(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書では、
図1中における送風ファンの中心軸J1方向の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。本明細書における上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの上下方向を示すものではない。また、中心軸J1を中心とする周方向を、単に「周方向」と呼び、中心軸J1を中心とする径方向を、単に「径方向」と呼ぶ。中心軸J1に平行な方向を、単に「軸方向」と呼ぶ。
【0013】
図1は、本発明の例示的な実施形態に係る送風ファン1の断面図である。送風ファン1は、遠心ファンである。送風ファン1は、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(以下、「ノート型PC」と呼ぶ。)に搭載され、ノート型PCの筐体内部の機器の冷却に利用される。
【0014】
送風ファン1は、静止部2と、軸受部3と、回転部4と、を備える。回転部4は、上下方向に伸びる中心軸J1を中心とする。回転部4は、軸受部3により、静止部2に対して回転可能に支持される。
【0015】
静止部2は、下プレート211と、側壁部212と、上プレート213と、排気口22と、を備える。下プレート211は、回転部4の複数の羽根46を下方から覆う。なお、複数の羽根46の詳細については後述する。
【0016】
下プレート211は、軸受部3を保持する。本実施形態では、軸受部3は、ブッシュ25を介して、下プレート211に固定される。すなわち、下プレート211は、軸受部3を間接的に保持する。しかしながら、下プレート211は、軸受部3を直接に保持してもよい。下プレート211は、上下方向に貫通する略円環状に配置された下側吸気口211aを有する。下側吸気口211aの径方向内側エッジ211cは、略円環状の径方向外方を向いた面のエッジである。また、下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dは、略円環状の径方向内方を向いた面のエッジである。下側吸気口211aは、軸受部3よりも径方向外側に位置する。
【0017】
側壁部212は、回転部4を径方向外方から覆う。側壁部212の下端部は、下プレート211に固定される。上プレート213は、回転部4の複数の羽根46を上方から覆う。本実施形態では、上プレート213は、回転部4全体を上方から覆う。しかしながら、回転部4の一部が、後述する上側吸気口213aから上プレート213よりも上方に突出してもよい。上プレート213は、上下方向に貫通する略円状の上側吸気口213aを有する。上側吸気口213aのエッジ213cは、複数の羽根46の外側面、すなわち、複数の羽根46の径方向外端部よりも径方向内側に位置する。上プレート213は、側壁部212の上端部に固定される。静止部2では、下プレート211と、側壁部212と、上プレート213と、によりハウジング21が構成される。上側吸気口213aのエッジ213cおよび下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dは、複数の羽根46の径方向外端部よりも、径方向内側に位置する。一般的に、吸気口のエッジが複数の羽根よりも径方向外方に位置する場合、空気が逆流する可能性があり、風量および静圧共に低下する虞がある。しかしながら、本実施形態では、空気が逆流することを防止できる。
【0018】
下プレート211および上プレート213は、アルミニウム合金もしくはステンレス鋼等の金属により、薄板状に形成される。側壁部212は、樹脂により成型される。側壁部212の下端部と下プレート211の周縁部とは、インサート成型により締結される。上プレート213は、側壁部212の上部にねじにより固定される。ただし、固定方法は種々の方法が考えられ、上記の固定方法には限定されない。
【0019】
排気口22は、側壁部212の開口部の両端部のエッジ212a(
図5で示す)と、上プレート213における、側壁部212の開口部の両端部のエッジ212aに跨るエッジ213bと、下プレート211における、側壁部212の開口部の両端部のエッジ212aに跨るエッジ211bと、により構成される。
【0020】
静止部2は、ステータ23と、回路基板24と、をさらに備える。ステータ23は、中心軸J1を中心とする円環状であり、軸受部3の径方向外方に配置される。ステータ23は、円環状のコアバック231と、複数のティース232と、コイル233と、を含む。複数のティース232は、コアバック231から径方向外方に向けて突出する。コイル233は、複数のティース232のそれぞれに導線が巻回されることにより構成される。
【0021】
回路基板24は、コイル233の下方且つ下プレート211の上方に位置する。本実施形態では、回路基板24は、下プレート211の上面に配置される。回路基板24には、コイル233の引き出し線が電気的に接続される。回路基板24は、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。回路基板24は、送風ファン1の外部に延伸する接続部241を有する。接続部241は、送風ファン1を外部機器と接続するための部位である。本実施形態の接続部241は、フレキシブルプリント基板の延伸部である。また、本実施形態の回路基板24は、フレキシブルプリント基板であるが、リジッド基板であってもよい。回路基板24がリジッド基板の場合、接続部241は、例えば、リード線であってもよい。
【0022】
回転部4は、シャフト41と、ロータハブ42と、ヨーク43と、ロータマグネット44と、羽根保持部45と、複数の羽根46と、備える。シャフト41は、中心軸J1に沿って配置される。ロータハブ42は、シャフト41の上端部から径方向外方に広がる。ロータハブ42は有底略円筒状の部位である。本実施形態では、ロータハブ42とシャフト41とは、単一の部材であるが、ロータハブ42とシャフト41とは、別部材であってもよい。
【0023】
羽根保持部45は、中心軸J1を中心とする略円筒状の樹脂部材である。羽根保持部45は、シャフト41の径方向外方に配置され、シャフト41と共に中心軸J1を中心として回転する。ヨーク43は、中心軸J1を中心とする略円筒状の部材である。ヨーク43には、軟磁性材料が用いられる。ヨーク43は、羽根保持部45の径方向内方に配置される。ロータマグネット44は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、ヨーク43の内側面に固定される。ロータマグネット44の内側面は、複数のティース232の外側面と径方向に対向する。ステータ23に電流が供給されることにより、ロータマグネット44とステータ23との間に、中心軸J1を中心とするトルクが発生する。
【0024】
複数の羽根46は、羽根保持部45の径方向外側において環状に配置される。また、複数の羽根46は、周方向において等間隔で配置される。ただし、複数の羽根46は、周方向において不等配でもよい。複数の羽根46は、シャフト41と共に中心軸J1を中心として回転する。羽根保持部45と複数の羽根46とは、単一の樹脂部材である。複数の羽根46の回転により、上側吸気口213aおよび下側吸気口211aからハウジング21内へと空気が吸気され、排気口22から排出される。
【0025】
図2は、軸受部3近傍の断面図である。軸受部3は、潤滑油5の流体動圧を発生する流体動圧軸受装置である。潤滑油5は、軸受部3と回転部4との間隙に介在する。送風ファン1では、流体動圧軸受装置である軸受部3を備えることにより、送風ファンの回転に伴う振動を低減することができる。軸受部3は、回転数が小さい場合においても、振動を低減することができるが、回転数が大きい場合において、より効果的に振動を低減することができる。
【0026】
回転部4は、軸受部3を介して中心軸J1を中心に、静止部2に対して回転可能に支持される。軸受部3は、中心軸J1を中心とする有底略円筒状である。シャフト41は、軸受部3に挿入される。軸受部3の内側面32とシャフト41の外側面41aとのラジアル間隙51には潤滑油5が介在する。軸受部3の内側面32と、シャフト41の外側面41aと、潤滑油5と、により、ラジアル動圧軸受部3aが構成される。
【0027】
図3は、軸受部3の断面図である。軸受部3の内側面32の上部には、例えば、ヘリングボーン形状の第1ラジアル動圧溝列32aが設けられる。さらに、軸受部3の内側面32の下部には、例えば、ヘリングボーン形状の第2ラジアル動圧溝列32bが設けられる。すなわち、ラジアル動圧軸受部3aは、第1ラジアル動圧溝列32aおよびの第2ラジアル動圧溝列32bを有する。回転部4が回転することにより、ラジアル動圧軸受部3aは、第1ラジアル動圧溝列32aおよび第2ラジアル動圧溝列32bによって、潤滑油5に流体動圧を発生させる。送風ファン1の回転時には、ラジアル動圧軸受部3aによって、シャフト41が径方向に支持される。
【0028】
軸受部3の上面33は、ロータハブ42の下面42aと、軸方向に対向する。軸受部3の上面33とロータハブ42の下面42aとのスラスト間隙52には潤滑油5が介在する。そして、軸受3の上面33と、ロータハブ42の下面42aと、潤滑油5と、により、スラスト動圧軸受部3bが構成される。
図4は、軸受部3の平面図である。軸受部3の上面33には、例えば、スパイラル状のスラスト動圧溝列33aが設けられる。回転部4が回転することにより、スラスト動圧軸受部3bは、スラスト動圧溝列33aによって潤滑油5に流体動圧を発生させる。送風ファン1の回転時には、スラスト動圧軸受部3bによって、ロータハブ42が軸方向に支持される。
【0029】
軸受部3には、シャフト41が挿入される孔の下端から径方向外方に広がる環状の下空間53が設けられる。下空間53には、潤滑油5が充填されている。さらに、軸受部3には、軸受部3の上面33とロータハブ42の下面42aとのスラスト間隙52と、下空間53とを連通する連通孔35が設けられる。連通孔35は、軸受部3を上下方向に貫通する。連通孔35を設けることにより、送風ファン1の回転時には、潤滑油5が、軸受部3と回転部4との間隙を循環する。また、下空間53に、シャフト41の下端部から径方向外方に広がるスラストプレート47が収容される。
【0030】
ロータハブ42は、下面42aから軸方向下方に伸びる円筒状のハブ円筒部42bを有する。ハブ円筒部42bの内側面42b1と、軸受部3の外側面36の上部との間に下方に向かって径方向の幅が漸次増大する1つのシール間隙54が構成される。シール間隙54は、中心軸J1を中心とする環状の空間である。シール間隙54にて、毛管現象を利用して潤滑油5を保持する。シール間隙54における潤滑油5の界面は、下方に移動することによって、表面積が拡大し、大気圧によって上方に押される強さが増す。つまり、シール間隙54によって、界面の位置は下方に移動し難くなっている。
【0031】
送風ファン1では、ラジアル間隙51、スラスト間隙52、下空間53およびシール間隙54が、互いに繋がった1つの袋構造をなし、袋構造に潤滑油5が連続して存在する。送風ファン1では、
図2に示すシール間隙54のみに潤滑油5の界面が位置する。
【0032】
静止部2は、略環状のブッシュ25をさらに備える。ブッシュ25の内側面は、軸受部3の外側面36の下部に固定される。ブッシュ25は、切削加工することにより形成された金属部材である。ブッシュ25の内側面は、軸受部3の外側面における下方領域に固定される。また、ブッシュ25の外側面は、下プレート211の内側面に固定される。すなわち、本実施形態では、下プレート211は、ブッシュ25を介して、軸受部3を間接的に保持する。
【0033】
ブッシュ25は、上面から軸方向上方に伸びる円筒状のブッシュ円筒部25aを有する。ブッシュ円筒部25aの内側面と、ハブ円筒部42bの外側面との間に軸方向に伸びる環状のラビリンス間隙55が構成される。ラビリンス間隙55は、シール間隙54よりも径方向外側に位置する。ラビリンス間隙55の径方向の幅は、シール間隙54の開口の径方向の幅よりも小さい。送風ファン1では、ラビリンス間隙55が構成されるため、シール間隙54から気化した潤滑油5を含む空気が、軸受部3の外部へと移動することが抑制される。その結果、軸受部3内の潤滑油5の蒸発を抑制することができる。また、送風ファン1では、ラビリンス間隙55を構成することにより、潤滑油5に、埃や塵等が混入することを抑制できる。
【0034】
なお、本実施形態では、ハブ円筒部42bは、ロータハブ42の一部であるが、ハブ円筒部42bと、ロータハブ42とは、別部材であってもよい。その場合、ハブ円筒部42bがロータハブ42に固定され、ロータハブ42とは別部材であるハブ円筒部42bの外側面と、ブッシュ円筒部25aの内側面との間にラビリンス間隙55が構成される。
【0035】
ステータ23のコアバック231の内側面は、ブッシュ円筒部25aの外側面に固定される。本実施形態の送風ファン1では、シール間隙54に位置する潤滑油5の界面と、ラビリンス間隙55と、コアバック231とが、径方向に重なる。送風ファンでは、従来より薄型化が要求されているが、この構成によって、より薄型化することができる。
【0036】
図5は、送風ファン1の平面図である。
図5では、便宜上、上プレート213および回路基板24を省略する。複数の羽根46は、
図5中における反時計回りに回転する。以下、羽根46の回転方向を単に「回転方向」、羽根46の回転方向とは逆方向を単に「回転方向とは逆方向」と呼ぶ。複数の羽根46の回転により、上側吸気口213aおよび下側吸気口211aからハウジング21内へと空気が吸気され、排気口22から排出される。
【0037】
図5に示すように、側壁部212は、第1側壁部212bと、第2側壁部212cと、第3側壁部212dと、を含む。第1側壁部212b、第2側壁部212cおよび第3側壁部212dは、それぞれ中心軸J1に平行に上下方向に伸びる。第1側壁部212bは、排気口22とは中心軸J1を挟んで反対側に位置する。
【0038】
第1側壁部212bは、複数の羽根46の外周に沿って湾曲する。第1側壁部212bは、中心軸J1から離れた上下方向に伸びる軸を中心として周方向に広がる。第2側壁部212cは、第1側壁部212bから回転方向に向かって中心軸J1から離れながら広がる。第3側壁部212dは、第1側壁部212bから回転方向とは逆方向に向かって中心軸J1に近づきながら広がる。
【0039】
第2側壁部212cの回転方向側の端部のエッジおよび第3側壁部212dの回転方向とは逆方向側の端部のエッジは、側壁部212の開口部の両端部のエッジ212aである。すなわち、第2側壁部212cの回転方向側の端部のエッジおよび第3側壁部212dの回転方向とは逆方向側の端部のエッジは、排気口22を構成するエッジの一部である。
【0040】
第3側壁部212dは、第2側壁部212c側に向かって突出する舌部212d1を有する。本実施形態では、側壁部212の内側面と複数の羽根46の外側面との径方向距離は、舌部212d1において最小となる。すなわち、側壁部212の内側面は、複数の羽根46との間の径方向距離が最小となる舌部212d1を有する。
【0041】
図5中において、中心軸J1から伸びる鎖線71,72はそれぞれ、送風ファン1を平面視した際に、排気口22と平行且つ中心軸J1と交差する第一直線71および送風ファン1を平面視した際に、排気口22と垂直且つ中心軸J1と交差する第二直線72である。
図6は、送風ファンの底面図であるが、
図6においても同様である。
【0042】
第一直線71と第二直線72とで、4つの領域に区切り、舌部212d1が配置される領域を第一領域81、第一領域81から回転方向側に向かって第二領域82、第三領域83および第四領域84とする。排気口22は、第一領域81と第四領域84とに跨って配置される。
【0043】
送風ファン1では、第一ないし第四領域81,82,83,84のうち、第四領域84において、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が、最大である。
【0044】
送風ファン1では、複数の羽根46の回転時に、上側吸気口213aおよび下側吸気口211aから吸気する空気の量は、舌部212d1を基準として、回転方向側に向かって増加する。そして、第四領域84において、第2側壁部212cの内側面に沿って、排気口22から空気が排出される。
【0045】
一般的な送風ファンにおいては、舌部を基準として、第一ないし第三領域に掛けての領域では、空気の吸気量は、複数の羽根と側壁部の径方向の距離および下プレートの上面から上プレートの下面までの高さに依存する。特に薄型の送風ファンにおいては、第一ないし第三領域における空気の吸気量はとりわけ多くない。さらに、送風ファンにおいては、第一領域における排気口から排出される空気の量は少ない。
【0046】
しかしながら、本実施形態においては、第一ないし第四領域81,82,83,84のうち、第四領域84において、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が、最大である。したがって、第四領域84での吸気量が多くなり、その結果として、第一領域81において排気口22から排出される空気の量の不足が解消され、送風ファン1の風量が増加する。
【0047】
したがって、送風ファン1は、流体動圧軸受装置を備えることにより振動を低減し、さらに、流体動圧軸受装置を備えたとしても風量を大きくすることができる。
【0048】
また、上側吸気口および下側吸気口を有する一般的な送風ファンでは、下プレートが、下側吸気口よりも径方向内側に軸受部を保持するため、下側吸気口の開口面積は、上側吸気口の開口面積よりも小さい。そのため、下側吸気口による空気の吸気量は、上側吸気口による空気の吸気量よりも小さい。さらに、前述したように、特に薄型の送風ファンにおいては、第一ないし第三領域における空気の吸気量はとりわけ多くない。そのため、第一ないし第三領域における下側吸気口による空気の吸気量は、大きく期待されない。言い換えれば、第四領域における下側吸気口による空気の吸気量は、大きく期待される。
【0049】
本実施形態においては、第一ないし第四領域81,82,83,84のうち、第四領域84において、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が、最大である。そのため、第四領域84における下側吸気口211aから吸気する空気の吸気量を大きくすることができる。また、空気の吸気量が大きく期待されない第一ないし第三領域81,82,83における下側吸気口211aの開口面積が大きくならないため、下プレート211の剛性を確保できる。その結果、送風ファン1では、より効果的に騒音を低減できる。
【0050】
なお、本実施形態では、下側吸気口211aが、第一ないし第四領域81,82,83,84に亘って配置されているが、必ずしも、第一ないし第三領域81,82,83に配置される必要はない。例えば、下側吸気口211aが、第四領域81のみに配置されてもよいし、第四領域81および第一ないし第三領域81,82,83のいずれかに配置されてもよい。
【0051】
下プレート211における、下側吸気口211aよりも径方向内側の部位と、下側吸気口211aよりも径方向外側との部位とは、複数のリブ211eによって接続される。その結果、略円環状の下側吸気口211aは、周方向に沿って配置される複数の略円弧状の吸気口211a’の集合体とも解釈することができる。本実施形態においては、吸気口211a’は略円弧状であるが、必ずしも略円弧状でなくてもよい。
【0052】
第四領域84に位置する下側吸気口211aは、第三領域83に跨って配置される。すなわち、第四領域84に位置する吸気口211a’における、回転方向とは逆方向側の端部は、第三領域83に位置する。さらに、第四領域84に位置する下側吸気口211aは、第一領域81に跨って配置される。すなわち、第四領域84に位置する吸気口211a’における、回転方向とは逆方向側の端部は、第一領域81に位置する。複数のリブ211eは、第一ないし第三領域81,82,83に配置され、下プレート211は、第四領域81において、リブ211eを有さない。これにより、第四領域84における下側吸気口211aから吸気する空気の吸気量を大きくすることができる。その結果、送風ファン1の風量を大きくすることができる。なお、本実施形態では、リブ211eは3本であるが、必ずしも3本でなくてもよい。
【0053】
さらに、本実施形態では、下側吸気口211aの複数の吸気口211a’のうち、第四領域84に位置する吸気口211a’が、周方向の幅が最大である。その結果、より効果的に、送風ファン1の風量を大きくすることができる。
【0054】
下側吸気口211aの複数の吸気口211a’のうち、第四領域84に位置する吸気口211a’の径方向の幅が最大である。この構成においても、より効果的に、送風ファン1の風量を大きくすることができる。
【0055】
舌部212d1は、複数の羽根46の外端部と最も近接する近接点212d2を有する。
図7中において、中心軸J1から伸びる鎖線73は、送風ファン1を平面視した際に、近接点212d2と中心軸J1とを結んだ第三直線73である。第三直線73で、2つの領域に区切り、舌部212d1が配置される領域を第五領域85、他方の領域を第六領域86とする。すなわち、舌部212d1は、第一領域81且つ第五領域85に跨って配置される。なお、
図7においても、便宜上、上プレート213および回路基板24を省略する。
【0056】
第四領域84に位置する下側吸気口211aにおける、回転方向とは逆方向側の端部は、第六領域86に位置する。すなわち、第四領域84に位置する吸気口211a’における、回転方向とは逆方向側の端部は、第六領域86に位置する。これにより、第四領域84に位置する下側吸気口211aから吸気された空気が、舌部212d1を越えて、第五領域85側に送風されることを抑制できる。よって、排気口22から空気を効率的に排出することができる。
【0057】
仮に、第四領域84に位置する下側吸気口211aにおける、回転方向とは逆方向側の端部が、第五領域85に位置する場合、第五領域85側に送風される空気が多くなり、風量を低減させてしまうだけではなく、騒音を引き起こす虞がある。しかしながら、第四領域84に位置する下側吸気口211aにおける、回転方向とは逆方向側の端部を、第六領域86に位置させることにより、騒音も低減できる。
【0058】
さらに、
図8で示すように、本実施形態では、第四領域84に配置される上側吸気口213aのエッジ213cの中心軸J1からの距離の最大値となる周方向の位置は、第四領域84に配置される下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dの中心軸J1からの距離の最大値となる周方向の位置と軸方向に重なる。すなわち、送風ファン1を平面視した際に、中心軸J1から上側吸気口213aのエッジ213cまでの径方向距離が最大となる位置は、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が最大となる位置と重なる。したがって、本実施形態では、上側吸気口213aからも空気を効率的に吸気できる。
【0059】
図9で示すように、接続部241は、第三領域83において、下側吸気口211aから下プレート211の下方に引き出される。前述したように、一般的は送風ファンでは、第一ないし第三領域における下側吸気口による空気の吸気量は、大きく期待されない。本実施形態の送風ファン1では、空気の吸気量が大きく期待されない第三領域83から、接続部241が下プレート211の下方に引き出される。そのため、接続部241が下側吸気口211aの空気の吸気量に大きな影響を与えることがない。また、下側吸気口211aから接続部241が下プレート211の下方に引き出されるため、接続部241を引き出すための孔を、下プレート211に別途設ける必要がない。本実施形態では、接続部241が第三領域83から引き出されたが、第一または第二領域81,82から引き出されてもよい。すなわち、接続部241は、第一ないし第三領域81,82,83のいずれかの領域において、下側吸気口211aから下プレート211の下方に引き出されればよい。
【0060】
さらに、本実施形態では、接続部241の引き出し位置近傍における、下側吸気口211aの径方向内側エッジ211cは、中心軸J1から延びる直線と略垂直な方向に伸び且つ直線状である。これにより、接続部241の弛みを抑制できる。その結果、接続部241に空気流が干渉し、騒音が大きくなることを防止できる。下側吸気口211aの複数の吸気口211a’のうち、接続部241が引き出される吸気口211a’は、接続部241の引き出し位置近傍において、
接続部241が引き出される吸気口211a’
の径方向の幅が最小である。これにより、より効果的に、接続部241の弛みを防止できる。
【0061】
図10は、他の実施形態に係る送風ファン1Aの平面図である。また、
図10は、送風ファン1Aの底面図である。送風ファン1Aにおいて、送風ファン1と同様の構成については適宜同符号を付し、説明を省略する。
図10,11,12においても、便宜上、上プレートおよび回路基板を図示しない。
【0062】
図10および
図11で示すように、下プレート211は、上下方向に貫通する略円環状の下側吸気口911aを有する。下側吸気口911aの径方向内側エッジ911cは、略円環状の径方向内側のエッジである。下側吸気口911aの径方向外側エッジ911dは、略円環状の径方向外側のエッジである。送風ファン1Aにおいても、略円環状の下側吸気口911aは、周方向に沿って配置される複数の略円弧状の吸気口911a’の集合体とも解釈することができる。平面視において、第四領域に配置される吸気口911a’の径方向外側エッジ911dは、径方向外方に向かって突出する。これにより、送風ファン1Aでは、第一ないし第四領域81,82,83,84のうち、第四領域84において、中心軸J1から下側吸気口911aの径方向外側エッジ911dまでの径方向距離が、最大である。したがって、第四領域84での吸気量が多くなり、その結果として、第一領域81において排気口22から排出される空気の量の不足が解消され、送風ファン1Aの風量が増加する。
【0063】
また、送風ファン1Aでは、第一領域において、中心軸J1から下側吸気口911aの径方向内側エッジ911cまでの径方向距離が、最大である。したがって、本実施形態の送風ファン1Aでは、空気の吸気量が大きく期待されない第一領域81に配置される下側吸気口911aの開口面積を小さくすることができ、風量の低減を抑えつつ、下プレート211の剛性を確保できる。その結果、送風ファン1Aでは、より効果的に騒音を低減できる。
【0064】
図12は、さらに他の実施形態に係る送風ファン1Bの平面図である。
図12で示す鎖線74は、送風ファン1Bを平面視した際に、中心軸J1から下側吸気口911aの径方向外側エッジ911dまでの半径距離が最大となる点における接線74である。下プレート911は、側壁部212の開口部の両端部のエッジ212aに跨るエッジ911bを有する。接線74は、第一領域81にて、排気口22を構成する部位の一部である下プレート911のエッジ911bと交差する。すなわち、接線74は、平面視した際に、第一領域81において、排気口22を構成するエッジ911b、と交差する。これにより、下側吸気口911aにおける第四領域84の中心軸J1から径方向外側エッジ911dまでの径方向距離が最大となる位置で吸気した空気を、効率よく第一領域に送風することができる。
【0065】
図13は、さらに他の実施形態に係る送風ファン1Cの平面図である。本実施形態では、第四領域84における上側吸気口213aのエッジ213cの中心軸J1からの距離の最大値となる周方向の位置は、第四領域84に配置される下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dの中心軸J1からの距離の最大値となる周方向の位置と軸方向に重なる。第一ないし第三領域81,82,83においては、中心軸J1から上側吸気口213aのエッジ213cまでの径方向距離は、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離よりも大きい。言い換えれば、第一ないし第三領域81,82,83における、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離は、中心軸J1から上側吸気口213aのエッジ213cまでの径方向距離よりも小さい。
【0066】
一般的な下側吸気口を有する送風ファンでは、下側吸気口を大きくすると、下側吸気口のエッジを通過する空気流の流速は速くなる。その結果、下側吸気口の径方向内側エッジ、径方向外側エッジおよびリブのエッジに干渉した空気流により騒音が大きくなる。本実施形態では、第一ないし第三領域81,82,83においては、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が、中心軸J1から上側吸気口213aのエッジ213cまでの径方向距離よりも小さいため、騒音を低減できる。また、第四領域に配置される下側排気口211aを、第一ないし第三領域81,82,83それぞれに配置される下側排気口211aよりも大きくすることで、下側吸気口211aからの空気の吸気量を確保することができる。
【0067】
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0068】
上記実施形態においては、下側吸気口211aは、第一ないし第四領域81,82,83,84に跨って配置されたが、下側吸気口211aは、第四領域84にのみ配置されてもよい。第四領域84において、中心軸J1から下側吸気口211aの径方向外側エッジ211dまでの径方向距離が、最大であれば、第一ないし第三領域81,82,83に下側吸気口211aが配置されなくてもよい。
【0069】
例えば、
図14に示すように、シャフト41Bの上端部から径方向外方に広がるスラストプレート47Bの上面と、スラストプレート47Bと軸方向に対向する軸受部の下方を向く面とにより、スラスト動圧軸受部3cが構成されてもよい。すなわち、軸受部および回転部の互いに軸方向に対向する面と、それらの間のスラスト間隙に介在する潤滑油5と、により、スラスト間隙に介在する潤滑油5に流体動圧を発生させるスラスト動圧軸受部が構成されればよい。なお、シャフト41Bとスラストプレート47Bとは、単一の部材であってもよいし、別部材であってもよい。例えば、ロータハブ42Bとシャフト41Bとが、単一の部材である場合、シャフト41Bとスラストプレート47Bとは、別部材であることが好ましい。
【0070】
軸受部3は、
図14に示すように、焼結金属製の略円筒状のスリーブ30と、該スリーブ30を覆う有底略円筒状のスリーブハウジング31とにより構成されてもよい。
【0071】
また、下プレート211は、軸受部3を直接に保持してもよい。すなわち、上記実施形態においては、下プレート211は、ブッシュ25を介して、軸受部3を間接的に保持するが、上記実施形態に限定されない。
【0072】
その他、各部材の細部の形状については、本願の各図に示された形状と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【0073】
本発明は、ノートPC等に搭載される薄型の送風ファンに利用できる。