【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によれば、上述の課題は、窒素分離装置に関しては次の第一ないし第四発明のいずれによっても、また窒素分離方法に関しては、第五ないし第八発明のいずれによって解決される。
【0018】
≪窒素分離装置≫
<第一発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する装置において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を分離槽内に有し該分離槽内が分離膜により第一室と第二室に区分形成されていて、第一室に送入された原料ガス中の窒素が分離膜を透過することで窒素濃度が高められた膜分離排ガスが第二室に収容され、原料ガスよりもメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスが第一室に収容される膜分離装置と、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を吸着槽内に備えていて、上記膜分離装置の第一室から膜分離処理ガスを受けて、吸着槽内での圧力スイングのもとで吸着剤が膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着することで、膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスと、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスとを生ずる圧力スイング吸着装置と、
を有することを特徴とする窒素分離装置。
【0019】
<第二発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する装置において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を分離槽内に有し該分離槽内が分離膜により第一室と第二室に区分形成されていて、第一室に送入された原料ガス中の窒素が分離膜を透過することで窒素濃度が高められた膜分離排ガスが第二室に収容され、原料ガスよりもメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスが第一室に収容される膜分離装置と、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を吸着槽内に備えていて、上記膜分離装置の第一室から膜分離処理ガスを受けて、吸着槽内での圧力スイングのもとで吸着剤が膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着することで、膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスと、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスとを生ずる圧力スイング吸着装置と、
を有し、
排ガスの一部を圧力スイング吸着装置へ帰還供給し、残部を排出することを特徴とする窒素分離装置。
【0020】
<第三発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する装置において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を分離槽内に有し該分離槽内が分離膜により第一室と第二室に区分形成されていて、第一室に送入された原料ガス中の窒素が分離膜を透過することで窒素濃度が高められた膜分離排ガスが第二室に収容され、原料ガスよりもメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスが第一室に収容される膜分離装置と、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を吸着槽内に備えていて、上記膜分離装置の第一室から膜分離処理ガスを受けて、吸着槽内での圧力スイングのもとで吸着剤が膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着することで、膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスと、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスとを生ずる圧力スイング吸着装置と、
を有し、
排ガスの一部を膜分離装置の第一室へ帰還供給し、残部を排出することを特徴とする窒素分離装置。
【0021】
<第四発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する装置において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を分離槽内に有し該分離槽内が分離膜により第一室と第二室に区分形成されていて、第一室に送入された原料ガス中の窒素が分離膜を透過することで窒素濃度が高められた膜分離排ガスが第二室に収容され、原料ガスよりもメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスが第一室に収容される膜分離装置と、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を吸着槽内に備えていて、上記膜分離装置の第一室から膜分離処理ガスを受けて、吸着槽内での圧力スイングのもとで吸着剤が膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着することで、膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスと、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスとを生ずる圧力スイング吸着装置とを有し、
膜分離装置は第一膜分離装置と第二膜分離装置とから成り、いずれも分離膜により区分された第一室と第二室を有し、
原料ガスは第一膜分離装置の第一室に供給され、
圧力スイング吸着装置は、窒素濃度が高められメタンを含む中圧排ガスが第一膜分離装置の第一室へ帰還供給されるように該第一膜分離装置に接続されていると共に、窒素が減圧吸引され窒素濃度が高められメタンを含む低圧排ガスが第二膜分離装置の第一室へ供給されるように該第二膜分離装置に接続されており、
第一膜分離装置の第二室は第二膜分離装置の第一室に接続されていて、該第一膜分離装置の第二室からの一次膜分離排ガスを圧力スイング吸着装置からの上記低圧排ガスと合流して第二膜分離装置の第一室へ供給するように第二膜分離装置に接続されており、
第二膜分離装置の第一室からの二次膜分離処理ガスを第一膜分離装置の第一室からの一次膜分離処理ガスに合流して圧力スイング吸着装置へ供給し、
第二膜分離装置の第二室から二次膜分離排ガスを排出する、
ことを特徴とする窒素分離装置。
【0022】
≪窒素分離方法≫
<第五発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する方法において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を有する膜分離装置に原料ガスを供給して該分離膜を透過させることで窒素濃度が高められた膜分離排ガスと、該原料ガスよりメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスとを上記膜分離装置で生じさせ、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を有する圧力スイング吸着装置に上記膜分離処理ガスを供給して圧力スイングのもとで吸着剤に膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着させることで、上記膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスを上記圧力スイング吸着装置に生じさせ、
圧力スイング吸着装置から上記製品ガスを取り出すと共に、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスを排出することを特徴とする窒素分離方法。
【0023】
<第六発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する方法において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を有する膜分離装置に原料ガスを供給して該分離膜を透過させることで窒素濃度が高められた膜分離排ガスと、該原料ガスよりメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスとを上記膜分離装置で生じさせ、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を有する圧力スイング吸着装置に上記膜分離処理ガスを供給して圧力スイングのもとで吸着剤に膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着させることで、上記膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスを上記圧力スイング吸着装置に生じさせ、
圧力スイング吸着装置から上記製品ガスを取り出すと共に、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスの一部を圧力スイング吸着装置へ帰還供給し、残部を排出することを特徴とする窒素分離方法。
【0024】
<第七発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する方法において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を有する膜分離装置に原料ガスを供給して該分離膜を透過させることで窒素濃度が高められた膜分離排ガスと、該原料ガスよりメタン濃度が高められた残留窒素を含む膜分離処理ガスとを上記膜分離装置で生じさせ、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を有する圧力スイング吸着装置に上記膜分離処理ガスを供給して圧力スイングのもとで吸着剤に膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着させることで、上記膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスを上記圧力スイング吸着装置に生じさせ、
圧力スイング吸着装置から上記製品ガスを取り出すと共に、吸着された後に脱着された窒素を含んで窒素濃度が高められメタンを含む排ガスの一部を膜分離装置へ帰還供給し、残部を排出することを特徴とする窒素分離方法。
【0025】
<第八発明>
メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスから窒素を分離する方法において、
メタンより窒素が選択的に透過される分離膜を有する第一膜分離装置に原料ガスを供給して該分離膜を透過させることで窒素濃度が高められた一次膜分離排ガスと、該原料ガスよりメタン濃度が高められた残留窒素を含む一次膜分離処理ガスとを上記第一膜分離装置で生じさせ、
メタンより窒素が選択的に吸着される吸着剤を有する圧力スイング吸着装置に上記一次膜分離処理ガスを供給して圧力スイングのもとで吸着剤に膜分離処理ガス中の残留窒素を吸着させることで、上記一次膜分離処理ガスよりメタン濃度が高められた製品ガスそして窒素濃度が高められメタンを含む中圧排ガス及び低圧排ガスを生じさせ、
圧力スイング吸着装置から上記製品ガスを取り出すと共に、上記中圧排ガスを第一膜分離装置へ原料ガスに合流させ帰還供給し、上記低圧排ガスを第一膜分離装置からの一次膜分離排ガスと合流させて第二膜分離装置へ供給し処理して二次膜分離処理ガスと二次膜分離排ガスとを生じさせ、二次膜分離処理ガスを一次膜分離処理ガスに合流させて圧力スイング吸着装置へ供給し、二次膜分離排ガスを排出することを特徴とする窒素分離方法。
【0026】
上述のような本発明の第一ないし第八発明では、膜分離装置での窒素分離後に残留する窒素を圧力スイング吸着装置で吸着して両装置により二段階にわたって除去するので、両装置とも窒素除去量がさほど高くなくてすむようになり、膜分離装置では圧力低下が小さい上に、膜の使用量を抑制でき、圧力スイング吸着装置では吸着剤の使用量を抑制でき、その分のコストが低減される。
【0027】
第二そして第六発明では窒素濃度が高められメタンを含む排ガスの一部が圧力スイング吸着装置へ帰還供給されて排ガス中のメタンが製品ガスに移行し製品ガスに含まれるメタン量が増加するためメタンの回収率が向上するし、第三及び第四そして第七及び第八発明では、上記排ガスの一部が膜分離装置へ帰還供給されて同様にメタンの回収率が向上する。
【0028】
このように、本発明では、膜分離装置に後続して圧力スイング吸着装置を接続することとしたので、両装置の利点を相乗作用のもとで得ることができる。
【0029】
ここで、本発明において、メタンを主成分とし窒素を含む原料ガスとは、1mol%以上
、より典型的には5mol%以上の窒素を含み、70mol%以上、より典型的には80mol%
以上のメタンを含むガスを指し、また、メタンより窒素が選択的に吸着しやすい吸着剤とは、特に限定されるものではないが、例えばチタノシリケート系モレキュラーシーブや、金属有機構造体を指し、さらには、メタンより窒素が選択的に透過しやすい分離膜とは、特に限定されるものではないが、例えば混合マトリックスナノポーラスカーボン膜、DDR型ゼオライト膜、CHA型ゼオライト膜を指す。