【実施例】
【0051】
(実施例1)
<画素の色度測定>
カラーフィルタの1つの画素の色度は、顕微分光器(大塚電子製 LCF−2000)にて測定スポット径4μmで画素の中心部および中心部から両側のブラックマトリクスに向かいスポット径4μmずらした位置を測定した。
【0052】
<膜厚変動測定>
カラーフィルタの膜厚を接触式膜厚計(小坂研究所社製 SE−3500)にて測定し、開口部の膜厚変動を算出した。
【0053】
<断面形状観察>
カラーフィルタを破断し、各着色画素の断面形状を透過型電子顕微鏡(日立製作所製 S−4500)にて観察し、ブラックマトリクス上の着色画素のテーパー角度を算出した。
【0054】
<黒色樹脂組成物の調整>
フルオレン骨格を有するエポキシアクリレートの酸無水物重縮合物をバインダ樹脂として、そのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(樹脂固形分濃度=56.1質量%、新日鉄住金化学(株)社製V259ME)10.0gに対し、エチレン性不飽和結合を有する化合物として分子量578のジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(東亜合成(株)社製)1.9g、光重合開始剤としてエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)(BASF社製 製品名イルガキュアOXE02)0.6g、溶剤としてシクロヘキサノン29.5g、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート29.5g、添加剤にアデカポリエーテルG−400を1.0g加え、感光性樹脂組成物を得た。さらに、着色顔料としてカーボンブラック分散液(御国色素社製 TPBK−234C)27.5gを加えてよく撹拌し、顔料濃度40%である黒色樹脂組成物100gを得た。
【0055】
<着色樹脂組成物の調整>
着色樹脂組成物に使用する着色剤には以下のものを使用した。
【0056】
赤色用顔料:C.I. Pigment Red 254(BASF社製「イルガーフォーレッド B−CF」)およびC.I. Pigment Red 177(BASF社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I. Pigment Green 58(DIC(株)製「FASTOGEN Green A10」)、およびC.I.PigmentYellow138(BASF社製「パリオトールイエローK0961HD)
青色用顔料:C.I. Pigment Blue 15(東洋カラー社製「リオノールブルーES」)、C.I. Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)。
【0057】
それぞれの顔料を用いて赤色・緑色・青色の着色組成物を作製した。
【0058】
・赤色感光性樹脂組成物
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料の分散体を作製した。
【0059】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 10重量部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 10重量部
アクリルワニス(固形分20%) 108重量部。
【0060】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色感光性樹脂組成物を得た。
【0061】
上記分散体 150重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 13重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 3重量部
(BASF社製「Irgacure379」)
シクロヘキサノン 253重量部。
【0062】
・緑色感光性樹脂組成物
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性樹脂組成物と同様の方法で作製した。
【0063】
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 16重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 138 8重量部
アクリルワニス(固形分20%) 51重量部
エチレングリコールジグリシジルエーテル 20重量部
(ナガセケムテックス製「EX−810」)
トリメチロールプロパントリアクリレート 14重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 257重量部。
【0064】
・青色感光性樹脂組成物
組成がそれぞれ下記組成となるように,赤色感光性樹脂組成物と同様の方法で作製した。
【0065】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 50重量部
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 2重量部
分散剤(ゼネカ社製「ソルスバーズ20000」) 10重量部
アクリルワニス(固形分20%) 200重量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 19重量部
(大阪有機化学工業社製「TMP3A」)
光開始剤 4重量部
(BASF社製「Irgacure907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 2重量部
シクロヘキサノン 214重量部。
【0066】
<カラーフィルタの作製>
ガラス基板上に黒色感光性樹脂組成物をスピンコーターで塗布し乾燥させた。その後、100℃で3分間プリベークを行った後、所定のマスクを用い、光源として超高圧水銀ランプを用いて露光後、2.5質量%炭酸ナトリウム水溶液に25℃で30秒間浸漬して現像し、良く水洗した。水洗乾燥後、230℃で1時間ベークしてブラックマトリクス(線幅5μm、厚み1.0μm、画素間距離25μm)を形成した。
【0067】
次に、赤色感光性樹脂組成物を膜厚が2.5μmとなるように塗布し、ブラックマトリクスと同様の処理を行い、赤色画素を形成した。続いて、緑色感光性樹脂組成物を用いて緑色画素を、青色感光性樹脂組成物を用いて青色画素を形成し、カラーフィルタを作製した。
【0068】
赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0069】
カラーフィルタの各着色画素の膜厚変動は2.5%となり、色度変動は3/1000未満であった。また、赤色画素のテーパー角は32°、緑色画素のテーパー角は75°、青色画素のテーパー角は38°であった。
【0070】
<液晶表示装置の作製>
得られたカラーフィルタ上に、オーバーコート層を形成し、その上にポリイミド配向層を形成した。そして、このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。
【0071】
他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の表面に偏光板を形成した。
【0072】
このようにして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。次いで、開口部からVA用液晶組成物を注入し、開口部を封止した。更に、偏光板に広視野角表示が可能なように最適化された光学補償層を設けた。このようにして作製した液晶表示装置をバックライトユニットと組み合わせてVA表示モード液晶パネルを得た。
【0073】
バックライトを点灯し外観観察した結果、輝度ムラの発生は見られず色表示特性が良好であった。
【0074】
(実施例2)
ブラックマトリクスを画素間距離が20μmとなるように形成したことを除き、実施例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
【0075】
赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0076】
カラーフィルタの各着色画素の膜厚変動は4%となり、色度変動は3/1000未満であった。また、赤色画素のテーパー角θ
Rは32°、緑色画素のテーパー角θ
Gは75°、青色画素のテーパー角θ
Bは38°であった。
【0077】
(実施例3)
ブラックマトリクスを画素間距離が18μmとなるように形成したことを除き、実施例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
【0078】
赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0079】
カラーフィルタの各着色画素の膜厚変動は4%となり、色度変動は3/1000未満であった。また、赤色画素のテーパー角θ
Rは32°、緑色画素のテーパー角θ
Gは75°、青色画素のテーパー角θ
Bは38°であった。
【0080】
(比較例1)
赤色感光性樹脂組成物の光重合開始剤をIrg.907へ置き換えたこと、緑色感光性樹脂組成物のEX−810をアクリルワニスに置きかえたことを除き、実施例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。
【0081】
赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0082】
カラーフィルタの緑色画素の膜厚変動は7%となり、色度変動は6/1000であった。また、赤色画素のテーパー角θ
Rは58°、緑色画素のテーパー角θ
Gは75°、青色画素のテーパー角θ
Bは38°であった。
【0083】
(比較例2)
緑色感光性樹脂組成物のEX−810をアクリルワニスに置きかえたことを除き、実施
例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0084】
カラーフィルタの緑色画素の膜厚変動は8%となり、緑色画素の色度変動は5/1000であった。また、赤色画素のテーパー角θ
Rは32°、緑色画素のテーパー角θ
Gは32°、青色画素のテーパー角θ
Bは38°であった。
【0085】
(比較例3)
赤色感光性樹脂組成物の光重合開始剤をIrg.907へ置き換えたことを除き、実施例1と同様にしてカラーフィルタ、液晶表示装置を作製した。赤色画素の色度は(0.650, 0.316, 17.3)、緑色画素の色度は(0.260,0.585,55.3)、青色画素の色度は(0.141,0.082,8.0)であった。
【0086】
カラーフィルタの緑色画素の膜厚変動は10%となり、緑色画素の色度変動は7/1000であった。また、赤色画素のテーパー角θ
Rは72°、緑色画素のテーパー角θ
Gは75°、青色画素のテーパー角θ
Bは38°であった。
【0087】
実施例1〜3および比較例1〜3で作製したカラーフィルタ、液晶表示装置の評価結果を表1に示す。
【0088】
液晶表示装置の外観では、赤色画素のテーパー角θ
Rが40°以下、緑色画素のテーパー角θ
Gが70°以上である場合、膜厚変動が5%未満、色度変動が3/1000未満となり、輝度ムラがなく高品位な表示特性を有することが分かる。
【0089】
【表1】
(考察)
実施例1と比較例2とを対比すると、赤色画素のテーパー角θ
Rは両方共32°であり、同一である。しかしながら、実施例1では、赤色画素、緑色画素、青色画素のいずれについても、膜厚変動が5%未満、色度変動が3/1000以下で、両変動共に少ないのに対して、比較例2では、緑色画素の膜厚変動と色度変動が大きい。実施例1と比較例2の相違は緑色画素のテーパー角θ
Gであり、実施例1では75°、比較例2では32°であることから、緑色画素の膜厚変動と色度変動は、緑色画素のテーパー角θ
Gによって影響を受けることが分かる。
【0090】
次に、実施例1と比較例3とを対比すると、緑色画素のテーパー角θ
Gは両方共75°であり、同一である。しかしながら、比較例3では、緑色画素と青色画素の膜厚変動と色度変動が大きい。実施例1と比較例3の相違は赤色画素のテーパー角θ
Rであり、実施例1では32°、比較例2では58°であることから、緑色画素及び青色画素の膜厚変動と色度変動は、緑色画素のテーパー角θ
Gによって影響を受けることが分かる。
【0091】
そして、実施例1に比較して、赤色画素のテーパー角θ
Rが大きく(58°)、緑色画素のテーパー角θ
Gが小さい(32°)比較例1では、緑色画素の膜厚変動と色度変動が大きい。
【0092】
これらの結果から、緑色画素の膜厚変動と色度変動を小さくするためには、赤色画素のテーパー角θ
Rと緑色画素のテーパー角θ
Gの両者が重要であることが理解できる。そして、これら実施例1〜3及び比較例1〜3に基づくと、その数値範囲は、赤色画素のテーパー角θ
Rが40°以下、緑色画素のテーパー角θ
Gが70°以上であればよいと推定できる。
【0093】
なお、実施例1〜3を相互に比較することにより、画素ピッチが25μm以下の範囲では、各色画素の膜厚変動と色度変動は画素ピッチによらないことが分かる。