特許第6135894号(P6135894)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135894
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】災害救援物資用ダンボール箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/36 20060101AFI20170522BHJP
   B65D 5/50 20060101ALI20170522BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B65D81/36 W
   B65D81/36 V
   B65D5/50 101Z
   B65D5/54 F
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-61076(P2012-61076)
(22)【出願日】2012年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-180831(P2013-180831A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】510067153
【氏名又は名称】有限会社識スペース
(72)【発明者】
【氏名】吉識 孝史
【審査官】 種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−126021(JP,A)
【文献】 特開2010−235192(JP,A)
【文献】 米国特許第05193683(US,A)
【文献】 特開2009−132398(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/049619(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/36
B65D 5/50
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール箱であって、
前記段ボール箱はその側面の上部および下部に周方向のミシン目(6)をそれぞれ有し、
前記段ボール箱は前記各ミシン目(6)で、互いに厚みすなわち高さが等しい上部弁当箱フタ状ピース(1)と下部弁当箱フタ状ピース(2)を分離可能に構成されている
そのような段ボール箱であり、
前記段ボール箱は、当該段ボール箱に同梱された第1方向リブ用段ボールシート(11)と第2方向リブ用段ボールシート(12)を有し、
前記第1方向リブ用段ボールシート(11)は、前記段ボール箱の長手方向の内寸(B)に相当する長さと、前記上部弁当箱フタ状ピース(1)および前記下部弁当箱フタ状ピース(2)の高さ方向の内寸(D)に相当する幅を有する複数本の第1リブ(14)を切り離す複数本のリブ切り離しミシン目(13)を有し、
前記第2方向リブ用段ボールシート(12)は、前記段ボール箱の短手方向の内寸(A)に相当する長さと、前記上部弁当箱フタ状ピース(1)および前記下部弁当箱フタ状ピース(2)の高さ方向の内寸(D)に相当する幅を有する複数本の第2リブ(15)を切り離す複数本のリブ切り離しミシン目(13)を有し、
前記複数本の第1リブ(14)および前記複数本の第2リブ(15)は、当該複数本の第1リブ(14)および当該複数本の第2リブ(15)を井桁に組むための井桁組用スリット(8)をそれぞれ有する段ボール箱。
【請求項2】
前記段ボール箱は、その側面の、前記上部弁当箱フタ状ピース(1)と前記下部弁当箱フタ状ピース(2)を分離した残りの領域から、前記上部弁当箱フタ状ピース(1)および前記下部弁当箱フタ状ピース(2)の高さ方向の内寸(D)に相当する幅を有する追加リブ(4)を切り離すミシン目(6)を当該領域の周方向に有する
請求項1に記載の段ボール箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時、避難所に送られる、水や食料品などの災害救援物資の梱包に使われるダンボール箱を、現場で、簡単に、厚い敷物や衝立に加工出来るものにしたものである。
【背景技術】
【0002】
災害時の避難所は、多くが体育館や講堂、会議室など、広くて普段は立って利用する板張りや長尺シート張りなどの場所が指定されることが多い。
そこに暖房機器がなかったり、停電などにより暖房器具が使えない時、床からの冷気を防ぐ事は急務である。それを怠れば、被災者の低体温症や風邪などの病気を招きかねない。
まずは座布団替わりの厚い敷物が必要で、横になったり就寝時には、保温性だけではなく、衛生上の観点から床を這うホコリなどの吸引を防ぐ床からの高さがあるマット替りの厚い敷物が必要である。
また、被災者同士の感染症を防ぐために、衝立(仕切り)も不可欠である。不幸にして避難生活が長期にわたる場合には、プライバシーを守る為の衝立の必要が出てくる。
しかしながら、それらを確保する厚い敷物や衝立は、緊急を要する水や食料品などに対して、どうしても後回しになるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
ダンボール箱をベッド(敷物)とするものは、特許文献1に開示されている。
また、内容物取り出し後に梱包以外のもので利用するものでは、特許文献2に開示されたものがある。
現状、避難所では、単に梱包のダンボール箱をたたんで敷いたり、なんとか立てて衝立として使うことが多い。ダンボール箱をカッターなどで切り、貼り合わせることで、本発明と同様のものを作ることも可能であるが、災害の混乱の中での製作には、より困難が伴う。
【特許文献1】特開2009−5902号公報
【特許文献2】実用新案登録第3097446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の特許文献1で開示されている「ダンボール製組み立てベッド」は、それ自体を別に避難所に送る必要があり、運送の手段を浪費し、かつ、まるまるのコストが掛かる。また、仮に在庫があったとしても、災害援助物資として危急に必要な水や食料との優先度の中で、どうしても後回しになる可能性が高い。
一方、災害援助物資に使われている梱包材のダンボール箱は利用されず、多くは無駄に放置される。それを避難所で利用、より良く現場加工することも可能だが、手間のかかる作業となり、混乱の中にある避難所において、実用性、即効性に問題がある。また、ある程度の高さ(厚み)を持つ敷物にするには多くのダンボールが必要となり、厚い敷物としての強度、平面性を確保するのも困難である。衝立としても、加工方法によるが、その強度には疑問がある。
内容物取り出し後に梱包材を梱包以外のものとして利用する点では同じである特許文献2に記載のものもあるが、そもそも、これは梱包内容物のパーツとして使うもので、利用形態が違い、同列に扱うのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、係る問題を解決するために、避難所に送られる災害救援物資の梱包材である段ボール箱を、あらかじめ厚い敷物や衝立として簡単に加工出来るものとし、救援物資の運送に新たな負担を掛けずに、災害避難所の住環境を速やかに改善することが出来るものである。
また、災害救援物資に使う梱包材の段ボール箱を利用することから、コストも大幅に抑えることが出来る。
【0006】
本発明の第一の特徴は、災害避難場所において必要な厚い敷物や衝立を、簡単に現場加工できることである。
【0007】
本発明の第二の特長は、災害救援物資の梱包材である段ボール箱を使うことにより、コストを大きく掛けることなく、厚い敷物と衝立を避難民に供給し、かつ、救援物資の運送に新たな負担をかけないことにある。また、梱包材に使われている段ボールの利用率が高く、無駄を出さない特徴を持ち、同梱されるリブ用段ボールシート11・12(図2・3)は段ボール箱自体の底抜け等の補強となる。
【0008】
本発明の第三の特長は、段ボールが中芯(フルート)縦方向に強いという特徴から、座布団替わりの厚い敷物としても十分な強度があり、段ボール自体に厚みがあることから、ある程度のクション性と高い保温性があることである。また、就寝時の敷物(マット)として、素材が紙である段ボールでは湿気の吸放出も出来ることから、快適性が高い。
【0009】
本発明の第四の特長は、衝立として使うとき、市松模様(図5A)に組み立てれば強度に必要なリブが表裏に現れ、衝立として十分な強度を得ることが出来る。もし、切り取り後の弁当フタ状ピース1・2の開口部が開いていたりしても、互いにその歪みを打ち消すことで衝立としての平面性を保つことが出来る。本発明から作られる衝立は、強度と平面性があることから、個別の区画を作る、あるいは直交させて多くの区画を作ることが容易である。
また、本発明に依って作られた衝立には、リブ14・15が井桁にあることから、吸音性、遮音性も期待できる。
【0010】
本発明の第五の特徴は、作られた厚い敷物や衝立が段ボール製であることから、使用後の処理、リサイクルが容易であることである。段ボールのリサイクルは確立されており、それと同じ処理が可能である。
本発明の第六の特徴は、段ボール箱の大きさ、A式(みかん箱)B式(上下挿し込み)などのフラップ形状等ダンボール箱の形式に因われることなく、制作が可能であることである。
弁当箱フタ状になるものなら、例えば、上下だけダンボールでシュリンクやバンドで留めるタイプ、たとう式等いかなる形状であっても対応が可能である。
救援物資用には様々な大きさ、形式の段ボール箱が存在するが、弁当箱フタ状ピース1・2の高さ(内寸)Dを同じにすれば、敷物としての厚みの共通化がはかれ、このことは特にマットとして利用する場合に重要な点である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の災害救援物資用ダンボール箱は、災害用に備蓄される食料や水の梱包に予め使うことにより、避難場所に最優先に送られる水や食料と共に、避難所における厚い敷物や衝立を送ることになり、かつ救援物資運送に対する負担が無く、速い時点で避難所の生活環境を改善することが出来ることにある。また、その後に継続される救援物資にも本発明を利用することで、大きなコストをかけること無く、住環境を良好なものに変えることが出来る。
本発明のもう一つの意義は、避難所に送られる他の段ボールを利用し、様々な工夫によって避難生活の改善に使える、という意識を啓蒙できる点にもある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態の斜視図である
図2】中芯A方向リブ用段ボールシート加工図
図3】中芯B方向リブ用段ボールシート加工図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明の災害物資用ダンボール箱について、厚い敷物や衝立として実施の形態、概容、利用方法、およびそれらの詳細を述べるが、本発明の範囲はこれらに限定されないものである。
【実施例】
【0014】
本発明は段ボール箱の上下部を弁当箱フタ状ピース1.2とし、それにリブ14・15(図2・3)を井桁に組み込み、さらなる強度の為に追加リブ4を組み合わせ、それを厚い敷物、あるいは衝立として利用するものである。
本発明の製造は既存の段ボール箱製造法で可能である。
【0015】
以下に本発明の使い方(組み立て方)を、図1・2・3・4・5を参照して説明する。
まず、厚い敷物(座布団、マット)とする使い方を示す(図4)。
梱包した段ボールの開封は、開封切り離し部3を剥がして切り取り、上部弁当フタ状ピース1を外し、梱包された内容物10を取り出す。次に下の追加リブ4用部分をミシン目6で切り離し、下部弁当フタ状段ボール2を分離する。
一組、あるいは数組同梱されたリブ用段ボールシート11・12(図2・3)をリブ切り離しミシン目13でリブ14・15(長さはAとB)を切り離し、それぞれを井桁に組んで、弁当箱フタ状ピース1・2にはめ込む(図4A)。
厚い敷物として利用する場合で強度が足りない時は、切り離した追加リブ4を適宜に切り、井桁の升目の中に丸めてはめ込む(図4A)。
井桁に組んだリブ14・15と追加リブ4(図4A)が落ちないようにテープ等で止め、厚い敷物のひとつの部品として完成し、裏返して使用する。単品では座布団(図4A)、連結、貼り合わせてマット(図4B)とする。連結には両面テープ7を利用する。
次に衝立としての使い方(組み立て方)を示す。
上下の弁当箱フタ状段ボール1・2を上記と同じに切り離し、弁当フタ状ピース1・2にリブ用段ボールシート11・12をリブ切り離しミシン目13で切り離したリブ14・15を図4Aと同様、井桁に組み込んだものが、衝立の一つの部品となり、それを裏表交互に市松状に貼りあわせ組んで衝立とする(図5A)。連結には両面テープ7を利用する。
衝立を組み合わせ、個別のブースを作るときは、リブ用段ボールシート11・12(図2・3)あるいは追加リブ4をリブ2連で切り離し、真ん中で折って衝立端部に両面テープ7を使って貼りつけ衝立を直交させる(図5B
【0016】
基本的な使い方を踏まえたうえで、あらかじめ段ボール箱に施す加工について述べる。
加工寸法は弁当箱フタ状ピース1・2の内寸高さDが基本となる。リブ用段ボールシート11・12(図2・3)から切り離すリブ14・15、追加リブ4の切り離し幅は、全てDと同じとする(図1・2・3)。
段ボールの縦強度は中芯方向9に依って大きく違うので、その方向に留意する必要がある。段ボールの外箱(図1)では段ボール高さ方向を中芯方向9とし、結果、上下弁当フタ状ピース1・2の内寸D方向、追加リブ4の幅(D)方向が中芯方向9になる。
一組以上同梱されるリブ用段ボールシート11・12(図2・3)は、ダンボール箱の内寸(内のり寸法)A・Bが外寸となる。井桁に組む為にミシン目13で切り離されたリブ14・15の幅(D)は同じだが、切り離し方向は直行し、長さは中芯A方向リブ用段ボールシート11(図2)ではBとなり、中芯B方向リブ用段ボールシート12(図3)ではAとなる。また、縦強度の確保の為、リブ14・15の中芯方向9は、いずれも切り離し幅(D)方向とし、リブ用段ボールシート11・12(図2・3)の外寸は同じだが、中芯方向9は直交する。
リブ用段ボールシート11・12(図2・3)から切り離したリブ14・15を井桁に組むための井桁組用スリット8は、弁当フタ状ピース1.2の高さ(内寸)Dと共通である切り離し幅(D)の2分の1の長さとなり、そのスリット幅は用いる段ボール厚に依る。
次にそれぞれのリブ用段ボールシート11・12(図2・3)のリブ14・15の数、井桁組用スリット8の数、寸法割り振りについて述べる。
以下の記述は、本発明の災害救援物資用段ボールが、上下の弁当箱フタ状段ボール1・2が2つ取れ、リブ用段ボールシート11・12(図2・3)が一組同梱され、それぞれ取れるリブ14・15の数が複数である場合である(図1・2・3)。この条件が変われば、数、寸法割りは適宜対応する必要がある(図4・5にあるようなリブの数になる場合など)。
中芯A方向リブ用段ボールシート11(図2)で取れるリブ(長さB)14の数は、A寸法をDで割った数(+余り)となる。弁当フタ状段ボール1・2は2つ取れる(図1)ので、リブ(長さB)14はそれぞれに半数づつ使うことになる。それで、井桁組用スリット8の数は、中芯B方向リブ用段ボールシート12(図3)で取れるリブ(長さA)15の数の半分となり、そのスリット間隔Eは、中芯B方向リブ用段ボール12(図3)で取れるリブ数の半分に1を足した数で割った寸法となる。
中芯B方向リブ用段ボールシート12(図3)のリブ(長さA)15の数は、B寸法をDで割った数(+余り)となり、上記と同じく、その井桁組用スリット8の数は、中芯A方向リブ用段ボールシート11(図2)で取れるリブ14の数の半分となり、そのスリット間隔Eは、中芯A方向リブ用段ボールシート11(図2)のリブ数の半分に1を足した数で割った寸法となる。
本発明の段ボール箱には1組以上のリブ用段ボールシート11・12(図2・3)を同梱するが、弁当箱フタ状ピース1・2の大きさ、使用する段ボール強度や出来上がる厚い敷物に求める強度に応じて、その組数を増やし、リブ14・15の枚数を増やして、組んだ井桁の間隔を小さくし強度を上げることが出来る。その場合は井桁組用スリット8の数が増えスリット間隔Eも狭まる。
追加リブ4は、ダンボール箱の高さ(内寸)Cから、弁当フタ状ピース1・2の高さ(内寸)D×2と切り離し部3の幅を引いたのものがDより大きくなる場合に設定できる(図1)。
【0017】
上下の弁当箱フタ状ピース1・2に予め両面テープ7を貼っておくと、組み立てが容易となる。その際、弁当フタ状ピース1・2の厚さの中心部では無く、それぞれ上と下にずらして貼付すると、衝立として市松に組み立てて使用する場合、接着面積が広くなり、強度が得やすい(図5)。
【0018】
タトウ式のダンボール箱等、薄いもので、追加リブ4を取ることができない場合、リブ用段ボールシート11・12(図2.3)を追加(同梱)するのみで良い。
【0019】
リブ用段ボールシート11・12(図2.3)は、ダンボール箱の生産時に出る余りのシートが段ボール箱間口(内寸)A及び段ボール箱奥行(内寸)Bより長く、かつ、中芯方向の幅がリブ幅Dより大きければければ、それを使うことも可能で、それによって、コストをさらに下げることが出来る。
【0020】
本発明は段ボール箱を畳んだ状態で備蓄も可能である。そのまま避難所に送れば、厚い敷物や衝立を供給することになり、むろん、救援物資を梱包し送るともできる。
【符号の説明】
【0021】
1) 上部弁当フタ状ピース
2) 下部弁当フタ状ピース
3) 開封切り離し部
4) 追加リブ
5) 梱包テープ
6) 切り離しミシン目
7) 両面テープ
8) 井桁組用スリット
9) 段ボール中芯方向
10)梱包内容物
11)中芯A方向リブ用段ボールシート
12)中芯B方向リブ用段ボールシート
13)リブ用段ボールシートのリブ切り離しミシン目
14)リブ(長さB)
15)リブ(長さA)
A) ダンボール箱間口(内寸)
B) ダンボール箱奥行(内寸)
C) ダンボール箱高さ(内寸)
D) 弁当フタ状ピース高さ(内寸)、リブ幅、補強リブ幅
E) スリット間隔
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B