(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136301
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】原子力設備用観察装置及び原子力設備用観察システム
(51)【国際特許分類】
G21C 17/00 20060101AFI20170522BHJP
G03B 15/02 20060101ALI20170522BHJP
G03B 37/00 20060101ALI20170522BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20170522BHJP
H04N 5/335 20110101ALI20170522BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
G21C17/00 A
G03B15/02 G
G03B37/00 A
G03B15/00 W
G03B15/00 T
H04N5/335
H04N5/225 Z
H04N5/225 D
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-14097(P2013-14097)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-145646(P2014-145646A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年11月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
(72)【発明者】
【氏名】松尾 研吾
(72)【発明者】
【氏名】今堀 敬三
【審査官】
山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−051971(JP,A)
【文献】
特開平08−029579(JP,A)
【文献】
特開2007−132769(JP,A)
【文献】
特開平02−110505(JP,A)
【文献】
特開平11−216113(JP,A)
【文献】
特開2003−204934(JP,A)
【文献】
特開2011−206077(JP,A)
【文献】
特開2010−069217(JP,A)
【文献】
特開昭60−073610(JP,A)
【文献】
国際公開第2005/032356(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 17/00
G03B 15/00
G03B 15/02
G03B 37/00
H04N 5/225
H04N 5/335
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察する原子力設備用観察装置であって、
金属により構成された装置外殻と、
前記装置外殻に設けられ、前記原子力設備内の暗所を撮像する全方位カメラと、
前記装置外殻における前記全方位カメラの周囲に円周方向に間隔を置いて配設され、前記全方位カメラの撮像範囲を照明する複数の光源と、
前記装置外殻に前記全方位カメラを覆うように設けられ、複数の前記光源の照射範囲から外れた位置に位置し、透過性材料により構成されたカメラ保護カバーと、
前記装置外殻に複数の前記光源を覆うように前記カメラ保護カバーと別個に設けられ、前記全方位カメラの撮像範囲から外れた領域に位置し、透過性材料により構成された光源保護カバーと、を具備した、原子力設備用観察装置。
【請求項2】
更に、前記装置外殻の先端面に突出部が設けられ、
前記全方位カメラは、前記突出部に設けられ、
複数の前記光源は、前記装置外殻の先端面に配設されている、請求項1に記載の原子力設備用観察装置。
【請求項3】
前記光源は、前記装置外郭の軸心に対して角度をつけて配設されている、請求項1又は請求項2に記載の原子力設備用観察装置。
【請求項4】
前記カメラ保護カバーの外表面及び内表面の表面粗さは、算術平均粗さRaで、前記光源から照射される光の波長の半分以下に設定されている、請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の原子力設備用観察装置。
【請求項5】
前記カメラ保護カバーの外表面にハードコートが形成されている、請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の原子力設備用観察装置。
【請求項6】
前記光源は、前記装置外殻に金属ブラケットを介して設けられたLED基板と、前記LED基板に設けられかつ電気を光に変換するLEDとを備えたLED光源である、請求項1から請求項5のうちのいずれか1項の請求項に記載の原子力設備用観察装置。
【請求項7】
放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察して、観察画像を表示する原子力設備用観察システムであって、
請求項1から請求項6のうちのいずれか1項の請求項に記載の原子力設備用観察装置と、
前記全方位カメラからの画像信号に基づいて画像処理を行う制御ユニットと、
前記制御ユニットによって画像処理された観察画像を表示するモニタと、を具備した、原子力設備用観察システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察(撮像観察)する原子力設備用観察装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所等の原子力設備に想定外の事故等の不具合が発生し、原子力設備内の照明装置が停止した場合には、原子力設備の損傷箇所を特定するために、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察することが必要になる。一方、従来においては、前述のような場合を想定しておらず、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察する専用の観察装置について十分な開発がされていなかった。
【0003】
なお、本発明に関連する先行技術としては特許文献1及び特許文献2に示すものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−26692号公報
【特許文献2】特開2011−209611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、専用の観察装置が放射性物質に汚染された環境で使用されることになるため、専用の観察装置におけるカメラ、光源等の光学部品の寿命も短く、専用の観察装置による1回の観察(撮像)でより多くの情報量を入手する必要がある。また、専用の観察装置を原子力設備内の暗所の所定箇所に移送するときに、専用の観察装置が原子力設備内の障害物等に衝突(接触)することが想定されるため、専用の観察装置における光学部品を原子力設備内の障害物等から保護して、専用の観察装置の耐衝撃性を十分に確保する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、1回の観察でより多くの情報量を入手しかつ耐衝撃性を十分に確保しつつ、観察画像(撮像画像)の鮮明度を高めることができる原子力設備用観察装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の
態様は、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察(撮像観察)する原子力設備用観察装置
であって、金属により構成された装置外殻(装置ベース)と、前記装置外殻に設けられ、前記原子力設備内の暗所を撮像する全方位カメラと、前記装置外殻における前記全方位カメラの周囲に円周方向に間隔を置いて配設され、前記全方位カメラの撮像範囲を照明する複数の光源と、前記装置外殻に前記全方位カメラを覆うように設けられ、複数の前記光源の照射範囲から外れた位置に位置し、透過性材料により構成されたカメラ保護カバーと、前記装置外殻に複数の前記光源を覆うように前記カメラ保護カバーと別個に設けられ、前記全方位カメラの撮像範囲から外れた領域に位置し、透過性材料により構成された光源保護カバーと、を具備したこと
である。
【0008】
なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意であって、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意である。
【0009】
本発明の第1の
態様によると、前記原子力設備用観察装置を前記原子力設備内の暗所の所定箇所に移送する。そして、複数の前記光源によって前記全方位カメラの撮像範囲を照明しつつ、前記全方位カメラによって前記原子力設備内の暗所を撮像する。これにより、放射性物質に汚染された前記原子力設備内の暗所を観察して、前記原子力設備の損傷箇所を特定することができる。
【0010】
ここで、前記原子力設備用観察装置は通常のカメラよりも撮像範囲の広い前記全方位カメラを構成要素として用いているため、前記原子力設備用観察装置による1回の観察範囲を十分に広げることができる。また、前記装置外殻に前記カメラ保護カバーが前記全方位カメラを覆うように設けられ、前記装置外殻に前記光源保護カバーが複数の前記光源を覆うように設けられているため、前記全方位カメラ及び複数の前記光源を前記原子力設備内の障害物等から保護することができる。
【0011】
前記光源保護カバーが前記全方位カメラの撮像範囲から外れた領域に位置してあるため、前記光源保護カバーが前記全方位カメラの視野を阻害することがない。また、前記カメラ保護カバーが複数の前記光源の照射範囲から外れた位置に位置してあるため、複数の前記光源から照射された光が前記カメラ保護カバーに直接入射することはない。更に、前記光源保護カバーが前記カメラ保護カバーと個別に設けられているため、複数の前記光源に発生した熱によって前記光源保護カバー内の温度が上昇し、外気との温度差によって前記光源保護カバーの内表面(内側面)が曇っても、前記カメラ保護カバーの内表面が曇ることがない。
【0012】
本発明の第2の
態様は、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所を観察して、観察画像を表示する原子力設備用観察システム
であって、本発明の第1の特徴からなる原子力設備用観察装置と、前記全方位カメラからの画像信号(画像データ)に基づいて画像処理を行う制御ユニット(画像処理部)と、前記制御ユニット画像処理された観察画像を表示するモニタ(表示部)と
、を具備したこと
である。
【0013】
本発明の第2の
態様によると、本発明の第1の
態様による作用の他に、複数の前記光源によって前記全方位カメラの撮像範囲を照明しつつ、前記全方位カメラによって前記原子力設備内の暗所を撮像した後に、前記制御ユニットによって前記全方位カメラからの画像信号に基づいて画像処理を行い、前記モニタによって観察画像を表示する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記原子力設備用観察装置による1回の観察範囲を十分に広げると共に、前記全方位カメラ及び複数の前記光源を前記原子力設備内の障害物等から保護できるため、前記原子力設備用観察装置による1回の観察でより多くの情報量を入手すると共に、前記原子力設備用観察装置の耐衝撃性を十分に確保することができる。
【0015】
前記光源保護カバーが前記全方位カメラの視野を阻害すること、複数の前記光源から照射された光が前記カメラ保護カバーに直接入射すること、及び複数の前記光源に発生した熱によって前記カメラ保護カバーの内表面が曇ることがそれぞれないため、前記全方位カメラの視野を十分に確保した上で、前記全方位カメラの撮像画像の鮮明度、換言すれば、前記原子力設備用観察装置の観察画像の鮮明度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る原子力設備用観察装置の断面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図2(b)における矢視部IIAを示す図、
図2(b)は、本発明の実施形態に係る原子力設備用観察装置の主要部の拡大断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る原子力設備用観察システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について
図1から
図3を参照して説明する。
【0018】
図1及び
図3に示すように、本発明の実施形態に係る原子力設備用観察装置1は、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所DPを観察(撮像観察)する装置である。また、原子力設備用観察装置1は、原子炉設備内のコンクリート床3の穿孔5の周縁に設置した作業ロボット7の操作によって、原子力設備内の暗所DPの所定箇所に移送されるものである。そして、原子力設備用観察装置1の具体的な構成は、次のようになる。
【0019】
図1及び
図2(a)(b)に示すように、原子力設備用観察装置1は、円筒状の装置外殻(装置ベース)9を具備しており、この装置外殻9は、ステンレス等の金属により構成されている。また、装置外殻9の先端面の中央には、円筒状の突出部11が形成されている。
【0020】
装置外殻9の突出部11には、原子力設備内の暗所DPを撮像する全方位カメラ13が設けられている。また、全方位カメラ13は、市販されている公知の監視カメラと同様の構成からなり、パンチ・チルト等の可動部分がなく、円錐状、双曲面上状、放物面状、球面状等の回転対称球面ミラー(図示省略)を備えている。
【0021】
装置外殻9の先端面における全方位カメラ13の周囲には、全方位カメラ13の撮像範囲を照明する複数のLED光源(光源の一例)15が円周方向に間隔を置いて配設されている。また、各LED光源15は、装置外殻9の先端面に金属ブラケット17を介して設けられたLED基板19と、LED基板19に設けられかつ電気を光に変換するLED(発光ダイオード)21とを備えている。更に、各LED21(各LED基板19)の装置外殻9の軸心に対する配設角度は、全方位カメラ13の撮像範囲TAを照明できるように設定されており、装置外殻9の突出部11の外周面は、LED光源15から照射される光の遮蔽板としての機能を有している。なお、LED光源15の個数、LED21の配設角度を変更したり、複数のLED光源15の代わりに複数の赤外光源(図示省略)を用いたりしても構わない。
【0022】
装置外殻9の突出部11には、ドーム状のカメラ保護カバー23が全方位カメラ13を覆うように設けられている。また、カメラ保護カバー23は、複数のLED光源15の照射範囲BAから外れた位置に位置しており、アクリル等の透過性材料により構成されている。そして、カメラ保護カバー23の外表面(外側面)及び内表面(内側面)の表面粗さは、研磨剤による研磨処理によって、日本工業規格で規定する算術平均粗さRaで0.2μm以下、換言すれば、LED光源15から照射される光の波長(0.4〜0.7μm)の半分以下に設定されている。更に、カメラ保護カバー23の外表面には、ハードコート剤の塗布及び硬化処理によってハードコート(耐擦傷コート)25が形成されており、本発明の実施形態にあっては、ハードコート剤としては透明性及び耐擦傷性に優れたシリコン系ハードコート剤を用いている。なお、カメラ保護カバー23からハードコート25を省略しても構わない。
【0023】
装置外殻9の先端面には、環状の光源保護カバー27が複数のLED光源15を覆うようにカメラ保護カバー23と別個に設けられている。また、光源保護カバー27は、全方位カメラ13の撮像範囲TAから外れた領域に位置しており、アクリル等の透過性材料により構成されている。なお、光源保護カバー27の外表面にハードコート剤の塗布及び硬化処理によってハードコート(図示省略)が形成されるようにしても構わない。
【0024】
続いて、
図3を参照して、本発明の実施形態に係る原子力設備用観察システム29について説明する。
【0025】
本発明の実施形態に係る原子力設備用観察システム29は、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所DPを観察して、観察画像を表示するシステムであって、原子力設備用観察装置1を具備する他に、次のような構成を有している。
【0026】
原子力設備の外側EPには、全方位カメラ13からの画像信号(画像データ)に基づいて画像処理を行う制御ユニット31が配設されている。また、原子力設備の外側EPにおける制御ユニット31の近傍には、制御ユニット31によって画像処理された観察画像を表示するモニタ33が配設されており、このモニタ33は、制御ユニット31に電気的に接続されている。そして、原子力設備用観察装置1と制御ユニット31との間には、ケーブル35が接続するように設けられており、このケーブル35は、全方位カメラ13と複数のLED光源15に電力を供給するための電線37、及び全方位カメラ13と制御ユニット31の間で信号(画像信号及び制御信号)に伝送するための信号線39が内包されている。
【0027】
続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。
【0028】
作業ロボット7を適宜に操作することにより、原子力設備用観察装置1を原子力設備内の暗所DPの所定箇所に移送する。そして、複数のLED光源15によって全方位カメラ13の撮像範囲TAを照明しつつ、全方位カメラ13によって原子力設備内の暗所DPを撮像する。続いて、制御ユニット31によって全方位カメラ13からの画像信号に基づいて画像処理を行い、モニタ33によって観察画像を表示する。これにより、放射性物質に汚染された原子力設備内の暗所DPを観察して、原子力設備の損傷箇所を特定することができる。
【0029】
ここで、原子力設備用観察装置1は通常のカメラよりも撮像範囲の広い全方位カメラ13を構成要素として用いているため、原子力設備用観察装置1による1回の観察範囲を十分に広げることができる。また、装置外殻9の突出部11にドーム状のカメラ保護カバー23が全方位カメラ13を覆うように設けられ、装置外殻9の先端面に環状の光源保護カバー27が複数のLED光源15を覆うように設けられているため、全方位カメラ13及び複数のLED光源15を原子力設備内の障害物等から保護することができる。
【0030】
光源保護カバー27が全方位カメラ13の撮像範囲TAから外れた領域に位置してあるため、光源保護カバー27が全方位カメラ13の視野を阻害することがない。また、カメラ保護カバー23が複数のLED光源15の照射範囲BAから外れた位置に位置してあるため、複数のLED光源15から照射された光がカメラ保護カバー23に直接入射することはない。更に、光源保護カバー27がカメラ保護カバー23と個別に設けられているため、複数のLED光源15(LED21)に発生した熱によって光源保護カバー27内の温度が上昇し、外気との温度差によって光源保護カバー27の内表面が曇っても、カメラ保護カバー23の内表面が曇ることがない。そして、カメラ保護カバー23の外表面及び内表面の表面粗さがLED光源15から照射される光の波長の半分以下に設定されているため、複数のLED光源15から照射された光の反射光がカメラ保護カバー23に入射する際に、反射光の散乱を十分に低減することができる。特に、カメラ保護カバー23の外表面にハードコート25が形成されているため、カメラ保護カバー23の外表面に傷が付くことを防止して、反射光の散乱をより十分に低減することができる。
【0031】
各LED光源15におけるLED基板19が装置外殻9の先端面に金属ブラケット17を介して設けられているため、換言すれば、各LED光源15におけるLED基板19が装置外殻9に伝熱できるように結合されているため、複数のLED光源15(LED21)に発生した熱を外気に放熱(散熱)することができる。
【0032】
従って、本発明の実施形態によれば、原子力設備用観察装置による1回の観察範囲を十分に広げると共に、全方位カメラ13及び複数のLED光源15を原子力設備内の障害物等から保護できるため、原子力設備用観察装置1による1回の観察でより多くの情報量を入手すると共に、原子力設備用観察装置1の耐衝撃性を十分に確保することができる。
【0033】
光源保護カバー27が全方位カメラ13の視野を阻害すること、複数のLED光源15から照射された光がカメラ保護カバー23に直接入射すること、及び複数のLED光源15に発生した熱によってカメラ保護カバー23の内表面が曇ることがそれぞれないため、全方位カメラ13の視野を十分に確保した上で、全方位カメラ13の撮像画像の鮮明度、換言すれば、原子力設備用観察装置1の観察画像の鮮明度を高めることができる。更に、複数のLED光源15から照射された光の反射光がカメラ保護カバー23に入射する際に、反射光の散乱をより十分に低減できるため、原子力設備用観察装置1の観察画像の鮮明度をより高めることができる。
【0034】
複数のLED光源15に発生した熱を外気に放熱できるため、複数のLED光源15の温度上昇による劣化を抑えることができる。
【0035】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、例えば、装置外殻9の突出部11に全方位カメラ13が設けられる代わりに、装置外殻9に複数のCCDカメラ(図示省略)が設けられる等、その他、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0036】
DP 原子力設備内の暗所
1 原子力設備用観察装置
3 コンクリート床
5 穿孔
7 作業ロボット
9 装置外殻
11 突出部
13 全方位カメラ
TA 全方位カメラの撮像範囲
15 LED光源
BA LED光源の照射範囲
17 金属ブラケット
19 LED基板
21 LED
23 カメラ保護カバー
25 ハードコート
27 光源保護カバー
29 原子力設備用観察システム
31 制御ユニット
33 モニタ
35 ケーブル
37 電線
39 信号線