(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
異物が混在した土砂が投入される土砂投入部と、該土砂投入部下に配置された土砂回収部と、前記土砂投入部と前記土砂回収部との間に配置された仕切板部とを備えるとともに、該仕切板部に網状の透過部が形成されてなる分別用籠体を使用し、
クレーン装置によって前記分別用籠体を水中に設置された回転支持体内に筒軸方向を上下に向け、且つ水中に没した状態で設置した後、前記土砂投入部に異物が混在した土砂を投入し、その状態で前記分別用籠体を動力手段により上下に向けた回転軸回りに回転させ、前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記透過部を通して前記分離させた土砂成分を前記土砂回収部に沈降させ、前記土砂投入部に残存する異物と前記土砂回収部の底部に堆積する土砂成分とに分別することを特徴としてなる浚渫土砂の分別方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、浚渫土砂には、木片、ゴミ、ワイヤー、その他の不法投棄物等、それぞれ大きさや比重の異なる異物が含まれ、上述の如き従来の技術では、浚渫土砂を異物と土砂とを十分に分離させることが困難で、その為、上述の如き分別作業とは別に、別途人力等による分別を必要とする場合が生じ、その分の作業時間、作業費用が嵩むと共に、異物の分離効率が低下するおそれがあった。
【0009】
また、トロンメルを使用した分別方法では、筒型篩内に残存した異物の排出や筒型篩より排出された土砂成分の回収が煩雑で手間を要するため、その分の作業時間が嵩み効率が悪いという問題があった。
【0010】
一方、上述の如きジェット水流を用いた方法では、ジェット噴射ノズルの位置調整等が煩雑で、また、場合によっては異物を陸揚げし、陸上にて作業を行う必要が生じることから、作業に多くの時間を要するという問題があった。
【0011】
更に、このようなジェット水流を用いた方法にあっては、作業を水中で行う場合、ジェット水流が異物にこびり付いた泥やシルトを飛散させるとともに、周囲の土砂を巻き上げ、それにより周辺水域に汚濁が生じるおそれがあった。
【0012】
また、水中に設置した分別装置を使用した分別方法では、分離した土砂を水底に沈降させるため、分離した土砂を再利用に供する場合、水底に堆積した土砂を再度浚渫する必要があることから作業の効率性向上が求められている。
【0013】
更に、回収された異物混在土砂又は土砂成分が付着したままの木片等は、陸域では産業廃棄物として扱われ、運搬・処理・再利用を行う上で様々な関係法令に基づく規制を受ける。よって、土砂成分と木片等の異物とは、浚渫作業の段階で分離し、再利用(リサイクル)し易い状態にしてそれぞれ回収することが望ましい。
【0014】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、浚渫土砂を効率よく木片やゴミ等の異物と土砂とに分別することができる浚渫土砂分別装置及び浚渫土砂の分別方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分別するための浚渫土砂分別装置において、水中に設置される回転支持体と、該回転支持体内に筒軸方向を上下に向け、且つ水中に没した配置に
設置され、クレーン装置によって移動及び着脱可能な有底筒状の分別用籠体と、該分別用籠体を上下に向けた回転軸回りに回転させる動力手段とを備え、前記分別用籠体は、異物が混在した土砂が投入される土砂投入部と、該土砂投入部下に配置された土砂回収部と、前記土砂投入部と前記土砂回収部とを隔てるように配置された仕切板部とを備えるとともに、
該仕切板部に網状の透過部が形成され、前記分別用籠体を回転させることにより、前記土砂投入部に投入された浚渫土砂が土砂成分と異物とに分離されるとともに、該分離された土砂成分が前記透過部を通して底側の前記土砂回収部に沈降するようにしたことにある。
【0016】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記分別用籠体の底部に開閉可能な排出扉を備えてなることにある。
【0017】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記土砂回収部内を仕切る一又は複数の仕切板部を備えるとともに、該各仕切板部に網状の透過部を形成し、
前記各仕切板部に形成された各透過部は、下側に配置されたものほど網目が細かく形成されてなることにある。
【0018】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3の構成に加え、
前記仕切板部に開閉可能な排出扉を備えてなることにある。
【0019】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1〜3又は4の構成に加え、前記分別用籠体は、前記土砂投入部の外周面部に網状の透過部を備えてなることにある。
【0020】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項1〜3又は4の構成に加え、前記分別用籠体は、有底筒状の外殻体の上部に外周部及び底部に網状の透過部を有する有底筒状の土砂投入籠を嵌め込むことにより形成され、前記土砂投入籠の底部が
前記仕切板部を形成してなることにある。
【0021】
請求項7に記載の発明の特徴は、請求項1〜5又は6の構成に加え、前記回転支持体の外側にシート状の汚濁防止膜を備えたことにある。
【0022】
請求項8に記載の発明の特徴は、異物が混在した土砂が投入される土砂投入部と、該土砂投入部下に配置された土砂回収部と、前記土砂投入部と前記土砂回収部との間に配置された仕切板部とを備えるとともに、
該仕切板部に網状の透過部が形成されてなる分別用籠体を使用し、
クレーン装置によって前記分別用籠体を水中に設置された回転支持体内に筒軸方向を上下に向け、且つ水中に没した状態で設置した後、前記土砂投入部に異物が混在した土砂を投入し、その状態で前記分別用籠体を動力手段により上下に向けた回転軸回りに回転させ、前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記透過部を通して前記分離させた土砂成分を前記土砂回収部に沈降させ、前記土砂投入部に残存する異物と前記土砂回収部の底部に堆積する土砂成分とに分別することにある。
【0023】
請求項9に記載の発明の特徴は、請求項8の構成に加え、前記土砂回収部内を仕切る一又は複数の仕切板部を備えるとともに、該各仕切板部に網状の透過部を形成し、前
記各仕切板部に形成された各透過部は、下側に配置されたものほど網目が細かく形成されていることにある。
【0024】
請求項10に記載の発明の特徴は、請求項8又は9の構成に加え、前記分別用籠体底部及び
仕切板部にそれぞれ開閉可能な排出扉を備えておき、該排出扉を下側より順次開放することにより、大きさ毎に分別された異物及び土砂成分を小さいものから順に分別用籠体外に排出することにある。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る浚渫土砂分別装置は、上述したように、異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分別するための浚渫土砂分別装置において、水中に設置される回転支持体と、該回転支持体内に筒軸方向を上下に向け、且つ水中に没した配置に
設置され、クレーン装置によって移動及び着脱可能な有底筒状の分別用籠体と、該分別用籠体を上下に向けた回転軸回りに回転させる動力手段とを備え、前記分別用籠体は、異物が混在した土砂が投入される土砂投入部と、該土砂投入部下に配置された土砂回収部と、前記土砂投入部と前記土砂回収部とを隔てるように配置された仕切板部とを備えるとともに、
該仕切板部に網状の透過部が形成され、前記分別用籠体を回転させることにより、前記土砂投入部に投入された浚渫土砂が土砂成分と異物とに分離されるとともに、該分離された土砂成分が前記透過部を通して底側の前記土砂回収部に沈降するようにしたことにより、水中にて効率よく異物混在土砂を土砂成分と木片等の異物とに分別することができ、更に、高い分離効果によって木片等の異物と土砂成分とがそれぞれ再利用可能に分離された状態で回収できるので、関係法令に基づく規制の影響が軽減され、該回収物を資源として再利用(リサイクル)することが容易になる。
【0026】
また、本発明において、前記分別用籠体の底部に開閉可能な排出扉を備えてなることにより、土砂回収部内に分別された土砂成分のみを排出し、分別された状態で回収できる。
【0027】
更に、本発明において、前記土砂回収部内を仕切る一又は複数の仕切板部を備えるとともに、該各仕切板部に網状の透過部を形成し、
前記各仕切板部に形成された各透過部は、下側に配置されたものほど網目が細かく形成されてなることにより、土砂成分を粒径毎に細分化して分別することができる。
【0028】
更にまた、
前記仕切板部に開閉可能な排出扉を備えてなることにより、分別用籠体内に分別された木片等の異物と土砂成分とをそれぞれ独立して排出することができ、分別された状態で容易に回収することができる。
【0029】
また、本発明において、前記分別用籠体は、前記土砂投入部の外周面部に網状の透過部を備えてなることにより、遠心分離効果により異物と土砂成分との分離を図ることができる。
【0030】
また、本発明において、前記分別用籠体は、有底筒状の外殻体の上部に外周部及び底部に網状の透過部を有する有底筒状の土砂投入籠を嵌め込むことにより形成され、前記土砂投入籠の底部が
前記仕切板部を形成してなることにより、分離された土砂成分の分別用籠体外への飛散を抑制し、効率よく土砂回収部に回収することができる。
【0031】
更に本発明において、前記回転支持体の外側にシート状の汚濁防止膜を備えたことにより、分別用籠体外に排出された土砂成分の周辺水域への飛散を防止し、当該水域の汚濁を防止することができる。
【0032】
本発明に係る浚渫土砂の分別方法は、異物が混在した土砂が投入される土砂投入部と、該土砂投入部下に配置された土砂回収部と、前記土砂投入部と前記土砂回収部との間に配置された仕切板部とを備えるとともに、
該仕切板部に網状の透過部が形成されてなる分別用籠体を使用し、
クレーン装置によって前記分別用籠体を水中に設置された回転支持体内に筒軸方向を上下に向け、且つ水中に没した状態で設置した後、前記土砂投入部に異物が混在した土砂を投入し、その状態で前記分別用籠体を動力手段により上下に向けた回転軸回りに回転させ、前記異物が混在した浚渫土砂を土砂成分と異物とに分離しつつ、前記透過部を通して前記分離させた土砂成分を前記土砂回収部に沈降させ、前記土砂投入部に残存する異物と前記土砂回収部の底部に堆積する土砂成分とに分別することにより、分別用籠体の回転により生じる水流及び遠心力による分離効果を利用して異物混在土砂を木片等の異物と土砂成分とに効率よく分離させることができるとともに、木片等の異物と土砂成分とを再利用可能な状態に分別して回収することができる。
【0033】
また、本発明において、前記土砂回収部内を仕切る一又は複数の仕切板部を備えるとともに、該各仕切板部に網状の透過部を形成し、
前記各仕切板部に形成された各透過部は、下側に配置されたものほど網目が細かく形成されていることにより、土砂成分を粒径毎に細分化して分別することができる。
【0034】
更に、本発明において、前記分別用籠体底部及び
仕切板部にそれぞれ開閉可能な排出扉を備えておき、該排出扉を下側より順次開放することにより、大きさ毎に分別された異物及び土砂成分を小さいものから順に分別用籠体外に排出することにより、分別用籠体内に分別された木片等の異物と土砂成分とをそれぞれ容易且つ効率的に回収することができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
次に、本発明に係る浚渫土砂分別装置の実施の態様を
図1〜
図4に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号Aは水底部、符号Bは水面、符号1は浚渫土砂分別装置である。
【0037】
この浚渫土砂分別装置1は、水中に設置された回転支持体2と、回転支持体2内に筒軸方向を上下に向け設置される有底筒状の分別用籠体3と、分別用籠体3を上下に向けた回転軸周りに回転させる動力手段4とを備えている。
【0038】
回転支持体2は、柱状の鋼材を組み立てることにより形成され、矩形枠状の上部フレーム5と、上部フレーム5下に間隔を置いて配置された矩形枠状の下部フレーム6と、上下部両フレーム5,6間を連結する支柱部7,7...とを備え、この回転支持体2内に分別用籠体3が上端を水面B上に突出させた状態であって、水中に没した配置に着脱可能に設置されるようになっている。
【0039】
上部フレーム5には、フローター等の浮体8が固定されており、回転支持体2を水中に浮かべた状態で設置できるようになっている。
【0040】
尚、回転支持体2は、作業台船9に支持させることにより水中に浮かべた状態で設置するようにしてもよく、その他の浮力調整手段を用いて設置するようにしてもよい。
【0041】
また、この回転支持体2の外側には、透水性のシート材からなる汚濁防止膜10が下縁を水底に着底させた状態に備えられ、回転支持体2の外周を全体に亘って覆っている。
【0042】
下部フレーム6は、対角線配置に鋼材を配置してなる枠底部11を備え、この枠底部11上に、動力手段4を構成する駆動モータが回転軸12を上向きにして設置されている。
【0043】
また、回転支持体2には、分別用籠体3を回転可能、且つ安定した状態で支持する支持構造部13が備えられている。
【0044】
支持構造部13は、例えば、複数のコロ等の回転体が枠底部11上に放射状に配置されてなるスラストコロ軸受構造を備え、複数の回転体に分別用籠体3の下面を支持させ、分別用籠体3が回転支持体2に対して回転可能、且つ、安定した状態で支持されるようになっている。尚、支持部構造13は、上記の構造に限定されず、分別用籠体3が回転支持体2に対して回転可能、且つ、安定した状態で支持されるものであればよい。
【0045】
駆動モータ4は、
図3に示すように、回転軸12の外側面より半径方向外側に向けて突出した動力伝達キー14,14を備え、この伝達キー14,14付きの回転軸12が分別用籠体3の底部に形成された連結部15に接続されることにより、回転軸12を介して駆動モータ4による回転力を分別用籠体3に伝達できるようになっている。
【0046】
分別用籠体3は、
図4に示すように、異物20が混在した浚渫土砂(以下、異物混在土砂21という)が投入される土砂投入部22と、土砂投入部22下に配置された土砂回収部23と、土砂投入部22と土砂回収部23との間に配置された
仕切板部24とを備え、
仕切板部24を仕切りにして筒軸方向上下に土砂投入部22と土砂回収部23とを配した二層構造になっている。
【0047】
土砂投入部22は、上下に開口した筒状に形成され、外周部に網状部材からなる透過部25を備え、透過部25を通して土砂成分26が外部に透過できるようになっている。
【0048】
また、土砂投入部22の底部には、当該底部を閉鎖するように
仕切板部24が配置され、
仕切板部24が土砂投入部22と土砂回収部23とを隔てるようになっている。
【0049】
仕切板部24には、土砂成分26が透過可能な網状の透過部27を備え、この透過部27を通して土砂投入部22内に投入された異物混在土砂21の内土砂成分26のみが下層の土砂回収部23に落下し、木片等の異物20は土砂投入部22内に残存するようになっている。
【0050】
また、この
仕切板部24は、土砂投入部22の下端内周面部にヒンジ28aを介して回動可能に支持された半割円弧状の一対の扉部材28,28により構成され、両扉部材28,28により
仕切板部24に開閉可能な排出扉を備えている。
【0051】
各扉部材28,28は、枠状に形成され、当該枠内部に網状部材が固定されて透過部27が形成されている。
【0052】
尚、両扉部材28,28は、図示しないワイヤー等からなる開閉手段により遠隔操作によって回動するようになっている。
【0053】
土砂投入部22外周の透過部25及び
仕切板部24の透過部27に使用される網状部材は、木皮等の異物20が透過不能であって、且つ、土砂成分26のみが透過できるように網目が形成されている。
【0054】
土砂回収部23は、鋼板材により円筒状等の筒状に形成された外壁部29と、外壁部29の下端開口を閉鎖する底部30とを備えた有底筒状に形成され、外壁部29の上端が土砂投入部22の下端に接合されている。
【0055】
底部30は、外壁部29の下端にヒンジ31aを介して回動可能に支持された鋼板材からなる半割円弧状の一対の扉部材31,31をもって構成され、両扉部材31,31により底部30に開閉可能な排出扉が備えられている。尚、両扉部材31,31は、図示しないワイヤー等からなる開閉手段により遠隔操作によって回動するようになっている。
【0056】
そして、土砂回収部23は、底部30が閉鎖された状態で内部に土砂成分26を貯留でき、両扉部材31,31を回動させ、底部(排出扉)31を解放することにより内部に貯留された土砂成分26を外部に排出できるようになっている。
【0057】
一方の扉部材27には、互いに突き合わされる側の端縁中央部に連結部15が一体に形成され、連結部15が底部30の筒軸中心位置に配置されるようになっている。
【0058】
連結部15は、下面に開口した軸挿入穴32及びキー溝33,33が形成され、この軸挿入穴32及びキー溝33,33にそれぞれ駆動モータ4の回転軸12及び動力伝達キー14,14が挿入されるようになっている。
【0059】
次に、上述の如き浚渫土砂分別装置1を使用した浚渫土砂の分別方法について
図5〜
図9に基づき説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0060】
まず、
図5に示すように、回転支持体2を所望の水域に曳航して回転支持体2を当該水域の水中に設置し、回転支持体2の外側をシート状の汚濁防止膜10で覆う。その際、シート状の汚濁防止膜10は、その下縁を水底部Aに着底させた状態とし、土砂成分26が汚濁防止膜10外に飛散するのを防止する。
【0061】
次に、台船等により分別用籠体3を当該水域まで運搬し、しかる後、分別用籠体3を運搬用の台船よりクレーン装置40を使用して回転支持体2内に吊り下ろし、駆動モータ4の回転軸12を連結部15に接続させるとともに、支持構造部13に分別用籠体3を回転可能に支持させ、分別用籠体3を回転支持体2内に筒軸方向を上下に向け、且つ上端部を水面上に突出させた状態で水中に没した配置に設置する。尚、図中符号40aは、クレーン装置40のジブより繰り出されたワイヤーの先端に取り付けられた吊り持ち用ワイヤーである。
【0062】
そして、回転支持体2及び分別用籠体3の設置が完了したら、土運船(図示せず)を回転支持体2近傍に移動させ、
図5に示すように、バックホウ42等を使用して土運船より異物混在土砂21を上面開口より土砂投入部22に投入する。
【0063】
投入された異物混在土砂21は、土砂投入部22内を沈降して
仕切板部24上に堆積するとともに、分離された一部の比重の大きな土砂成分26のみが透過部27を通して土砂回収部23に透過し、土砂回収部23内で沈降して土砂回収部23内に貯留される。
【0064】
次に、
図6に示すように、動力手段(駆動モータ)4を作動させて筒中心軸回りに分別用籠体3を回転させる。
【0065】
その際、分別用籠体3には、回転により土砂投入部22内に旋回方向の水流が生じ、その水流により土砂投入部22内の異物混在土砂21が攪拌され、それにより木片等の異物20と土砂成分26とに分離される。
【0066】
また、水流による分離効果に加え、分別用籠体3の回転による遠心分離効果により土砂投入部22内の土砂成分26と木片等の異物20との分離が促進され、更には、木片等の異物20が上述の水流及び遠心力に運ばれて土砂投入部22を構成する網状部材に衝突し、その衝撃により異物20に付着した土砂成分26が分離される。
【0067】
分離された土砂成分26は、比重が大きく且つ粒径が小さい為、
仕切板部24の透過部27を通して土砂回収部23内に沈降して土砂回収部23底部に堆積する。
【0068】
また、その際、土砂成分26の一部は、遠心力により土砂投入部22外周壁部の透過部25を通して分別用籠体3外に排出され、その後、沈降して水底部Aに堆積する。
【0069】
一方、木片等の異物20は、土砂投入部22の外周面部又は
仕切板部24に形成された透過部25,27を透過することができずに土砂投入部22内に残存する。
【0070】
これにより、異物混在土砂21が木片等の異物20と土砂成分26とに分離され、分別用籠体3の上下層、即ち、木片等の異物20が土砂投入部22に、土砂成分26が土砂回収部23にそれぞれ分別される。
【0071】
次に、一定時間分別用籠体3を回転させ、異物混在土砂21の分離作業が完了したら、動力手段4を停止し、その後、分別用籠体3をクレーン装置40により吊り上げ、土砂回収用の台船43上に移動させる。
【0072】
そして、その位置で、
図7に示すように、扉部材31,31を回動動作させて土砂回収部23の底部(排出扉)31を開き、土砂成分26を土砂回収用の台船43上に排出する。その際、
仕切板部24を閉じたままの状態とすることにより土砂回収部23内に貯留された土砂成分26のみが台船43上に排出される。
【0073】
次に、
図8に示すように、クレーン装置40により分別用籠体3を異物回収用の台船44上に移動させ、その位置で、扉部材28,28を回動動作させて土砂回収部23の底部30及び
仕切板部24を開き、木片等の異物20を異物回収用の台船44上に排出する。これにより、土砂成分26と木片等の異物20とがそれぞれ再利用可能な状態に分別された状態で回収される。
【0074】
尚、分別用籠体は、上述の実施例に示す構造に限定されず、
図9に示すように、土砂回収部23内を仕切る一又は複数の
仕切板部50を備え、土砂回収部23内を多層構造とした分別用籠体51であってもよい。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0075】
仕切板部50は、土砂回収部22の外壁部の内周面部に回動可能に支持された半割円弧状の一対の扉部材52,52を備え、両扉部材52,52により
仕切板部50に開閉可能な排出扉を形成している。
【0076】
扉部材50,50は、枠状に形成され、当該枠内部に網状部材が固定されて透過部55が形成されている。尚、両扉部材52,52は、図示しないワイヤー等からなる開閉手段により遠隔操作により回動できるようになっている。
【0077】
各仕切板部24,50の透過部27,55を構成する網状部材は、下側に配置された
仕切板部50のものほど網目が細かく形成され、
上側仕切板部24の透過部27を構成する網状部材は、異物20が透過不可能であって土砂成分26全体が透過可能な程度の網目とし、
下側仕切板部50の透過部55を構成する網状部材は、礫分等の粒径の大きな土砂成分26bが透過不可能であって、砂等の粒径の小さな土砂成分26aが透過可能な程度の網目としている。
【0078】
この分別用籠体51の土砂投入部22に異物混在土砂21を投入し、その状態で分別用籠体51を回転させると、上述の実施例と同様に、回転により生じる水流の分離効果及び遠心分離効果により、土砂投入部22内の異物混在土砂21が木片等の異物20と土砂成分26とに分離される。
【0079】
そして、分離された土砂成分26は、
上側仕切板部24の透過部27を通して土砂成分26全体が土砂回収部23側に沈降し、土砂投入部22内には木片等の異物20のみが残存する。
【0080】
一方、分離された土砂成分26は、砂等の粒径の小さな土砂成分26aのみが
下側仕切板部50の透過部55を通して土砂回収部23の底部側に沈降し、礫分等の粒径の大きな土砂成分26bは、
下側仕切板部50の透過部55に阻まれて、
仕切板部50により隔てられた土砂回収部23の上層に残存するようになっている。
【0081】
これにより、分別用籠体51には、最上層の土砂投入部22に木片等の異物20が、土砂回収部23の上層に礫分等の粒径の大きな土砂成分26bが、最下層の土砂回収部23底部に砂等の粒径の小さな土砂成分26aがそれぞれ粒径等の大きさにより分別される。
【0082】
次に、この分別用籠体51内に大きさ毎に分別された異物20、礫等の粒径の大きな土砂成分26b及び砂等の粒径の小さな土砂成分26aを回収するには、動力手段4を停止させた後、クレーン装置40により分別用籠体51を吊り上げて砂回収用の台船上に移動させ、その位置で分別用籠体51底部の排出扉を解放し、砂等の粒径の小さな土砂成分26aを砂回収用の台船上に排出する。その際、
両仕切板部24の排出扉は閉じたままの状態とすることにより土砂回収部23下層に貯留された土砂成分26aのみが台船上に排出される。
【0083】
次に、クレーン装置40により礫分回収用の台船上に分別用籠体51を移動させ、その
位置で土砂回収部23を仕切る
仕切板部50の排出扉を解放し、礫等の粒径の大きな土砂成分26bを礫分回収用の台船上に排出する。その際、
仕切板部24の排出扉を閉じたままの状態とすることにより土砂回収部23上層に貯留された土砂成分26のみが台船上に排出される。
【0084】
最後に、クレーン装置40により異物回収用の台船上に分別用籠体51を移動させ、その位置で
仕切板部24の排出扉を解放し、木片等の異物20を異物回収用の台船上に排出する。
【0085】
このように、分別用籠体51底部及び
各仕切板部24,50にそれぞれ開閉可能な排出扉を備えておき、排出扉を下側より順次開放することで、大きさ毎に分別された異物20及び土砂成分26a,26bを小さいものから順26a,26b,20に分別用籠体51外に排出でき、細分化して回収することができる。
【0086】
また、分別用籠体60は、
図10に示すように、有底筒状の外殻体61の上部に底部及び外周面部に網状の透過部を有する有底筒状の土砂投入籠62を嵌め込むことにより形成され、土砂投入籠62の底面部を
仕切板部63として、土砂投入籠62を含む上半部が土砂投入部64を、外殻体61の下半部が土砂回収部65をそれぞれ構成するようにしたものであってもよい。
【0087】
土砂投入籠62は、上端に土砂投入口が開口した有底の円筒状に形成され、その周壁部及び底面部に網状部材からなる透過部を備え、籠の底面部が
仕切板部63を構成している。
【0088】
この土砂投入籠62は、上下に開口した円筒状の籠本体66と、籠本体66の底面部にヒンジ67aを介して回動可能に支持された一対の扉部材67,67とを備え、両扉部材67,67を回動動作させることにより土砂投入籠62の底面部、即ち、
仕切板部63が開閉できるようになっている。
【0089】
尚、各扉部材67,67は、枠状に形成され、当該枠内に網状部材を固定することにより土砂投入籠62の底面部に透過部68が形成されている。
【0090】
外殻体61は、鋼板材からなる円筒状の本体部69と、本体部69の下端にヒンジ70aを介して回動可能に支持された鋼板材からなる一対の扉部材70,70とを備え、有底筒状に形成されている。
【0091】
両扉部材70,70は、ワイヤー等からなる図示しない開閉手段によって遠隔操作で開閉動作し、両扉部材70,70により外殻体61、即ち、土砂回収部23の底部に開閉可能な排出扉が形成されている。尚、図中符号15は連結部であって、外殻体61の底部に駆動モータ4の回転軸12が連結されるようになっている。
【0092】
そして、土砂回収部23は、外殻体61の底部が閉鎖された状態で内部に土砂成分26を貯留でき、両扉部材70,70を回動させ、外殻体61の底部(排出扉)を解放することにより内部に貯留された土砂成分26を外部に排出できるようになっている。
【0093】
また、本体部69の内周面部には、固定部材71,71...が突設され、この固定部材71,71...を介して土砂投入籠62が外殻体61の上部に嵌め込まれた状態で固定されている。
【0094】
尚、この分別用籠体60は、土砂投入籠62をその上端部が外殻体61の上端縁より突出するように配置し、土砂投入籠62の上端部が水面B上に突出し、外殻体61の上端縁が水面B下に位置するように回転支持体2に設置される。
【0095】
このように構成された分別用籠体60を使用することにより、遠心分離作用によって土砂投入籠62外に排出された土砂成分26も外殻体61に阻まれて外部に放出されず、外殻体61内で沈降してその底部に堆積するようになっており、効率よく土砂成分26を回収できる。