(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、モータの中心軸方向における
図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の例示的な第1の実施形態に係るスピンドルモータ(以下、単に「モータ」という)を含むディスク駆動装置1の縦断面図である。ディスク駆動装置1は、例えばハードディスク駆動装置である。ディスク駆動装置1は、例えば、2枚のディスク11と、モータ12と、アクセス部13と、ハウジング14と、クランパ151と、を含む。モータ12は、情報を記録するディスク11を回転する。アクセス部13は、2枚のディスク11に対して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を行う。
【0013】
ハウジング14は、無蓋箱状の第1ハウジング部材141と、板状の第2ハウジング部材142と、を含む。第1ハウジング部材141の内側には、ディスク11、モータ12、アクセス部13およびクランパ151が収容される。第1ハウジング部材141に第2ハウジング部材142が嵌められて、ハウジング14が構成される。ディスク駆動装置1の内部空間は、塵や埃が極度に少なく、清浄な空間が好ましい。ディスク駆動装置1内には、空気が充填される。なお、ヘリウムガスや水素ガスが充填されてもよく、これらの気体と空気との混合気体が充填されてもよい。
【0014】
2枚のディスク11は、スペーサ153の上下に配置され、クランパ151により、モータ12にクランプされる。アクセス部13は、ヘッド131と、アーム132と、ヘッド移動機構133と、を含む。ヘッド131はディスク11に近接して、情報の読み出しおよび書き込みの少なくとも一方を磁気的に行う。アーム132は、ヘッド131を支持する。ヘッド移動機構133はアーム132を移動することにより、ヘッド131をディスク11に対して相対的に移動する。これらの構成により、ヘッド131は、回転するディスク11に近接した状態にて、ディスク11の所要の位置にアクセスする。
【0015】
図2は、モータ12の縦断面図である。モータ12は、アウタロータ型であり、固定組立体である静止部2と、回転組立体である回転部3と、静止部2に対して回転部3を回転可能に支持する軸受機構4と、を含む。静止部2は、ベース部であるベースプレート21と、ステータ22と、磁性部材20と、回路基板24と、を含む。ベースプレート21は、軸方向に垂直な方向に広がる板状であり、
図1の第1ハウジング部材141の一部である。ベースプレート21は、例えば、鋳造にて成型された金属の部材を切削加工することにより形成される。ステータ22は、ベースプレート21の上側に配置され、ステータコア221と、複数のコイル222と、を含む。ステータコア221の径方向内側の部位は、ベースプレート21の円筒状のホルダ211の周囲に固定される。磁性部材20は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする円環状であり、ベースプレート21の上面212に接着剤にて固定される。回路基板24は、ベースプレート21の下面に貼り付けられる。後述するように、静止部2では、コイル222の導線が、ベースプレート21の貫通孔に挿入される。導線の端部は、回路基板24に接合される。
【0016】
回転部3は、ロータハブ31と、ロータマグネット32と、を含む。ロータハブ31は、略有蓋円筒状である。ロータハブ31は、蓋部311と、側壁部312と、ハブ筒部313と、ディスク載置部314と、を含む。蓋部311は、ステータ22の上方に位置する。ハブ筒部313は、中心軸J1を中心とする円筒状であり、軸受機構4の外側にて蓋部311の下面311aから下方に向かって延びる。側壁部312は、蓋部311の外縁から下方に延びる。ディスク載置部314は、側壁部312から径方向外方に広がる。
図1のディスク11は、ディスク載置部314上に載置される。ロータマグネット32は、側壁部312の内周面312aに固定され、ステータ22の径方向外側に位置する。ロータマグネット32の下方には、磁性部材20が位置する。ロータマグネット32と磁性部材20との間には、磁気吸引力が発生する。モータ12の駆動時には、ステータ22とロータマグネット32との間にてトルクが発生する。これにより、回転部3が中心軸J1を中心として回転する。
【0017】
軸受機構4は、シャフト部41と、スリーブ42と、スリーブハウジング43と、スラストプレート44と、キャップ部45と、潤滑油46と、を含む。シャフト部41は、蓋部311の径方向内側の部位から下方に延びる。シャフト部41とロータハブ31とは、一繋がりの部材である。シャフト部41の内部には、全長に亘って雌ねじ部411が設けられる。蓋部311の中央では、
図1に示す雄ねじ152が雌ねじ部411に螺合する。これにより、クランパ151がモータ12に固定され、ディスク11がロータハブ31にクランプされる。
【0018】
スリーブ42の内側には、シャフト部41が挿入される。スリーブハウジング43は、ハブ筒部313の内側に位置する。スリーブハウジング43の内周面には、スリーブ42が固定される。スラストプレート44は、中央の雄ねじ部が雌ねじ部411に螺合することにより、シャフト部41の下部に固定される。キャップ部45は、スリーブハウジング43の下端に固定され、スリーブハウジング43の下側の開口を閉塞する。
【0019】
モータ12では、スリーブ42の内周面とシャフト部41の外周面との間のラジアル間隙471、スリーブ42の下面とスラストプレート44の上面との間の第1スラスト間隙472、並びに、スリーブ42の上面およびスリーブハウジング43の上面と蓋部311の下面311aとの間の第2スラスト間隙473に潤滑油46が連続して充填される。さらに、スラストプレート44の下面とキャップ部45の上面との間の間隙474、および、ハブ筒部313の内周面とスリーブハウジング43の外周面の上部との間のシール間隙475においても潤滑油46が連続して充填される。
【0020】
スリーブ42の内周面の上下にはラジアル動圧溝列が設けられる。また、スリーブ42の上面および下面には、スラスト動圧溝列が設けられる。ラジアル間隙471では、ラジアル動圧溝列によりラジアル動圧軸受部481が構成される。第1スラスト間隙472および第2スラスト間隙473ではそれぞれ、スラスト動圧溝列により第1スラスト動圧軸受部482および第2スラスト動圧軸受部483が構成される。モータ12の駆動時には、ラジアル動圧軸受部481、第1スラスト動圧軸受部482および第2スラスト動圧軸受部483により、すなわち、軸受機構4により、シャフト部41およびスラストプレート44が、スリーブ42、スリーブハウジング43およびキャップ部45に対して非接触にて支持される。これにより、ロータハブ31およびロータマグネット32が、ベースプレート21およびステータ22に対して回転可能に支持される。
【0021】
ステータコア221に設けられる複数のコイル222は、3つのコイル群により構成される。3つのコイル群はそれぞれU相用、V相用、W相用である。各コイル群は、1つの導線により形成されたコイル222の集合である。各コイル群における導線の一方の端部が、引出線としてコイル群から引き出される。また、3つのコイル群における3本の導線の他方の端部は、1つの引出線に纏められて引き出される。このように、4本の引出線がステータ22から引き出される。ステータ22から、5または6本の引出線が引き出されてもよい。
【0022】
図3は、静止部2の底面図であり、
図4は、ベースプレート21の底面図である。ベースプレート21は、軸方向に貫通する複数のベース貫通孔213を含む。ここでは、4個のベース貫通孔213が設けられる。軸方向に沿って見た場合に、複数のベース貫通孔213を含む円弧状の領域の凹部が、包括凹部26としてベースプレート21の下面に設けられる。複数のベース貫通孔213の開口は包括凹部26に位置する。包括凹部26には、
図5に示す引出線案内部材23が嵌め込まれる。引出線案内部材23は、ベースプレート21の下面に沿って広がる板状であり、絶縁性材料により形成される。
図3に示すように、ベースプレート21の下面には、フレキシブル配線基板である回路基板24がさらに固定される。回路基板24は引出線案内部材23と部分的に重なる。回路基板24上には複数の電極241が設けられる。
【0023】
ベースプレート21の上側にて複数のコイル222から延びる複数の引出線51は、複数のベース貫通孔213を通ってベースプレート21の下面に達する。引出線案内部材23の内側エッジ238は、複数のベース貫通孔213の下側にて複数の引出線51と対向する。本明細書において、「エッジ」は、端面、および、軸方向におよそ垂直に延びる端面の縁の双方を含む。すなわち、内側エッジ238は、引出線案内部材23における中心軸J1側を向く端面、および、軸方向におよそ垂直に延びる当該端面の縁の双方を含む。
【0024】
引出線案内部材23の内側エッジ238には複数の切欠部231が形成される。複数の切欠部231は、複数のベース貫通孔213の下側にて複数の引出線51とそれぞれ接触する。複数の引出線51は、回路基板24に向かってベースプレート21の下面に沿って延び、複数の電極241にそれぞれ接続される。このように、ベースプレート21の下側において、引出線51は、中心軸J1に垂直、かつ、ベース貫通孔213から電極241へと向かう引張方向に引っ張られた状態である。ベースプレート21の下面のうち複数の電極241と複数のベース貫通孔213との間の領域は、回路基板24および引出線案内部材23により覆われる。また、引出線案内部材23は、各ベース貫通孔213の少なくとも一部を覆う。
【0025】
図6は、静止部2の断面図であり、引張方向に平行、かつ、ベース貫通孔213の中心軸を含む面における静止部2の断面を示す。既述のように、複数の引出線51は引張方向へと引っ張られる。したがって、複数の引出線51により引出線案内部材23は引張方向へと付勢される。また、引出線案内部材23において少なくとも径方向外側を向く外側エッジ239は、包括凹部26における中心軸J1側を向く内壁面261の一部と接触する。これにより、中心軸J1に垂直な全ての方向への引出線案内部材23の移動が制限される。この状態において、複数の切欠部231は複数のベース貫通孔213の真下にそれぞれ配置される。その結果、複数の引出線51が複数のベース貫通孔213の側面および下側のエッジと非接触状態となる。以下、包括凹部26における中心軸J1側を向く内壁面261を「接触壁面261」という。接触壁面261は、ベースプレート21の下面において軸方向に延び径方向内側を向くエッジであり、上記のように引出線案内部材23の移動を制限する移動制限部となる。ベースプレート21の上側では、必要に応じて絶縁ブッシュや絶縁シートが設けられ、引出線51がベース貫通孔213の上側のエッジと非接触状態となる。包括凹部26の深さは、引出線案内部材23の厚さよりも大きい。したがって、引出線案内部材23と部分的に重なる回路基板24が反ることが防止される。
【0026】
図4に示すように、包括凹部26は、中心軸J1側に凹む複数の拡大部262を含む。各拡大部262は、周方向に並ぶ複数のベース貫通孔213において互いに隣接する2つのベース貫通孔213の間に位置する。
図3に示すように、引出線案内部材23は、中心軸J1側に突出する複数の凸部233を含む。各凸部233は、拡大部262に嵌め込まれる。凸部233の側面は拡大部262の内壁面とほぼ同じ形状および大きさの部位を含む。
図3の静止部2では、引出線案内部材23が、接触壁面261と拡大部262の内壁面との間に圧入されるが、凸部233と拡大部262の内壁面との間には隙間が存在してもよい。この場合でも、引出線51により引張方向へと付勢される引出線案内部材23が接触壁面261と接触するため、中心軸J1に垂直な方向への引出線案内部材23の移動が制限される。
図3のベースプレート21では、ベース貫通孔213および拡大部262は機械加工により形成される。
【0027】
図4および
図6に示すように、ベースプレート21は、各ベース貫通孔213の下端部である拡大開口部216をさらに含む。拡大開口部216における中心軸J1に垂直な断面積は、拡大開口部216の上側におけるベース貫通孔213の部位よりも大きい。換言すると、ベース貫通孔213は、第1の内径を有する小径部217(
図6参照)と、当該第1の内径よりも大きい第2の内径を有する拡大開口部216と、を含む。拡大開口部216は、小径部217よりも軸方向下側に位置する。
図3に示すように、拡大開口部216は、引出線案内部材23と重ならない位置まで広がる。
【0028】
各ベース貫通孔213の小径部217の全周と、当該ベース貫通孔213を経由する引出線51の全周との間には封止材25が存在する。封止材25は、例えば接着剤である。
図3では、封止材25に平行斜線を付している。軸方向に沿って見た場合に、ベース貫通孔213の一部、
図3の例では、ベース貫通孔213のおよそ半分の領域が、いずれの部材にも覆われることなく、露出する。これにより、ベース貫通孔213内への封止材の注入が容易となる。拡大開口部216は、ベース貫通孔213内への封止材の注入時におけるバッファとしても機能する。
【0029】
ベースプレート21の下面には複数の補助凹部215がさらに設けられる。複数の補助凹部215は複数のベース貫通孔213にそれぞれ接続する。補助凹部215は、包括凹部26よりも深く、拡大開口部216よりも浅い。周方向に並ぶ4個の補助凹部215のうち、周方向両端の補助凹部215を除く2つの補助凹部215を内側の補助凹部215と呼ぶと、2つの内側の補助凹部215は、接触壁面261の径方向外側まで延びる(
図4参照)。2つの内側の補助凹部215のそれぞれにおいてベース貫通孔213から離れた端部は、引出線案内部材23および回路基板24に設けられた開放部232,242を介して外部に開放される。開放部232,242は、引出線案内部材23および回路基板24の外縁において部分的に除去された部位である。周方向両端の補助凹部215は、接触壁面261の近傍まで延びる。周方向両端の補助凹部215のそれぞれでは、端部の一部が引出線案内部材23および回路基板24に重ならない。このように、軸方向に沿って見た場合に、各補助凹部215は、ベース貫通孔213において引出線案内部材23と重なる位置から、引出線案内部材23の径方向外側に達する。したがって、ベース貫通孔213内への封止材の充填時に、補助凹部215は空気抜き用の経路として機能する。
【0030】
以上に説明したように、ベースプレート21の下面では、複数の引出線51により引張方向に付勢される引出線案内部材23の移動が、接触壁面261により制限される。これにより、引出線案内部材23において引出線51と接触する切欠部231を、ベース貫通孔213に対して精度よく位置決めすることができる。その結果、ベースプレート21と引出線51との間の絶縁性を、より確実に確保することができる。また、各ベース貫通孔213の全周と、当該ベース貫通孔213を経由する引出線51の全周との間に封止材25が存在する。これにより、ディスク駆動装置1の気密性を向上することができる。
【0031】
また、ベースプレート21の下面には、ベース貫通孔213に接続する補助凹部215が設けられる。補助凹部215は、引出線案内部材23の径方向外側にて外部に開放される。ベース貫通孔213内への封止材の充填の際には、ベース貫通孔213内に存在する空気が、補助凹部215を介して外部に排出される。このように、空気抜き用の補助凹部215を設けることにより、ベース貫通孔213内への封止材の充填をより確実に行うことができる。拡大開口部216を設けることにより、ベース貫通孔213内に封止材を容易に充填することができる。
【0032】
ベースプレート21の下面のうち複数の電極241と複数のベース貫通孔213との間の領域が回路基板24および引出線案内部材23により覆われる。これにより、複数の引出線51をベースプレート21に対してより確実に絶縁することができる。
【0033】
図7は、静止部2の他の例を示す図である。
図7の静止部2では、
図3の引出線案内部材23および回路基板24の開放部232,242が省略される。また、引出線案内部材23が、2つの内側の補助凹部215の下方にてそれぞれ開口する2つの開口部237を含む。その他の構造は、
図3の静止部2と同様であり、対応する構成に同符号を付す。
【0034】
上記2つの内側の補助凹部215は、開口部237を介して外部に開放される。ベース貫通孔213内への封止材の充填の際には、ベース貫通孔213内に存在する空気が、補助凹部215を介して外部に排出される。このように、空気抜き用の補助凹部215を設けることにより、ベース貫通孔213内への封止材の充填をより確実に行うことが可能となる。
【0035】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の例示的な第2の実施形態に係るベースプレート21aの底面図であり、
図9は、引出線案内部材23aの底面図である。第2の実施形態に係る静止部2では、ベースプレート21aの一部の形状および引出線案内部材23aの形状が、
図3の静止部2と相違する。その他の構造は、
図3の静止部2と同様であり、以下の説明では、対応する構成に同符号を付す。
図8では、引出線案内部材23a、回路基板24および引出線51を二点鎖線にて示している。
【0036】
ベースプレート21aは、
図3のベースプレート21とほぼ同様のベース貫通孔213と、包括凹部26と、を含む。引出線案内部材23aは、中心軸J1側に突出する複数の凸部233と、回路基板24側に突出する複数の凸部234と、を含む。以下、凸部233を「内側凸部233」と呼び、凸部234を「外側凸部234」と呼ぶ。引出線案内部材23aは、複数の引出線51により引張方向に付勢される。複数の外側凸部234の側面は、引出線案内部材23aにおける外側エッジの一部であり、包括凹部26における中心軸J1側を向く接触壁面261と接触する。したがって、中心軸J1に垂直な全ての方向への引出線案内部材23aの移動が制限される。これにより、引出線案内部材23aの内側エッジ238における複数の切欠部231が複数のベース貫通孔213の真下に配置され、複数の引出線51が複数のベース貫通孔213の側面および下側のエッジと非接触状態となる。
【0037】
包括凹部26の内壁面は、中心軸J1側に凹む複数の拡大部262を含む。各内側凸部233は、拡大部262に嵌め込まれる。内側凸部233の側面は拡大部262の内壁面とほぼ同じ形状および大きさの部位を含む。静止部2では、引出線案内部材23aが、接触壁面261と拡大部262の内壁面との間に圧入されるが、内側凸部233と拡大部262の内壁面との間には隙間が存在してもよい。この場合でも、引出線51により引張方向へと付勢される引出線案内部材23aが接触壁面261と接触するため、中心軸J1に垂直な方向への引出線案内部材23aの移動が制限される。
図8のベースプレート21aでは、包括凹部26内に有底の穴部を機械加工にて形成することにより、拡大部262が形成される。
【0038】
ベースプレート21aの下面には、複数の補助凹部215が設けられる。複数の補助凹部215は複数のベース貫通孔213にそれぞれ接続する。周方向に並ぶ4個の補助凹部215のうち、周方向両端の補助凹部215を除く2つの内側の補助凹部215は、包括凹部26の回路基板24側の内壁面、すなわち、接触壁面261の外側まで延びる。当該内側の補助凹部215の端部は、回路基板24に設けられる開放部242を介して外部に開放される。周方向両端の補助凹部215のそれぞれは、包括凹部26の接触壁面261に沿って延び、内側の補助凹部215に接続する。このように、複数の補助凹部215のうち、内側の1つの補助凹部215と外側の1つの補助凹部215とが互いに連続する。換言すると、2つのベース貫通孔213に接続する補助凹部215が設けられる。モータ12の設計によっては、3以上のベース貫通孔213に接続する補助凹部215が設けられてもよい。
【0039】
図10は、
図9中の矢印A−Aの位置における引出線案内部材23aの断面図である。切欠部231は、
図10の下側、すなわち、モータ12の上方に向かうに従って引張方向へと広がる部位230を含む。当該部位230では、引張方向に垂直な方向の幅も上方に向かって漸次増大するしたがって、ベース貫通孔213を経由してベースプレート21の下側へと至る引出線51を切欠部231内に配置する際に、引出線51が切欠部231の当該部位230における傾斜面により案内される。引出線51の端部は、回路基板24の電極241に接続される。
【0040】
以上に説明したように、静止部2では、複数の引出線51により引張方向に付勢される引出線案内部材23aの移動が、接触壁面261により制限される。これにより、引出線案内部材23aにおいて引出線51と接触する切欠部231を、ベース貫通孔213に対して精度よく位置決めすることができる。また、各ベース貫通孔213の全周と、当該ベース貫通孔213を経由する引出線51の全周との間に封止材25が存在する。これにより、ディスク駆動装置1の気密性を向上することができる。
【0041】
ここで、ベースプレート21aを鋳造により成型する場合、包括凹部26の内壁面と底面とが交わる角部が鈍ってしまう。しかしながら、
図8のベースプレート21aでは、移動制限部として機能する接触壁面261に沿って、包括凹部26よりも深い補助凹部215の一部が形成される。すなわち、補助凹部215が、包括凹部26内において接触壁面261の一部に沿う部位を含む。これにより、引出線案内部材23aの外側凸部234の側面が、軸方向の全体に亘って接触壁面261と接触することが可能となる。このように、補助凹部215を利用して、移動制限部を精度よく形成することができる。その結果、引出線案内部材23aを、ベース貫通孔213に対してより精度よく位置決めすることができる。
【0042】
空気抜き用の補助凹部215を設けることにより、ベース貫通孔213内への封止材の充填をより確実に行うことができる。複数の補助凹部215のうち、2以上の補助凹部215が互いに連続することにより、封止材の充填時における空気抜きをより確実に行うことができる。また、拡大開口部216を設けることにより、ベース貫通孔213内に封止材25を容易に充填することができる。
【0043】
上記ディスク駆動装置1は様々な変形が可能である。それぞれが切欠部231を含むとともに互いに孤立した複数の板状の絶縁部材が包括凹部26内に設けられてもよい。この場合も、引出線51により引張方向へと付勢される絶縁部材が接触壁面261と接触して中心軸J1に垂直な方向への移動が制限される。これにより、絶縁部材がベース貫通孔213に対して精度よく位置決めされ、引出線51とベース貫通孔213の下側のエッジとの非接触状態が実現される。この場合、複数の絶縁部材の集合が引出線案内部材と捉えられる。複数の絶縁部材が用いられる場合には、ベースプレート21の下面において、移動制限部が個別に設けられてもよい。モータ12の部品点数を少なくするという観点では、複数の切欠部231を含む1つの絶縁部材である引出線案内部材23が設けられることが好ましい。
【0044】
包括凹部26における接触壁面261が、ベースプレート21の下面に設けられる他の部位と共に移動制限部として利用されてもよい。すなわち、接触壁面261の一部は、移動制限部の少なくとも一部であればよい。
【0045】
ベース貫通孔213が比較的大きい場合等には、引出線案内部材23の内側エッジ238において切欠部231が省略されてもよい。この場合でも、複数の引出線51は内側エッジ238に接触しつつ引張方向に引っ張られた状態であるため、引出線51がベース貫通孔213に対して位置決めされる。
【0046】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。