(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135936
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】変換器
(51)【国際特許分類】
G01D 11/24 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
G01D11/24 B
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-120716(P2014-120716)
(22)【出願日】2014年6月11日
(65)【公開番号】特開2016-1125(P2016-1125A)
(43)【公開日】2016年1月7日
【審査請求日】2015年7月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新井 崇
(72)【発明者】
【氏名】石井 政幸
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐一
(72)【発明者】
【氏名】上原 彬
【審査官】
藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−006435(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3126053(JP,U)
【文献】
特開平11−138669(JP,A)
【文献】
特開平08−035336(JP,A)
【文献】
特開2006−324086(JP,A)
【文献】
実開昭62−117518(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプ本体が収納されたアンプケース本体に、安全カバーを取り付けるように構成された変換器において、
前記安全カバーの主平面には、表示器が取り付けられるとともに、前記表示器が取り付けられない外周近傍に、ガス抜き用の複数の貫通孔が円周状に設けられたことを特徴とする変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換器に関し、詳しくは、安全性の改善に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の変換器の一例を示す構成説明図である。
図4において、アンプケース本体1は円筒状に形成されていて、このアンプケース本体1には図示しないアンプ本体が収納される。
【0003】
アンプケース本体1に収納されるアンプ本体を構成する部品には、動作時に高電圧が印加されたり高温に上昇したりするものがある。アンプ本体がアンプケース本体1の内部で露出していると、たとえば変換器の動作状態で保守点検や調整作業などを行う場合に、作業者がアンプ本体に接触して感電したり火傷をしたりする恐れがあり、作業者は危険にさらされることになる。
【0004】
そこで、アンプ本体が収納されたアンプケース本体1には、安全カバー2が取り付けられる。そして、安全カバー2に表示器3が取り付けられて、これら安全カバー2および表示器3を内包するようにしてアンプケース本体1の開口部に窓ガラスカバー4が取り付けられる。なお、安全カバー2の主平面21には、アンプ本体と表示器3とを電気的に接続する配線を通すための窓5も設けられている。
【0005】
特許文献1には、部品の共通化や拡張性向上を実現する変換器ケースの技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−108790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、
図4に示す従来の構成によれば、耐圧防爆の爆発試験を行うと、窓ガラスカバーへ向かう爆発圧が安全カバー2に遮断され、爆発圧が安全カバー2に直接加わることになり、安全カバー2が破損してしまう。
【0008】
さらに、安全カバー2の破損した部分から爆発圧が不規則に加わり、圧力重積により、窓ガラスカバー1に過大な爆発圧が加わってしまうこともある。なお、圧力重積とは、容器内のある分室で発生した爆発で与圧された別の分室内の混合ガスの圧力が、二次的に爆発することによってより高くなる現象をいう。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するもので、その目的は、安全カバー2の破損を低減することにより、窓ガラスカバー4に加わる圧力重積による爆発圧を低減できる構造の変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
アンプ本体が収納されたアンプケース本体に、安全カバーを取り付けるように構成された変換器において、
前記安全カバーの主平面には、
表示器が取り付けられるとともに、前記表示器が取り付けられない外周近傍に、ガス抜き用の複数の貫通孔が
円周状に設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンプケース本体内部の爆発圧は、安全カバー2に設けられたガス抜き用の複数の貫通孔を通り抜けることになり、安全カバー2の破損を低減でき、窓ガラスカバー4に加わる圧力重積による爆発圧も低減できる変換器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例の主要部を示す構成説明図である。
【
図2】安全カバー2の主平面21を示す平面図である。
【
図3】本発明の他の実施例を示す構成説明図である。
【
図4】従来の変換器の一例を示す構成説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の主要部を示す構成説明図、
図2は安全カバー2の主平面21を示す平面図であって、
図4と共通する部分には同一の符号を付けている。
図1および
図2において、安全カバー2の主平面21の表示器3が取り付けられない外周近傍には、円周状にガス抜き用の複数の貫通孔6が設けられている。
【0017】
複数の貫通孔6の開口径の大きさは、一般安全上、試験ピンが入らないように試験ピンの外径よりもやや小さく(たとえばφ4未満)形成され、貫通孔6の数はガスの出入りが容易に行えるレベルで設けられている。
【0018】
このような構成において、アンプケース本体1の内部で爆発すると、その爆発に伴う爆発圧は、安全カバー2の主平面21に円周状に設けられている貫通孔6をガス抜き穴として通り抜ける。
【0019】
これにより、爆発に伴う爆発圧が安全カバー2の主平面21に直接加わることはなくなり、過大な爆発圧が安全カバー2に加わることもなくなる。
【0020】
そして、安全カバー2が破損されることはなく、窓ガラスカバー1に加わる過大な爆発圧を大幅に低減できる。
【0021】
図3は本発明の他の実施例を示す構成説明図であり、
図2と共通する部分には同一の符号を付けている。
図3において、安全カバー2の主平面21には、ひし形の貫通孔7が規則的なメッシュ構造として設けられている。なお、破線3’は、表示器3の取付位置を示している。
【0022】
図3の構造によれば、安全カバー2の主平面21を一般安全上問題ない大きさのひし形の貫通孔7よりなるメッシュ構造にすることで、表示器3の取付位置の外側の貫通孔7からガスが抜けるため、
図2の貫通孔6と同様の効果が得られる。
【0023】
なお、安全カバー2の主平面21のメッシュ構造はひし形の貫通孔7に限るものではなく、円形の貫通孔でも同様の効果が得られる。
【0024】
さらに、安全カバー2の主平面21の貫通孔6および貫通孔7の形状は、円形やひし形に限るものではなく、三角形や四角形や五角形などその他の多角形であってもよい。
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、安全カバーの破損を低減でき、窓ガラスカバーに加わる圧力重積による爆発圧も低減できる変換器を実現できる。
【符号の説明】
【0026】
1 アンプケース本体1
2 安全カバー
21 主平面
3 表示器
4 窓ガラスカバー
5 窓
6、7 貫通孔