特許第6136415号(P6136415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000002
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000003
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000004
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000005
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000006
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000007
  • 特許6136415-ダンパ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136415
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20170522BHJP
   F16F 15/121 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   F16F15/134 Z
   F16F15/121 Z
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-56874(P2013-56874)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181753(P2014-181753A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】中垣内 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 智洋
(72)【発明者】
【氏名】西尾 優作
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−293581(JP,A)
【文献】 実開昭63−045439(JP,U)
【文献】 特開平07−190089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/134
F16F 15/121
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の軸方向に互いに離れた第一の壁部と第二の壁部とを有し前記回転軸回りに回転する第一の部材と、
前記第一の壁部と前記第二の壁部との間に位置され前記回転軸回りに回転する第二の部材と、
前記第一の部材と前記第二の部材との間に介在し、前記第一の部材と前記第二の部材との間で少なくとも前記回転軸の周方向に弾性的に変形する弾性部材と、
前記第一の壁部と前記第二の壁部とが結合された結合部と、前記第一の壁部と、の間で、前記第一の壁部から屈曲されて延びるとともに、その少なくとも一部が前記第二の部材の回動軌道上に位置されて当該第二の部材の回動を遮る第三の壁部と、
を備え、
前記第一の壁部には、前記弾性部材を収容する第一の開口部が設けられ、
前記第一の壁部と前記第三の壁部との接続部分は前記第一の開口部の前記回転軸の径方向の外側に位置され、
前記第一の壁部の前記第一の開口部の周縁部の少なくとも一部を補強した第一の補強部を備えるとともに、
前記第三の壁部を補強した第二の補強部として、前記第一の壁部と前記第三の壁部との接続部分とは第二の開口部を介して離間した部分と前記結合部との間に亘る第四の壁部を備える、ダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸回りに回転する第一の部材と、回転軸回りに回転する第二の部材と、第一の部材と第二の部材との間に介在して回転軸の周方向に弾性変形するコイルスプリング(弾性部材)と、を備え、第一の部材に第二の部材の第一の部材に対する相対的な回転範囲(回動範囲)を定めるストッパが設けられたダンパ装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−236601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のダンパ装置では、第一の部材と第二の部材との間に相対的な回転が生じた場合、コイルスプリングによって回転を抑制するが、ダンパ装置の信頼性を更に高めるためには、このような場合、弾性変形するコイルスプリング周辺の構造において強度対策が必要となってくる。よって、簡素な構成によって剛性や強度を向上することが可能なダンパ装置を得られれば好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態にかかるダンパ装置は、一例として、回転軸の軸方向に互いに離れた第一の壁部と第二の壁部とを有し上記回転軸回りに回転する第一の部材と、上記第一の壁部と上記第二の壁部との間に位置され上記回転軸回りに回転する第二の部材と、上記第一の部材と上記第二の部材との間に介在し、上記第一の部材と上記第二の部材との間で少なくとも上記回転軸の周方向に弾性的に変形する弾性部材と、上記第一の壁部と上記第二の壁部とが結合された結合部と、上記第一の壁部と、の間で、上記第一の壁部から屈曲されて延びるとともに、その少なくとも一部が上記第二の部材の前記回転軸回りの回動軌道上に位置されて当該第二の部材の回動を遮る第三の壁部と、を備え、上記第一の壁部には、上記弾性部材を収容する第一の開口部が設けられ、上記第一の壁部と上記第三の壁部との接続部分は上記第一の開口部の上記回転軸の径方向の外側に位置され、上記第一の壁部の上記第一の開口部の周縁部の少なくとも一部を補強した第一の補強部を備えるとともに、上記第三の壁部を補強した第二の補強部として、上記第一の壁部と上記第三の壁部との接続部分とは第二の開口部を介して離間した部分と上記結合部との間に亘る第四の壁部を備える。よって、本実施形態によれば、一例としては、比較的簡素な構成によって第一の部材の剛性や強度がより一層向上されやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態にかかるダンパ装置の一例の軸方向からの正面図(一部破断図)である。
図2図2は、図1のII−II断面図である。
図3図3は、第1変形例にかかるダンパ装置の一例の第一の壁部の一部の軸方向からの正面図である。
図4図4は、図3のIV−IV断面図である。
図5図5は、第2変形例にかかるダンパ装置の一例の第一の壁部の一部の軸方向からの正面図である。
図6図6は、図5の視線VIからの正面図である。
図7図7は、第3変形例にかかるダンパ装置の一例の第一の壁部の一部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の実施形態および変形例には、同様の構成が含まれている。それら同様の構成には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が省略される。
【0013】
<実施形態>
図1,2に示される本実施形態にかかるダンパ装置1は、一例としては、エンジン(動力装置、図示されず)とトランスミッション(変速装置、図示されず)との間に位置される。ダンパ装置1は、駆動力(トルク、回転)の変動を吸収する(一時的に蓄える)ことができる。なお、ダンパ装置1は、エンジンとトランスミッションとの間には限らず、他の二つの回転要素間(例えば、エンジンと回転電機(モータジェネレータ)との間)に設けることが可能であるし、種々の車両(例えば、ハイブリッド自動車)や、回転要素を有した機械等に設けることが可能である。
【0014】
本実施形態では、一例として、ダンパ装置1は、結合具5(本実施形態では、一例としてねじ)によってエンジン後段のフライホイール4に取り付けられている。ダンパ装置1の中心軸Ax(回転軸)は、ダンパ装置1に含まれるあるいは接続(結合)される回転体や回転形状(例えば、第一の部材2(壁部21,22)や、開口部21c,22c、第二の部材3、シャフト6、シャフト7等)の中心軸である。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、軸方向は中心軸Axの軸方向、径方向は中心軸Axの径方向、周方向は中心軸Axの周方向を示すものとする。また、以下の詳細な説明では、便宜上、軸方向のエンジン側(図2で左側)を軸方向の一方側とし、軸方向のトランスミッション側(図2で右側)を軸方向の他方側とする。また、各図中、軸方向の一方側を矢印Xで示し、径方向の外側を矢印Rで示す。なお、図1は、ダンパ装置1を軸方向の他方側から見た図(図2の右側から見た図)である。
【0015】
本実施形態では、一例として、図1,2に示されるように、ダンパ装置1は、第一の部材2と、第二の部材3と、を備えている。
【0016】
本実施形態では、一例として、第一の部材2は、壁部21(第二の壁部)と壁部22(第一の壁部)とを有する。二つの壁部21,22は、互いに軸方向に離間して位置され、二つの壁部21,22間には、隙間S(空間)が設けられている。この隙間S内、すなわち、壁部21と壁部22との間に、第二の部材3の壁部32が位置されている。第二の部材3の壁部32は、隙間S内で、第一の部材2に対して相対的に回動(揺動)することができる。
【0017】
本実施形態では、一例として、壁部21,22(プレート)は、それぞれ、円板状(円環状)に構成されている。壁部21,22は、径方向に沿って広がっている。壁部21は、面21aと面21bとを有する。面21aは、軸方向の一方側に面し、面21bは、軸方向の他方側に面している。壁部22は、面22aと面22bとを有する。面22aは、軸方向の他方側に面し、面22bは、面22aの反対側に位置され軸方向の一方側に面している。壁部21,22の中央部には、開口部21c,22cが設けられている。開口部21c,22cには、シャフト7ならびに第二の部材3の一部(支持部31)が収容されている。また、壁部21,22には、中心軸Axと外縁21d,22d(径方向外側の端部)との間の中間位置に、開口部21e,22eが設けられている。壁部21と壁部22とは結合具23(例えばリベット)を介して、結合されている。本実施形態では、一例として、複数(本実施形態では、一例として4個)の結合具23の中心軸Axからの距離は同じである。また、本実施形態では、一例として、複数の結合具23が、周方向に所定の間隔(角度、本実施形態では、一例として等間隔)で配置されている。なお、結合具23の位置や数等は、適宜に変更して実施することができる。壁部21,22は、例えば、金属材料(一例としては、鉄系材料)で構成されうる。開口部22eは、第一の開口部の一例である。
【0018】
また、本実施形態では、一例として、図2に示されるように、第一の部材2(本実施形態では、一例として壁部21および壁部22の双方)は、トルクリミッタ部24を介して、フライホイール4と接続されている(結合されている)。トルクリミッタ部24は、部材24a,24bと、摩擦材24c,24dと、を有している。部材24aは、円環状かつ板状に構成され、弾性部材24eによって軸方向の一方側に向けて弾性的に押されている。部材24bは、円環状かつ板状に構成されている。部材24bの軸方向の両側には、摩擦材24c,24dが固定されている。また、部材24bは、結合具23によって、壁部21,22と結合されている。そして、フライホイール4と部材24aとが、部材24bと当該部材24bの軸方向の両側に位置された摩擦材24c,24dとを、弾性部材24eの弾性力に応じた押力で挟んでいる。すなわち、本実施形態では、一例として、当該押力に基づいて生じる摩擦材24c,24dとフライホイール4または部材24aとの間に生じる摩擦力によって限界トルクが定まっている。すなわち、フライホイール4(本実施形態では、一例として入力側)と第一の部材2との間のトルク差が、当該摩擦力と中心軸Axからのモーメントアーム(半径)と摩擦力との積を超えた場合に、第一の部材2とトルクリミッタ部24とが回転方向(周方向)に滑る。
【0019】
本実施形態では、一例として、第二の部材3は、支持部31と壁部32(プレート)とを有する。支持部31の中央部には、開口部31aが設けられている。開口部31aにはシャフト7が挿入されている。この開口部31aの部分で、支持部31ならびにシャフト7には、例えば、スプラインが設けられている。すなわち、第二の部材3とシャフト7とが少なくとも回転方向(周方向)に噛み合い(係合され)、第二の部材3とシャフト7とが一体的に回転する。壁部32は、支持部31の径方向の外側の端部から、径方向の外側に向けて延びている。壁部32は、円板状(円環状)に構成されている。壁部32は、径方向に沿って広がっている。壁部32は、面32aと面32bとを有する。面32aは、軸方向の一方側に面し、面32bは、面32aの反対側に位置され軸方向の他方側に面している。また、壁部32には、開口部32c(本実施形態では、一例として径方向の外側に開放された切欠)が設けられている。この開口部32cは、壁部21,22に設けられた開口部21e,22eと軸方向に重なっている。第二の部材3は、例えば、金属材料(一例としては、鉄系材料)で構成されうる。
【0020】
そして、本実施形態では、一例として、第一の部材2と第二の部材3との間に、弾性部材8が介在している。第一の部材2と第二の部材3との間で、トルク(回転)は、弾性部材8を介して伝達される。第二の部材3は、弾性部材8が伸縮可能な範囲内で、第一の部材2に対して相対的に揺動(回動)することができる。弾性部材8は、本実施形態では、一例として、周方向に沿って縮む(弾性的に変形する、伸縮する)圧縮ばねとして機能する。弾性部材8は、一例として、コイルスプリングである。コイルスプリング(弾性部材8)の巻回軸は周方向に略沿っている。弾性部材8は、互いに重なった開口部21e,22e,32c内に収容されている。弾性部材8の伸縮方向(周方向、長手方向)の端部8aは、それぞれ、支持部材9(支持部、保持部、保持部材、シート、リテーナ)に支持(保持)されている。また、支持部材9は、第一の部材2または第二の部材3に支持されている。支持部材9は、一例としては、弾性部材8をより安定的に支持したり、弾性部材8をより安定的に弾性変形させたり(伸縮させたり)、弾性部材8と第一の部材2または第二の部材3との直接的な接触を抑制したり、といった機能を有することができる。そして、本実施形態では、一例として、シャフト6,7、フライホイール4、ならびにダンパ装置1が回転していない状態(回転停止状態、静止状態)では、弾性部材8および二つの支持部材9は、第一の部材2の二つの壁部21,22の開口部21e,22eの周方向の両側の縁部間に挟まれている。一方、シャフト6,7、フライホイール4、ならびにダンパ装置1が回転している状態(回転状態)では、弾性部材8および二つの支持部材9は、第一の部材2の二つの壁部21,22の開口部21e,22eの反時計回り側の縁部と第二の部材3の壁部32の開口部32cの時計回り側の縁部との間に挟まれる。弾性部材8は、第一の部材2側の入力トルクと第二の部材3側の負荷トルクとの差に応じて伸縮する。すなわち、本実施形態では、一例として、第一の部材2と第二の部材3との間にトルク変動(トルク差の変動)が生じた場合に、弾性部材8が弾性的に縮むことで、トルク変動に応じた回転エネルギが弾性エネルギに変換されて弾性部材8に一時的に蓄えられる。弾性部材8に一時的に蓄えられた弾性エネルギは、弾性部材8が弾性的に伸びることで、回転エネルギ(トルク)に変換される。
【0021】
本実施形態では、一例として、支持部材9は、壁部91,92や、突出部93,94等を有する。支持部材9は、例えば、合成樹脂材料で構成されうる。
【0022】
本実施形態では、一例として、壁部91は、略一定の厚さの板状に構成されている。壁部91は、周方向の一方側に面した面9aとその反対側の面9bとを有している。壁部91は、三つの開口部21e,22e,32cを貫通している。面9aは、開口部21e,22eまたは開口部32cの周方向側の縁と当接し、面9bは、弾性部材8の端部8aと当接している。
【0023】
また、本実施形態では、一例として、壁部92は、壁部91の径方向の外側の端部から周方向に沿って突出している。壁部92は、径方向の外側に面した面9cとその反対側の面9dとを有している。面9cは、開口部21e,22e,32cの径方向の外側の縁と対向または当接している。すなわち、壁部92は、弾性部材8と開口部21e,22e,32cの径方向の外側の縁との間に介在している。よって、壁部92は、弾性部材8がその径方向の外側で第一の部材2または第二の部材3と接触するのを抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態では、一例として、突出部93は、壁部91の面9aから周方向に沿って突出している。開口部21e,22e,32cの周方向側の縁には、凹部25が設けられている。突出部93は、凹部25に収容されている。突出部93と凹部25の縁との引っ掛かりにより、支持部材9が少なくとも径方向に移動する(変位する、ずれる)のが抑制されている。
【0025】
また、本実施形態では、一例として、突出部94は、壁部91の面9bから周方向に沿って突出している。突出部94は、円柱状または円錐台状に突出している。突出部94は、弾性部材8のコイル内に収容される。すなわち、本実施形態では、一例として、突出部94は、弾性部材8が面9bに沿う方向に移動する(変位する、ずれる)のを抑制することができる。
【0026】
また、本実施形態では、一例として、壁部21,22は、それぞれフランジ部21j,22jを有する。フランジ部21j,22jの間には、トルクリミッタ部24の部材24bが挟まれている。フランジ部21j,22jならびに部材24bは、いずれも、四角形状かつ径方向に沿って広がった壁状(板状、片状)に構成されている。フランジ部21j,22jには、それぞれ開口部21k,22k(本実施形態では、一例として貫通孔)が設けられている。また、部材24bには、開口部24fが設けられている。開口部21k,22k,24fは、重なっている。これら開口部21k,22k,24fを貫通した結合具23によって、フランジ部21j,22jならびに部材24bが結合されている。フランジ部21j,22jは、結合部の一例である。
【0027】
本実施形態では、一例として、壁部22のフランジ部22jは、当該壁部22の一部を折り曲げて構成されている。具体的には、壁部22の一部が屈曲部22gで壁部21側へ屈曲されることで、軸方向に沿った突出部22hが構成されている。突出部22hは、四角形状かつ中心軸Axから離れた位置(壁部22の周縁部)で径方向と直交する方向に広がった壁状(板状、片状)に構成されている。そして、突出部22hの先端部分が屈曲部22iで径方向外側に向けて屈曲されることで、フランジ部22jが構成されている。すなわち、本実施形態では、一例として、壁部22、突出部22h、ならびにフランジ部22jは、一つの部材で一体的に構成されている。突出部22hは、第三の壁部の一例であり、屈曲部22gは、壁部22と突出部22hとを接続する接続部分の一例である。
【0028】
そして、本実施形態では、一例として、図1に示されるように、開口部32cの周方向の両側には、径方向の外側に突出した突出部32dが位置されている。そして、図1,2に示されるように、本実施形態では、一例として、突出部22hは、第二の部材3の壁部32の突出部32dの中心軸Ax回りの回動軌道R上に位置されている。よって、突出部32dひいては第二の部材3の第一の部材2に対する相対的な回動は、突出部22hによって遮られる。すなわち、本実施形態では、一例として、トルク変動等に伴う第一の部材2と第二の部材3との相対回動の範囲が、突出部32dと突出部22hとの干渉(接触)によって定まっている。本実施形態では、一例として、図1に示されるように、時計回り方向にθ1、反時計回り方向にθ2であり、これらθ1とθ2とが同じ角度である。
【0029】
また、本実施形態では、一例として、図1に示されるように、フランジ部21j,22jは、開口部22e(21e,32c)の径方向の外側に位置されている。そして、本実施形態では、一例として、開口部22eの周縁部の少なくとも一部が、補強されている。具体的に、本実施形態では、開口部22eの周縁部を補強する補強部10(第一の補強部)として、屈曲部22gとは異なる位置で、壁部22が径方向の外側に(他の部位より)拡大された拡張部分22mが設けられている。よって、本実施形態によれば、一例としては、突出部32dと突出部22hとが当接した際に突出部32dから突出部22hを介して壁部22に作用する荷重に対する当該壁部22の剛性および強度が向上されやすい。なお、本実施形態では、一例として、弾性部材8や、支持部材9、突出部22h、フランジ部21j,22j等に関わる構成は、図1(軸方向)の視線で90°毎に同一であるが、これには限定されない。
【0030】
以上、説明したように、本実施形態では、一例として、突出部22hは、壁部22(第一の壁部)から屈曲部22g(接続部分)で屈曲されてフランジ部22j(結合部)へ延びるとともに、その少なくとも一部が第二の部材3の回動軌道R上に位置されている。また、屈曲部22gは開口部22e(第一の開口部)の径方向の外側に位置されている。そして、開口部22eの周縁部の少なくとも一部が補強部10(第一の補強部)によって補強されている。よって、本実施形態によれば、一例としては、補強部10によって、開口部22eの周縁部(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすい。
【0031】
また、本実施形態では、一例として、補強部10は、屈曲部22g(接続部分)とは異なる位置で、壁部22が径方向の外側に(他の部位より)拡大された拡張部分22mである。よって、本実施形態によれば、一例としては、拡張部分22mによって壁部22の開口部22e(第一の開口部)の周縁部(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすい。すなわち、本実施形態によれば、一例としては、開口部22eの周縁部(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすいという結果(効果)が得られる構成が、壁部22に拡張部分22mが設けられたという比較的簡素な構成として、具現化されうる。
【0032】
<第1変形例>
図3,4に示される第1変形例は、上記実施形態と同様の構成を有している。よって、本変形例によっても上記実施形態と同様の結果(効果)が得られる。ただし、本変形例では、図3,4に示されるように、壁部22(第一の壁部)の開口部22e(第一の開口部)の周縁部が当該壁部22と交叉する方向(本変形例では、一例として、壁部21とは反対側(軸方向))に切り起こされ、これにより、壁部22n(突出部)が構成されている。壁部22nは、開口部22eの周縁部の少なくとも一部を補強する補強部10(第一の補強部)の一例である。よって、本変形例によれば、一例としては、壁部22の開口部22eの周縁部(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすい。すなわち、本変形例によれば、一例としては、開口部22eの周縁部(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすいという結果(効果)が得られる構成が、壁部22の開口部22eの周縁部に壁部22nが設けられたという比較的簡素な構成として、具現化されうる。なお、壁部22nは、開口部22eの全周に亘って設けられる必要は無い。例えば、複数の壁部22nが設けられる構成であってもよいし、複数の壁部22nが適宜に間隔をあけて設けられる構成であってもよい。
【0033】
<第2変形例>
図5,6に示される第2変形例は、上記実施形態と同様の構成を有している。よって、本変形例によっても上記実施形態と同様の結果(効果)が得られる。ただし、本変形例では、図5,6に示されるように、突出部22h(第三の壁部)ならびにフランジ部22j(結合部)の幅方向(周方向)の両側がフランジ部21jとは反対側(軸方向の他方側)に切り起こされ、これにより、突出部22hとフランジ部22jとを接続する三角形状かつ板状の壁部22p(第五の壁部)が構成されている。よって、本変形例によれば、一例としては、突出部22hの剛性および強度が向上されやすい。壁部22pは、突出部22hを補強する補強部11(第二の補強部)の一例である。よって、本変形例によれば、一例としては、突出部32dと突出部22hとが当接した際に突出部32dから突出部22hに作用する荷重に対する当該突出部22h(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすい。すなわち、本変形例によれば、一例としては、突出部22h(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすいという結果(効果)が得られる構成が、突出部22hとフランジ部22jとの間に亘って壁部22pが設けられたという比較的簡素な構成として、具現化されうる。なお、壁部22pの位置や、数、形状は、適宜に変更して実施することができる。
【0034】
<第3変形例>
図7に示される第3変形例は、上記実施形態と同様の構成を有している。よって、本変形例によっても上記実施形態と同様の結果(効果)が得られる。ただし、本変形例では、図7に示されるように、壁部22(第一の壁部)とフランジ部22j(結合部)とが、壁部22t(第四の壁部)を介して接続されている。壁部22tは、壁部22の外周部の屈曲部22g(接続部分)とは開口部22r(第二の開口部)を介して離間した部分22sとフランジ部22jの幅方向(周方向)の端部との間に亘って設けられている。よって、開口部22rの周囲には、壁部22(開口部22eの周縁部)、突出部22h、ならびに壁部22tが配置されている。壁部22tは、突出部22hを補強する補強部11(第二の補強部)の一例である。よって、本変形例によれば、一例としては、突出部32dと突出部22hとが当接した際に突出部32dから突出部22hに作用する荷重に対する当該突出部22h(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすい。すなわち、本変形例によれば、一例としては、突出部22h(壁部22、第一の部材2)の剛性および強度が向上されやすいという結果(効果)が得られる構成が、壁部22とフランジ部22jとを接続する壁部22tが設けられたという比較的簡素な構成として、具現化されうる。なお、壁部22tの位置や、数、形状は、適宜に変更して実施することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態や変形例を例示したが、上記実施形態や変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や、形状、表示要素等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。例えば、第一の補強部や第二の補強部の形状やレイアウトは、種々に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…ダンパ装置、2…第一の部材、3…第二の部材、8…弾性部材、10…補強部(第一の補強部)、11…補強部(第二の補強部)、21…壁部(第二の壁部)、21j…フランジ部(結合部)、22…壁部(第一の壁部)、22e…開口部(第一の開口部)、22g…屈曲部(接続部分)、22h…突出部(第三の壁部)、22j…フランジ部(結合部)、22m…拡張部分、22n…壁部、22p…壁部(第五の壁部)、22r…開口部(第二の開口部)、22s…離間した部分、22t…壁部(第の壁部)、Ax…中心軸(回転軸)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7