特許第6136310号(P6136310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136310
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20060101AFI20170522BHJP
   G02B 7/36 20060101ALI20170522BHJP
   G03B 13/36 20060101ALI20170522BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20170522BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20170522BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G02B7/28 N
   G02B7/36
   G03B13/36
   G03B15/00 Q
   H04N5/232 H
   H04N5/225 F
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-17633(P2013-17633)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-149389(P2014-149389A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭
【審査官】 小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−097260(JP,A)
【文献】 特開2004−205792(JP,A)
【文献】 特開平11−177866(JP,A)
【文献】 特開2012−163940(JP,A)
【文献】 特開平08−015597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/28
G02B 7/36
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを通過してきた被写体からの光を受光する撮像素子と、
前記撮影レンズを移動させるレンズ移動手段と、
前記撮像素子から得た画像データによって焦点を決定する自動焦点検出手段とを備え、 前記自動焦点検出手段は、レリーズスイッチとは別の第2のスイッチにより焦点検出動作を行うことが可能であり、動画用の焦点検出手段と、静止画用の焦点検出手段とを有し、
前記動画用の焦点検出手段はさらに動画記録中か否かに応じて、前記第2のスイッチによる焦点検出動作を変更する焦点検出動作選択手段を有し、
前記動画用の焦点検出手段は、動画記録中において、動画記録中の焦点検出動作を維持する維持モードのオン/オフおよび前記第2のスイッチの操作に基づいて、前記レンズ移動手段による移動を停止、ウォブリング再開/継続処理、再度焦点検出、または焦点検出動作終了処理の何れかの動作を選択できることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記自動焦点検出手段の前記動画用の焦点検出手段は動画記録中にAF動作を継続して行うコンティニュアスAF機能を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記維持モードがオンのとき、前記第2のスイッチにおいて、押下する毎に排他的に切り替えるスイッチ押下排他処理判定手段を有し、スイッチ押下に応じて、ウォブリング再開処理、ウォブリング継続処理、または焦点検出動作終了処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記維持モードがオフのとき、前記第2のスイッチにおいて、押下し続けているか否かを判断するスイッチ押下継続状態判定手段を有し、状態として押下し続けている場合には、焦点検出状態に応じて停止、ウォブリング再開処理、または再度焦点検出を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2のスイッチにおいて、スイッチ押下排他処理判定手段かスイッチ押下継続状態判定手段かのいずれを行うか否かを選択する、スイッチ押下維持判定手段を有することを特徴とする請求項3および4に記載の撮像装置。
【請求項6】
再度焦点検出を行う際に画像データ内の被写体を追尾しながら被写体周辺を範囲として前記撮影レンズを移動させて画像データを取得することで、焦点検出を行う追尾焦点検出を行うことを特徴とする請求項1〜に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第2のスイッチ付近にレバーを設け、前記レバーの位置により前記レンズ移動手段による前記何れかの動作を選択することが可能な請求項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記レバーによって、AF動作を継続して行うコンティニュアスAF機能に設定されている場合において、通常AF動作を可能とし前記通常AF動作の後、そのフォーカス位置からウォブリングを再開することを特徴とする請求項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、より詳しくはデジタルカメラ、カメラ付き携帯電話、PDA等の携帯機器の撮像機能に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラには、ビデオカメラのような動画を撮影することが可能で、さらに記録中にAFを行えるようなものが普及している。しかしながら、フォーカス制御として本来デジタルスチルカメラで可能であった機能、たとえばAF結果を固定するような動作(置きピン)を行う際に、わずらわしい設定を行わなければならないことが多々あり、操作性として改善が望まれていた。
【0003】
例えば、図24がそういったシーンである。図24a)の場合に関しては、被写体が移動してしまうため、中央にAFエリアを設定しておくと後ピン状態(背景側に合焦)になってしまい、図24b)の場合に関しては、対象となる被写体(人形)が右側にあるが、デジタルスチルカメラとしては背景に合わせたいのか、被写体に合わせたいかがわからないため後ピン状態(背景側に合焦)になってしまう。
【0004】
特許文献1に記載の技術は、静止画用と動画用とでそのスキャン範囲を狭くし動画記録時にフォーカス駆動の画角変動を少なくすることを特徴とするものである。しかしながら、この技術のみであると先述したような置きピン等、環境に合わせたフォーカス動作を行うには不十分である。特許文献2に記載の技術は、静止画撮影する際の焦点検出時に、AF範囲を変更しながら、被写体を追尾し合焦させるという技術である。
【0005】
また、デジタルスチルカメラにおいて、AFに特化してボタンを具備するもの(以下AFボタンと呼ぶ)も存在しており、従来では撮影時にレリーズスイッチに連動してAFを行うようにしているものを、それ以外のボタンで動作させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−301378号公報
【特許文献2】特開2012−002951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような構成では、レリーズスイッチとAF動作のスイッチとが分離しておらず、操作上使い勝手が悪いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、上記のような問題を解決すべく、AFボタンの機能を拡張させ、静止画撮影時、動画記録中前後において使い勝手を向上させるような撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1にかかる撮像装置によれば、撮影レンズを通過してきた被写体からの光を受光する撮像素子と、撮影レンズを移動させるレンズ移動手段、撮影素子から得た画像データによって焦点を決定する自動焦点検出手段を有する撮像装置において、自動焦点検出手段は、レリーズスイッチとは別の第2スイッチにより焦点検出動作を行うことが可能であり、動画用の焦点検出手段、静止画用の焦点検出手段を有し、動画用の焦点検出手段はさらに動画記録中か否かに応じて、上記第2のスイッチによる焦点検出動作を変更する焦点検出動作選択手段を有することを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0010】
また請求項2にかかる撮像装置によれば請求項1に記載の撮像装置において、自動焦点検出手段の動画用の焦点検出手段は動画記録中にAF動作を継続して行うことを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0011】
また請求項3にかかる撮像装置によれば、請求項1、2に記載の撮像装置において、動画記録中においては、レンズ移動手段による移動を停止、再開処理、または再度焦点検出のいずれかの動作を選択できることを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0012】
また請求項4にかかる撮像装置によれば、請求項1、2に記載の撮像装置において、上記第2のスイッチにおいて、押下する毎に排他的に切り替えるスイッチ押下排他処理判定手段を有し、スイッチ押下に応じて停止、再開処理、または再度焦点検出を行うことを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0013】
また請求項5にかかる撮像装置によれば、請求項1、2に記載の撮像装置において、上記第2のスイッチにおいて、押下し続けているかどうかを判断するスイッチ押下継続状態判定手段を有し、状態として押下し続けている場合には、焦点検出状態に応じて停止、再開処理、または再度焦点検出を行うことを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0014】
また請求項6にかかる撮像装置によれば、請求項1〜4に記載の撮像装置において、上記第2のスイッチにおいて、スイッチ押下排他処理判定手段かスイッチ押下継続状態判定手段のいずれかを行うか否かを選択する、スイッチ押下維持判定手段を有することを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0015】
また請求項7にかかる撮像装置によれば、請求項1〜6に記載の撮像装置において、再度焦点検出を行う際に画像データ内の被写体を追尾しながら被写体周辺を範囲として撮影レンズを移動させて画像データを取得することで、焦点検出を行う追尾焦点検出を行うことを特徴とした撮像装置を提供することが可能となる。
【0016】
また請求項8にかかる撮像装置によれば、第2のスイッチ付近にレバーを設け、レバーの位置によりレンズ移動手段による動作を選択することが可能となる撮像装置を提供することが可能となる。
【0017】
また請求項9にかかる撮像装置によれば、レバーによって、AF動作を継続して行うコンティニュアスAF機能に設定されている場合において、意図的に通常AF動作を可能とし、通常AF動作の後そのフォーカス位置からウォブリングを再開する構成としても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、AFボタンの機能を拡張させ、静止画撮影時、動画記録中前後において使い勝手を向上させるような撮像装置を提供することが可能となる。すなわち、動画記録時と静止画記録時でのAFボタンの動作を変更することで、それぞれの記録時に必要なAF動作を実現させ、より操作性を向上させることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態を適用したカメラの上面図である。
図2】本発明の第1の実施形態を適用したカメラの正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態を適用したカメラの背面図である。
図4図1のカメラの電気的構成を表すブロック図である。
図5図4の制御プログラムを表す図である。
図6図3のAFスイッチの拡大図である。
図7】AFモードを表す図である。
図8】合焦時のファインダを表す図である。
図9】フレーム周期と掃出しパルスと露光とフォーカスとのタイミングチャートである。
図10】レリーズSW1によるAF処理のフローチャートである。
図11図10における通常AF処理のサブルーチンである。
図12】レンズの移動範囲とAF評価値との関係を表す図である。
図13】AFボタンSWによるAF処理のフローチャートである。
図14図13のAFボタン動作選択処理のサブルーチンである。
図15】通常のAFボタン動作を表す表である。
図16図13のAFボタン動作処理のサブルーチンである。
図17】第1の実施形態における動画中のAFボタン動作を表す表である。
図18】ウォブリング処理のフローチャートである。
図19】本発明の第1の実施形態に係る動画記録時のAFボタン動作処理のフローチャートである。
図20】本発明の第2の実施形態に係る動画中のAFボタン動作を表す表である。
図21】本発明の第2の実施形態に係る動画記録時のAFボタン動作処理のフローチャートである。
図22】本発明の第2の実施形態に係る被写体の追尾動作を表す図である。
図23】本発明の第2の実施形態に係る被写体の追尾動作を表す図である。
図24】従来のAF動作を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明にかかる撮像装置および撮像方法の実施例について説明する。図1〜3は本発明に係る撮像装置の例であるデジタルスチルカメラの例を示す正面図、背面図および平面図である。図4はこのデジタルスチルカメラ内部のシステム構成例の概要を示すブロック図である。
【0021】
図1において、カメラの上面には、レリーズスイッチSW1、モードダイアルSW2、サブ液晶ディスプレイ(以下、液晶ディスプレイを「LCD」という)1が配置されている。図2において、カメラの正面には、撮影レンズを含む鏡筒ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、リモコン受光部6、メモリカード装填室および電池装填室の蓋2が配置されている。
【0022】
図3において、カメラの背面には、電源スイッチ13、LCDモニタ10、AF用LED8、ストロボLED9、光学ファインダ4、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定および解除スイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動およびストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動およびマクロスイッチSW10、左移動および画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、AFボタンスイッチ(第2のスイッチ)SW13、AFレバー15が配置されている。
【0023】
デジタルスチルカメラ内部のシステム構成は以下のとおりである。図2において、デジタルスチルカメラの各部はデジタルスチルカメラプロセッサ104(以下、単に「プロセッサ104」という)によって制御されるように構成されている。
【0024】
プロセッサ104は、CCD1信号処理ブロック104−1、CCD2信号処理ブロック104−2、CPUブロック104−3、ローカルSRAM104−4、USBブロック104−5、シリアルブロック104−6、JPEG・CODECブロック104−7、RESIZEブロック104−8、TV信号表示ブロック104−9、メモリカードコントローラブロック104−10を有してなり、これらは相互にバスラインで接続されている。
【0025】
プロセッサ104の外部には、RAW−RGB画像データ、YUV画像データ、JPEG画像データを保存するSDRAM103が配置されていて、プロセッサ104とバスラインによってつながっている。プロセッサ104の外部にはまた、RAM107、内蔵メモリ120、制御プログラムが格納されたROM108が配置されていて、プロセッサ104とバスラインによってつながっている。CCD1信号処理ブロック104−1では、ホワイトバランス処理、ガンマ補正処理などとともに、撮像素子駆動用の制御信号が制御される。CCD2信号処理ブロック104−2では、YC変換などの処理が行われる。
【0026】
制御プログラムには図5のように5つの処理部で構成されている。請求項と対応させると、AFボタン動作選択処理部(焦点検出動作選択手段)108−1は請求項1に記載の焦点検出動作選択手段の動作を処理するものである。またAFボタン動作処理部(スイッチ押下継続状態判定手段、スイッチ押下排他処理判定手段)108−2は請求項3、4、5にかかる動作を処理するものである。
【0027】
また焦点検出処理部(動画用の焦点検出手段、静止画用の焦点検出手段)108−3、合焦位置決定処理部108−4、合焦点位置移動処理部(自動焦点検出手段)108−5は請求項1に記載の焦点検出手段の動作を処理するものである。また、請求項6、請求項7の処理に関しては、AFボタン動作処理部(スイッチ押下継続状態判定手段)108−2内で処理されるものである。
【0028】
鏡筒ユニット7は、ズームレンズ7−1aを有するズーム光学系7−1、フォーカスレンズ7−2aを有するフォーカス光学系7−2、絞り7−3aを有する絞りユニット7−3、メカシャッタ7−4aを有するメカシャッタユニット7−4を有する。ズーム光学系7−1、フォーカス光学系7−2、絞りユニット7−3、メカシャッタユニット7−4は、それぞれズームモータ7−1b、フォーカスモータ7−2b、絞りモータ7−3b、メカシャッタモータ7−4bによって駆動されるようになっており、これら各モータは、プロセッサ104のCPUブロック104−3によって制御されるモータドライバ(レンズ駆動手段)7−5によって動作が制御されるように構成されている。
【0029】
鏡筒ユニット7は、撮像素子であるCCD101に被写体像を結ぶ撮影レンズを有し、CCD101は上記被写体像を画像信号に変換してF/E−IC102に入力する。F/E−IC102は周知のとおりCDS102−1、AGC102−2、A/D変換部102−3を有し、上記画像信号にそれぞれ所定の処理を施し、デジタル信号に変換してプロセッサ104のCCD1信号処理ブロック104−1に入力する。これらの信号処理動作は、プロセッサ104のCCD1信号処理ブロック104−1から出力されるVD・HD信号により、TG102−4を介して制御される。
【0030】
プロセッサ104のCPUブロック104−3は、音声記録回路115−1による音声記録動作を制御するようになっている。音声記録回路115−1は、マイクロホン115−3で変換された音声信号のマイクロホンアンプ115−2による増幅信号を、指令に応じて記録する。上記CPUブロック104−3は、音声再生回路116−1の動作も制御する。音声再生回路116−1は、指令により、適宜のメモリに記録されている音声信号を再生してオーディオアンプ116−2に入力し、スピーカー116−3から音声を出力するように構成されている。
【0031】
上記CPUブロック104−3はまた、ストロボ回路114の動作を制御することによってストロボ発光部3から照明光を発光させるようになっている。また、CPUブロック104−3は測距ユニットの動作も制御するようになっている。
【0032】
CPUブロック104−3は、プロセッサ104の外部に配置されたサブCPU109とつながっていて、サブCPU109はLCDドライバ111を介してサブLCD1による表示を制御するようになっている。サブCPU109はさらに、AFLED8、ストロボLED9、リモコン受光部6、スイッチSW1〜SW13からなる操作キーユニット、ブザー113とつながっている。
【0033】
USBブロック104−5はUSBコネクタ122につながっており、シリアルブロック104−6はシリアルドライバ回路123−1を介してRS−232Cコネクタ123−2につながっている。TV信号表示ブロック104−9は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ10につながっており、また、ビデオアンプ118を介してビデオジャック119につながっている。メモリカードコントローラブロック104−10はメモリカードスロット121の、カード接点との接点につながっている。
【0034】
次に、上記のように構成されたデジタルスチルカメラの動作を説明するが、その前に、従来のデジタルスチルカメラの動作概要を説明しておく。図1に示すモードダイアルSW2を記録モードに設定することで、カメラが記録モードで起動する。
【0035】
モードダイアルSW2の設定は、図4における操作部に含まれるモードスイッチの状態が記録モードONになったことをCPUが検知し、モータドライバ7−5を制御して、鏡胴ユニット7を撮影可能な位置に移動させる。さらにCCD101、F/E−IC102、LCDディスプレイ10等の各部に電源を投入して動作を開始させる。各部の電源が投入されると、ファインダモードの動作が開始される。
【0036】
ファインダモードでは、レンズを通して撮像素子(CCD101)に入射した光は、電気信号に変換されてアナログ信号のR、G、BとしてCDS回路102−1、A/D変換器102−3に送られる。A/D変換器102−3でデジタル信号に変換されたそれぞれの信号は、デジタル信号処理IC(SDRAM103)内のYUV変換部でYUV信号に変換されて、メモリコントローラによってフレームメモリに書き込まれる。このYUV信号はメモリコントローラに読み出されて、TV信号表示ブロック104−9を介してTVやLCDモニタ10へ送られて表示が行われる。この処理が1/30秒間隔で行われ、1/30秒ごとに更新されるファインダモードの表示となる。
【0037】
レリーズスイッチSW1が押下されると、CPUブロック104−3によって、信号処理ICのCCD I/Fブロック内に取り込まれたデジタルRGB信号から、画面の合焦度合いを示すAF評価値が算出される。AF評価値データは、特徴データとしてマイコンに読み出されて、AFの処理に利用される。この積分値は合焦状態にあるとき、被写体のエッジ部分がはっきりとしているため、高周波成分が一番高くなる。
【0038】
これを利用して、AFによる合焦検出動作時は、それぞれのフォーカスレンズ位置におけるAF評価値を取得して、その極大になる点(ピーク位置)を検出する。また極大になる点が複数あることも考慮にいれ、複数あった場合はピーク位置の評価値の大きさや、その周辺の評価値との下降、上昇度合いを判断し、最も信頼性のある点を合焦位置としてAFを実行する。
【0039】
またAFボタンスイッチSW13が押下されるとAFレバー15の位置に応じて上記レリーズシャッターボタンSW1の動作と多少異なる動作を行う。AFレバー15を拡大したものを図6に示す。AFレバーはAFLとAFCの位置をもっており、それぞれAFLはAFを行った後にフォーカス位置を固定するAFロック機能、AFCは継続してAFを行うコンティニュアスAF機能を持っている。
【0040】
AFボタンスイッチSW13の動作においてはさらに、押し続けた状態の場合、そのAF動作を維持するかどうかを設定できる「維持モード」を持っており、維持モードがOnの場合にはAFボタンを押した後も継続して、その状態を維持でき、また維持モードがOffの場合にはAFボタンを押しつづけている状態でないと動作を継続できないように設定することが可能である。「維持モード」はMENUSW6を押してメニュー内で設定できるようにしておく。またモードダイアルSW2で切り替えられるようにしておくとより操作性を向上させることが可能となる。
【0041】
また上記AF評価値は、デジタルRGB信号内の特定の範囲から算出することが出来る。図7がファインダモード時にLCDに表示されたときの状態で、表示内の中心枠がこのデジタルカメラでのAFのエリアである。AFエリアに関しては、レリーズスイッチSW1でのAF時と、AFボタンスイッチSW13でのAF時で異なるようにしている。
【0042】
レリーズスイッチSW1では通常AFモード、AFボタンではスポットAFモードで切り替えられるようにしている。例えば、通常AFモードであった場合には図7−1のようにファインダ内のAF枠の範囲、水平方向40%×垂直方向に30%の1エリアをAFエリアとし、またスポットAFモードでは図7−2のように水平方向20%×垂直方向に20%の1エリアをAFエリアとしている。AFを行い合焦した場合は、図8のように合焦枠を表示させ(8−1)、非合焦であった場合には表示させないようにする(8−2)とより撮影者にもわかるような表示が可能となる。
【0043】
次に、AF処理時におけるフォーカスレンズ7−2aの駆動タイミングとAF評価値の取得タイミングの関係について説明する。フォーカスレンズ7−2aの駆動は1回のVD信号に対応して所定のフォーカス駆動量によって行う。フォーカス駆動量は、例えばフォーカスモータ7−2bがパルスモータである場合は、駆動パルス数がそれに相当する。VD信号パルスの立下りに対応して所定のパルスレートで所定の駆動パルス数だけフォーカスレンズ7−2aを駆動することで1回のフォーカスレンズ駆動は終了する。次に出力されるVD信号パルスの立下りに対応して再度、所定のフォーカス駆動を行なう。このようにフォーカス駆動をVD信号(すなわちフレーム周期)に同期させて行う。
【0044】
図9は、30fpsのフレームレートで画像データの取り込みを行う場合の、VD信号とフォーカスレンズ7−2a(図4参照)のフォーカス駆動タイミング、電子シャッタにおける電荷掃き出しパルス(SUB)のタイミング、及び露光タイミングを示すタイミングチャートである。
【0045】
図9において、1つのVD信号が発生すると(図9(a)参照)、それをトリガーとしてフォーカスレンズ7−2aを駆動するパルスが2つ生成され(図9(d)参照)、この2つの駆動パルスに対応した駆動量だけフォーカスレンズ7−2aが駆動されて移動する。また、VD信号をトリガーとして電荷掃き出しパルス(SUB)が所定数発生し(図9(b)参照)、SUBの数に応じて、CCD101に帯電している電荷の掃き出し処理を行なう。
【0046】
また、電荷掃き出し処理が終了した後に露光処理が行なわれる(図9(c)参照)。露光処理によって、被写体の映像を画像データとして取り込み、この画像データを用いて演算することによりAF評価値を取得する。上記駆動パルス数は可変であって、焦点距離や、フォーカスレンズ繰り出し量(フォーカス駆動範囲)などに応じて変化する。このように、本実施例におけるAF処理は、VD信号に同期してフォーカスレンズ7−2aの駆動範囲内において行うようになっている。
【0047】
AFに関する全体のフローに関しては、レリーズスイッチSW1でのAF処理に関しては図10のフロー、AFボタンスイッチSW13のAF処理に関しては図12を用いて説明する。
前提としてカメラは電源ON後、ファインダモードの状態である。
【0048】
図10において、レリーズスイッチSW1での通常AF処理に関しては、まずレリーズスイッチSW1が押下されたかどうかを確認する(S13−1)。レリーズスイッチSW1が押下された場合(S13−1のYES)に、AF処理(S13−2)を行う。AF処理(S13−2)に関しては図11のフローを用いて説明する。
【0049】
図11を参照すると、まずフォーカス光学系位置を現在位置からAF開始位置へと移動する(S14−1)。ここでは至近位置へ移動する。至近位置に関しては光学系によって異なる場合があるが、一般的には30cm前後が好ましい。
【0050】
次に、フォーカス光学系7−2(図4参照)を等間隔で無限遠位置まで駆動していく。ここではフォーカスモータ7−2bがパルスモータを利用しているため、30cmから無限遠までを4パルスずつ駆動させることになる。VD信号待ち(S14−2)を行い、フォーカスを駆動させ(S14−3)、AFエリアに対するAF評価値を取得する(S14−4)。
【0051】
次に取得されたAF評価値を元にピーク判定処理を行う。ここではAF評価値の信頼性評価を行うとともに、評価値の中でのピーク位置を判定する。もしも、信頼性のあるピーク位置があった場合は、そのフォーカス位置を格納しピーク検出OK(AFOK)とし、もしピーク位置が無かった場合は合焦NGと判定する。ピーク検出がない(合焦NG)場合は(S14−6のYES)、現在位置が終了位置(ここで無限遠位置)であるかどうかを確認し(S14−7)、終了位置でない場合は、S14−2まで戻り、処理を繰り返し、ピーク検出OKであった場合(S14−6のNO)は処理を終了する。
【0052】
次に、図10に戻り、合焦位置決定処理を行う(S13−3)。ここではAF処理においてピークが検出されている場合は、そのピーク位置を合焦位置と決定し、また検出できなかった場合はAFNGとして、NG位置を合焦位置と決定する。ここでのNG位置はおよそ2.5m程度離れた被写体に合焦するフォーカスレンズ7−2aの位置としている。
【0053】
最後に、フォーカスレンズを合焦位置へ移動させる処理を行う(S13−4)。以上がレリーズスイッチSW1でのAF処理である。図12のa)、d)がこのAF処理でのフォーカスレンズの駆動とその範囲、ならびに評価値出力結果である。
【0054】
<実施例1>
図13を参照し、第1の実施例にかかるデジタルカメラの動作を説明する。AFボタンスイッチSW13のAF処理に関しては、まずAFボタンスイッチSW13が押下されたかどうかを確認する(S15−1)。AFボタンスイッチSW13が押下された場合(S15−1のYES)に、このAFボタンがどの状態で押下されているかどうかを判断し、それに合わせたAF動作を選択するAFボタン動作選択処理に入る(S15−2)。このAFボタン動作選択処理に関しては、図14のフローのとおりで、動画記録中かどうかでその動作を変更するというものである。動画記録中である場合に(S17−1のYES)、動画記録時AFボタン動作を選択し(S17−2)、そうでない場合は通常AFボタン動作を選択する(S17−3)。
【0055】
図16において、AFボタン動作を選択した後、選択したAFボタン動作処理を行う(S15−3)。まず、通常AFボタン動作選択が行われた場合の動作対応表を図15に示す。図15のようにAFボタンの設定が「維持モード」であるかどうかで、AFボタンを離したあとも持続するか、または終了(停止)するかが決定される。実際の処理は図16のフローの処理となる。
【0056】
AFボタンが押下された場合(S18−1のYES)、維持フラグがOffの場合(S18−2のYES)で、AFレバーがAFLの場合(S18−3のYES)は、レリーズスイッチSW1のAF処理と同様な通常AF処理(S18−4)を行う。またAFレバーがAFCの場合(S18−3のNO)、今度はコンティニュアスAF処理を行う(S18−8)。これは通常AF処理の範囲を現在いるフォーカスレンズ位置周辺でAFを行うもので、基本動作に関しては図11の通常AF処理と同様となる。
【0057】
図12のb)を参照すると、動作図が示されている。実際の移動範囲は通常AFよりも狭く、AF評価地も図12のe)のようにピーク位置周辺であるため、その分高速に処理を終了することが可能となる。この処理を継続して行うためコンティニュアスAFと呼んでいる。通常AF処理(S18−4)でAF結果がOKであった場合や(S18−5)、コンティニュアスAF処理終了後、維持モードがONである場合(S18−6)は、維持フラグをOnにしてレリーズスイッチSW1を無効にして終了し(S18−8)、そうでない場合は、維持フラグをOffにし(S18−10)、レリーズスイッチSW1を有効にして終了する(S18−11)。
【0058】
こうすることによって、AFL時にAFがOKの場合は、そのフォーカス位置をロック(AFロックと呼ぶ)した状態のまま撮影にすることが可能であり、またAFCの場合はレリーズスイッチSW1の押下によらず、継続してコンティニュアスAFを実行することが可能となる。これは図15の維持Onでの(1)、(2)のOn状態、Offでの(1)、(2)の状態である。
【0059】
次に、S18−2に戻り、維持フラグがOnの場合(S18−2のNO)はすでにAFロック、もしくはコンティニュアスAFが実行中であるため、停止・解除処理を行い上記AFロック、コンティニュアスAFを停止する(S18−9)。その後維持フラグをOffにしレリーズスイッチSW1を有効にして終了する。これは表1の維持On時の(1)、(2)のOff状態である。
【0060】
S18−1でAFボタンがOffの場合でも維持フラグがOnの場合(S18−12)、AFレバーがAFCになっている場合は(S18−13)、継続してコンティニュアスAFを行う(S18−14)。これは図15での(2)の状態である。それ以外の処理に関しては何も行わない(図15の維持Offの(3)、(4)の状態)。次に動画記録時AFボタン動作に関して場合の動作対応表を図17に示す。表2のように通常AFボタン動作選択とは異なり、AFL、AFCそれぞれの動作が異なるところが本発明の特徴とするところである。実際の処理は、後に詳述する図19のフローの処理となる。
【0061】
動画記録時は前提としてウォブリング動作が自動的に開始される。それに関しては図18のフローのとおりである。まず、現在フォーカス位置でのAF評価値を取得する(S16−1)、次に本発明では第1駆動として至近側方向に所定パルス駆動する(S16−2)。このパルス量は実際にファインダモード時に、1VD間隔内、フォーカスの駆動による画角変動が起きない量であり、かつフォーカス駆動音が無い状態になる量として計算しておく。一般的には被写界深度幅の1/2程度が好ましい。
【0062】
次に、駆動終了後その位置でAF評価値を取得する(S16−3)。次に、今度は第2駆動として逆方向、本発明で言えば無限遠方向にフォーカスを所定パルス駆動する(S16−4)。ここでは第1駆動でのパルス量と同じ量を無限遠方向に駆動させる。次に駆動終了その位置でAF評価値を取得する(S16−5)。
【0063】
次に、判定処理として、この段階で3つのAF評価値を取得できているので、その評価値の中でもっとも評価値出力の高い場所を選択し、その位置を第3駆動位置と判定する(S16−6)。最後に第3駆動位置へ駆動して終了する(S16−7)。この動作を動画中繰り返し行う。
【0064】
このときの動作とAF評価値は図12のc)、f)である。これまでの通常AF、コンティニュアスAFに比べ、AF評価値数も3点しかないため1回の処理としては、最速になりかつフォーカス駆動しているかどうかも撮影者には見えないため、一般的にビデオカメラで採用されている駆動方法である。動画記録時はこのウォブリング動作が行われている状態から開始される。
【0065】
次に図19のフローをもとに動画記録時AFボタン動作を説明する。AFボタンが押下された場合(S19−1のYES)、維持フラグがOffの場合(S19−2のYES)で、AFレバーがAFLの場合(S19−3のYES)は、フォーカス駆動停止処理を行う(S19−4)を行う。これは動画記録中でウォブリング動作が行われている状態の駆動を停止し、フォーカスを置きピンにするときに使用することを目的としている。
【0066】
維持モードがONである場合(S19−5のYES)、維持フラグをOnにして終了し(S19−6)、そうでない場合は、維持フラグをOffし終了する(S19−9)。こうすることによって、撮影者が動画中に置きピンにしたい場合にすばやく変更できることが可能となる。これは表2の維持Onでの(1)のOn、Offでの(1)の状態である。次にAFレバーがAFCの場合(S19−3のNO)、再通常AF処理を行う(S19−7)。これはウォブリング動作で追従が遅い等、撮影者が意図的にAFを行いたい場合に使用することを目的としている。次に、再度AFを行った後、そのフォーカス位置からウォブリングを再開し(S19−8)、維持フラグをOffにして終了する(S19−9)。これは図17の維持Onでの(2)、Offでの(2)の状態である。
【0067】
次に、S19−2に戻り、維持フラグがOnの場合(S19−2のNO)はすでにフォーカス停止中であるためウォブリングを再開する(S19−8)。これは図17の維持On時の(1)のOff状態である。
【0068】
S19−1に戻り、AFボタンがOffの場合(S19−1のNO)は維持フラグがOn(S19−10のYES)で、AFレバーがAFLになっている場合(S19−11のNO)はAFロック状態であるので何も行わない。それ以外に関してはウォブリング処理を継続する(S19−12)。
【0069】
最後に、図13に戻り合焦位置決定処理を行う(S15−4)。ここではAF処理においてピークが検出されている場合は、そのピーク位置を合焦位置と決定し、また検出できなかった場合はAFNGとして、NG位置を合焦位置と決定する。ここでのNG位置は再通常AFの場合はおよそ2.5m程度離れた被写体に合焦するフォーカスレンズ7−2aの位置としている。
【0070】
最後に、フォーカスレンズを合焦位置へ移動させる処理を行う(S13−4)。また、ウォブリング中はすでにウォブリング中に判定、駆動まで行っているためここでは合焦位置の決定、判定は行わない。以上がAFボタンSWでのAF処理である。
【0071】
ここで、動画中の通常AF動作に関しては、動画記録中にフォーカス音が入ってしまうことが懸念されるため、その際のフォーカス駆動ステップは音が影響ない程度に減速するようにすることが好ましい。これに関してはフォーカスレンズ系によるものである。
【0072】
以上のように、動画記録中にAFボタンの動作を変更することで、操作性を向上させ、動画中の置きピンや、AF動作をすばやく実行することが可能となる。すなわち、動画記録時と静止画記録時でのAFボタンの動作を変更することで、それぞれの記録時に必要なAF動作を実現させ、より操作性を向上させることが容易となる。すなわち、静止画撮影時、動画記録中前後において使い勝手の良い撮像装置を提供することが可能となる。
【0073】
<実施例2>
第2の実施例にかかるデジタルカメラの動作を説明する。図13を参照し、次にAFボタンスイッチSW13のAF処理に関しては、まずAFボタンスイッチSW13が押下されたかどうかを確認する(S15−1)。レリーズスイッチSW1が押下された場合(S15−1のYES)に、このAFボタンがどの状態で押下されているかどうかを判断し、それに合わせたAF動作を選択するAFボタン動作選択処理に入る(S15−2)。
【0074】
このAFボタン動作選択処理に関しては、図14のフローのとおりで、動画記録中かどうかでその動作を変更するというものである。動画記録中である場合に(S17−1のYES)、動画記録時AFボタン動作を選択し、そうでない場合は通常AFボタン動作を選択する。
AFボタン動作を選択した後、選択したAFボタン動作処理を行う(S15−3)。
【0075】
まず、通常AFボタン動作選択が行われた場合の動作対応表を図15に示す。図15のようにAFボタンの設定が「維持モード」であるかどうかで、AFボタンを離したあとも持続するか、または終了(停止)するかが決定される。実際の処理は図16のフローの処理となる。これは実施例1と同じであるため省略する。
【0076】
次に動画記録時AFボタン動作に関して場合の動作対応表を図20に示す。図20のように通常AFボタン動作選択とは異なり、AFL、AFCそれぞれの動作が異なるところが本発明の特徴とするところである。実際の処理は図21のフローの処理となる。
【0077】
次に動画AFボタン動作選択が行われた場合の動作対応表動画記録時は前提としてウォブリング動作が自動的に開始される。それに関しては図18のフローのとおりである。これも実施例1と同様のため省略する。
【0078】
次に図21のフローをもとに動画記録時AFボタン動作を説明する。AFボタンが押下された場合(S20−1のYES)、維持フラグがOffの場合(S20−2のYES)で、AFレバーがAFLの場合(S20−3のYES)は、フォーカス駆動停止処理を行う(S20−4)。これは動画記録中でウォブリング動作が行われている状態の駆動を停止し、フォーカスを置きピンにするときに使用することを目的としている。これは図20の維持On、Offの(1)の状態である。
【0079】
次にAFレバーがAFCの場合(S20−3のNO)、追尾AF処理を行う(S20−7)。これはウォブリング動作で追従が遅い等、撮影者が意図的にAFを行いたい場合に使用することを目的としており、さらに被写体を追尾させることで動画記録時の構図の変更時に有効となる。
【0080】
追尾AFに関しては、AFエリアを被写体に追従させてコンティニュアスAFするものである。被写体の追尾に関しては、被写体像に動きが検知できているかを判断する。動き検知に関してはさまざまな技術が提案されているが、ここでは以下のようなテンプレートマッチング処理を行っている。テンプレートマッチングは、追尾対象となる画像データ、たとえば図22a)のAFエリアの範囲にある画像データが次のフレームの画像データのどの位置かを探索するものである。
【0081】
この被写体が図22b)のように移動した場合を考える。図23が位置探索における範囲と方向を示している。ここでは6×6分割した領域の中で、上下左右、斜め方向にテンプレートを移動させ、その画像データの一致度を探索し最も一致する位置を移動位置とする。c)が移動後検出された位置となる。
【0082】
追尾方法は、先述したがさまざまな方法が提案されているため、こういった画像データの差分を演算するよりも、例えばブースト学習によるパターン一致法等を用いれば、高速に処理できる可能性もある。以上のように、被写体周辺の追尾エリアをAFエリアとして、コンティニュアスAFを行っていくことで追尾AFを実現することが可能である。
【0083】
次に図21に戻り、追尾AFの結果がOKであった場合(S20−8のYES)、維持モードがOnの場合(S20−5のYES)は維持フラグをOnにして終了する(S20−6)。追尾AFの結果がNGであった場合(S20−8のNO)、維持フラグをOffにして終了する(S20−11)。これは表3の維持Onでの(2)、Offでの(2)の状態である。
【0084】
次に、S20−2に戻り、維持フラグがOnの場合(S20−2のNO)、維持モードがOnである場合は(S20−9のYES)、すでにAFL時ではすでにフォーカス停止中、AFC時では追尾エリアでのウォブリング処理を実行中であるため、通常ウォブリングを再開し(S20−10)、維持フラグをOffにして終了する(S20−11)。これは図20の維持On時の(1)、(2)の再開・解除以外に関しては何もしない。
【0085】
次にS20−1に戻り、AFボタンがOffの場合(S20−1のNO)は維持フラグがOn(S20−12のYES)で、AFレバーがAFLになっている場合(S20−13のNO)はAFロック状態であるので何も行わない。AFレバーがAFCになっている場合(S20−13のYES)、AFエリアは追尾しながらウォブリング処理を継続する(S20−14)。
【0086】
維持フラグがOffの場合(S20−12のNO)はウォブリングを再開し(S20−10)、維持フラグをOffにして終了する(S20−11)。これは表3のOffでの(3)、(4)の状態である。
【0087】
最後に、図15に戻り合焦位置決定処理を行う(S15−4)。ここではAF処理においてピークが検出されている場合は、そのピーク位置を合焦位置と決定し、また検出できなかった場合はAFNGとして、NG位置を合焦位置と決定する。ここでのNG位置は再通常AFの場合はおよそ2.5m程度離れた被写体に合焦するフォーカスレンズ7−2aの位置としている。
【0088】
最後に、フォーカスレンズを合焦位置へ移動させる処理を行う(S13−4)。また、ウォブリング中はすでにウォブリング中に判定、駆動まで行っているためここでは合焦位置の決定、判定は行わない。以上がAFボタンSWでのAF処理である。
【0089】
以上のように、動画記録中にAFボタンの動作を変更することで、操作性を向上させ、動画中の置きピンや、AF動作をすばやく実行することが可能となる。また動画時は記録中に被写体が動くことが考えられるため、動画時はコンティニュアスAFのAFエリアを追尾させる等を行い、カメラを移動させ、画面をずらすことなくフォーカスを合わせることがより容易となる。
【0090】
このように、動画記録時と静止画記録時でのAFボタンの動作を変更することで、それぞれの記録時に必要なAF動作を実現させ、より操作性を向上させることが容易となる。すなわち、静止画撮影時、動画記録中前後において使い勝手の良い撮像装置を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0091】
7−5 モータドライバ(レンズ駆動手段)
15 AFレバー
101 CCD(撮像素子)
108−1 AFボタン動作選択処理部(焦点検出動作選択手段)
108−2 AFボタン動作処理部(スイッチ押下継続状態判定手段、スイッチ押下排他処理判定手段)
108−3 焦点検出処理部(動画用の焦点検出手段、静止画用の焦点検出手段)
108−5 合焦位置移動処理部(自動焦点検出手段)
SW1 レリーズスイッチ
SW13 AFボタンスイッチ(第2のスイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24