特許第6135944号(P6135944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6135944
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】磁気装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/02 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   H02K21/02
【請求項の数】9
【全頁数】53
(21)【出願番号】特願2014-528947(P2014-528947)
(86)(22)【出願日】2012年9月4日
(65)【公表番号】特表2014-529990(P2014-529990A)
(43)【公表日】2014年11月13日
(86)【国際出願番号】EP2012067185
(87)【国際公開番号】WO2013034535
(87)【国際公開日】20130314
【審査請求日】2015年9月1日
(31)【優先権主張番号】A1260/2011
(32)【優先日】2011年9月5日
(33)【優先権主張国】AT
(31)【優先権主張番号】A781/2012
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514054926
【氏名又は名称】エスイーエイチ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘイン,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】マーシュナー ヴォン ヘルムライク,マーティン
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−160027(JP,A)
【文献】 特開平09−163708(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0181171(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのステータ(1)少なくとも1つのトランスレータ(2)、及び制御装置を含む磁気装置であって、
前記トランスレータ(2)は、前記磁気装置の使用時に、前記ステータ(1)に対して連続的に可変のトランスレータ移動方向(6)に移動可能に支持され、
前記制御装置は、前記磁気装置の使用時にステータ(1)とトランスレータ(2)との間に発生する力に合わせて前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の距離rが常にゼロより大きくなるように距離rを制御し、及び/又は、前記距離rが常にゼロより大きくなるようにステータ(1)とトランスレータ(2)との間の力を制御し、
前記距離rの最小値は、前記距離rの最小値に対応する前記トランスレータ(2)の位置Xtにおいて、前記ステータ(1)から前記トランスレータ(2)に作用する力が最大となるように、前記ステータ(1)と前記トランスレータ(2)との間に発生する力に合わせて設定されることを特徴とし、前記ステータ(1)から前記トランスレータ(2)に作用する力F(Xt)は、
qsla(Xt)及びqslb(Xt)を前記ステータ(1)の磁極強度、
qta(Xt)及びqtb(Xt)を前記トランスレータ(2)の磁極強度とし、
Xtを前記ステータ(1)の中心(11)を基準としたときの前記トランスレータ(2)の中心(13)の位置とし、
Lsを前記力F(Xt)の方向における前記ステータ(1)の延長長さ、
Ltを前記力F(Xt)の方向における前記トランスレータ(2)の延長長さ、としたときに、下記数式1で表され、
前記力F(Xt)の方向は前記ステータ(1)の中心(11)と前記トランスレータ(2)の中心(13)を結んだ直線に平行である、磁気装置。
【数1】
【請求項2】
前記トランスレータ(2)は前記ステータ()を通過して移動可能に支持されることを特徴とする、請求項1に記載の磁気装置。
【請求項3】
前記トランスレータ(2)は回転中心(3)の周りで回転可能に支持されることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁気装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の距離を変化させることのできるステータ支持体、及び/又は、前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の距離を変化させることのできるトランスレータ支持体(4)を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の距離を変化させることのできないステータ支持体、及び/又は、前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の距離を変化させることのできないトランスレータ支持体(4)を含むことを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気装置。
【請求項6】
前記ステータ(1)は、トランスレータ移動経路(5)に対して一定の距離を有する形状を有し、前記距離によって前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の前記距離が規定されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気装置。
【請求項7】
前記ステータ(1)は、前記トランスレータ移動経路(5)に対して距離が変化する形状を有し、前記距離によって前記トランスレータ(2)と前記ステータ(1)との間の前記距離が規定されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気装置。
【請求項8】
前記トランスレータ(2)の回転中心(3)、並びに幾何学的なステータの中心点(7)及び/又は幾何学的なトランスレータの中心点(8)は合致することを特徴とする、請求項3〜7のいずれか一項に記載の磁気装置。
【請求項9】
前記ステータ(1)又は前記トランスレータ(2)は電磁石として形成され、前記電磁石の磁場強度は前記制御装置によって制御することができることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の磁気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのステータ磁石及び少なくとも1つのトランスレータ磁石を含む磁気装置であって、上記トランスレータは、本発明の磁気装置の動作時に、上記ステータに対して絶えず変化可能なトランスレータ移動方向に移動可能に支持される、磁気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の電気モータの動作、特に回転モータの動作は、トランスレータ及びステータの磁場強度が、電気駆動装置に外部から作用する力又は発生される力に従って制御されることを特徴とする。トランスレータとステータとの間の距離は、従来技術の電気モータの動作時には変化しない。
【0003】
本発明の課題は、特に、特に良好な有効性の磁気駆動装置を提供することである。加えて、本発明の課題は、非常に円滑であること、及び可能な限り均一なトランスレータの移動等の特に有益な特性を有する磁気駆動装置を確実にすることである。
【0004】
従来技術では、稼働が非常に円滑であること又は可能な限り均一なトランスレータの移動は、本発明の磁気装置の総重量と比較して高いレベリング質量体を用いることによって達成することができる。しかし、そのようなレベリング質量体の使用は、付加的な質量体、特にレベリング質量体を加速する必要があるため、不都合であるとみなされる可能性がある。
【0005】
加えて、制御装置を用いることによって磁気駆動装置の上記特性を保証するという可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書において説明する本発明の課題は、いかなる付加的な手段又は装置も用いることなく従来技術の磁気駆動装置と比較して磁気駆動装置を変更することによって本発明の磁気駆動装置の上記特性を達成することである。
【0007】
以下で開示される本発明は、アクチュエータ、発電機又は抵抗器等の本発明の磁気駆動装置の使用又は発電にも関する。抵抗器の場合、外部から促されるトランスレータの移動が、磁場の活性化、及びステータとトランスレータとの間で作用する力によって防止される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、以下で開示される方策によって達成される。本発明の開示は、以下で説明する方策を組み合わせることを排除しない。
【0009】
1つの可能な方策では、本発明の磁気装置は、当該磁気装置の動作時にステータとトランスレータとの間に発生する力に関して、トランスレータとステータとの間の距離r>0(換言すると:rはゼロよりも大きい)を制御する制御装置を含むことができる。
【0010】
別の方策では、本発明の磁気装置は、距離r>0を規定することによって上記力を制御する制御装置も含むことができる。
【0011】
作用する力に依存する最小の距離rの制御、及び/又は距離rに依存する力の制御も、本発明の磁気装置に作用する外力に依存するものとすることができる。
【0012】
本発明の磁気装置は、トランスレータ及びステータが、使用時ではなくでも距離rを有し、それによってトランスレータ及びステータが1つの磁石として働かず、したがって一対の磁石として働くことに基づいて優れているものとすることができる。磁気装置は、このために停止装置を有することができ、停止装置によって、磁気装置が用いられていないときのステータに対するトランスレータの移動を防止することができる。
【0013】
トランスレータは、トランスレータ移動方向に、多角形のトランスレータ移動経路に沿ってステータに対して、本質的にステータを通過して移動可能である。トランスレータ移動経路の延長経路は、ステータを通っては延びないが、ステータを越えて延びる。
【0014】
ステータ及びトランスレータは、磁気部分、並びに、磁気部分を覆う層又はステータ及びトランスレータの磁気部分間の接触を防止するスペーサを含むことができるため、ステータ及びトランスレータが接触する場合でも、ステータ及びトランスレータの磁気部分は接触しない。
【0015】
距離rは、磁石の一時的な特性に依存して更に配置することができる。磁石の一時的な特性は、一方では、熱応力のような外部からの影響によって変化することができ、他方では、付加的な制御装置によって制御することができる。例えば、磁場の磁場強度及び磁石の向きは従来技術の方法によって制御することができる。また、現在の教示を参照すると、材料の選択及び材料の組み合わせが磁石の特性に影響を与える。
【0016】
本発明の磁気装置に含まれる制御装置は、上記影響、及び少なくとも1つのステータ又は少なくとも1つのトランスレータの磁石の特性に関して距離rを制御することができる。
【0017】
多角形のトランスレータ移動経路は、トランスレータの移動が、変化可能な、任意選択的には絶えず変化可能なトランスレータ移動方向を有することを特徴とすることができる。多角形のトランスレータ移動経路の可能な形態は円形の形状、楕円形の形状であり、多角形の線は始点及び終点を有する。トランスレータの移動経路は、多角形又は直線的な延長部を有するガイドユニット等の機械的な強制システムによって画定することができる。トランスレータは、他の移動可能な、特に回転可能又はシフト可能に支持される要素に連結することができ、この要素はそのような機械的な強制システムを形成し、したがってトランスレータの移動を決める。例えばトランスレータはレバー又はクランク軸に連結することができる。
【0018】
本発明の磁気装置は、制御装置が、トランスレータ移動経路の部分的なエリアにおいてステータとトランスレータとの間に第1の相互作用を形成し、トランスレータ移動経路の他の、例えば第2の部分的なエリアにおいてステータとトランスレータとの間に他の及び/又は第2の相互作用を形成するようなものとすることができる。これによって、それぞれのエリアにおいてステータとトランスレータとの間で第1の引力又は反発力及び第2の引力又は反発力が生じる。
【0019】
従来技術によると、トランスレータ及びステータは、電磁石及び/又は永久磁石のような磁気装置によって形成される。本発明の磁気装置は、同じ磁場強度を有する双方の磁石、並びに、双方のステータ及びトランスレータとは異なる磁場強度を有する磁石を含むことができる。異なる磁場強度を有する磁石の使用は、ステータ又はトランスレータそれぞれの磁場強度よりも高い磁場強度を有する磁石を有するトランスレータ及びステータの双方を含む。
【0020】
ステータ及びトランスレータの互いに対する分極は、ステータ及びトランスレータの、異なるか又は同一の分極によって、引力及び/又は反発力をそれぞれ含む力が形成され、それによって、引力及び/又は反発力の結果としてトランスレータの移動が行われるようなものでなければならない。引力及び反発力を発生させるステータ及びトランスレータの分極は本質的に従来技術によるものである。
【0021】
加えて、本発明は、ステータ及びトランスレータの分極が、ステータとトランスレータとの間の距離、特にステータとトランスレータとの間の距離rに依存することを含む。
【0022】
本明細書において開示される本発明の可能な用途は、特に高い有効性を有する磁気装置を提供することに加えて、従来技術の磁気装置を制御することを含む。避けられない誤差に起因して、ステータとトランスレータとの間の距離は可変要因である。距離の変化は、製造、又は変化する材料特性に起因する可能性がある。
【0023】
本明細書において記載される制御装置によって円滑さの中の乱れを相殺することが、本明細書において開示される本発明の課題であるものとすることができる。
【0024】
本明細書において開示される本発明は本質的に、距離rと、本発明の磁気装置又は従来技術の磁気装置の性能とのつながりを示す。本発明の用途は、磁気装置が規定の性能を提供するように、測定される距離に依存して磁気装置を制御することである。
【0025】
トランスレータは、トランスレータ移動方向に多角形のトランスレータ移動経路に沿ってステータに対して、本質的にステータを通過して移動可能であるものとすることができる。延長したトランスレータ移動経路はステータを通っては延びないが、ステータを越えて延びる。
【0026】
距離rと、磁気装置が提供する性能とのつながりの数学的説明は、2つのステータ間を移動するトランスレータのトランスレータ移動経路が、ステータの直線状の接続線に一致して平行な向きになる、トランスレータの多角形の移動経路の特定の場合に限定される。
【0027】
上記から逸脱するトランスレータの一時的な移動の数学的説明の場合は、それぞれの因子を、三角法の法則に従って変えなければならない。
【0028】
距離r、特に最小の距離rは、トランスレータの位置Xにおいてトランスレータに作用する力が最大の力であるように、ステータとトランスレータとの間に形成される力に基づいて制御ユニットによって規定することができ、トランスレータに作用するこの力は以下の関係によって規定される:
【0029】
【数1】
【0030】
式中、
【0031】
【数2】
【0032】
はステータ(1)の磁極強度であり、
【0033】
【数3】
【0034】
はトランスレータ(2)の磁極強度であり、
【0035】
【数4】
【0036】
ステータに対するトランスレータの位置であり、
【0037】
【数5】
【0038】
【0039】
【数6】
【0040】
の方向へのステータ(1)の延長長さであり、
【0041】
【数7】
【0042】
【0043】
【数8】
【0044】
の方向へのトランスレータ(2)の延長長さであり、
トランスレータに作用する作動力はステータの中心点とトランスレータの中心点を結んだ直線に平行な向きである力
【0045】
【数9】
【0046】
に相当する。トランスレータに作用する力
【0047】
【数10】
【0048】
は、適切な角関数(sin、cos)を用いて数学の法則に従って評価されるべきである。
【0049】
上記の式、及び本開示の請求項1に示されている式では、
【0050】
【数11】
【0051】
がrの代わりに与えられている。上記式は以下のように導出することができるが、簡便にするために、上記式及び請求項1に示されている式では、1つのステータと1つのトランスレータとの相互作用が考慮され、一方で、式の以下の導出は、1つのトランスレータと2つのステータとの相互作用を含む。
【0052】
体積磁化率は以下の関係によって規定される:
【0053】
【数12】
【0054】
磁場強度によって増加する磁化の結果として生じる磁気誘導は:
【0055】
【数13】
【0056】
又は
【0057】
【数14】
【0058】
となり、式中、
【0059】
【数15】
【0060】
H/m(ヘンリー毎メートル)は空間の透磁率であり、
【0061】
【数16】
【0062】
は材料の体積磁化率であり、
【0063】
【数17】
【0064】
は材料の相対透磁率であり、
【0065】
【数18】
【0066】
は材料の絶対透磁率であり、
【0067】
【数19】
【0068】
は磁気誘導(テスラ(T))であり、
【0069】
【数20】
【0070】
は磁場(アンペア毎メートル(A/m))であり、
【0071】
【数21】
【0072】
は磁化(テスラ(T))であり、
【0073】
【数22】
【0074】
は、1体積単位あたりの磁気双極子モーメント(アンペア毎メートル(A/m))である。
【0075】
以下では、磁気コアを有する円筒形の撚線コイルが意図され、円筒形の幾何学的形状の結果としてビオ・サバールの法則に従って単純化が生じる。
【0076】
【数23】
【0077】
が、円筒コイルの中心であり、
【0078】
【数24】
【0079】
が軸である場合、軸
【0080】
【数25】
【0081】
上の地点
【0082】
【数26】
【0083】
における磁気誘導は、以下が当てはまる:
【0084】
【数27】
【0085】
【数28】
【0086】
は軸
【0087】
【数29】
【0088】
の単位ベクトルであり、
【0089】
【数30】
【0090】
は強磁性コアの絶対透磁率であり、
【0091】
【数31】
【0092】
は完全な巻回数であり、
【0093】
【数32】
【0094】
はコイルの長さ(メートル(m))であり、
【0095】
【数33】
【0096】
はコイルの内径(メートル(m))であり、
【0097】
【数34】
【0098】
はコイル内のアンペア(A)単位の電流の強さである。
【0099】
磁極端部(
【0100】
【数35】
【0101】
及び
【0102】
【数36】
【0103】
)において、テスラに従った誘導磁場強度は以下のように規定される:
【0104】
【数37】
【0105】
式(1.6)に基づいて、アンペア毎メートル単位の電磁極における磁場強度を導出することが可能である:
【0106】
【数38】
【0107】
磁気双極子モーメント(A/m)が式(1.4.)及び(1.6.)からもたらされる:
【0108】
【数39】
【0109】
最後に、磁気双極子モーメントは以下のように表すことができる:
【0110】
【数40】
【0111】
【数41】
【0112】
は電磁石コアの体積として知られている。
【0113】
既知のギルバートモデルによると、磁気双極子は、2つの磁荷
【0114】
【数42】
【0115】
及び
【0116】
【数43】
【0117】
に相当し、上記双極子は距離
【0118】
【数44】
【0119】
だけ分離されている。正の磁荷はN極に関連し、一方で負の磁荷はS極に関連する。
【0120】
磁気双極子モーメントはS極からN極に向かう向きである。
【0121】
【数45】
【0122】
式中、
【0123】
【数46】
【0124】
は、電流計(A.m)における電磁石の磁極のサイズであり、
【0125】
【数47】
【0126】
は2つの磁極間の距離(メートル(m))である。
【0127】
式(2.5)及び(2.6)を組み合わせることによって、以下の式が得られる
【0128】
【数48】
【0129】
式中、
【0130】
【数49】
【0131】
は、電流計(A.m)における電磁石の磁極のサイズであり、
【0132】
【数50】
【0133】
は材料の体積磁化率であり、
【0134】
【数51】
【0135】
は完全な巻回数であり、
【0136】
【数52】
【0137】
はコイルの長さ(メートル(m))であり、
【0138】
【数53】
【0139】
はコイルの内径(メートル(m))であり、
【0140】
【数54】
【0141】
はコイル内の電流の強さ(アンペア(A))である。
【0142】
以下、1つの軸上に配置される3つの電磁石を含み、第1の電磁石及び第2の電磁石は移動不能であり、以下ではステータと称される、本発明の磁気駆動装置の一実施形態を説明する。ステータは軸上に配置され、互いから距離dだけ離間している。本開示を考慮して、ステータは以下のパラメータによって十分に特徴付けられる。
【0143】
【数55】
【0144】
はステータを形成するコイルの巻回数であり;
【0145】
【数56】
【0146】
はステータの長さ(メートル(m))であり;
【0147】
【数57】
【0148】
はステータを形成するコイルの半径(メートル(m))であり;
【0149】
【数58】
【0150】
はステータを形成するコイル内の電流の強さ(アンペア(A))であり;
【0151】
【数59】
【0152】
はステータの強磁性コアの体積磁化率であり;
【0153】
【数60】
【0154】
は2つのステータ間の距離である。
【0155】
第3の磁石は、2つのステータによって画定される軸上に、かつ2つのステータ間に移動可能に配置される。以下では第3の磁石はトランスレータと称され、以下のパラメータによって十分に特徴付けられる。
【0156】
【数61】
【0157】
はトランスレータを形成するコイルの巻回数であり;
【0158】
【数62】
【0159】
はトランスレータの長さ(メートル(m))であり;
【0160】
【数63】
【0161】
はトランスレータを形成するコイルの半径(メートル(m))であり;
【0162】
【数64】
【0163】
はトランスレータを形成するコイル内の電流の強さ(アンペア(A))であり;
【0164】
【数65】
【0165】
はトランスレータの強磁性コアの体積磁化率であり;
【0166】
【数66】
【0167】
は2つのステータ間を移動するときにトランスレータがカバーする距離である。
【0168】
ステータは、直流源
【0169】
【数67】
【0170】
及び
【0171】
【数68】
【0172】
に電気的に接続されており、この結果、磁極の絶対値が同じになるが、発生する誘導磁場は反対方向の向きとなる。
【0173】
ステータ及びトランスレータの分極は、以下の、結果として生じる力条件によって記載される引力及び反発力に基づくトランスレータの移動を達成するために、当業者が図1及び図2において識別することができるように選択されるべきである。
【0174】
図1による、ステータ及びトランスレータの分極の結果生じる力条件を以下で計算する。図1に示されているトランスレータの分極は「負の」分極とも称され、これは、磁気双極子モーメント
【0175】
【数69】
【0176】
が、方向
【0177】
【数70】
【0178】
の向きであることを意味する。
【0179】
式(2.5)に基づいて、以下が当てはまる:
【0180】
【数71】
【0181】
及び
【0182】
【数72】
【0183】
ギルバートモデルを参照すると、磁荷の相互作用に起因して、磁石間で発生する磁力は磁気双極子の極の近くで発達すると推測される。磁極間の相互作用する力は式(3.3)によって規定される。
【0184】
【数73】
【0185】
式中、
【0186】
【数74】
【0187】
は磁極の強度であり、
【0188】
【数75】
【0189】
は磁極間の距離である。
【0190】
ステータとトランスレータとの間の相互作用の結果、トランスレータに作用する力が生じる。この結果として生じる力は
【0191】
【数76】
【0192】
軸に平行な、方向
【0193】
【数77】
【0194】
図1では左から右)への向きである。
【0195】
ステータ間でトランスレータの移動がカバーする距離について
【0196】
【数78】
【0197】
を考慮すると、
【0198】
【数79】
【0199】
となり、式中、
【0200】
【数80】
【0201】
は、軸
【0202】
【数81】
【0203】
上のトランスレータ中心の位置である。既知のギルバートモデルを用いると、結果として生じる力は磁極間の8回の相互作用を加えることによって計算することができる。
【0204】
【数82】
【0205】
である場合、距離
【0206】
【数83】
【0207】
にわたる左側ステータとトランスレータとの間の引き付け合う相互作用は以下によって規定される:
【0208】
【数84】
【0209】
【数85】
【0210】
:相殺する相互作用力、距離は
【0211】
【数86】
【0212】
である場合、
【0213】
【数87】
【0214】
となる。
【0215】
【数88】
【0216】
:相殺する相互作用力、距離は
【0217】
【数89】
【0218】
である場合:
【0219】
【数90】
【0220】
となる。
【0221】
【数91】
【0222】
:引力、距離は
【0223】
【数92】
【0224】
である場合:
【0225】
【数93】
【0226】
となる。
【0227】
【数94】
【0228】
である場合、距離
【0229】
【数95】
【0230】
にわたる右側ステータとトランスレータとの間の反発の相互作用は以下によって規定される:
【0231】
【数96】
【0232】
【数97】
【0233】
:引力、距離は
【0234】
【数98】
【0235】
である場合:
【0236】
【数99】
【0237】
となる。
【0238】
【数100】
【0239】
:引力、距離は
【0240】
【数101】
【0241】
である場合:
【0242】
【数102】
【0243】
となる。
【0244】
【数103】
【0245】
:反発力、距離は
【0246】
【数104】
【0247】
である場合:
【0248】
【数105】
【0249】
となる。
【0250】
トランスレータに作用する結果として生じる力は全ての相互作用のベクトル和として規定される:
【0251】
【数106】
【0252】
【数107】
【0253】
式中:
【0254】
【数108】
【0255】
はトランスレータの位置を規定し、
【0256】
【数109】
【0257】
はトランスレータがカバーする距離を規定し、
【0258】
【数110】
【0259】
である。
【0260】
さらに、図2に示されているようなステータ及びトランスレータの分極の結果生じる力を計算する。図2に示されているトランスレータの分極は「正の」分極とも称され、これは、磁気双極子モーメント
【0261】
【数111】
【0262】
が、方向
【0263】
【数112】
【0264】
の向きであることを意味する。
【0265】
式(3.1)及び(3.2)の組み合わせの結果、式(3.2’)となる:
【0266】
【数113】
【0267】
及び
【0268】
【数114】
【0269】
トランスレータが図1に従って分極される場合、
【0270】
【数115】
【0271】
がステータとトランスレータとの相互作用から生じる力であり、トランスレータが図2に従って分極される場合、
【0272】
【数116】
【0273】
が同様の力であるとすると、2つの極間の相互作用に関して以下の関係が規定される:
【0274】
【数117】
【0275】
及び
【0276】
【数118】
【0277】
これは、
【0278】
【数119】
【0279】
であることを意味する。
【0280】
【数120】
【0281】
がトランスレータ又はステータを形成するコイルの巻回数であり、
【0282】
【数121】
【0283】
がステータ又はトランスレータの長さ(メートル(m))であり、
【0284】
【数122】
【0285】
がステータ又はトランスレータの半径(メートル(m))であり、
【0286】
【数123】
【0287】
がトランスレータ又はステータを形成するコイル内の電流の強さ(アンペア(A))であり、
【0288】
【数124】
【0289】
がステータ又はトランスレータの強磁性コアの磁化率であり、
【0290】
【数125】
【0291】
が当てはまるようにステータ♯1が分極され、
【0292】
【数126】
【0293】
が当てはまるようにステータ♯2が分極される場合、図1に示されている条件に関して以下が当てはまる。
【0294】
【数127】
【0295】
式中、
【0296】
【数128】
【0297】
はトランスレータの磁気双極子モーメント(
【0298】
【数129】
【0299】
)の方向である。この方向はトランスレータ内の交流電圧
【0300】
【数130】
【0301】
によって決まる。
【0302】
【数131】
【0303】
は磁極強度であり、
【0304】
【数132】
【0305】
はトランスレータの位置であり、
【0306】
【数133】
【0307】
はトランスレータがカバーする距離であり、
【0308】
【数134】
【0309】
はステータ間の予め設定された距離である。
【0310】
電磁石が同じ長さを有する場合、すなわち
【0311】
【数135】
【0312】
である場合、式(3.6)を以下のように単純化することができる:
【0313】
【数136】
【0314】
以下の説明に関して、簡単にするために、磁石の極強度は一定であるが、実際には、トランスレータがステータ間を移動するときに、磁気誘導場
【0315】
【数137】
【0316】
が発達すると推測する。
【0317】
式(4.1a)が当てはまる。
【0318】
【数138】
【0319】
式中、
【0320】
【数139】
【0321】
はトランスレータが位置
【0322】
【数140】
【0323】
に到達したときの位置
【0324】
【数141】
【0325】
における
【0326】
【数142】
【0327】
軸上の総誘導磁場であり、
【0328】
【数143】
【0329】
は、位置
【0330】
【数144】
【0331】
における
【0332】
【数145】
【0333】
軸上の第1のステータの誘導磁場であり、
【0334】
【数146】
【0335】
は、位置
【0336】
【数147】
【0337】
における
【0338】
【数148】
【0339】
軸上の第2のステータの誘導磁場であり、
【0340】
【数149】
【0341】
は、位置
【0342】
【数150】
【0343】
における
【0344】
【数151】
【0345】
軸上のトランスレータの誘導磁場である。
【0346】
磁気誘導場のサイズは式(2.1)によって規定したが、このサイズから、第1のステータとトランスレータとの間の磁気誘導場のサイズを導出することができる。
【0347】
【数152】
【0348】
式中、
【0349】
【数153】
【0350】
は、
【0351】
【数154】
【0352】
が計算される軸
【0353】
【数155】
【0354】
上の位置であり、
【0355】
【数156】
【0356】
は、
【0357】
【数157】
【0358】
が計算される軸
【0359】
【数158】
【0360】
上の位置であり、
【0361】
【数159】
【0362】
は、
【0363】
【数160】
【0364】
が計算される軸
【0365】
【数161】
【0366】
上の位置である。
【0367】
【数162】
【0368】
であり、可変の変化として
【0369】
【数163】
【0370】
を用いる場合、
【0371】
【数164】
【0372】
及び
【0373】
【数165】
【0374】
を以下のように表すことができる:
【0375】
【数166】
【0376】
【数167】
【0377】
軸上では、誘導磁場は磁気双極子モーメントと同じ方向を向く。
【0378】
【数168】
【0379】
式中、
【0380】
【数169】
【0381】
は軸
【0382】
【数170】
【0383】
の方向の単位ベクトルであり、
【0384】
【数171】
【0385】
はトランスレータの磁気双極子モーメントの方向であることを考慮すると:以下のようになる:
【0386】
【数172】
【0387】
方向は、トランスレータ内の交流電圧
【0388】
【数173】
【0389】
の方向によって決まる。式(1.4)、(1.6)及び(2.5)を組み合わせると:
【0390】
【数174】
【0391】
となる。
【0392】
以下が当てはまる:
ステータ♯1:
【0393】
【数175】
【0394】
ステータ♯2:
【0395】
【数176】
【0396】
トランスレータ:
【0397】
【数177】
【0398】
式(3.6)は:
【0399】
【数178】
【0400】
に変換され、式中:
【0401】
【数179】
【0402】
はトランスレータの位置であり、
【0403】
【数180】
【0404】
はトランスレータの移動がカバーする距離であり、
【0405】
【数181】
【0406】
はステータの中心間の距離である。
【0407】
磁極強度は、第1のステータに関しては式(4.4a)、第2のステータに関しては式(4.4b)、トランスレータに関しては式(4.4c)を用いて計算する。磁極強度の計算は、式(4.2a)及び(4.2b)を用いた極における総磁気誘導場の計算を含む。
【0408】
式(4.5)はステータ間のトランスレータの位置に依存する。トランスレータに作用する結果として生じる力は、第1のステータとトランスレータとの間の反発力、及び第2のステータとトランスレータとの間の引力からなる。
【0409】
上記の数学的な説明は、ステータに対するトランスレータの特定の位置において、引力、並びに、ステータ及びトランスレータの極が逆になった後の反発力が異なる大きさであることも示している。
【0410】
トランスレータは、ステータに対して回転点の周りで回転可能に支持されることができる。
【0411】
本発明の磁気装置は、トランスレータがステータに対して移動し、さらに、トランスレータ及びステータが別の固定点に対して移動することに基づいて優れているものとすることができる。トランスレータ及びステータが固定点に対して移動すると、トランスレータ及びステータは相互に位置合わせされた移動方向又は反対の移動方向を有することができる。
【0412】
トランスレータ移動経路等の移動経路に沿う回転点の移動も可能であるため、トランスレータはステータに対する移動及び回転を受ける。
【0413】
制御装置は、ステータを移動可能に支持する装置、及び/又は、トランスレータとステータとの間の距離に関してトランスレータを移動可能に支持する装置であるものとすることができる。
【0414】
トランスレータとステータとの間の距離は、ステータ又はトランスレータをシフトさせることによって規定することができる。この文脈では、以下の図面及び添付の図面の説明を参照して、本発明の磁気装置は、活動範囲内に存在する全てのトランスレータ及びステータの相互作用を考慮することを特徴とすることができることを明確に留意されたい。
【0415】
制御装置は、ステータを移動不能に支持する装置、及び/又はトランスレータとステータとの間の距離に関してトランスレータを移動不能に支持する装置であるものとすることができる。
【0416】
相互にシフト不能に支持されるトランスレータ及びステータを含む磁気装置は、ステータとトランスレータとの間で作用する力を制御する制御装置を含む。力を制御することは、個々のステータとトランスレータとの間の相互作用を制御することを含むことができる。
【0417】
ステータは、トランスレータ移動経路に対して一定の距離を有する形状を有することができ、その距離によってトランスレータとステータとの間の距離が規定される。
【0418】
ステータは、トランスレータ移動経路に対して可変の距離を有する形状を有することもでき、その距離によってトランスレータとステータとの間の距離が規定される。
【0419】
ステータ及びトランスレータの互いに向かうシフトに加えて、ステータとトランスレータとの間の距離は、トランスレータ及びステータの互いに対する形状によって規定することができる。示される組み合わせは、距離rが専らステータ及びトランスレータの形状によって規定されることを排除しない。
【0420】
例えば、ステータ及びトランスレータが、ステータ及びトランスレータが平行に配置された状態で合致する形状を有する場合、トランスレータとステータとの間の距離は一定である。
【0421】
ステータ及びトランスレータが互いに対して非平行に配置される場合、トランスレータとステータとの間の距離は一定ではなく、すなわち、トランスレータ移動経路の進路に従って可変であるものとすることができる。
【0422】
ステータ及びトランスレータの形状が合致しない場合、トランスレータとステータとの間の距離は一定ではなく、すなわち、トランスレータ移動経路の進路に従って可変であるものとすることができる。
【0423】
回転点、並びに幾何学的なステータの中心点及び/又は幾何学的なトランスレータの中心点は単一の点に配置することができる。
【0424】
回転点、並びに幾何学的なステータの中心点及び幾何学的なトランスレータの中心点の配置は、特に円形のトランスレータ移動経路及びステータに対するトランスレータの回転運動によって本発明の磁気装置のコンパクトさに起因して有利であり得る。
【0425】
上述したようなステータ及びトランスレータの回転点の周りの互いに対する反対への移動は、本発明の磁気装置の円滑さに関して有利であり得る。
【0426】
ステータ又はトランスレータは電磁石として形成することができ、この場合、電磁石の磁場強度は制御装置によって制御することができる。本明細書において開示される本発明は、双方のステータ及びトランスレータが電磁石として形成されることを排除しない。
【0427】
本発明の磁気装置の制御装置は、電磁石を制御する手段を含むことができる。
【0428】
別の方策は、ステータ及び/又はトランスレータの磁場強度が、トランスレータとステータとの間の距離に依存して制御装置によって規定され、それによって磁気装置が特定の有効性を有することに基づく。ステータ及び/又はトランスレータの磁場強度は、ステータに対するトランスレータの一時的な位置、特に一時的な距離rに関して更に制御することができる。
【0429】
図面に示されるような本発明の磁気装置の実施形態は限定するものとしては決して解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0430】
図1】本発明の磁気装置の一実施形態のトランスレータの回転軸の方向への図である。
図2】本発明の磁気装置の別の実施形態のトランスレータの回転軸の方向への図である。
図3】本発明の磁気装置の別の実施形態のトランスレータの回転軸の方向への図である。
図4】トランスレータ移動経路、及びトランスレータ移動経路の進路にわたって可変である距離rを有するステータの基本的に例示的な実施形態を示す図である。
図5】トランスレータ移動経路、及びトランスレータ移動経路の進路にわたって可変である距離rを有するステータの基本的に例示的な実施形態を示す図である。
図6】トランスレータ移動経路、及びトランスレータ移動経路の進路にわたって可変である距離rを有するステータの基本的に例示的な実施形態を示す図である。
図7】トランスレータ移動経路、及びトランスレータ移動経路の進路にわたって一定のままである距離rを有するステータの基本的に例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0431】
以下の図では、以下で示される参照符号は本発明の磁気装置の後続の要素を示すのに用いられる。分かりやすくするために、以下の図では、ステータとトランスレータとの間で作用する引力又は反発力は、以下の記載において言及されるとしても、引力及び反発力の作用機構は当業者には明らかであるとともに理解可能であるため、部分的にしか示されない。
【0432】
図1は、2つのステータ1及び2つのトランスレータ2を含む本発明の磁気装置の一実施形態を示している。
【0433】
トランスレータ2同士は回転要素9を介して接続されている。回転要素は回転点3において回転可能に支持されている。トランスレータ2は環状のセグメントの形状を有する。幾何学的なトランスレータの中心点8は回転点3にある。
【0434】
回転点3から見て、ステータ1は、トランスレータ2の外側及びトランスレータ移動経路5の外側に配置されている。ステータ1は回転点3に対して移動不能に支持されている。ステータ1も環状のセグメントの形状を有し、この場合、幾何学的なステータの中心点7は回転点3にある。ステータ1の形状はトランスレータ2の形状に合致する。
【0435】
本発明の磁気装置の動作時には、トランスレータ2は、回転点3の周りをトランスレータ移動経路5に沿ってトランスレータ移動方向6に回転する。トランスレータ移動経路5は、その円形の形状のため、連続的に変化するトランスレータ移動方向6を必要とする。
【0436】
本発明の磁気装置を駆動装置として用いる場合、トランスレータ2とステータ1との間で活性化することができる引力及び反発力の結果として回転点3の周りのトランスレータ2の移動が達成される。引力及び反発力は、ステータ1とトランスレータ2との間で作用する力を本質的に規定し、この場合、引力及び反発力の大きさは調整可能な距離rによって規定される。
【0437】
図1に示されている本発明の磁気装置の実施形態では、例えば、トランスレータ2は永久磁石として実装され、一方でステータ1は電磁石として実装される。
【0438】
トランスレータ2は、調整可能な距離rが回転要素9におけるトランスレータの位置から生じるように、トランスレータ支持体4によって回転要素9においてシフト可能に支持される。回転要素9におけるトランスレータ2の位置は、トランスレータ2と、次に近位のステータ1、及びより遠位のステータ1との間の距離rに関して制御することができる。トランスレータ支持体4は制御装置の一部であり、その制御装置によって、磁気装置の使用時に、トランスレータ2とステータ1との間の距離r>0(換言すると:rはゼロよりも大きい)の制御を、ステータ1とトランスレータ2との間に発生する力に関して達成することができ、この場合、トランスレータ2は、トランスレータ移動方向6に円形のトランスレータ移動経路5に沿ってステータ1に対して移動可能である。
【0439】
図2は、図1に示されている実施形態と同様に設計されている別の実施形態を示している。図1に示されている実施形態とは異なり、トランスレータ2は、回転要素9においてシフト不能に、したがって調整不能に支持されている。ステータ1とトランスレータ2との間で作用する力は、永久磁石として形成されるトランスレータ2の磁場強度とも比較して、電磁石として形成されるステータ1の磁場強度によって規定される。
【0440】
本発明の磁気装置は、磁気装置の使用時に、トランスレータ2とステータ1との間の距離r>0に関してステータ1の磁場強度を制御する制御装置であって、トランスレータ2はトランスレータ移動方向6に円形のトランスレータ移動経路5に沿って移動可能である、制御装置を含む。距離rは、本発明の装置の使用中に、材料の変化に起因して可変であることができるため、ステータ1及び/又はトランスレータ2の磁場強度を制御することによって、本発明の装置が最適な条件下で常に動作することを確実にすることができる。
【0441】
図3は、この場合も同様にトランスレータ2の設計及び形状決めに関して図1に示されている実施形態と同様である本発明の磁気装置の別の実施形態を示している。
【0442】
図1に示されている実施形態とは異なり、図3に示されている付加的な実施形態は、ステータ1と移動するトランスレータ2との間の可変の距離rを特徴とする。距離rは、トランスレータ2の形状に依存してステータ1の形状によって本質的に決まる。ステータ1とトランスレータ2との間で作用する力は、ステータ1の形状に影響を受ける。
【0443】
図3に示されている磁気装置は、ステータ1の形成方法のために、クランクアセンブリ12が発生させる力が本質的に一定であることに基づいて優れている。
【0444】
図4図5は、トランスレータ移動経路及びステータの基本的に例示的な実施形態を示しており、一方で、図1の本発明の磁気装置の他の要素は分かりやすくするために示されていない。
【0445】
図4は、ステータ1が楕円形の形状をとる、円の形状のトランスレータ移動経路5を形成する可能性を示している。距離rは、トランスレータ移動方向6の方向へのトランスレータ移動経路5の進路にわたって変化する。
【0446】
図5は、楕円形状のトランスレータ移動経路5を形成するとともにステータを円として形成する可能性を示している。距離rは、トランスレータ移動方向6にトランスレータ移動経路5の進路とともに可変である。
【0447】
図6は、多角形の線としてのトランスレータ移動経路5の形成、及び通行線の形態で配置される線としてトランスレータ移動経路5の多角形の線に沿って矩形として形成されるステータ1の配置を示している。距離rはこの場合も同様に、トランスレータ移動方向6へのトランスレータ移動経路5の進路とともに可変である。可変の距離rは、ステータ1とトランスレータ2との間で作用する力10に関して、例えば磁気装置(図示せず)に作用する外力に関して設定される。
【0448】
簡便にするために、トランスレータ2、及びトランスレータ2とステータ1との間に作用する力10は図4及び図5には示されていない。
【0449】
配置されたステータ1及び点状のトランスレータ2の軸に沿う分極N、Sが図2に示されている。ステータは、ステータ1に対するトランスレータ2の位置に依存した必要な分極に起因して電磁石として形成される。
【0450】
トランスレータ2は永久磁石として形成される。
【0451】
図7は、トランスレータ移動経路5を円の形態で形成するとともにステータも円の形態で形成する可能性を示している。トランスレータ移動経路5上を移動するトランスレータ2とステータ1の間の距離rは、ステータとトランスレータとの間に発生する力、特にステータ1に対する一方のトランスレータ2の位置に関して規定される。この相対的な位置に依存して、それぞれのトランスレータ2とステータ1との間には引力又は反発力がある。
【0452】
力の状態は、ステータ1とトランスレータ2との間で作用する力10、特に作用する引力及び反発力によって規定される。本発明の磁気装置は、それぞれの活動範囲内のトランスレータ2と全ての隣接するステータ1との間の引力及び反発力が考慮されることに基づいて優れている。
【0453】
図8は、トランスレータ2がステータ1間の多角形に延びる移動経路に沿って移動可能である、本発明の装置の可能な実施形態を示している。移動経路5の終点はステータ1に対して距離rを有し、それによってトランスレータ2は、全てのステータ1に対して発生する力10の場内に位置する。
【0454】
図9は、t+1の時点における、図1に示されている磁気装置を示している。図1では、磁気装置は時点tにおいて示されている。
【0455】
直線状の接続線12がトランスレータ2の中心点及びステータ1の中心点を通って延びる。力F(Xt)は、より遠位のステータの影響は無視して直線状の接続線に平行な向きである。力F(Xt)の向きは請求項1において与えられる式に対応する。
【0456】
トランスレータを駆動する力Fa(Xt)に関して以下が当てはまり:
【0457】
【数182】
【0458】
αは直線状の接続線12とトランスレータ移動方向6との間の角度として規定される。
【符号の説明】
【0459】
1 ステータ
2 トランスレータ
3 回転点
4 トランスレータ支持体
5 トランスレータ移動経路
6 トランスレータ移動方向
7 ステータの中心点
8 トランスレータの中心点
9 回転要素
10 力
11 ステータの中心点
12 クランクアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9