(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【実施例1】
【0029】
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0030】
図1乃至
図8には、この発明の実施の形態1を示す。
【0031】
図1は、本発明の太陽熱集熱器5と温水放熱パイプ47と地中熱回収パイプ31、35、40、42を利用した、住宅1の立体解説図である。以下に、太陽熱と地中熱と風呂の温かい残り湯を利用した住宅の冷暖房システムを説明する。
【0032】
図1は、本発明のアース・ソーラーシステムを分かりやすく説明するため、アース・ソーラーシステムを組み込んだ住宅1を立体解説図で示したものである。屋根2の上に太陽熱集熱器5を設置すると共に、基礎底盤23の上部には温水放熱パイプ47を設置し、この温水放熱パイプ47に風呂15の温かい残り湯を供給するため、風呂15の排水パイプ53に電気切替弁52を取付け、風呂15の温かい残り湯を温水放熱パイプ47に供給する場合は、電気切替弁52のスイッチ(図示せず)を排水パイプ46方向から温水放熱パイプ47方向に切り替える事により、風呂15の温かい残り湯が温水放熱パイプ47に供給される。さらに、基礎底盤23の四隅には2本の塩ビパイプ(4mの塩ビパイプ)の下部を塩ビ製の90°エルボと塩ビパイプで継いで、下部をU字形(
図2の拡大図で示す)に構成した4組の塩ビパイプの地中熱回収パイプ31、35、40、42が、両端を基礎底盤23より1階床下内部に突き出すように地中に埋設され、地中熱回収パイプ31の1階床下内部に突き出した塩ビパイプの先端には塩ビ製の90°エルボ24、90°エルボ26が取付けられ、塩ビ製の90°エルボ26の先端には送風機27が取付けられる。同様に、地中熱回収パイプ35の1階床下内部に突き出した塩ビパイプの先端には塩ビ製の90°エルボ32、90°エルボ33が取付けられ、塩ビ製の90°エルボ33の先端には送風機37が取付けられる。同様に、地中熱回収パイプ40の1階床下内部に突き出した塩ビパイプの先端には塩ビ製の90°エルボ16、90°エルボ17が取付けられ、塩ビ製の90°エルボ17の先端には送風機56が取付けられる。同様に、地中熱回収パイプ42の1階床下内部に突き出した塩ビパイプの先端には塩ビ製の90°エルボ48、90°エルボ49が取付けられ、塩ビ製の90°エルボ49の先端には送風機50が取付けられると共に、地中熱回収パイプ31、35、40、42を構成する2本の塩ビパイプに取付けた塩ビ製の90°エルボの空気取入口と空気吐出口を互いに直角になるように構成し、隣り合う4組の地中熱回収パイプの空気排出口と、空気取入口が互いに向き合うように配置される。
【0033】
さらに、太陽熱集熱器5の集熱盤10で暖められた屋根2と集熱盤10の間の空気が上昇して集熱箱3に集められ、室内ダクト13に取付けられた送風機19を稼動させる事により、集熱箱3に集められた外気は外気導入ダクト6から室内に取付けられた室内ダクト13を経由して1階床下内部に給気される。この場合、集熱箱3に取付けられ断熱材で囲まれた外気導入ダクト6の内部の外気は、冬期の冷たい外気による温度低下を防ぐため、屋根2の直下の壁面から室内に導入し、断熱材で囲まれた室内ダクト13を経由して矢印18で示すように1階床下内部に給気される。
【0034】
さらに、風呂15で利用した後の温かい残り湯は、排水パイプ53に取付けられた電機切替弁52(排水パイプ53の中の排水を、排水パイプ46方向、又は温水放熱パイプ47方向へ流すための電気モーターを使用した排水経路の切替弁)を温水放熱パイプ47方向に切り替える事により風呂15の温かい残り湯は温水放熱パイプ47に流れ込み、温水放熱パイプ47の中に溜湯(
図7で詳細に説明する)され1階床下内部の空間を暖める。
【0035】
さらに、
図6で示すように、送風機27、37、50、56を稼動させる事により、地中熱回収パイプ31が吸い込んだ1階床下内部の空気は、地中熱回収パイプ31の中を矢印30方向から矢印29方向に流れて地中熱により温度調整され、送風機27により1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印28方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度が均一になるように調整され、塩ビ製の90°エルボ32から再び地中熱回収パイプ35に吸い込まれ、地中熱回収パイプ35の中を矢印34方向から矢印36方向に流れて地中熱により温度調整され、送風機37により1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印44方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度が均一になるように調整され、塩ビ製の90°エルボ48から再び地中熱回収パイプ42に吸い込まれ、地中熱回収パイプ42の中を矢印43方向から矢印41方向に流れて地中熱により温度調整され、送風機50により1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印51方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度が均一になるように調整され、塩ビ製の90°エルボ16から再び地中熱回収パイプ40に吸い込まれ、地中熱回収パイプ40の中を矢印39方向から矢印38方向に流れて地中熱により温度調整され、送風機56により1階床下内部に排出される。このようにして1階床下内部に排出された空気は矢印22方向に送風され、1階床下内部の空気と混ぜ合わされて温度が均一になるように調整され、塩ビ製の90°エルボ24から再び地中熱回収パイプ31に吸い込まれる。このように基礎底盤23の四隅に配置された地中熱回収パイプ31、35、40、42の空気取入口(塩ビ製の90°エルボ24、32、48、16)と、地中熱回収パイプの空気排出口(塩ビ製の90°エルボ26、33、49、17)を、互いに向き合うように構成する事により、1階床下内部の空気は、床下内部の場所によって澱む事が無くまぜ合わされ、床下内部の空気の温度が何れの場所でも均一になるように調整される。
【0036】
さらに、1階床下の基礎底盤23の四隅に、地中熱回収パイプ31、35、40、42を互いに離して埋め込む事により、地中内部において地中熱回収パイプから発生する熱による、お互いの地中熱回収パイプ同士による熱干渉を少なくする事が可能となる。特に、狭小地に地中熱回収パイプを埋め込む場合、地中熱回収パイプ同士の熱による熱干渉により、地中の温度が変化(夏期には暑い外気を地中熱回収パイプに送り込むため地中の温度が上昇し、冬期には寒い外の外気を地中熱回収パイプに送り込むため地中の温度が下がる)してしまい、地中熱回収パイプのメリットが減少する事となる。
【0037】
このように、地中熱回収パイプ31、35、40、42に各々1台の送風機を取付け地中熱を回収した事により地中熱を効率良く回収する事が可能となった。さらに、それぞれの地中熱回収パイプ31、35、40、42に独立して1台づつ送風機を取付けた事により、1階床下内部の空気の温度が、夏(冬)の初めに冷え(暖か)すぎる場合には、4本の地中熱回収パイプ31、35、40、42の内の数本のみ稼動させ、他の地中熱回収パイプの稼動を停止させる事により、1階床下内部の温度を調節する事が可能となった。なお、当社では、この発明の実施の形態1で説明している地中熱回収パイプを4組み使用したアース・ソーラーシステムは、述べ床面積40坪迄の住宅仕様とし、それ以上の述べ床面積の住宅の場合には、述べ床面積に応じて地中熱回収パイプを増設して対応している。
【0038】
本発明において、地中熱回収パイプ31、35、40、42には内径100ミリメートルの塩ビパイプを使用し、地中に埋め込む深さは約4メートルである。その理由は、塩ビパイプの標準的な長さは4メートルで入手しやすい上に価格が安く、さらに関東地区の地中4〜5メートルの温度は、年間を通して約17℃〜19℃と温度変化が少ないためです。ちなみに、東京都足立区大谷田の、当社ショールーム(地下室付)で、毎日、地中1メートル、3メートル、5メートルの地中温度を測定しているが、その測定結果によると地中5メートルの地中温度は、毎年5月〜6月の間で最低温度の17.1℃となり、11月〜12月の間で最高温度の19.3℃となる。外気の最低気温(2月頃)に対して地中5メートルの最低温度が5月〜6月となるのは、地表面の温度が地中に浸透するのに時間がかかるためである。夏期の場合も同様である。
【0039】
さらに、地中熱回収パイプ31、35、40、42を地中に埋設する際は、小型重機(穴堀建柱車等)にオーガーを取付け、オーガーで地中に穴を掘り、その穴に地中熱回収パイプを埋め込むため、工期を短縮し安価に施工する事が可能である。
【0040】
なお、一般的な住宅の1階床下の基礎は、1階床下内部に湿気が溜まるのを防ぐため、外気と1階床下内部の空気が常に通気するように、基礎と土台の間に通気基礎パッキンを使用しているが、本発明においては、1階床下内部を外気温度調整槽として利用するため、ベタ基礎を施工し、外気が1階床下部に直接流入しないように、基礎と建物の土台の間に気密基礎パッキンを使用し、1階床下内部が外気と通気せず密封状態となるように施工する。
【0041】
以上のような構成において、
図2において冬期における居室の弱温風運転について説明する。
【0042】
最初に、一般的な全熱交換型換気扇の使用方法では、全熱交換型換気扇の内部で熱交換を終えた新鮮な外気は居室に給気されるが、本発明のアース・ソーラーシステムでは全熱交換型換気扇の内部で熱交換を終えた新鮮な外気を1階床下内部90に給気する方法について説明する。1階の居室Aの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇72に吸い込まれダクト74を経由してフード83から室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇72が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、フード83から室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇72の内部で熱交換されると共に、全熱交換型換気扇72が吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全てダクト78を経由して1階床下内部90に供給される。同様にして、2階の居室Bの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇67に吸い込まれダクト68を経由してフード75から室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇67が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、フード75から室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇67の内部で熱交換されると共に、全熱交換型換気扇67が吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全てダクト70を経由して1階床下内部90に供給される。
【0043】
このように、全熱交換型換気扇67、72を使用する事により、冬期における室内の暖かい空気を、外の冷たい外気と入れ替える(換気する)際に、室内の暖かい空気の温度が下がるのを最小限に抑える事が可能となる。ちなみに、三菱電機株式会社のホームページでは、ロスナイ(全熱交換型換気扇の商品名)の熱交換機能を、「外気温度0℃、室内温度20℃、温度交換効率75%の場合」、室内温度20℃の空気をロスナイで換気した場合、外気(0℃)の空気の温度は熱交換機の働きで15℃となって室内に給気(新鮮空気)されると説明している。
【0044】
つづいて、このようにして1階床下内部90に供給された全熱交換型換気扇67、72からの外気(室外側吸込空気)が、どのようにして1階床下内部90で熱交換されて弱温風になるかを説明する。
【0045】
ダクト70、78から供給された全熱交換型換気扇67、72からの外気は、1階床下内部90の空気と混ざり合い、地中熱回収パイプ92に取付けられた送風機93を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印91方向から地中熱回収パイプ92に吸い込まれ、地中熱回収パイプ92の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機93により矢印94方向に示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ96に取付けられた送風機97を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印95方向から地中熱回収パイプ96に吸い込まれ、地中熱回収パイプ96の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機97により矢印98方向に示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ100に取付けられた送風機101を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印99方向から地中熱回収パイプ100に吸い込まれ、地中熱回収パイプ100の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機101により矢印102方向に示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ105に取付けられた送風機109を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印104方向から地中熱回収パイプ105に吸い込まれ、地中熱回収パイプ105の中で地中熱により暖められて弱温風となり、送風機109により矢印110方向に示すように1階床下内部90に排気される。
【0046】
さらに、冬期では、風呂123で利用した後の温かい残り湯を、電気切替弁115で矢印116方向に示す温水放熱パイプ82に流すように切り替える事により、風呂の123の温かい残り湯が温水放熱パイプ82に溜湯される。このようにして温水放熱パイプ82に溜湯された温かい風呂123の残り湯により1階床下内部90の空気が暖められる。なお、温水放熱パイプ82の長さは風呂123の浴槽の湯量を基にして決める事により、風呂123の温かい残り湯を無駄なく活用する事が可能になると共に、温水放熱パイプ82から溢れ出る、温水放熱パイプ82の中の冷めた風呂の残り湯は、温かい風呂123の残り湯に押し出されて矢印81方向から矢印113方向に流れ排水溝111に排水される。このように構成する事により、常に温水放熱パイプ82の中の冷めた残り湯が押し出され、温水放熱パイプ82の中は温かい風呂123の残り湯で満たされる。
【0047】
このようにして、風呂123で使用した後の温かい残り湯を、1階床下内部90の基礎底盤89の上に設置した温水放熱パイプ82に流して溜湯させる事により、地中熱回収パイプ92、96、100、105の中で地中熱により暖められた1階床下内部90の空気は、さらに温水放熱パイプ82の中の風呂123の温かい残り湯により暖められる。
【0048】
さらに、屋根66の上に取付けた太陽熱集熱器61の集熱盤64と屋根66の間の空気が太陽光により暖められ上昇して集熱箱63に集められ、送風機(
図1で説明した送風機19)を稼動させる事により外気導入ダクト65と、室内に取付けられた室内ダクト(
図1で説明した室内ダクト13)を経由して1階床下内部90に供給される。この場合、集熱箱63に取付けられ断熱材で保温された外気導入ダクト65は、冬期の寒い外気による温度低下を防ぐため屋根66の直下の壁面から室内に導入するように施工し、断熱材で保温された室内ダクトを経由して1階床下内部90に供給する事により、さらに1階床下内部90の空気を暖める。
【0049】
このように、1階床下内部90で弱温風となった外気は、1階床を暖める事により1階の居室Aを暖めると共に、弱温風となった1階床下内部90の空気は、1階床下に取付けられた送風機87を稼動させる事により、ガラリ86から矢印85方向に給気されて1階室内を暖め、さらに1階床下内部90から2階床に配管されたダクト120の送風機117を稼動させる事により、1階床下内部90の弱温風はダクト120を経由してガラリ121より矢印122方向に給気され2階の居室Bを暖める。
【0050】
このように、冬期においては風呂123で利用した後の温かい残り湯を、1階床下内部90の基礎底盤89の上部に設置した温水放熱パイプ82に流して溜湯させる事により、曇りや雨の日が続いた場合でも、地中熱回収パイプ92、96、100、105の中で地中熱により暖められた1階床下内部90の空気を、さらに温水放熱パイプ82の中の温かい風呂の残り湯で暖め、弱温風として1階の居室A、2階の居室Bに給気する事が可能となる。
【0051】
つづいて、
図3において夏期における居室の弱冷風運転について説明する。
【0052】
最初に、一般的な全熱交換型換気扇の使用方法では、全熱交換型換気扇の内部で熱交換を終えた新鮮な外気は居室に給気されるが、本発明のアース・ソーラーシステムでは全熱交換型換気扇の内部で熱交換を終えた新鮮な外気を1階床下内部90に給気する方法について説明する。1階の居室Aの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇72に吸い込まれダクト74を経由してフード83から室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇72が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、フード83から室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇72の内部で熱交換されると共に、吸い込んだ室外側吸込空気(新鮮な空気)は全てダクト78を経由して1階床下内部90に供給される。同様にして、2階の居室Bの室内側吐出空気(よごれた室内空気)は、全熱交換型換気扇67に吸い込まれダクト68を経由してフード75から室外に排気される。その際、全熱交換型換気扇67が排気する室内の空気(室内側吐出空気)と、フード75から室内に給気する外気(室外側吸込空気)とが全熱交換型換気扇67の中で熱交換されると共に、吸い込まれた室外側吸込空気(新鮮な空気)は全てダクト70を経由して1階床下内部90に供給される。
【0053】
このようにして、全熱交換型換気扇67、72を使用する事により、夏期における涼しい室内の空気を、外の暑い外気と入れ替える(換気する)際に、涼しい室内の空気の温度の上昇を最小限に抑える事が可能となる。
【0054】
つづいて、このようにして1階床下内部90に供給された全熱交換型換気扇67、72からの外気(室外側吸込空気)が、どのようにして1階床下内部90で熱交換されて弱冷風になるかを説明する。ダクト70、78から供給された全熱交換型換気扇67、72からの外気は、1階床下内部90の空気と混ざり合い、地中熱回収パイプ92に取付けられた送風機93を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印91方向から地中熱回収パイプ92に吸い込まれ、地中熱回収パイプ92の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機93により矢印94方向で示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ96に取付けられた送風機97を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印95方向から地中熱回収パイプ96に吸い込まれ、地中熱回収パイプ96の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機97により矢印98方向で示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ100に取付けられた送風機101を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印99方向から地中熱回収パイプ100に吸い込まれ、地中熱回収パイプ100の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機101により矢印102方向で示すように1階床下内部90に排気される。同様にして、地中熱回収パイプ105に取付けられた送風機109を稼動させる事により、1階床下内部90の空気は、矢印104方向から地中熱回収パイプ105に吸い込まれ、地中熱回収パイプ105の中で地中熱により冷やされて弱冷風となり、送風機109により矢印110方向で示すように1階床下内部90に排気される。
【0055】
このようにして、1階床下内部90で弱冷風となった外気は、1階床を冷やす事により1階の居室Aを冷やすと共に、弱冷風となった1階床下内部90の空気は、1階床下に取付けられた送風機87を稼動させる事により、ガラリ86から矢印85方向に示すように1階の居室Aに給気され1階室内を冷やす。さらに1階床下内部90から2階床に配管されたダクト120に取付けられた送風機117を稼動させる事により、1階床下内部90の弱冷風はダクト120を経由してガラリ121から矢印122方向に示すように2階の居室Bに給気され2階の居室Bを冷やす。
【0056】
なお、夏期においては、電気切替弁115を切り替え、風呂123の残り湯を矢印124方向に排水する事により、1階床下内部90の基礎底盤89の上部に設置した温水放熱パイプ82に風呂123の残り湯を供給せず、夏期においては温水放熱パイプ82は利用しない。さらに
図1で説明した太陽熱集熱器5の室内ダクト13に取付けられた送風機19を停止し、送風機19の送風口に断熱材を取付けたキャップを取付けて送風口を塞ぎ、太陽熱集熱器5からの暖かい温風が1階床下内部90に流れ込まないようにする。
【0057】
図4は、本発明における住宅60を、次世代省エネタイプの断熱材で施工(構成)した状態を示す。屋根の断熱に関しては、屋根断熱材130(一般的には、厚さ160mmの発泡ウレタン)を屋根裏側に施工する。外壁の断熱に関しては、外壁断熱材131(一般的には、厚さ75mmの発泡ウレタン)を壁内部に施工する。窓のサッシに関しては、各社から発売されている断熱等級4(次世代省エネタイプ)の断熱樹脂サッシ132を使用する。基礎の断熱に関しては、基礎外断熱材133(一般的には、厚さ50mmの発泡スチロール板)を基礎コンクリートの外側に施工したあと、発泡スチロール板の外側に無収縮コンクリートを厚さ10〜20ミリメートル施工する。但し、ここに書かれた断熱材の種類と材質に関しては、例えば、発泡スチロール板であっても、密度の違いにより断熱効果に変化が生じるため、同一メーカーであっても、密度により厚さが変わる場合がある。なお、次世代省エネタイプの住宅においては、1階床下、1階天井裏、2階天井裏に断熱材を施工しているが、本発明においては、住宅の各々室内同士の温度を出来るだけ均一に保つため、1階床下1や1階天井裏、2階天井裏には断熱材を施工しない。本発明における住宅60の断熱性能に関しては、最大限の省エネ効果を得るためにも、
図4で説明した次世代省エネタイプの断熱を必ず施工する事が必要である。
【0058】
つづいて、
図5により、全熱交換型換気扇142の機能と、全熱交換型換気扇142の設置場所について説明する。
【0059】
図5bに示すように、全熱交換型換気扇本体136の下面には室内空気取込口141が設けられ、室内空気取込口141から吸い込まれた室内の空気は、排気用配管140を経由して排気139方向(室外)に排気され、その際、全熱交換型換気扇142が排気139する室内の空気(室内側排出空気)と、外気取込配管137を経由して全熱交換型換気扇142に吸い込まれる外気138とが全熱交換型換気扇本体136の内部で熱交換されると共に、吸い込まれた外気138は4本の給気パイプ144に分岐されて各居室に給気143されるように構成される。
【0060】
このように構成された全熱交換型換気扇142を、
図5a(
図2、
図3で説明した符号と同一符号で説明する)で示すように1階の天井部分に全熱交換型換気扇72(
図5bで説明した全熱交換型換気扇142と同一製品)を取付け、全熱交換型換気扇72を稼働させる事により、居室Aの室内空気が矢印80方向から廊下Eに流れ込み全熱交換型換気扇72に吸い込まれ、吸い込まれた室内空気はダクト74を経由して室外に排気されると共に、全熱交換型換気扇72内部で新鮮な外気と熱交換され、全ての給気はダクト78を経由して1階床下内部90に供給される。同様に、2階の天井部分に全熱交換型換気扇67(
図5bで説明した全熱交換型換気扇142と同一製品)を取付け、全熱交換型換気扇67を稼働させる事により、居室Bの室内空気が矢印73方向から廊下Dに流れ込み全熱交換型換気扇67に吸い込まれ、吸い込まれた室内空気はダクト68を経由して室外に排気されると共に、フード75から吸い込まれた外気は全熱交換型換気扇67内部で熱交換され、全ての外気はダクト70を経由して1階床下内部90に供給される。このようにして1階床下内部90に供給された新鮮な外気は、
図2、
図3で説明したように、1階床下内部90よりダクトとガラリを経由して1階の居室A、2階の居室Bに給気される。このようにして、各階に全熱交換型換気扇を1台づつ設置する事により、居室のみならず廊下も含めて建物全体の室温調節が可能となるばかりでなく、さらにフィルターの清掃作業も各階1台の清掃で済むようになる。
【0061】
図7は、
図1で説明した基礎底盤23の上部に設置した温水放熱パイプ47を示す。温水放熱パイプ47は、
図1乃至
図3で説明したように1階床下内部の基礎底盤23の上部に設置され、1階床下内部を均等に暖めるように基礎に沿って四角形状になるように構成され、温水放熱パイプ47の高さを調整するため、
図7bで示すように、下部が平板状の台座168(鋼板)とネジ山164のある2本の受けボルト166で形成され、その受けボルト166にナット165を取付け、ナット165の上部に、温水放熱パイプ47の塩ビパイプ154を受止めるためのU字形をした受台167の左右に開けた穴を2本のネジ山164に挿入し、受台167に塩ビパイプ154を乗せ、基礎底盤23から塩ビパイプ154までの高さを揃えるため、ナット165で受台167の高さを調整し、基礎底盤23から塩ビパイプ154の高さを同一高さになるように調整したあと、逆U字形をして左右に受けボルト166を通すための穴161が開けられた固定カバー162を塩ビパイプ154に被せナット163で受台167と固定カバー162を固定する。このように、複数のパイプ固定用台座156で温水放熱パイプ47の塩ビパイプ154を支える事により、温水放熱パイプ47の傾きを水平に調整する事が出来るようになり、風呂15の温かい残り湯が偏る事なく温水放熱パイプ47の中に滞留する事が出来るようになった。
【0062】
さらに、基礎底盤23の上部に配置された塩ビパイプ154の両端に、塩ビキャップ148、塩ビキャップ149を取付け塩ビパイプ154の両端を塞ぐと共に、風呂15の排水が流れ込む温水放熱パイプ47の先端部と電気切替弁52を、
図7cで示すように電気切替弁52の排水口の底部の高さと、塩ビパイプ154の底部の高さが同一高さになるように高さを調整した上、塩ビの接続パイプ169で接続する事により、風呂15の排水がスムーズに温水放熱パイプ47に流れ込む事が出来るようになる。さらに温水放熱パイプ47の後端部は、
図7dで示すように塩ビパイプ154の内部の上部が、逆U字形トラップ158の頂点の内部の下部と同一高さになるように逆U字形トラップ158を構成し、排水パイプ46と塩ビパイプ154を逆U字形トラップ158で接続する事により、風呂15から流れ出た温かい風呂15の残り湯が温水放熱パイプ47の中の冷めた風呂15の残り湯を逆U字形トラップ158から押し出し、冷めた風呂15の残り湯は排水パイプ46を経由して排水溝45に排水され、温かい風呂15の残り湯は塩ビパイプ154の中に溜湯される。
【0063】
図8は、
図1で説明した屋根2の上に設置する太陽熱集熱器5の構造を示す。太陽熱集熱器5の集熱盤10は、黒色のガルバリウム鋼板の両端を、屋根2と集熱盤10の間の隙間が約3cmになるようにコの字形に折り曲げ(折曲部180で示す)、集熱盤10の太陽光を受ける面には、集熱盤10を補強するためプレス機で約6mmの凸状の補強用折曲部175を形成し、集熱盤10の上部に位置する上端の接合部174には、集熱盤10と集熱箱3を接合するための複数の穴173を開けると共に、集熱箱3は黒色のガルバリウム鋼板を四角形の直方体に折り曲げ、集熱盤10の接合部174と重ねて接合するため、集熱箱3が集熱盤10の接合部174が接合する部分に約3cmの開口部を開けL形形状の接合部178を形成したうえ、集熱盤10に開けられた穴173に対応する位置に穴172を開け、集熱箱3の一方の直方体の部分はガルバリウム鋼板を折り曲げて塞ぎ、他方は、ガルバリウム鋼板を折り曲げて給気口176を開け、集熱箱3の接合部178と集熱盤10の接合部174を重ねて複数のビス171で固定したあと、接合部178と接合部174の接合部分をコーキング材で塞ぎ、このように構成した太陽熱集熱器5を屋根2の上に固定し、サイド部179と屋根2の隙間をコーキング材で塞ぎ、給気口176に外気導入ダクト6の取付部177を固定する事により、集熱盤10と屋根2の間の外気導入口11から外気が給気され、太陽光により集熱盤10と屋根2の間で暖められた外気は上昇して集熱箱3に集められ、このようにして集熱箱3に集められた暖かい外気は、
図1で説明した送風機19を稼動させる事により外気導入ダクト6を経由して1階床下内部に給気される。なお、当社の埼玉県さいたま市緑区にある浦和支所の展示場において、本発明の太陽熱集熱器5を設置して温度測定を実施しているが、真冬(2月)の日中の外気温度が10℃の場合でも、日当たりの良い日中10時〜14時の時間帯において集熱箱3内の温度は約45度Cに達し、1時間当たり230立米の空気を送風する送風機を連続使用して集熱箱3内の空気を1階床下内部に給気しても、集熱箱3内部の外気の温度は下がらず約45度Cを保ったまま温度低下しない。この事実からも、冬期においては太陽熱集熱器を利用して1階床下内部に蓄熱する事により、夜間においても1階床下内部が暖かく保たれ、電気、ガス、石油等のエネルギーの消費を削減すると共に、省エネに大きく貢献する事が出来るようになった。
【実施例2】
【0064】
以下、この発明の実施の形態2について説明する。
[発明の実施の形態2]
【0065】
図9、
図10は、この発明の実施の形態2を示す。上記発明の実施の形態1では、
図2(冬期)、
図3(夏期)の何れの季節においても、1階床下内部90の空気を1階の居室Aに給気する場合、1階床に穴を開け、その穴の床上部にガラリ86を取付けると共に、穴の床下内部に送風機87を取付け、送風機87を稼動させる事により1階床下内部90の空気を1階の居室Aに給気し、さらに1階床下内部90の空気を2階の居室Bに給気する場合は、1階床下内部90から2階床部にダクト120を取付け、ダクト120の2階床部にガラリ121を取付けると共に、1階床下内部90に送風機117を取付け、送風機117を稼動させる事により1階床下内部90の空気を2階の居室Bに給気していたのに対して、この発明の実施の形態2では、
図9、
図10で示すように、1階床下内部214から1階の居室Dと2階の居室Eに連通するダクト217を取付け、そのダクト217の1階の居室Dの天井下部に送風機216とガラリ215を取付けると共に、ダクト217の2階の居室Eの天井下部に送風機221とガラリ220を取付け、送風機216、221を稼動させる事により、1階床下内部214の空気を1階の居室Dと2階の居室Eに給気するように構成した。
【0066】
このように構成する事により、
図10で示す夏期の弱冷風運転において、1階床下内部214の空気をダクト217を経由して1階の居室Dと2階の居室Eの天井下部から給気する事が可能となり、弱冷気を居室の天井部分から床面に向かって給気する事により、冷房効果が一層増して効率よく居室を冷やす事が可能となる。なお、このように夏期において1階床下内部214の空気をダクト217を経由して1階の居室Dと2階の居室Eに給気する際は、1階の居室Dのガラリ199と2階の居室Eのガラリ218に蓋を取付け、送風機200と送風機211の稼動を停止させる。
【0067】
さらに、
図9で示すように、冬期において1階床下内部214の空気を、1階床下内部214の送風機200、送風機211を稼動させて1階の居室Dと2階の居室Eに給気する場合は、ダクト217の1階の居室Dのガラリ215と2階の居室Eのガラリ220に蓋を取付け、送風機216と送風機221の稼動を停止させる。このように1階床下内部214の空気を1階の居室Dと2階の居室Eに給気する際、夏期と冬期で給気するガラリの位置を変更する理由は、室温に比べ、熱い空気は上昇し、冷たい空気は下降するためである。その他の構造においては、この発明の実施の形態1と同様である。
【0068】
最後に、当社が販売しているアース・ソーラーシステムを装備した注文住宅の場合、お客様の要望(例えば、冬期の暖房を強化してほしい等)に応じ、費用対効果を考慮して各種バリエーション(屋根の上に設置する太陽熱集熱器、地中に埋設して地熱を利用する地中熱回収パイプ、風呂の残り湯を利用する温水放熱パイプ)を組み合わしたアース・ソーラーシステムを販売中である。本発明におけるアース・ソーラーシステムは、その商品(バリエーション)の内の一つである。
【0069】
以上、実施の形態に基づいて、本発明に係るアース・ソーラーシステムについて詳細に説明してきたが、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において各種の改変をなしても、本発明の技術的範囲に属するのはもちろんである。
【0070】
図1において、風呂15の残り湯を、排水パイプ53から温水放熱パイプ47方向に切り替えるため、電気切替弁52を使用すると説明したが、電気切替弁52に限らず、機械式切替バルブ、電磁式切替弁、手動式切替バルブを使用する事も、もちろん可能である。
【0071】
図8において、集熱盤10にはガルバリウム鋼板を使用する、と説明したが、集熱盤10にガルバリウムの波板鋼板を使うことは、もちろん可能である。
【0072】
図9、
図10において、ダクト217の1階居室部分と2階居室部分に、それぞれ一台の送風機216と送風機221を取付けたが、コストを抑えるために1階居室の送風機216と2階居室の送風機221を取り外し、ダクト217の1階床下内部214の空気取込口に一台の送風機を取付け、1階居室と2階居室を同時に給気する事も、もちろん可能である。