【実施例】
【0018】
図1〜
図6に、実施例とその変形とを示す。
図1〜
図4は実施例を示し、2はロードポートで、実施例のパージ装置を備えている。なおパージ装置を、容器の一時保管用のバッファ、自動倉庫機能を備えるストッカ等に設けても良い。ロードポート2には水平基準面4(容器の載置部)が設けられ、FOUP20の底面26を支持する。なお容器はFOUPには限らず、パージ用のガス導入孔を備え、かつパージ装置側の位置決め部材により位置決めされるものであればよい。ロードポート2は移載装置6を備え、FOUP20の蓋を開き、収容されている半導体ウェハーを1枚ずつ出し入れし、図示しない処理装置等との間で移載する。
【0019】
ロードポート2の水平基準面4には、パージガスの注入用のノズル8と排出用のノズル9とが設けられ、排出用のノズル9は設けなくても良い。またノズル8,9は、ガスが流れる方向が逆な点を除いて同一の構造で、以下ではノズル8を中心に説明するが、ノズル9についても同様である。
【0020】
ノズル8には配管10からパージガスが供給され、ノズル9は図示しない排気管等に接続されている。水平基準面4には例えば3個のキネマチックカップリングピン12(以下、ピン12)が設けられ、容器のカップリング溝24にカップリングする。なお位置決め部材の種類は任意で、位置決め部材が容器を位置決めする場所よりも、実施例ではピン12の上端よりも、ノズル8,9の上端が高い位置にあることが重要である。14は着座センサで、FOUP20が水平基準面4(以下、基準面4)上に載置されたことを検出し、例えば配管10へのパージガスをon/offするために用いる。
【0021】
図2は基準面4上に載置されつつあるFOUP20を示す。FOUP20のトップフランジ21が図示しない天井走行車の昇降台22によりチャックされ、昇降台22はベルト23等の吊持材により天井走行車に支持されている。天井走行車の停止精度に、建物の振動、ベルト23の揺れ等が加わり、FOUP20の位置にバラツキが生じる。このバラツキを解消するために、FOUP20の底面26に設けたカップリング溝24にピン12をカップリングさせる。しかしノズル8,9の上端がピン12の上端よりも高いため、ノズル8,9がノズル受入部25に引っ掛かり、位置決めが難しくなることがある。なお5はロードポート2のベースで、その上面が基準面4である。
【0022】
図3,4に実施例のノズル8の構造を示し、ノズル9も同様である。ノズル8の上部にテーパー状で先細のガイド面30が設けられ、ノズル8の上端には平坦面32が設けられ、33は台座である。ノズル8の中心に流路34が設けられ、接続部35から
図1の配管10に接続されている。実施例では台座33の上面がベース5の底面に直接に接するが、これらの間に弾性スペーサ36を設けても良い。台座33を複数本のネジ軸37が貫通し、複数個のバネ38により台座33は上向きに付勢されている。39はネジの頭部、40はバネ38の一端を支持する受け部、41はナットである。
【0023】
ガイド面30のガイド代は、FOUP20の荷下ろし位置のバラツキに応じて定める。ガイド面30は低摩擦の材料で構成され、表面が平滑で、さらに硬質なため摩耗粉を生じず、またアウトガスが少ないものが好ましい。例えばステンレス、peek(ポリエーテルエーテルケトン)、ポリエチレン、ポリアセタール、フッ素樹脂等の材料が好ましく、中でもステンレスの表面をフッ素樹脂でコートしてガイド面30とすることが好ましい。平坦面32は平坦でかつ平滑であることが好ましく、特に鏡面状のステンレスにより平坦面32を構成することが好ましい。バネ38は合成ゴム等から成る筒状の弾性体に変えても良い。実施例では、複数個所で台座33をバネ38により上向きに付勢して、台座33を数mm程度のストロークの範囲で下降自在にし、またノズル8がガス導入孔の表面に応じて傾斜でき、ノズル9がガス排出孔の表面に応じて傾斜できるようにする。
【0024】
FOUP20の底面26は基準面4で支持され、28はガス導入孔で、ノズル8に対応する。ノズル9に対応して、図示しないガス排出孔がノズル受入部25に設けられている。ここで
図3のように、FOUP20が正しい位置から変位して下降してくるものとする。するとピン12がカップリング溝24に接触するよりも先に、ノズル受入部25にガイド面30が接触するが、FOUP20はガイド面30にガイドされて正しい位置へガイドされ、またノズル8はFOUP20の重量で下降する。このため、当初はノズル8にFOUP20が引っ掛かっても、
図1,
図2のピン12とカップリング溝24とにより、位置決めを行うことができる。ここでガイド面30は低摩擦の材料製でしかも平滑なため、ノズル受入部25等との摩擦が少なく、硬質なため摩耗粉の発生が少ない。
【0025】
FOUP20の載置が完了すると、その重量の一部がノズル8,9により支持され、他はピン12と基準面4とにより支持される。ガス導入孔28の表面が水平でないと、ガス導入孔28と平坦面32とがフィットしにくい。ノズル8,9は下降が自在で、複数個所でバネ38により支持されている。このため平坦面32が局所的にガス導入孔28と接触すると、偏荷重が加わったバネ38が圧縮され、ノズル8,9が首振りを行い、言い換えると水平軸回りに回動し、平坦面32がガス導入孔28と均一に接触する。この時、平坦面32は水平から傾き、ガス導入孔28との間の隙間を塞いで、パージガスのリークを防止できる。さらにノズル8,9は上下動が自在なので、ノズル8,9の高さのバラツキ、ノズル受入部25の深さのバラツキを吸収できる。
【0026】
実施例には以下の特徴がある。
1) FOUP20が位置がずれて下降してきた場合、ノズル8,9のガイド面30によりFOUP20をガイドし、ノズル8,9をFOUP20からの荷重で下降させながら、ピン12をカップリング溝24に接触させて、ピン12による位置決めに引き渡す。このためノズル受入部25等にノズル8,9が引っ掛かって位置決めできなくなることが無く、またピン12のみによるガイドよりも、確実にFOUP20をガイドできる。
2) 平坦面32は、FOUP
20から偏った圧力が加わると、水平から傾くことができる。このためガス導入孔28の表面が水平でない場合も、平坦面32とガス導入孔28とがフィットし、パージガスのリークを防ぐことができる。
3) ノズル8,9は上向きに付勢されてかつ上下動と傾動(水平軸回りの回動)とが自在なので、ノズル8,9の高さのバラツキ、ノズル受入部25の深さ、即ちガス導入孔28の高さ位置のバラツキ等が有っても、平坦面32をガス導入孔28に密着させることが出来る。
4) FOUP20の重量の一部がノズル8,9に加わり、これとほぼ等しい力で平坦面32がガス導入孔28側へ付勢されるので、平坦面32とガス導入孔28とを確実に接触させることが出来る。
5) ガイド面30,平坦面32,ネジ軸37及びバネ38により、上記の作用を達成でき、アクチュエータは不要である。
【0027】
実施例では台座33の上面をベース5の底面側に配置したが、逆に台座33の底面をスペーサ等の弾性体を介してベース5の上面に支持させても良い。そしてネジ、ピン等の固定具により、ノズル8の可動範囲を制限すると共に、弾性体により台座33を上向きに付勢させても良い。この場合も、平坦面32に加わる偏荷重により、ノズル8を支持する弾性体が変形し、平坦面32をFOUPのガス導入孔に密着させることが出来る。
【0028】
実施例のノズル8,9では、ガス導入孔28に合わせて平坦面32が水平から傾くように、複数個所でバネ38により台座33を支持した。台座の支持を単純化した変形例のノズル50を
図5に示し、51はガイド面、52は平坦面で、
図3,
図4のガイド面30及び平坦面32と同様である。54は中空軸、56は台座、57はバネで筒状のゴム等の弾性体でも良く、58は弾性スペーサで、ベース5とノズル
50との間に配置され、バネ57の弾性力により圧縮されている。なおノズル50はパージガスの導入用でも排出用でも良い。
【0029】
ガイド面51によりFOUPをガイドし、平坦面52をFOUPのガス導入孔に密着させる点は、実施例と同様である。平坦面52がガス導入孔と不均一に接触すると、弾性スペーサ58が変形して、ノズル50が首振りし、平坦面52はガス導入孔と密着する。このため1個所でバネ57で支持しても、平坦面52をガス導入孔と密着するように水平から傾けることが出来る。
【0030】
図6は、第2の変形例のノズル60を示し、パージガスの導入用の場合も排出用の場合も同様である。61はガイド面、62は合成ゴム等から成る弾性の環状のガスケットで、例えば金属のノズル60の先端部に嵌合されている。またガスケット62の上面は平坦面63を構成している。65は台座で、例えばネジ66等によりベース5に固定されている。ガイド面61は平滑で硬質、低摩擦でかつアウトガスが少ないことが好ましい点は、実施例と共通である。ガスケット62はガス導入孔との間のシール性が良いものが好ましく、例えばフッ素樹脂ゴム、フッ素ゴムスポンジ、ポリエステルあるいはウレタンのゴムもしくはスポンジが好ましい。そして平坦面63は平坦で表面粗さが小さいことが好ましい。なおガイド面61側もガスケット62と同材料とし、ノズル60の上部全体をガスケットとしても良い。
【0031】
ノズル60では、FOUPをガイド面61でガイドし、ガス導入孔と平坦面63とを密着させるため、また平坦面63を下降させるため、平坦面63とその周囲を弾性の有るガスケット62で構成する。そしてガス導入孔の表面が水平ではない場合、ガスケット62は変形してガス導入孔と密着する。ノズル60では平坦面63が下降できる範囲が狭いため、
図3,
図4のノズル8,9及び
図5のノズル50の方が好ましい。