(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、国内のセメント消費量は低迷し、セメント総生産量も年々低下傾向にある。そのため、セメント製造各社ではセメント総生産量の低下に合わせた減産等の対策について検討が迫られている。しかし、一方、セメント原料を焼成する際に使用するロータリキルンについては、市民生活の中であふれ出る大量の廃棄物の処理に利用されているという理由等から、容易に停止或いは廃止等することができないという事情もあって、セメント工場各社においては、生産量を制限した状態でセメント製造設備の稼働を続けなければならないという状況に余儀なくされている。
【0003】
また、近年においては、環境保護の目的からCO
2の削減が広く叫ばれておりセメント工場もその例外ではない。このような背景により、今後もセメント工場各社においては減産を継続しながらエネルギー消費量(電力原単位)の削減も進めていかなければならないという必要性に迫られている。
【0004】
なお、セメント工場においては、前述のロータリキルン以外にも、各種製造設備が使用されているから、それぞれ減産に合わせた対策が必要であり、例えば、ロータリキルンに投入する前のセメント原料を粉砕する粉砕機においてもその対策が必要である。
【0005】
ここで、ロータリキルンに投入する前のセメント原料を粉砕する粉砕機として、従来から竪型粉砕機(竪型ミル、或いは竪型ローラミルと称されることもある)と呼ばれる粉砕機が広く知られている。竪型粉砕機は、回転テーブル上に投入した被粉砕物(本明細書においては単に原料と称することもある)を粉砕ローラにより粉砕する粉砕機であり、原料を効率的に微粉砕することができるという優れた特性を有している反面、原料の種類や粉砕条件等によっては振動が誘発される可能性があって、異常振動が発生した場合には、その振動の原因に応じた対策を講じる必要がある。
【0006】
なお、一般的に、竪型粉砕機は、予め定めた定格負荷近傍の処理能力で連続運転ができるように設計されている。そのため、セメント原料の生産量を減産するにあたり、竪型粉砕機で粉砕する原料の量を減少させると、運転中、回転テーブル上に形成される原料層の厚みが薄くなる等して、異常振動が誘発される可能性があった。
【0007】
前述した原因による異常振動を防止する方法として、例えば、回転テーブル上に配した粉砕ローラの加圧力(押付け力と称することもある)を減少させるという従来技術があり、一定の効果を奏するが、原料の圧壊強度との関係もあり極端に加圧力を小さくすることが難しく、また、極端に加圧力を弱めた場合、条件によっては、粉砕されない原料が竪型粉砕機内に大量に滞留する状態となって、却って振動を発生させやすい状況になる可能性があった。
【0008】
また、前述した原因による異常振動を防止する他の方法として、回転テーブルの回転数を変更し、回転テーブル上に形成される原料層の厚みを厚くするという調整方法もあって、この方法は大きな効果を奏する。しかし、セメント工場で使用されている既存設備の多くは、定速回転の竪型粉砕機であり、回転テーブルの回転数を可変速で制御することができないタイプのものである。そのため、この方法の場合には、回転テーブルを駆動する駆動機の電源等を変更しなければならず、モータ交換、インバータ電源の設置等、装置として大きな改造が必要になるから、既存設備を改造して使用するには手間とコストがかかるという問題があった。
【0009】
また、前述した原因による異常振動を防止するさらに他の方法として、回転テーブル上面の外周部にダムリングと呼ばれる土手部を形成して、ダムリングの高さを変更することにより、回転テーブル上に形成される原料層の厚みを調整するという技術が公知である。
特許文献1に開示の従来技術は、回転テーブル上面の外周部に高さを変えられるダムリングを形成し、回転テーブル上に形成される原料層の厚みを調整するという技術である。
この技術を竪型粉砕機で粉砕する原料の量を減少させる場合に適応すれば、運転中、回転テーブル上において形成される原料層の厚みを調整することができると思われるので、異常振動の抑制に一定の効果を奏すると予想される。
【0010】
しかし、通常、セメント工場で使用されている既存の竪型粉砕機には、運転中に高さが変更できない固定式のダムリングが採用されており、特許文献1に開示されるような高さ可変式のダムリングが備えられていない。したがって、既存の竪型粉砕機において、特許文献1の技術を採用しようとすれば、ダムリングの構成等を追加又変更しなければならず、そのまま流用して使用することが難しい。
また、この方法の場合には、粉砕ローラによる加圧力が回転テーブル外周部に偏りがちになり、結果として回転テーブルを駆動するトルクが大きくなるという可能性があって、エネルギー消費量削減を進めていく上で問題となる可能性があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
セメント原料の生産量を減産するにあたり、竪型粉砕機で粉砕する原料の量を減少させようとした場合において、前述した従来技術を適用すれば、運転中、回転テーブル上において形成される原料層の厚みが薄くなる等して発生する異常振動を抑制するという点で、それぞれ一定の効果を奏すると予想される。
【0013】
しかし、回転テーブルの回転数を変化させる方法、及び特許文献1に開示される方法については、前述したように既存の竪型粉砕機においてそのまま採用することができないから、装置の大きな改造等が必要であり、手間とコストが必要になる。
【0014】
参考までに、
図8にダムリングの高さを調整して粉砕ローラ下の原料層の厚みを調整した従来技術によるテスト結果を示す。ダムリング高さを調整して高くすることにより、粉砕ローラ下の原料層厚を厚くすることができ、振動値は低減したが、電力原単位は却って悪くなっている。
【0015】
また、粉砕ローラの加圧力を変更する方法については、改造などの変更を行う必要はない。しかし、前述したように、条件によっては、粉砕されない原料が竪型粉砕機内に大量に滞留する状態となって、振動を発生させやすい状況になる可能性があるという問題点があった。
【0016】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、セメント原料の生産量を減産するにあたり、竪型粉砕機で粉砕する原料の量を定格負荷処理能力より減少させたとしても、既存の設備を大きく改造することなく、異常振動の発生を抑制することできる竪型粉砕機の運転方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による竪型粉砕機の運転方法は、
(1) 回転テーブル上に投入したセメント原料を4個の粉砕ローラで粉砕する竪型粉砕機によって、セメント原料を減産した運転する際
に、同一の加圧力を負荷されて運転されていた4個の粉砕ローラの中の2個を、原料層を圧密する圧密ローラとすることにより、
粉砕ローラ、圧密ローラ、及び、回転テーブルを備えて、回転テーブル上に投入したセメント原料を、圧密ローラで圧密しながら粉砕ローラによって粉砕する竪型粉砕機の運転方法として、回転テーブル上に、同一寸法、且つ、同一形状の粉砕ローラと圧密ローラが交互に並ぶように配するとともに、圧密ローラの加圧力を0.1Mpaから0.3Mpaまでの範囲と
した竪型粉砕機の運転方法
であって、竪型粉砕機の起動時に、前記圧密ローラの加圧開始動作と前記粉砕ローラの加圧開始動作を個別に制御することにより、該圧密ローラの加圧開始動作より遅れて該粉砕ローラの加圧開始動作し、該圧密ローラが所定の加圧力まで昇圧した後、該粉砕ローラの昇圧を開始する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、セメント原料の生産量を減産するにあたり、竪型粉砕機で粉砕するセメント原料の量を、竪型粉砕機の定格負荷処理能力より減少させた場合において、竪型粉砕機に発生する可能性のある異常振動を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面等に基づき本発明の好ましい実施形態の1例について詳細に説明する。
図1から
図7は本発明の実施形態に係わり、
図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する概念図であり、
図2は粉砕ローラ、圧密ローラ及び回転テーブルの配置を説明する図である。また、
図3は粉砕ローラ又圧密ローラの加圧力を説明する概念図であり、
図4は圧密ローラのローラ面圧と、圧密ローラ下の層厚、振動状態、及び電力原単位の関係を示す図であり、
図5は原料層の動摩擦係数、圧密度、及び粉砕処理量の関係を示す図である。また、
図6は粉砕ローラと原料層の関係を説明する概念図であり、
図7は粉砕ローラと圧密ローラの加圧開始タイミング等を説明する図である。
なお、
図8はダムリング高さを調整することにより異常振動を抑制するという従来技術による竪型粉砕機の運転方法における粉砕ローラ下の層厚、振動値、及び電力原単位の関係を示す図である。
【0022】
以下、本実施形態に使用した竪型粉砕機1の好ましい構成について説明する。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、
図1に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシング1B、1A、竪型粉砕機のケーシングに取り付けられて、機体の振動を測定する振動センサS1、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと駆動モータ2Mによって駆動される回転テーブル2、及び、回転テーブル2に従動して回転するコニカル型の粉砕ローラ3及び圧密ローラ5を備えている。
【0023】
前述の粉砕ローラ3と圧密ローラ5との関係については、基本的に同一寸法、同一形状のものであり、竪型粉砕機1の運転方法における従来技術においては、粉砕ローラ3を4個備えた4ローラタイプの竪型粉砕機として使用されているものであって、従来技術においては、4個の粉砕ローラ3として同一の加圧力を負荷されて運転されていたものである。詳細は後述するが、本実施形態による竪型粉砕機1の運転方法においては、主に原料を微粉砕する目的で大きな加圧力を負荷するローラを粉砕ローラ3と定義し、主に回転テーブル2上に形成された原料層を圧密する目的で小さな加圧力を負荷するローラを圧密ローラ5として定義して、
図2に示すように、回転テーブル2上において、粉砕ローラ3と圧密ローラ5が、回転テーブルの回転軸を中心とする1つの円の円周に沿って、交互に並ぶように配した。
【0024】
ここで、本実施形態に使用した竪型粉砕機1の粉砕ローラ3は、
図2(1)に示すように、回転テーブル2の上面に2個が配されて、回転テーブル2の方向に押圧されるよう構成されており、回転テーブル2が回転することにより、回転テーブル2に対して、原料を介して従動して回転する。
また、本実施形態に使用した竪型粉砕機1においては、粉砕ローラ3と位相を90度ずらしたような形で、圧密ローラ5が2個配されており、粉砕ローラ3と同様に回転テーブル2に対して、原料を介して従動して回転する。
本実施形態においては、前述の構成とすることにより、回転テーブル上に配した粉砕ローラの中において、隣り合う2個の粉砕ローラが異なる加圧力で制御できるように構成した。
【0025】
なお、
図2(2)に示すように、粉砕ローラ3はスイングレバー3Aに取り付けられてケーシング1Bに軸3Cを中心として回動自在に軸支されており、スイングレバー3Aのアーム3Bには第1の油圧シリンダ3Dが取り付けられている。そして、第1の油圧シリンダ3Dには図示しない油圧ラインを介して
図1に示した油圧ユニット55が接続されている。本実施形態においては、油圧ユニット55を作動させることによって第1の油圧シリンダ3Dにつながる油圧ラインに流れる作動油の油圧を昇圧することにより、油圧シリンダ3Dを作動させてアーム3Bを駆動することによりスイングレバー3Aを動かして粉砕ローラ3を所望する加圧力で回転テーブル2側に押し付ける。
【0026】
粉砕ローラ3と同様に、圧密ローラ5はスイングレバー5Aに取り付けられてケーシング1Bに軸5Cを中心として回動自在に軸支されており、スイングレバー5Aのアーム5Bには第2の油圧シリンダ5Dが取り付けられている。そして、第2の油圧シリンダ5Dには図示しない油圧ラインを介して
図1に示した油圧ユニット55が接続されている。本実施形態においては、油圧ユニット55を作動させることによって、第2の油圧シリンダ5Dにつながる油圧ラインに流れる作動油の油圧を昇圧することにより、油圧シリンダ5Dを作動させてアーム5Bを駆動することによりスイングレバー5Aを動かして圧密ローラ5を所望する加圧力で回転テーブル2側に押し付ける。
【0027】
以下、粉砕ローラ3と圧密ローラ5について、それぞれ個別に制御する油圧制御機構として、制御装置50を説明する。
図1に示した竪型粉砕機1においては、前述の油圧ユニット55、並びに、油圧ユニット55を制御して圧密ローラ5と粉砕ローラ3の加圧力を制御する制御装置50を備えており、制御装置50は圧密ローラ5及び粉砕ローラ3について、それぞれの加圧開始タイミングと加圧力を別個に設定できる設定器51、圧密ローラ5並びに粉砕ローラ3の加圧開始タイミングに係る時間等を計測するタイマ装置53、設定器51に設定された時間とタイマ装置53に設定されたタイマ時間を比較又演算等して条件を満たした場合に油圧ユニット55に対して所定の指令信号を発信するコントロールユニット52等を備えている。
制御装置50は前述の構成により、油圧ユニット55を制御して、第1の油圧シリンダ3D及び第2の油圧シリンダ5Dに送る作動油の油圧をそれぞれ個別に制御して、粉砕ローラ3と圧密ローラ5について、それぞれ個別に下降タイミング、加圧開始タイミング並びに加圧力を制御する。
【0028】
また、
図1に示す実施形態においては振動センサS1を備えて、運転中、竪型粉砕機に生じている振動の状態を常時監視するとともに、万一、異常振動を検知した場合に、安全装置として働き、インターロックを起動させて竪型粉砕機1の運転を停止するよう構成されている。
【0029】
なお、圧密ローラ5及び粉砕ローラ3について、加圧開始タイミングと加圧力を別個に設定して制御するためには制御装置や油圧コントール設備が若干必要にはなるが、竪型粉砕機に使用する大きなモータや電源設備交換等に比較した場合に、その改造にかかる費用等は軽微であると予想される。
【0030】
以下、竪型粉砕機1の内部構造等について簡略に説明する。
図1に示した竪型粉砕機1は、回転テーブル2の上方に形状が略逆円錐型の内部コーン19を備えるとともに、内部コーン19の上部に固定式の一次分級羽根14と、内部コーン19の上方で一次分級羽根14の内側に回転式の分級羽根を備えた回転式分級機13を有している。そして、回転式分級機13が備えた回転式の羽根は、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動されて、自在に回転する構成となっている。
【0031】
さらに、
図1に示した竪型粉砕機1は、上部に原料を投入するための原料投入口35、回転テーブル2の下方にガスを導入するためのガス供給口33、及び、極端に大きな重量の原料を取り出すための下部取出口34、を備えており、回転テーブル上方には、ガスと共に製品を取り出すことのできる上部取出口39を備えている。
【0032】
図1に示した竪型粉砕機1は前述の構成によって、運転中に、ガス供給口33よりガスを導入することによって、回転テーブル2下方から一次分級羽根14及び回転式分級機13を通過して上部取出口39へと流れるガスの気流が生じる構成となっている。
【0033】
回転テーブル2上で粉砕された原料は、前記ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、一次分級羽根14方向に流れるが、径が大きく重量の大きな原料は一次分級羽根14まで到達できずに落下して、回転テーブル2上で再度粉砕される。なお、極端に重量が大きな原料は竪型粉砕機1の下部にある下部取出口34より機外に排出される。
【0034】
一次分級羽根14を通過して回転式分級機13を通過できなかった原料は、内部コーン19上に落下して回転テーブル2中央部分付近に供給され、回転テーブル2上で、再度、粉砕される。一方、回転式分級機13を通過した径の小さな原料は、上部取出口39から製品として取り出される。
なお、粉砕ローラ3で粉砕された後においても、一次分級羽根14、又は回転式分級機13を通過できずに、回転テーブル2上に供給されて、再度、粉砕される原料は、循環原料と称される。
【0035】
以下、本実施形態による竪型粉砕機1の運転方法について、その好ましい1例を説明する。本実施形態による竪型粉砕機1の運転方法では、竪型粉砕機1の運転開始前に、制御装置50の設定機51に対して、予め圧密ローラ5と粉砕ローラ3の加圧力、並びに加圧開始タイミングを入力する。
【0036】
図7に、圧密ローラ5及び粉砕ローラ3の加圧開始タイミングについて簡単なフローを示す。具体的には、原料投入後、回転テーブル2上に圧密ローラ5を下降させることができる程度まで原料層の厚みが確保されるまでの時間を勘案し、コントロールユニット52から油圧ユニット55に対して圧密ローラ下降指示信号を発信する時間を設定する。
なお、圧密ローラ5を下降させるに最低限必要な原料層の厚みが確保される時間については、起動時、回転テーブル2上に載っている原料の状態によって異なるため、起動時の状況に応じて調整が必要である。
【0037】
次に、圧密ローラ5への下降指示信号が発信されてから粉砕ローラ3への下降指示信号が発信されるまでの時間をタイマT1として設定するとともに、圧密ローラ5への下降指示信号が発信されてから圧密ローラ5への加圧指示信号が発信されるまでの時間をタイマT2として設定する。そして、粉砕ローラ3への下降指示信号が発信されてから、粉砕ローラ3への加圧指示信号が発信されるまでの時間をタイマT3として設定する。
【0038】
なお、本実施形態においては、圧密ローラ5への加圧指示信号が発信されてから、粉砕ローラ3への加圧指示信号が発信されるまでの時間をΔTとし、圧密ローラ5の加圧開始動作からΔT後、粉砕ローラ3の加圧開始動作をするように、タイマT1、タイマT2、及びタイマT3の時間を設定器51に設定する。
なお、ΔTは、圧密ローラ5が加圧開始から昇圧完了するまでの時間を勘案し、決定することが好ましい。
【0039】
以下、竪型粉砕機1の運転開始後において、竪型粉砕機1の原料投入口35に投入された原料(本実施形態においては被粉砕物であるセメント原料)は、原料投入シュートを介して回転テーブル2の中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブル2の外周側に移動する。
【0040】
原料投入後、回転テーブル2上に原料が行きわたって原料層を形成した時点で、圧密ローラ5に対する下降指示信号を制御装置50より発信し、油圧ユニット55を制御して、油圧シリンダ5Dを作動させてゆっくりと圧密ローラ5を回転テーブル2側に下降させる。圧密ローラ5の下降指示信号が発信されると同時にタイマT1及びタイマT2が計時を開始し、タイマT1の設定時間経過後に、粉砕ローラ3に対して下降指示信号が発信されるとともに、タイマT2の設定時間経過後に圧密ローラ5への加圧指示信号が発信される。そして、圧密ローラ5の加圧力が昇圧完了した後、タイマT3の設定時間が経過し、粉砕ローラ3への加圧指示信号が発信される。
【0041】
ここで、圧密ローラ5に負荷する加圧力について、
図3に示したように、圧密ローラ5により与えられる力をFとした場合に、圧密ローラ5の幅方向の寸法をW、周方向の直径(ローラ幅方向寸法の中央部寸法)をD、とすると、圧密ローラ5の投影面積当たりに与えられる加圧力としてのローラ面圧Mは以下の数式(1)により求められる。
【0042】
M=(F×COSθ)÷(W×D)・・・数式(1)
【0043】
竪型粉砕機1の運転中においては、竪型粉砕機1の原料投入口35に投入された原料は。原料投入シュートを介して回転テーブル2の中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブル2の外周側に移動する。そして、回転テーブル2上に投入された原料は、後述する循環原料と回転テーブル2上で合わさって、その大部分が圧密ローラ5で圧密されて脱気された後、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブル2の外縁部に周設されたダムリング15を乗り越えて、回転テーブル上面2の外周部とケーシングとの隙間である環状通路30(環状空間部30と称することもある)へと向かう。
【0044】
環状通路30に達した原料は、前記ガスにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、一次分級羽根14方向に流れようとするが、径が大きく重量の大きな原料は、一次分級羽根14まで到達することができず、或いは一次分級羽根14を通過できず、に落下するが、その大部分が回転テーブル2上に落下して、再度、粉砕される。
なお、一次分級羽根14を通過できない原料の中で極端に重量の重いものは、回転テーブル2の下方まで落下して、下部取出口34より排石として取り出される。また、一次分級羽根14を通過して、回転式分級機13を通過できなかった原料は、落下することにより内部コーン19に捕集されて、再度、回転テーブル2上に供給され、粉砕される。
【0045】
ここで、セメント原料を微粉砕する場合においては、回転式分級機13を通過できる原料の径を小さくする必要があるため、結果として、一次分級羽根14又は回転式分級機13を通過できずに落下する原料の割合は多くなり、原料投入シュートから投入される新規原料に対して繰り返し粉砕される循環原料の割合が大きくなり、嵩高い原料層が形成される。
【0046】
循環原料は、所定の粒径となって機外に排出されるまで、繰り返し、回転テーブル上に供給され、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。一方、所定の粒径まで小さく粉砕された原料は、回転式分級機13を通過することにより、上部取出口39より粉砕品として取り出される。
【0047】
なお、運転開始時において、粉砕ローラ3と圧密ローラ5を、同一のローラ加圧指示信号により、同時に加圧開始した場合に、十分に圧密されていないセメント原料が粉砕ローラ3に噛み込まれて振動が急激に大きくなる可能性がある。
本実施形態においては、圧密ローラ5に対して加圧指示信号を発信してからΔT秒後に粉砕ローラ3に対する加圧指示信号が発信されるようにタイマT1乃至タイマT3を設定することにより、圧密ローラ5が所定の加圧力まで昇圧した後に、粉砕ローラ3を加圧開始するように構成したので、振動が急激に大きくならず、安定運転可能であった。
【0048】
また、
図4にローラ層厚、振動状態、及び電力原単位の関係を示す。
圧密ローラ5に与える加圧力としてのローラ面圧について、本実施形態においては2(kg/cm
2)としたが、セメント原料を粉砕する場合は、圧密ローラ5の投影面積当たり1〜3(kg/cm
2)程度となるように設定することが好ましいことがわかる。これを、SI単位系に換算すると、圧密ローラ5の投影面積当たり0.1〜0.3(MPa)にすることが好ましい。
【0049】
なお、高負荷をかけた粉砕ローラ3の従来の4個から2個として半数にすれば、仕事量が半分になると考えることもできるが、本実施形態のように、高負荷の粉砕ローラの中で2個を低負荷の圧密ローラ5とすれば、約60%から70%程度の仕事量を得ることができる。その理由は、低負荷の圧密ローラ5による回転テーブル上の見かけ上の摩擦係数向上にある。本来、竪型粉砕機1の粉砕は、原料が粉砕ローラ3に噛み込まれることから始まる。
図6に示すように、粉砕層は粉砕ローラに角度αで噛み込まれて、ローラ直下の加圧力で粉砕される。ここで如何に噛み込まれるかと言えば摩擦係数の影響が大きい。
通常、竪型粉砕機1の内部は、媒体とされるガス、循環原料の細粒粉、及び径の大きな新規原料からなるが、最も大きな因子は循環している細粒子が支配する。
全ての粉砕ローラを高負荷の粉砕ローラ3とする従来方法では、細粒子は見かけ上においてガスという媒体に包まれた非常に小さな摩擦係数を示す。本実施形態においては、低負荷の圧密ローラ5は、粉砕ではなく媒体(ガス)を脱気するローラとして作用し、その圧密度を増加させるという作用効果も奏する。摩擦係数の改善により粉砕ローラへの噛み込み角度αが改善(増加)するので、
図5に示すような形で処理能力が増加すると考えられる。
【0050】
また、本実施形態においては、ダムリング15の高さを変化させて回転テーブル外周に強制的に原料層を形成するものではなく、仕事量の低下と脱気のための圧密ローラ5の作用により、回転テーブル上に十分且つ均一な高さの原料層を形成する。したがって、粉砕ローラ3による高負荷な加圧力も原料層によって減衰され、また、摩擦力により粉砕ローラ3のスリップなどが抑制された結果振動が抑制される。
【0051】
さらに本実施形態においては、粉砕ローラ3による高負荷の加圧力が、テーブル外周部に偏ることがないので、無効な動力消費が抑えられて、電力原単位も従来法より向上させることができる。