(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、前記受け皿の温度を検知する温度検知手段、および/または前記受け皿の温度が所定値以上である場合に警報する警報手段が配設されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電磁誘導加熱調理用受け皿。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の電磁誘導加熱皿セットを示す図であり、
図1(a)は部分断面図であり、
図1(b)は電磁誘導加熱皿セットを構成する受け皿の平面図である。
【
図2】本発明の電磁誘導加熱皿セットの他の態様を示す図であり、
図2(a)は部分断面図であり、
図2(b)は電磁誘導加熱皿セットを構成する受け皿の平面図である。
【
図3】温度検知手段、警報手段および電磁誘導停止手段を配設した本発明の電磁誘導加熱皿セットの態様を示す図であり、
図3(a)は、その断面図であり、
図3(b)は底面図である。
【
図4】本発明の受け皿の製造方法を説明する図である。
図4(a)は、プレートを含む電磁誘導加熱皿セットの断面図であり、
図4(b)はプレートの断面図、
図4(c)は受け皿の把持部を有する受け皿天面部の断面図、
図4(d)は受け皿を構成する第一の断熱性部材を張架した受け皿中部の断面図、
図4(e)は受け皿を構成する第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部の断面図である。
【
図5】
図5は、
図4(e)に示す第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部を説明する図である。
図5(a)は、第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部の平面図を、
図5(b)は第二の断熱性部材の平面図を、
図5(c)は、受け皿底部材の平面図を示す。
【
図6】
図6は、
図4(d)に示す第一の断熱性部材を張架した受け皿中部を説明する図である。
図6(a)は、第一の断熱性部材を張架した受け皿中部の平面図を、
図6(b)は第一の断熱性部材の平面図を、
図6(c)は、受け皿中部材の平面図を示す。
【
図7】
図7は、
図4(c)に示す受け皿の把持部を有する受け皿天面部を説明する図である。
図7(a)は受け皿天面部の断面図を、
図7(b)は受け皿天面部の平面図を示す。
【
図8】本発明の受け皿の他の態様および製造方法を説明する図である。
図8(a)は受け皿の平面図であり、
図8(b)は、プレートを含む電磁誘導加熱皿セットの断面図であり、
図8(c)は第一の断熱性部材の断面図および側面図であり、
図8(d)は受け皿天面部の断面図および側面図、
図8(e)は受け皿を構成する第二の断熱性部材を貼付した受け皿底部の断面図および側面図である。
【
図9】本発明の受け皿の他の態様および製造方法を説明する図である。
図9(a)は平面図、
図9(b)は側面図、
図9(c)は、受け皿本体に配設される第一の断熱性部材の側面図および断面図、
図9(d)は、受け皿本体の断面図および側面図、
図9(e)は受け皿本体に配設される第二の断熱性部材の側面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一は、電磁誘導加熱調理用プレートを収納するための凹部が形成された電磁誘導加熱調理用受け皿であって、
前記凹部、または前記凹部の一部をなす貫通孔が形成された受け皿本体と、
前記プレートを支持するための炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維で成形された板状物、線状物、柱状物および/または中空柱状物の第一の断熱性部材とを備え、かつ
受け皿本体の底面部より突出した足部を有することを特徴とする、受け皿である。前記凹部の底部には、第二の断熱性部材が配設されていてもよい。
また、本発明の第二は、上記受け皿と、電磁誘導によって加熱される電磁誘導加熱調理用プレートとからなる電磁誘導加熱皿セットである。以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0018】
(1)電磁誘導加熱皿セット
本発明の電磁誘導加熱皿セットは、電磁誘導加熱調理用プレートと、前記プレートを収納しうる受け皿とからなる。前記受け皿は、凹部、または前記凹部の一部をなす貫通孔が形成された受け皿本体と、前記プレートを支持するための、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維で成形された板状物、線状物、柱状物および/または中空柱状物の第一の断熱性部材とを備える。更に、前記受け皿は、受け皿本体の底面部より突出した足部を備えている。なお、前記プレートは、電磁誘導によって加熱する部材で構成されている。
【0019】
図1は、本発明の電磁誘導加熱皿セットの態様の一例を説明する図であり、
図1(a)はその側面部分断面図である。本発明の電磁誘導加熱皿セットは、
図1(a)に示すように、電磁誘導加熱調理用プレート10と受け皿100とからなり、前記受け皿100の略中央には、前記プレート10を収納しうる凹部21が形成されている。受け皿本体20には、前記凹部21に収納された前記プレートを支持するための、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維で成形された板状物、線状物、柱状物および/または中空柱状物の第一の断熱性部材が固設されている。プレート10を受け皿20の凹部21に収納すると、プレート10が第一の断熱性部材40によって支持されるため、プレート10と受け皿本体20との直接接触を回避することができる。第一の断熱性部材40によってプレート10が支持されると、例えば凹部側壁21aとプレート10との間に間隙を形成することができるため、加熱したプレート10から受け皿100への伝熱を抑制することもできる。
【0020】
本発明の受け皿100は、凹部21の底面に、炭素繊維布、アラミド繊維および岩石繊維からなる群から選択される1種以上の第二の断熱性部材30が配設されるものであってもよい。これにより加熱したプレート10から受け皿本体20への伝熱を抑制し、受け皿100底部の熱劣化を低減することができる。
【0021】
本発明の受け皿100は、受け皿本体20の底面部より突出した足部23が形成されていることを特徴とする。足部23により電磁誘導加熱装置の加熱面と受け皿本体20の底面との間に間隙が形成され、加熱されたプレート10の熱がこの間隙から放熱され、受け皿100の過度の加熱を抑制することができる。
【0022】
電磁誘導加熱装置は、電磁誘導の加熱効率を高めるため、電磁誘導加熱皿や鍋類を電磁誘導加熱装置の加熱部に密着して載置することが一般的である。本発明の受け皿セットを電磁誘導加熱装置に載置しても、前記足部23によって前記加熱部とプレート10とは密着しないが、プレート10と加熱部との距離は、電磁誘導によって加熱しうる程度に十分に近い。本発明の受け皿100は、電磁誘導加熱装置によるプレート10の加熱効率を維持し、かつ第一の断熱性部材40や第二の断熱性部材30、足部23の配設によってプレート10の受け皿100への伝熱や蓄熱を抑制し、これにより受け皿を軽量化することができる。
【0023】
第一の断熱性部材40は、プレート10を支持できるように受け皿本体20に固設される。支持の態様は特に限定は無い。例えば、プレート10の底部となる位置に第一の断熱性部材40を固設すれば、その上部にプレート10を載置によって支持することができる。また、プレート10の外周を側方から押圧しうるように第一の断熱性部材40を固設すれば、前記押圧により支持することができる。また、プレート10の上部にフランジが形成される場合には、前記フランジの下部となる位置に第一の断熱性部材40を固設すれば、前記フランジを介してプレート10を吊持して支持することができる。
図1では、凹部21の底部に第一の断熱性部材40を2本張架する態様を示したが、第一の断熱性部材40の形状や固設する位置、固設する数など、
図1に限定されるものではない。第一の断熱性部材40によってプレート10が支持されると、受け皿本体20の凹部側壁21aとプレート10との間に空間を形成することができる。この間隙により、プレート10が加熱された場合でもその熱が凹部側壁21aに直接伝熱されるのを回避し、凹部側壁21aの熱劣化を防止することができる。なお、
図1では、第一の断熱性部材40の下部に更に第二の断熱性部材30が配設される態様を示した。
【0024】
第一の断熱性部材40による支持の他の態様として、
図2に、凹部側壁21aの上部内周に沿って溝部29を形成し、この溝部29に円弧状の第一の断熱性部材40を固設した受け皿100および受け皿セットを示す。
図2(a)は、受け皿セットの断面図および側面図であり、
図2(b)は受け皿100の平面図である。
図2(a)に示すように、受け皿本体20にはプレート10を収納しうる凹部21が形成され、前記凹部側壁21aの上部に断面視円弧状の溝部29が形成されている。この溝部29に環状の第一の断熱性部材40を固設する。第一の断熱性部材40の内周は、テーパー状に形成されたプレート10の最大外周よりも短径とする。凹部21にプレート10を収納すると、プレート10の外周が前記第一の断熱性部材40によって押圧され、前記凹部の所定位置に支持される。なお、第一の断熱性部材40は環状に限定されるものではなく、前記環状の第一の断熱性部材が複数個に分断されて間欠的に前記溝部29に固設されるものなどであってもよい。凹部側壁21aに固設した第一の断熱性部材40でプレート10の外周を側方から押圧する方法によれば、プレート10の底部と第二の断熱性部材30との間に第一の断熱性部材40が存在しないため、電磁誘導加熱装置の加熱部とプレート10と距離をより短くし、受け皿本体20をより薄層化、軽量化することができる。なお、
図2に示すように、プレート10と第二の断熱性部材30との間には空間が形成されることが好ましい。この間隙により、プレート10が加熱された場合でもその熱が第二の断熱性部材30に直接伝熱されるのを回避し、第二の断熱性部材30の熱劣化を防止することができる。
【0025】
本発明の受け皿100は、受け皿100の一部に温度を検知する温度検知手段60や、前記温度検知手段で検知した温度が所定値以上である場合に警報する警報手段70などが配設されていてもよい。温度検知手段60として温度スイッチを使用し、受け皿100が所定温度以上になった場合に警報手段70のスイッチが入るように設定すれば、受け皿100と接触することなく把持に安全であるかを検知することができるため火傷などを防止することができ、かつ調理時の過加熱を回避できるため安全性に優れる。更に、温度検知手段60によって電磁誘導加熱調理装置の電源をON−OFF制御しうる停止手段80を配設してもよい。
図3に、
図1の電磁誘導加熱皿セットに温度検知手段60と警報手段70、および停止手段80を配設した態様を示す。なお、
図3において符号50は、前記温度検知手段60や警報手段70に配設される電池などの電源である。電磁誘導による影響を避けるため、把持部に配設され、図示しないケーブルが温度検知手段60および警報手段70と連設されている。
【0026】
本発明の電磁誘導加熱皿セットを構成するプレート10は、電磁誘導により加熱される部材で構成されるため、プレート10を加熱するために受け皿100に蓄熱部材などを配することなく、受け皿100を軽量化することができる。また、受け皿本体20の薄層化によりプレート10の熱が把持部に伝熱されやすいが、少なくとも第一の断熱性部材40によって把持部への伝熱が回避され、かつ足部23によって放熱され、受け皿100の熱劣化を効率的に防止することができ、食材加熱後の受け皿100を直接把持することができる。
【0027】
(2)受け皿
本発明の受け皿100は、プレート10を収納するための凹部21、または前記凹部21の一部をなす貫通孔が形成された受け皿本体20と、少なくとも、プレートを支持するための第一の断熱性部材40とからなる。
【0028】
プレート10を収納する凹部21の形状は、使用するプレート10の形状に応じて適宜選択することができる。プレート10を収納した後に、凹部側壁21aとプレート10との間に空間部が形成される形状およびサイズであることが好ましい。なお、前記凹部21は、プレート10を収納するための凹状部であってもよく、またはプレートが嵌入しうる貫通孔と当該貫通孔の一端を他の部材で被覆して凹状部としたものであってもよい。このような他の部材として受け皿本体20を構成するいずれかの部材、および/または第二の断熱性部材30を使用することができる。
【0029】
受け皿本体20は、単一部材で構成されるものであってもよく、複数部材から構成されるものであってもよい。材質としては、例えば、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。
【0030】
第一の断熱性部材40は、炭素繊維、アラミド繊維および/または岩石繊維を成形した板状物、線状物、柱状物および/または中空柱状物である。板状物としては、平板状に限定されず、波板状その他であってもよい。また、線状物や柱状物、中空柱状物の形状としては、直線状に限定されず、円弧状その他であってもよい。これらはいずれも耐熱性に優れ、電磁誘導によって加熱せず、かつ機械的強度に優れる。固設箇所や固設方法としては、加熱時にもプレート10を支持しうる強度が担保できれば特に制限はない。
【0031】
前記凹部21の底部には前記第二の断熱性部材30が配設されることが好ましい。第二の断熱性部材30としては、炭素繊維布のほか、アラミド繊維や、スラグ繊維、ガラス繊維、岩石繊維などの無機繊維、シリカ粉末などの無機粒子を配合した耐熱性塗料などの塗布層を用いることができる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ(等方性ピッチ、異方性ピッチ)系、フェノール樹脂系、レーヨン系、セルロース系、ポリビニルアルコール(PVA)系などの炭素繊維を用いることができる。無機繊維は、単独または2種以上を組み合わせて使用されてもよい。これらの中でも、軽量であり、断熱性および曲強度や耐衝撃性に優れ、かつ加工が容易な点で炭素繊維布やアラミド繊維布を好ましく使用することができる。第二の断熱性部材30は、プレート10と直接接触しない位置に配設されることが好ましい。このような態様で第二の断熱性部材30を介在させると、加熱されたプレート10の保温性を確保しつつ、かつ凹部21内で、プレート10と第二の断熱性部材30との間隙によって受け皿100への伝熱を抑制することができる。なお、
図1に示すように、凹部21の底部に第一の断熱性部材40が固設される場合には、第二の断熱性部材30と第一の断熱性部材40とが接触しないように固設されることが好ましい。これにより、第二の断熱性部材30の熱劣化を効率的に抑制することができる。
【0032】
本発明の受け皿100は、上記構成となればその製造方法に限定はない。たとえば、受け皿本体20を、凹部21や前記貫通孔を形成した単一部材で構成してもよく、受け皿底部20aと、受け皿中部20bと、受け皿天面部20cとの3層とに区分し、これらを積層して製造してもよい。
【0033】
図4(a)に、
図1に示す受け皿100を、受け皿底部20aと、受け皿中部20bと、受け皿天面部20cとの3層で構成し、これにプレート10を載置してなる電磁誘導加熱皿セットの断面図を示す。
図4(b)はプレートの断面図であり、
図4(c)は、受け皿100の把持部を構成する天面部材26からなる受け皿天面部20c、
図4(d)は中部材25に第一の断熱性部材40を張架した受け皿中部20b、
図4(e)は底部材24に第二の断熱性部材30を貼付した受け皿底部20aの各断面図である。これらを積層し、それぞれを耐熱性接着剤などで固定すれば受け皿100を製造することができ、これにプレート10を載置すれば、
図4(a)に示す本発明の電磁誘導加熱皿セットとなる。
【0034】
受け皿底部20aの構成を
図5に示す。
図5(a)は受け皿底部20aの平面図であり、
図5(b)は第二の断熱性部材30の平面図であり、
図5(c)は受け皿底部材24の平面図である。所定形状に切断した受け皿底部材24に、例えば、炭素繊維布などの第二の断熱性部材30を貼着すると、
図5(a)に示す受け皿底部20aとなる。受け皿底部材24は、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができ、たとえば、ベニヤ板などであってもよい。これに凹部21の底部となるように第二の断熱性部材30を載置し、必要に応じて耐熱性の接着剤などで固定する。なお、図示しないが、受け皿底部材24には、前記第二の断熱性部材30の載置位置に、第二の断熱性部材30より小径の貫通孔が1以上形成されるものであってもよい。貫通孔によりプレート10の熱を受け皿底部材24の上部から底部に向けて放熱することができ、受け皿本体20の過熱を回避することができる。なお、受け皿底部材24の背面には、図示しない足部23が形成されている。
【0035】
受け皿底部材24の厚さは、足部23を含めて1.5〜7.0mmであり、好ましくは2.0〜5.0mmである。7.0mmを超えると、電磁誘導加熱調理装置に載置した場合、電磁誘導加熱調理装置の加熱部とプレート10との距離が長くなり、電磁誘導によるプレート10の加熱効率が低下する場合がある。
【0036】
本発明では、受け皿100に足部23が配設されることを特徴とする。電磁誘導加熱調理装置は、磁力発生コイルに高周波インバータから数十kHzの電流を流すことにより高周波磁界を発生させ、その上部に配置した鍋底にうず電流を誘起させ、このうず電流により鍋自体を加熱させるものである。鍋自体が加熱するため、熱気や輻射熱としてのロスが少なく高効率であるが、インバータ内部では半導体スイッチング素子が繰返しのオンオフにより発熱し、このような熱量が加熱部に伝熱される。電磁誘導加熱用の鍋類は一般に伝熱性であるためこのような熱量が鍋類に伝熱されるが、鍋類は加熱を目的とするため何ら問題は生じない。しかしながら、加熱部で発生する熱量が受け皿本体20に伝熱されると受け皿100の底部に蓄熱される。そこで、電磁誘導加熱により高温となったプレート10の熱量の放熱に加え、前記した半導体スイッチング素子などに由来する電磁誘導加熱調理装置からの熱量を放熱するため、受け皿100に足部23を形成した。
【0037】
足部23の高さは、0.5〜3mm、好ましくは0.7〜3mmである。この範囲で足部23を形成すると、電磁誘導加熱調理装置と受け皿100の底面部との間隙から加熱したプレート10の熱を効率的に放熱でき、受け皿100の温度上昇を回避すると共に、部材を薄くしも熱量の伝熱が少ないため、受け皿100の軽量化を図ることができる。
【0038】
なお、第二の断熱性部材30の厚さは0.5〜5mm、好ましくは1.0〜3.0mmである。この範囲で十分にプレート10からの伝熱を抑制することができる。
【0039】
受け皿中部20bの構成を
図6に示す。
図6(a)は受け皿中部20bの平面図であり、
図6(b)は第一の断熱性部材40の平面図、
図6(c)は受け皿中部材25の平面図である。受け皿中部材25は、
図6(c)に示すように中央に円形の貫通孔が形成され、受け皿本体20の凹部21の一部を構成している。更に、第一の断熱性部材40を張架する溝部29が4箇所形成されている。この受け皿中部材25に、第一の断熱性部材40を嵌着などにより張架し、必要に応じて耐熱性の接着剤などで固定すれば、受け皿中部20bを製造することができる。受け皿中部20bは、木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。
【0040】
受け皿中部材25の厚さは2.0〜6.0mmであり、好ましくは2.5〜5.0mmである。6.0mmを超えると、電磁誘導加熱調理装置に載置した場合、電磁誘導加熱調理装置とプレート10との距離が長くなり、電磁誘導によるプレート10の加熱が困難となる場合がある。第一の断熱性部材40として使用する炭素繊維やアラミド繊維からなる板状物、線状物、柱状物および/または中空柱状物の長さは、前記凹部21に配設しうる長さであればよい。
【0041】
第一の断熱性部材40の太さは配設される数にも依存するが、たとえば等価円に換算して直径1〜5mm、好ましくは1.5〜4.5mmである。この範囲であれば、食材を収納したプレート10を安定して載置することができる。
【0042】
第一の断熱性部材40は、第二の断熱性部材30と接触しないように配設することが好ましく、これにより第二の断熱性部材30の劣化を効率的に防止でき、ひいては、受け皿100の耐久性を向上させることができる。第二の断熱性部材30と第一の断熱性部材40とが接触しない場合の間隙は、第一の断熱性部材40を嵌着する溝部29の深さなどを調整することで、制御することができる。
【0043】
図7(a)に天面部材26からなる受け皿天面部20cの断面図、
図7(b)に受け皿天面部20cの平面図を示す。天面部材26は、受け皿100の両端を把持部として使用することができるように、受け皿中部材25よりも長手方向に長尺に形成されている。略中央に凹部21が形成され、凹部側壁21aはテーパー状を形成している。なお、受け皿中部材25や天面部材26は、食材を収納したプレート10を安定して載置しうる深さ、載置した受け皿100を変形することなく把持できる剛性、加熱したプレート10の伝熱を抑制しうる耐熱性が要求される。木、紙、セラミックス、プラスチック、およびこれらの複合体などで構成することができる。受け皿中部材25や天面部材26の厚さは、他の部材の厚さにもよるが、一般には3〜40mm、好ましくは5〜30mmである。
【0044】
上記は、受け皿中部材25に溝部29を形成して2本の第一の断熱性部材40を平行に固設する受け皿100の製造方法であるが、受け皿100として
図8に示すように、天面部材26の上面に溝部29を形成し、板状の第一の断熱性部材40を貼着したものであってもよい。
図8(a)は、このような受け皿の平面図であり、
図8(b)は
図8(a)のA−A線断面図、
図8(c)は第一の断熱性部材40の断面図および側面図、
図8(d)は受け皿天面部20cの断面図および側面図、
図8(e)は、受け皿100を構成する第二の断熱性部材30を貼付した受け皿底部20aの断面図および側面図である。受け皿天面部20cを構成する天面部材26に凹部21の一部を構成する貫通孔が形成され、長手方向の両端に把持部が形成されている。また、前記貫通孔の外周に一対の第一の断熱性部材40を嵌着するための溝部29が形成されている。このような受け皿100を製造するには、例えば、予め第二の断熱性部材30を受け皿底部材24に貼着した受け皿底部20aと前記受け皿天面部20cとを積層し、更に前記受け皿天面部20cの溝部29に第一の断熱性部材40を固設すればよい。この態様では、
図4と相異して受け皿中部20bは不要である。受け皿天面部材26に固設された第一の断熱性部材40がプレート10のフランジ部を下方から支持し、凹部21とプレート10との接触を回避することができる。なお、受け皿100は、収納したプレート10が第二の断熱性部材30と直接接触せずに支持されるように、第一の断熱性部材40が固設されることが好ましい。プレート10と第二の断熱性部材30との空間は、受け皿天面部20cの高さや第一の断熱性部材40の厚みなどを調整して確保することができる。
【0045】
なお、上記は受け皿本体20を複数層で構成する場合、各層をそれぞれ耐熱性接着剤を介して固定する態様を示したが、耐熱性のプラスチックスなどで構成する場合には、各層を使用するプラスチックスによる熱溶着によって一体化してもよく、締結具その他で固定するものであってもよい。
【0046】
更に、本発明の受け皿は、受け皿本体20を一体物で構成し、これに第一の断熱性部材40を固設したものであってもよい。例えば、
図2に示す受け皿100を製造する場合を
図9を用いて説明する。
図9(a)は、受け皿100の平面図であり、
図9(b)は側面図、
図9(c)は第一の断熱性部材30のA−A線断面図および側面図、
図9(d)は受け皿本体20のA−A線断面図および側面図、
図9(e)は第二の断熱性部材30のA−A線断面図および側面図である。
図9(d)に示すように、受け皿本体20には、凹部21の一部を構成する貫通孔が形成され、凹部側壁21aの上部内周には、断面視円弧状の溝部29が形成されている。この受け皿本体20に、底面側から前記貫通孔を被覆するように平板状の第二の断熱性部材30を挿入して凹部21の底部とし、天面側から弧状に曲げた第一の断熱性部材40を挿入して前記溝部29に嵌着および接着する。受け皿本体20が一体物で構成されるため、第一の断熱性部材40と第二の断熱性部材30とを配設するのみで受け皿100を製造することができる。
【0047】
(3)警報手段
本発明の受け皿100を使用する場合には、受け皿100の温度を検知し、その温度が所定値以上である場合に、警報を発する警報手段70を配設することができる。警報としてはブザー音などの音による以外に、点滅その他の光による方法であってもよく、双方を備えるものであってもよい。たとえば、所定温度に達するとスイッチが入る温度スイッチを温度検知手段60とし、この温度スイッチによって制御されるブザーやライトなどを警報手段70とすることができる。前記
図3に示すように、温度検知手段60を配設する箇所は、受け皿100の凹部側壁21aの底部近傍が好適である。凹部21の内側には加熱したプレート10が収納されるため、凹部側壁21aはプレート10からの伝熱の影響を受けやすい。また受け皿100の底部は、電磁誘導加熱調理装置の半導体スイッチング素子からの放熱を受ける。よって、受け皿100の凹部側壁21aの底部近傍は、使用時に最も温度が高くなる箇所である。従って、この温度を基準とすれば直接受け皿100に接触することなく把持可能か否かを検出することができるため、安全性に優れる。
図3に、受け皿100の凹部側壁21aの底部近傍に温度検知手段60を埋設する態様を示す。なお、温度検知手段60は、受け皿の把持部や天面部、その他であってもよい。なお、電源50、ブザーやLEDライトなどの警報手段70は、受け皿100の把持部や天面部など電磁誘導により加熱されない箇所に配設する。
【0048】
(4)停止手段
本発明では警報手段70に加えて、前記受け皿100の温度が所定値以上である場合に、使用する電磁誘導加熱調理装置の電磁誘導を停止する停止手段80を配設してもよい。
一般に、電磁誘導加熱調理装置にはマイクロコンピュータを主体として構成される制御回路が配設され、使用する鍋類の材質を検出したり、この情報に基づいて加熱温度が制御される。電磁誘導加熱調理装置の加熱部の下部には加熱コイルが配され、その近傍にサーミスタなどの温度センサが取付けられている。前記制御回路には前記サーミスタの情報が入力され、サーミスタが感知する加熱部の温度が所定温度になるように高周波インバータの発振動作(トランジスタのオン,オフ動作)と発振停止(トランジスタの連続オフ)とが出力される。従って、電磁誘導加熱調理装置の制御回路に、前記温度検知手段60の温度センサによるON−OFF情報を入力させ、電磁誘導加熱調理装置の制御回路を介して、高周波インバータの発振を停止させるように制御することができる。また、受け皿100の温度検知手段60の情報を電磁誘導加熱調理装置の制御回路に入力させるには、たとえば電池駆動が可能で、スペクトラム拡散通信で送受信しうる微弱無線モジュールを介して行うことができる。微弱無線によれば、消費電力が低く無線局の免許を受ける必要もないからである。電磁誘導加熱調理装置に、微弱無線モジュールからの信号受信手段を配設し、この受信信号を受け皿100の温度情報として制御回路に入力させ、温度検知手段60のON−OFFと連動して制御させればよい。これにより、受け皿100が所定温度を超える場合に電磁誘導加熱調理装置の加熱を停止させることができる。このような微弱無線モジュールは受け皿100の底面の、たとえば前記
図3(a)の電源50の近傍に配設することができる。なお、上記は、温度検知手段60と微弱無線モジュールとを連設する態様で説明したが、温度検知手段60により警報手段70を稼動させると共に電磁誘導加熱調理装置の制御回路を介して、高周波インバータの発振を停止させるように制御してもよい。
【0049】
(5)プレート
受け皿100を使用する場合、この上に載置して使用しうるプレート10は、電磁誘導により加熱される部材で構成される。上記受け皿100には蓄熱部材などが使用されていないため、プレート10自体が電磁誘導により加熱しないと、食材を電磁誘導加熱することができない。プレート10としては、たとえば、鉄、鉄ホーロー、鉄鋳物、フェライト系ステンレス、鉄層を積層した鉄系多層鋼など磁性を有する部材を例示することができる。また、非磁性体を加熱しうる電磁誘導加熱調理装置を使用する場合には、このような装置で加熱しうる部材からなるプレート10を使用することができる。このような部材としては、アルミニウムや銅や、またはアルミニウム層や銅層が積層された部材からなるプレートを例示することができる。このような部材は、電磁誘導加熱によって加熱しうるばかりでなく、たとえば遠赤外線を放出するような部材であってもよい。
【0050】
(6)使用方法
本発明の電磁誘導加熱皿セットを使用して電磁誘導加熱調理装置によって調理する場合は以下の方法による。まず、受け皿100にプレート10を載置して電磁誘導加熱調理装置の加熱部に載置する。プレート10には、予め食材が収納されるものであってもよい。プレート10が電磁誘導加熱され、加熱されたプレート10の上で食材を加熱調理する。食材を加熱調理した後、受け皿100ごと食卓で食器として使用することができる。本発明の受け皿100によれば、ステーキ、焼肉、グラタン、スパゲッティー、その他、加熱によって可食しうる料理に広く使用することができる。
【0051】
本発明は2012年3月26日に出願された日本国特許出願2012−069755号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2012−069755号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。