(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135874
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】衝撃式粉粒体流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/28 20060101AFI20170522BHJP
G01F 1/74 20060101ALI20170522BHJP
G01F 11/28 20060101ALI20170522BHJP
G01G 11/00 20060101ALI20170522BHJP
G01G 17/06 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
G01F1/28 B
G01F1/74
G01F11/28 C
G01G11/00 J
G01G17/06
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-79759(P2015-79759)
(22)【出願日】2015年4月9日
(65)【公開番号】特開2016-200468(P2016-200468A)
(43)【公開日】2016年12月1日
【審査請求日】2016年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175652
【氏名又は名称】三協パイオテク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 金之助
【審査官】
谷山 稔男
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−142016(JP,A)
【文献】
特開昭56−067714(JP,A)
【文献】
特開昭57−189013(JP,A)
【文献】
特公昭57−056684(JP,B1)
【文献】
特開昭63−195524(JP,A)
【文献】
特表平07−505706(JP,A)
【文献】
特開平10−185638(JP,A)
【文献】
渡辺金之助,粉粒体用流量計,計量管理,日本,社団法人計量管理協会,1984年 7月25日,第33巻,p.388-392
【文献】
渡辺金之助,稲垣伝也,インパクトライン流量計による粉粒体流量自動制御の実例,粉体工学研究会誌,日本,1970年,第7巻第6号,p.538−544,URL,https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj1964/7/6/7_6_538/_pdf
【文献】
渡邊金之助,平澤俊和,スラリーを含めた粉体の流量計の選択,計測技術,日本,日本工業出版株式会社,2015年,第43巻第1号,p.14−17
【文献】
渡辺金之助,粉粒体用流量計,センサ技術,日本,株式会社情報調査会,1990年10月11日,第10巻第12号,p.30−33
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/28−1/30,11/28
G01G 11/00,17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給機6から排出された位置から検出板2までの自然落下距離に関係する衝撃荷重を検出するために、検出板2が供給機6から排出された粉粒体の自然落下方向に対して斜設されていて、検出板2をサイドプレート11により連結した複数枚板構造とし、これらの検出板2を四枚の板バネ8によりケーシング15に懸垂してロバーバル機構とし、整流装置を有しない構造であることを特徴とする衝撃式粉粒体流量計。
【請求項2】
衝撃式粉粒体流量計の設置スペース9が垂直方向に20〜40センチメートルであることを特徴とする衝撃式粉粒体流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃式粉粒体流量計に関し、特にこの衝撃式粉粒体流量計を設置するスペースに関する。
【背景技術】
【0002】
今日の衝撃式粉体流量計において、各種の構造の衝撃式粉粒体流量計が市販されているけれども、設置スペースを狭く維持したいとの需要があった。
【0003】
斜設した単板検出板を備える整流装置付き衝撃式粉粒体流量計の先行技術(非特許文献2と3)では、
図3において開示された如く、衝撃式粉粒体流量計の上部に設置された供給機6より被計測物である粉体が供給され、整流装置1において整流され、衝撃式粉体流量計の発信器4の検出軸10に斜設された検出板2のほぼ所定の位置に自然落下する。この先行技術では整流装置1を必要とするために、設置するのに必要なスペースを大きくし、同時に検出板が一枚構造であるために、上下方向に長くならざるを得ないので、設置スペース9は、100センチメートル以上とならざるを得ない。また、検出軸10の強度制限のために検出板2の重量には限界が存在する等の欠点を有する。
【0004】
鉛直した単板検出板を備える整流装置付き衝撃式粉粒体流量計の先行技術(非特許文献3「第15頁写真2参照」)では、
図4に開示された衝撃式粉体流量計には、一枚の検出板2が二枚の板バネ8により流路3において吊り下げられて、鉛直に設置されており、整流装置1が斜設されてスペースを縮小する。設置スペース9は100センチメートル以上を必要とし、また、整流装置1から検出板2へ衝突する粉体の検出板2への衝撃位置は、粉体の流量が低下するほど、下降して精度が悪くなり、ある小流量以下になると、衝撃位置が下降して検出板2に衝撃しなくなるという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−37330号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「粉粒体用流量計」計量管理、第33巻第7号、1984年発行
【非特許文献2】「インパクトライン流量計による粉粒体流量自動制御の実例」粉体工学研究会誌、第7巻第6号、1970年発行
【非特許文献3】「スラリーを含めた粉体の流量計の選択」計測技術、2015年1月発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、先行技術における欠点を解除して、また、最近の需要に対応するために、プロセスを新設することなく、既存のプロセスを改良し、より少ない投資により衝撃式粉粒体流量計の設置スペースを狭く維持することである。
【0008】
この発明は、具体的には衝撃式粉粒体流量計の上下間のスペースが20〜40センチメートル程度の狭いスペースに設置できる衝撃式粉粒体流量計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、この発明は、衝撃式粉粒体流量計において検出板をサイドプレートにより連結した複数枚板構造とし、これらの検出板を四枚の板バネにより流路に懸垂して、整流装置を有しない構造であることを特徴とする。
【0010】
更に、この発明は、衝撃式粉粒体流量計において、衝撃式粉粒体流量計の設置スペース9が20〜40センチメートルであること特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、検出板2をサイドプレートにより連結した複数枚板構造とし、検出板の平面積を供給機の粉粒体排出口平面積よりやや大きめにすることにより、整流装置を省略され得るので、設置スペースがその分だけコンパクトになる。
【0012】
この発明の衝撃式粉粒体流量計は、四枚板構造であるけれども、粉粒体の性情により枚数を調整できる。付着性の強い粉体であれば、二枚乃至三枚板構造として各板間の間隔を大きくし、粉粒体が各板への付着による障害を避けることができる。粒体であれば、四枚から六枚板構造とする。供給されるものがスラリーであっても、同様に上記に準ずる。板枚数の大小により、スペース9が小大となる。
【0013】
この発明によると、検出板を懸垂する板バネを四枚としたロバーバル機構を構成することにより、粉粒体が検出板のどの箇所に衝撃しても、受信機構に伝達する衝撃力の誤差を生じない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の衝撃式粉粒体流量計の内部の正面図と側面図である。
【
図2】本発明の衝撃式粉粒体流量計の正面詳細図である。
【
図3】先行技術の単板検出板を備える整流装置付き衝撃式粉粒体流量計の内部の正面図と側面図である。
【
図4】先行技術の単板検出板を備える他の整流装置付き衝撃式粉粒体流量計の内部の正面図と側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態において、
図1及び
図2に基づいて、まず、作動態様について詳細に説明する。
【0016】
供給機6から排出された粉粒体は、自然落下して検出板2に衝突し、衝撃荷重を検出板2に発生します。検出板2は四枚の板バネ8により流路3に吊り下げられているので、近似的に水平方向に移動可能である。この衝撃力は検出軸10を経由して、発信機構7に伝達される。即ち検出軸10の左端には、発信機構7の中に収納されている例えばロードセル13を押す構造となっているため、衝撃力はロードセル13によって電気信号に変換され、受信器へ送信される。ロードセル13の場合は、衝撃荷重に対する変位量は極めて微小であるため、検出板2はほとんど移動しません。
【0017】
図2では、検出軸10はロードセル13と接触する構造と成っていて、ケーシング15に取付けたダイアフラム16によって隔離されており、検出軸10に発生した衝撃力は、ロードセルホルダー14に固定されたロードセル13を押すことになり、ロードセル13は電気信号を発信することになる。ケーシング15は粉粒体供給機6の粉粒体排出口12と直接に結合しており、その間に従来の衝撃式粉粒体流量計(
図3、
図4)に設けられていた整流装置1は存在しない。したがって、粉粒体排出口12より自然落下する粉粒体は、すべて同じ条件で検出板2に衝突する利点が生じる。
【0018】
これに対して、整流装置1を経由して、検出板2に衝突する粉粒体は、整流装置1により集約されるため、粉粒体排出口12の出口位置により自然落下条件を異にする。
【0019】
図1又は
図2においてこの検出板2はサイドプレート11により連結した複数枚板構造であり、検出板2の平面積が供給機6の粉粒体排出口平面積よりやや大きめにすることにより、整流装置を省略できる。検出板2には、物理現象により粉粒体の流量に比例した衝撃力が発生し、検出軸10はケーシング15内において板バネ8により保持されており、ほぼ水平方向にのみ移動する構造である。
【0020】
図3においては検出軸10の発信機構7内部分には、コイルばねが装着されている。検出軸10は上下に位置するピボットにより保持されており、検出板2に発生する衝撃力の水平成分のみとコイルばねの反力とが変位平衡する位置まで回転する。変位量は発信機構7内の電気的変換機構により電気信号に変換され、受信機構に電送され、粉粒体の流量値として処理される。
【0021】
図1又は
図2においては検出板2は四枚板構造であるが、粉粒体の性情により枚数が調節できる。例えば、付着性の強い粉体であれば、二枚乃至三枚板構造とし、各板間の間隔を大きくし、粉体が各板への付着による障害を避ける構造とする。粒体であれば、四枚から六枚板構造とする。板枚数の大小により、スペース9は小大となる。無論、検出板2の平面積は供給機6の粉体排出口より大きく設計することになる。設計によれば、五枚板構造の検出板2の場合、スペース9は最少20センチメートルとなり、二枚板構造の場合は最少35センチメートルとなる。この場合、検出板2に発生する衝撃力は、発信機構7が電気的処理できる程度に大となるよう、スペース9を維持することが必要である。
【0022】
図1又は
図2においては検出板2を懸垂する板バネ8は、四枚とし、ロバーバル機構を構成し、検出板2はこの板バネ8により
図3及び
図4の流路3に相当するケーシング15において吊り下げられてサイドプレート11により斜設されている。このロバーバル機構によって、粉体が検出板2のどの箇所に衝撃しても、受信機構に伝達する衝撃力の誤差を生じない。
【0023】
図3には、単板検出板を備える整流装置付き衝撃式粉粒体流量計の内部が示されていて、被計測物である粉体が供給機6より供給され、衝撃式粉粒体流量計の発信器4の検出軸10に斜設された検出板2のほぼ所定の位置に自然落下する。検出板2には、物理現象により粉体の流量に比例した衝撃力が発生し、検出軸10は発信器4内において上下に位置するピボットにより保持されており、水平方向にのみに、ピボットを中心として回転する構造である。検出軸10の発信器4内部分には、コイルばねが装着されている。検出軸10は検出板2に発生する衝撃力の水平成分のみとコイルばねの反力とが変位平衡する位置まで回転する。変位量は発信器4内の電気的変換機構により電気信号に変換され、受信機構に電送され、粉体の流量値として処理される。
【0024】
図4には、単板検出板を備える他の整流装置付き衝撃式粉体流量計の内部が示されていて、一枚の検出板2が二枚の板バネ8により流路3に吊り下げられて、鉛直に設置されている。整流装置1はスペースを縮小する見地から斜設されている。検出板2に発生する衝撃力の水平分力が検出軸10を介して発信機構7に伝達され、その電気信号が受信器に電送される。本器においても、スペース9は100センチメートル以上を必要とする。整流装置1から検出板2へ衝突する粉体の検出板2への衝撃位置は、粉体の流量が低下するほど、下降して精度が悪くなり、ある小流量以下になると、衝撃位置が下降して検出板2に衝撃しなくなる。この場合、検出板2の重量には、構造上制限は発生しない。また、
図3の衝撃式粉粒体流量計のように、発信器4と流路3がそれぞれ独立した構造ではなく、発信器4のケーシングと流路3が一体構造となっている。
【符号の説明】
【0025】
1....整流装置
2....検出板
3....流路
4....発信器
6....供給機
7....発信機構
8....板バネ
9....設置スペース
10....検出軸
11....サイドプレート
12....粉粒体排出口
13....ロードセル
14....ロードセルホルダー
15....ケーシング
16....ダイヤフラム