【実施例1】
【0012】
図1は本発明の空気調和機の室内機1の外観斜視図であり、
図2は室内機1の中央部の垂直断面図であり、
図3は室内機の一部を分解した図である。本発明の室内機1は、主に空調室の天井近くの壁面に取り付けられ、
図1乃至
図3に示すように本体ユニット2と、本体ユニット2の左右両側に取り付けた1対のファンユニット50、51とからなる。また、ファンユニット50、51はどちらか一方だけ設けても良い。
【0013】
<本体ユニット>
本体ユニット2は横長の矩形状であり、内部には本体と平行に横長のクロスフローファンタイプの第1送風ファン20と第1送風ファン20の周囲を囲む熱交換器21を備える。第1送風ファン20は本体ユニット2の片側で図示しない第1ファンモータに軸支される。第1ファンモータと熱交換器21は、ケーシング23に支えられ、ケーシング23は後述する吸込口24と吹出口25を結ぶ送風路26を形成する。
本体ユニット2の外郭は熱交換器21の前面側と天面を覆うメインフレーム27と、送風路26の出口である吹出口25に取り付けられ運転停止状態の時は吹出口25を塞ぐ上風向板28aと下風向板28bからなる風向板28と、下風向板28bよりも底面でケーシング23を塞ぐ底板29と、メインフレーム27の前面に覆い被さる前面パネル30で構成される。前面パネル30の前面には、着脱自在な吸込パネル31が設けられている。吸込パネル31の表面はフラットな面で構成され、
図1のように本体ユニット2の前面側とファンユニット50、51の前面側を覆い隠す。これにより在室者は前面視で吸込パネル31と風向板28だけが視認でき、インテリアに馴染むシンプルな意匠が形成される。
また、メインフレーム27に設けた開口と前面パネル30と吸込パネル31の上端に設けた隙間が吸込口24となる。
【0014】
尚、
図1において室内機1の吸込パネル31のある面を前面とし、前面の対面を背面とし、ファンユニット50側を右側面とし、ファンユニット51側を左側面として以下説明する。
【0015】
本体ユニット2は第1ファンモータの回動により第1送風ファン20が回転することで吸込口24から取り入れられた室内空気を、熱交換器21で冷媒と熱交換して冷気または暖気に換え送風路26を通過して吹出口25から上風向板28aと下風向板28bで風向調整をして空調室に吹き出す。
【0016】
<側面カバー>
本体ユニット2の左右両側には、それぞれ側面カバー40、41を備える。側面カバー40、41は本体ユニット2と一体で本体ユニット2の側面の外郭を構成する部品でも良いし、別体の部品を本体ユニット2に取り付けてもよい。
側面カバー40は本体ユニット2の右側面側に備えられファンユニット50を取り付ける。側面カバー41は本体ユニット2の左側面側に備えられファンユニット51を取り付ける。側面カバー40と側面カバー41は略対称形であるため、ここでは側面カバー40について説明する。
側面カバー40は、
図1と
図3と
図4に示すように本体ユニット2のメインフレーム27の天面27aと同一面となるように形成された天面部42と、天面部42に続いて形成され前面の中央まで延びる前面部421と、底板29と同一面となるように形成された底面部43と、前面パネル30の側面30aの端に取り付けられ側面30aと同一面になり本体ユニット2の側面を塞ぐ壁面部44と、天面部42と底面部43を結んだ垂直面に設けられ本体ユニット2の外壁面となる外壁面部45と、壁面部44と外壁面部45の内側を連結し、前面部421の下端421aと底面部43の前端43aを繋ぐ内壁面部46とからなり、壁面部44と外壁面部45と内壁面部46によりできる空間がファンユニット取付部47となる。
側面カバー40の前面部421と底面部43の間で前面から底面に掛けては開口部47aがある。
外壁面部45には中央に複数の桟48が設けられ、桟48と桟48の間の開口が補助吸込口49となる。補助吸込口49の前面寄りで桟48と外壁面部45の間の開口されたフィルター挿入口48aにはファンユニット用フィルター90が挿入される。
【0017】
<ファンユニット>
ファンユニット50、51は、
図1と
図3に示すように側面カバー40に取り付けられるファンユニット50と、側面カバー41に取り付けられるファンユニット51の一対のファンユニット50、51で構成される。ファンユニット50とファンユニット51は対称形であるため、ここではファンユニット50を説明する。
ファンユニット50は、本体ユニット2に対して回動可能となるように、側面カバー40の壁面部44に支持される。ここではファンユニット50は本体ユニット2の側面である壁面部44に交差し、第2送風ファン63を回転させる第2ファンモータ61の駆動軸61a線上に合わせた仮想の回転軸回りで
図4から
図6(B)に示すように水平位置から下方へ回動可能となる。本実施例においてファンユニット50の仮想の回転軸は水平軸線52とする。
ファンユニット50は、
図3に示す駆動軸61aを備えた第2ファンモータ61を固定した図示しないモータ取付板が、側面カバー40の壁面部44に対向する左側面部505に固定される。モータ取付板には他に図示しないステッピングモータが固定され、ステッピングモータの回転でファンユニット50が水平線軸52を回動の中心として回動するようにした回動機構を備える。
【0018】
ファンユニット50は、
図3と
図4に示すように内部に第2送風ファン63を備える。第2送風ファン63は円柱型の周囲に羽根63aを備え中央部がドーム型63bをした所謂シロッコファンが用いられる。ドーム型63bの内側に第2ファンモータ61が収納され、第2ファンモータ61の駆動軸61aにより第2送風ファン63が回転する。
ファンユニット50は、第2送風ファン63の周囲に送風路70を備える。送風路70は、
図4においては第2送風ファン63に沿って徐々に半径を大きくして前方に延びるノズル71を備え出口側に補助吹出口54を有する。補助吹出口54はファンユニット50の前面側の前面部501に位置する。尚、ファンユニット50の前面部501と吸込パネル31の間には、ファンユニット50の回動を妨げないための間隙Gが設けられている。補助吹出口54には補助風向板60を備える。補助風向板60の上部には送風路70の壁を挟んで補助風向板60を駆動する補助風向板用モータ60aが備わる。
ファンユニット50は
図4においては水平位置となっており、吸込パネル31は、本体ユニット2の前面側とファンユニット50の補助吹出口54までを覆い隠すことになる。
補助吹出口54が吸込パネル31の裏面に収容されることで、補助吹出口54を塞ぐ機構がなくても補助吹出口54内に埃が侵入することを防ぐことができるとともに、在室者からは補助吹出口54が視認されなくなり、室内機1の美観の向上が図れる。
【0019】
ファンユニット50の外郭は、
図3に示すように内部に第2送風ファン63と送風路70を包み込む。前面部501には補助吹出口54が位置する。
図1に示すファンユニット50が水平位置の時に、ファンユニット50の底面部502は、本体ユニット2と同一面に見えるように本体ユニット2に合わせた形で形成され、底面部502の前端502aは、補助吹出口54よりも前方に延出して、間隙Gを塞ぐように吸込
パネル31の下端31aに近接する。これにより、間隙Gは在室者に視認されなくなる。
また、
図3に示すように側面カバー40の外壁面部45に対向するファンユニット50の右側面部504は平滑面で形成され、第2送風ファン63に合わせた円形の開口部55を有する。側面カバー40の補助吸込口49から取り込まれた室内空気は開口部55から第2送風ファン63に流入する。
また、壁面部44に対向するファンユニット50の左側面部505も平滑面で形成され上述したモータ取付板が備わる。
【0020】
図4において、ファンユニット取付部47に収容された部分のファンユニット50の外郭は、補助風向板用モータ60aの上部で側面カバー40の前面部421の下端421aに近接する平面部506と、送風路70の上部を覆い水平線軸52とを結ぶ半径D1で形成される第1円周面507と、背面側に突出し水平線軸52とを結ぶ半径D2で形成される第2円周面508と、底面部502の背面側の端で側面カバー40の底面部43の前端43aと近接する角部503と水平線軸52とを結ぶ半径D3で形成される第3円周面509でなる。半径の大きさは半径D1<半径D3<半径D2で構成される。
第1円周面507と第2円周面508は水平線軸52から延長された線上に設けた平面で交わり、この平面がファンユニット50の下方への回動を規制する下方規制壁56となる。
また、第2円周面508と第3円周面509は水平線軸52から延長された線上に設けた平面で交わり、この平面がファンユニット50の上方への回動を規制する上方規制壁57となる。尚、平面部506も同様に上方への回動を規制する規制壁の役割を成す。
【0021】
側面カバー40の内壁面部46は、上述したファンユニット50の外郭に合わせ、ファンユニット50の平面部506と第1円周面507と下方規制壁56と第2円周面508と上方規制壁57と第3円周面509との間に回動に必要な隙間を設けて形成される。
尚、第1円周面507および第2円周面508に対向する面は、ファンユニット50の第2円周面508が回動できる空間461を設ける。また、
図4から
図6(B)までファンユニット50の下方規制壁56が下方へ60°回転した時に接する規制壁462を設ける。同様に、ファンユニット50の上方規制壁57に対向する規制壁463を設ける。
【0022】
次にファンユニット50の回動した状態について説明する。ファンユニット50は
図4の水平位置で補助吹出口54が吸込パネル31で覆い隠されている状態から、駆動機構により
図5の水平線軸52を中心に前面が下方に30度回転した状態、さらに
図6の水平線軸52を中心に前面が下方に最大60度まで回動することができる。尚、ここでは以下
図4から
図6へ前面が下方へ傾斜することを下流とし、逆に前面が上方へ戻ることを上流として説明する。
【0023】
図5は室内機1の暖房運転状態の時の一具体例を示す図である。暖房運転が設定されると本体ユニット2は風向板28が駆動し、冷媒と熱交換した暖気95を吹出口25から下方方向に空調室Rに向けて吹き出すとともに、ファンユニット50、51が水平線軸52回りで下流へ30°回動する。
ファンユニット50、51が回動すると、補助吹出口54が吸込パネル31の下端31aから現れる。補助吹出口54は本体ユニット2の吹出口25よりも上位に位置して補助吸込口49から取り込んだ室内空気Sを吹き出す。補助吹出口54には補助風向板用モータ60aで変位する補助風向板60が取り付けられる。補助風向板60は補助吹出口54から吹出される気流の向きを水平方向に偏向させることができる。
暖気95は、室内空気よりも軽いため徐々に上昇する。この場合にファンユニット50、51は吹出口25よりも上方に向けた補助吹出口54から室内空気Sを暖気95より上方に向けて吹き出す。室内空気Sは暖気95よりも冷たいため、暖気95は室内空気Sに抑えられてすぐに上昇せずに空調室Rに広く吹きわたるとともに、在室者Mには足元が温まり心地よい暖感を与えることができる。
【0024】
図6は室内機1の冷房運転状態の時の一具体例を示す図である。冷房運転が設定されると本体ユニット2は風向板28が駆動し、冷媒と熱交換した冷気96を吹出口25から水平方向に空調室Rに向けて吹き出すとともに、ファンユニット50、51が水平線軸52回りで下流へ最大60°まで回動する。
ファンユニット50、51が回動すると、補助吹出口54と平面部506の一部が吸込パネル31の下端31aから現れる。補助吹出口54は本体ユニット2の吹出口25よりも下方に突出し、補助吸込口49から取り込んだ室内空気Sを補助吹出口54から吹き出す。補助吹出口54には補助風向板用モータ60aで変位する補助風向板60が取り付けられる。補助風向板60は補助吹出口54から吹出される気流の向きを下方向に偏向させることができる。
冷気96は、室内空気よりも重いため徐々に下降する。この場合にファンユニット50、51は吹出口25よりも下方に突出した補助吸込口54から室内空気Sを下方に向けて吹き出す。室内空気Sは冷気96よりも暖かいため、冷気96は室内空気Sに押し上げられてすぐに下降せずに空調室Rに広く吹きわたるとともに、在室者Mには直接冷気が当たらないことで心地よい涼感を与えることができる。
【0025】
以上のように、本体ユニット2と、本体ユニット2の左右両側に取り付けられ、前面側に補助吹出口54を備えて回動するファンユニット50、51とからなる空気調和機の室内機1は、ファンユニット50、51が水平位置の時に、本体ユニット2の前面側とファンユニット50、51の補助吹出口54までを覆い隠す吸込パネル31を備えることで、補助吹出口54への埃の侵入を防ぐとともに、在室者からは補助吹出口54が視認されなくなり、空気調和機の美観の向上を図れる。
また、吸込パネル31は固定されているが、ファンユニットの前面部501と吸込パネル31の間には、ファンユニット50、51の回動を妨げないための間隙Gが設けられているため回動の支障にならない。
さらに、補助吹出口54が本体ユニット2の吹出口25よりも下方へ突出した位置に移動することで、送風路70のノズル71が長くなり風力が強くなり吹き出したい方向へ確実に送風することができ、吹出口25から吹き出された冷気96に大きく影響を与える。