特許第6136512号(P6136512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136512
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20170522BHJP
【FI】
   A47J27/00 103P
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-86823(P2013-86823)
(22)【出願日】2013年4月17日
(65)【公開番号】特開2014-209984(P2014-209984A)
(43)【公開日】2014年11月13日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(72)【発明者】
【氏名】伊野波 亮
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−184962(JP,A)
【文献】 特開2000−023834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00 − 36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に対して開閉可能に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体の下面に着脱可能に装着される内蓋と、
前記蓋体に固定的に設けられる被係止部と、
前記本体に設けられ、前記被係止部を係止する係止機構と、
突出部を有し、前記内蓋が前記蓋体に装着されていないときは側面視において前記突出部を前記被係止部の前方および上方の少なくとも一方の方向に突出させて前記係止機構による前記被係止部の係止を阻止する第一状態となり、前記内蓋が前記蓋体に装着されているときは側面視において前記突出部を前記被係止部の前面および上面に重ならない位置まで退避させて前記係止機構による前記被係止部の係止を許容する第二状態となる係止制御機構と
を備える、炊飯器。
【請求項2】
前記突出部は、当接部と一体に形成されており、
前記係止制御機構は、前記内蓋が前記蓋体に装着される際に前記内蓋の一部が前記当接部と当接する結果として前記突出部が前記位置まで退避して前記第二状態となる
請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記係止制御機構が第一状態となっている場合において前記係止機構が操作されても前記係止機構による前記被係止部の係止が阻止される
請求項1または2に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「鍋を収納する本体と、鍋の上面開口部を覆う蓋体と、蓋体の内面に着脱自在に配設された加熱板と、加熱板の外周を保持する加熱板支えと、蓋体に設けられるとともに本体に配設され回動操作されるフックレバーに係止するためのフック部と、フック部後部に備えられた当接片と、フック部概略中央に備えられた軸に設けられるとともにフック部先端を上方に回動付勢する付勢バネとを有し、加熱板未装着時には付勢バネによりフック部は先端を上方に回動してフックレバーとの係止が阻止され、かつ、加熱板装着時には加熱板支えが当接片を押圧してフック部をフックレバーに係止する炊飯器」が提案されている(例えば、特開2004−202270号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−202270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通常、炊飯器の使用者は、加熱板を装着し忘れた場合であっても加熱板を装着した場合と同様の力で蓋体を閉めようとする。このように加熱板を装着し忘れた状態で通常の力で蓋体を閉めようとする動作が何度も繰り返されると、フック部自体が傷むだけでなくフック部の取付構造に歪が生じ得る。そうなると、蓋体が閉まりにくくなるだけでなく、炊飯器の外観を損なうおそれが生じる。そして、その歪が大きくなると、内鍋と蓋体との密着性が低下して炊飯中に水蒸気が漏れ出るおそれも生じ得る。
【0005】
本発明は、内蓋を装着し忘れた状態で通常の力で蓋体を閉めようとする動作が何度も繰り返されても、係止構造に歪を生じさせるおそれが極めて低い内蓋装着忘れ防止機能付きの炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る炊飯器は、本体、蓋体、内蓋、被係止部、係止機構および係止制御機構を備える。蓋体は、本体に対して開閉可能に取り付けられる。なお、この蓋体は、据付けであってもよいし、着脱可能であってもよい。内蓋は、蓋体の下面に着脱可能に装着される。被係止部は、蓋体に固定的に設けられる。係止機構は、本体に設けられる。そして、この係止機構は、被係止部を係止する。係止制御機構は、突出部を有する。そして、この係止制御機構は、内蓋が蓋体に装着されていないときは側面視において突出部を被係止部の前方および上方の少なくとも一方の方向に突出させて係止機構による被係止部の係止を阻止する第一状態となり、内蓋が蓋体に装着されているときは側面視において突出部を被係止部の前面および上面に重ならない位置まで退避させて係止機構による被係止部の係止を許容する第二状態となる。
【0007】
この炊飯器では、フック部に相当する被係止部が蓋体に固定されており、被係止部とは別に係止制御機構が設けられている。このため、この炊飯器では、内蓋を装着し忘れた状態で通常の力で蓋体を閉めようとする動作が何度も繰り返されても、係止構造に直接的な影響が及ばず、係止構造に歪を生じさせるおそれが極めて低い。また、この炊飯器では、比較的簡素な構造で係止制御を実現することができるだけでなく、被係止部と突出部とによる二重係止状態の形成を防止することができる。
【0008】
また、この炊飯器において、突出部は、当接部と一体に形成されていることが好ましい。かかる場合、係止制御機構は、内蓋が蓋体に装着される際に内蓋の一部が当接部と当接する結果として突出部が上記退避位置まで退避して第二状態となる。
【0009】
また、この炊飯器において、係止制御機構が第一状態となっている場合において係止機構が操作されても係止機構による被係止部の係止が阻止されることが好ましい。このようにすることにより、内蓋未装着炊飯の不都合を確実に排除することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の分解斜視図である。
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る炊飯器の蓋ヒータユニットの拡大斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器の第1可動部から蓋ユニットを完全に引き抜いた状態の縦断面図である(ただし、係止制御機構は省略されている)。
図5】本発明の実施の形態に係る炊飯器において内蓋が装着されずに蓋ユニットが閉状態とされようとしている状態の縦断面図である。
図6図5において蓋ユニットがさらに閉じられたときの状態の縦断面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器において内蓋が装着されているときの蓋ユニットの斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る炊飯器において内蓋が装着されていないときの蓋ユニットの斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る炊飯器においてロックレバーがロック状態となっているときの本体ユニットの斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係る炊飯器においてロックレバーがロック解除状態となっているときの本体ユニットの斜視図である。
図11】変形例(B)に係る炊飯器の縦断面図である。
図12】変形例(B)に係る炊飯器において内蓋が装着されずに蓋ユニットが閉状態とされようとしている状態の縦断面図である。
図13図12において蓋ユニットがさらに閉じられたときの状態の縦断面図である。
図14】変形例(C)に係る炊飯器の縦断面図である。
図15】変形例(C)に係る炊飯器において内蓋が装着されずに蓋ユニットが閉状態とされようとしている状態の縦断面図である。
図16図15において蓋ユニットがさらに閉じられたときの状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、図1および図2に示されるように、主に、本体ユニット200、蓋ユニット300、第1ヒンジ機構350、蓋ヒータユニット400、第2ヒンジ機構450、内蓋500および内鍋600から構成される。以下、この炊飯器100の構成部品について詳述する。
【0012】
<炊飯器の構成部品>
1.本体ユニット
本体ユニット200は、基本的に従来の炊飯器の本体ユニットと同様であって、図1および図2に示されるように、本体ケース201、ロックレバー機構207、ヒータ202、温度センサ204、室温センサ、操作パネル203、制御回路基板205および電源回路基板206等から構成される。なお、ヒータ202、温度センサ204、室温センサ、制御回路基板205、電源回路基板206等は本体ケース201に内蔵されており、操作パネル203は本体ケース201の前方上面等に配置されている。
【0013】
ロックレバー機構207は、図1図9および図10に示されるように、主に、レバー部材207a、第1レバー回転軸207bおよびコイルバネ207cから構成されており、操作パネル203の後ろ斜め上方に配置されている。このロックレバー機構207では、レバー部材207aが、幅方向に沿って延びる第1レバー回転軸207bに軸支されると共にコイルバネ207cによって後方に付勢されている。このため、通常、レバー部材207aは前斜め上方に起立した状態となっているが(図9参照)、使用者によってレバー部材207aが下方に押圧されると、レバー部材207aがコイルバネ207cの付勢力に抗して回動して水平となる。なお、前者の状態がロックレバー機構207のロック状態(後述するフック部305が係止されている状態に限る)であり、後者の状態がロックレバー機構207のロック解除状態となる。
【0014】
なお、後述するが、この本体ユニット200の後方上面には、第1支持部351が固定されている(図1および図3参照)。
【0015】
2.蓋ユニット
蓋ユニット300は、図2および図4に示されるように、主に、蓋本体301、フック部305、係止制御機構320、装着部302および蒸気ユニット310から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0016】
(1)蓋本体
蓋本体301は、図4に示されるように、主に、外蓋体301aおよび内蓋体301bから構成されている。この蓋本体301の略中央には、蒸気ユニット310を着脱自在に収容するための貫通孔が形成されている。外蓋体301aおよび内蓋体301bは、ビス(図示せず)等により一体的に固定されていると共にその間に断熱空間ISを形成して外部への放熱を抑制している。また、内蓋体301bには、図1および図4に示されるように、露受け306が形成されている。この露受け306は、蓋ユニット300が開かれるときに、内蓋500の蒸気口部502の背面に生じ得る結露水が下にしたたり落ちないようにする役目を担っている。
【0017】
(2)フック部
フック部305は、図7および図8に示されるように、一対の断面逆三角形の部位であって、蓋本体301の正面に固定的に配設されている。このフック部305は、上述の通り、ロックレバー機構207のレバー部材207aに係止可能である。
【0018】
(3)係止制御機構
係止制御機構320は、内蓋500を装着することなく炊飯が行われることを未然に防止する機能(以下「内蓋装着忘れ防止機能」という)を実現するためのものであって、図2図7および図8に示されるように、主に、係止制御片321、第2レバー回転軸322および「ねじりバネ」(図示せず)から構成されている。なお、ここでは、係止制御機構320の構造的な説明のみを行い、内蓋装着忘れ防止機能の詳細については後述する。
【0019】
係止制御片321は、樹脂の一体成形品であって、図2に示されるように、主に、突出部321aおよび当接レバー部321bから構成されている。そして、この係止制御片321は、当接レバー部321bが突出部321aに対して約120°の角度をなすように形成されている。すなわち、この係止制御片321は、「へ」の字の断面形状を有する。突出部321aは、略台形柱状の部位であって、一対のフック部305の間に設けられる開口を通って出没することができるように配設されている。当接レバー部321bは、内蓋500の装着位置のフック部側に配置されている。
【0020】
第2レバー回転軸322は、係止制御片321の突起片321aと当接レバー321bとの付け根部分に形成される貫通孔に挿通されている。また、この第2レバー回転軸322の外周には、「ねじりバネ」が配置されている。
【0021】
「ねじりバネ」には、第2レバー回転軸322が挿入されている。そして、この「ねじりバネ」は、図8に示されるように、側面視において係止制御片321の突出部321aがフック部305の斜め上方に位置するように係止制御片321を付勢している。なお、このとき、係止制御片321の当接レバー部321bは、図5図6に示されるように、後ろ斜め下を向いている。
【0022】
(4)装着部
装着部302は、一対の平行な板部である。蓋ユニット300が第1ヒンジ機構350に装着される際、この装着部302に、第1ヒンジ機構350の蓋ユニット着脱部352b(後述)が差し込まれる。
【0023】
なお、蓋ユニット300は、第1ヒンジ機構350を介して本体ユニット200に開閉自在に取り付けられている。また、この蓋ユニット300は、全開状態において上方へ引き上げられることによって本体ユニット200(より具体的には第1ヒンジ機構350の第1可動部352(図3参照))から脱離させることができるようになっている。このため、この蓋ユニット300は、丸洗い等をすることができる。
【0024】
(5)蒸気ユニット
蒸気ユニット310は、炊飯中に発生する水蒸気を大気に放出する役割を担うものであって、蓋本体301の貫通孔に着脱自在に収容される(図2および図4参照)。
【0025】
3.第1ヒンジ機構
第1ヒンジ機構350は、図3および図4に示されるように、主に、第1支持部351、第1可動部352、第1回動軸353および「ねじりバネ」(図示せず)から構成されている。上述したように、第1支持部351は、本体ユニット200の後方上面に固定されている。そして、この第1支持部351には、第11軸受け部351aが設けられている。また、第1可動部352は、図4に示されるように、断面略L字の部材であって、主に、第12軸受け部352aおよび蓋ユニット着脱部352bから形成されている。そして、第12軸受け部352aおよび第1支持部351の第11軸受け部351aには、第1回動軸353が挿通されている。すなわち、この第1可動部352は、第1回動軸353により回動自在に第1支持部351に装着されている。蓋ユニット着脱部352bには、蓋ユニット300が着脱自在に取り付けられる。また、第1回動軸353の外周には「ねじりバネ」が配置されている。その「ねじりバネ」は、第1可動部352を後方に付勢している。すなわち、通常使用状態においてロックレバー機構207がロック状態からロック解除状態になると、蓋ユニット300が自動的に後方に持ち上げられる。
【0026】
4.蓋ヒータユニット
蓋ヒータユニット400は、図3および図4に示されるように、略円環状の部材であって、主に、ヒータ401、放熱板403、断熱材402および背面板404から構成される。ヒータ401は、渦巻き状の加熱線であって、通電されることにより発熱する。放熱板403は、略円環状の金属板であって、ヒータ401から生じる熱を均一化して内鍋600に供給する役目を担う。断熱材402は、略円環状の発泡体等であって、ヒータ401の蓋ユニット側に取り付けられており、ヒータ401から生じる熱が蓋ユニット300に伝達されないようにする役目を担っている。背面板404は、放熱板403と共同してヒータ401および断熱材402を密封する。なお、この蓋ヒータユニット400の内孔には、図1に示されるように、後述する内蓋500の蒸気口部502が挿入される。
【0027】
5.第2ヒンジ機構
第2ヒンジ機構450は、図3に示されるように、主に、第2支持部451、第2可動部452および第2回動軸453から構成されている。なお、この第2ヒンジ機構450の幅寸法は、図3に示されるように第1ヒンジ機構350の幅寸法よりも小さい。第2支持部451は、図3に示されるように、第1ヒンジ機構350の第1可動部352に固定されている。そして、この第2支持部451には、第21軸受け部451aが設けられている。また、第2可動部452は、図3および図4に示されるように、略板状の部材であって、主に、第22軸受け部452a、蓋ヒータユニット固定部452bおよび起上りリブ452cから形成されている。そして、第22軸受け部452aおよび第2支持部451の第21軸受け部451aには、第2回動軸453が挿通されている。すなわち、この第2可動部452は、第2回動軸453により回動自在に第2支持部451に装着されている。蓋ヒータユニット固定部452bには、図3に示されるように、蓋ヒータユニット400が固定されている。起上りリブ452cは、図4に示されるように、第22軸受け部452aの背面側に形成されており、蓋ユニット300の装着時において蓋ユニット300の後端により押圧されているが、蓋ユニット300の脱離時にその押圧から解放される。すなわち、この起上りリブ452cが蓋ユニット300の後端によって押圧されると、蓋ヒータユニット固定部452bが背面側に起き上がる。つまり、蓋ユニット300が第1可動部352の蓋ユニット着脱部352bに装着されると、蓋ヒータユニット400が背面側に起き上がる。一方、蓋ユニット300が第1可動部352の蓋ユニット着脱部352bから取り外されると、蓋ヒータユニット400が自然に前面側に倒れこむ(図3参照)。なお、これは、側面視において、蓋ヒータユニット400の重心位置が第2回動軸453よりも前方に設定されていることに起因する。
【0028】
なお、この第2ヒンジ機構450は、図2に示されるように、蓋ユニット300が全閉状態であるときにヒータ401および放熱板403が第2回動軸453の下方に位置するように設計されている。
【0029】
また、第2ヒンジ機構450の第2回動軸453は、蓋ユニット300の全閉状態において第1ヒンジ機構350の第1回動軸353の前方斜め上に位置し(図2参照)、蓋ユニット300の全開状態において第1ヒンジ機構350の第1回動軸353の後方斜め上に位置する。すなわち、第1ヒンジ機構350の第1回動軸353を基準として見た場合、「蓋ユニット300が全閉状態から全開状態となるとき」又は「蓋ユニット300が全開状態から全閉状態となるとき」、第2ヒンジ機構450の第2回動軸453は、第1回動軸353を中心とする円弧軌道に沿って移動することとなる。
【0030】
6.内蓋
内蓋500は、図1に示されるように、略円環状の部材であって、内蓋本体501および蒸気口部502から構成される。内蓋本体501は、略円環状の金属部材である。蒸気口部502は、略円筒形の弾性部材であって、図1に示されるように、内蓋本体501の内孔に配置されている。また、この蒸気口部502の上端部はパッキンとして機能する。
【0031】
7.内鍋
内鍋600は、例えばアルミニウム等の熱伝導性の良好な材料から形成されており、本体ユニット200の内鍋収容室(図示せず)に着脱自在に収容される。
【0032】
<内蓋装着忘れ防止機能>
蓋ユニット300に内蓋500が装着されていない場合、「ねじりバネ」によって係止制御片321の突出部321aがフック部305の斜め上方に位置するように(側面視においてフック部305の上部空間を閉塞するように)係止制御片321が付勢される(図5図6および図8参照)。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとしても、図5および図6に示されるように突出部321aがロックレバー機構207のレバー部材207aに当接して、レバー部材207aによるフック部305の係止が完全に阻止される。なお、使用者がレバー部材207aを下方に押圧した状態で、蓋ユニット300を閉めようとしても、フック部305と突出部321aとの位置関係、突出部321aの突出長さ、レバー部材207aの回動角度規制等の要因からフック部305がレバー部材207aに係止されることは決してない。
【0033】
一方、蓋ユニット300に内蓋500が装着されるとき、内蓋500の一部が係止制御片321の当接レバー部321bに当接し、「ねじりバネ」の付勢力に抗して当接レバー部321bが奥側に押し込まれる。そうすると、係止制御片321の突出部321aは必然的に後方に向かって回動させられる。その結果、突出部321aは、図7に示されるように、側面視においてフック部305の前面および上面に重ならない位置まで退避させられる。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとすると、フック部305がレバー部材207aに当接した後にレバー部材207aを下方に押圧して、レバー部材207aを一定角度回動させる。そして、フック部305の上面がレバー部材207aの下方に移動すると、フック部305がロックレバー機構207に係止されて、図2および図7に示される状態となる。
【0034】
すなわち、この炊飯器100では、使用者が内蓋500の装着を忘れると、蓋ユニット300が閉まらず、使用者に内蓋500の装着を促すことができる。
【0035】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、係止制御機構320により使用者が内蓋500の装着を忘れると、蓋ユニット300が閉まらず、使用者に内蓋500の装着を促すことができる。
【0036】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、フック部305が蓋ユニット300に固定的に配設されており、フック部305とは別に係止制御機構320が設けられている。このため、この炊飯器100では、内蓋500を装着し忘れた状態で通常の力で蓋ユニット300を閉めようとする動作が何度も繰り返されても、係止構造に直接的な影響が及ばず、係止構造に歪を生じさせるおそれが極めて低い。
【0037】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、蓋ユニット300に内蓋500が装着されると、突出部321aが、側面視においてフック部305の前面および上面に重ならない位置まで退避させられる。このため、この炊飯器100では、フック部305と、係止制御片321の突出部321aとによる二重係止状態の形成を防止することができる。
【0038】
(4)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、使用者がレバー部材207aを下方に押圧した状態で、蓋ユニット300を閉めようとしても、フック部305と突出部321aとの位置関係、突出部321aの突出長さ、レバー部材207aの回動角度規制等の要因からフック部305がレバー部材207aに係止されることは決してない。このため、この炊飯器100では、内蓋未装着炊飯の不都合を確実に排除することができる。
【0039】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では回動式のロックレバー機構207が採用されたが、スライド式のロックレバー機構が採用されてもよい。
【0040】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では回動式の係止制御機構320が採用されたが、図11〜13に示されるようなスライド式の係止制御機構330が採用されてもよい。なお、図11〜13に示される炊飯器100Aにおいて係止制御機構330以外の構成は全て先の実施の形態に係る炊飯器100と同一であるため、係止制御機構330以外の構成については先の実施の形態で使用した符号と同一の符号を上記図面に付してその説明を省略する。
【0041】
本変形例に係る係止制御機構330は、上述の通り、スライド式の係止制御機構であって、図11〜13に示されるように、主に、係止制御片331およびコイルバネ333から構成されている。
【0042】
係止制御片331は、樹脂の一体成形品であって、図11〜13に示されるように、主に、突出部331a、スライドレバー部331bおよび開口部331cから構成されている。突出部331aとスライドレバー部331bとは、図11〜13に示されるように、開口部331cを介して接合されている。突出部331aは、略四角柱状の部位であって、一対のフック部305の間に設けられる開口を通って出没することができるように配設されている。スライドレバー部331bは、傾斜面Sを有する部位であって、内蓋500の装着位置のフック部側に配置されている。なお、傾斜面Sは、開口部側から後端に向かうに従って下方に傾斜している。開口部331cは、枠状の部位であって、開口OPを有する
【0043】
コイルバネ333は、側面視において係止制御片331の突出部331aがフック部305の前方に位置するように(側面視においてフック部305の上部空間を閉塞するように)係止制御片331を付勢している。
【0044】
そして、この炊飯器100Aでは、蓋ユニット300に内蓋500が装着されていない場合、コイルバネ333によって係止制御片331の突出部331aがフック部305の前方に位置するように係止制御片331が付勢される(図12および図13参照)。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとしても、図12および図13に示されるように突出部331aがロックレバー機構207のレバー部材207aに当接して、レバー部材207aによるフック部305の係止が完全に阻止される。なお、使用者がレバー部材207aを下方に押圧した状態で、蓋ユニット300を閉めようとしても、フック部305と突出部331aとの位置関係、突出部331aの突出長さ、レバー部材207aの回動角度規制等の要因からフック部305がレバー部材207aに係止されることは決してない。
【0045】
一方、蓋ユニット300に内蓋500が装着されるとき、内蓋500の突起部505が係止制御片331のスライドレバー部331bの傾斜面Sに当接して、係止制御片331がコイルバネ333の付勢力に抗して奥側(後方)に引き込まれ、最後には開口部331cの開口OPに内蓋500の突起部505が収容される。その結果、突出部331aは、図11に示されるように、側面視においてフック部305の前面および上面に重ならない位置まで退避させられる。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとすると、フック部305がレバー部材207aに当接した後にレバー部材207aを下方に押圧して、レバー部材207aを一定角度回動させる。そして、フック部305の上面がレバー部材207aの下方に移動すると、フック部305がロックレバー機構207に係止されて、図11に示される状態となる。
【0046】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では回動式の係止制御機構320が採用されたが、図14〜16に示されるようなシャッター式の係止制御機構340が採用されてもよい。なお、図14〜16に示される炊飯器100Bにおいて係止制御機構340以外の構成は全て先の実施の形態に係る炊飯器100と同一であるため、係止制御機構340以外の構成については先の実施の形態で使用した符号と同一の符号を上記図面に付してその説明を省略する。
【0047】
本変形例に係る係止制御機構340は、上述の通り、シャッター式の係止制御機構であって、図14〜16に示されるように、主に、係止制御片341、シャッター342およびコイルバネ343から構成されている。
【0048】
係止制御片341は、樹脂の一体成形品であって、図14〜16に示されるように、主に、突出部341aおよび被案内部341bから構成されている。被案内部341bは、図14〜16に示されるように、突出部341aの後方に接合されている。突出部341aは、略四角柱状の部位であって、一対のフック部305の間に設けられる開口を通って出没することができるように配設されている。被案内部341bは、蓋ユニット300に設けられる案内部(図示せず)に対して、前後方向のスライド移動が可能となるように嵌め込まれている。
【0049】
コイルバネ343は、係止制御片341の後方にシャッター342が存在するようにシャッター342を下方に向かって付勢している。
【0050】
そして、この炊飯器100Bでは、蓋ユニット300に内蓋500が装着されていない場合、コイルバネ343によって、係止制御片341の後方にシャッター342が配置させられる(図15および図16参照)。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとしても、図15および図16に示されるように係止制御片341の後方への移動がシャッター342に規制され、突出部341aがフック部305の前方に突出したままの状態が維持され、レバー部材207aによるフック部305の係止が完全に阻止される。なお、使用者がレバー部材207aを下方に押圧した状態で、蓋ユニット300を閉めようとしても、フック部305と突出部341aとの位置関係、突出部341aの突出長さ、レバー部材207aの回動角度規制等の要因からフック部305がレバー部材207aに係止されることは決してない。
【0051】
一方、蓋ユニット300に内蓋500が装着されるとき、内蓋500の突起部505aがシャッター342の下面に当接して、シャッター342がコイルバネ343の付勢力に抗して上方に押し上げられ、最後には係止制御片341の後方に開口が形成される。そして、使用者がこの状態で蓋ユニット300を閉めようとすると、係止制御片341がレバー部材207aに当接して蓋ユニット内部に後退した後、フック部305がレバー部材207aに当接する。その後、フック部305がレバー部材207aを下方に押圧して、レバー部材207aを一定角度回動させる。そして、フック部305の上面がレバー部材207aの下方に移動すると、フック部305がロックレバー機構207に係止されて、図16に示される状態となる。
【0052】
(D)
先の実施の形態では本発明が蓋ヒータ付の炊飯器100に適用されたが、本発明は、本発明の趣旨を損なわない限りあらゆるタイプの炊飯器に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
100 炊飯器
200 本体ユニット(本体)
207 ロックレバー機構(係止機構)
300 蓋ユニット(蓋体)
305 フック部(被係止部)
320,330,340 係止制御機構
321a,331a,341a 突出部
500 内蓋
図1
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図16