(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6135890
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】流路用環状体
(51)【国際特許分類】
F16L 5/02 20060101AFI20170522BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
F16L5/02 C
E03C1/042
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-39921(P2017-39921)
(22)【出願日】2017年3月3日
(62)【分割の表示】特願2015-164831(P2015-164831)の分割
【原出願日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年3月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】井村 元
(72)【発明者】
【氏名】篠田 祐作
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2009/002231(WO,A2)
【文献】
特開2005−171650(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/003807(WO,A1)
【文献】
韓国登録実用新案第20−0477445(KR,Y1)
【文献】
中国特許出願公開第104676156(CN,A)
【文献】
特表平9−508958(JP,A)
【文献】
実開昭60−110787(JP,U)
【文献】
英国特許出願公告第1285423(GB,A)
【文献】
特開2002−031241(JP,A)
【文献】
実開昭59−147982(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 5/02
F16J 15/10
E03C 1/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を設置するための流路部材を取付対象へ取り付ける際に用いられ、中央部に前記流路の通過を許容する貫通孔を有し、当該貫通孔の周囲に座部を有し、当該座部が前記流路部材と前記取付対象との間に介在される流路用環状体において、
前記座部の外周部には当該座部から除去可能に除去予定部が設けられ、当該除去予定部は、前記流路部材を前記取付対象へ取り付ける際に、前記流路部材と前記取付対象とが形成する間隙内から延出した状態にあることで、作業者の手掛かりとなり得るものであり、
前記除去予定部は、当該除去予定部に臨む前記流路部材のエッジを切断手段として利用して前記座部から除去されることを特徴とする流路用環状体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水栓継手を壁に設置する際に使用されるパッキン等の流路用環状体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の水栓継手構造は、パッキンを介して防水リングを壁に重ね、パッキン及び防水リングの中心部に形成された透孔を介して、水栓継手を壁から取り出すものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−170760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記パッキンは、水栓継手の設置作業の際に、防水リングと壁との間に介在された状態となると、両者間に形成された間隙内に入り込んでしまうため、周方向或いは径方向の位置を調整することが困難という問題があった。
そこで本発明の目的とするところは、流路部材を取付対象へ取り付ける際に、流路部材と取付対象との間に介在された状態にあっても、位置調整が容易な流路用環状体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、流路を設置するための流路部材を取付対象へ取り付ける際に用いられ、中央部に前記流路の通過を許容する貫通孔を有し、当該貫通孔の周囲に座部を有し、当該座部が前記流路部材と前記取付対象との間に介在される流路用環状体において、前記座部の外周部には当該座部から除去可能に除去予定部が設けられ、当該除去予定部は、前記流路部材を前記取付対象へ取り付ける際に、前記流路部材と前記取付対象とが形成する間隙内から延出した状態にあることで、作業者の手掛かりとなり得るものであり、前記除去予定部は、当該除去予定部に臨む前記流路部材のエッジを切断手段として利用して前記座部から除去されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡易な構成で流路用環状体を取り付ける際の利便性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(a)〜(c)はパッキンの位置調整作業を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1及び
図2に従って詳細に説明する。
図1に示すように、流路としての水栓継手1は、右端部に例えば屋外からの給水パイプが装着され、左端部に例えば屋内の蛇口が装着され、給水パイプからの水を内部に通して蛇口へと送る。水栓継手1は、左端部の外周面にネジ部1aが形成され、当該ネジ部1aよりも右端部側にフランジ部1bが形成されている。取付対象としての壁2には、水栓継手1の左端部が通る程度の大きさの貫通孔2aが形成されている。
【0009】
前記水栓継手1は、フランジ部1bが壁2の裏面に当接された状態で、左端部が壁2の貫通孔2aを介して表面に突出される。この水栓継手1の突出部分は、流路用環状体としての円盤状をなすパッキン3、及び流路部材としての円盤状をなす座金4に対して、それぞれの中央部に形成された貫通孔3e及び貫通孔4cへ同順に挿し通される。そして、ネジ部1aにナット6がねじ込まれることで、ナット6とフランジ部1bとの間で、壁2、パッキン3及び座金4が互いに締め付けられる。
【0010】
前記パッキン3及び座金4のそれぞれには、周方向に等間隔で3つのネジ孔3a(取付孔)及びネジ孔4aが形成されている。取付部材としてのネジ5は、座金4のネジ孔4aからパッキン3のネジ孔3aに挿通され、壁2にねじ込まれてパッキン3及び座金4を壁2に固定する。
【0011】
前記パッキン3の材質は、合成ゴム又は合成樹脂等である。パッキン3は、壁2と座金4との間に介在される部分でありかつネジ孔3aが形成された座部3dと、当該座部3dにおいて外周縁の一部に形成された弦状部3cと、当該弦状部3cに連結された除去予定部3bとを有している。座部3dの外周縁において、弦状部3c以外の部分である円弧部3fの外径は、座金4の外径より若干小さい。除去予定部3bは、円盤状をなす操作部3b−1と、当該操作部3b−1を座部3dの弦状部3cに連結する、横断面積の狭い脆弱部3b−2を有している。弦状部3cは、ネジ孔3aに対して周方向にずれた位置、特に隣接する二つのネジ孔3a間の中間位置に形成されている。つまり、除去予定部3bは、ネジ孔3aに対して周方向にずれた位置で、座部3dに連結されている。
【0012】
図2(a)及び
図2(b)は、前記水栓継手1を壁2に設置する作業の途中を示し、詳しくは、ネジ5(
図1参照)がパッキン3のネジ孔3a及び座金4のネジ孔4aに挿通される前でかつ、ナット6(
図1参照)とフランジ部1b(
図1参照)との間で、壁2、パッキン3及び座金4が非常に軽く締め付けられた状態を示す。この状態でパッキン3は、座部3dの弦状部3c及び円弧部3fが、壁2と座金4とが形成する間隙内に入り込んだ状態となるとともに、除去予定部3dの操作部3b−1が当該間隙内から外方へ延出した状態となる。したがって、作業者は、操作部3b−1を手掛かりとすることで、パッキン3を周方向や径方向へ容易に位置調整でき、よって当該パッキン3のネジ孔3aを座金4のネジ孔4aに対して容易に位置合わせできる。
【0013】
図2(c)に示すように、前記パッキン3の位置調整が完了すれば、ネジ5をパッキン3のネジ孔3a及び座金4のネジ孔4aに挿通しかつ壁2にねじ込み、ナット6(
図1参照)を所定まで強く締め付けた後、操作部3b−1を強く引っ張ることで脆弱部3b−2を破断させ、除去予定部3bを座部3dから除去する。除去予定部3bは、ネジ孔3aに対して周方向にずれているため、操作部3b−1を強く引っ張ることに起因したストレスが、ネジ孔3aに作用することを抑制でき、例えばネジ孔3aの破断を防止できる。
【0014】
このようにして、前記除去予定部3bが除去されたパッキン3は、座部3dの弦状部3c及び円弧部3fが、座金4と壁2とが形成する間隙内からはみ出さないため、施工箇所は美観に優れることとなる。特に、弦状部3cは、座金4と壁2とが形成する隙間内に円弧部3fよりも深く入り込むことになるため、当該弦状部3cに発現する脆弱部3b−2の破断部分が効果的に隠されて、施工箇所の美観向上により貢献される。
【0015】
なお、上記実施形態を、次のように変更して具体化することも可能である。
・
図3(a)〜
図3(c)に示すように、弦状部3cを削除するとともに、除去予定部3bを円弧部3fに連結すること。
・
図4(a)〜
図4(c)に示すように、
図3(a)〜
図3(c)の別例を変更し、座部3dの外周縁の一部を切り欠いて、この切欠き内で座部3dに除去予定部3bを連結してもよい。このようにすれば、除去予定部3bを、円弧部3fよりも内周側で座部3dに連結することができ、除去予定部3bを弦状部3cに連結することと同等の美観向上効果を得ることができる。
・除去予定部3bを、ネジ孔3aに対して周方向へずらすことなく座部3dに連結すること。このようにすれば、操作部3b−1とネジ孔3aとが近くなるため、作業者は操作部3b−1とネジ孔3aとを同時に見易くなり、座金4のネジ孔4aとの位置合わせをさらに容易に行い得る。
【0016】
・操作部3b−1を、座部3dの周方向に複数設けること。
・操作部3b−1の外形を、楕円形状や半円形状とすること。
・操作部3b−1の外形を、三角形状や四角形状等の多角形状とすること。
・パッキン3の外径(円弧部3fの外径)は、座金4の外径と同じかもしくはそれ以上であってもよい。
・座金4の外周縁(エッジ)を切断手段として利用して、当該切断手段によって除去予定部3bを切除するようにすること。この場合、脆弱部3b−2は有ってもよいし無くてもよい。また、座金4に、除去予定部3bを切除するための専用の切断手段を設けてもよい。
【0017】
・脆弱部3b−2において座部3dとの境界部分でかつ周方向の中間位置に、円形孔又は周方向へ延在する長孔を貫通形成し、当該円形孔又は長孔のサイズ及び/又は形状を調整することで、当該脆弱部3b−2に付与する脆弱性の高低を調整すること。
・脆弱部3b−2は、周方向に形成されたミシン目や、周方向及び/又は表裏面の切り込みによって、脆弱性が付与されていてもよい。
・座部3dの全周に渡って円環状に除去予定部3bを形成してもよい。
・パッキン以外の例えばOリングやガスケット等の他の流路用環状体に具体化すること。また、シール機能以外の機能が期待される、例えばワッシャ等の他の流路用環状体に具体化すること。
・水栓継手1のフランジ部1bと壁2との間に、同様なパッキン3を介在させること。この場合、水栓継手1が流路でかつ流路部材となる。
・取付対象は壁2に限定されるもではなく、例えば床や天井等であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1…流路としての水栓継手、2…取付対象としての壁、3…流路用環状体としてのパッキン、3a…取付孔としてのネジ孔、3b…除去予定部、3b−1…操作部、3b−2…脆弱部、3d…座部、3e…貫通孔、4…流路部材としての座金、5…取付部材としてのネジ。
【要約】
【課題】流路部材を取付対象へ取り付ける際に、流路部材と取付対象との間に介在された状態にあっても、位置調整が容易な流路用環状体を提供する。
【解決手段】パッキン3は、水栓継手1を設置するための座金4を壁2へ取り付ける際に用いられる。パッキン3は、中央部に水栓継手1の通過を許容する貫通孔3eを有し、当該貫通孔3eの周囲に座部3dを有し、当該座部3dが座金4と壁2との間に介在される。座部3dの外周部には、当該座部3dから除去可能に除去予定部3bが設けられている。除去予定部3bは、座金4を壁2へ取り付ける際に、座金4と壁2とが形成する間隙内から延出した状態にあることで、作業者の手掛かりとなり得る。
【選択図】
図1