(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載のリップル相含有組成物において、ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンジアルキルエーテルは、ポリオキシエチレン界面活性剤総量に対し、15〜45質量%であることを特徴とするリップル相含有組成物。
請求項4に記載のαゲル形成用組成物において、ポリオキシエチレン界面活性剤総量に対し、ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンジアルキルエーテルは15〜50質量%、ポリオキシエチレンアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルは5〜80質量%、ポリオキシエチレンステロールエーテルは80質量%以下であることを特徴とするαゲル形成用組成物。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明に前記従来技術に鑑みなされたものであり、その目的は、塗布中さっぱりとしていて、塗布後は皮膚の保湿作用が高く、経時で結晶析出や粘度上昇などのない安定性の高いリップル相含有組成物、αゲル形成用組成物、およびそれを用いた皮膚外用組成物およびそれを用いたαゲル組成物を提供することにある。
【0007】
油分や保湿剤を多量配合しても塗布中にべたつかずさっぱりとしていて、塗布膜の乾燥後は皮膚のエモリント作用や保湿作用が高い、前記αゲル形成用組成物を用いた油中水(W/O)型皮膚外用剤および水中油(O/W)型皮膚外用剤の提供をすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、高級アルコールや高級脂肪酸を含まずポリオキシエチレン界面活性剤のみからなる全く新規なαゲル形成用組成物を用いた皮膚外用組成物およびαゲル組成物が、皮膚の保湿作用が高く、経時で結晶析出や粘度上昇などの経時安定性で問題のないことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるリップル相含有組成物は、
下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンジアルキルエーテルと、
下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
を含むことを特徴とする。
(I)
(II)
(ただし、一般式(I)でR1及びR2は炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基、nは4〜15の整数、一般式(II)でRは炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基、nは8〜30の整数を表す。)
前記リップル相含有組成物において、ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンジアルキルエーテルは、ポリオキシエチレン界面活性剤総量に対し、15〜45質量%であることが好適である。
前記リップル相含有組成物において、水を含み、水の配合量は、リップル相含有組成物中20〜70 質量%であることが好適である。
本発明にかかるαゲル形成用組成物は、前記リップル相含有組成物および下記一般式(III)で表されるポリオキシエチレンステロールエーテルを含むことを特徴とする。
(III)
(ただし、一般式(III)でR3はコレステロール及び/またはフィトステロール残基、nは5〜30の整数を表す。)
前記αゲル形成用組成物において、ポリオキシエチレン界面活性剤総量に対し、ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンジアルキルエーテルは15〜50質量%、ポリオキシエチレンアルキルエステル及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテルは5〜80質量%、ポリオキシエチレンステロールエーテルは80質量%以下であることが好適である。
前記αゲル形成用組成物において、水を配合することを特徴とするαゲル形成用組成物。
前記αゲル形成用組成物において、水の配合量は、αゲル形成用組成物中 〜 質量%であることが好適である。
本発明にかかる皮膚外用組成物は、前記ゲル形成用組成物を含むことを特徴とする。
本発明にかかる油中水型皮膚外用組成物は、前記皮膚外用組成物からなることを特徴とする。
前記油中水型皮膚外用組成物において、脂肪族アルコール及び/または脂肪酸を含むことが好適である。
本発明にかかる水中油型皮膚外用組成物は、前記皮膚外用組成物からなることを特徴とする。
本発明にかかるαゲル組成物は、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンジアルキルエーテルと、
下記一般式(II)で表されるポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
下記一般式(III)で表されるポリオキシエチレンステロールエーテル
を含むことを特徴とする。
(I)
(ただし、一般式(I)でR1及びR2は炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基、nは4〜15の整数を表す)
(II)
(ただし、一般式(II)でRは炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基、nは8〜30の整数を表す)
(III)
(ただし、一般式(III)でR3はコレステロール及び/またはフィトステロール残基、nは5〜30の整数を表す)
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるリップル相含有組成物、αゲル形成用組成物、およびそれを用いたαゲル組成物は、経時での結晶析出、粘度上昇などの安定性の問題が発生することない。一方で、塗布中は、基剤の乾燥が進み、水分量が少なくなり、類似構造のポリオキシエチレン界面活性剤から形成されたαゲルとなるので、塗布中さっぱりとしていて、塗布後は皮膚の保湿作用に優れている。
【0010】
そして、αゲル形成用組成物を配合
した油中水(W/O)型皮膚外用剤は、水分量の多い製剤中では疎水性の両親媒性物質成分と親水性の両親媒性物質成分に分かれ、疎水性の両親媒性物質成分は油相に親水性の両親媒性物質成分は水相にそれぞれ分配されており、従来のαゲルのように全てが水相中にあって、粘度増加に寄与しているものではない。このため、同じ両親媒性成分で水中油(O/W)型の乳化にも油中水(W/O)型乳化にも調製することができる。
【0011】
塗布中の水分蒸発に伴い疎水性の両親媒性物質成分と親水性の両親媒性物質成分は一相となり、最終的にαゲルを形成する。このため、水性成分を層間に抱え込むことがないため、成膜が早くさっぱりした使用感触となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明にかかるαゲル形成用組成物は、水分量が多い領域では、リップル相とミセル相の2相で構成されているが、水分量が少ない領域では、αゲル相の1相の構成となる(
図1)。
【0014】
本発明に用いる(I)のポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルは、炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基を有するものが好適であり、ポリオキシエチレン鎖は4〜15モルが好適である。
【0015】
市販品としては、ポリオキシエチレン(4モル)ジステアリン酸(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 200DIS)、ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 300DIS)、ポリオキシエチレン(8モル)ジステアリン酸(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 400DIS)、ポリオキシエチレン(12モル)ジステアリン酸(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 600DIS)、ステアリン酸ステアレス-4(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex SWS-4)、ステアリン酸ステアレス-6(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex SWS-6)、ステアリン酸ステアレス-9(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex SWS-9)、ポリオキシエチレン(8モル)ジベヘニルエーテルなどが挙げられる。なお、ポリオキシエチレン鎖とアルキル基の結合様式はエステルでもエーテルでも、また、その両方が含まれても良い。
【0016】
本発明に用いる(II)のポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンアルキルエーテルは、炭素数16〜24の直鎖脂肪族酸残基または直鎖脂肪族アルコール残基を有するものが好適であり、ポリオキシエチレン鎖は8〜30モルが好適である。
【0017】
市販品としては、ポリオキシエチレン(5モル)ベヘニルエーテル(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BB-5)、ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BB-10)、ポリオキシエチレン(20モル)ベヘニルエーテル(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BB-20)、ポリオキシエチレン(10モル)ステアリルエーテル(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 610)、ポリオキシエチレン(7モル)セチルエーテル(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex 107)などが挙げられる。
【0018】
本発明に用いる(III)のポリオキシエチレンステロールエーテルは、疎水基としてフィトステロール、コレステロール、エルゴステロールを有するものが好適であり、ポリオキシエチレン鎖は5〜30モルが好適である。
【0019】
市販品としては、ポリオキシエチレン(5モル)フィトステロール(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-5)、ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-10)、ポリオキシエチレン(20モル)フィトステロール(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-20)、ポリオキシエチレン(30モル)フィトステロール(例えば、日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-30)、ポリオキシエチレン(10モル)コレステロール(例えば、日本エマルジョン社製、Emalex CS-10)などが挙げられる。
【0020】
(リップル相含有組成物)
本発明において(I)及び(II)に示すポリオキシエチレン界面活性剤のみから水分量が少ない場合にαゲルに変化するリップル相含有組成物を形成する場合、(I)のポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルは、ポリオキシエチレン界面活性剤総量に対し15〜45質量%、残部が(II)のポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはエーテルであることが好適である。また、水分量が、リップル相含有組成物中、20〜70質量%であると好適である。
【0021】
(リップル相)
リップル相とは、炭化水素鎖の部分は結晶状態に近いが膜は湾曲している相のことをいう。本発明においてリップル相が形成されていることは、有効成分濃度ごとのピークの帰属を示したX線散乱パターンを求めて、文献(*Karen P. Shaw et al., Soft Matter,2012,8,1070-1078 J.Stamatoff et al.,Biophys.J.,38,217-226(1982))に基づき数学的にリップル相単位胞から出した散乱ピーク位置と実測の散乱ピーク位置が一致したこと及びフリーズフラクチャーTEM(FF-TEM)(
図1)から確認した。
【0022】
(αゲル相)
αゲルとは、高級脂肪族アルコールと親水性界面活性剤が水中で形成する会合体であって、α構造(福島正二著「セチルアルコールの物理化学」フレグランスジャーナル社)をとるゲルを意味する。
【0023】
(水量の変化における相挙動)
次に、水量の変化における相挙動を確認するために、(I)〜(III)の成分を選定した。(I)ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルとして、ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸(日本エマルジョン社製、Emalex 300DIS)を選定した。
また、(II)ポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル(、日光ケミカルズ社製、Nikkol BB-10)選定をした。
そして、(III)ポリオキシエチレンステロールエーテルポリオキシエチレンとして(10モル)フィトステロール(日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-10)を選定した。
【0024】
選定した(I)〜(III)の成分を、成分比で、(I):(II):(III)=1.5:6:2.5で配合したところ、水分量が減り、有効成分濃度が高くなるにつれて、相の状態がミセル相とリップル相から、αゲル相に変化していくことが分かった(
図2)。
【0025】
たとえば、有効成分濃度が10〜20質量%である場合、2相になっており、1相は、(III)成分が、ミセル相を形成し、(I)成分と、(II)成分でリップル相を形成している。ミセル相については、リンタングステン酸染色をもって確認し、リップル相については、上述したX線散乱パターンから確認した。
また、有効成分濃度が40質量%の領域では、ほとんどがリップル相が形成されていた。
そして、有効成分濃度が60質量%である場合は、(I)成分と(II)成分と(III)成分で、1相のαゲル相を形成していること分かった。このことは、αゲルを示唆する散乱ピークが現れたことで確認した(
図3)。
【0026】
このことから、製品中および経時保存中では、水分量が多いため、(I)、(II)でリップル相を形成している。そして、(III)は、マイクロエマルション(ミセル)相を形成している。
一方で、塗布時や塗布後に、基剤の乾燥が進み、水分量が少なくなると、(I)成分と(II)成分と(III)成分でαゲルを形成すると考えられる。
つまり、用途や目的に応じて、水分量を調整することで、相の状態を選択することができることが分かった。
【0027】
つまり、水分量が多い時に生じる本αゲル組成物の疎水的な部分は親水的な部分とは一相に混合されず、油相に溶解するために疎水的な部分で乳化することによりW/O乳化が可能である。さらに油中水(W/O)型皮膚外用剤組成物においても、水分が揮散する。
この際、疎水性部分と親水性部分に分かれて存在していた本αゲル組成物は一相に混和してαゲル塗布膜が形成される。このように、本発明のαゲル組成物においては、これまでのαゲルにはない水分量の変化に伴う多相変化が起こるために油中水(W/O)型皮膚外用剤を調製できるのである。また、親水性部分と疎水性部分が混和する際、油−水界面張力が非常に低い状態を通過するために、肌なじみが良く、さっぱりした使用感触になっているものと推察される
【0028】
また、本発明では、使用性を整えるなどの目的で必要に応じて、複数の界面活性剤を必須成分に加えることもできる。また、本発明のαゲルは水が多い処方中では、親水性部分と疎水性部分は混合ミセルを形成していないため、ほぼ同じ両親媒性成分でW/O乳化だけでなく、親水性部分でO/W乳化にも調製できる。
【0029】
また、皮膚外用剤組成物中に前記リップル相含有組成物、αゲル形成用組成物、およびそれを用いたαゲル組成物は任意の量を配合することができるが、一般的には各ノニオン界面活性剤の合計が皮膚外用剤中で0.1%〜20%が好適である。
【0030】
(三成分系の相平衡図)
本発明にかかるリップル相含有組成物は、(I)ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルと(II)ポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはエーテルを70〜80℃にて溶融させ、これに70〜80℃のイオン交換水を40〜90重量%の割合で加え撹拌後、冷却することにより得られる。
また、本発明にかかるαゲル形成用組成物は、(I)ポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルと(II)ポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはエーテルに更に、(III)ポリオキシエチレンステロールエーテルを加えた後、70〜80℃にて溶融させ、これに70〜80℃のイオン交換水を40〜90重量%の割合で加え撹拌後、冷却することにより得られる。
【0031】
αゲル組成物の具体例として(I)成分として、ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸(日本エマルジョン社製、Emalex 300DIS)を選定した。また、(II)成分として、ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル(日光ケミカルズ社製、Nikkol BB-10)を選定した。そして、(III)成分として、ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール(日光ケミカルズ社製、Nikkol BPS-10)を選定した。
選定した(I)〜(III)成分の混合物を70〜80℃にて一相にした。次に、50重量%の割合で同温に加熱したイオン交換水を加えて、室温(25℃)まで冷却して、界面活性剤有効分50重量%となったαゲル組成物を得た。三成分系の相平衡図を
図4に示した。
図9で斜線部分は、示差熱量分析計での融点ピークが1本であり、またX線分析の結果、αゲルを示唆する散乱ピーク(
図3)が得られた領域である。
図4から明らかなように、(I)成分と(II)成分のみでもαゲルが得られるが、(III)成分を加えた場合でも、その量が全ノニオン界面活性剤中80%程度まで、αゲルの領域が認められた。
【0032】
本発明では、ノニオン界面活性剤のみでαゲル形成用組成物を構築できるが、使用性を整えるなどの目的で必要に応じて、炭素数16以上の高級脂肪族アルコールを加えることもできる。炭素数16以上の高級脂肪族アルコールの例としては、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコールなどが挙げられる。また、本発明に用いられるポリオキシエチレンジアルキルエステル及び/またはエーテルとポリオキシエチレンアルキルエステル及び/またはポリオキシエチレンアルキルエーテルの比率は(7:3〜1:9)が好適である。この範囲外であると結晶が析出するため、製剤には適さない。また、ポリオキシエチレンステロールエーテルの量は、上記の混合物に対し0〜80重量%が好適であり、これ以上であると塗布中および塗布後に水分量が減少してもαゲルは生成しない。
【0033】
本発明の皮膚外用剤に用いられる油分は、特に限定されるものではなく、例えば、液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、合成エステル油、シリコーン油などを適宜配合でき、更に、一部の高級アルコールを前期油分に溶解して乳化することもできる。目的のαゲル含有皮膚外用剤に対する配合量としては特に限定しないが、0.05〜50重量%が好ましい。0.05重量%以下の場合は皮膚外用剤としての効果に乏しく、50重量%を超えると使用感触が悪くなる。
【0034】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコールアセテート、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、 ポリオキシエチレン水素添加ラノリンアルコールエーテル、パルミチン酸セチルらが挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0035】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0036】
合成エステル油としては、例えば、オクタン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、コハク酸ジオクチル、ジネオペンタン酸トリプロピレングリコール等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
【0037】
本発明にかかるαゲル形成用組成物含有皮膚外用剤は、例えば、皮膚、頭髪など身体に適用し得る、皮膚化粧料、頭髪洗浄料、皮膚洗浄料、整髪料等に用いることができる。
【0038】
また、本発明にかかるαゲル形成用組成物含有皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲の配合量で配合することができる。かかる成分としては、例えば、粉末成分、両性界面活性剤、イオン性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられる。
【0039】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、バーミキュライト、ベントナイト、ヘクトライト、ラポナイト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0040】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
イオン性界面活性剤としては、N-アシルメチルタウリン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪酸石鹸、アルキル4級アンモニウム塩、ジアルキル4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0041】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0042】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等);ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等のポリオキシエチレンモノオレエート等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等);テトラ ポリオキシエチレン・テトラポリオキシプロピレンエチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);ポリオキシエチレンヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油トリイソステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸等);ポリオキシエチレンミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチレン脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0043】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0044】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末及びこれら高分子の疎水変性化合物<例:一部をステアロキシ変性>及びこれら高分子のカチオン変性化合物等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);ペクチン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子(例えば、マーコート100 (Merquat100)米国メルク社製);ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドの共重合体型カチオン性ポリマー(例えば、マーコート550(Merquat 550)米国メルク社製);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー;ケイ酸AlMg(ビーガム)、等が挙げられる。
【0046】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等);トリアジン系紫外線吸収剤(例えば、2-4[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-4[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等)が挙げられる。
【0047】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1- ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0048】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
【0049】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B1、B2、B6、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0050】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0051】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0052】
その他の配合可能成分としては、例えば、リン脂質、レシチン、リゾレシチン、セラミドなどの薬剤、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、1,2−アルカンジオール、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチオゾリンオン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等);芳香族アルコール(ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等)等が挙げられる。
【0053】
また、その他、香料、スクラブ剤なども、安定性を損なわない範囲で適宜配合することができる
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、特に記載のない限り、配合量については全て質量%で示す。
【0055】
まず、本発明のαゲルが水分量の多い製剤中では、存在しないことについて試験結果を交えて述べる。水分が揮発して乾燥する状況を想定して、表1に示す各組成物をステアロイルN-メチルタウリンナトリウムとベヘニルアルコールからなる一般的なαゲルと、ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール(商品名:ニッコールBPS-10):ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸(商品名:エマレックス300DI-S):ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル(商品名:ニッコールBB-10)(6:2:2)のαゲル製剤をそれぞれ75℃で調製した。
なお、表1の組成物中でαゲル成分と記載されている部分の組成を表2に示した。どちらも合計のαゲル有効分は同じ配合量である。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
まず、水を20部含んだO/W乳化製剤をそれぞれ超遠心30,000rpm で12時間実施後、観察した写真を
図5に示した。写真からわかるように、一般的なαゲルはゲル状の部分が分離され、この部分をX線分析したところ、
図6に示したように、長面間隔48nm、副格子間隔0.42nmのαゲル構造であることがわかった。
更に水分量の異なる各試料について示差走査熱量測定(DSC測定)行った結果を
図5に示した。
図7からわかるように一般的なαゲルであるステアロイルN-メチルタウリンナトリウムとベヘニルアルコールからなるαゲルは、どの水分量においてもほぼ一定のゲルの融点と吸熱エンタルピーを有しているが、本発明のαゲル形成用組成物は水分量5部以上では急激にゲル融点も吸熱エンタルピーも変化し、ことに吸熱エンタルピーについては、ほぼ0になっていることがわかり、このことは、超遠心でαゲルが分離できない結果と一致していた。更に、水を2部しか含まない本αゲルのO/W乳化製剤のX線分析結果を
図8に示したが、この水分量の少ない状態では、小角側に17.8nmの面間隔と広角側に0.42nmのαゲル特有の副格子間隔を認めた。
【0059】
αゲル形成用組成物含有O/W乳液の使用感触
本発明にかかるポリオキシエチレン界面活性剤系αゲル形成用組成物(ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸、ポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(10モル)フィトステロール)を含む実施例1のαゲル形成用組成物含有O/W乳液と、一般的な高級アルコール系αゲル(ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、N-ステアロイルメチルタウリンナトリウム)を用いた比較例1のαゲル含有乳液を、それぞれ常法により作製した。なお、αゲルを構成する成分量は同じにし、その他の成分及び成分量は同一とした。
使用テストに関しては、専門パネル6名で実施例1、比較例1を適量、半顔ずつ塗布し、比較例1に対する実施例1の使用感触を各評価項目について5段階で評価した。なお、評価点0を比較例1と同等の使用感触とした。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
結果
結果を
図9に示した。図から明らかなように、本発明にかかるポリオキシエチレン界面活性剤系αゲル形成用組成物含有O/W乳液は、高級アルコール系αゲルを用いた比較例1の乳液に比べて、のびが良く、さっぱりしているにも関わらず、塗布後にしっとり感やハリ感が高いことがわかった。
【0063】
粘度安定性試験
更に、実施例1αゲル形成用組成物含有O/W乳液と比較例1のαゲル含有皮膚外用剤の粘度安定性をそれぞれ比較した。
【0064】
粘度安定性の比較
実施例1と比較例1の試料を0〜50℃の各温度に保存し、経時での粘度を30℃で30分以上保持した後、B型粘度計(ローターNo.2またはNo.3、6rpm、1分)で測定した。その測定値を表5に示す。
【0065】
【表5】
【0066】
表5から明らかなように比較例1と比べて、実施例1の乳液の方が粘度が一定に保たれていることがわかった。これは、比較例1においては、粘度を出しているαゲルの構成成分である高級脂肪族アルコールは油相に、N−ステアロイルメチルタウリンナトリウムは水相に溶かされているため、油相に存在する高級脂肪族アルコールが水相に溶出してN−ステアロイルメチルタウリンナトリウムと徐々に混和して粘度が増加するが、本発明のαゲル形成用組成物の全てが溶解性の似かよったノニオン界面活性剤により構成されているためである。
【0067】
αゲル形成用組成物含有W/O乳液の使用感触
ポリオキシエチレン(6モル)ジステアリン酸とポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテルとポリオキシエチレン(10モル)フィトステロールとポリオキシエチレン(10モル)ベヘニルエーテルを含む実施例1のαゲル形成用組成物含有W/Oクリームと、その他3つの種類の異なるW/Oクリームをそれぞれ常法により作製した。
使用テストに関しては、10名の専門パネルによりそれぞれのW/Oクリームを塗布した際の官能評価を行ない、5段階の評点で評価した平均値を表中に記載した。
【0068】
べたつき感の官能評価の評価基準
べたつき感 非常に強い :1
強い :2
普通 :3
やや弱い :4
弱い :5
【0069】
肌なじみの官能評価の評価基準
肌なじみ 非常に強い :1
強い :2
普通 :3
やや弱い :4
弱い :5
【0070】
【表6】
【0071】
表6から明らかなように本発明のαゲル形成用組成物含有W/Oクリームは他の乳化法のW/Oクリームに比較して、ベタツキ感が少なく、肌なじみが早く感じられることがわかった。
【0072】
保湿(オクル―ジョン)効果試験
更に、実施例1と比較例1〜3のW/Oクリームの肌保湿効果をオクル―ジョン効果として評価した。すなわち、それぞれの処方を5mg/cm2の割合でろ紙上に均一塗布して1日放置した。恒温恒湿室(23℃ 、相対湿度= 45%)中において、25mL容バイアル瓶に5mLの水を入れた後、直ちにバイアルの蓋部に該ろ紙を挟んで固定し、継時で水分蒸発量を測定した。時間当たりの水分蒸発量(減衰重量%)を水分蒸発速度定数(%/時間)と定義した。従って、水分蒸発速度定数(%/時間)が小さいほど、水分を保持する能力が高いことになる。
【0073】
【表7】
【0074】
表7から明らかなように、本発明のαゲル
形成用組成物含有W/Oクリーム(実施処方1)は他の乳化法のW/Oクリーム(比較処方1〜3)に比べて、オクル―ジョン効果が高いことがわかった。
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明について更に説明を行うが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
【表8】
【0077】
*1ジメチルポリシロキサン(信越化学株式会社製、シリコーンKF96−A6T)
【0078】
(製法)
常法により乳化して、上記乳液を得た。得られた乳液は、使用感触がヌメらず、さっぱりしており、粘度安定性が良好であった。
【0079】
【表9】
【0080】
*2メチルフェニルポリシロキサン(信越化学株式会社製、シリコーンKF56)
【0081】
(製法)
常法により乳化して、上記美容液を得た。得られた美容液は、使用感触がヌメらず、さっぱりしており、粘度安定性が良好であった。
【0082】
【表10】
【0083】
(製法)
常法により乳化して、上記乳液を得た。得られた乳液は、使用感触がヌメらず、さっぱりしており、粘度安定性が良好であった。
【0084】
【表11】
【0085】
(製法)
常法により乳化して、上記日焼け止めクリームを得た。得られた日焼け止めクリームは、使用感触がヌメらず、さっぱりしており、粘度安定性が良好であった。
【0086】
【表12】
【0087】
(製法)
常法により乳化して、上記クリームを得た。得られたクリームは、使用感触がヌメらず、さっぱりしており、粘度安定性が良好であった。
【0088】
【表13】
【0089】
(製法)
常法により乳化して、上記日焼け止めクリームを得た。得られた日焼け止めクリームは、使用感触がべたつかず、さっぱりしており、安定性が良好であった。
【0090】
【表14】
【0091】
(製法)
常法により乳化して、上記クリームを得た。得られたクリームは、使用感触がべたつかず、さっぱりしており、安定性が良好であった。
【課題】 本発明の解決すべき課題は、外用剤として用いられた場合には、塗布中さっぱりとしていて、塗布後は皮膚の保湿作用が高く、しかも経時で結晶析出や粘度上昇などのない安定性の高いリップル相含有組成物、αゲル形成用組成物、およびそれを用いたαゲル組成物を提供することにある。