特許第6136319号(P6136319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136319
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ウインドシールドガーニッシュ
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/02 20060101AFI20170522BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B60J1/02 111A
   B60R13/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-20352(P2013-20352)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-151665(P2014-151665A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】與語 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】高原 英紀
(72)【発明者】
【氏名】小島 隆浩
(72)【発明者】
【氏名】竹本 結花
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】清野 達樹
【審査官】 倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−185120(JP,U)
【文献】 実開昭63−009030(JP,U)
【文献】 特開2008−155748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/02
B60R 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のボデーパネルによって支持されるウインドシールドガラスの下部で車両幅方向に沿って配置され、前記ボデーパネルと前記ウインドシールドガラス下端との境界部分を覆うウインドシールドガーニッシュであって、
前記ウインドシールドガラスの下端における車両前側の面に沿って取付けられるガーニッシュインナと、
前記ガーニッシュインナに係合されるとともに前記ガーニッシュインナの車両前側に空間を形成した状態で配置されるガーニッシュアウタとを備え、
前記ガーニッシュアウタが、前記ウインドシールドガラスの上端側に向かうに従って次第に前記ウインドシールドガラスに近付くよう傾斜する斜面部を具備し、
前記ガーニッシュアウタは、前記ガーニッシュインナに向かって突出されて前記ガーニッシュインナに係合可能な係止爪を具備し、
前記ガーニッシュインナは、前記係止爪と対応する位置に設けられて前記係止爪が係合される受け孔を有し、
前記係止爪が前記受け孔の縁部に係止した状態において、前記係止爪の先端と前記ウインドシールドガラスとの間に、前記ガーニッシュアウタが前記ウインドシールドガラスに向かって移動することを許容する隙間を有したことを特徴とするウインドシールドガーニッシュ。
【請求項2】
前記係止爪が上側の係止爪と下側の係止爪とを含み、これら上下の係止爪の前記引っ掛け部が互いに向かい合う側に突出していることを特徴とする請求項1に記載のウインドシールドガーニッシュ。
【請求項3】
前記ガーニッシュアウタの前記斜面部の下側に、車両前後方向に撓むことが可能なスカート部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のウインドシールドガーニッシュ。
【請求項4】
前記ガーニッシュアウタが車両幅方向に2分割された一対のガーニッシュアウタ構成部材からなり、かつ、前記ガーニッシュインナが車両幅方向に3分割された3つのガーニッシュインナ構成部材からなり、前記ガーニッシュアウタ構成部材どうしが隣り合う継ぎ目の位置と、前記ガーニッシュインナ構成部材どうしが隣り合う継ぎ目の位置とを互いに異ならせたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のウインドシールドガーニッシュ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部のウインドシールドガラスの下部に配置されるウインドシールドガーニッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両の運転席の前方にウインドシールドガラスが設けられている。ウインドシールドガラスは、例えばボデーパネルに形成されたウインドシールド部の開口のフランジに接着等によって固定されている。また特許文献1に開示されているウインドシールドガラスの取付構造では、金属製のボデーパネルに形成されたウインドシールド部の開口のフランジに、ウインドシールドガラスの周縁がウェザストリップ等のシール部材を介して固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−276795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のウインドシールド部では、金属製のボデーパネルに形成されたフランジにウインドシールドガラスの周縁が固定されている。ボデーパネルの前記フランジ付近は閉断面が形成されるなど比較的剛性が高い構造となっている。ところで、車両が歩行者と衝突した場合を想定して、歩行者の頭部を模したインパクタをウインドシールドガラスの下部に衝突させる試験がある。そして、特許文献1に記載されているような構造の車両で試験を行なった場合、衝突したインパクタがフランジに向かうことにより、いわゆる「インパクタの底付き」が発生し、インパクタの減速度が増加する可能性がある。
【0005】
このようなウインドシール部のフランジに車体前方から歩行者の頭部が衝突すると、該フランジから受ける反力が比較的大きいことにより、歩行者の傷害値が高まることが考えられる。特にウインドシールドガラスから車体の前端までの距離が比較的短い車両では、車体前方から移動してくるインパクタの衝突荷重がウインドシールドガラス下部の前記フランジ付近に入力する可能性があるため、インパクタの減加速度を減速して衝突荷重を緩和させることが望まれる。
【0006】
従って本発明の目的は、ウインドシールドガラスの下端取付部付近に入力する衝突荷重を緩和させることができるウインドシールドガーニッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両のボデーパネルによって支持されるウインドシールドガラスの下部で車両幅方向に沿って配置され、前記ボデーパネルと前記ウインドシールドガラス下端との境界部分を覆うウインドシールドガーニッシュであって、前記ウインドシールドガラスの下端における車両前側の面に沿って取付けられるガーニッシュインナと、前記ガーニッシュインナに係合されるとともに前記ガーニッシュインナの車両前側に空間を形成した状態で配置されるガーニッシュアウタとを備えている。そして前記ガーニッシュアウタが、前記ウインドシールドガラスの上端側に向かうに従って次第に前記ウインドシールドガラスに近付くよう傾斜する斜面部を具備している。
【0008】
記ガーニッシュアウタは、前記ガーニッシュインナに向かって突出されて前記ガーニッシュインナに係合可能な係止爪を具備し、前記ガーニッシュインナは、前記係止爪と対応する位置に設けられて前記係止爪が係合される受け孔を有し、前記係止爪が前記受け孔の縁部に係止した状態において、前記係止爪の先端と前記ウインドシールドガラスとの間に、前記ガーニッシュアウタが前記ウインドシールドガラスに向かって移動することを許容する隙間を有している。また前記係止爪が上側の係止爪と下側の係止爪とを含み、これら上下の係止爪の前記引っ掛け部が互いに向かい合う側に突出していてもよい。前記ガーニッシュアウタの前記斜面部の下側に、車両前後方向に撓むことが可能なスカート部が形成されているとよい。
【0009】
また1つの実施形態では、前記ガーニッシュアウタが車両幅方向に2分割された一対のガーニッシュアウタ構成部材からなり、かつ、前記ガーニッシュインナが車両幅方向に3分割された3つのガーニッシュインナ構成部材からなり、前記ガーニッシュアウタ構成部材どうしが隣り合う継ぎ目の位置と、前記ガーニッシュインナ構成部材どうしが隣り合う継ぎ目の位置とを互いに異ならせている。さらに前記2分割されたガーニッシュアウタ構成部材の車両幅方向の長さが互いに異なり、これらガーニッシュアウタ構成部材の前記継ぎ目の位置を、車両正面から見てワイパピボットの真後ろに配置されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ウインドシールドガラスの下端取付部付近に入力するインパクタ等の衝突荷重を、ガーニッシュインナとガーニッシュアウタとを備えたウインドシールドガーニッシュによって緩和させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】1つの実施形態に係るウインドシールドガーニッシュを備えた車両の斜視図。
図2図1に示された車両のウインドシールド部の一部を拡大した斜視図。
図3図2中のF3−F3線に沿うウインドシールド部の断面図。
図4図2中のF4−F4線に沿うウインドシールド部の断面図。
図5図2に示されたウインドシールド部のガーニッシュアウタを外した状態の斜視図。
図6図5に示されたウインドシールド部のガラスユニットの斜視図。
図7図5に示されたウインドシールド部の一部を拡大した斜視図。
図8図2に示されたガーニッシュアウタの一部を裏面側から見た斜視図。
図9図3に示されたウインドシールド部に衝突荷重が入力した状態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、1つの実施形態に係るウインドシールドガーニッシュを備えた車両について、図1から図9を参照して説明する。
図1は車両10の一例を示す斜視図である。この車両10の車体11の前部に、ボデーパネル12によって形成されたフード部12aと、ウインドシールドガラス13を有するウインドシールド部14が設けられている。ウインドシールド部14は、車体11の前面すなわち運転席と助手席の前方に形成されている。図1中の矢印Xは車両10の前後方向、矢印Yは車両10の幅方向、矢印Zは上下方向を示している。これ以降、車両10の幅方向を“車両幅方向”と称する。
【0013】
図1に示すようにウインドシールド部14の開口14aは、ウインドシールドガラス13の下端に沿って車両幅方向Yに延びるカウル部20と、ウインドシールドガラス13の上端に沿って車両幅方向Yに延びるフロントルーフレール21と、左右一対のフロントピラー22,23などによって囲まれている。このウインドシールド部14の開口14aにウインドシールドガラス13が装着されている。
【0014】
図2は、ウインドシールド部14の下部を拡大した斜視図である。ウインドシールド部14にワイパ装置30が設けられている。ワイパ装置30は、ワイパピボット31,32を中心に往復回動するワイパアーム33,34と、ウインドシールドガラス13を払拭するワイパブレード35,36を含んでいる。フード部12aには、ワイパピボット31,32を配置する孔37,38(図5に示す)が形成されている。
【0015】
ウインドシールド部14の下部すなわちウインドシールドガラス13の下端取付部付近に、ウインドシールドガーニッシュ40が配置されている。図1図2に示されるように、ウインドシールドガーニッシュ40は車両幅方向Yに延びている。このウインドシールドガーニッシュ40については、後に詳しく説明する。
【0016】
図3は、図2中のF3−F3線に沿うウインドシールド部14の下部の断面図である。図4は、図2中のF4−F4線に沿うウインドシールド部14の下部の断面図である。図3図4に示されるように、ボデーパネル12の一部によってカウル部20が構成されている。カウル部20はウインドシールド部14の下部をなしている。
【0017】
図3図4に示されるように、カウル部20の一例は、フード部12aの車両後側の端から斜め上方に立ち上がるフランジ20aと、該フランジ20aにスポット溶接等によって接合されたインナパネル20bとを含んでいる。これらフランジ20aとインナパネル20bとによって閉断面20cが形成され、閉断面20cによってカウル部20の剛性が高められている。
【0018】
ウインドシールドガーニッシュ40は、ボデーパネル12とウインドシールドガラス13の下端13bとの境界部分Kを覆っている。ウインドシールドガーニッシュ40は、ウインドシールドガラス13の前面13a(車両前側の面)に配置されるガーニッシュインナ41と、ガーニッシュインナ41の車両前に配置されるガーニッシュアウタ42とを有している。まずガーニッシュインナ41について説明する。
【0019】
図5は、図2に示されたガーニッシュアウタ42を取付ける前の状態であり、フード部12aの一部と、ウインドシールドガラス13の一部と、ガーニッシュインナ41などが示されている。このガーニッシュインナ41は、車両幅方向に3分割された3つのガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cによって構成されている。
【0020】
図5において左側に位置する第1のガーニッシュインナ構成部材41aは、運転席側に配置されている。第2のガーニッシュインナ構成部材41bは車両幅方向Yの中央に配置されている。図5において右側に位置する第3のガーニッシュインナ構成部材41cは、助手席側に配置されている。これらガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cは、例えばアクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)等の樹脂の一体成形品であり、車両幅方向の長さは、それぞれW1.W2,W3(図5に示す)である。このため車両幅方向Yの2箇所にガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cどうしが隣り合う継ぎ目T1,T2が形成されている。
【0021】
図3図4に示されるように、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cの裏面(ウインドシールドガラス13と対向する面)の下部に、それぞれ、ガラス支持部50が形成されている。ガラス支持部50は、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cの裏面からウインドシールドガラス13の下端13bに向かって突出し、ウインドシールドガラス13の下端13bを下側から支持することができる形状としている。
【0022】
ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cの裏面側に、接着材55を設けるための接着部56が車両幅方向Yに間隔を存して複数箇所に設けられている。これら接着部56とウインドシールドガラス13の前面13aとの間に接着材55(図3図4に示す)を設けることにより、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cがウインドシールドガラス13の前面13aに固定されている。ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cには、接着部56に供給された接着材55を車両外側から確認することができるように、目視用の貫通孔57が形成されている。
【0023】
図6は、ウインドシールドガラス13とガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cとからなるガラスユニット60を車体11に取付ける前の状態を示している。このガラスユニット60を、ウインドシールド部14の開口14aに車体前方から取付ける。すなわち図3図4に示すように、ウインドシールド部14の下部においては、ウインドシールドガラス13の下部をボデーパネル12のフランジ20aに車両前方から重ねる。そしてスペーサ及び接着材等の固定用部材61によって、ウインドシールドガラス13の裏面13cの下部をフランジ20aに固定する。このようにしてガラスユニット60の下部がフランジ20aを含むボデーパネル12によって支持される。
【0024】
ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cには、それぞれ、上側の受け孔70と下側の受け孔71とが、車両幅方向Yの複数個所に形成されている。図7は、第3のガーニッシュインナ構成部材41cの端部を拡大して示す斜視図である。ガーニッシュインナ構成部材41cに、前記ガラス支持部50と、接着部56と、貫通孔57と、上下に対をなす受け孔70,71などが形成されている。
【0025】
受け孔70,71は車両の前後方向に開口している。第1のガーニッシュインナ構成部材41aと第2のガーニッシュインナ構成部材41bにも、第3のガーニッシュインナ構成部材41cと同様のガラス支持部50と、接着部56と、貫通孔57と、上下に対をなす受け孔70,71が形成されている。図3に示されるように受け孔70,71は車両の前後方向に貫通し、それぞれ縁部70a,71aを有している。受け孔70,71の縁部70a,71a間に、壁72が形成されている。
【0026】
次にガーニッシュアウタ42について説明する。
図2に示されるようにガーニッシュアウタ42は、車両10の前側から見て車両幅方向Yに2分割された左右一対のガーニッシュアウタ構成部材42a,42bを有している。ガーニッシュインナ41の車両前側に装着されるようになっている。ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bは、例えばポリプロピレン等の樹脂からなる一体成形品であり、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cの車体前側に配置されている。ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bの車両幅方向Yの長さは、それぞれL1,L2である。
【0027】
一方のワイパピボット32(図2に示す)は、車両幅方向Yの中央から僅かに助手席寄りに位置している。このため本実施形態のガーニッシュアウタ42は、車両10の正面から見て、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bどうしが隣り合う継ぎ目T3の位置がワイパピボット32の背後(真後ろ)でワイパピボット32の真上にくるように、第1のガーニッシュアウタ構成部材42aの長さL1を第2のガーニッシュアウタ構成部材42bの長さL2よりも僅かに長くしている。こうすることにより、見かけ上、ワイパピボット32の位置と継ぎ目T3の位置を合致させることができる。
【0028】
図8は、ガーニッシュアウタ構成部材42bの端部を裏側(車両後側)から見た斜視図である。ガーニッシュアウタ構成部材42bの裏面には、ガーニッシュインナ構成部材41cの上側の受け孔70と下側の受け孔71と対応した位置に、それぞれ受け孔70,71に挿入可能な上側の係止爪80と下側の係止爪81とが形成されている。これら係止爪80,81は、ガーニッシュインナ41に向かって突出している。
【0029】
図3に示されるように上下に対をなす係止爪80,81は、互いに向かい合う側(内側)に突出する引っ掛け部80a,81aと、係止爪80,81の先端から引っ掛け部80a,81aに連なるガイド斜面80b,81bとを有している。他方のガーニッシュアウタ構成部材42aの裏面にも、このガーニッシュアウタ構成部材42bと同様の係止爪80,81が形成されている。すなわちガーニッシュアウタ42は、係止爪80,81によってガーニッシュインナ41に係合され、かつ、ガーニッシュインナ41とガーニッシュアウタ42との間に空間Sが形成されている。
【0030】
係止爪80,81を受け孔70,71に挿入すると、ガイド斜面80b,81bが受け孔70,71の縁部70a,71aに接した状態で滑りながら、係止爪80,81が互いに広がる方向に弾性変形したのち、図3に示すように引っ掛け部80a,81aが受け孔70,71の縁部70a,71aに引っ掛かることにより、係止爪80,81の抜け止めがなされる。引っ掛け部80a,81aが互いに向かい合う側に突出しているため、係止爪80,81が受け孔70,71間の壁72を抱え込むようにして、ガーニッシュアウタ構成部材42bがガーニッシュインナ構成部材41cに固定される。他のガーニッシュアウタ構成部材42a,42cも、ガーニッシュアウタ構成部材42bと同様に、係止爪80,81によってガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cに固定される。
【0031】
係止爪80,81の引っ掛け部80a,81aが縁部70a,71aに係止した状態において、係止爪80,81の先端とウインドシールドガラス13の前面13aとの間に隙間G(図3に示す)が形成されている。この隙間Gによって、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bがウインドシールドガラス13に向かって移動することが許容される。
【0032】
図3図4に示されるように、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bの上面には、車両前方に僅かに突き出た形状の車両前側の凸部85と、該凸部85から車両後方に向かって次第に高くなるように傾斜した形状の斜面部86と、該斜面部86の後端付近に形成された薄肉部87を境に車両前後方向に撓むことが可能な弾性部88が形成されている。この弾性部88は、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bをガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cに取付けた状態において、ウインドシールドガラス13に接するようになっている。斜面部86は、ウインドシールドガラス13の上端13d(図1図6に示す)に向かうに従って次第にウインドシールドガラス13に近付くように傾斜している。
【0033】
ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bの下部(斜面部86と凸部85の下方)に、複数の溝89を有するスカート部90が形成されている。このスカート部90の溝89は車両幅方向Yに延び、車両正面から見て意匠的な役割を果たしているが、図9に示すように車両前方(矢印C1で示す方向)から衝突荷重が入力したときに、スカート部90が車両前後方向にある程度撓むことができるようになっている。
【0034】
ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bに、クリップ95(図2に示す)を挿入するためのクリップ挿入孔96が形成されている。ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cには、クリップ挿入孔96と対応した位置に、クリップ95を保持するクリップ係止孔97(図5図6に示す)が形成されている。
【0035】
ガーニッシュアウタ42をガーニッシュインナ41に組付けるには、全ての係止爪80,81を、各係止爪80,81に対応する受け孔70,71に挿入し、各係止爪80,81の引っ掛け部80a,81aを受け孔70,71の縁部70a,71aに引っ掛ける(係合させる)ことにより、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bがガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cに固定される。さらにクリップ95をクリップ挿入孔96に挿入し、クリップ係止孔97に係止させることにより、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cに対するガーニッシュアウタ構成部材42a,42bの固定が補強される。
【0036】
本実施形態のガーニッシュインナ41は、車両幅方向に3分割された3つのガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cを有している。これに対しガーニッシュアウタ42は、車両幅方向に2分割された一対のガーニッシュアウタ構成部材42a,42bを有している。そして車両10の正面から見て、ガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cの継ぎ目T1,T2の位置とガーニッシュアウタ構成部材42a,42bの継ぎ目T3の位置とが重ならないように、継ぎ目T1,T2,T3の位置を互いにずらしている。しかもガーニッシュインナ構成部材41a,41b,41cとガーニッシュアウタ構成部材42a,42bとが、車両幅方向Yの複数個所に設けられた係止爪80,81によって互いに結合される。このためウインドシールドガーニッシュ40の曲げ剛性が継ぎ目T1,T2,T3のところで途切れてしまうことを回避でき、ウインドシールドガーニッシュ40全体としての曲げ剛性を確保することができる。
【0037】
図3に示すように、車両前方(矢印Aで示す方向)からインパクタ100がボデーパネル12のフランジ20a付近に向かってウインドシールドガーニッシュ40の斜面部86に接した場合、インパクタ100が斜面部86によってウインドシールドガラス13の上方(矢印Bで示す方向)に案内される。すなわち、前方から移動してくるインパクタ100がフランジ20aから離れるように斜面部86によって上方に案内される。このためインパクタ100がフランジ20aから反力を受けることを抑制することができる。
【0038】
また、係止爪80,81の先端とウインドシールドガラス13との間に、係止爪80,81がウインドシールドガラス13に向かって移動することを許容する隙間Gが確保されているため、衝突荷重を受けたガーニッシュアウタ構成部材42a,42bが車両後側に撓むことができ、インパクタ100の減加速度を減速させることができる。
【0039】
図9に示すように、衝突荷重が矢印C1方向からガーニッシュアウタ構成部材42a,42bのスカート部90付近に入力する場合には、スカート部90が車両後側に撓む。ここで、上下一対の係止爪80,81の引っ掛け部80a,81aが互いに向かい合い、壁72を抱え込むように縁部70a,71aに引っ掛かっているため、スカート部90が車両後側に撓むと、引っ掛け部80a,81aが受け孔70,71の縁部70a,71aから外れやすくなる。また、ガーニッシュアウタ構成部材42a,42bが矢印C2,C3で示す方向に変形することなどにより、係止爪80,81が縁部70a,71aから外れることが助長される。
【0040】
なお本発明を実施するに当たって、ボデーパネルおよびウインドシールド部等の形状や構成等の具体的態様をはじめとして、ガーニッシュアウタを構成するガーニッシュアウタ構成部材と、ガーニッシュインナを構成するガーニッシュインナ構成部材の具体的な形状や材料、デザイン、配置等の態様を種々に変更して実施できることは言うまでもない。またガーニッシュインナ構成部材とガーニッシュアウタ構成部材とを互いに結合する係止爪や受け孔等の形状や配置なども必要に応じて変更できるものである。
【符号の説明】
【0041】
10…車両、11…車体、12…ボデーパネル、13…ウインドシールドガラス、14…ウインドシールド部、20a…フランジ、31,32…ワイパピボット、40…ウインドシールドガーニッシュ、41…ガーニッシュインナ、41a,41b,41c…ガーニッシュインナ構成部材、42…ガーニッシュアウタ、42a,42b…ガーニッシュアウタ構成部材、50…ガラス支持部、60…ガラスユニット、70,71…受け孔、70a,71a…縁部、80,81…係止爪、80a,81a…引っ掛け部、86…斜面部、88…弾性部、90…スカート部、G…隙間、T1,T2,T3…継ぎ目。
図1
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図9