(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記探索範囲設定手段は、前記対象道路のリンクが前記出口リンクではない場合であって、前記対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性が、サービスエリア若しくはパーキングエリアであることを示す属性、又はインターチェンジであることを示す属性である場合には、当該サービスエリア若しくは当該パーキングエリア、又は当該インターチェンジの大きさを前記地図情報格納手段にて格納された情報に基づいて特定し、当該特定した大きさに基づいて、当該対象道路に設定されたリンクを中心とする探索範囲を設定する、
請求項1に記載の施設探索システム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る施設探索システム、施設探索方法、及び施設探索プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔各実施の形態に共通の概念〕
まず、各実施の形態に共通の概念を説明する。各実施の形態に係る施設探索システムは、道路に設定された走行ルートの周辺の施設を探索するためのシステムである。ここで、「道路に設定された走行ルート」とは、出発地から目的地に至るものとして探索された走行経路である。以下では、この走行ルートが設定された道路を、必要に応じて、「走行ルート設定道路」と称する。また、「走行ルートの周辺の施設」とは、走行ルートの周辺に設けられた施設であり、その具体的な種類は任意であるが、例えば、公共施設(役所、図書館)や、商業施設(テーマパーク、ショッピングモール、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン等)であって、施設探索システムにPOI(Point Of Interest)として記録されている施設が該当する。なお、「周辺」とは、走行ルート設定道路におけるリンクを中心とする探索範囲内であることを意味するが、この点については後述する。
【0021】
このような施設探索システムは、例えば、複数装置(相互に通信可能に接続されたセンターサーバと端末装置等)により構成することもできるが、単一装置によって構成することもできる。また、施設探索システムは、施設探索専用のシステムとして構成することもできるが、施設探索以外の機能を併せ持ったシステムとして構成することもできる。以下では、施設探索システムが、単一装置で構成されている場合であって、施設探索以外の機能を併せ持ったシステムとして構成されている場合について説明するものとし、具体的には、車両の出発地から目的地までの走行ルートの案内を行う機能を有するナビゲーション装置であって、道路に設定された走行ルートの周辺の施設を探索するナビゲーション装置として構成されている場合について説明する。このナビゲーション装置は、車両に固定的に搭載された車載用ナビゲーション装置に限定されず、例えば、スマートフォンの如き携帯端末装置にナビゲーション用アプリケーションをインストールすることで構成された装置であってもよい。なお、「車両」とは、四輪自動車に限定されず、後述する対象道路を走行することが可能な任意の車両(例えば二輪自動車)を含む。
【0022】
〔実施の形態1〕
次に、実施の形態1について説明する。この形態は、車両の現在位置が移動することに伴って、この現在位置を基準に探索範囲を設定して施設を検索する形態である。
【0023】
(構成−ナビゲーション装置)
まず、実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る施設探索システムとしてのナビゲーション装置を例示するブロック図である。このナビゲーション装置1は、現在地取得部2、タッチパネル3、ディスプレイ4、スピーカ5、制御部6、及びデータ記録部7を備えて構成されている。
【0024】
(構成−ナビゲーション装置−現在地取得部)
現在地取得部2は、ナビゲーション装置1が搭載された車両又は持ち込まれた車両(以下、自車両)の現在地を取得する現在地取得手段である。具体的には、現在地取得部2は、GPS受信部、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサの如き方位センサ(いずれも図示省略)の少なくとも1つを有し、現在の自車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0025】
(構成−ナビゲーション装置−タッチパネル)
タッチパネル3は、利用者による操作入力を受け付ける操作手段である。このタッチパネル3は、ディスプレイ4の前面に配置されている。ただし、タッチパネル3に代えて、リモートコントローラの如き遠隔操作手段や、ハードスイッチ等、公知の操作手段を用いることができる。
【0026】
(構成−ナビゲーション装置−ディスプレイ)
ディスプレイ4は、制御部6の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。このディスプレイ4としては、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを用いることができる。
【0027】
(構成−ナビゲーション装置−スピーカ)
スピーカ5は、制御部6の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ5より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0028】
(構成−ナビゲーション装置−制御部)
制御部6は、ナビゲーション装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る施設探索プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介してナビゲーション装置1にインストールされることで、制御部6の各部を実質的に構成する。
【0029】
この制御部6は、機能概念的に、施設探索部6a、探索範囲設定部6b、及び案内部6cを備える。施設探索部6aは、後述する地
図DB7aにて格納された情報に基づいて、走行ルート設定道路の上におけるリンクを中心とする探索範囲内の施設を探索する施設探索手段である。探索範囲設定部6bは、探索範囲を設定する探索範囲設定手段である。この探索範囲設定部6bは、リンクのある道路が対象道路である場合には、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートの有無、又は、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性に基づいて、探索範囲を設定する。ここで、「対象道路」とは、少なくとも高速道路を含む所定種類の道路を意味する。この「所定種類の道路」は、任意に設定することができるが、例えば、当該道路に対して交差する道路が比較的少ないために、当該道路から他の道路に至るように車両が走行する可能性が比較的少ない道路を挙げることができ、このような道路としては、高速道路以外の自動車専用道路、バイパス道路、及び国道番号が一桁又は二桁である国道(旧一級国道)を挙げることができる。「対象道路以外の道路」とは、上記のように対象道路として設定された「少なくとも高速道路を含む所定種類の道路」に該当しない全ての道路を意味し、例えば、いわゆる「一般道路」が該当する。案内部6cは、施設探索部6aによって探索された施設に関する案内をユーザに対して行う案内手段である。なお、これらの制御部6の各構成要素によって実行される処理の詳細については後述する。
【0030】
(構成−ナビゲーション装置−データ記録部)
データ記録部7は、ナビゲーション装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する施設探索サーバのデータ記録部7についても同様とする)。このデータ記録部7は、地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)7aを備えている。
【0031】
地
図DB7aは、地図に関する情報(以下、地図情報)を格納する地図情報格納手段である。ここで、「地図情報」とは、道路、道路構造物、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(ノード番号、座標)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(リンクID、リンク名、接続ノード番号、リンク座標、リンク属性)等を含んで構成されている。ここで、「リンク属性」とは、リンクの属性であって、例えば、当該リンクが設定されている道路が、サービスエリア若しくはパーキングエリア(以下、SA/PA)のリンクであることを示す属性や、当該リンクが設定されている道路がインターチェンジ(以下、IC)であることを示す属性が該当する。さらにこれらの情報に加えて、地図情報は、施設に関する情報を含んで構成されている。この施設に関する情報としては、例えば、各施設の位置、各施設の種別、各施設の名称、各施設のアイコン画像に加えて、SA/PAの大きさや、ICの大きさを含んでいる。このように構成される地図情報は、施設探索システムの管理者によって任意に決定され、予め地
図DB7aに格納される。
【0032】
(処理)
次に、このように構成されるナビゲーション装置1によって実行される施設探索処理について説明する。
図2、3は、施設探索処理のフローチャート、
図4は、施設探索が行われる走行ルートを概念的に示す図である。この処理は、道路に設定された走行ルートの周辺の施設を探索するための処理であり、ナビゲーション装置1に電源が投入された後、ユーザによって施設探索が指示された場合に起動される。より具体的には、例えば、ユーザによるタッチパネル3を介した操作によって、目的地が設定されると共にルート探索が指示されると、現在地取得部2によって取得された自車両の現在地を出発地とし、この出発地から目的地に至る走行ルートが、ダイクストラ法の如き公知の探索方法によって制御部6により探索される。そして、ユーザによるタッチパネル3を介した操作によって、この走行ルートに対する施設探索が指示されると、施設探索処理が起動される。以下では、
図4に示すように、走行ルートとして、一番下に図示する対象道路以外の道路から、対象道路に入り、一番上に図示する出口から、一番上に図示する対象道路以外の道路に降りるルートが探索された場合について説明する。なお、以下では、各ステップのうち特記しないステップについては、ナビゲーション装置1の制御部6によって実行されるものとする。また、以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する。
【0033】
最初に、
図2に示すように、ナビゲーション装置1の探索範囲設定部6bは、探索中心リンクが対象道路リンクであるか否かを判定する(SA1)。ここで、探索中心リンクとは、施設探索部6aによる施設探索が行われる際において探索範囲の中心となるリンクであり、例えば、自車両が走行している道路(以下、走行道路)上のリンクであって、自車両の現在地に対して所定距離(例えば100m)だけ進行方向前方のリンクである。また、「対象道路リンク」とは、対象道路上のリンクである。例えば、探索範囲設定部6bは、現在地取得部2によって取得された自車両の現在地に基づいて、地
図DB7aに格納された地図情報を参照することにより、探索中心リンクを特定し、当該特定した探索中心リンクのリンク属性を特定して、当該特定したリンク属性が対象道路の属性であるか否かを判定する。そして、対象道路の属性である場合には、探索中心リンクが対象道路リンクであると判定し、対象道路の属性でない場合には、探索中心リンクが対象道路リンクではないと判定する。
【0034】
そして、探索中心リンクが対象道路リンクではないと判定した場合(SA1、No)、対象道路に対する特別な施設探索を行う必要がなく一般的な施設探索を行えばよいため、
図3に示すように、探索範囲設定部6bは、探索範囲を一般用範囲に設定する(SA2)。ここで、「一般用範囲」とは、デフォルトとなる探索範囲である。この一般用範囲の具体的な範囲は任意であるが、走行道路が一般道路である可能性が高く、一般道路の周辺の施設は自車両のユーザによって利用される可能性が高いため、少なくとも、後述するSA/PA用範囲やIC入口用狭域範囲よりも広い範囲に設定することが好ましい。例えば、この一般用範囲は、
図4に示すように、探索中心リンクを挟んで走行道路の両側方にそれぞれ設定された範囲であって、走行道路に対して平行な範囲であり、探索中心リンクから所定距離以内(例えば1Km以内)の範囲として設定される。
【0035】
次いで、施設探索部6aは、
図2に示すように、探索中心リンクを中心とする探索範囲内の施設を探索する(SA3)。具体的には、施設探索部6aは、SA1で特定された探索中心リンクと、その時点で設定されている探索範囲とに基づいて、地
図DB7aに格納された地図情報を参照することにより、探索中心リンクを中心として探索範囲内に存在する施設を特定する。ただし、この施設探索自体は、公知の方法により行うことができる(以下の施設探索部6aによる施設探索についても同様)。
【0036】
そして、案内部6cは、探索した施設を案内する(SA4)。この案内の具体的な方法は任意であるが、例えば、案内部6cは、SA3で探索した各施設の位置、各施設の種別、各施設の名称、及び各施設のアイコン画像を地
図DB7aから取得し、当該取得した各情報に基づいて、ディスプレイ4に表示している現在地の周辺の地図上に施設のアイコン画像を重畳表示したり、ディスプレイ4に各施設の種別や名称のリストを表示したりする。ただし、この施設案内自体は、公知の方法により行うことができる(以下の案内部6cによる施設案内についても同様)。
【0037】
その後、制御部6は、自車両が目的地に到着したか否かを判定する(SA5)。具体的には、現在地取得部2によって取得された自車両の現在地が、目的地に対する所定範囲内(例えば10m内)に入ったか否かを判定し、入った場合には、自車両が目的地に到着したと判定し、入っていない場合には、自車両が目的地に到着していないと判定する。そして、自車両が目的地に到着していないと判定した場合には(SA5、No)、SA1に戻る。以降同様に、探索中心リンクが対象道路リンクであると判定する迄、あるいは、目的地に到着したと判定する迄、SA1からSA5を繰り返すことで、自車両の現在地が変わるに伴って、一般用範囲に基づいて施設を探索して案内する。
【0038】
その後、自車両が対象道路を走行するようになった場合(例えば一般道から高速道路に入った場合)、SA1において、探索中心リンクが対象道路リンクであると判定されることになる(SA1、Yes)。この場合、探索範囲設定部6bは、次の分岐リンクが出口リンクであるか否かを判定する(SA6)。ここで、「次の分岐リンク」とは、SA1において探索中心リンクであると判定された対象道路リンクから分岐するリンクである。この次の分岐リンクとしては、例えば、対象道路から分岐する対象道路以外の道路に出るためのリンク(以下、出口リンク)、対象道路からSA/PAに入るためのリンク(以下、SA/PAリンク)、又は対象道路が接続されたICに入るためのリンク(以下、ICリンク)が該当する。この判定は、例えば、地
図DB7aに格納された地図情報を参照して、探索中心リンクであると判定された対象道路リンクよりも自車両の進行方向前方に存在するリンクを自車両の現在地に近い順に順次特定し、当該特定したリンクから分岐するリンクの有無を順次特定し、分岐するリンクが存在することが最初に特定された場合に、当該分岐するリンクを次の分岐リンクとして特定する。そして、次の分岐リンクの属性を特定し、当該特定した次の分岐リンクの属性が、出口リンク、SA/PAリンク、又はICリンクのいずれかに該当するか否かを判定することにより行う。
【0039】
そして、次の分岐リンクが出口リンクであると判定した場合(SA6、Yes)、探索範囲設定部6bは、当該次の分岐リンクが、自車両が対象道路以外の道路に降りるためのリンクであるか否かを判定する(SA7)。つまり、探索範囲設定部6bは、対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートがあるか否かを判定する。この判定は、例えば、地
図DB7aに格納された地図情報を参照して、次の分岐リンクの属性を特定し、当該特定した次の分岐リンクの属性に基づいて、分岐リンクが対象道路以外の道路のリンクであるか否かを判定する。また、次の分岐リンクが、出発地から目的地に至るものとして設定された走行ルート上のリンクであるか否かを判定する。そして、分岐リンクが対象道路以外の道路のリンクであり、かつ、走行ルート上のリンクである場合には、次の分岐リンクが対象道路以外の道路に降りるためのリンクであると判定し、分岐リンクが対象道路以外の道路のリンクでない場合や、走行ルート上のリンクでない場合には、次の分岐リンクが対象道路以外の道路に降りるためのリンクではないと判定する。
【0040】
そして、次の分岐リンクが対象道路以外の道路に降りるためのリンクであると判定した場合(SA7、Yes)、探索範囲設定部6bは、探索範囲を走行出口用範囲に設定する(SA8)。ここで、「走行出口用範囲」とは、自車両が対象道路から対象道路以外の道路に降りるために走行する出口の周辺施設を探索する範囲である。この走行出口用範囲の具体的な範囲は任意であるが、自車両が対象道路以外の道路に降りる可能性が高く、周辺の施設をユーザが利用する可能性が高いため、少なくとも、対象道路の他のリンクを中心とする探索範囲(例えば、後述する通過出口用範囲、SA/PA用範囲、及びIC入口用狭域範囲)よりも広い範囲(例えば1Km)に設定することが好ましい。
【0041】
一方、SA7において、次の分岐リンクが対象道路以外の道路に降りるためのリンクではないと判定した場合(SA7、No)、探索範囲設定部6bは、探索範囲を通過出口用範囲に設定する(SA9)。ここで、「通過出口用範囲」とは、自車両が対象道路から対象道路以外の道路に降りることなく単に通過する出口の周辺施設を探索する範囲である。この通過出口用範囲の具体的な範囲は任意であるが、自車両が対象道路以外の道路に降りる可能性が低く、周辺の施設をユーザが利用する可能性が低いため、少なくとも走行出口用範囲よりも狭い範囲(例えば500m)に設定する。
【0042】
また、SA6において、次の分岐リンクが出口リンクではないと判定した場合(SA6、No)、
図3に示すように、探索範囲設定部6bは、次の分岐リンクがSA/PAリンクであるか否かを判定する(SA10)。この判定は、例えば、SA6と同様に行う。そして、次の分岐リンクがSA/PAリンクであると判定した場合(SA10、Yes)、探索範囲設定部6bは、地
図DB7aに格納された地図情報を参照して、当該SA/PAリンクであると判定された次の分岐リンクが設定されているSA/PAの大きさを取得し(SA11)、当該取得したSA/PAの大きさに基づいてSA/PA用範囲を決定し、探索範囲を当該決定したSA/PA用範囲に設定する(SA12)。ここで、「SA/PA用範囲」とは、自車両が対象道路から入る可能性があるSA/PAの入口の周辺施設を探索する範囲である。このSA/PA用範囲の具体的な範囲は任意であるが、自車両がSA/PAに入る可能性があり、SA/PAの周辺の施設をユーザが利用する可能性があるために、通過出口用範囲よりは広い範囲にすることが好ましい一方、自車両が対象道路以外の道路に降りる場合に比べて施設を利用する可能性は低いと考えられるため、少なくとも走行出口用範囲よりも狭い範囲(例えば700m)に設定することが好ましい。つまり、SA/PA用範囲は、走行出口用範囲と通過出口用範囲の間の範囲とすることが好ましい。
【0043】
この際、SA/PA用範囲としては、全てのSA/PAに対して一律に同じ範囲を設定してもよいが、本実施の形態においては、SA/PAの大きさに応じて決定する。このことにより、比較的大規模のSA/PAに対して比較的狭い範囲で探索をした場合に探索漏れが生じる不具合や、比較的小規模のSA/PAに対して比較的広い範囲で探索をした場合に処理負荷が不用意に増加する不具合を、低減することが可能になる。SA/PAの大きさを決定する基準は任意であるが、例えば、SA/PAの面積に基づいて決定することができ、SA/PAの面積が500m
2未満である場合には、SA/PA用範囲=600mとし、SA/PAの面積が500m
2以上である場合には、SA/PA用範囲=800mとする。あるいは、SA/PAの面積=SA/PA用範囲としてもよい。
【0044】
一方、SA10において、次の分岐リンクがSA/PAリンクではないと判定した場合(SA10、No)、探索範囲設定部6bは、次の分岐リンクはICリンクであると特定する(SA13)。そして、探索範囲設定部6bは、地
図DB7aに格納された地図情報を参照して、当該ICリンクであると特定された次の分岐リンクが設定されているICの大きさを取得し(SA14)、当該取得したICの大きさに基づいてIC用範囲を決定し、探索範囲を当該決定したIC用範囲に設定する(SA15)。ここで、「IC用範囲」とは、自車両が対象道路から入る可能性があるICの周辺施設を探索する範囲である。このIC用範囲の具体的な範囲は任意であるが、自車両がICに入る可能性があり、周辺の施設をユーザが利用する可能性があるために、通過出口用範囲よりは広い範囲にすることが好ましい一方、自車両が対象道路以外の道路に降りる場合に比べて施設を利用する可能性は低いと考えられるため、少なくとも走行出口用範囲よりも狭い範囲(例えば700m)に設定することが好ましい。つまり、IC用範囲は、走行出口用範囲と通過出口用範囲の間の範囲とすることが好ましい。
【0045】
この際、IC用範囲としては、全てのICに対して一律に同じ範囲を設定してもよいが、本実施の形態においては、ICの大きさに応じて決定する。このことにより、比較的大規模のICに対して比較的狭い範囲で探索をした場合に探索漏れが生じる不具合や、比較的小規模のICに対して比較的広い範囲で探索をした場合に処理負荷が不用意に増加する不具合を、低減することが可能になる。ICの大きさを決定する基準は任意であるが、例えば、ICを構成する全ての道路の車線数の合計数に基づいて決定することができ、この合計数が10車線未満である場合には、IC用範囲=600mとし、10車線以上である場合には、IC用範囲=800mとする。なお、
図4では、ICを省略する。
【0046】
このように、SA8、SA9、SA12、又はSA15において探索範囲が設定された後、
図2に示すように、上記と同様に、施設探索部6aは、次の分岐リンクを中心とする探索範囲内の施設を探索し(SA3)、案内部6cは、探索した施設を案内する(SA4)。その後、制御部6は、自車両が目的地に到着したか否かを判定し(SA5)、自車両が目的地に到着していないと判定した場合には(SA5、No)、SA1に戻る。以降同様に、自車両が目的地に到着したと判定する迄、SA1からSA15を繰り返すことで、自車両の現在地が変わるに伴って、探索範囲に基づいて探索された新規な施設を案内する。そして、自車両が目的地に到着したと判定した場合には(SA5、Yes)、施設探索処理を終了する。
【0047】
(実施の形態1の効果)
このように本実施の形態によれば、リンクのある道路が対象道路である場合には、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートの有無、又は、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性に基づいて、探索範囲が設定されるので、例えば、対象道路から他の道路に降りる際に通過する出口周辺では探索範囲を広くしたり、SA/PA又はICに至るリンクについては探索範囲を狭くしたりする等、探索範囲を走行ルートやその周辺環境に基づいて調整することができ、施設探索に要する処理負荷を低減させることや、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
【0048】
また、対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートがある場合には、探索範囲が比較的広い探索範囲として設定されるので、対象道路から他の道路に降りる際に通過する出口周辺の施設のように、ユーザが利用する可能性が高い施設については、比較的広い探索範囲で探索を行うことで一層多くの施設を案内することができるため、ユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。
【0049】
また、対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性が、SA/PAであることを示す属性、又はICであることを示す属性である場合には、探索範囲が比較的狭い探索範囲として設定されるので、SA/PA又はICの周辺の施設のように、ユーザが利用する可能性がそれほど高くない施設については、比較的狭い探索範囲で探索を行うことで、探索に要する処理負荷を低減することができると共に、利用する可能性が低い施設の案内数を低減することで、ユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。
【0050】
また、SA/PA、又はICの大きさに基づいて探索範囲が設定されるので、例えば、大きなSA/PAの場合には比較的広い探索範囲で探索を行うことで、施設を漏れなく案内することができ、あるいは、小さなSA/PAの場合には比較的狭い探索範囲で探索を行うことで、探索に要する処理負荷を低減することができる等、ユーザの利便性向上や探索処理の効率化を一層促進させることが可能になる。
【0051】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この形態は、車両の現在位置が移動する前に、走行ルート上の各位置を基準に探索範囲を設定して施設を検索することで、探索された全ての施設を車両の出発前に予め案内する形態である。なお、実施の形態2の構成及び処理は特記する場合を除いて実施の形態1と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0052】
(処理)
本実施の形態では、実施の形態1と同様に構成されたナビゲーション装置1により、施設探索処理が実行される。
図5、6は、この施設探索処理のフローチャートである。ただし、これら
図5、6におけるSB2〜SB4、SB6〜SB15は、
図2、3におけるSA1〜SA3、SA6〜SA15とそれぞれ同様であるため、その説明は省略する。
【0053】
最初に、
図5に示すように、ナビゲーション装置1の探索範囲設定部6bは、走行経路の未探索のリンクの中で、出発地に一番近いリンクを、探索中心リンクに設定する(SB1)。例えば、SB1を初めて実行する場合には、走行経路の全てのリンクが未探索のリンクであるため、出発地のリンクを探索中心リンクに設定する。そして、このように設定した探索中心リンクに基づいて、
図5、6のSB2〜SB4、SB6〜SB15を実行する。
【0054】
そして、
図5のSB4で探索中心リンクを中心とする探索範囲内の施設を探索した後(SB4)、探索範囲設定部6bは、走行経路のリンクの中で、出発地から目的地に至るまでの全てのリンクについて、探索が完了したか否かを判定する(SB5)。そして、探索が完了していない場合には(SB5、No)、SB1に戻り、走行経路の未探索のリンクの中で、出発地に一番近いリンクを、探索中心リンクに設定する(SB1)。例えば、SB1を2回目に実行する場合には、出発地のリンクの次のリンクを探索中心リンクに設定する。以降同様に、走行経路のリンクの中で、出発地から目的地に至るまでのリンクを、出発地に近い順に順次選択し、当該選択を行う毎に、当該選択したリンクを探索中心リンクに設定して、探索範囲の設定と、探索範囲内における施設の探索とを繰り返す。
【0055】
そして、走行経路のリンクの中で、出発地から目的地に至るまでの全てのリンクについて、探索が完了したと判定した場合(SB5、Yes)、案内部6cは、これまでに探索した全ての施設を案内し(SB16)、施設探索処理を終了する。この案内の具体的な方法は任意であるが、例えば、案内部6cは、これまでに探索した全ての施設の各々について、位置、種別、名称、及びアイコン画像を地
図DB7aから取得し、当該取得した各情報に基づいて、ディスプレイ4に表示している現在地の周辺の地図上に、全ての施設のアイコン画像を重畳表示したり、ディスプレイ4に、全ての施設の種別や名称のリストを表示したりする。
【0056】
(実施の形態2の効果)
このように本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果に加えて、さらに、ユーザは出発前に全ての施設の案内を受けることができるので、施設への立ち寄りの有無等を予め計画等することができ、ユーザの利便性が一層向上する。
【0057】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0058】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。例えば、施設探索に要する処理負荷を従来より低減できない場合であっても、施設探索を従来とは異なる技術により達成できている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0059】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、施設探索システムを、有線や無線で相互に通信可能に接続された複数の装置により構成してもよい。
【0060】
(探索範囲について)
上記各実施の形態では、走行出口用範囲、通過出口用範囲、SA/PA用範囲、及びIC用範囲の相互間において、走行出口用範囲を最も広い探索範囲に設定し、SA/PA用範囲及びIC用範囲を次に広い探索範囲に設定し、通過出口用範囲を最も狭い探索範囲に設定しているが、これに限定されない。
【0061】
例えば、自車両が対象道路から対象道路以外の道路に降りることが予定されている出口が、ユーザが多頻度で利用している出口である場合には、この出口周辺の施設はユーザが既に知っている可能性が高い施設であると考え、この出口周辺の探索範囲(つまり走行出口用範囲)を、他の探索範囲より狭い範囲に設定してもよい。このため、データ記録部7には、過去に自車両が走行した出口の分岐リンクを特定する履歴情報を記録しておき、探索範囲設定部6bは、この履歴情報に基づいて出口の過去の走行回数を特定し、この走行回数が所定回数以上である場合には、走行出口用範囲を、他の探索範囲より狭い範囲に設定してもよい。同様に、通過出口用範囲、SA/PA用範囲、及びIC用範囲についても、自車両が過去に出口を通過した回数、SA/PAを利用した回数、ICを走行した回数に基づいて設定してもよい。このように走行履歴を考慮して探索範囲を設定することで、探索範囲をユーザ毎に最適化することが可能になる。
【0062】
また、上記各実施の形態では、SA/PAの大きさに基づいてSA/PA用範囲を設定し、ICの大きさに基づいてIC用範囲を設定しているが、走行出口用範囲や通過出口用範囲についても、例えば、地
図DB7aに格納されている地図情報に基づいて、各出口の大きさ(各出口に至る車線の合計数、各出口が位置する市区町村の面積等)を特定し、この大きさに基づいて探索範囲を設定してもよい。このように各出口の大きさを考慮して探索範囲を設定することで、探索範囲を出口毎に最適化することが可能になる。
【0063】
なお、「狭い探索範囲」は、探索範囲をゼロにすることを含む。つまり、走行出口用範囲、通過出口用範囲、SA/PA用範囲、又はIC用範囲の全部又は一部について、探索範囲をゼロにすることにより、施設探索を省略するようにしてもよく、この場合には、処理負荷を一層低減することが可能になる。
(付記)
付記1の施設探索システムは、道路に設定された走行ルートの周辺の施設を探索する施設探索システムであって、地図及び施設に関する情報を格納する地図情報格納手段と、前記地図情報格納手段にて格納された情報に基づいて、前記走行ルートが設定された道路の上におけるリンクを中心とする探索範囲内の施設を探索する施設探索手段と、前記探索範囲を設定する探索範囲設定手段とを備え、前記探索範囲設定手段は、前記リンクのある道路が、少なくとも高速道路を含む所定種類の対象道路である場合には、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る前記走行ルートの有無、又は、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性に基づいて、前記探索範囲を設定する。
付記2の施設探索システムは、付記1の施設探索システムにおいて、前記探索範囲設定手段は、前記対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートがある場合には、当該対象道路のリンクである出口リンクを中心とする探索範囲を、当該対象道路の他のリンクを中心とする探索範囲よりも広い探索範囲として設定する。
付記3の施設探索システムは、付記2の施設探索システムにおいて、前記探索範囲設定手段は、前記対象道路のリンクが前記出口リンクではない場合であって、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性が、サービスエリア若しくはパーキングエリアであることを示す属性、又はインターチェンジであることを示す属性である場合には、当該対象道路のリンクを中心とする探索範囲を、前記出口リンクを中心とする探索範囲よりも狭い探索範囲として設定する。
付記4の施設探索システムは、付記3の施設探索システムにおいて、前記探索範囲設定手段は、前記対象道路のリンクが前記出口リンクではない場合であって、前記対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性が、サービスエリア若しくはパーキングエリアであることを示す属性、又はインターチェンジであることを示す属性である場合には、当該サービスエリア若しくは当該パーキングエリア、又は当該インターチェンジの大きさを前記地図情報格納手段にて格納された情報に基づいて特定し、当該特定した大きさに基づいて、当該対象道路に設定されたリンクを中心とする探索範囲を設定する。
付記5の施設探索方法は、道路に設定された走行ルートの周辺の施設を探索する施設探索方法であって、地図及び施設に関する情報を格納する地図情報格納手段にて格納された情報に基づいて、前記走行ルートが設定された道路の上におけるリンクを中心とする探索範囲内の施設を探索する施設探索ステップと、前記探索範囲を設定する探索範囲設定ステップとを含み、前記探索範囲設定ステップにおいては、前記リンクのある道路が、少なくとも高速道路を含む所定種類の対象道路である場合には、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る前記走行ルートの有無、又は、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性に基づいて、前記探索範囲を設定する。
付記6の施設探索プログラムは、付記5に記載の施設探索方法をコンピュータに実行させるための施設探索プログラムである。
(付記の効果)
付記1に記載の施設探索システム、付記5に記載の施設探索方法、及び付記6に記載の施設探索プログラムによれば、リンクのある道路が対象道路である場合には、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートの有無、又は、当該対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性に基づいて、探索範囲が設定されるので、例えば、対象道路から他の道路に降りる際に走行する出口周辺では探索範囲を広くしたり、対象道路から他の道路に降りる際に走行しない出口周辺では探索範囲を狭くしたり、サービスエリア若しくはパーキングエリア又はインターチェンジに至るリンクについては探索範囲を狭くしたりする等、探索範囲を走行ルートやその周辺環境に応じた適切な範囲に調整することができ、施設探索に要する処理負荷を低減させることや、ユーザの利便性を向上させることが可能になる。
付記2に記載の施設探索システムによれば、対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクに至る走行ルートがある場合には、探索範囲が比較的広い探索範囲として設定されるので、対象道路から他の道路に降りる際に走行する出口周辺の施設のように、ユーザが利用する可能性が高い施設については、比較的広い探索範囲で探索を行うことで一層多くの施設を案内することができるため、ユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。
付記3に記載の施設探索システムによれば、対象道路のリンクから分岐する当該対象道路以外の道路のリンクの属性が、サービスエリア若しくはパーキングエリアであることを示す属性、又はインターチェンジであることを示す属性である場合には、探索範囲が比較的狭い探索範囲として設定されるので、サービスエリア若しくはパーキングエリア又はインターチェンジの周辺の施設のように、ユーザが利用する可能性がそれほど高くない施設については、比較的狭い探索範囲で探索を行うことで、探索に要する処理負荷を低減することができると共に、利用する可能性が低い施設の案内数を低減することで、ユーザの利便性を一層向上させることが可能になる。
付記4に記載の施設探索システムによれば、サービスエリア若しくはパーキングエリア、又はインターチェンジの大きさに基づいて探索範囲が設定されるので、例えば、大きなサービスエリア若しくはパーキングエリアの場合には比較的広い探索範囲で探索を行うことで、施設を漏れなく案内することができ、あるいは、小さなサービスエリア若しくはパーキングエリアの場合には比較的狭い探索範囲で探索を行うことで、探索に要する処理負荷を低減することができる等、ユーザの利便性向上や探索処理の効率化を一層促進させることが可能になる。