(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
(情報コード読取システムの構成)
図1に示す情報コード読取システム1は、明色モジュール及び暗色モジュールを有してなる情報コードC1が形成された情報コード表示媒体10(以下、単に媒体10ともいう)と、この媒体10に形成された情報コードC1を読取可能な情報コード読取装置20(以下、単に読取装置20ともいう)とによって構成されており、媒体10に形成された情報コードC1を読取装置20が抽出、解読することで、情報コードC1内のデータを取得し出力し得るようになっている。また、媒体10は、例えば、切符、定期券、またはイベントの入場チケット等として利用され、この媒体10に記録される情報に基づいて利用者の所定の場所への入退場等を管理可能に構成されている。
【0018】
(情報コード表示媒体の構成)
次に、
図2を参照して、情報コード表示媒体10の構成について説明する。
情報コード表示媒体10は、情報コードC1が表示される第1面12aと、第1面の裏側の第2面12bとを備える本体部12によって構成されている。また、本体部12は、例えば不透明又は半透明の板材又はシート材(例えば、紙、樹脂部材、金属部材の物体)によって形成されている。
【0019】
図2(A)に示すように、媒体10の第1面12a側には、情報コードC1が印刷等によって形成された情報コード形成領域A1と、文字、図形、記号、模様などからなる背景領域A2とが設けられている。本構成では、媒体10は、例えば定期券として構成されており、第1面12aの背景領域A2には、乗車区間、定期券利用者名等が印字されている。また、情報コードC1には、背景領域A2に印字されている情報、あるいはこれら情報に加えて印字されていないその他の情報(例えば、乗車可能期間、発券番号等)が記録されている。
【0020】
図2(B)に示すように、媒体10の第2面12b側には、第1面12aに形成される情報コードC1の裏位置に目印14として図形又は記号(例えば、十字形状の図形)が形成されている。この目印14は、第2面12bにおいて第1面12aと平行な平面方向における情報コードC1の位置を特定するように機能する。具体的には、第1面12aと平行な平面方向における情報コードC1の中心位置を特定し得るように目印14が配置されており、例えば、目印14は、十字形状の図形が交差する交差位置が情報コードC1の中心位置の真裏の位置となっている。なお、
図2(B)に示す目印14を囲む破線は、情報コードC1の外周の真裏の位置(第2面12b側における真裏の位置)を概念的に示している。このように構成されているため、
図2(B)のように第2面側(裏面側)を見たとき、第1面側が見えなくても情報コードC1の中心がどの位置であるかを即座に把握することが可能となる。
【0021】
なお、
図2(B)の構成では、第2面12b側には、目印14以外の領域が目印14とは異なる色によって構成されており、目印14以外の領域は、例えば目印14とは異なる単一色の色彩、又は目印14とは異なる複数色の模様となっている。なお、目印14は、本体部の第2面12b上に描かれていてもよく、第2面12b側から見える構成であれば、第2面12b上でなくてもよい。例えば、第2面12bよりも第1面12a側に奥まった位置であってもよい。例えば本体部12の厚さ方向内部に目印14が描かれた構成であってもよく、第1面12a側に描かれた構成であってもよい。また、目印14の形状及び位置を特定できるように少なくとも目印14の周囲の領域が目印14とは異なる色によって構成されていれば良く、目印14から外れた位置(例えば、
図2(B)の破線の外側の位置)には様々な絵、模様、情報等を表示することができる。
【0022】
情報コードC1は、例えば、QRコード(登録商標)によって構成されており、公知の方法でデコード可能な構成となっている。また、情報コードC1は、所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセル(モジュール)52をマトリックス状に配列した構成となっている。なお、
図2等の情報コードC1において、「コード領域」は、複数配列された暗色セルを全て含み得る矩形状の領域であり、具体的には、3つの位置検出パターン(切り出しシンボル)54を全て含む最小の正方形又は長方形領域となっている。なお、
図2等の例では、複数のセル(モジュール)52が、矩形状(例えば外径が正方形状)の明色(白色)セル(明色モジュール)52a及び暗色(黒色)セル(暗色モジュール)52bのいずれかによって構成されており、コード領域の内部においてこれらセル52がマトリックス状に配置されている。また、情報コードC1において上記コード領域の周囲には、当該コード領域を取り囲むようにマージン領域が構成されるようになっており、
図2等の例では、明色(白色)のマージン領域がコード領域の周囲に隣接して配置されている。
【0023】
(情報コード読取装置の構成)
次に、情報コード読取装置20の全体構成について説明する。
図3に示すように読取装置20は、ハードウェア的には二次元コードを読取可能なコードリーダとして構成されており、図示しないケースによって外郭が構成され、このケース内に各種電子部品が収容された構成をなしている。
【0024】
この情報コード読取装置20は、主に、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示装置46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されている。なお、これらは、図略のプリント配線板に実装あるいはケース(図示略)内に内装されている。
【0025】
光学系は、照明光源21、受光センサ23、フィルタ25、結像レンズ27等から構成されている。照明光源21は、照明光Lfを発光可能な照明光源として機能するもので、例えば、赤色のLEDとこのLEDの出射側に設けられる拡散レンズ、集光レンズ等とから構成されている。本実施形態では、受光センサ23を挟んだ両側に照明光源21が設けられており、ケースに形成された読取口(図示略)を介して情報コード表示媒体10に向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。
【0026】
受光センサ23は、情報コード表示媒体10や情報コードC1に照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を2次元に配列したエリアセンサが、これに相当する。この受光センサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光を受光面23aで受光可能に図略のプリント配線板に実装されている。
【0027】
フィルタ25は、例えば反射光Lrの波長相当以下の光の通過を許容し、当該波長相当を超える光の通過を遮断し得る光学的なローパスフィルタで、ケースに形成された読取口(図示略)と結像レンズ27との間に設けられている。これにより、反射光Lrの波長相当を超える不要な光が受光センサ23に入射することを抑制している。また、結像レンズ27は、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとによって構成されており、本実施形態では、ケースに開口状に形成された読取口(図示略)に入射する反射光Lrを集光し、受光センサ23の受光面23aに情報コードC1のコード画像を結像するように構成されている。
【0028】
マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40及びメモリ35を中心として構成され、前述した光学系によって撮像された情報コードC1の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。
【0029】
光学系の受光センサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力され、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号、つまり画像データ(画像情報)は、メモリ35に入力され、当該メモリ35の画像データ蓄積領域に蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、受光センサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像データの格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0030】
メモリ35は、半導体メモリ装置などによって構成され、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)等がこれに相当する。このメモリ35のうちのRAMには、前述した画像データ蓄積領域のほかに、制御回路40が算術演算や論理演算等の各処理時に利用する作業領域や読取条件テーブルも確保可能に構成されている。またROMには、後述する読取処理等を実行可能な所定プログラムやその他、照明光源21、受光センサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0031】
制御回路40は、情報コード読取装置20全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるものであり、情報処理機能を有している。この制御回路40には、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)が接続されており、本実施形態の場合、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示装置46、通信インタフェース48等が接続されている。また、通信インタフェース48には、情報コード読取装置20の上位システムに相当するホストコンピュータHSTなどを接続できるようになっている。
【0032】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0033】
(本構成の主な効果)
本構成では、
図2(B)に示すように、媒体10の第2面12bには、第1面12aに形成される情報コードC1の裏位置に図形又は記号(本実施形態では、十字形状の図形)が形成されている。このように図形又は記号が明示されることにより、第2面12bにおいて、第1面12aと平行な平面方向における情報コードC1の位置を特定することができる。そして、情報コード表示媒体10の利用者は、第2面側を目視している場合でも、第1面側に表示されている情報コードC1の位置を、目印によって特定することが可能となる。なお、上述した例では、目印14として、十字形状の図形を用いたが、目印はこれ以外の図形や記号であってもよい。例えば、丸、三角、四角、星型、その他の絵柄等であってもよく、文字、数字、その他の記号等であってもよい。
【0034】
一般的に、媒体10の利用者は、読取装置20に媒体10を翳したりすることによって情報コードC1を読み取らせる際に、媒体10の情報コードC1が印刷されている第1面12a側を読取装置20に対向させる必要があるため、利用者は媒体10の第2面12b側を目視しながら操作することになる。本構成では、このような操作時に、利用者は、第2面12b側を見ながらでも情報コードC1の位置を正確に認識することができ、見えない又は見えにくい反対側(視認側とは反対側)の情報コードC1を目標とする位置に正確に近づけることが可能となる。従って、より迅速且つ正確に情報コードC1を読取装置20に読み取らせることができ、読取処理や読み取り操作の繰り返し(情報コードC1の位置が不適切であること等に起因する読取処理や読み取り操作の繰り返し)による手間や時間を省くことができる。特に、駅などの改札口のように、多数の利用者が続けて同一の読取装置を利用するような場合には、各利用者の読み取り操作に費やされる時間を短縮することで混雑の発生を回避することができ、利用者の利便性を向上させることができる。また、媒体10のサイズが情報コードC1に比べて著しく大きいような場合や、媒体10の操作に不慣れな者が読み取り操作を行うような場合には特に上述したような読み取り操作の繰り返しが懸念されるが、このような場合でも、本構成では、表面を目視して情報コードC1が表示されている位置を確認しなくても情報コードC1を正確に位置合わせしやすくなるため、手間と時間を省くことできる。
【0035】
また、本構成では、本体部12は、少なくとも情報コードC1が付された部分が不透明又は半透明の板材又はシート材によって構成されており、第2面12b(裏面)側において情報コードC1の裏位置に目印14としての図形又は記号が形成されている。具体的には、媒体10の基材が、例えば不透明又は半透明の樹脂材料、紙材料、金属材料などからなるシート材によって構成されており、このシート材の表面(第1面12a)に情報コードC1等が描かれ、情報コードC1が描かれた部分も不透明又は半透明となっている。そして、シート材の裏面(第2面12b)において情報コードC1の真裏の位置に目印14が描かれている。
このように情報コードC1の部分を不透明又は半透明の板材又はシート材によって構成すると、この部分を透明に構成する場合に比べて、読取装置で読み取る際に情報コードC1の背景(マージン領域)や各セルの画像を安定的に認識しやすくなる。但し、このようにすると、情報コードC1が裏側(第2面側)から見えない又は非常に見えにくい状態となるため、第2面12b側からの情報コードC1の位置特定が困難となる問題がある。これに対し、本構成では、第2面12b側に情報コードC1の位置を特定する目印14が表示されるため、情報コードC1の安定的な認識を可能としつつ、情報コードC1が見えない状態で情報コードC1を読み取り装置に読み取らせる場合であっても、第2面12b側の目印14を見ながら情報コードC1を正確に位置合わせしやすくなる。
【0036】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について、
図4等を参照して説明する。
なお、第2実施形態の情報コード読取システムは、情報コード表示媒体10に代えて情報コード表示媒体210(以下、単に媒体210ともいう)を用いた点が第1実施形態と異なり、読取装置20は第1実施形態と同一となっている(
図1、
図3等参照)。従って、以下では、情報コード表示媒体210について重点的に説明する。
【0037】
(情報コード表示媒体の構成)
第1実施形態の情報コード表示媒体10では、第2面12b側における情報コードC1の裏位置に目印14が形成される構成を例示したが、本実施形態の情報コード表示媒体210では、本体部212における情報コードC2が付された領域(情報コード形成領域A21)の少なくとも一部が部分的に透明部として構成され、透明部の周囲に隣接して不透明部が設けられており、第2面212b側から情報コードC2の表裏反転図形が少なくとも部分的に視認可能となっている。
【0038】
本実施形態の媒体210も、板状又はシート状の本体部212を備え、この本体部212には、情報コードC2が表示される第1面212aと、第1面212aの裏側の第2面212bとが設けられている。また、第1実施形態の媒体10と同様、媒体210の第1面212a側には、文字、図形、記号、模様などが表示される背景領域A22が設けられている。なお、情報コード表示媒体210は、情報コード形成領域A21(矩形枠AR1内の領域)のみが第1実施形態の情報コード表示媒体10と異なっており、情報コード形成領域A21(矩形枠AR1内の領域)以外は第1実施形態の情報コード表示媒体10と同一である。よって、以下では、第1実施形態と同一の部分については詳細な説明を省略し、情報コード形成領域A21(矩形枠AR1内の領域)について重点的に説明することとする。
【0039】
媒体210で表示される情報コードC2は、公知の二次元コード(QRコード)として構成され、コード領域の内部にセル(モジュール)252を配列し、3つの位置検出パターン(切り出しシンボル)254を備える構成となっている。また、第1実施形態の情報コードC1と同様、複数のセル(モジュール)252が、矩形状の明色(白色)セル(明色モジュール)252a及び暗色(黒色)セル(暗色モジュール)252bのいずれかによって構成されており、コード領域の内部においてこれらセル(モジュール)252がマトリックス状に配置されている。
【0040】
そして、媒体210の本体部212において、情報コードC2が形成された形成部分(即ち、矩形枠AR1内の情報コード形成領域A21の部分)は、明色モジュール252aの各領域及び暗色モジュール252bの各領域の内、一方のモジュール(例えば、明色モジュール252a)の各領域が透明の部分として構成され、他方のモジュール(例えば、暗色モジュール252b)の各領域が不透明又は半透明の部分として構成されている。
【0041】
より具体的には、本体部212における情報コード形成領域A21内の部分(矩形枠AR1内の部分)は、暗色モジュール252b以外の部分(即ち、明色モジュール252a及びコード領域の周囲のマージン領域)が透明部として構成され、この透明部は、第1面212aと第2面212bとの間において光が透過し得るように構成されている。一方、暗色モジュール252bの各領域が不透明(又は半透明)の部分として構成され、透明部よりも光の透過量が少ない構成となっている。また、本体部212において背景領域A2が形成された部分(矩形枠AR1の外側の部分)は、マージン領域(透明部)の周囲に隣接して不透明(又は半透明)の部分として構成されている。そして、媒体210は、位置検出パターン(切り出しシンボル)254を含む暗色モジュール252bの各領域が例えば黒色などによって不透明(又は半透明)の部分として構成されているため、第2面212b側から情報コードC2を見たときに、これら暗色モジュール252bの各領域(不透明又は半透明の部分)が表裏反転図形(第1面側から見たときの図形を裏返した図形)として視認されることになる。また、明色モジュール252aの各領域が透明部として構成されているため、第2面212b側から情報コードC2を見たときに、これら明色モジュール252aの各領域(透明部)が表裏反転図形(第1面側から見たときの図形を裏返した図形)として視認されることになる。
【0042】
(本構成の主な効果)
本構成では、透明の部分として構成される一方のモジュール(例えば、明色モジュール252a)の各領域において第1面212a側から第2面212b側へと光が透過可能となり、当該光の透過する第2面212b側における位置(情報コードC2の表裏反転図形が形成される位置)が情報コードC2の裏側の位置に相当することになる。そのため、媒体210の利用者が、第2面212b側を目視している場合でも、第1面212a側に表示されている情報コードC2の当該第1面212a側における位置を特定することが可能となる。従って、第2面212b側を目視しつつ媒体210を操作した場合でも、目標とする位置に情報コードC2を正確に近づけることが可能となり、媒体210の操作性を向上させることができる。特に、第2面212b側からでも各モジュールの具体的位置を詳細に特定できるため、第2面212b側を見ながら位置合わせする際の精度も一層高くなる。
【0043】
また、情報コードC2に照明光を照射して読み取る場合に、透明の部分として構成される一方のモジュール(例えば、明色モジュール252a)では照明光が透過することで明色の反射特性と同様の効果が生じて明色領域として検出される一方で、不透明又は半透明の部分として構成される他方のモジュール(例えば、暗色モジュール252b)では照明光が透過しないか或いは一部しか透過せずに反射することで暗色領域として検出されることになる。そのため、明色モジュール252aの領域と暗色モジュール252bの領域とを明確に区別して検出することができ、明色モジュール252a及び暗色モジュール252bの領域を抽出して情報コードC2を確実に認識することができる。また、透明の部分として構成される一方のモジュール(例えば、明色モジュール252a)の各領域は、情報コードを形成する際に印字する必要がなく、情報コード表示媒体上の印字領域を減らすことができる。
【0044】
なお、上述した例では、明色モジュールを透明部として構成し、暗色モジュールを不透明部又は半透明部として構成した例を示したがこれらを逆にしてもよい。即ち、明色モジュールを不透明部又は半透明部として構成し、白色等によって表示するようにし、暗色モジュールを透明部として構成してもよい。また、上述した例では、第2面側から情報コードC2全体の表裏反転図形が視認できるようになっているが、第2面側から情報コードC2の表裏反転図形の一部のみが視認できる構成であってもよい。
【0045】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態について、
図5等を参照して説明する。第3実施形態の情報コード読取システムは、情報コード表示媒体210に代えて情報コード表示媒体310(以下、単に媒体310ともいう)を用いた点が第2実施形態と異なり、読取装置20は第1、第2実施形態と同一となっている(
図1、
図3等参照)。従って、以下では、情報コード表示媒体310について重点的に説明する。また、情報コード表示媒体310は、情報コードC3の構成以外は第2実施形態と同一であるため、以下では、第2実施形態と同一の構成については詳細な説明は省略し、情報コードC3の構成について重点的に説明する。
【0046】
(情報コード表示媒体の構成)
本実施形態における情報コード表示媒体310の本体部312は、上記第2実施形態における情報コード表示媒体210の本体部212と同様の構成をなしており、情報コードC3が付された領域(矩形枠AR2内の領域)の少なくとも一部が部分的に透明部として構成され、透明部の周囲に隣接して不透明部が設けられており、第2面312b側から情報コードC3の表裏反転図形が視認可能となっている。
【0047】
本実施形態では、
図5に示すように、情報コード形成領域A31(矩形枠AR2内の領域)において、情報コードC3の位置に図形又は記号(例えば、十字形状の図形)などからなる目印314が印刷される構成となっている。具体的には、明色モジュール及び暗色モジュールによって構成されるコード領域に重ねた構成で目印314が印刷されている。なお、
図5の例では、主として明色モジュールの一部に目印314が描かれることで、十字形状の図形が把握できるようになっているが、暗色モジュールの一部に重ねる形で図形が描かれていてもよい。
【0048】
また、
図5のように目印314を付す場合、明色モジュール352aの基本色(明色モジュール352aにおける目印314が配されていない部分の色)の明るさとは異なる明るさの色(明色)で構成されることが望ましい。このように構成すると、目印314を明色モジュール352aの基本色とは区別して視認することができ、読み取り時には、明色モジュール352aの領域において、基本色の部分は勿論のこと、目印314の部分も明色モジュールの領域として認識することができる。つまり、情報コードC3に目印314と重なる領域が存在しても、予め誤り訂正を行うための情報を情報コードC3に含ませて誤り訂正を行うこともなく、読取装置20によって情報コードC1から確実に情報を読み取ることができる。
【0049】
また、目印314としては、例えば、キャラクタなどのイラストを情報コードC3に重ねて描くことで、情報コードC3にデザインを施すことができ、情報コードC3の意匠性を向上させることもできる。
【0050】
なお、本実施形態の媒体310も、上記第2実施形態と同様の特徴を有している。即ち、媒体310の本体部312において情報コードC3が形成された形成部分は、明色モジュール352aの各領域及び暗色モジュール352bの各領域の内、一方のモジュール(例えば、明色モジュール352a)の各領域が透明の部分として構成され、他方のモジュール(例えば、暗色モジュール352b)の各領域が不透明又は半透明の部分として構成されている。
【0051】
(本構成の主な効果)
本構成では、一方のモジュール(例えば、明色モジュール352a)の各領域が透明の部分として形成され、この部分に重ねた形態で図形又は記号(例えば、十字形状の図形)からなる目印314が付されているため、第2面312b側から見たときに、情報コードC3の表裏反転図形と共に、目印314の表裏反転図形(又は表裏反転した記号)が視認可能となる。そして、情報コードC3の表裏反転図形及び目印314の表裏反転図形が視認される位置は、情報コードC3の裏側の位置に相当するため、媒体310の利用者は、第2面312b側を目視している場合でも、第1面312a側に表示されている情報コードC3の当該第1面312a側における位置を容易に特定することが可能となる。そのため、第2面312b側を目視しつつ媒体310を操作した場合でも、目標とする位置に情報コードC3を正確に近づけることが可能となり、媒体310の操作性を向上させることができる。また、裏側からでも目印314が視認できるため、裏側のデザイン性も高めやすくなる。
【0052】
[第4実施形態]
以下、本発明を具現化した第4実施形態について、
図6等を参照して説明する。本実施形態では、情報コード表示媒体の一部(情報コードC4の構成)、及び読取装置420の構成以外は第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0053】
(情報コード表示媒体の構成)
情報コード表示媒体410の本体部412には、少なくとも可視光領域を含む第1波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、第1波長帯とは波長の異なる第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の他方の反射特性を示す反転領域と、第1波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示し、第2波長帯の光が照射されたときに暗色又は明色の一方の反射特性を示す非反転領域とが形成されている。
【0054】
具体的には、媒体410に形成される情報コードC4の領域のうち、暗色モジュール452bの各領域は、可視光を照射したときでも、赤外光を照射したときでも暗色として表示される非反転領域として形成されている。一方、情報コードC4の内、明色モジュール452aの各領域は、可視光を照射したときに暗色の反射特性を示して暗色として表示され、赤外光を照射したときに明色の反射特性を示して明色として表示される反転領域として形成されている。
【0055】
例えば、明色モジュール452aの各領域は、明色の外表面を有する基体(板材やシート材)の外表面に対して、赤外線透過インクによって暗色が付された構成となっており、赤外光を照射したときには、赤外線透過インクが透過状態(透明状態)となって、
図6(B)のように当該領域(明色モジュール452aの領域)において基体(板材やシート材)の明色が現れ、明色として認識されるようになっている。一方、暗色モジュール452bの各領域は、明色の外表面を有する基体(板材やシート材)の外表面に対し、少なくとも一般的な暗色インク(例えば可視光を照射したときでも赤外光を照射したときでも黒色として視認される黒色インク)を付した構成となっており、
図6(A)のように可視光を照射したときでも、
図6(B)のように赤外光を照射したときでも、暗色(黒色)として認識されるようになっている。なお、明色モジュール452a及び暗色モジュール452bが配置されたコード領域の外側に構成されるマージン領域は、明色モジュールと同様の反転領域として構成されていてもよく、可視光が照射されたときでも赤外光が照射されたときでも明色で表示される領域として構成されていてもよい。
【0056】
このように構成されているため、可視光を照明光として照射する一般的な読取装置では、撮像の際に、
図6(A)のように明色モジュール452aの各領域、及び暗色モジュール452bの各領域がいずれも暗色として表示され、情報コードC4の全てが暗色となった状態の撮像されることになる。従って、情報コードCが抽出困難となる。一方、後述の読取装置420のように、赤外光(第2波長帯の照明光)を照射しつつ撮像する場合には、
図6(B)のように明色モジュール452aの各領域が明色に反転し、暗色モジュール452bの各領域は暗色のままで撮像することができるため、情報コードC4を抽出することが可能となる。
【0057】
なお、媒体410の裏側(第2面側)の構成は第1実施形態の
図2(B)と同様であり、媒体410の第2面側(第1面412aの反対面側)には、第1面412aに形成される情報コードC4の裏位置に、目印としての図形又は記号(例えば、
図2の目印14と同様の十字形状の図形)が形成されている。そして、この目印は、第2面(裏面)において第1面412a(表面)と平行な平面方向における情報コードC4の位置を特定するように機能する。具体的には、第1面412aと平行な平面方向における情報コードC4の中心位置を特定し得るように目印が配置されており、例えば、目印は、十字形状の図形が交差する交差位置が情報コードC4の中心位置の真裏の位置となっている。また、
図6のような構成において、マージン領域などが透明部として構成されていてもよい。また、
図6のような構成において、明色モジュールの基体部分(赤外線透過インクを付す部分)を透明に構成してもよい。
【0058】
(情報コード読取装置の構成)
次に、情報コードC4を読み取る情報コード読取装置の全体構成について
図7等を参照して説明する。本実施形態で用いられる情報コード読取装置420(以下、読取装置420ともいう)は、照明光源421,422の構成、及び制御回路440の構成以外は第1実施形態の読取装置20と同様であるため、第1実施形態と同様の構成については図示を省略し、詳細な説明は省略する。
【0059】
図7に示す読取装置420では、照明光源として、第1波長帯の照明光を照射する第1照明光源421と、第2波長帯の照明光を照射する第2照明光源422とが設けられている。また、第1照明光源421及び第2照明光源422は、例えばフィルタ25、結像レンズ27及び受光センサ23によって構成される撮像部(受光光学系)428を挟んだ両側にそれぞれ設けられている。
【0060】
一対の第1照明光源421a,421bは、例えば波長380nm〜750nmの可視光を照射するLEDによって構成されている。また、対をなして配置される第2照明光源422a,422bは、波長750nm以上の赤外光を照射するLEDによって構成されている。そして、第1照明光源421及び第2照明光源422は、ケースに形成された読取口(図示略)を介して媒体410に向けて照明光を照射可能に構成されている。また、撮像部428は、媒体410に対して照明光が照射された状態で当該媒体410を撮像するように機能する。
【0061】
例えば、この構成では、
図6のような情報コードC4を読み取る場合、第2照明光源422a,422bによって赤外光を照射した状態で撮像部428によって情報コードC4を撮像することで、
図6(B)のように明色モジュールが明色に反転したコード画像が得られることになる。
図6(B)のようなコード画像が得られた場合、制御回路440は、一般的なデコード方法によってコード画像を解読すればよい。なお、一般的な情報コードを読み取る場合には、第1照明光源421によって可視光を照射しつつ情報コードを撮像すればよい。
【0062】
(本構成の主な効果)
本構成では、可視光が照射されている時には、明色モジュール及び暗色モジュールがいずれも同種の反射特性を示すため、情報コードが全体的に暗色領域又は明色領域として視認されることになり、情報コードの存在が把握され難くなる。つまり、可視光のみの照射状態で情報コードを読み取ろうとしても、明色モジュールと暗色モジュールとが区別できず、一般的な読取装置では情報コードの読み取りが困難となる。また、一般的なコピー装置では明暗が区別されないコピー画像が生成されるため、コピー等の偽造防止を図ることができる。
一方、第2波長帯の照明光が照射されている時には、明色モジュール及び暗色モジュールの内、いずれか一方が反転した構成となり、他方が反転しない構成となるため、明色モジュールの領域と暗色モジュールの領域とを明確に区別することができ、情報コードを認識することができるようになる。つまり、第2波長帯の照明光を照射し得る読取装置では、情報コードを良好に読み取ることが可能となり、このような読取装置の読み取りのみを許可し得るセキュリティ性の高い構成となる。但し、この構成では、第2波長帯の照明光が照射される位置に情報コードを正確に位置合わせしなければ読み取りができないため、より正確な位置合わせが求められ、情報コードが見えない状態で媒体を翳して読み取らせる場合に一層問題となる。これに対し本発明では、第2面側からでも情報コードの位置を正確に認識することができるため、媒体を裏返して読み取らせる場合であっても第2波長帯の照明光の照射位置に情報コードを正確に位置合わせすることができ、読み取りの失敗や遅延をより確実に低減することができる。
【0063】
[第5実施形態]
以下、本発明を具現化した第5実施形態について説明する。
第5実施形態で例示する情報コード読取システムは、情報コード表示媒体10とは異なる情報コード表示媒体(図示略)を用いた点が第1実施形態と異なり、読取装置20は第1実施形態と同一となっている(
図1、
図3等参照)。従って、以下では、情報コード表示媒体について重点的に説明する。また、本実施形態の情報コード表示媒体は、情報コード形成領域以外は上記第1実施形態における情報コード表示媒体10(
図3参照)と同様の構成をなしている。
【0064】
(情報コード表示媒体の構成)
本構成の情報コード表示媒体は、例えば暗色モジュールの構成のみが第1実施形態の情報コード表示媒体10と異なっている。本構成の情報コード表示媒体で用いられる情報コードは、一方のモジュール(例えば、暗色モジュール)の各領域に対して貫通孔又は凹部若しくは凸部を形成する加工が施されており、第2面側から一方のモジュール(例えば、暗色モジュール)の各領域に対して施された加工部分が視認可能に構成されている。なお、他方のモジュール(明色モジュール)の構成は、第1実施形態の情報コード表示媒体10と同様とすることができ、例えば、明色(白色)の印刷が施された領域として構成すればよい。
【0065】
一方のモジュール(例えば、暗色モジュール)の各領域における凹部又は凸部は、例えば、対象物に直接刻印を施す公知のダイレクトマーキングによって形成することができる。即ち、本体部の第1面側から各暗色モジュールの領域を押圧するように刻印を施すことで、第1面側における暗色モジュールの各領域には凹部が形成され、一方で第2面側の暗色モジュールの各領域では凸部が形成されることになる。この場合、凹部として構成される各暗色モジュールの領域は特に色を付さなくても良く(即ち、明色モジュールの同様の色であってもよく)、各暗色モジュールの領域に黒色等の暗色が付されていてもよい。
【0066】
或いは、本体部の第2面側から各暗色モジュールの領域を押圧するように刻印を施すことで、第2面側における暗色モジュールの各領域に凹部を形成し、1面側の暗色モジュールの各領域を凸部として構成してもよい。この場合も、凸部として構成される各暗色モジュールの領域は特に色を付さなくても良く(即ち、明色モジュールの同様の色であってもよく)、各暗色モジュールの領域に黒色等の暗色が付されていてもよい。
【0067】
或いは、本体部における各暗色モジュールの領域を打ち抜くように孔を形成することで、各暗色モジュールの各領域に貫通孔を形成するようにしてもよい。
【0068】
また、上述した各例では、一方のモジュールを「暗色モジュール」とし、この暗色モジュールの各領域に対して貫通孔又は凹部若しくは凸部を形成する加工が施す例を示したが、一方のモジュールを「明色モジュール」とし、この明色モジュールの各領域に対して貫通孔又は凹部若しくは凸部を形成する加工を施すようにしてもよい。この場合、他方のモジュール(暗色モジュール)の構成は、第1実施形態の情報コード表示媒体10と同様とすることができ、例えば、暗色(黒色)の印刷が施された領域として構成すればよい。
【0069】
(本構成の主な効果)
本構成では、媒体の使用者が裏側(第2面側)を見たとき、表面側(第1面側)の情報コードの一部分が加工部分として見えるため、第1面側の情報コードの真裏の位置がどのあたりかを即座に特定することが可能となる。従って、例えば、情報コード表示媒体を裏返し、情報コードが見えない状態で情報コードを読み取り装置に読み取らせる場合であっても、第2面側から情報コードの位置を認識しながら情報コードを適正な読み取り位置に翳すことが可能となる。これにより、翳す位置が不適正であることに起因する読み取りの失敗や読み取りの遅延を防ぐことができ、読み取り操作を行う上での操作性を効果的に向上することができる。更に、この発明では、一方のモジュールの各領域が貫通孔又は凹部若しくは凸部として形成されるため、使用者は媒体を触った感触で情報コードがどの位置にあるかを特定することが可能となる。従って、例えば媒体をあまり見ずに手触りによって情報コードの位置を把握しつつその情報コードを読み取り位置に翳して読み取らせるといった対応もとりやすくなる。
【0070】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0071】
上記第1〜第5実施形態では、情報コード表示媒体において情報コードは、本体部の第1面上に描かれていたが、第1面側に正規の形で表示される構成(第1面側から見たときに正規の形で視認できる構成)であれば、情報コードの形成位置は、第1面上でなくてもよく、第1面よりも第2面側に奥まった位置であってもよい。例えば本体部の厚さ方向内部に情報コードが描かれた構成であってもよく、第2面側に描かれた構成であってもよい。
【0072】
上記第1〜第5実施形態又はこれらの変更例のいずれの場合も、情報コードとしては、
図1等のようなQRコード(登録商標)に限らず、データマトリックスコードやマキシコード等の他の二次元コードであってもよく、一次元バーコード等の公知の一次元コードであってもよい。
【0073】
上記実施形態では、明色として白色を例示し、暗色として黒色を例示したが、明色の方が暗色よりも明度が大きければ良く、明色と暗色の組み合わせは白色と黒色に限定されない。