(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。本発明は、多数の宛名や住所等を装置内に入力するべく文字入力を行う際の変換候補表示装置
(表示処理装置)として使用することのできる印刷装置1であって、葉書等に宛名や文章等を印刷することのできる印刷装置1を説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る印刷装置1の外観斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る印刷装置1におけるキーボードを示す説明図であり、
図3は、印刷装置1の側面断面模式図である。
【0013】
この印刷装置1は、葉書(100×148mm)やL判(89×127mm)、2L判(178×127mm)等の比較的小さな記録媒体である印刷用紙等の被印刷媒体10に印刷を実行する装置であり、住所録を作成する機能や、住所録から自動で葉書に宛名書きをする機能、デジタルカメラで撮影した写真画像を取り込み写真として印刷する機能、文章を編集する機能、取り込んだ画像と文章とを組み合わせて葉書に印刷する機能等、様々な機能を有している。
【0014】
この印刷装置1は、
図1に示すように、給紙トレイを備えて上部に表示部8を有した箱形の筐体2を備え、筐体2の前方には入力部としてのキー入力部3であるキーボードが配置されている。このキーボードは、筐体2の前方下端近傍に回動可能に装着されており、使用状態では図示したように前方に倒され、使用しない場合には筐体2の前面と対向した状態で収納されている。
【0015】
このキー入力部3とされるキーボードは、
図2に示すように、電源を入れたり切ったりするための電源スイッチキー30、項目を選択したり、選択した項目の設定内容を変更するためのカーソルキー32、操作を進めるために選択対象や変更内容を確定させる実行キー34、表示部8にトップメニュー画面を表示させるためのトップメニューキー、印刷実行の指示に用いるプリントキー、文字や数字を入れるための文字・数字キー36、入力文字の漢字変換等を順次行う変換キー37等が配置されており、夫々のキーが入力部として機能し、使用者の入力操作に基づいて所定の操作信号を後述の制御部41に送信する。
【0016】
筐体2の前面には、印刷が完了した葉書や写真等の被印刷媒体10が排出される排紙口5と、メモリーカード等の可搬型記憶媒体を挿入可能な記憶媒体挿入口6とが形成されている。この記憶媒体挿入口6は、メモリーカード等の着脱可能な可搬型記憶媒体が挿入されることにより、デジタルカメラで撮影された写真の画像データや、パーソナルコンピュータで編集された文章等の編集データ、複数の宛名データからなる住所録ファイルを印刷装置1に取り込み可能とするとともに、印刷装置1で編集したデータをメモリーカード等に保存可能とする。
【0017】
また、筐体2の上面には、液晶等の表示部8が配置され、この表示部8は筐体2の上部において正面方向に回動可能とされている。この表示部8は、キー入力部3からの入力信号に対応して画面上に入力内容が表示される、或いは、各種の設定に必要なメニュー画面が表示される、又は、デジタルカメラから取り込んだ写真画像が表示される等、印刷装置1で必要とする各種のデータが表示される。
【0018】
また、この表示部8は、タッチ入力が可能なタッチパネルとして構成されている。表示部8をタッチパネルとして構成することによりキー入力部3としてのキーボードを使用せずとも表示部8上で簡単な入力操作が可能となる。
【0019】
さらに、筐体2の上部には、筐体2の後方側から筐体2の上方までの間を回動可能な取っ手15が装着されている。この取っ手15は、略コ字状に形成され、印刷装置1の運搬時等に把持されて使用される。
【0020】
そして、印刷装置1は、
図3に示すように、筐体2の背面に開口する空腔部16を有し、この空腔部16の開口を塞ぐように給紙トレイ18が配置されている。この給紙トレイ18は、筐体2の後方であって下方近傍位置に軸着されており、上端を前後方向に移動させるように回動可能とされ、被印刷媒体10を複数枚重ねて収容することができるようになっている。
【0021】
また、給紙トレイ18の内側であって上方位置には、給紙トレイ18に収容された被印刷媒体10を1枚ずつ下方に送り出すピックアップローラ19が配置されている。また、給紙トレイ18の下端近傍には、ピックアップローラ19によって下方に送り出された被印刷媒体10を筐体2の排紙口5方向へと搬送する搬送ローラ20a,20bが配置されている。さらに、空腔部16の前端近くには、印刷部とされる印刷ヘッド21が配置されている。また、筐体2の内部であって印刷ヘッド21の前方には、印刷を完了した被印刷媒体10を排紙口5から排出する排紙ローラ22a、22bが配置されている。この搬送ローラ20aと排紙ローラ22aは、図示しないステッピングモータによって回転を制御されて、所定速度で被印刷媒体10を搬送している。なお、ピックアップローラ19と、搬送ローラ20a、20bと、排紙ローラ22a、22bとは、印刷装置1における搬送機構として機能している。
【0022】
印刷部とされる印刷ヘッド21は、排紙口5近傍の装置内部に配置され、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の各色インクを吐出する夫々のノズルを有するインクジェット方式の印刷ヘッド21とされ、ノズルから各色を被印刷媒体10に噴射することにより印刷を実行する。なお、インクジェット方式の印刷ヘッド21について述べたが、本発明がインクジェット方式に限定されるものではない。
【0023】
そして、給紙トレイ18に収容された被印刷媒体10は、ピックアップローラ19によって前方に位置する被印刷媒体10から順に下方に送り出され、搬送ローラ20a,20bとの間に挟み込まれた状態で排紙口5近傍の装置内部で印刷ヘッド21の下方に繰り出され、印刷が完了後、排紙ローラ22a、22bの間に挟み込まれて排紙口5から外部へと排出される。
【0024】
次に、本実施形態の印刷装置1の制御回路について述べる。
図4は、印刷装置1の機能回路ブロック図である。この印刷装置1は、
図4に示すように、システム全体を司る制御部41と、ROM51、RAM52からなる記憶部42と、表示部8であるタッチパネルと、キー入力部3と、印刷部47と、を備える。
【0025】
キー入力部3は、使用者が入力操作に用いる上述したキーボードであって、電源スイッチキー30、カーソルキー32、実行キー34、プリントキー、変換キー37等を備えてキー入力装置とされている。また、このキー入力部3は、宛名登録等において、登録画面の文字入力フォームの姓名、住所等のカテゴリ毎の所定箇所に文字を入力し、複数の変換候補から所定の文字を選択するために機能する。そして、キー入力部3以外に、タッチパネルによるタッチパネル入力部4によっても文字の選択等が実現される。
【0026】
表示部8は、各種の操作画面を表示する上述したタッチパネル等の液晶装置であって、複数の操作画面のうち所定の操作画面を表示させるものである。そして、タッチパネルは、タッチパネル表示部7として、タッチパネル表示部駆動回路67を介して制御されて、メニュー画面や文字入力フォームを含む画面、更に入力文字等を表示するものであると共に、タッチパネル入力部4としても機能するものである。
【0027】
印刷部47は、印刷機構55と搬送機構56から構成され、印刷機構55は、上述した印刷ヘッド21とされるものであって、被印刷媒体10に印刷を実行する処理を行う。また、搬送機構56は、上述したピックアップローラ19、搬送ローラ20a、20bや排紙ローラ22a、22b、ローラを回転させるステッピングモータによって構成され、被印刷媒体10を搬送する処理を行う。
【0028】
制御部41は、CPUであってタッチパネルへのタッチ操作やキー入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動で、ROM51に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム等を起動させ、RAM52をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0029】
また、ROM51には、変換辞書データベースも設けられ、変換辞書データベースには各種の文字の情報が記憶されて文字入力に対して複数の変換候補文字が抽出可能とされるものであり、この変換候補文字は、個々に品詞の情報や人名地名等のカテゴリ情報と合わせて格納され、さらに、一般的な汎用度の高い文字に関して、Aランク、Bランク等のランクも指定されているものである。
【0030】
そして、制御部41は、表示制御部として、表示部8にメニュー画面や文字入力フォーム及びキー入力部3からの入力情報の内容の表示を行うと共に、宛名登録等においては、登録画面の文字入力フォームの姓名、住所等のカテゴリ毎の所定枠に入力文字等を表示し、表示部8に表示された登録画面の特定箇所に、キー入力部3から入力された文字に対応する文字として変換辞書データベースに格納された文字から抽出した複数の変換候補文字を夫々に表示ボタンとして候補表示エリア81に表示可能な個数だけを表示させるものである。
【0031】
また、制御部41は、キー入力部3から入力される文字に対応する変換候補文字を変換辞書データベースから抽出したとき、抽出した変換候補文字のランクによる優先文字や入力文字のカテゴリとカテゴリの一致する優先文字をRAM52の優先度テーブルに記録する優先度記憶部としても機能する。
【0032】
さらに、制御部41は、拡大表示制御部として、複数の変換候補を夫々に表示ボタンとして表示可能な数だけを文字表示列として表示させるときに、優先度テーブルに記録した汎用度の高い文字や入力カテゴリに対応するカテゴリの文字が含まれていると、ランク指定に応じて及びカテゴリの一致により、表示ボタンのサイズを他の標準サイズの文字ボタンと比較して拡大した優先対応文字として表示させるものである。
【0033】
また、拡大表示制御部としての制御部41は、拡大表示された文字ボタンが所定時間経過しても変換候補として選択されなかったときには、その変換候補文字の表示ボタンを標準サイズに変更して表示させるものである。
【0034】
さらに、制御部41は、表示制御部として、表示部8の特定箇所に変換辞書データベースに格納された複数の変換候補を夫々に表示ボタンとして候補表示エリア81に表示可能な数だけ表示させたときに、変換キー37などにより選択可能な変換候補文字に位置させたカーソル又は表示スポットを移動させる表示制御を行う。
【0035】
また、制御部41は、カーソル又は表示スポットが候補表示エリア81に表示された変換候補文字の最終文字の表示ボタンに位置していたときは、次の変換候補を選択する変換キー37を押下されると、対応変換文字列の先頭表示の変換候補文字を1個ずらして先頭表示文字を削除するとともに、既に対応変換文字列に表示させていた対応変換文字の表示ボタンを全て標準サイズより小さくした縮小サイズで表示させるものである。
【0036】
なお、制御部41は、表示制御部として、優先度記憶部に記憶された汎用度の高い文字や入力文字のカテゴリと一致するカテゴリの文字を変換候補として表示部8の特定箇所に表示させるときに、文字入力した前記文字入力フォームのカテゴリ毎の所定箇所の近傍にも、カテゴリの一致した変換候補文字の表示ボタンを表示させるようにすることもある。
【0037】
このように、キー入力部3から入力された情報に基づいて文章や住所録を作成可能とする印刷装置1は、文章作成時や住所録作成時に変換候補表示装置として機能する。
【0038】
この住所録作成時等の変換候補表示装置機能としては、当該印刷装置1でメニュー画面において住所録作成モードの「宛名の登録」を選択したとき、
図5に示すように宛名の編集登録用の入力フォーム画面が表示部8の表示画面に表示される。
【0039】
この編集画面では、大きく「氏名」欄と「住所」欄が入力欄として表示され、画面切替用の複数のアイコンが表示されるツールバー73や変換候補文字を表示ボタンとして表示する候補表示エリア81、画面操作を可能とする送りアイコン83や戻りアイコン85、処理変更アイコン87などのアイコンボタンが表示される。
【0040】
そして、キー入力部3のカーソルキー32などを操作することにより、文字入力欄71を「氏名(姓名)」の欄の「姓」の位置にカーソルを合わせ、キー入力部3から「さとう」の文字の入力を行うと、文字入力欄71にキーボード入力文字である平仮名の「さとう」が表示されると共に、同音異字となる変換候補文字とキーボード入力文字が候補表示エリア81に表示される。
【0041】
この変換候補文字の文字列である対応変換文字列は、入力されたキーボード入力文字を先頭とし、複数の同音異字の変換候補文字が表示されるものであり、最初に表示される対応変換文字列では、先頭に表示される平仮名の「さとう」の表示ボタンにカーソル又は表示スポットが位置して平仮名の「さとう」の表示ボタンがスポット表示され、この平仮名の「さとう」の文字が文字入力欄71である「姓」の入力枠にも表示される
【0042】
このスポット表示としては、表示スポットを位置させる「さとう」や「砂糖」、「佐藤」などの変換候補文字の表示ボタンを着色表示する場合や、表示ボタンの輪郭枠を太くして他の表示ボタンと区別可能とする場合、更に、変換候補文字の下にアンダーラインを表示する場合などがある。
【0043】
そして、キー入力部3の変換キー37の操作、又は候補表示エリア81の送りアイコン83をタッチ操作することにより、「さとう」の文字の表示ボタンの次に配置された「砂糖」の文字の表示ボタンにカーソル又は表示スポットが移動してスポット表示されると共に、文字入力欄71である「姓」の入力枠にもスポット表示された「砂糖」の文字と同一の「砂糖」の文字が表示され、変換キー37の操作又は送りアイコン83の操作により、順次、カーソル又は表示スポットを移動させて対応変換文字列に表示された変換候補文字を選択可能とすることができる。
【0044】
このように変換キー37を操作、又は送りアイコン83等の操作により目的の変換候補文字をスポット表示させて文字入力欄71に目的の変換候補文字を表示させた状態とし、実行キー34を操作、又はスポット表示された変換候補文字の表示ボタンにタッチ操作を行うことにより、文字入力欄71の「姓」の入力枠に目的である適正な文字の入力を確定させることができる。
【0045】
そして、この候補表示エリア81に表示される変換候補文字の表示ボタンとしては、キー入力文字である直接入力文字を先頭とし、当該エディターでの前回同一入力時に変換確定された変換文字、当該印刷装置1の漢字辞書としての人名辞書や住所地名辞書、その他の一般漢字辞書などを検索して同音異字の表示ボタンが作成され、対応変換文字列が作成されるものである。
【0046】
また、
図5に示した表示ボタンでは、「氏名(姓名)」の「姓」の欄への入力を行っているものであるため、文字入力のカテゴリに一致する人名辞書から選択された変換候補文字である「佐藤」「佐東」「左藤」の文字の表示ボタンを他の表示ボタンよりも大きく表示する優先対応文字とし、選択可能性の高い文字の表示ボタンを見易くしている。
【0047】
この変換候補文字の表示処理を
図6のフローチャートに基いて以下に説明する。
印刷装置1は、宛名登録のモードとされると、表示部8に登録画面の文字入力フォームを表示させる。そして、ユーザーによりキー入力部3から文字が入力されると、制御部41は、その入力された文字に応じて辞書データベースから複数の変換候補を検索する検索処理(ステップS101)を実行する。
【0048】
そして、制御部41は、入力された文字に対する変換候補の文字列を辞書データベースから全てを取得する処理(ステップS105)を実行し、さらに、制御部41は、入力された文字に対する変換候補の文字列数を集計して抽出した全文字列数を候補数Kとしてワークエリアのレジスタにセットする変換数取得処理(ステップS110)を実行する。
【0049】
なお、この変換数取得処理(ステップS110)では、キー入力された文字に「0」のインデックス番号を付与し、検索した変換候補の文字には順次「1」から「K」までの番号をインデックス番号として付与を行ってレジスタにセットする。
【0050】
そして、制御部41は、候補数Kとされた複数の各変換候補文字を、順次並べた対応変換文字列として確実に表示部8の候補表示エリア81に表示させるために、カウンタ値iを「0」とする初期化処理(ステップS120)を行う。
【0051】
なお、カウンタ値i=0に割り当てられる変換候補文字は、キー入力による直接入力文字であり、一般的な平仮名入力では平仮名の入力文字とされる。また、変換候補文字としては、漢字一文字の文字や組み合わせ可能な漢字の組み合わせなどを含むものである。
【0052】
そして、インデックス番号が「0」のキー入力文字を候補表示エリア81に表示する際の表示ボタンの表示データを作成する表示ボタン作成(ステップS130)を行い、カウンタ値iとしてインデックス番号(最初の数値は「0」)に「1」を加える処理(ステップS135)を行い、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)を行う。
【0053】
カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)において、カウンタ値が「K」を越えていなければ、当該カウンタ値のインデックス番号である変換候補文字が入力カテゴリと同一カテゴリ又は使用優先度などの優先度テーブルに該当する優先対応文字であるかを検索するテーブルヒット検索(ステップS145)を行い、優先度などに応じて拡大する又は標準の大きさとするかを判断するボタンサイズの算出(ステップS150)を行う。
【0054】
そして、このボタンサイズの算出(ステップS150)により大きさの決定された表示ボタンが候補表示エリア81に表示可能か否かの判断を行う表示可能判断(ステップS155)を行い、当該ボタンサイズの表示ボタンが候補表示エリア81に表示可能であれば表示データを作成する表示ボタン作成(ステップS130)に戻り、カウンタ値iとして現在のカウンタ値に「1」を加える処理(ステップS135)を行う。
【0055】
更に、カウンタ値に「1」を加える処理(ステップS135)の後、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)を行い、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)においてインデックス番号であるカウンタ値iが「K」を越えていないときは、変換候補文字の処理であり、テーブルヒット検索(ステップS145)、ボタンサイズの算出(ステップS150)を行い、
候補表示エリア81に表示可能か否かの判断を行う表示可能判断(ステップS155)を行う。
【0056】
この表示可能判断(ステップS155)において表示可能であれば表示ボタン作成(ステップS130)に戻り、カウンタ値iとして現在のカウンタ値に「1」を加える処理(ステップS135)、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)、テーブルヒット検索(ステップS145)、ボタンサイズの算出(ステップS150)、表示可能判断(ステップS155)を繰り返す。
【0057】
また、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)においてインデックス番号であるカウンタ値iが「K」を越えたときは、変換候補の文字の全てを候補表示エリア81に表示準備が行われものであり、候補表示エリア81に表示される対応変換文字列の先頭変換候補文字のカウンタ値i(インデックス番号)を記憶する先頭文字番号記録(ステップS160)及び候補表示エリア81に表示される対応変換文字列の末尾変換候補文字のカウンタ値i(末尾インデックス番号「j=K」)を記憶する末尾文字番号記録(ステップS165)を行う。
【0058】
そして、カウンタ値iが「K」を越えていないときであってボタンサイズの算出(ステップS150)により大きさの決定された表示ボタンが候補表示エリア81に変換文字列として表示できないときは、先頭変換候補文字のカウンタ値i(インデックス番号)を記憶する先頭文字番号記録(ステップS160)及び末尾変換候補文字のカウンタ値i(インデックス番号「j」)を記憶する末尾文字番号記録(ステップS165)を行う。
【0059】
更に、先頭文字番号記録(ステップS160)及び末尾文字番号記録(ステップS165)を行った後、表示ボタンデータに基づいて表示ボタンを
候補表示エリア81に表示して対応変換文字列を表示するボタン表示(ステップS170)を行うものであり、このボタン表示に際しては先頭の変換候補文字の表示ボタンをスポット表示とするものである。
【0060】
なお、変換候補の文字列がカテゴリの一致又は優先度記憶部に記憶されたAランク又はBランクの文字列なのかの判定により、
図5に示したように、「さとう」と「砂糖」とは、どちらのランクでもないことからボタンサイズは標準サイズとされ、「佐藤」は最も姓名として頻度が高いことからAランクとされてボタンサイズが最も大きく、「佐東」と「左藤」は姓名として頻度が高いことからBランクとされてボタンサイズが通常のボタンサイズに対してやや大きいサイズの優先対応文字とされている。
【0061】
そして、制御部41は、表示更新とともに、ユーザーによる変換候補の選択にあたって、所定の時間経過を計測するためにタイマーをスタートさせるタイマースタート処理(ステップS175)を実行する。
【0062】
次に、制御部41は、ユーザーにより、キー操作又はタッチ操作等の入力操作がされたか否かを判断する操作入力判断(ステップS180)を行い、キー操作又はタッチ操作等の入力操作がされていないときには一定時間が経過したか否かを判断する時間経過判断(ステップS185)を行い、入力操作がされてないときには、操作入力判断(ステップS180)及び時間経過判断(ステップS185)を繰り返す。
【0063】
そして、キー操作又はタッチ操作等の入力操作がされずに一定時間が経過すると、候補表示エリア81に表示している対応変換文字列中に拡大表示の表示ボタンが存在するときは拡大表示を終了するボタンサイズの変更(ステップS190)を行って全ての表示ボタンを標準の大きさとする。
【0064】
さらに、ボタンサイズの変更(ステップS190)を行った後、カウンタ値iとして末尾変換候補文字のカウンタ値(インデックス番号)jに「1」を加える加算処理(ステップS195)を行い、カウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)を行う。
【0065】
このカウンタ値が「K」を越えたか否かの判断(ステップS140)においてカウンタ値iが「K」を越えていないときは、変換候補文字の処理であり、テーブルヒット検索(ステップS145)、ボタンサイズの算出(ステップS150)を行い、
候補表示エリア81に表示可能か否かの判断を行う表示可能判断(ステップS155)を行う。
【0066】
そして、カウンタ値iが「K」を越える場合や表示可能判断(ステップS155)において表示ができないとの判断を行った場合は、先頭文字番号記録(ステップS160)及び末尾文字番号記録(ステップS165)を行って表示ボタンを候補表示エリア81に表示して対応変換文字列とするボタン表示(ステップS170)を行う
【0067】
このようにして、拡大表示を終了することにより優先対応文字とされた拡大表示の表示ボタンを標準の大きさの表示ボタンとし、
候補表示エリア81に表示可能な表示ボタンの個数が増加すれば、
図7に示すように、変換候補文字として、
図7の(a)に示した拡大文字を含む表示から、変換候補文字が残っている場合には、
図7の(b)に示すように追加表示をおこなうことができる。
【0068】
従って、カテゴリの一致や汎用度などによる優先度の高い対応変換文字を優先対応文字として見やすい表示を行うと共に、一定時間が経過しても優先対応文字を含んで表示された変換候補の文字の表示ボタンが選択されないときは、拡大表示を終了して変換候補文字の表示個数を増やすことができる。
【0069】
なお、既に変換候補文字の全てであるインデックス番号「K」までの変換対応文字が表示されていたときは、優先対応文字として拡大表示を含む表示がされていた場合には対応変換文字列として表示される文字の内容に変更はなく、拡大表示の終了により対応変換文字列全体の長さが短く表示されるものであり、表示されている対応変換文字列の中に拡大表示文字が含まれない場合は表示される対応変換文字列の表示は変化しないことになる。
【0070】
また、キー操作又はタッチ操作等の入力操作がされたか否かを判断する操作入力判断(ステップS180)において入力操作が行われたと判断したときは、実行キー34が操作されたか否かの実行判断(ステップS200)を行い、実行キー34の操作であれば文字確定の確定処理(ステップS250)を行い、スポット表示されている表示ボタンの変換候補文字、即ち文字入力欄71に表示されている文字を確定文字とする処理を行って変換候補表示処理を終了する
【0071】
そして、実行判断(ステップS200)において実行キー34の操作でないと判断したときは、変換キー37の操作であるか否かの判断をする変換判断(ステップS210)を行い、変換キー37の操作でないときは処理を実施しない他のキー入力として入力操作を無効とし、操作入力判断(ステップS180)に戻る。
【0072】
なお、操作入力判断(ステップS180)によりタッチ操作等の入力操作がされたか否か判断においては、キー入力部3のキー操作による入力のみでなく、タッチパネル表示部7における対応変換文字列中の変換候補文字へのタッチ入力も検出する。
【0073】
そして、スポット表示中の変換候補文字の表示ボタンにタッチ入力されたときは実行キー34の操作と同様の処理を行い、スポット表示を行っていない変換候補文字の表示ボタンへのタッチ入力であれば、タッチ入力された表示ボタンにスポット表示を変更する処理を行う。
【0074】
また、変換キー37の操作であるか否かの判断をする変換判断(ステップS210)において変換キー37の操作であると判断したときは、候補表示エリア81に表示している対応変換文字列中のどの変換候補文字の表示ボタンがスポット表示されているかを検出すると共に、カーソル位置としてスポット表示されている変換候補文字のカウンタ値であるインデックス番号が「j」よりも小さいか否かにより、スポット表示されている変換候補文字が対応変換文字列中の末尾の文字以外の文字であるかを判断するカーソル位置判断(ステップS215)を行う。
【0075】
このカーソル位置判断(ステップS215)において、スポット表示されている変換候補文字の表示ボタンが対応変換文字列の末尾の表示ボタンでないことを検出したときは、カーソル又は表示スポットを位置させてスポット表示している表示ボタンから次の位置の表示ボタンにスポット表示を移動させるカーソル移動処理(ステップS220)を行い、タイマーをリセットするタイマーリセット(ステップS225)を行ってタイマースタート(ステップS175)に戻る。
【0076】
また、カーソル位置判断(ステップS215)において、スポット表示されている変換候補文字の表示ボタンが対応変換文字列の末尾の変換対応文字の表示ボタンであるときは、対応変換文字列の先頭の変換候補文字を候補表示エリア81の表示から削除し、対応変換文字列の2番目の変換候補文字を対応変換文字列の先頭とするように順送りする変更表示を行うための表示文字列シフト(ステップS230)を行う。
【0077】
そして、表示文字列シフト(ステップS230)を行った後、候補表示エリア81に表示している変換候補文字を僅かに小さくして表示ボタンを通常の大きさよりも僅かに小さく詰める処理をするボタンサイズの変更(ステップS235)を行い、対応変換文字列の末尾の変換候補文字のインデックス番号「j」に「1」を加えてカウンタ値とするカウント値の変更(ステップS240)を行う。
【0078】
このカウント値の変更(ステップS240)の後、カウント値が「K」を越えているかの判断(ステップS140)に戻り、カウント値が「K」を越えていなければカウント値「j+1」の変換候補文字が入力カテゴリと同一カテゴリや汎用度などの優先度テーブルに該当する文字であるかを検索するテーブルヒット検索(ステップS145)を行い、優先度などに応じて拡大する又は標準の大きさとするかを判断してボタンサイズの算出(ステップS150)、表示可能判断(ステップS155)等を行って対応変換文字列のシフト及び表示ボタンの縮小により対応変換文字列の末尾位置に生じた候補表示エリア81の余白部分に表示されていなかった変換候補文字を追加表示する。
【0079】
従って、変換キー37の操作によりカーソル移動を行ってスポット表示を対応変換文字列の先頭から末尾まで移動させた後に変換キー37により次の変換候補文字をスポット表示させるときは、
図8に示すように、一度カーソルを当ててスポット表示した文字は小さく表示し、候補表示エリア81に表示できる変換候補文字の個数を増やすことができる。
【0080】
なお、
図8の(a)に示した表示ボタンは、全て標準の大きさの表示ボタンとしているも、変換候補文字が入力カテゴリと同一カテゴリや使用優先度などの優先度テーブルに該当する優先対応文字である場合は拡大表示が行われ、カーソルが対応変換文字列の末尾の表示ボタンに当てられて更に変換キー37が操作されて変更表示を行うときは、カーソルが一度当てられた後にカーソルが通過した変換候補文字の全てを縮小表示として
図8の(b)に示したように拡大表示を含まない表示とすることが好ましい。
【0081】
なお、変換候補表示装置である印刷装置1は、先述のとおり、優先対応文字としてカテゴリが一致する変換候補文字は表示部8の特定箇所に表示させるときに、文字入力した文字入力フォームのカテゴリ毎の所定箇所の近傍にも表示させるようにすることもあり、例えば、
図9に示すように、メニューの姓名入力部に「さとう」と入力表示され、その近傍に「佐藤」や「佐東」、「左藤」の表示ボタンを表示させることもある。
【0082】
以上のように本実施形態によれば、優先度の高い文字の変換候補文字は、表示ボタンのサイズを大きくした優先対応文字として見やすく且つ選択しやすくし、選択等の操作がされずに一定時間が経過したとき、又は、表示された変換候補文字を順送りした対応変換文字列に変更するとき、拡大表示を終了して表示ボタンのサイズを小さくすることにより、変換候補文字の一覧表示において、表示できる候補数を多くすることを可能にした変換候補表示装置、及び、その変換候補表示装置による変換候補表示方法を提供することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、拡大表示された変換候補文字の表示ボタンが所定時間経過しても変換候補として選択されなかったときには、拡大表示された表示ボタンを標準サイズの表示ボタンとして表示させることにより、変換候補文字の表示数を増加させることができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、対応変換文字列を順送りする変更表示を行うとき、即ち、スポット表示を順次移動させて表示された変換候補文字以外の変換候補文字を表示させるとき、既に表示していた変換候補文字の表示ボタンを縮小して表示させることにより、追加表示する変換候補文字の表示ボタンの数を増やすことができ、次候補以降の変換候補文字をより多く表示して選択を容易とすることができる。
【0085】
そして、本実施形態によれば、表示される複数の変換候補文字による対応変換文字列に、文字入力フォームのカテゴリと一致する優先度記憶部に記憶された変換候補文字を優先対応文字として表示させることにより、カテゴリ毎に選択される可能性の高い変換候補文字を見つけやすくすることができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、表示部8をタッチパネル表示部とすることにより、タッチパネルに表示された表示ボタンを直接タッチ操作して適正文字の選択決定を迅速に行うことができる。
【0087】
そして、本実施形態によれば、優先度設定データベースに格納された汎用度の高い文字を変換候補として表示部の特定箇所に表示させるときや入力文字とカテゴリが一致する文字を表示するときに、文字入力した文字入力フォームのカテゴリ毎の所定箇所の近傍にも、カテゴリが一致する優先対応文字の表示をさせる場合は、視覚的に変換候補の選択を容易とすることもできる。
【0088】
さらに、本発明の実施形態における処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0090】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] キー入力部と、
前記キー入力部から入力された文字を表示する表示部と、
前記入力文字及び前記入力文字に対応する変換候補を記憶する変換辞書データベースと、
前記キー入力部からの入力文字及び前記変換候補を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記キー入力部からの入力文字が表示される入力エリアのカテゴリに応じた優先度であって、前記変換候補を前記変換辞書データベースから抽出する際の当該優先度を記憶する優先度記憶部と、
前記変換候補を前記表示部に表示するとき、前記優先度の高い変換候補を、前記優先度の低い候補よりも大きく表示する拡大表示を行った後、一定時間が経過したとき、又は、前記変換候補を順送りする変更表示をするときに、前記優先度の高い変換候補の前記拡大表示を終了する拡大表示制御部と、
を有することを特徴とする変換候補表示装置。
[2] 前記拡大表示制御部は、前記変換候補を前記変更表示するとき、前記拡大表示を終了すると共に、全ての前記変換候補を縮小表示することを特徴とする上記[1]に記載の変換候補表示装置。
[3] キー入力部と、前記キー入力部から入力された文字を表示する表示部と、前記入力文字及び前記入力文字に対応する変換候補を記憶する変換辞書データベースと、前記キー入力部からの入力文字及び変換候補を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える変換候補表示装置の変換候補表示方法であって、
前記キー入力部からの入力文字が表示される入力エリアのカテゴリに応じた優先度であって、前記変換候補を前記変換辞書データベースから抽出する際の当該優先度を記憶し、
前記変換候補を前記表示部に表示するとき、前記優先度の高い変換候補を、前記優先度の低い候補よりも大きく表示する拡大表示を行った後、一定時間が経過したとき、又は、前記変換候補を順送りする変更表示をするときに、前記優先度の高い変換候補の前記拡大表示を終了することを特徴とする変換候補表示方法。