロキシヘキサノアート(hydroxyhexanote))、ポリ(4−ヒドロキシヘプタノアート)、ポリ(4−ヒドロキシオクタノアート)、および本明細書に記載される3−ヒドロキシアルカノアートまたは4−ヒドロキシアルカノアートモノマーまたはこれらのブレンドのいずれかを含むコポリマー、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(L−ラクチド−co−グリコリド)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリホスファゼン、ポリ(無水物)、ポリ(チロシンカーボネート)およびその誘導体、ポリ(チロシンエステル)およびその誘導体、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、コポリ(エーテル−エステル)(例えば、PEO/PLA)、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エーテルエステル)、ポリアルキレンオキサラート、ポリ(アスピリン)、生体分子、例えば、コラーゲン、キトサン、アルギナート、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、デキストラン、デキストリン、ヒアルロン酸の断片および誘導体、ヘパリン、ヘパリンの断片および誘導体、グリコサミノグリカン(GAG)、GAG誘導体、多糖、エラスチン、キトサン、アルギナート、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本発明に従う繊維はさらに、少なくとも生物活性剤を含むことができる。生物活性剤は、治療薬、予防薬、または診断薬である任意の薬剤であり得る。このような生物活性剤は、小分子薬物、ペプチド、タンパク質、DNA、cDNA、RNA、糖、脂質および全細胞を制限なしに含み得る。生物活性剤は抗増殖特性または抗炎症特性を有することもできるし、あるいは抗悪性腫瘍特性、抗血小板特性、抗凝固特性、抗フィブリン特性、抗血栓特性、有糸分裂阻害特性、抗菌特性、抗アレルギー特性、または酸化防止特性などの他の特性を有することもできる。抗増殖剤の例としては、ラパマイシンおよびその機能または構造誘導体、40−O−(2−ヒドロキシ)エチル−ラパマイシン(エベロリムス)およびその機能または構造誘導体、パクリタキセルおよびその機能および構造誘導体が挙げられる。ラパマイシン誘導体の例としては、ABT−578、40−0−(3−ヒドロキシ)プロピル−ラパマイシン、40−O−[2−(2−ヒドロキシ)エトキシ]エチル−ラパマイシン、および40−0−テトラゾール−ラパマイシンが挙げられる。パクリタキセル誘導体の例としては、ドセタキセルが挙げられる。抗悪性腫瘍薬および/または有糸分裂阻害薬の例としては、メトトレキセート、アザチオプリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、フルオロウラシル、ドキソルビシン塩酸塩(例えば、Pharmacia AND Upjohn,Peapack NJ.からのAdriamycin(登録商標))、およびマイトマイシン(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.,Stamford,Conn.からのMutamycin(登録商標))が挙げられる。抗血小板薬、抗凝固薬、抗フィブリン薬、および抗血栓薬(antithrombins)の例としては、ヘパリンナトリウム、低分子量ヘパリン、ヘパリノイド、ヒルジン、アルガトロバン、ホルスコリン、バピプロスト、プロスタサイクリンおよびプロスタサイクリン類似体、デキストラン、D−phe−pro−arg−クロロメチルケトン(合成アンチトロンビン)、ジピリダモール、糖タンパク質Hb/nia血小板膜受容体アンタゴニスト抗体、組換えヒルジン、Angiomax(Biogen,Inc.,Cambridge,Mass.)などのトロンビン阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬(ニフェジピンなど)、コルヒチン、線維芽細胞成長因子(FGF)アンタゴニスト、魚油(オメガ3−脂肪酸)、ヒスタミンアンタゴニスト、ロバスタチン(HMG−CoAレダクターゼの阻害薬、コレステロールを低下させる薬、Merck AND Co.,Inc.,Whitehouse Station,NJからの商標名Mevacor(登録商標))、モノクローナル抗体(血小板由来成長因子(PDGF)受容体に特異的なものなど)、ニトロプルシド、ホスホジエステラーゼ阻害薬、プロスタグランジン阻害薬、スラミン、セロトニン遮断薬、ステロイド、チオプロテアーゼ阻害薬、トリアゾロピリミジン(PDGFアンタゴニスト)、スーパーオキシドジスムターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ模倣物、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−アミノ−TEMPO)、エストラジオール、抗癌剤、種々のビタミンなどのダイエットサプリメント、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。ステロイド系および非ステロイド系抗炎症薬を含む抗炎症薬の例としては、バイオリムス、タクロリムス、デキサメタゾン、クロベタゾール、副腎皮質ステロイドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。このような細胞増殖抑制物質の例としては、アンジオペプチン(angiopeptin)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、例えば、カプトプリル(例えば、Bristol−Myers Squibb Co.,Stamford,Conn.からのCapoten(登録商標)およびCapozide(登録商標))、シラザプリルまたはリシノプリル(例えば、Merck AND Co.,Inc.,Whitehouse Station,NJからのPrinivil(登録商標)およびPrinzide(登録商標))などが挙げられる。抗アレルギー薬の一例は、ペミロラスト(permirolast)カリウムである。適切であり得る他の治療物質または治療薬には、アルファ−インターフェロン、ピメクロリムス、メシル酸イマチニブ、ミドスタウリン、および遺伝子操作された上皮細胞が含まれる。上記の物質は、そのプロドラッグまたはコドラッグ(co−drug)の形態で使用することもできる。上記の物質には、その代謝産物および/または代謝産物のプロドラッグも含まれる。上記の物質は例として記載されており、限定は意図されない。
【0026】
本発明に従う繊維は、特に眼科の疾患を処置するための薬物溶出媒体として使用することができる。
【0027】
本発明はさらに、本発明に従う繊維の製造方法に関し、以下のプロセスステップ:
a.生分解性ポリマーを、少なくとも25ゲージの注射針に適合する繊維に押出成形するステップと、
b.上記繊維が、張力を受けている間にその乾燥ガラス転移温度よりも低温まで冷却されるステップと
を含む。
【0028】
繊維は好ましくは押出プロセス、例えば溶融押出によって製造され、ここで、生分解性ポリマーおよび最終の付加的な化合物は、Retsch凍結粉砕機を用いて均質にされる。得られた粉末は、次に、マイクロファイバー紡糸装置に接続された予熱したDSM Xploreマイクロ押出機(5ccのバレルサイズおよびツインスクリューを有する)に充填される。生分解性ポリマーは、好ましくは、100〜250μmの範囲の直径を有する繊維に延伸される前に120C〜140℃で5〜10分間の滞留時間を有する。工程中のポリマーの酸化的分解を最小限にするために、押出は通常不活性雰囲気下で実施される。次いで、張力を受けながら室温で冷却される。得られた繊維は次に、好ましくは例えば4mmの断片に切断され、冷却条件下でガンマ放射線により滅菌され得る。
【0029】
図1には、注入された本発明に従う繊維の寸法変化が示される。
【0030】
図1は、乾燥状態(A、25×倍率)、ウサギ硝子体液中で1日後(B、50×倍率)および14日後(C、50×倍率)のPEA III繊維に関する。
【0031】
繊維の体積に対する表面積の比率の低下、すなわち150μm〜約300μmへの繊維直径の増大と、関連して比較的一定の体積を維持しながらの繊維長さの減少とが示された。
【0032】
図2は、PEA−III Ac Bz繊維からの医薬品有効成分(API)の放出に関する。
【0033】
図3は、30重量%のAPIを含有するPEA−III Ac Bz繊維の長さ、厚さおよび体積の変化を示す。
【0034】
図4は、細い繊維の紡糸のためのDSMマイクロファイバー紡糸装置を備えた、ツインスクリューマイクロ押出のためのDSM Pharma押出機Xcelera(1〜250rpmの速度、20〜400℃の範囲の温度、9000Nの最大(marximal)トルクおよび2または5cm
3のバレル容量を有する)に関する。
【0035】
図5は、光学顕微鏡を用いて撮影された0日、0.5日、1日および6日目の繊維の写真を示す。光学顕微鏡写真には、PBS中に浸漬した後の、30重量%のAPIを含有するPEA繊維のサイズ変化が示される。
【0036】
本発明は、これから以下の実施例によってさらにそして具体的に説明されるであろう。
【0037】
[材料]
以下の実施例では、PEA−III−Ac Bzポリマーが使用される。PEA−III−Ac Bzのより拡張した記載は、ポリ−8−[(L−Leu−DAS)
0.45(L−Leu−6)
0.3−[L−Lys(Bz)]
0.25である。構造は式IIIで与えられる。分率は、合成におけるモノマーの全体の分率を示す。
【化3】
【0038】
[PEA III Ac Bzの合成]
室温でオーバーヘッドスターラーを備え、窒素を流した500mLの丸底フラスコ内で、ジ−OSu−セバシナート(39.940g、0.1008モル、1.0当量)、L−ロイシン(6)−2TosOH(20.823g、0.0302モル、0.30当量)、L−ロイシン−(DAS)−2TosOH(32.503g、0.0453モル、0.45当量)およびL−リジン(Bz)−2TosOH(14.628g、0.0252モル、0.25当量)の混合物に、トリエチルアミン(30.9mL、0.222モル、2.2当量)およびN,N−ジメチルホルムアミド(53.07mL、0.689モル)を添加した。続いて混合物を60℃に加熱して反応を進行させ、THF中のGPC分析によりモニターした。36時間後に安定した分子量が得られ、続いて、L−ロイシン(6)−2TosOHの一部(4.338g、0.0063モル)をトリエチルアミン(1.76mL、0.0126モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド(4.54mL、0.0590モル)と共に添加し、重合反応を終了させた。混合物をさらに24時間加熱し、その後、粘性溶液をN,N−ジメチルホルムアミド(407.85g、5.301モル)でさらに希釈し、室温まで冷却させた。室温において、無水酢酸(1.89mL、0.0199モル)を添加して、ポリマーのアミノ官能性末端基をアシル化した。混合物を室温で24時間攪拌した。スキーム1には、一般的な反応が示される。
【化4】
【0039】
得られた粗製ポリマー混合物を水中において10:1の比率(水:反応混合物)で沈殿させた。ポリマーを捕集し、エタノール(500mL、8.57モル)中に溶解させ、手順を2度繰り返した。ポリマーをエタノール(500mL、8.57モル)中に再度溶解させ、攪拌溶液に液滴で添加することによって酢酸エチル(5000mL、50.91モル)中で沈殿させた。沈殿したポリマーを2回分の酢酸エチル(100mL、1.00モル)で洗浄し、乾燥させ、エタノール(500mL、8.57モル)中に溶解させ、0.2μmPTFE膜フィルタでろ過した。ろ過したポリマー溶液を65℃、減圧下で乾燥させた。
【0040】
収率75%、Mn=50kDa(ポリスチレン標準に対するTHF中のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC))。示差走査熱量測定(DSC)によりガラス転移温度を決定した。測定値は10℃/分の加熱速度で2回目の加熱から得た。Tg=48℃。
【0041】
[実施例1]
0.52gのAPI(医薬品有効成分)および4.31gのPEA III Ac Bzを共にエタノール中に溶解させ、フィルムキャストし、乾燥させた。続いて、フィルムを凍結粉砕した。均一にした凍結粉砕製剤を
図3に示されるPharmaミニ押出機で繊維に加工した。ツインスクリュー押出機を用いて、凍結粉砕した粉末を125℃の温度で溶融押出した。押出機ダイは、0.75mmであった。押出されたポリマーを5m/分〜15m/分の速度で紡糸し、その後、窒素下、室温で冷却した。
【0042】
得られた直径約300μmの繊維を10mmの長さに切断し、個々に秤量した。PBS中37℃で放出を実施した。各時点でPBSを新しくし、HPLCによりAPIの量をトリプリケートで測定した。37℃でPBS中に浸漬すると、これらの繊維は再構築を受ける(プロセス1)。得られた放出は
図2に示される。
【0043】
[比較例A]
0.03gのAPIおよび0.25gのポリマーを共に2.5mlのメタノール中に溶解させ、フィルムキャストし、乾燥させた。得られたフィルムを長さ5〜6mmおよび厚さ250μmの繊維に切断した。APIの放出は、個々に秤量した繊維において、37℃のPBS中で放出させて行った。各時点でPBSを新しくし、HPLCによりAPIの量をトリプリケートで測定した。
【0044】
37℃でPBS中に浸漬すると、これらの繊維は再構築されない(プロセス2)。
【0045】
得られた放出は
図2に示される。
【0046】
[結果]
再構築がなければAPIの約50%が15日以内に繊維から放出されるが、再構築を伴う繊維からは同じ時点でAPIの20%だけが放出される。
【0047】
この実施例は、体積に対する表面の比率の低下を引き起こす繊維の再構築が繊維からのAPIの放出に影響を与え、速度を低下させ得ることを示す。
【0048】
[実施例2]
2.13gのAPIおよび5.00gのPEA III Ac Bzを共にエタノール中に溶解させ、フィルムキャストし、乾燥させた。続いて、フィルムを凍結粉砕した。ツインスクリュー押出機を用いて、凍結粉砕粉末を115℃の温度で溶融押出した。押出機ダイは、0.75mmであった。押出されたポリマーを5m/分〜15m/分の速度で紡糸し、その後、窒素下、室温で冷却した。
【0049】
得られた繊維を切断し、37℃でPBS中に入れた。光学顕微鏡により長さおよび厚さをモニターした。
【0050】
図3は、実施例1に記載されるように加工された30重量%のAPIを含有するPEA III Ac Bz繊維の長さ、厚さ、および体積の変化を表す。
【0051】
この図は、繊維の長さが減少し、厚さが増大するが、体積は一定のままであることを示す。繊維の膨潤は存在しないが、最初とは異なる体積に対する表面の比率をもたらす再構築が存在する。