(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御部と、可動部の押下によって前記制御部に操作が受付けられる押しボタン式のスイッチを備えた操作部と、前記制御部の制御を受けて音を発生させる音源部とを有してなる操作装置において、
前記可動部は、少なくともその一部が前記音源部の上方に重なって配設され、
前記制御部は、前記スイッチの操作受付時に前記音源部から音を出力させるときは、前記音源部の出力音量を設定音量よりも小さくする制御構成を備え、
前記スイッチの操作受付終了後も前記音源部から音を継続して出力させるときには、前記音源部の出力音量を前記設定音量に復帰させる
ことを特徴とする操作装置。
【背景技術】
【0002】
従来、床暖房装置や給湯装置などの遠隔操作装置として用いられる操作装置は、ケース本体内に操作装置としての機能を実現するための電子回路基板が収容されている。そして、この種の操作装置の多くは、室内の壁面等に配設されるようになっており、ケース本体の正面パネルには、押下げ操作に伴って前後(電子回路基板側から見ると上下)に前進後退または弾性変形等することによって電子回路基板上に配設された押しボタン式のスイッチを操作する可動部を有した操作部が1または複数備えられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このような床暖房装置や給湯装置などの操作装置においては、近時、意匠上や省スペース化の要請などから装置の小型化、薄型化が強く求められている。また、その一方で、操作装置としての利便性の向上や多機能化(音声ガイダンス機能やインターホン機能の付加)などの要請から、この種の操作装置には操作部の操作受付音や音声ガイダンスなどを報知するための音源となるブザーやスピーカなどの音源部が搭載されるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の操作装置において、装置の小型化、薄型化と利便性の向上、多機能化の要請を両立せるのは難しく、以下のような問題が生じていた。
【0006】
すなわち、操作装置の小型化、薄型化の要請は、ケース本体に収容される電子回路基板やケース本体の正面パネルの小型化を伴うことから、電子回路基板に搭載された音源部の上方に操作部(特に可動部)の一部が重なって配置されてしまうことが生じた。
【0007】
そして、このように音源部の上方(つまり、正面パネル側)に操作部の可動部が配置されると、操作部の操作に伴って可動部が押下げられたときに、音源部と可動部との間の空間(隙間)が狭くなり、その際に音源部からブザー音などの音が出力されると、その音が潰れたような音に聞こえる音割れが生ずることがある。
【0008】
特に、薄型化された操作装置においては、ケース本体と電子回路基板との隙間が狭いため、操作部の操作の受付を知らせるために音源部から出力される操作受付音が音割れすることが多くなっていた。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、小型化・薄型化の要請を満たしつつ、操作部の操作受付音等の音割れを軽減できる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の操作装置は、制御部と、可動部の押下によって上記制御部に操作が受付けられる押しボタン式のスイッチを備えた操作部と、上記制御部の制御を受けて音を発生させる音源部とを有してなる操作装置において、
上記可動部は、少なくともその一部が前記音源部の上方に重なって配設され、上記制御部は、上記スイッチの操作受付時に上記音源部から音を出力させるときは、上記音源部の出力音量を設定音量よりも小さくする制御構成を備え、上記スイッチの操作受付終了後も上記音源部から音を継続して出力させるときには、上記音源部の出力音量を上記設定音量に復帰させることを特徴とする
。
【0011】
すなわち、この請求項1に係る操作装置では、スイッチ操作の受付時に音源部から音を出力する場合には、制御部は、音源部の出力音量を設定音量(スイッチの操作受付時以外のときに音源部から出力させる音量)よりも小さくなるように制御するので、音源部の上方に操作部の可動部の一部が重なって配設されていても、音源部に接近した可動部の影響を受けて音源部から出力される音が音割れを生じるおそれが軽減される。
【0012】
ここで、上記制御部によるスイッチの操作受付時とは、上記可動部の押下によって押しボタン式のスイッチの接点が接触状態となって制御部に接点信号が与えられている状態をいう。したがって、たとえば、可動部の押下による押しボタン式のスイッチの接点接触状態が数秒間継続するような場合(いわゆるスイッチの長押しの場合)には、接点信号が与えられている間は常にスイッチ操作の受付時となり、制御部は、このスイッチ操作の受付が継続されている間は、音源部の出力音量を設定音量よりも小さくする制御を継続する。
【0014】
そして、この
請求項1に係る操作装置では、制御部がスイッチの操作受付時から受付終了後も継続して音源部から音を出力しているときは、操作受付終了後に音源部からの出力音量が設定音量に復帰するので、操作受付終了後は音割れのない大きな音量(通常時の設定音量)で音源部からの音を聴取することができる。
【0017】
また、本発明の請求項
2に記載の操作装置は、請求項
1に記載の操作装置において、上記音源部は圧電ブザーで構成され、当該音源部の音量設定が圧電ブザーの発振周波数を制御することによって行われることを特徴とする。
【0018】
すなわち、この請求項
2に係る操作装置では、音源部に圧電ブザーが用いられ、その音量設定が圧電ブザーの発振周波数の変更により行われるので、簡易な構成で安価に本発明を実現することができる。
【0019】
そして、本発明の請求項
3に記載の操作装置は、請求項1
または2に記載の操作装置を熱源機の遠隔操作装置に適用したことを特徴とする。すなわち、この請求項
3に記載の操作装置は、給湯装置や床暖房装置などの熱源機の遠隔操作装置として本発明を適用しているので、小型化、薄型化とともに利便性の向上や多機能化を図りつつ音割れの少ない熱源機の遠隔操作装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、制御部と、可動部の押下によって制御部に操作が受付けられる押しボタン式のスイッチを備えた操作部と、制御部の制御を受けて音を発生させる音源部とを有
する操作装置において、制御部が上記スイッチ操作の受付時に音源部から音を出力させるときには、音源部の出力音量を設定音量よりも小さく
し、上記スイッチの操作受付終了後も上記音源部から音を継続して出力させるときには、上記音源部の出力音量を上記設定音量に復帰させるので、操作部の操作受付音等の音割れが軽減された操作装置を提供することができる。
また、上記可動部の少なくとも一部が上記音源部の上方に重なって配設されている操作装置においては、小型化・薄型化の要請を満たしつつ、操作部の操作受付音等の音割れが軽減された操作装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
図1は、本発明を床暖房装置の遠隔操作装置(操作装置)に適用したときの外観構成の一例を示している。
【0023】
この
図1に示す遠隔操作装置1は、図示しない温水床暖房装置を遠隔操作するための操作装置であって、室内の壁面に設置されるタイプの操作装置として構成されている。
【0024】
この遠隔操作装置1は、薄型の略直方体形を呈したケース本体2内に、遠隔操作装置として機能するのに必要な各種電子部品を搭載した電子回路基板3を収容してなり、温水床暖房装置に対する遠隔操作を行うための操作部4として、温水床暖房装置によって暖房可能な2つのエリア(いずれも図示せず)につき、いずれのエリアを暖房するかを設定する第1の暖房スイッチ4aと第2の暖房スイッチ4bとを備えている。
【0025】
ここで、これら第1および第2の暖房スイッチ4a,4bは、いずれもケース本体2の正面パネルに配置されており、各スイッチ4a,4bの操作部位(
図1において、「暖房Sw1」、「暖房Sw2」と表示された丸い部位)を押下操作することによって、各スイッチ4a,4bにそれぞれ備えられる可動部5が押し下げられ、この可動部5が各スイッチ4a,4bの下方(すなわち、電子回路基板3側)にそれぞれ配置された押しボタン式の開閉器(押しボタン式のスイッチ)6に作用して当該開閉器6の接点(図示せず)を接触させ、これにより、制御部8に所定の接点信号(本実施形態ではLo信号)が入力されるように構成されている(
図2および
図4参照)。
【0026】
なお、この可動部5は、各スイッチ4a,4bの押下操作に伴って押しボタン式の開閉器6に作用する構成(つまり、各スイッチ4a,4bの押下操作に伴って開閉器6の接点が接触する構成)であれば、その具体的な構造は適宜設計変更可能である。たとえば、この可動部5としては、上記各スイッチ4a,4bの操作部位自体を可動部として、当該操作部位が電子回路基板3に対して前進後退して開閉器6に直接作用するように構成したり、あるいは、操作部位が他の部位(操作部位とは別体の可動部)を介して開閉器6に作用するように構成することもができる。そして、上記押しボタン式の開閉器6には、たとえば、タクトスイッチ(登録商標)が好適に使用される。
【0027】
上記電子回路基板3には、上記第1および第2の暖房スイッチ4a,4bが操作されたときにそれを報知する操作受付音の出力ができるように、操作受付音を生成する音源部7と、この音源部7を制御する制御部8とが備えられている。なお、
図1では、電子回路基板3に搭載される各種電子部品のうち、上記音源部7と、上記制御部8と、遠隔操作装置1での操作内容や温水床暖房装置の動作状況などを表示する表示部9(たとえば、液晶表示パネルなど)とを図示しており、その他の電子部品については図示を省略している。
【0028】
ここで、上記音源部7は、上記操作受付音の音源を構成するものであって、本実施形態では、この音源部7として圧電ブザー71が用いられている。この圧電ブザー71は、制御部8から与えられるパルス信号(ブザー出力信号)の周波数によってその出力音量が制御されるようになっている。
図3は、圧電ブザー71に印加するパルス信号の周波数と出力音量との関係(周波数−音量特性)を示している。この
図3に示すように、本実施形態に示す圧電ブザー71は、印加される周波数が2kHz付近で出力音量が最大となるように構成されている。
【0029】
制御部8は、遠隔操作装置1の各部を制御する制御手段であって、マイコン81を主要部として備えている。このマイコン81には遠隔操作装置1の各部を制御するための制御プラムや制御用のデータが記憶されている。
【0030】
そして、このマイコン81は、上記第1および/または第2の暖房スイッチ4a,4bの押下操作に伴って押しボタン式の開閉器6から与えられる接点信号(マイコン入力信号)を受け付けると、その接点信号に応じて温水床暖房装置に対して操作に応じた制御信号(遠隔操作指令)を出力するように構成されている。
【0031】
また、このマイコン81は、上記開閉器6からの接点信号を受け付けた時(操作受付時)には、当該接点信号の原因となったスイッチ操作を受け付けたことを知らせる操作受付音を上記圧電ブザー71を通じて出力させるように構成されている。この操作受付音は、後述する音割れ防止制御を実行する時以外は、マイコン81から圧電ブザー71に対して2kHzのパルス信号を印加することにより出力させている。すなわち、音割れ防止制御以外の通常の制御(第1の暖房スイッチ4aの押下操作に伴う操作受付音以外の音の出力)では、圧電ブザー71の設定音量は80dB付近に設定されている。
【0032】
ここで、上記操作受付時とは、第1または第2の暖房スイッチ4a,4bの押下操作に伴って、押しボタン式の開閉器6の接点が接触してマイコン81に接点信号(Lo信号)が与えられている状態をいう。したがって、たとえば、第1または第2の暖房スイッチ4a,4bの押下操作を数秒間継続するような場合には、この操作が継続されている間(つまり、マイコン81にLo信号が入力されている間)は常に操作受付時となる。
【0033】
ところで、
図1に示す遠隔操作装置1は、小型化、薄型化の要請に応えるように設計されており、そのため音源部7である圧電ブザー71が上記暖房スイッチ4aの下方に重なるように配置せざるを得ない状況になっている。具体的には、
図1に示すように、圧電ブザー71の上方に第1の暖房スイッチ4aの可動部5の一部が重なるように配設されている。
【0034】
図2は、その様子を模式的に示しており、このように圧電ブザー71の上方に第1の暖房スイッチ4aの可動部5の一部が重なって配設されている場合、第1の暖房スイッチ4aの押下操作に伴って可動部5が押下げられると、圧電ブザー71と可動部5との間の空間(隙間)が狭くなってしまう。そのため、この状態で圧電ブザー71から設定音量で操作受付音が出力されると、その音は可動部5の影響を受けて音割れを起こしてしまうおそれがある。
【0035】
そのため、本実施形態に示す遠隔操作装置1では、このように可動部5が圧電ブザー71に接近することによって生じる音割れを軽減するために、制御部8は、圧電ブザー71の上方に配置されている第1の暖房スイッチ4aが操作されたときと、そうでない第2の暖房スイッチ4bが操作されたときとで、操作受付音の音量を変えるようにしている。
【0036】
すなわち、マイコン81は、第1の暖房スイッチ4a側の押しボタン式の開閉器6の操作を受け付けた時は、第2の暖房スイッチ4b側の押しボタン式の開閉器6の操作を受け付けたときに比べて、圧電ブザー71から出力される操作受付音の音量が小さくなるように、圧電ブザー71に印加するパルス信号の周波数を変更するように構成されている(音割れ防止制御)。
【0037】
具体的には、この音割れ防止制御にあたり、本実施形態では、マイコン81は、圧電ブザー71に対して1kHzのパルス信号を印加するように構成されている。つまり、音割れ防止制御時には、圧電ブザー71から約70dB(
図3参照)の音量で操作受付音が出力されるようになっている。
【0038】
なお、音割れ防止制御時において圧電ブザー71に印加するパルス信号の周波数は、使用する圧電ブザー71の周波数−音量特性に応じて適宜設定される。本実施形態では、圧電ブザー71の周波数−音量特性は
図3に示すようになっているので、ここでは出力音量が80dBよりも小さくなり、かつ、制御が容易な周波数である1kHzを採用している。したがって、音割れの発生が少ない周波数(出力音量が80dBよりも小さくなる周波数)であれば1kHz以外の周波数を採用してもよい。
【0039】
このように、本発明を適用した遠隔操作装置1では、圧電ブザー71の上方に可動部5が配置された押しボタン式の開閉器6の操作(つまり、第1の暖房スイッチ4aの操作)をマイコン81が受け付けたときの操作受付音の出力音量が、他の押しボタン式の開閉器6の操作(つまり、第2の暖房スイッチ4bの操作)を受け付けた時の操作受付音よりも小さくなるように制御されるので、第1の暖房スイッチ4aの操作に伴う操作受付音の音割れが軽減される。
【0040】
なお、この音割れ防止制御は、圧電ブザー71の上方に可動部5が配置された第1の暖房スイッチ4aが押下状態にあるときのみ行われれば十分であるので、本実施形態では、マイコン81は、第1の暖房スイッチ4a側の押しボタン式の開閉器6からの接点信号が解除される(つまり、接点信号がLoからHiに反転する)と音割れ防止制御は停止され、圧電ブザー71に対する制御は通常の制御に復帰するように構成されている。
【0041】
したがって、たとえば、上記操作受付音が第1の暖房スイッチ4aの操作時間(押下している時間)よりも長くなる場合、換言すれば、マイコン81が第1の暖房スイッチ4a側の開閉器6の操作受付を終了した後も操作受付音の出力が継続されるような場合には、当該開閉器6の操作受付終了後に出力される操作受付音は、マイコン81に設定されている設定音量(本実施形態では約80dB)に変更される。つまり、圧電ブザー71を鳴動させるパルス信号(ブザー出力信号)が音割れ防止制御時の1kHzから通常制御時の2kHzに復帰する(
図4参照)。
【0042】
実施形態2
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、上述した音割れ防止制御における圧電ブザー71の出力音量を変更するとともに、スイッチの操作受付終了後にも操作受付音を出力するように構成している。その他の点は上述した実施形態1と共通するので、構成が共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
すなわち、この第2の実施形態では、マイコン81は、音割れ防止制御時の圧電ブザー71の出力音量を最小にするとともに、音割れ防止制御のきっかけとなった開閉器6の操作受付終了後(つまり、第1の暖房スイッチ4aの操作終了後)に改めて圧電ブザー71から設定音量で操作受付音を出力させるように構成されている。
【0044】
つまり、この第2の実施形態では、マイコン81は、第1の暖房スイッチ4a側にある押しボタン式の開閉器6の操作受付時における操作受付音の出力音量をたとえばゼロ(無音)とし、この操作受付が終了したときに約80dBの音量で操作受付音を出力するように構成されるている。ここで、音割れ防止制御時の音量を無音としているのは、マイコン81で制御可能な音量範囲のうちで無音が最小音量となるからである。
【0045】
このように、第2の実施形態では、第1の暖房スイッチ4aが操作されたときの操作受付音は無音とされるが、その操作後に所定音量で操作受付音を出力するので、実施形態1のように音割れ防止制御によって音量を下げたときには聞き逃しやすくなる操作受付音を確実に聴取できるようにすることができる。
【0046】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0047】
たとえば、上述した実施形態では、本発明を温水床暖房装置の遠隔操作装置に適用した場合を示したが、本発明は温水床暖房装置に限らず、給湯装置や給湯暖房装置のような熱源機や、さらには熱源機以外の他の機械器具など操作装置に適用することができる。すなわち、本発明は、制御部8と、可動部5の押下によって上記制御部8に操作が受付けられる押しボタン式の開閉器6を備えた操作部4と、上記制御部8の制御を受けて音を発生させる音源部7とを有する操作装置であれば温水暖房装置に限らず適用することができ、これにより給湯装置などの熱源機等においても小型化・薄型化の要請を満たしつつ、操作部の操作受付音等の音割れを軽減できる操作装置を提供することができる。
【0048】
また、上述した実施形態では、上記音源部7として圧電ブザー71を用いた場合を示したが、本発明は操作部4の押下操作によって音割れが発生するおそれのある音源であれば圧電ブザー71以外の音源(たとえば、スピーカ)にも適用することができる。すなわち、たとえば、スピーカから音を出力しているときに当該スピーカの上方に配設された操作部4が操作されたときには、スピーカから出力される音が小さくなるように制御することができる。これにより、たとえば、スピーカを用いて音声ガイダンスを行う操作装置やスピーカから通話音声などを出力するように構成された操作装置においても本発明を適用することができる。