特許第6136338号(P6136338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特許6136338-ボイラ装置 図000002
  • 特許6136338-ボイラ装置 図000003
  • 特許6136338-ボイラ装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136338
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ボイラ装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 1/04 20060101AFI20170522BHJP
   F26B 3/084 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F23K1/04
   F26B3/084
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-28801(P2013-28801)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-156982(P2014-156982A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】田村 雅人
(72)【発明者】
【氏名】駒場 健一郎
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−223572(JP,A)
【文献】 特開2011−214812(JP,A)
【文献】 特開2012−092989(JP,A)
【文献】 特公昭42−001067(JP,B1)
【文献】 特開2012−237547(JP,A)
【文献】 特表2006−511775(JP,A)
【文献】 特開2011−214562(JP,A)
【文献】 特開2011−214809(JP,A)
【文献】 特開2010−276259(JP,A)
【文献】 特開2013−170798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 1/04
F26B 3/084
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水物を乾燥させる含水物乾燥システムと、火炉の炉壁に設けられ乾燥された前記含水物を燃料とするバーナとを具備するボイラ装置であって、前記含水物乾燥システムは、含水物を乾燥させる乾燥装置と、乾燥により前記含水物から生じた蒸気中の前記含水物の粉末を分離捕集して除去する集塵装置と、前記含水物の粉末が除去された前記蒸気を昇圧して過熱蒸気とする昇圧手段と、前記蒸気の一部を抽出して流動媒体として前記乾燥装置に供給し、前記含水物を液状化させる流動媒体供給手段と、前記過熱蒸気を流通させ前記含水物を熱交換により乾燥させる伝熱管と、稼働中の他のボイラのタービンより蒸気の一部を抽出し前記伝熱管と前記流動媒体供給手段に導入させる起動蒸気導入ラインと、前記含水物乾燥システムの起動時に前記起動蒸気導入ラインを開くバルブとを具備することを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前記昇圧手段は、前記ボイラ装置で発生した蒸気の一部を抽出し、抽出した蒸気を駆動源とする請求項1のボイラ装置。
【請求項3】
前記乾燥装置は、前記含水物が貯溜される乾燥室と、該乾燥室の一端部より前記含水物を供給する含水物供給手段と、前記乾燥室の他端部より乾燥された前記含水物を排出する排出手段と、前記乾燥室に設けられた前記伝熱管と、加熱により前記含水物から生じた蒸気を排気する排気手段と、前記乾燥室を複数の乾燥分室に分割し、該乾燥分室が下部と上部とで交互に連通される様に設けた複数の分割壁と、前記乾燥室の底板より流動媒体を噴出する前記流動媒体供給手段とを具備し、前記流動媒体により液状化した前記含水物が各乾燥分室間を前記分割壁の下端又は上端で反転しながら流動する様構成された請求項1又は請求項2のボイラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水物、特にボイラ効率の向上の為に多量の水分を含有する褐炭等の低品位炭を予乾燥させるボイラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ボイラの燃料として、高水分含有のバイオマスや、高水分含有の褐炭等の低品位炭等の含水物を用いることが求められている。
【0003】
然し乍ら、含水物をボイラの燃料として用いる場合、火炉内に持込まれる水分量が多い為、含水物から蒸発した水蒸気により火炉内の温度が低下し、ボイラの効率が低下するという問題がある。
【0004】
この為、含水物をボイラの燃料として用いる場合には、ハンマーミル等の粉砕機と火炉との間に含水物の乾燥装置を設け、該乾燥装置により予め含水物を乾燥して水分を除去した後に火炉へと供給する必要がある。
【0005】
尚、特許文献1には、低品位炭乾燥装置が過熱蒸気の潜熱により間接的に低品位炭を乾燥し、乾燥により発生した蒸気から集塵装置により微粒子を除去した後に、少なくとも2段の圧縮機を有する多段圧縮機により前記蒸気を昇圧させて過熱蒸気とする構成が開示され、前記多段圧縮機の段の間の圧縮途中の蒸気に対して、前記過熱蒸気から潜熱が回収されることで凝縮した凝縮水を低温水として噴霧する低品位炭乾燥システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−214812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、含水物をボイラ燃料として使用する際のボイラ効率の向上を図るボイラ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、含水物を乾燥させる含水物乾燥システムと、火炉の炉壁に設けられ乾燥された前記含水物を燃料とするバーナとを具備するボイラ装置であって、前記含水物乾燥システムは、含水物を乾燥させる乾燥装置と、乾燥により前記含水物から生じた蒸気中の前記含水物の粉末を分離捕集して除去する集塵装置と、前記含水物の粉末が除去された前記蒸気を昇圧して過熱蒸気とする昇圧手段と、前記蒸気の一部を抽出して流動媒体として前記乾燥装置に供給し、前記含水物を液状化させる流動媒体供給手段と、前記過熱蒸気を熱源とし前記含水物を乾燥させる加熱手段とを具備するボイラ装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記昇圧手段は、前記ボイラ装置で発生した蒸気の一部を抽出し、抽出した蒸気を駆動源とするボイラ装置に係るものである。
【0010】
更に又本発明は、前記乾燥装置は、前記含水物が貯溜される乾燥室と、該乾燥室の一端部より前記含水物を供給する含水物供給手段と、前記乾燥室の他端部より乾燥された前記含水物を排出する排出手段と、前記乾燥室に設けられた前記加熱手段と、加熱により前記含水物から生じた蒸気を排気する排気手段と、前記乾燥室を複数の乾燥分室に分割し、該乾燥分室が下部と上部とで交互に連通される様に設けた複数の分割壁と、前記乾燥室の底板より流動媒体を噴出する前記流動媒体供給手段とを具備し、前記流動媒体により液状化した前記含水物が各乾燥分室間を前記分割壁の下端又は上端で反転しながら流動する様構成されたボイラ装置に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、含水物を乾燥させる含水物乾燥システムと、火炉の炉壁に設けられ乾燥された前記含水物を燃料とするバーナとを具備するボイラ装置であって、前記含水物乾燥システムは、含水物を乾燥させる乾燥装置と、乾燥により前記含水物から生じた蒸気中の前記含水物の粉末を分離捕集して除去する集塵装置と、前記含水物の粉末が除去された前記蒸気を昇圧して過熱蒸気とする昇圧手段と、前記蒸気の一部を抽出して流動媒体として前記乾燥装置に供給し、前記含水物を液状化させる流動媒体供給手段と、前記過熱蒸気を熱源とし前記含水物を乾燥させる加熱手段とを具備するので、前記火炉内に多量の水分が持込まれた際の水蒸気による該火炉内の温度低下を抑制でき、ボイラ効率の向上を図ることができると共に、乾燥の過程で生じた熱を熱源とすることで熱を有効活用することができ、前記含水物の乾燥効率を向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る含水物乾燥システムが適用されるボイラ装置を示す概略図である。
図2】本発明の実施例に係る含水物乾燥システムを示す概略図である。
図3】本発明の実施例に係る含水物乾燥システムに適用される乾燥装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0014】
先ず、図1に於いて、本発明の実施例に係る含水物乾燥システムが適用されるボイラ装置1について説明する。
【0015】
図1中、2は該ボイラ装置1の火炉を示し、3は該火炉2の炉壁に設けられたバーナ3を示している。前記火炉2の炉壁には、炉内からの輻射熱を吸収する伝熱管(図示せず)が設けられ、又前記火炉2の上方には、発生した蒸気を過熱する為のスーパヒータ(過熱蒸気発生器)4が設けられている。
【0016】
又、図1中、5はバイオマスや低品位炭等の含水物、例えば褐炭を乾燥させる含水物乾燥システムを示しており、水分を含有する褐炭6が前記含水物乾燥システム5に供給されると、該含水物乾燥システム5にて前記褐炭6の乾燥が行われ、乾燥褐炭7として前記バーナ3に供給される。
【0017】
該バーナ3に前記乾燥褐炭7が供給されることで、前記バーナ3にて前記乾燥褐炭7が燃焼され、前記火炉2内に火炎が形成される。燃焼により生じた燃焼排ガス8は、前記火炉2内を加熱し、又前記スーパヒータ4と熱交換をしつつ、煙道9を介して排気される様になっている。
【0018】
次に、図2に於いて、前記含水物乾燥システム5について説明する。
【0019】
図2中、11は前記褐炭6を所定の粒径、例えば2mm以下に粉砕するハンマーミル等の粉砕機を示し、12は粉砕された前記褐炭6を乾燥させる乾燥室10が内部に形成された乾燥装置を示している。
【0020】
前記乾燥室10の側壁の上部に褐炭供給ライン13が接続され、該褐炭供給ライン13の途中には前記粉砕機11が設けられ、該粉砕機11には前記褐炭供給ライン13を介して後述する褐炭ホッパ36が接続される。該褐炭ホッパ36、前記粉砕機11、前記褐炭供給ライン13は含水物供給手段を構成する。
【0021】
前記乾燥室10の天板には、排気手段である排気ライン14を介して集塵装置15が接続され、前記乾燥室10の他の側壁の下部には排出手段である褐炭排出ライン16が接続され、該褐炭排出ライン16は前記バーナ3に接続されている。又、前記褐炭排出ライン16には前記乾燥褐炭7を冷却する為の熱交換器17が設けられている。
【0022】
又、前記乾燥室10の底板18には、図示しない孔を介して流動媒体、例えばバブリング蒸気19を導入する為の流動媒体供給管21が多数設けられ、前記粉砕機11より供給され堆積した前記褐炭6に対して前記バブリング蒸気19を供給することで、褐炭粉が蒸気によって浮遊され、擬液状体となり、擬液状体によって前記乾燥室10内に流動層22が形成される。
【0023】
前記集塵装置15は、前記褐炭6より蒸発した蒸気23中から前記褐炭6の粉末を捕集分離する機能を有している。前記集塵装置15には粉末排出ライン24が接続され、該粉末排出ライン24は前記褐炭排出ライン16に合流する。捕集した粉末は、前記粉末排出ライン24を介して前記褐炭排出ライン16へと送られ、更に該褐炭排出ライン16を介して前記熱交換器17へと送られる。
【0024】
前記集塵装置15には蒸気循環ライン25が接続され、該蒸気循環ライン25は前記流動媒体供給管21に接続され、前記蒸気循環ライン25の途中にはブロア26が設けられている。前記集塵装置15により前記褐炭6の粉末が除去された前記蒸気23の一部は、前記ブロア26により前記バブリング蒸気19として前記流動媒体供給管21に送給される様になっている。尚、前記流動媒体供給管21、前記蒸気循環ライン25、前記ブロア26により流動媒体供給手段が構成される。
【0025】
又、前記蒸気循環ライン25は、前記集塵装置15と前記ブロア26との間で、過熱蒸気導入ライン27に分岐している。該過熱蒸気導入ライン27には昇圧手段、例えば蒸気駆動のコンプレッサ28が設けられており、図示しないボイラのタービンより蒸気の一部が抽出され、駆動蒸気導入ライン29を介して駆動蒸気として導入される様になっている。前記コンプレッサ28が駆動蒸気を動力源として駆動され、前記蒸気循環ライン25から吸入された前記蒸気23が昇圧昇温される。
【0026】
前記過熱蒸気導入ライン27の下流端は、前記流動層22中に多数設けられた加熱手段である伝熱管31(図2中では1つのみ図示)の一端が接続されている。該伝熱管31内には、前記コンプレッサ28により昇圧昇温され、高温高圧となった過熱蒸気が流通する様になっている。
【0027】
前記伝熱管31の他端には、排水管32が接続されている。過熱蒸気が前記伝熱管31内を流通し、前記流動層22中の前記褐炭6と熱交換されることで凝縮し、凝縮潜熱を放出する。凝縮した凝縮水は、排水管32から排出される。尚、該排水管32は図示しない復水器等のコンデンサに接続され、凝縮水はボイラに戻される。
【0028】
又、前記蒸気循環ライン25と前記過熱蒸気導入ライン27には、二股に分岐した起動蒸気導入ライン33がそれぞれ接続されている。該起動蒸気導入ライン33は、稼働中の他のボイラのタービンより蒸気の一部を抽出可能であり、抽出した蒸気の一部を前記バブリング蒸気19として前記蒸気循環ライン25に供給すると共に、抽出した蒸気の残りを過熱蒸気として前記過熱蒸気導入ライン27に供給する様になっている。
【0029】
又、前記蒸気循環ライン25に接続されたバブリング蒸気側起動蒸気導入ライン33aと、前記過熱蒸気導入ライン27に接続された過熱蒸気側起動蒸気導入ライン33bにはそれぞれバルブ34,35が設けられており、前記蒸気循環ライン25と前記過熱蒸気導入ライン27に対する蒸気の供給、停止を個別に制御できる様になっている。
【0030】
次に、図3に於いて、前記乾燥装置12の詳細について説明する。尚、図3中、前記伝熱管31は前記流動層22の上部にのみ設けられているが、該流動層22の中部、下部も同様に前記伝熱管31が設けられているものとする。
【0031】
図3中、36は前記粉砕機11(図2参照)により粉砕された前記褐炭6を貯溜する褐炭ホッパを示し、該褐炭ホッパ36より前記褐炭供給ライン13を介して前記乾燥室10に前記褐炭6が供給される様になっている。尚、前記褐炭供給ライン13の前記乾燥室10に対する開口位置は、前記褐炭排出ライン16の前記乾燥室10に対する開口位置よりも上方に位置している。又、前記褐炭供給ライン13の開口位置と前記褐炭排出ライン16の開口位置との高低差は、バブリングにより液状化した前記褐炭6の流動性、前記乾燥装置12が持つ乾燥処理能力によって適宜決定する。
【0032】
又、前記乾燥室10内には、該乾燥室10を複数の乾燥分室に分割する為に設けられた複数の分割壁、例えば第1分割壁37、第2分割壁38、第3分割壁39の3枚の分割壁が設けられている。
【0033】
前記第1分割壁37は上端が前記流動層22の表面より上方に突出し、下端と前記乾燥室10の前記底板18との間には所定の間隔を有する間隙41が形成されている。又、前記第2分割壁38は前記乾燥室10の底板18より上方に突出して設けられ、上端は前記流動層22の表面よりも所定距離下がった下方に位置している。更に、前記第3分割壁39は上端が前記流動層22の表面より上方に突出し、下端と前記乾燥室10の前記底板18との間には所定の間隔を有する間隙42が形成されている。尚、前記間隙41、前記間隙42の間隔は、前記流動層22の流動性に応じて適宜選択される。
【0034】
前記第1分割壁37と前記乾燥装置12の前記褐炭供給ライン13側の側壁との間に第1乾燥分室43が形成され、前記第1分割壁37と前記第2分割壁38との間に第2乾燥分室44が形成され、前記第2分割壁38と前記第3分割壁39との間に第3乾燥分室45が形成され、前記第3分割壁39と前記乾燥装置12の前記褐炭排出ライン16側の側壁との間に第4乾燥分室46が形成されている。
【0035】
前記褐炭供給ライン13から供給された前記褐炭6は液状化され、前記褐炭排出ライン16から排出される迄の間に、前記第1乾燥分室43〜前記第4乾燥分室46内を上下に蛇行して流動し、乾燥される様になっている。又、前記第1乾燥分室43〜前記第4乾燥分室46を蛇行することで、流路長が長くなり前記褐炭6と前記伝熱管31との接触時間が長くなり、乾燥が促進される。
【0036】
次に、本実施例に係る前記含水物乾燥システム5による前記褐炭6の乾燥について更に説明する。
【0037】
先ず、未粉砕の該褐炭6が前記粉砕機11に投入され、該粉砕機11にて粒径が2mm以下となる様粉砕される。該粉砕機11により粉砕された前記褐炭6が、前記褐炭ホッパ36により貯溜された後、前記褐炭6が前記褐炭供給ライン13を介して前記乾燥装置12に投入される。
【0038】
該乾燥装置12に供給された前記褐炭6は、前記第1乾燥分室43に堆積し、堆積した前記褐炭6に前記流動媒体供給管21を介して前記バブリング蒸気19が供給されることで液状化され、流動性を有する前記褐炭6の前記流動層22が形成される。尚、前記含水物乾燥システム5の起動時に於いては、図示しない稼働中の他のボイラのタービンより、前記起動蒸気導入ライン33を介して蒸気が抽出される様になっており、前記バルブ34を開放することで、該起動蒸気導入ライン33を流通する蒸気の一部が前記バブリング蒸気側起動蒸気導入ライン33aを介して前記バブリング蒸気19として前記流動媒体供給管21に供給される。
【0039】
又、上記処理と並行して、前記バルブ35を開放することで、前記起動蒸気導入ライン33を流通する蒸気の残りが、前記過熱蒸気側起動蒸気導入ライン33bを介して前記過熱蒸気導入ライン27に導入され、前記コンプレッサ28により昇圧昇温された過熱蒸気に合流され、該過熱蒸気が前記伝熱管31内を流通する。
【0040】
前記流動層22は、前記第1乾燥分室43内を下方に向って流動し、前記間隙41を潜り抜けて前記第2乾燥分室44内へと流動する。この時、投入された前記褐炭6は、多量の水分を含有している為、前記褐炭6は自重により流下し、前記第1乾燥分室43内に留まることなく流下し、下部の前記褐炭6は上部からの圧力で前記間隙41より前記第2乾燥分室44内へと押出される。前記褐炭6は前記第1乾燥分室43から前記第2乾燥分室44へと流動する過程で前記伝熱管31と接触し、該伝熱管31内を流通する過熱蒸気との熱交換により加熱され、乾燥される。
【0041】
又、前記流動層22の流動性に応じて前記間隙41の間隔が設定されていることから、前記褐炭6が前記第1分割壁37を乗越えて前記第2乾燥分室44へと移動しない様になっている。又、前記第1分割壁37を乗越えて前記第2乾燥分室44へと移動しない様に前記褐炭ホッパ36からの前記褐炭6の供給量を調整する。
【0042】
前記第2乾燥分室44へと流動した前記褐炭6は、前記第2乾燥分室44で反転して下方から上方に向って流動し、前記第2分割壁38を乗越えて前記第3乾燥分室45へと流動する。この時、前記第1乾燥分室43での熱交換により、前記褐炭6が乾燥されて前記流動層22の流動性が増しており、前記第1乾燥分室43側からの圧力で前記褐炭6は逆流することなく円滑に前記第3乾燥分室45へと流動する。又、前記第2乾燥分室44に於いても、前記褐炭6が前記第3乾燥分室45へと流動する過程で、前記伝熱管31内を流通する過熱蒸気により加熱され、乾燥される。
【0043】
前記第3乾燥分室45へと流動した前記褐炭6は、前記伝熱管31内を流通する過熱蒸気により更に加熱され、乾燥されつつ前記第3乾燥分室45で反転して下方に向って流動し、前記間隙42を通過して前記第4乾燥分室46内へと流動する。
【0044】
前記第4乾燥分室46へと流動した前記褐炭6は、前記伝熱管31内を流通する過熱蒸気により最終的に加熱され、乾燥されつつ前記第4乾燥分室46で反転して上方に向って流動し、粉状の前記乾燥褐炭7として前記褐炭排出ライン16より排出される。
【0045】
又、前記褐炭6が前記第1乾燥分室43〜前記第4乾燥分室46を反転しながら流動し、乾燥される過程で生じた前記蒸気23は、前記排気ライン14を介して前記乾燥室10外へと排気され、前記集塵装置15へと送給される。
【0046】
該集塵装置15は、前記蒸気23中から前記褐炭6の粉末を分離捕集し、該褐炭6の粉末を前記粉末排出ライン24を介して前記褐炭排出ライン16へと送給すると共に、前記褐炭6の粉末が取除かれた前記蒸気23を前記蒸気循環ライン25へと導入する。
【0047】
該蒸気循環ライン25を流通する前記蒸気23のうち、一部は前記ブロア26により、前記バブリング蒸気19として前記流動媒体供給管21に送給される。尚、前記蒸気23が前記バブリング蒸気19として前記流動媒体供給管21に供給される様になった段階で、前記バルブ34を閉め、前記起動蒸気導入ライン33から導入された蒸気の供給が停止される。
【0048】
又、前記蒸気循環ライン25を流通する前記蒸気23の残りは、前記駆動蒸気導入ライン29からの駆動蒸気で駆動される前記コンプレッサ28により、前記過熱蒸気導入ライン27へと吸入されると共に昇圧昇温され、過熱蒸気として前記伝熱管31へと導入される。尚、前記蒸気23が前記コンプレッサ28により過熱蒸気として前記伝熱管31へと導入される様になった段階で、前記バルブ35を閉め、前記起動蒸気導入ライン33から導入された蒸気の供給が停止される。
【0049】
過熱蒸気は、前記伝熱管31を流通する過程で前記流動層22の前記褐炭6との熱交換が行われ、凝縮潜熱が回収されることで相変化して凝縮水となり、前記排水管32を介して図示しない復水器等のコンデンサへと送られる。
【0050】
又、前記乾燥室10より排出された前記乾燥褐炭7、及び前記集塵装置15により分離捕集された前記褐炭6の粉末は、前記熱交換器17にて熱が回収され、冷却された後に前記バーナ3へと送られ、該バーナ3により前記乾燥褐炭7が燃焼される。
【0051】
該乾燥褐炭7により生じた前記燃焼排ガス8は、前記煙道9を介して排気され、図示しないガスタービンを駆動させる。又、前記燃焼排ガス8から熱を回収する際に生じた蒸気の一部が、前記駆動蒸気導入ライン29を介して前記コンプレッサ28に導入され、該コンプレッサ28を駆動する。
【0052】
上述の様に、本実施例では、含水物である前記褐炭6を燃焼させる際に、前記粉砕機11により粉砕された前記褐炭6を前記乾燥装置12にて乾燥させ、前記乾燥褐炭7として前記バーナ3に供給し、燃焼させる様にしているので、前記火炉2内に多量の水分が持込まれるのを防止することができ、該火炉2内で蒸発した水蒸気による該火炉2内の温度の低下を抑制し、ボイラ効率を向上させることができる。
【0053】
又、本実施例では、前記褐炭6を乾燥させた際に生じた前記蒸気23を前記コンプレッサ28により昇圧昇温させて過熱蒸気とし、該過熱蒸気を前記褐炭6の乾燥の為の熱源としているので、乾燥の過程で生じた熱を有効に利用することができ、前記褐炭6の乾燥効率を向上させることができる。
【0054】
又、本実施例では、蒸気を過熱蒸気とする為の昇圧手段である前記コンプレッサ28を蒸気駆動とし、前記燃焼排ガス8から熱回収した際に生じた蒸気の一部により前記コンプレッサ28を駆動させる様にしているので、該コンプレッサ28を駆動させる為の電気系統等が不要となり、システムを簡略化することができる。
【0055】
尚、本実施例に於いては、昇圧手段として蒸気駆動の前記コンプレッサ28を使用しているが、例えば前記駆動蒸気導入ライン29からの駆動蒸気を駆動媒体とし、前記蒸気23を吸入するエジェクタを昇圧手段として用いてもよい。機械駆動部を有さないエジェクタを昇圧手段として用いることで、故障率が著しく低減し、コストの低減が図れると共に、昇圧手段に対する保守作業が不要となり、前記含水物乾燥システム5の信頼性を向上させることができる。
【0056】
又、昇圧手段としては電気駆動のコンプレッサを用いてもよい。
【0057】
尚、本実施例に於いては、前記含水物乾燥システム5により前記褐炭6を乾燥させる場合について説明しているが、バイオマス等他の含水物を前記ボイラ装置1の燃料とする場合にも、本実施例の前記含水物乾燥システム5が適用可能であるのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0058】
1 ボイラ装置
2 火炉
3 バーナ
5 含水物乾燥システム
6 褐炭(含水物)
7 乾燥褐炭
8 燃焼排ガス
10 乾燥室
12 乾燥装置
13 褐炭供給ライン
14 排気ライン
15 集塵装置
16 褐炭排出ライン
19 バブリング蒸気(流動媒体)
21 流動媒体供給管
22 流動層
23 蒸気
25 蒸気循環ライン
26 ブロア
27 過熱蒸気導入ライン
28 コンプレッサ(昇圧手段)
29 駆動蒸気導入ライン
31 伝熱管(加熱手段)
32 排水管
33 起動蒸気導入ライン
37 第1分割壁
38 第2分割壁
39 第3分割壁
43 第1乾燥分室
44 第2乾燥分室
45 第3乾燥分室
46 第4乾燥分室
図1
図2
図3