(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136070
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ガラスフィルムリボン製造方法及びガラスフィルムリボン製造装置
(51)【国際特許分類】
C03B 33/03 20060101AFI20170522BHJP
B28D 5/00 20060101ALI20170522BHJP
B65H 23/025 20060101ALI20170522BHJP
B65H 23/26 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
C03B33/03
B28D5/00 Z
B65H23/025
B65H23/26
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-176819(P2013-176819)
(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公開番号】特開2015-44711(P2015-44711A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】森 浩一
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 浩
(72)【発明者】
【氏名】石田 直也
(72)【発明者】
【氏名】森 弘樹
【審査官】
岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−106898(JP,A)
【文献】
特開2012−096936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/00−35/14
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しつつ、前記横搬送部の搬送経路上に配置された割断部で、前記ガラスフィルムリボンを、幅方向の少なくとも一端側の不要部と、その幅方向中央側の有効部との境界線をなす割断予定線に沿って割断するガラスフィルムリボン製造方法において、
前記割断部で前記ガラスフィルムリボンが割断された後に、前記不要部が、前記有効部との間に幅方向隙間を有する不要部支持部によって支持されることを特徴とするガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項2】
前記不要部は耳部を有し、前記不要部支持部は、前記耳部が幅方向外側に突出した状態で前記不要部を支持することを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項3】
前記不要部支持部は、前記不要部の幅方向外側寄り位置を支持することを特徴とする請求項1または2に記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項4】
前記不要部支持部の幅方向長さは、前記幅方向隙間の幅方向長さの0.1〜2.0倍であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項5】
前記有効部は、幅方向両端部がそれぞれ幅方向外側に突出した状態で有効部支持部によって支持されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項6】
前記不要部支持部による前記不要部の搬送軌道と、前記有効部支持部による前記有効部の搬送軌道とが、搬送方向下流側に移行するに連れて上下方向に漸次拡開していることを特徴とする請求項5に記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項7】
前記不要部支持部と前記有効部支持部とは、前記横搬送部の搬送経路に沿って定置に設置された定板の搬送方向下流端に突設されていることを特徴とする請求項5または6に記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項8】
前記定板、前記不要部支持部及び前記有効部支持部と、前記ガラスフィルムリボンとの間に、可撓性を有する搬送用シートリボンを介在させ、前記搬送用シートリボンの下面が前記定板、前記不要部支持部及び前記有効部支持部と摺動しながら移動することによって、前記搬送用シートリボンが前記ガラスフィルムリボンを搬送することを特徴とする請求項7に記載のガラスフィルムリボン製造方法。
【請求項9】
ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しつつ、前記横搬送部の搬送経路上に配置された割断部で、前記ガラスフィルムリボンを、幅方向の少なくとも一端側の不要部と、その幅方向中央側の有効部との境界線をなす割断予定線に沿って割断するように構成したガラスフィルムリボン製造装置において、
前記割断部で前記ガラスフィルムリボンが割断された後に、前記不要部が、前記有効部との間に幅方向隙間を有する不要部支持部によって支持されるように構成したことを特徴とするガラスフィルムリボン製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しながら、横搬送部の搬送経路上に配置された割断部でガラスフィルムリボンを有効部と不要部との境界線をなす割断予定線に沿って割断した後に、不要部を適正な状態で支持して搬送するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、及び有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)に用いられる板ガラス、有機EL照明に用いられる板ガラス、タッチパネルの構成要素である強化ガラス等の製造に用いられるガラス板、更には太陽電池のパネル等に用いられるガラス板は、薄肉化が推進されているのが実情である。
【0003】
このような実情に対処するため、近年においては、これらのガラス板を、板厚が300μm以下或いは200μm以下のガラスフィルムとして使用できるように開発を進めているのが現状である。この種のガラスフィルムを製造するに際しては、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウンドロー法、及びリドロー法等に代表されるダウンドロー法、さらにはフロート法が一例として使用されている。
【0004】
これらの手法では、溶融ガラスを材料として、成形部でガラスフィルムリボンを成形して引き出した後、このガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しながら、その搬送されているガラスフィルムリボンの耳部を含む不要部を割断除去して、ガラスロールとすることが行われている。詳述すると、横搬送部で横方向に搬送されているガラスフィルムリボンから、その幅方向両端部に存す厚肉の耳部を含む不要部を割断部で割断除去した後、有効部を巻き取ってガラスロールとすることが行われている(ダウンドロー法については特許文献1参照)。
【0005】
また、これ以外にも、耳部を含む不要部を割断除去したガラスフィルムリボンを巻き取ってガラスロールとしておき、Roll to Roll工程で、そのガラスロールからガラスフィルムリボンを取り出しながら他方のガラスロールで巻き取りつつ横搬送部で横方向に搬送することが行われる場合がある。
【0006】
この種のRoll to Roll工程においても、ガラスフィルムリボンが横搬送部で横方向に搬送されている間に、ガラスフィルムリボンの幅をリサイズするために、ガラスフィルムリボンの幅方向両端部もしくは一端部に存する不要部を割断部で割断除去した後、有効部を巻き取ってガラスロールとすることが行われる。
【0007】
そして、上述の割断部におけるガラスフィルムの割断を行うためには、一例として、レーザー割断法が広く採用されるに至っており、このレーザー割断法は、熱応力を利用して割断を遂行するものである。ここで、上述の二種のガラスロールの製造方法について考察すれば、レーザー割断法による割断部の位置は、前者の場合には、ガラスフィルムリボンが成形部から引き出された後(ダウンドロー法ではさらに方向変換部を経た後)の横搬送部とされ、また後者の場合には、一方のガラスロールからガラスフィルムリボンを取り出しながら他方のガラスロールで巻き取りつつ横方向に搬送する横搬送部とされているのが通例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−211074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述の横搬送部でガラスフィルムリボンが割断された後においては、有効部がガラスロールの巻き取り部に送られると共に、不要部が廃棄処理部などに送られることになる。その場合に、ガラスフィルムリボンの割断直後においては、割断位置に不当な応力が作用することを阻止する必要があり、そのためには、不要部を、不要部支持部によって下方から支持することが好ましい。
【0010】
このような実情の下において、不要部の幅方向外側の端部に、有効部よりも厚肉の耳部が形成されている場合には、不要部を、不要部支持部で下方から支持して廃棄処理部などに向かって送ろうとすれば、以下に示すような問題が生じる。
【0011】
すなわち、耳部は、送り方向に凸部と凹部とが繰り返し連続するように波打った状態となっているため、ガラスフィルムリボンの割断前においては、耳部の幅方向内側にしわが発生している。そして、当該ガラスフィルムリボンの割断後においては、耳部を含めてしわの発生していた部位が不要部となる。このような不要部の全域を、不要部支持部によって下方から支持した場合には、不要部が、耳部及びその幅方向内側周辺のいたるところで不要部支持部から浮いた状態となる。
【0012】
このような支持状態で不要部に送りが付与されると、不要部における耳部の幅方向内側に振動が生じ、これに起因して不要部の割断端面と、有効部の割断端面とが、頻繁に擦れ合うという事態を招く。その結果、有効部(製品部)の割断端面にクラック等が発生したり、このクラック等を起点として破損が生じたりして、有効部の品位低下のみならず、生産性の低下をも引き起こすことになる。
【0013】
また、不要部に耳部が存在しない場合であっても、不要部と有効部との割断端面同士が擦れ合うことを防止し、不要部と有効部とをスムーズに分離することが求められる。
【0014】
本発明は、上記実情に対処するため、ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しながら不要部と有効部とに割断した後、不要部の支持を適切化させて、当該不要部と有効部との割断端面同士の干渉を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために創案された本発明に係る方法は、ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しつつ、前記横搬送部の搬送経路上に配置された割断部で、前記ガラスフィルムリボンを、幅方向の少なくとも一端側の不要部と、その幅方向中央側の有効部との境界線をなす割断予定線に沿って割断するガラスフィルムリボン製造方法において、前記割断部で前記ガラスフィルムリボンが割断された後に、前記不要部が、前記有効部との間に幅方向隙間を有する不要部支持部によって支持されることに特徴づけられる。ここで、上記の「横方向」とは、水平方向、または水平方向に対して上下にそれぞれ45°未満の範囲内で傾斜した方向(好ましくは、30°未満の範囲内で傾斜した方向)を意味する(以下、同様)。
【0016】
このような構成によれば、横搬送部で横方向に搬送されているガラスフィルムリボンが有効部と不要部とに割断された後は、有効部との間に幅方向隙間を有する不要部支持部によって不要部が支持されて送られることになる。すなわち、不要部が不要部支持部によって支持された状態の下では、不要部における少なくとも割断側の端部は、幅方向隙間の存在によって支持されない状態となる。そのため、不要部の割断側の端部は、自重によって垂れ下がる状態となることから、不要部の割断端面と、有効部の割断端面とは、上下に離反した状態となる。その結果、不要部と有効部との割断端面同士が擦れ合うという事態が回避され、有効部(製品部)の割断端面の品位向上、ひいては生産性の向上が図られる。なお、不要部は、不要部支持部によって面接触支持されていることが好ましい。
【0017】
このような構成において、前記不要部は耳部を有し、前記不要部支持部は、前記耳部が幅方向外側に突出した状態で前記不要部を支持するようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、不要部における耳部が、不要部支持部によって支持されない状態となるため、波打った形態となっている耳部を除外してその幅方向内側部分が不要部支持部によって支持される。これにより、割断前にしわの発生していた部位が不要部支持部によって支持されて、安定した支持状態となるため、不要部に送りが付与されても、耳部の幅方向内側に振動等が生じる余地がなくなる。しかも、不要部が不要部支持部によって支持された状態の下では、重量の大きな耳部が自重によって垂れ下がろうとするため、不要部は全体的に有効部から離反しようとする。以上の結果、有効部と不要部との割断端面同士が頻繁に擦れ合う事態の発生確率が、確実に低減する。
【0019】
以上の構成において、前記不要部支持部は、前記不要部の幅方向外側寄り位置を支持するようにしてもよい。
【0020】
このようにすれば、不要部のうち、不要部支持部によって支持されない幅方向内側部分の長さを長尺にできるため、不要部の割断側の端部における自重による垂れ下がりを、より十分なものとすることができる。その結果、有効部と不要部との割断端面相互間の離間寸法をより大きくして、双方の割断端面同士の擦れ合いをより確実に阻止することができる。
【0021】
以上の構成において、前記不要部支持部の幅方向長さは、前記幅方向隙間の幅方向長さの0.1〜2.0倍であることが好ましい。
【0022】
すなわち、上記数値が0.1倍未満である場合には、不要部支持部の幅方向長さが過度に短くなるため、不要部の支持そのものが不安定となるおそれがある。これに対して、上記の数値が2.0倍を超えると、幅方向隙間が不十分となって、不要部の割断側の端部の垂れ下がりが不足するおそれがある。従って、当該数値が上記の範囲内にあれば、これらの不具合が回避され得る。以上の観点から、上記の数値は、0.2〜0.5倍であることがより好ましく、0.25〜0.3倍であることが更に好ましい。
【0023】
以上の構成において、前記有効部は、幅方向両端部がそれぞれ幅方向外側に突出した状態で有効部支持部によって支持されていてもよい。
【0024】
このようにすれば、前記有効部は、横搬送部が本来的に有している搬送力によってガラスロールの巻き取り部側に送られるが、その場合に、ガラスフィルムリボンの割断直後においては、前記有効部が、有効部支持部によって支持されることになる。そして、有効部支持部は、有効部をその幅方向両端部がそれぞれ幅方向外側に突出した状態で支持するものであるため、有効部は有効部支持部によって支持されているにも拘わらず、有効部の割断端面の端縁は有効部支持部に接していない状態となる。その結果、有効部の割断端面は、有効部支持部からの外力の影響を直接的に受け得なくなって、有効部の割断端面には、その端縁と有効部支持部との摺動に起因するクラック等が発生しなくなり、当該割断端面が効果的に保護される。なお、この場合における有効部の有効部支持部からの突出寸法は、有効部の幅方向両端部に自重による垂れ下がりが生じない程度まで短くすることが好ましい。なお、有効部は、有効部支持部によって面接触支持されていることが好ましい。
【0025】
この場合、前記不要部支持部による前記不要部の搬送軌道と、前記有効部支持部による前記有効部の搬送軌道とは、搬送方向下流側に移行するに連れて上下方向に漸次拡開していることが好ましい。
【0026】
このようにすれば、有効部と不要部との分離が、より一層促進されるばかりでなく、不要部の最終的な廃棄処理等を行う上で有利となる。
【0027】
以上の構成において、前記不要部支持部と前記有効部支持部とは、前記横搬送部の搬送経路に沿って定置に設置された定板の搬送方向下流端に突設することができる。
【0028】
このようにすれば、定板の上でガラスフィルムリボンを搬送しつつ割断した後、有効部を有効部支持部によって支持させて送ると共に、不要部を不要部支持部によって支持させて送ることが可能となる。その結果、ガラスフィルムリボンの割断から有効部及び不要部の送りに至る一連の動作が円滑に行われる。
【0029】
この場合、前記定板、前記不要部支持部及び前記有効部支持部と、前記ガラスフィルムリボンとの間に、可撓性を有する搬送用シートリボンを介在させ、前記搬送用シートリボンの下面が前記定板、前記不要部支持部及び前記有効部支持部と摺動しながら移動することによって、前記搬送用シートリボンが前記ガラスフィルムリボンを搬送するようにしてもよい。
【0030】
このようにすれば、ガラスフィルムリボン(割断後の不要部及び有効部を含む)と、定板、不要部支持部及び有効部支持部とが、接触して摺動しなくなるため、ガラスフィルムリボンに傷が付いたり或いは破損したり等の不具合が回避されると共に、ガラスフィルムリボンの搬送が円滑に行われ得る。
【0031】
一方、上記課題を解決するために創案された本発明に係る装置は、ガラスフィルムリボンを横搬送部で横方向に搬送しつつ、前記横搬送部の搬送経路上に配置された割断部で、前記ガラスフィルムリボンを、幅方向の少なくとも一端側の不要部と、その幅方向中央側の有効部との境界線をなす割断予定線に沿って割断するように構成したガラスフィルムリボン製造装置において、前記割断部で前記ガラスフィルムリボンが割断された後に、前記不要部が、前記有効部との間に幅方向隙間を有する不要部支持部によって支持されるように構成したことに特徴づけられる。
【0032】
このような構成を備えた装置によれば、冒頭で述べた本発明に係る方法と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように本発明によれば、ガラスフィルムリボンが横搬送部で横方向に搬送されつつ不要部と有効部とに割断された後、不要部の支持が適切化されて、当該不要部と有効部との割断端面同士の干渉が可及的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大縦断側面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大平面図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大側面図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大平面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大側面図である。
【
図7】
図6のI−I線に従って切断した拡大縦断面図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置を使用して製作されたガラスロールの概略斜視図である。
【
図9】本発明の第二実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大側面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部を示す拡大縦断面図である。
【
図11】本発明の第三実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部構成を示す拡大縦断面図である。
【
図12】本発明の第四実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部構成を示す拡大縦断面図である。
【
図13】本発明の第五実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図14】本発明の第六実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の全体構成を示す概略側面図である。
【
図15】
図15(a)は、本発明の第六実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部の一例を示す拡大縦断面図であり、
図15(b)は、本発明の第六実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置の要部の他の例を示す拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態に係るガラスフィルムリボン製造装置(以下、単に製造装置という)及びガラスフィルムリボン製造方法について図面を参照しつつ説明する。
【0036】
図1は、本発明の第一実施形態に係る製造装置1の全体構成を模式的に示す概略側面図である。同図に示すように、この製造装置1は、主たる構成要素として、ガラスフィルムリボンGを成形する成形部2と、ガラスフィルムリボンGの進行方向を縦方向下方から横方向に変換する方向変換部3と、方向変換後にガラスフィルムリボンGを横方向に搬送する横搬送部4と、横搬送部4で横方向に搬送しているガラスフィルムリボンGの不要部G1を割断する割断部5と、不要部G1を除去して得られた有効部G2をロール状に巻き取ってガラスロールRを製作する巻き取り部6とを有する。なお、ガラスフィルムリボンGの有効部G2の厚みは、300μm以下もしくは200μm以下または100μm以下であることが好ましい。
【0037】
成形部2は、上端部にオーバーフロー溝7aが形成された断面が略楔形の成形体7と、成形体7の直下に配置されてリボン状の溶融ガラスGbを表裏両側から挟む冷却ローラ8と、冷却ローラ8の直下に配備されて上下方向複数段に配設されたアニーラローラ9を有するアニーラ10とから構成されている。詳述すると、成形部2の作用に着目した場合の主成形部2aは、オーバーフロー溝7aの上方から溢流した溶融ガラスGaを、両側面に沿ってそれぞれ流下させ、下端で合流させてリボン状の溶融ガラスGbとする成形体7と、リボン状の溶融ガラスGbの幅方向収縮を規制して所定幅のガラスフィルムリボンGとする冷却ローラ8とから構成される。そして、この主成形部2aの下方に、ガラスフィルムリボンGに対して除歪処理を施すためのアニーラ10を配備することにより、上記の成形部2が構成されている。
【0038】
アニーラ10の下方には、ガラスフィルムリボンGを表裏両側から挟持する引張りローラ11が配設され、引張りローラ11と冷却ローラ8との間、または引張りローラ11と何れか一箇所のアニーラローラ9との間で、ガラスフィルムリボンGを薄肉にすることを助長するための張力が付与されている。なお、この引張りローラ11は、ガラスフィルムリボンGの厚みが大きい場合には、ガラスフィルムリボンGの自重による下方への延びを防止する支持ローラとしての役割を果たす。
【0039】
引張りローラ11の下方には、ガラスフィルムリボンGの進行方向を縦方向下方から横方向に変換する方向変換部3が備えられている。この方向変換部3には、ガラスフィルムリボンGの裏面側に、ガラスフィルムリボンGの方向変換を案内するガイド部材としての複数のガイドローラ12が湾曲状に配列され、これらのガイドローラ12は、ガラスフィルムリボンGの裏面に接触している。なお、これらのガイドローラ12は、ガラスフィルムリボンGの裏面に対して気流等を噴射することによってガラスフィルムリボンGを非接触で支持するものであってもよい。また、ガイド部材としては、湾曲状に形成されたベルトコンベア状の形態をなす一個のものであってもよく、あるいは、方向変換部3にガイド部材を配設せずに、ガラスフィルムリボンGが裏面側からの外力の影響を受けることなく方向変換するようにしてもよい。また、複数のガイドローラ12のうち一部のガイドローラ12が、ガラスフィルムリボンGの裏面と接触していてもよい。さらに、ガイドローラ12は、ガラスフィルムリボンGの一部(例えば幅方向両端部)のみを支持していてもよい。
【0040】
方向変換部3の搬送方向下流側には、ガラスフィルムリボンGを横方向に搬送する横搬送部4が備えられている。この横搬送部4には、搬送方向に直列に3機のベルトコンベア13a、13b、13cが配列されている。詳述すると、横搬送部4には、常時停止している停止コンベア13bと、停止コンベア13bの上流側であって方向変換部3に至るまでの位置に配列され且つ旋回駆動する第一駆動コンベア13aと、停止コンベア13bの下流側であって巻き取り部6に至るまでの位置に配列され且つ旋回駆動する第二駆動コンベア13cとが配列されている。したがって、方向変換部3と巻き取り部6との間においては、上流側から順に、搬送手段としての第一駆動コンベア13aと、定置に駆動不能に設置された停止コンベア13bと、搬送手段としての第二駆動コンベア13cとが、それぞれ隣接して配列されている。なお、本実施形態では、横搬送部4が、ガラスフィルムリボンG(割断後の有効部G2を含む)を水平方向に搬送するように構成されているが、水平方向に対して上下にそれぞれ45°未満の範囲内(好ましくは、30°未満の範囲内)で傾斜していてもよい。
【0041】
横搬送部4における停止コンベア13bの上部には、ガラスフィルムリボンGを割断位置周辺で案内する定板14と、ガラスフィルムリボンGを割断した後(直後)に、不要部G1と有効部G2とをそれぞれ支持して案内する不要部支持部15と有効部支持部16とが定置に設置されている。これらの定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と、ガラスフィルムリボンG(割断後の不要部G1及び有効部G2を含む)との間には、発泡樹脂からなる伸縮性を有する搬送用シートリボンS1が介在されている。この搬送用シートリボンS1は、その下面が、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16に摺動可能とされると共に、その上面が、ガラスフィルムリボンG(G1、G2)を搬送支持する搬送支持面とされている。さらに、停止コンベア13bの上部における搬送経路中央部の上方には、ガラスフィルムリボンGを割断する割断部5が配備されている。詳述すると、割断部5には、ガラスフィルムリボンGを、幅方向両端側の厚肉の耳部を含む不要部G1と、その幅方向中央側の薄肉の有効部G2との境界線(
図3に示す長手方向に延びる割断予定線A)に沿って割断を行う熱応力割断装置5aが配備されている。この熱応力割断装置5aは、搬送されているガラスフィルムリボンGの割断予定線Aに対して局部加熱を行うレーザー光照射手段5aaと、レーザー光照射手段5aaによる加熱部位に対して冷却を行うミスト水噴射手段5abとから構成されている。そして、割断された不要部G1は、搬送方向下流側に対し斜め下方に向かって送られて最終的に廃棄されるようになっている。
【0042】
横搬送部4の下流側には、割断後におけるガラスフィルムリボンGの有効部G2を巻き取ってガラスロールRとする巻き取り部6が配備されている。この巻き取り部6の下方には、保護シートSを巻回してなるシートロールrが配備されており、このシートロールrから取り出された保護シートSが、巻き取り部6でガラスフィルムリボンG3に重ねられて巻き取られていくことによって、ガラスロールRが製作されるようになっている。
【0043】
図2は、横搬送部4の構成を詳細に示す拡大縦断側面図である。同図に示すように、搬送用シートリボンS1は、停止コンベア13bの下方に配備されているシートロールr1から上方に向かって取り出され、停止コンベア13bの上部で、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と、ガラスフィルムリボンG(G1、G2)との間を通過して、停止コンベア13bの下流側端部から下方に向かって送り出されるようになっている。この場合、搬送用シートリボンS1は、図外の駆動手段によって、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と摺動しながら開ループ状(または図示しないが閉ループ状)で送られる構成とされている。このシートリボンS1を形成する発泡樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂からなり、発泡倍率が、5倍〜100倍であって、厚みが0.1mm〜3.0mmとされている。このような構成によれば、成形部2から方向変換部3を経て横搬送部4に至ったガラスフィルムリボンGは、第一駆動コンベア13aの上面部から搬送用シートリボンS1の上面部に移乗して搬送されることになる。
【0044】
また、第二駆動コンベア13cの上面部には、発泡樹脂からなる伸縮性を有するシートリボンS2が巻き重ねられており、このシートリボンS2の上面が、割断後におけるガラスフィルムリボンGの有効部G2を搬送支持する搬送支持面とされている。この第二駆動コンベア13cの下方には、シートリボンS2を巻回してなるシートロールr2が配備されており、このシートロールr2から上方に向かって取り出されたシートリボンS2が、第二駆動コンベア13cの上流側端部からベルトの上面部に巻き重ねられ且つ第二駆動コンベア13cの下流側端部から下方に向かって送り出されるようになっている。したがって、このシートリボンS2は、第二駆動コンベア13cのベルトの上面部に追従して開ループ状(または図示しないが閉ループ状)で送られる構成とされている。なお、このシートリボンS2を形成する発泡樹脂は、ポリプロピレンやポリエチレン等の樹脂からなり、発泡倍率は、5倍〜100倍とされている。
【0045】
図3は、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16の全体的構成を示す平面図である。同図に示すように、定板14は、ガラスフィルムリボンGに対する割断位置5xを上方に有するように定置に設置された略矩形の板状体である。そして、定板14の搬送方向下流端(搬送方向前方端)には、幅方向両端部にそれぞれ不要部支持部15が突設されると共に、それら不要部支持部15の幅方向中央側に有効部支持部16が突設されている。なお、定板14の幅方向外側の両端縁14aと、不要部支持部15のそれぞれの幅方向外側の端縁15aとは、一直線上に連なっている。この場合、不要部支持部15及び有効部支持部16は、何れも、略矩形状をなし、不要部支持部15が定板14の搬送方向下流端から突出している寸法L1は、不要部G1の幅の0.5〜3倍である。また、有効部支持部16が定板14の搬送方向下流端から突出している寸法L2は、不要部支持部15の当該寸法L1の1〜3倍である。なお、同図から把握できるように、搬送用シートリボンS1の幅方向両端は、ガラスフィルムリボンGの幅方向両端から食み出していると共に、停止コンベア13bの幅方向両端は、搬送用シートリボンS1の幅方向両端から食み出している。なお、図例では、搬送用シートリボンS1の幅方向両端が、ガラスフィルムリボンGの幅方向両端から食み出しているが、これとは逆に、ガラスフィルムリボンGの幅方向両端が、搬送用シートリボンS1の幅方向両端から食み出していてもよい。
【0046】
そして、
図4に示すように、不要部支持部15及び有効部支持部16はいずれも、本実施形態では、定板14よりも板厚が薄く、且つ、定板14の搬送方向下流端における上端部に突設されている。この場合、有効部支持部16の上面は、定板14の上面と面一状態で同方向に向かって延出しているのに対して、不要部支持部15の上面は、定板14の上面から搬送方向下流側に向かって下降傾斜している。この場合の傾斜角度θは、0.5〜45°であることが好ましく、1〜10°であることがより好ましい。なお、不要部支持部15の上面は、定板14の上面と面一状態で同方向に向かって延出していてもよく、その場合には、有効部支持部16の上面が、定板14の上面から搬送方向下流側に向かって上方傾斜していることが好ましい。この場合の傾斜角度も、上述のθと同一とされる。
【0047】
図5は、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と、割断された状態にあるガラスフィルムリボンG(G1、G2)とを示す概略平面図であって、便宜上、搬送用シートリボン及びコンベアの図示を省略している。同図に示すように、ガラスフィルムリボンGは、矢印B方向に搬送されながら、割断位置5xで割断されるため、その下流側においては、耳部Gxを含む不要部G1の割断端面G1aと、有効部G2の割断端面G2aとが形成されている。そして、有効部G2の割断端面G2aと、不要部支持部15の幅方向内方端との間には、幅方向隙間17がそれぞれ設けられており、不要部支持部15の幅方向長さL3は、これら幅方向隙間17の幅方向寸法L4の0.1〜2.0倍とされ、より好ましくは0.2〜0.5倍とされ、さらに好ましくは0.25〜0.3倍とされる。なお、有効部G2の割断端面G2aは、有効部支持部16の幅方向両端部からそれぞれ僅かに食み出しているだけであるため、有効部支持部16の幅方向両端と、不要部支持部15の幅方向内方端との間に設けられている隙間についても、同様の関係が成り立つ。したがって、不要部支持部15の幅方向長さL3は、その隙間における幅方向寸法L5の0.1〜2.0倍、より好ましくは0.2〜0.5倍、さらに好ましくは0.25〜0.3倍であってもよい。また、ガラスフィルムリボンGの割断位置5xから定板14の搬送方向下流端までの寸法L6は、有効部G2の幅の0.5〜3倍であることが好ましい。
【0048】
同図から把握できるように、ガラスフィルムリボンGが割断された後に、不要部G1を不要部支持部15が支持する態様は、不要部G1の耳部Gxが不要部支持部15の幅方向外方端から外側に突出した状態とされている。さらに、全体的に視れば、不要部支持部15は、不要部G1の幅方向外側寄りの位置を支持している。そして、
図6に示すように、不要部支持部15による不要部G1の搬送軌道と、有効部支持部16による有効部G2の搬送軌道とは、搬送方向下流側に移行するに連れて漸次拡開している。したがって、ガラスフィルムリボンGが割断された後に、有効部G2が有効部支持部16により支持されて送られ、且つ、不要部G1が不要部支持部15により支持されて送られる間は、
図7に示すように、搬送用シートリボンS1が自由に撓んだ状態で、不要部G1と有効部G2とが、上下方向に異なる位置で支持される。
【0049】
以上のような構成によれば、
図1に示す成形部2から方向変換部3を経て横搬送部4に至ったガラスフィルムリボンGは、第一駆動コンベア13aによって横方向に搬送された後、停止コンベア13bの上部に移乗して横方向に搬送される。この場合、停止コンベア13bの上部では、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と摺動しながら移動する搬送用シートリボンS1によって、ガラスフィルムリボンG及びその割断後における不要部G1と有効部G2とが搬送される。
【0050】
図5に示すように、停止コンベア13bの上部で、ガラスフィルムリボンGが定板14上の割断位置5xに至るまでの間においては、耳部Gxの幅方向内側部位に、搬送方向と直交する方向に沿うしわGyが発生している。しかるに、不要部G1が、定板14の搬送方向下流端を通過して不要部支持部15によって支持されるようになった場合には、耳部Gxが支持されずにその幅方向内側部位(しわGyが発生していた部位)が支持されることになる。これにより、不要部G1は、しわGyが消え失せた状態で不要部支持部15によって支持されて搬送されることになる。しかも、重量の大きな耳部Gxが、不要部支持部15の幅方向外方端から突出して垂れ下がろうとするため、不要部G1は、有効部G2から離反しようとする。加えて、不要部支持部15は、耳部Gxに生じている波打ちの影響を受けることなく、不要部G1を支持している状態となる。以上の結果、不要部G1が不要部支持部15により支持されて搬送される際には、不要部G1に発生し得る振動等が効果的に抑止されると共に、不要部G1の割断端面G1aと有効部G2の割断端面G2aとが頻繁に擦れ合う事態が回避される。この場合、不要部G1が割断位置5xから不要部支持部15に到達するまでの間においても、耳部Gxは、定板14の幅方向両端から外側に突出しているため、耳部Gxの自重によってその幅方向内側部位に外側に向かう張力が作用し、且つ、その張力に起因して、不要部G1を有効部G1から離反させようとする力が働く。したがって、ガラスフィルムリボンGが定板14上にあっても、割断位置5xでの割断後においては、不要部G1は、有効部G2から独立した部位として搬送されるため、上記の張力によってしわGyの大半が消え失せると共に、不要部G1の割断端面G1aと有効部G2の割断端面G2aとの干渉が有効に抑制される。なお、ガラスフィルムリボンGの割断位置5xが、不要部支持部15の搬送方向上流端から寸法L6分につき離反しているのは、次の理由による。すなわち、
図6に示すように、不要部支持部15と有効部支持部16との搬送軌道が相違しているため、仮に割断位置5xが不要部支持部15の搬送方向上流端に位置していると、割断位置5xに不当な応力が作用して、適正な割断を行えなくなるからである。
【0051】
さらに、不要部支持部15と、有効部G2(有効部支持部16)との間には、十分な大きさの幅方向隙間17が存在しているため、不要部支持部15により支持されている不要部G1の幅方向内方端周辺部は、
図7に示すように垂れ下がった状態となる。詳述すると、不要部支持部15は、不要部G1の幅方向外側寄り位置を支持しているため、不要部G1の幅方向内側への突出寸法が長くされた状態で不要部支持部15によって支持されていることになり、これに起因して、不要部G1の幅方向内方端周辺部が、大きく垂れ下がった状態となる。これにより、不要部G1の割断端面G1aと、有効部G2の割断端面G2aとが、離反した状態となるため、両者G1、G2の割断端面G1a、G2a同士が擦れ合う事態がより一層確実に回避される。このような利点は、
図6に示すように、不要部支持部15と有効部支持部16との搬送軌道が相違していることに由来して一層顕著となる。なお、
図7から推認できるように、仮に、不要部支持部15と有効部支持部16との搬送軌道が同一であったとしても、不要部支持部15により支持されている不要部G1は、その幅方向内方端周辺部が大きく垂れ下がった状態となるため、不要部G1の割断端面G1aと有効部G2の割断端面G2aとが擦れ合う事態を回避することができる。そして、このようにした場合には、ガラスフィルムリボンGの割断位置5xを、不要部支持部15の搬送方向上流端またその近傍に位置させることができる。
【0052】
以上のようにして、不要部支持部15によって支持されて搬送された不要部G1は、廃棄処理部(図示略)に送られて細分化される。一方、有効部支持部16によって支持されて搬送された有効部G2は、巻き取り部6に至ることにより、最終的に、
図8に示すように、巻芯18の廻りにガラスフィルムリボンG3と保護シートSとが重なった状態で巻き取られてなるガラスロールRとなる。このようにして得られたガラスロールRは、割断端面の傷等が極めて少ない高品質なものとなる。
【0053】
図9及び
図10は、本発明の第二実施形態に係る製造装置1の要部構成を例示している。同図に示すように、この第二実施形態に係る製造装置1が、上述の第一実施形態に係る製造装置1と相違している点は、停止コンベア13bの上部において、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16と、ガラスフィルムリボンG(不要部G1及び有効部G2を含む)との間に、搬送用シートリボンを介在させていないところにある。このような構成であっても、ガラスフィルムリボンGに作用する上流側からの送り力及び下流側からの引っ張り力によって、ガラスフィルムリボンGは、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16の上面と摺動しながら搬送される。この場合、定板14の上流側端面14aは、ガラスフィルムリボンGの下面に摺動による傷等が付かないように、湾曲して滑らかに上面14bに連なっている。このような構成によっても、上述の第一実施形態における場合と同様の動作が行われ、且つ同様の作用効果が得られる。なお、
図9及び
図10において、上述の第一実施形態に係る製造装置1と共通の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
図11は、本発明の第三実施形態に係る製造装置1の要部構成を例示している。同図に示すように、この第三実施形態に係る製造装置1が、上述の第二実施形態に係る製造装置1と相違している点は、不要部支持部15が、幅方向外側から幅方向内側に向かって下降傾斜しているところにある。なお、この第三実施形態においては、上述の第一実施形態と同様に、定板、不要部支持部15及び有効部支持部16と、ガラスフィルムリボンG(不要部G1及び有効部G2を含む)との間に、搬送用シートリボンを介在させてもよい。そして、この第三実施形態における構成によっても、上述の第二実施形態における場合と同様の動作が行われ、且つ同様の作用効果が得られる。なお、
図11において、上述の第二実施形態に係る製造装置1と共通の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図12は、本発明の第四実施形態に係る製造装置1の要部構成を例示している。同図に示すように、この第四実施形態に係る製造装置1が、上述の第二実施形態に係る製造装置1と相違している点は、不要部支持部15が、幅方向内側から幅方向外側に向かって下降傾斜しているところにある。なお、この第四実施形態においても、上述の第一実施形態と同様に、定板、不要部支持部15及び有効部支持部16と、ガラスフィルムリボンG(不要部G1及び有効部G2を含む)との間に、搬送用シートリボンを介在させてもよい。そして、この第四実施形態における構成によっても、上述の第二実施形態における場合と同様の動作が行われ、且つ同様の作用効果が得られる。なお、
図12において、上述の第二実施形態に係る製造装置1と共通の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図13は、本発明の第五実施形態に係る製造装置1の要部構成を模式的に示す概略側面図である。上述の第一実施形態に係る製造装置1は、方向変換部3から横搬送部4に至るガラスフィルムリボンGの進行経路が、横搬送部4でのガラスフィルムリボンGの進行経路よりも下方に垂れ下がっていなかったが、この第五実施形態に係る製造装置1は、成形部2から縦方向下方に引き出されたガラスフィルムリボンGが、方向変換部3において、横搬送部4での進行経路よりも下方に垂れ下がった後に上方に移行して、横搬送部4に至る進行経路となるように構成されている。その他の構成は、上述の第一実施形態に係る製造装置1と同一であるので、詳細な図示を省略すると共に、図示した構成のうち、共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
なお、以上の第一から第五実施形態では、ガラスフィルムリボンGを成形するために、オーバーフローダウンドロー法を採用したが、これに代えて、スロットダウンドロー法等の他のダウンドロ―法やリドロー法等を採用することも可能である。加えて、ガラスフィルムリボンGを成形する方法としては、フロートバスからガラスフィルムリボンを引き出して横搬送部で搬送するようにしたフロート法を採用することも可能である。
【0058】
また、以上の第一から第五実施形態は、割断部5で不要部G1を割断除去して得られた有効部G2をロール状に巻き取ってガラスロールRを製作する巻き取り部6を有する構成としたが、このような巻き取り部6を有さずに、割断部5で不要部G1を割断除去して得られた有効部G2を長手方向所定長さずつ矩形に切断して、複数の矩形の各ガラスフィルムの相互間に保護シートを介在させてなるガラスフィルム積層体を作製する構成としてもよい。
【0059】
図14は、本発明の第六実施形態に係る製造装置1の全体構成を模式的に示す概略側面図である。同図に示すように、この製造装置1は、Roll to Roll工程の実施に用いられるものであって、一方(同図右側)のガラスロールRaからガラスフィルムリボンGを取り出しながら、他方(同図左側)のガラスロールRで巻き取っていくものである。その際には、一方のガラスロールRaからガラスフィルムリボンGを取り出すことに伴って、一方のガラスロールRaから取り出された保護シートSaがシートロールraに巻き取られるようになっている。この場合、一方のガラスロールRaは、耳部が既に割断除去されている不要部G1を有するガラスフィルムリボンGを巻き取ったものであるが、不要部G1は、ガラスフィルムリボンGの幅方向両端部にそれぞれ存在していてもよく、或いは幅方向一端部のみに存在していてもよい。そして、一方のガラスロールRaの下流側であって且つ他方のガラスロールRの上流側には、ガラスフィルムリボンGを横方向に搬送する横搬送部4が備えられており、この横搬送部4において、ガラスフィルムリボンGの幅方向寸法をリサイズするために、不要部G1の割断除去が行われる。この横搬送部4には、定板14が設置されると共に、定板14の搬送方向下流端における幅方向両端部または幅方向一端部に不要部支持部15が突設され、且つ定板14の搬送方向下流端における不要部支持部15の幅方向中央側に有効部支持部16が突設されている。したがって、ガラスフィルムリボンGの幅方向両端部にそれぞれ不要部G1が存在している場合には、
図15(a)に示すように、割断後における一対の不要部G1が、一対の不要部支持部15によって支持される。また、ガラスフィルムリボンGの幅方向一端部のみに不要部G1が存在している場合には、
図15(b)に示すように、割断後における単一の不要部G1が、単一の不要部支持部15によって支持される。以上の事項以外の構成は、上述の第一実施形態に係る製造装置1と同一であるので、両者に共通の構成要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
なお、以上の第一から第六実施形態では、横搬送部4の停止コンベア13b上に、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16を配置したが、停止コンベア13bを使用することなく、固定設置された基台部の上部に、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16を配置してもよい。
【0061】
また、以上の第一から第六実施形態では、2機の駆動コンベアを横搬送部4の構成要素としたが、これに代えて、1機の駆動コンベアを横搬送部4の構成要素としてもよい。ただし、その場合には、定板14、不要部支持部15及び有効部支持部16を、それらの駆動コンベアから縁切り状態として定置に設置する必要がある。なお、3機以上の駆動コンベアを横搬送部4の構成要素としてもよい。
【0062】
さらに、以上の第一から第六実施形態では、定板14の搬送方向下流端に、不要部支持部15と有効部支持部16とを突設したが、ガラスフィルムリボンGの有効部G2が、下流側の第二駆動コンベア13c上に円滑に移乗して搬送されるように、定板14と第二駆動コンベア13cとを近づけて配置した場合には、有効部支持部16を設けなくてもよい。
【0063】
また、以上の第一から第六実施形態では、横搬送部4に配列される各コンベア13a、13b、13cを、ベルトコンベアで構成したが、これに代えて又はこれと共に、各コンベアの一部又は全部を、複数(多数)のローラが自転する構成とされたローラコンベアや浮上搬送手段等を適宜組み合わせて構成するようにしてもよい。さらに、不要部支持部15についても、板状体とせずに、そのようなローラコンベア等で構成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 ガラスフィルムリボン製造装置
2 成形部
3 方向変換部
4 横搬送部
5 割断部
6 巻き取り部
13a 第一駆動コンベア
13b 停止コンベア
13c 第二駆動コンベア
14 定板
15 不要部支持部
16 有効部支持部
17 幅方向隙間
G1 不要部
G2 有効部
R ガラスロール
S1 搬送用シートリボン