(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記相対化部は、複数の所定の区間の各々を量子化する場合に、前記複数の所定の区間の各々の前記振幅および位相の情報を、当該複数の所定の区間に含まれる基準となる区間における当該振幅および位相の情報との差分として相対化する
ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電力線信号符号化装置。
前記相対化部は、前記基準となる区間における前記振幅および位相の情報との差分として相対化する場合に、当該差分と、前記基準となる区間における当該振幅および位相の情報とを対応付ける
ことを特徴とする請求項10に記載の電力線信号符号化装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施の形態は、本開示の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかしながら、本開示の範囲は、以下の説明において、特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態に限定されないものとする。
以下の説明は、下記の順序にしたがってなされる。
<1.基本システム>
<2.センサ>
<3.センサ信号処理回路>
<4.符号化/復号化の一例>
<5.符号化/復号化の他の例>
<6.変形例>
【0013】
<1.基本システム>
図1を参照して本開示を適用できる電力システム例えば家庭の電力システムの一例について説明する。屋外の配電線から引き込み線1を通じて建物内に電力線が導入され、電力線が電力メータ2に接続される。電力メータ2の出力側に分電盤3が接続される。分電盤3からの屋内配線に対して電気機器(例えばテレビジョン受像機4、冷蔵庫5、照明6、エアコンディショナー7)が接続される。
【0014】
電力メータ2の内部、または分電盤3の配線付近の電力線に、本開示による電流・電圧測定装置が取り付けられる。
図2に示すように、分電盤3の手前の電力線に電流・電圧測定装置が接続される。一般的な住宅の場合、単相3線式であり、中央の中性線Nと電圧線L1、L2の3本の電線を使用する。中性線Nと電圧線L1またはL2を利用して100Vの電圧を利用でき、電圧線L1およびL2を利用して200Vの電圧を利用できる。なお、本開示は、2線式に対しても適用できる。
【0015】
なお、日本では、分電盤3は、引き込み側からサービスブレーカ3a、漏電ブレーカ3bおよび安全ブレーカ3cから構成されている。サービスブレーカ3aは、電力会社との契約以上の電流が流れると、自動的に電気を止めるためのものである。漏電ブレーカ3bは、屋内配線や、電気器具の漏電を感知し、自動的に電気を遮断するためのものである。安全ブレーカ3cは、分電盤3から各部屋に電気を送る分岐回路のそれぞれに取り付けられている。電気器具や配線の故障でショートが発生した時、過電流が流れた時に電気を自動的に遮断するためのものである。
【0016】
分電盤3の手前の電圧線L1の電流・電圧を非接触で測定するために、センサ11aが取り付けられ、電圧線L2の電流・電圧を非接触で測定するために、センサ11bが取り付けられる。センサ11aおよび11b(以下、特に二つのセンサを区別する必要がない場合には、単にセンサ11と称する)によって検出された電圧および電流の測定信号がセンサ信号処理部12に供給される。センサ信号処理部12は、センサ11の出力信号を処理して通信部によって測定データを無線で伝送する。なお、各センサ毎にセンサ信号処理部を設けても良い。
【0017】
センサ信号処理部12から送信された測定データがセンサ信号処理部13によって受信される。センサ信号処理部13は、受信データから測定データを復号する。無線通信に限らず、PLC(Power Line Communications)のような有線通信を利用しても良い。センサ信号処理部13に対して図示しないが、表示装置等が接続されている。センサ信号処理部13は、例えば家庭内のゲートウェイに設けられている。家庭内で処理が完結しないでも良い。例えばセンサ信号処理部13がネットワーク上のサーバ(クラウド)によって実現されている。
【0018】
図示が省略されているが、センサ信号処理部13に対して表示部、制御部等が接続されている。表示部によって、現在の家庭内の電力使用状況、各電気機器の使用状況等が表示され、所謂電力の可視化がなされる。制御部によって、各電気機器の使用状況の履歴等が記憶され、例えば省電力化のための対策がユーザに提示される。
【0019】
<2.センサ>
「クランプ式交流電流センサ」
図3に示すように、センサ11として、CT(Current Transformer:変流器)の一種であるクランプ式交流電流センサを使用できる。
図4は、CTの原理を示すものである。リングコア21に対してnターンの2次巻線22が巻かれている。リングコア21の中心部の孔を電力線23が貫通する。電力線23が1次巻線となり、1:nの変流比となる。2次巻線22の両端に抵抗Rが接続され、電力線23に電流Iが流れることによって生じる出力電流が電圧Eに変換される。
【0020】
クランプ式交流電流センサの場合、
図3に示すように、回転軸24を中心として可動部25が固定部26に対して回転自在とされており、中央のクランプ用孔27を電力線28が貫通するようになされる。可動部25および固定部26の筐体内部に
図4に示したリングコア21が例えば2つに分割されて収納されている。可動部25が閉じられると、可動部25および固定部26の端面同士が接続され、リングコアが構成される。電力線28は、上述した電圧線L1またはL2である。
【0021】
センサ11の固定部26からは、電流信号および電圧信号がそれぞれ2本のオーディオケーブル29aおよび29bを通じてオーディオジャック30aおよび30bに導出される。ステレオオーディオ信号と同様に、オーディオジャック30aおよび30bが色(例えば赤および白)によって判別可能とされている。オーディオジャック30aおよび30bに対して図示しないオーディオプラグが挿入/離脱自在に接続される。オーディオジャック30aおよび30bとして、標準タイプおよびミニタイプの何れのタイプのものを使用しても良い。さらに、ジャック、プラグ以外のオーディオ用コネクタを使用しても良い。
【0022】
すなわち、電圧および電流情報をオーディオデータとして扱い、オーディオデータと同様の符号化を採用することによって、下記のような利点が得られる。
・サンプリングレートを高くすることによって、電流および電圧の波形情報を高精度に得ることができる。
・その結果、電流および電圧の波形情報から電気機器の使用状況等を把握することが可能となる。
・既存のオーディオデータ用の圧縮技術を利用できるので、開発コストを低くできる。さらに、圧縮によって、測定データのデータ量を削減でき、伝送帯域を狭いものとできる。
・オーディオデータ用の圧縮のための回路は、低消費電力とされているので、測定結果を利用して動作電源を形成する場合に有利である。
【0023】
測定データの電圧データと電流データとをそれぞれステレオオーディオ信号の左右のチャンネルと対応させることによって、オーディオ信号用のデータ圧縮技術を利用して測定データを圧縮することが容易となる。測定データの帯域は、オーディオ信号の帯域と同様である。さらに、オーディオインターフェースと同様のインターフェースを備えることによって、オーディオインターフェースを備えるモバイル機器を利用してセンサ信号処理部12を構成することが容易となる。
【0024】
回転軸24を中心として可動部25を回転させ、クランプ用孔27に電力線28を貫通させる。電力線28を流れる電流によって誘起された出力電流を取り出すことができる。上述したように、出力電流が例えば出力電圧に変換されて、一方のオーディオジャック例えばジャック30aに取り出される。
【0025】
「電圧センサ」
このクランプ式交流電流センサと一体に電圧センサが構成される。電圧センサは、容量結合を利用して非接触で電力線28の電圧を測定するものである。例えば、電力線28の絶縁被覆に対して電極を接触させ、この電極と絶縁体と別の電極とによってコンデンサを構成する。このコンデンサに対して静電結合によって電圧が誘起され、この電圧を取り出すことによって電力線28の芯線の電圧例えば電圧波形を測定できる。
【0026】
図3に示す例では、クランプ用孔27が設けられているリングコアの内周面に対して一対の電極31aおよび31b(以下、特に二つの電極を区別する必要がない場合には、単に電極31と称する)が設けられている。なお、電極31a、31bのように、円弧の一部を形成する形状に限らず、連続するO形状、O形状の一部が切りかかれたC形状であっても良い。
【0027】
クランプ用孔27のほぼ中心位置を貫通する電力線28が活線状態の場合、容量結合によって誘起された電圧を、電極31を通じて検知することができる。電圧センサは、
図5に示す等価回路で表すことができる。交流電源32が電力線28上の電圧に対応している。抵抗Rdは、センサ11内の抵抗成分である。容量C1が電力線28と一方の電極31aとの間に形成される容量であり、容量C2が電力線28と一方の電極31bとの間に形成される容量である。
【0028】
これらの容量C1およびC2の値Cは、電力線28の芯線(導体)と電極31との距離をdとし、芯線と電極31との間に存在する絶縁体の誘電率をεとし、芯線と電極31との並行する面積をAとすると、下記のように表される。
C=εA/d
【0029】
さらに、容量結合の電圧センサとしては、
図6に概略的に示すように、可動部25(固定部26側でも良い)のリングコアの内面に、クランプ用孔27を挟んで対向するように、板状の電極41aおよび41b(以下、特に二つの電極を区別する必要がない場合には、単に電極41と称する)を設けても良い。電極41は、リングコアの分割位置の近傍の平面となる位置に設けられる。
【0030】
図7は、
図6の一部の拡大断面図である。リングコア21の内面に、クランプ用孔27を挟んで対向して電極41aおよび41bが設けられる。電極41aおよび電極41bは、電力線28を中心として対称の位置に平行に配置され、電極41と電力線28の絶縁被覆とが近接または接している。電極41a、41bは、それぞれ5層の積層構造を有する。すなわち、リングコア21の内面側から絶縁層42a、42b、電極43a、43b、絶縁層44a、44b、電極45a、45b、絶縁層46a、46bが順に積層されている。
【0031】
上述した電圧センサの出力信号を取り出すために差動増幅器47が設けられている。電極43a、43bおよび差動増幅器47の一方の入力端子が接地される。電極45a、45bが差動増幅器47の他方の入力端子に接続される。差動増幅器47の出力端子48に電圧センサの電圧測定信号が取り出される。
【0032】
容量結合の電圧センサの電極配置の他の例を
図8に示す。
図8Aに示すように、上述したように、対向する位置に設けた電極41a、41bに加えて、90°回転させた位置に電極41c、41dを設けるようにしても良い。
図8Bに示すように、断面U字状の電極41eを使用しても良い。さらに、
図8Cに示すように、リングコア21と同一の形状のリング状支持体49をリングコア21と積層し、リング状支持体49の孔を挟んで対向するように、電極41a、41bを取り付けても良い。リングコア21とリング状支持体49とが連結部材によって一体化されている。
【0033】
さらに、
図9Aは、測定時に抑え部材51aおよび51bによって電力線28を両側から挟み込んで電力線29を固定するクランプ式交流電流センサを示す。この種のセンサにおいては、
図9Bに示すように、抑え部材51a、51bの対向する位置にそれぞれ電極41a、41bが設けられる。
【0034】
<3.センサ信号処理部>
「センサ信号処理部12」
センサ信号処理部12および13の一例を
図10に示す。入力端子61aには、上述した容量結合の電圧センサからの電圧測定信号が入力され、入力端子61bには、上述したクランプ式交流電流センサからの電流測定信号が入力される。電圧測定信号が増幅器62aおよびフィルタ63aを通じてA/Dコンバータ64aに供給され、デジタル信号に変換される。フィルタ63aは、不要な信号成分を除去する。
【0035】
センサからの電流測定信号が電圧測定信号と同様に、増幅器62bおよびフィルタ63bを通じてA/Dコンバータ64bに供給され、デジタル信号に変換される。A/Dコンバータ64aおよび64bからのデジタル信号がDSP(Digital Signal Processor)65に供給される。なお、増幅器62a、62bおよびフィルタ63a、63bをセンサ側に設けて良い。
【0036】
DSP65は、後述するように、測定データに対して振幅正規化および位相調整を施す。さらに、DSP65は、デジタル電圧測定データおよびデジタル電流測定データに対して符号化を行う。符号化としては、オーディオデータに対する符号化と同様の符号化方式を使用できる。符号化は、伝送データ量を圧縮するものである。
【0037】
DSP65からの圧縮符号化された測定データが通信モジュール66に供給される。通信モジュール66の出力信号が無線伝送される。通信方式としては、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサーネットワークを利用する方法がある。Bluetooth(登録商標)方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network)またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0038】
なお、無線方式以外に、UART(Universal Asynchronous Receiver−Transceiver:非同期シリアル通信用送受信回路)等のシリアルインターフェースを使うようにしても良い。シリアルインターフェースとしては、具体的にSMバス(System Management Bus)、CAN(Controller Area Network)、SPI(Serial Peripheral Interface)等を使用できる。
【0039】
さらに、測定信号を利用して電源を生成するようになされる。例えば電流測定信号が電源生成部67に供給され、整流、安定化等によって直流電源が生成される。さらに、直流電源によってバッテリ68が充電される。バッテリ68によって安定な直流電源69が形成される。この直流電源69が上述した各回路の動作電源として使用される。なお、バッテリ68と共に、またはバッテリ68の代わりにキャパシタを使用して、キャパシタを電流測定信号によって充電するようにしても良い。なお、センサ側にも上述したのと同様に測定信号から電源を生成する構成が設けられている。センサ側の消費電力は、センサ信号処理部12に比して少ないので、バッテリを設けず、キャパシタのみで電源を供給することができる。
【0040】
「センサ信号処理部13」
センサ信号処理部13は、上述したセンサ信号処理部12からの無線信号を受信する通信モジュール70を有する。必要に応じて有線通信71を経由して受信した測定データをCPU(Central Processing Unit)72に供給する。CPU72は、図示しないが、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等と共にマイクロコンピュータを構成する。
【0041】
CPU72は、DSP65においてなされた符号化の復号処理を行う。さらに、測定電圧信号および測定電流信号から稼働している家電の種類・状態・消費電力を判別し、判定結果を出力する。例えば電力線に接続された電気機器の消費電力、または起動時・終了時・定常時の電流・電圧変化に基づいて、機器の種類を識別することができ、または機器の状態を識別することができる。
【0042】
CPU72に対して、判別結果を表示するための表示装置(図示せず)等が接続される。さらに、センサ信号処理部13がインターネット等を介して外部のサーバと接続されるようにしても良い。サーバに対して、家庭の消費電力情報、ユーザの行動のモニタ結果の情報、電気機器の使用状況の情報等が送信される。
【0043】
センサ信号処理部13は、ホームゲートウェイに設置される以外に、通信機能を有する家庭内の電気機器例えばテレビジョン受像機に設置されても良い。テレビジョン受像機の表示機能を利用して消費電力等の情報を表示できる。
【0044】
なお、本開示においては、センサ信号の復号、解析等の処理を行うセンサ信号処理部13を家庭内に設置することは、必ずしも必要ではなく、インターネット等のネットワーク上にセンサ信号処理部13の機能を有するサーバを設けても良い。このように外部のサーバに対して測定データを送信する場合には、センサ信号処理部12の機能を携帯電話機、スマートホン、PDA(Personal Digital Assistants)等のモバイル機器が持つようにし、これらの備える通信機能を利用することができる。通常、モバイル機器は、オーディオインターフェースを備えているので、センサとモバイル機器(センサ信号処理部12)との接続を容易とできる。
【0045】
「位相調整および振幅正規化」
上述したセンサ信号処理部12におけるDSP65によってなされる測定データに対する振幅正規化および位相調整について、
図11および
図12を参照して説明する。A/Dコンバータ64aから容量結合による電圧センサの測定信号に対応する電圧測定データが出力される。A/Dコンバータ64bからクランプ式交流電流センサの測定信号に対応する電流測定データが出力される。電流測定データが符号化部81に入力される。符号化部81は、オーディオデータに対する符号化と同様の圧縮符号化によって、電流データおよび電圧データを符号化する。
【0046】
本開示では、容量結合によって電力線の電圧を測定するので、原理的に電力線の電圧波形と測定結果の波形との間には、90°の位相差が存在する。この位相差は、90°一定ではなく、交流信号の周波数によって変化する。例えば
図12に示すように、周波数に対して位相差が変化する。例えば日本の場合では、東日本(50Hz)と西日本(60Hz)とで、交流電力の周波数が相違している。したがって、周波数の相違によって電圧波形の位相が多少変化する。
【0047】
さらに、
図12に示す周波数対位相差のカーブの傾きは、電圧センサの構成に応じて変化する。この電圧センサの構成による相違をセンサ係数と表す。位相調整部82は、容量結合による位相変化と、周波数による位相変化と、センサに応じた位相変化とを補正するためのものである。すなわち、交流の電圧周波数とセンサ係数に応じて測定電圧波形の位相を補正し、(芯線の電圧位相=電流波形の位相)とする。位相調整部82からの測定データの位相は、電力線上の電圧波形の位相と一致したものとなる。
【0048】
商用電源の電圧は、例えば101Vを中心として(±6V)の幅で変動している。したがって、電圧変動を無視しても良いが、消費電力を正確に求めようとすると、電圧の振幅変動を考慮する必要がある。振幅正規化部83は、電圧変動を正規化して実際の電圧の振幅に近い値の電圧測定データを発生する。
【0049】
正規化の方法としては、いくつかの方法が可能である。第1の方法は、所定期間の平均電圧を振幅とする。第2の方法は、電流が最小値の時の電圧を振幅とする。さらに、これらの方法以外に、電圧の最大振幅と最小振幅とを使用したり、電流値の変化を調べたりして振幅の正規化を行うようにしても良い。振幅正規化部83の出力が符号化部81に対して供給され、オーディオデータと同様の符号化によって圧縮される。
【0050】
なお、
図11における位相調整部82および振幅正規化部83は、回路(ハードウェア)として構成するのに限らず、マイクロコンピュータのソフトウェア処理によって実現しても良い。
【0051】
<4.符号化/復号化の一例>
符号化部81の一例について
図13を参照して説明する。電力線信号入力部91からの電力線信号が電力パラメータ算出部92に対して供給される。電力線信号は、電流の測定データ(電流波形と適宜称する)と、上述したように、位相調整および振幅正規化がなされた電圧の測定データ(電圧波形と適宜称する)である。
【0052】
電力パラメータ算出部92では、電力線信号を用いて電力パラメータを算出する。電力パラメータは、電流値、電圧値、電力、力率、高調波歪み等である。電流値、電圧値は、例えば振幅値である。電力は、交流電力(皮相電力)であって、電圧の実効値と電流の実効値との積で表される。負荷で実際に消費される電力が有効電力と称される。皮相電力と有効電力の位相差θのコサイン(cos θ)が力率と称される。位相差θが0の場合が理想的な状態である。高調波歪みは、基本波に対する全ての次数の高調波の和の比率である。さらに、これらの電力パラメータは、予め設定された所定期間に区分けされた電力線信号から計算される。所定期間は、例えば1秒間とされる。
【0053】
電圧波形および電流波形と、電力パラメータ算出部92によって算出された電力パラメータとが電力情報保存部93によって、メモリ94に保存される。例えば過去のN個の電力情報がメモリ94に保存される。電力情報の用語は、電力線信号(電圧波形および電流波形)と電力パラメータとを総称したものである。
【0054】
一致判定部95において、現在の電力情報が時間的に前の電力情報と略一致するか否かが判定される。閾値設定部96は、一致判定時の閾値を設定するために設けられている。一致判定は、電力情報の全ての項目についてなされることは、必要でなく、例えば電圧、電流および力率のそれぞれについて一致しているか否かを判定しても良い。閾値は、例えば電圧および電流と力率とのそれぞれに関して設定される。なお、閾値を曜日、時間帯等に応じて適切な値に変更しても良い。
【0055】
メモリ94に時間的に前の複数例えばN個の区分けされた電力情報が記憶されている場合、現在の区分けされた電力情報が記憶されているN個の区分けされた電力情報とそれぞれ比較されて一致するか否かが判定される。そして、N個の電力情報の何れか一つと略一致する現在の電力情報は、伝送されない。
【0056】
一致判定部95において、略一致しない判定結果が得られる場合には、現在の電力情報が符号化/識別信号重畳部97に対して供給され、現在の電力情報が符号化される。数値データである電力パラメータは、特に符号化をしないで、そのままデジタルデータとして伝送しても良い。一方、電力線信号の電圧波形および電流波形は、区分けされた波形で表されるので、波形符号化によって符号化される。さらに、符号化は、データ量を圧縮することができる圧縮符号化であることが好ましい。
【0057】
一致判定部95において、略一致するとの判定結果が得られる場合には、現在の電力情報の伝送が省略される。すなわち、現在の電力情報に代えて、略一致するとされた電力情報を特定する情報(識別信号と適宜称する)が伝送データに対して重畳される。例えば略一致すると判定される電力情報が何回前のデータかを表す情報、その電力情報のタイムスタンプ、電力パラメータ等を識別信号として使用できる。例えば電力情報がメモリ94に保存される場合に、電力情報が識別信号と関連付けされて保存されている。したがって、識別信号は、例えばメモリ94から供給される。符号化/識別信号重畳部97の出力データが無線通信、有線通信等の通信モジュールに対して供給されて送信される。
【0058】
電力情報は、通常、定常的な情報であり、変化が小さいものである。したがって、上述したように、伝送を省略できる電力情報の割合は、比較的多く、伝送データ量を減少させることができる。この結果、低速でもって電力情報を送信することができる。言い換えると、同じ帯域の通信によって、より多くの電力情報の伝送が可能となる。
【0059】
受信側は、
図14に示すように、通信モジュール(図示しない)によって受信された受信データが識別信号処理部101に供給される。識別信号処理部101は、受信データに重畳されている識別信号を分離する。識別信号処理部101から出力される電力情報の符号化データおよび識別信号が復号化部103に供給される。
【0060】
復号化部103は、電力線信号(電圧波形および電流波形)の符号化データを復号する。復号化部103によって復号された電力線信号および電力パラメータがメモリ102に対して保存される。電力情報は、メモリ102上では、識別信号と関連付けられて記憶されている。電力情報の伝送が省略されている区間には、識別信号のみが存在する。
【0061】
復号化部103から補間部104に対して、電力情報または識別信号が出力される。補間部104は、伝送を省略された電力線信号を補間するものである。すなわち、識別信号をメモリ102に対して供給し、メモリ102からその識別信号に対応する電力情報を読み出し、読み出された電力情報でもって間引かれた電力情報が補間される。補間部104によって得られる電力情報が電力情報出力部105を介して出力される。電力情報は、後段において解析されて、例えば家庭における各家電の使用状況と使用電力を判別することが可能となる。
【0062】
図15は、電力情報を送信する場合の具体例を示す。
図15Aは、例えば1秒毎に区分けされた電力パラメータを示し、
図15Bは、1秒毎に区分けされた電流波形を示す。電流波形以外に、電圧波形も伝送される。さらに、電力波形も伝送しても良い。
図13に示す送信側の構成において、メモリ94には、過去のN個(N=1,2,3,・・・)の電力情報が記憶される。
【0063】
図15の例では、時刻(00:03)および時刻(00:04)にそれぞれ伝送される電力情報が時刻(00:02)に伝送される電力情報(メモリ94に記憶されている)と一致するものと判定される。したがって、時刻(00:03)および時刻(00:04)のそれぞれの電力線信号および電力パラメータの伝送が省略され、時刻(00:02)を特定する識別信号が伝送される。
【0064】
このように伝送されたデータは、受信側(
図14の構成)において、
図16に示すように処理される。
図16Aは、
図14に示す受信側の構成における電力情報出力部105から最終的に出力される電力パラメータを示している。
図16Bは、電力情報出力部105から最終的に出力される電流波形を示している。
【0065】
時刻(00:01)および時刻(00:02)の復号された電力情報(電力パラメータおよび電流波形)がメモリ102に保存される。時刻(00:03)および時刻(00:04)では、時刻(00:02)の電力情報を特定する識別信号が挿入されている。したがって、この識別信号がメモリ102に与えられることによって、メモリ102から時刻(00:02)の電力情報が読み出され、読み出された電力情報が補間部104に供給される。したがって、時刻(00:03)および時刻(00:04)の電力情報が時刻(00:02)の電力情報によって補間され、
図16に示す電力パラメータおよび電流波形が得られる。さらに、識別信号のみが挿入されている区間の復号後の電力情報をメモリ102に保存するようになされる。
【0066】
<5.符号化/復号化の他の例>
上述した電力情報の中で、電力線信号の電流波形および電圧波形の符号化/復号化方法の他の例について説明する。他の例は、電力線信号の性質および特徴に基づき低ビットレートで波形の形状を表現する符号化/復号化方法である。この方法により、速度の遅い通信規格での伝送や、大量の電流・電圧データの保存が可能となる。
【0067】
波形符号化において、従来では、
図17に示すように、電圧波形をサンプリングする場合、サンプリングの位相を基本波のゼロクロス等の基準点に合わせるようになされる。そして、サンプリング値を量子化してデジタルデータに変換するようになされる。このような処理のためには、アナログ/デジタル変換を施す前に周期や位相を推定する機構が必要とされる。
【0068】
一方、周期や位相を推定する機構がない場合、
図18に示すように、周期や位相を考慮したサンプリングができない。その結果、周期の変動に対処できず、複数フレームをまとめて符号化する場合に効率的な圧縮を行うことができない問題が生じる。
【0069】
本開示による符号化の他の例(以下、パラメトリック符号化と適宜称し、符号化に対応する復号化をパラメトリック復号化と適宜称する)は、周期や位相を推定する機構がない場合でも、高調波成分の位相は基本波成分の位相がゼロのときの相対的な位相をパラメータとして用いることで、サンプリングのズレや基本周波数の誤差の影響を軽減することができる。
【0070】
さらに、本開示によるパラメトリック符号化は、電流波形および電圧波形が持つエネルギーが基本波成分およびその高調波成分に集中している性質に基づき、それらの振幅および位相の情報の符号化を行うものである。さらに、高調波成分の振幅は基本波成分の振幅より大きくならないという仮定の下、それらの比をパラメータとして用いることで、高調波成分の振幅を限られたビット数で効率よく表現し、分解能を高めている。
【0071】
このような特徴を有するので、本開示によるパラメトリック符号化は、下記のような効果を奏する。
・高調波の位相情報を基本波の位相との関係性で記述することで、サンプリングのズレや基本波成分の誤差の影響を軽減することができる。さらに、複数フレームの情報をまとめて符号化する際の効率化も可能である。
・高調波の振幅情報を基本波の振幅との関係性で記述することで、分解能を保ちつつも、限られたビット数で効率よく表現することができる。
・パラメトリック符号化を可逆符号化の処理の一部として用いることで、高圧縮率の可逆符号化を実現することができる。
【0072】
本開示のパラメトリック符号化の処理は、概略的には、
図19に示すような複数のブロックによって構成される。処理の流れに沿って順に各ブロックについて説明する。なお、以下の説明においては、電流波形、電圧波形、電力波形を総称して波形と表現している。
【0073】
最初に、入力波形入力部111を介して連続波形が入力される。次に、窓掛け部112によって、入力波形が所定期間毎(以下の説明では、所定期間のことをフレームと適宜称する)に区分けされ、連続波形が切り出される。
正弦波パラメータ推定部113によって、切り出された連続波形に関して基本波および高調波の振幅および位相が推定される。
次に、パラメータ相対化部114によって、高調波の振幅および位相が基本波の振幅および位相との関係で相対化されたパラメータ表現に変換される。
次に、パラメータ量子化部115によって基本波および高調波のそれぞれの振幅および位相に関するパラメータが所定のビット数で量子化される。
【0074】
一方、本開示のパラメトリック符号化に対応するパラメトリック復号化の処理は、概略的には、
図20に示すような複数のブロックによって構成される。処理の流れに沿って順に各ブロックについて説明する。
符号化データ入力部121を介してパラメータ逆量子化部122に対して符号化データが入力され、パラメータが逆量子化される。
正弦波パラメータ復元部123によって、逆量子化されたパラメータから正弦波パラメータが復元される。
波形復元部124によって、正弦波パラメータから単一フレームの波形が復元される。
波形合成部125によって、単一フレームの波形がつなげられ、連続波形が形成される。
波形合成部125で得られた連続波形が出力波形出力部126を通じて取り出される。
【0075】
図21は、可逆圧縮を行うための符号化装置の構成を示す。入力波形がパラメトリック符号化処理部131に供給される。パラメトリック符号化処理部131は、
図19を参照して説明したパラメトリック符号化を行う。パラメトリック符号化処理部131から出力される符号化データがパラメトリック復号化処理部132に供給される。パラメトリック復号化処理部132は、
図20を参照して説明したパラメトリック復号化を行う。
【0076】
入力波形とパラメトリック復号化処理部132により生成される復号波形とが減算部133に対して供給される。入力波形と復号波形との差分(残差と称する)が減算部133から得られる。残差は、符号化/復号化の過程で発生する誤差成分である。減算部133からの残差が残差符号化部134に供給され、残差符号化部134から出力(拡張符号化データと称する)が得られる。
【0077】
残差符号化部134は、残差を効率的に圧縮する符号化であり、例えば、ハフマン符号化や算術符号化などのエントロピー符号化がなされる。または、線形予測符号化や差分符号化などを用いても良いし、これらの符号化手段を組み合わせても良い。符号化データと拡張符号化データとが伝送される。
【0078】
復号側は、
図22に示すような構成を有する。受信される符号化データがパラメトリック復号化処理部141に供給される。パラメトリック復号化処理部141は、
図20を参照して説明したパラメトリック復号化を行う。パラメトリック復号化処理部141の復号化出力が加算部143に対して供給される。
【0079】
受信される拡張符号化データが残差復号化部142に供給され、残差が復号化される。例えば可変長符号化の復号化がなされる。残差復号化部142によって得られる残差が加算部143に供給され、加算部143において、パラメトリック復号化処理部141の復号化出力と残差とが加算され、無損失復号化を行うことができる。加算部143から復号された出力波形が取り出される。このような符号化処理と復号化処理とによって、可逆符号化がなされる。
【0080】
図19を参照して説明したパラメトリック符号化の処理の各部についてより詳細に説明する。最初に窓掛け部112の処理を説明する。窓掛け部112では、入力波形データに対して窓関数を掛け合わせる処理を行う。窓関数は、ある有限区間(1フレーム期間)以外で0となる関数である。窓掛けの処理は、次の式(1)で表され、
図23の波形図でもって表すことができる。なお、
図23中の窓関数は、一例である。
【0082】
なお、入力される波形が既に切り出された波形(バースト波形)の場合では、窓掛けの処理を省略しても良い。この場合には、式(2)の関係が成り立つ。
【0084】
正弦波パラメータ推定部113では、離散フーリエ変換(若しくは高速フーリエ変換)により、基本波および高調波の振幅および位相を推定する。正弦波パラメータ推定処理は、次の式(3)で表される。日本の場合では、東日本(50Hz)と西日本(60Hz)とのように、基本波の周波数(基本周波数)が固定である。基本周波数が50Hzの場合、第2高調波の周波数が100Hz、第3高調波の周波数が150Hz、第4高調波の周波数が200Hz、・・・・となる。本来、電力会社から送られてくる電力には、殆どこれらの高調波が含まれていない。しかしながら、家庭、工場等では、高調波が発生し、発生した高調波が電力線に流出し、実際には、電力は、高調波を含んだ波形となる。
【0086】
例えばあるフレームの基本波が(振幅=10、位相=(1/3)π)で、第3高調波が(振幅=3、位相=(1/6)π)が得られる。より高域の高調波については、説明を簡単とするため省略する。基本波の位相は、基本波の基準位相例えばゼロクロス点に対する位相である。
【0087】
正弦波パラメータ推定の処理の段階において、エネルギーの弱い傾向にある高域の高調波成分や基本波の偶数倍の高調波成分を計算しないことによって、後の計算負荷および符号化データのビットレートを軽減するようにしてもよい。電力線信号の波形は、正の波形と負の波形とが対称的なために、偶数倍の高調波成分のエネルギーが弱い傾向を持っている。
【0088】
パラメータ相対化部114では、推定された正弦波パラメータの中で、高調波の振幅および位相の情報を基本波の振幅および位相との関係で記述する(すなわち、相対化する)。振幅の相対化の処理では、次の式(4)で表されるように、高調波の振幅を基本波の振幅との比に変換する。基本波の振幅については、相対化されない。上述した数値例では、第3高調波の相対化された振幅が(3/10)となる。
【0090】
ここで、次の式(5)で表されるように、高調波の振幅は基本波の振幅より大きくならないとの仮定の下、クリッピングを行ってもよい。
【0092】
直流成分については、次の式(6)で表されるように、相対化を行わなくてもよい。
【0094】
高調波の位相に関しては、次の式(7)で表されるように、高調波の位相を基本波の位相がゼロのときの位相に変換する。基本波の位相はそのままとされる。さらに、直流成分の位相は常にゼロであるため符号化する必要はない。上述した数値例では、第3高調波の相対化された位相が((1/3)π−3・(1/6)π=−(1/6)π)となる。3倍しているのは、第3高調波であるからである。
【0096】
ここで、上記の値が−πからπの範囲に収まるように、次の式(8)によって、2πの整数倍を加算(減算)する。
【0098】
さらに、複数フレームをまとめて符号化する場合は、基準となるフレームのパラメータを保持しておき、保持されているパラメータと符号化する対象のパラメータとの差分を算出し、差分を出力しても良い。その際は、各々のパラメータが基準フレームのパラメータか、そうでないフレームのパラメータかを示すデータも出力する。さらに、基準フレームでないフレームについては、基準フレームと紐付けをしておく必要がある。
【0099】
パラメータ量子化部115では、相対化された各パラメータ(位相および振幅の組)が予め規定されたビット数でもって量子化される。量子化は、線形量子化および非線形量子化の何れでもよい。ビット数は、適応的に割り当てても良い。例えばパラメータごとに違う値を規定しておいても良いし、電流波形の符号化と電圧波形の符号化とで違う値を規定しておいてもよい。例えば電流波形は、電圧波形に比して高調波成分が強いので、電流波形に対するビット量を電圧波形に対するビット量より多くすることが可能である。
【0100】
さらに、複数パラメータをまとめて、ベクトル量子化を行っても良い。複数フレームをまとめて符号化する場合は、基準フレームと、差分で表現されたそれ以外のフレームとで、異なる量子化がなされる。このように、量子化されたパラメータが最終的な符号化データである。
【0101】
図20を参照して説明したパラメトリック復号化の処理の各部についてより詳細に説明する。最初にパラメータ逆量子化部122の処理を説明する。パラメータ逆量子化部122では、符号化処理において、量子化されたパラメータの逆量子化を行う。複数フレームをまとめて符号化した場合は、基準フレーム以外のフレームについては、紐付けされている基準フレームのパラメータに逆量子化された差分情報が加算される。
【0102】
正弦波パラメータ復元部123では、次の式(9)に示すように、逆量子化されたパラメータから正弦波パラメータが復元される。
【0104】
なお、パラメータ相対化部114において直流成分の相対化を行わなかった場合は、次の式(10)で示す関係が成立する。
【0106】
波形復元部124においては、次の式(11)で示すように、復元された正弦波パラメータを用いて、単一フレームの波形が復元される。
【0108】
波形合成部125では、次の式(12)で示すように、復元された単一フレームの波形に窓掛けを行うことによって、その前のフレームと滑らかに接続し、連続波形が出力される(
図24参照)。
【0110】
連続波形を出力する必要のない場合は、次の式(13)で示すように、復元された波形をそのまま出力波形とする。
【0112】
なお、本開示は、以下のような構成も取ることができる。
(1)
電力線の電流を磁界の変化として検出する電流センサと、電力線の電圧を容量結合によって検出する電圧センサとが一体的に構成されてなるセンサ。
(2)
前記電流センサの測定信号から自身の動作電源を生成する(1)に記載のセンサ。
(3)
前記電流センサの測定信号を蓄える蓄電素子を含み、前記蓄電素子の出力を前記動作電源として使用する(2)に記載のセンサ。
(4)
前記電流センサがリングコアの孔を電力線が貫通し、前記リングコアに巻回された2次巻線に誘導される電流を測定する構成を有する(1)乃至(3)の何れかに記載のセンサ。 (5)
前記リングコアの孔内に前記電力線を挟んで保持することによって、前記孔のほぼ中心位置に前記電力線を位置させる保持部が設けられる(4)に記載のセンサ。
(6)
前記電圧センサが前記リングコアの内周面に設けられた電極を有し、前記電力線の電圧を容量結合によって測定する構成を有する(4)に記載のセンサ。
(7)
少なくとも第1および第2の前記電極が前記孔を挟んで対向し、前記第1および第2の電極からの測定信号を加算して取り出す(4)乃至(6)の何れかに記載のセンサ。
(8)
前記第1および第2の電極が前記電力線の延長方向と並行して配置される(7)に記載のセンサ。
(9)
前記電流センサと前記電圧センサとが別々のリングコアにそれぞれ設けられる(4)に記載のセンサ。
(10)
前記電流センサの測定信号と、前記電圧センサの測定信号とが2チャンネルオーディオ信号として出力される(1)乃至(9)の何れかに記載のセンサ。
(11)
電力計測メータの内部、分電盤の入力側の電力線および分電盤の内部の少なくとも1箇所に取り付けられる(1)乃至(10)の何れかに記載のセンサ。
(12)
電力線の電流を磁界の変化として検出する電流センサと、電力線の電圧を容量結合によって検出する電圧センサとが一体的に構成されてなるセンサからの測定信号が入力され、 前記電圧の周波数に対応して、前記電圧センサの測定信号の位相を補正し、前記測定信号の位相と前記電力線の電圧位相とをほぼ一致させる位相補正部を有するセンサ信号処理装置。
(13)
前記測定信号の振幅を正規化する振幅正規化部を有する(12)に記載のセンサ信号処理装置。
(14)
前記電流センサおよび前記電圧センサからの測定信号をオーディオデータまたはオーディオデータに類似した形式で扱う(12)(13)の何れかに記載のセンサ信号処理装置。
(15)
前記電流センサおよび前記電圧センサからの測定信号から前記電力線に接続された電気機器の消費電力および状況を判定する(12)乃至(15)の何れかに記載のセンサ信号処理装置。
(16)
電力線信号が入力され、前記電力線信号を予め設定した区間に区分けし、
区分けされた前記電力線信号同士の一致判定を行い、
第1の区分けされた前記電力線信号が時間的に前の第2の区分けされた前記電力線信号と略同一の場合には、前記第1の区分けされた前記電力線信号の伝送を省略し、
略同一でない場合に前記第1の区分けされた前記電力線信号を伝送し、
伝送される前記第1の区分けされた前記電力線信号を符号化する
電力線信号符号化装置。
(17)
複数個の前記第2の区分けされた前記電力線信号を保存し、
前記第1の区分けされた前記電力線信号と前記保存されている複数個の前記第2の区分けされた前記電力線信号のそれぞれとの一致判定を行う(16)に記載の電力線信号符号化装置。
(18)
前記電力線信号から電力、電流、電圧、力率、高調波の内の複数を含む電力パラメータを求め、
前記電力パラメータを使用して前記一致判定を行う(16)および(17)の何れかに記載の電力線信号符号化装置。
(19)
前記第1の区分けされた前記電力線信号と前記第2の区分けされた前記電力線信号とが略同一の場合には、前記第1の区分けされた前記電力線信号に代えて、前記第2の区分けされた前記電力線信号を特定する情報を伝送する(16)乃至(18)の何れかに記載の電力線信号符号化装置。
(20)
前記電力線信号は、電力線の電流を磁界の変化として検出する電流センサと、電力線の電圧を容量結合によって検出する電圧センサとが一体的に構成されてなるセンサから入力される電流波形および/または電圧波形である(16)乃至(19)の何れかに記載の電力線信号符号化装置。
(21)
伝送される前記第1の区分けされた電力線信号と、前記第1の区分けされた電力線信号の復号値との差分の情報を伝送することで、符号化を行う(16)乃至(20)の何れかに記載の電力線信号符号化装置。
(22)
所定区間の電流波形および/または電圧波形の基本波の第1の振幅および第1の位相、並びに高調波の第2の振幅および第2の位相を推定する推定部と、
前記第2の振幅を前記第1の振幅によって相対化すると共に、前記第2の位相を前記第1の位相によって相対化する相対化部と、
前記第1の振幅および前記第1の位相と、相対化された前記第2の振幅および前記第2の位相とを量子化する量子化部と
を備える電力線信号符号化装置。
(23)
電流波形および/または電圧波形の直流成分の振幅を前記推定部によって推定し、
前記直流成分の振幅を前記量子化部によって量子化する(22)に記載の電力線符号化装置。
(24)
前記推定部は、比較的エネルギーの弱い高域の高調波成分を求めない(22)および(23)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(25)
前記推定部は、比較的エネルギーの弱い偶数倍の周波数の高調波成分を求めない(22)乃至(24)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(26)
前記相対化部は、
前記第2の振幅と前記第1の振幅との比によって、前記第2の振幅を相対化し、
前記第2の位相を前記第1の位相がゼロのときの位相に変換することによって、前記第2の位相を相対化する(22)乃至(25)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(27)
前記相対化部において、相対化された前記第2の振幅が1を超える場合には、前記相対化された前記第2の振幅の値を1とする(22)乃至(26)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(28)
前記量子化部において、前記第1の振幅および前記第1の位相と、相対化された前記第2の振幅および前記第2の位相とのそれぞれに対して適応的に割り当てられた量子化ビット数で量子化がなされる(22)乃至(27)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(29)
複数の所定区間を符号化する場合に、前記第1の振幅および前記第1の位相、並びに前記第2の振幅および前記第2の位相は、基準の前記所定区間における値と、符号化の対象の前記所定区間における値との差分である(22)乃至(28)の何れかに記載の電力線符号化装置。
(30)
(22)に記載の電力線符号化装置の符号化データを復号化し、
真値と復号化値との差分を求め、前記差分に対して差分符号化を行い、
前記符号化データと前記差分符号化データとを伝送する電力線符号化装置。
【0113】
<6.変形例>
以上、本開示の実施の形態について具体的に説明したが、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば符号化の一例と他の例とを組み合わせてより高圧縮の符号化を実現するようにしても良い。さらに、本開示による符号化は、上述したセンサ以外の構成のセンサからの波形を符号化するのに適用できる。
【0114】
さらに、上述の実施の形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いても良い。