【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明の実施形態を具体的に説明する。
【0032】
(実施例1)
図1に本実施例の装飾部材の斜視図を、
図2に
図1のA−A断面図を、
図3に
図1のB−B断面図を示す。この装飾部材は、ポリカーボネートから形成された厚さ数mmの短冊状の透明樹脂基体1からなる。透明樹脂基体1は中央部が厚い蒲鉾形状をなし、視認表面10と、視認表面10と反対側の加飾表面11とを有している。
【0033】
加飾表面11には直線状フレネルレンズを構成するレンズ部12と、ロゴ文字を構成する複数の意匠部13が形成されている。レンズ部12は、高さ0.1μm〜90μm、ピッチが25〜100μmの凹凸よりなる直線状フレネルレンズから形成され、意匠部13を除く加飾表面11の全面に形成されている。
図2のA−A断面図には、意匠部13は現れておらず、レンズ部12のみが示されている。
図3のB−B断面図には、レンズ部12と意匠部13の両方が示されている。
【0034】
また複数の意匠部13の表面には、それぞれ表面粗さ(Rz)が200nm以下の鏡面に加工された加工面14が形成されている。本実施例の装飾部材は、透明樹脂基体1を成形する金型の型面を予め精密加工しておき、透明樹脂基体1の射出成形時にレンズ部12と意匠部13が形成されるとともに、鏡面にされた型面の転写によって意匠部13の表面全面に加工面14が形成されている。
【0035】
本発明の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、意匠部13の加工面14の鏡面効果と、レンズ部12の拡大効果が相乗的に作用することによって、レンズ部12の中に複数の意匠部13が立体的に視認される。またレンズ部12のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0036】
(実施例2)
図4に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例は、加飾表面11に追加の積層構造が形成されたこと以外は実施例1と同様である。実施例1と同様の意匠部13の加工面14の表面には、印刷によって透明な厚さ10μm〜30μmの着色塗膜20が形成されている。そして着色塗膜20の表面と、レンズ部12の表面には、金属アルミニウムを蒸着することによって形成された厚さ0.1nm〜10nmの光輝層21が全面に形成されている。光輝層21の表面は、ポリカーボネートなどの透明樹脂からなる保護層2で被覆保護されている。
【0037】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、レンズ部12によって拡大された光輝層21を背景とし、その背景中に加工面14の鏡面効果とともに着色塗膜20の色調を通して光輝層21の金属光沢が強調されて視認される。したがって複数の意匠部13を立体的に明瞭に視認できる。またレンズ部12のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0038】
(実施例3)
図5に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例は、加飾表面11の構造が異なること以外は実施例1と同様である。加飾表面11には、実施例1と同様のレンズ部12が形成されている。一方、複数の意匠部13の表面には、ピッチ0.5μm〜10μm、深さ(高さ)0.25μm〜5μmの周期的凹凸部からなる加工面15が形成されている。レンズ部12と加工面15は、透明樹脂基体1の成形時に金型の型面が転写されることでそれぞれ透明樹脂基体1と一体に形成されている。
【0039】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、意匠部13には加工面15における光干渉によって虹色光沢が視認され、レンズ部12の拡大効果が相乗的に作用することによって、レンズ部12の中に複数の意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12及び加工面15のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0040】
(実施例4)
図6に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例は、レンズ部12と意匠部13(加工面15)の表面全面に実施例2と同様の光輝層21が形成されていること以外は実施例3と同様である。
【0041】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、意匠部13には加工面15における光干渉によって虹色光沢が視認され、その虹色光沢が光輝層21によって強調される。そしてレンズ部12の拡大効果が相乗的に作用することによって、レンズ部12の中に複数の意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12及び加工面15のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0042】
なお加飾表面11の凹凸が気になる場合には、実施例2のように、透明樹脂又は不透明樹脂による保護層2を形成してもよい。
【0043】
(実施例5)
図7に本実施例の装飾部材の要部拡大断面図(
図6の拡大図相当)を示す。本実施例は、レンズ部12の表面のみに印刷によって厚さ10μm〜30μmの着色塗膜よりなる背景層22が形成され、周期的凹凸部からなる加工面15の表面と背景層22の表面全面に実施例2と同様の光輝層21が形成されていること以外は実施例3と同様である。
【0044】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、意匠部13には加工面15における光干渉によって虹色光沢が視認され、その虹色光沢が光輝層21によってより強調される。そしてレンズ部12の背景として背景層22の色調が視認され、その背景の中に複数の意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12及び加工面15のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0045】
なお加飾表面11の凹凸が気になる場合には、実施例2のように、透明樹脂又は不透明樹脂による保護層2を形成してもよい。
【0046】
(実施例6)
図8に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例の装飾部材は、加飾表面11の構造が異なること以外は実施例1と同様である。加飾表面11には、実施例1と同様のレンズ部12が形成されている。一方、複数の意匠部13の表面には、レンズ部12のフレネルレンズ構造の凹凸を反転させて逆位相とした高さ0.1〜100μm、ピッチ25μm〜100μmの第二凹凸からなる加工面16が形成されている。レンズ部12と加工面16は、透明樹脂基体1の成形時に金型の型面が転写されることでそれぞれ透明樹脂基体1と一体に形成されている。
【0047】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、レンズ部12と加工面16との両者のレンズ効果が相乗的に作用して特異な立体意匠が呈され、意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12及び加工面16のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0048】
(実施例7)
図9に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例の装飾部材は、加飾表面11の意匠部13の表面構造が異なること以外は実施例6と同様である。
【0049】
加飾表面11には、実施例1と同様のレンズ部12が形成されている。一方、複数の意匠部13の表面には、レンズ部12のフレネルレンズ構造の凹凸を反転させて逆位相とした実施例6と同様の第二凹凸からなる加工面16が形成され、加工面16の表面には深さ(高さ)0.1μm〜100μm、ピッチ25μm〜100μmの周期的凹凸部からなる第二加工面17が形成されている。レンズ部12と、加工面16及び第二加工面17は、透明樹脂基体1の成形時に金型の型面が転写されることでそれぞれ透明樹脂基体1と一体に形成されている。
【0050】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、レンズ部12と加工面16とが相乗的に作用して特異な立体意匠が呈されるとともに、二次加工面17による干渉色が発色するので、意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12、加工面16及び第二加工面17のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0051】
(実施例8)
図10に本実施例の装飾部材の断面図(
図1のB−B断面相当)を示す。本実施例の装飾部材は、加飾表面11に追加の積層構造が形成されたこと以外は実施例6と同様である。実施例6と同様の意匠部13の加工面16の表面には、蒸着法によって透明なTiO
2膜23が100Å〜200nmの厚さに形成されている。TiO
2膜23は薄膜であるので加工面16の形状に沿い、その表面には加工面16と同等のフレネルレンズが形成されている。そしてレンズ部12の表面と、TiO
2膜23の表面には、金属アルミニウムを蒸着することによって形成された光輝層21が全面に形成されている。
【0052】
本実施例の装飾部材によれば、視認表面10側から見ると、レンズ部12と加工面16とが相乗的に作用して特異な立体意匠が呈されるとともに、TiO
2膜23によって加工面16の拡大作用が強調されるため、意匠部13が立体的かつ明瞭に視認される。またレンズ部12及び加工面16のピッチは100μm以下であるので、人の目視によって凹凸加工が視認されるのが防止され見栄えが損なわれることもない。
【0053】
なお加飾表面11の凹凸が気になる場合には、実施例2のように、透明樹脂又は不透明樹脂による保護層2を形成してもよい。