(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136575
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】杭頭構造及び杭頭構造の構築方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/34 20060101AFI20170522BHJP
E02D 27/12 20060101ALI20170522BHJP
E02D 27/16 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
E02D5/34 A
E02D27/12 Z
E02D27/16
【請求項の数】26
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-111600(P2013-111600)
(22)【出願日】2013年5月28日
(65)【公開番号】特開2014-231673(P2014-231673A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年1月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光一
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−156746(JP,U)
【文献】
特開昭55−114498(JP,A)
【文献】
実開昭58−047392(JP,U)
【文献】
特開2010−120037(JP,A)
【文献】
特公昭46−004427(JP,B1)
【文献】
特開昭57−128900(JP,A)
【文献】
実開昭60−076137(JP,U)
【文献】
特開昭48−050957(JP,A)
【文献】
特開平11−107294(JP,A)
【文献】
特開2005−076330(JP,A)
【文献】
特開2000−237896(JP,A)
【文献】
実開昭56−137896(JP,U)
【文献】
特開2009−215751(JP,A)
【文献】
特開2001−303604(JP,A)
【文献】
特開2004−107875(JP,A)
【文献】
実開平04−097937(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/22〜 5/80
E02D 27/00〜 27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部構造物の基礎杭に用いられる杭頭構造であって、
杭頭部に取り付けられる補強鋼材と、前記補強鋼材の下方に設けられる裏当金とを備え、
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、杭頭部に設けられて、
前記補強鋼材は、前記補強鋼材の下面に前記裏当金が当接されて前記裏当金に載置された状態で、前記裏当金及び杭頭部の外側面に溶接されること
を特徴とする杭頭構造。
【請求項2】
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、帯状鋼板を巻き付けることによって、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1に記載の杭頭構造。
【請求項3】
前記裏当金は、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けられることによって、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項2に記載の杭頭構造。
【請求項4】
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、L形断面鋼を巻き付けることによって、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1に記載の杭頭構造。
【請求項5】
前記裏当金は、締め金具付きのL形断面鋼に設けられた締め金具で締め付けられることによって、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項4に記載の杭頭構造。
【請求項6】
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、鉄筋を巻き付けることによって、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1に記載の杭頭構造。
【請求項7】
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、複数に分割された分割裏当金が用いられて、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の杭頭構造。
【請求項8】
前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重ならないようにして、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の杭頭構造。
【請求項9】
前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重なるようにして、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の杭頭構造。
【請求項10】
前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部を、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けるようにして、杭頭部に設けられること
を特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の杭頭構造。
【請求項11】
前記補強鋼材は、上部構造物の補強鉄筋が取り付けられる鉄筋定着鋼板が用いられること を特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の杭頭構造。
【請求項12】
前記補強鋼材は、複数に分割された前記鉄筋定着鋼板が用いられること
を特徴とする請求項11に記載の杭頭構造。
【請求項13】
前記補強鋼材は、一体化された前記鉄筋定着鋼板が用いられること
を特徴とする請求項11に記載の杭頭構造。
【請求項14】
上部構造物の基礎杭に用いられる杭頭構造の構築方法であって、
杭頭部の外周を取り囲むようにして、杭頭部に裏当金を設ける第1工程と、
前記裏当金に補強鋼材の端部を載置した状態で、前記補強鋼材の端部を溶接によって杭頭部の外側面に取り付ける第2工程とを備えること
を特徴とする杭頭構造の構築方法。
【請求項15】
前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、帯状鋼板を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項16】
前記第1工程では、締め金具付きの前記帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項15に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項17】
前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、L形断面鋼を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項18】
前記第1工程では、締め金具付きの前記L形断面鋼に設けられた締め金具で締め付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項17に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項19】
前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、鉄筋を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項20】
前記第1工程では、複数に分割された分割裏当金を用いて、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14〜19の何れか1項に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項21】
前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重ならないようにして、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項22】
前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重なるようにして、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項23】
前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部を、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けるようにして、杭頭部に前記裏当金を設けること
を特徴とする請求項14〜20の何れか1項に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項24】
前記第2工程では、上部構造物の補強鉄筋が取り付けられる鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いること
を特徴とする請求項14〜23の何れか1項に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項25】
前記第2工程では、複数に分割された前記鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いること
を特徴とする請求項24に記載の杭頭構造の構築方法。
【請求項26】
前記第2工程では、一体化された前記鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いること
を特徴とする請求項24に記載の杭頭構造の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、港湾鋼構造物等の水域構造物、擁壁、土留壁、フーチング等の陸域構造物等を上部構造物として、これらの上部構造物の基礎杭に用いられる杭頭構造及び杭頭構造の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基礎杭に設けられる杭頭補強筋と、上部構造物に設けられる基礎梁主筋との干渉を回避することを目的として、特許文献1に開示される杭頭補強構造が提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された杭頭補強構造は、鋼板からなる杭天板を杭頭部に有する杭の杭頭部に、基礎梁主筋と交差した状態で多数の杭頭補強筋が配筋されるものである。特許文献1に開示された杭頭補強構造は、鋼製のリングプレートが杭天板の上面に溶接され、リングプレートの上面に多数の杭頭補強筋の下端が溶接される。ここで、多数の杭頭補強筋は、基礎梁主筋と干渉しないように配筋されて、杭頭部の外形輪郭に沿った仮想の正八角形状に配列される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−144355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された杭頭補強構造は、杭頭部に杭天板とリングプレートとを備えるものであり、リングプレートの上面に多数の杭頭補強筋の下端が溶接されるため、杭頭部の構造が複雑なものとなることから、杭頭部の構築に必要となる施工コストが増大するという問題点があった。
【0006】
また、特許文献1に開示された杭頭補強構造は、リングプレートの上面に溶接された多数の杭頭補強筋が上部構造物の内部に設けられるものであり、杭頭部そのものが上部構造物の内部まで延びて設けられるものでないことから、基礎杭と上部構造物とを強固に接合させることが困難なものとなるという問題点があった。
【0007】
さらに、従来の杭頭補強構造90は、
図21に示すように、上部構造物97の内部まで基礎杭の杭頭部91が延びて設けられ、基礎梁主筋95が溶接された鋼板92を基礎杭の杭頭部91に溶接させた場合に、特に、鋼板92の端部96で不完全溶け込み溶接に近い状態となり、この溶接部分93が隅肉溶接と同等の強度しか発揮することができないものとなる。また、従来の杭頭補強構造90は、鋼板92の裏側94が海水面に近接していることから、鋼板92の裏側94から溶接することも困難であり、鋼板92の端部96で十分な溶接強度を得ることができないものとなる。
【0008】
このとき、従来の杭頭補強構造90は、上部構造物97の荷重等で基礎梁主筋95から作用する引張力によって、鋼板92の端部96が基礎杭の杭頭部91から脱離されることになり、基礎杭の杭頭部91と上部構造物97との接合強度が不十分なものとなるため、上部構造物97が倒壊するおそれがあるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、補強鋼材と基礎杭の杭頭部の外側面及び裏当金とを溶込溶接によって溶け込ませて一体化させ、補強鋼材と基礎杭の杭頭部とを十分な溶接強度で接合させることが可能となる杭頭構造及び杭頭構造の構築方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1発明の杭頭構造は、上部構造物の基礎杭に用いられる杭頭構造であって、杭頭部に取り付けられる補強鋼材と、前記補強鋼材の下方に設けられる裏当金とを備え、
前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、杭頭部に設けられて、前記補強鋼材は、前記補強鋼材の下面に前記裏当金が当接され
て前記裏当金に載置された状態で、前記裏当金及び杭頭部の外側面に溶接されることを特徴とする。
【0012】
第
2発明の杭頭構造は、第1発
明において、前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、帯状鋼板を巻き付けることによって、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0013】
第
3発明の杭頭構造は、第
2発明において、前記裏当金は、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けられることによって、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0014】
第
4発明の杭頭構造は、第1発
明において、前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、L形断面鋼を巻き付けることによって、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0015】
第
5発明の杭頭構造は、第
4発明において、前記裏当金は、締め金具付きのL形断面鋼に設けられた締め金具で締め付けられることによって、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0016】
第
6発明の杭頭構造は、第1発
明において、前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、鉄筋を巻き付けることによって、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0017】
第
7発明の杭頭構造は、第1発明〜第
6発明の何れかにおいて、前記裏当金は、杭頭部の外周を取り囲むようにして、複数に分割された分割裏当金が用いられて、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0018】
第
8発明の杭頭構造は、第1発明〜第
7発明の何れかにおいて、前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重ならないようにして、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0019】
第
9発明の杭頭構造は、第1発明〜第
7発明の何れかにおいて、前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重なるようにして、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0020】
第1
0発明の杭頭構造は、第1発明〜第
7発明の何れかにおいて、前記裏当金は、基礎杭に形成された重防食層の上端部を
、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けるようにして、杭頭部に設けられることを特徴とする。
【0021】
第1
1発明の杭頭構造は、第1発明〜第1
0発明の何れかにおいて、前記補強鋼材は、上部構造物の補強鉄筋が取り付けられる鉄筋定着鋼板が用いられることを特徴とする。
【0022】
第1
2発明の杭頭構造は、第1
1発明において、前記補強鋼材は、複数に分割された前記鉄筋定着鋼板が用いられることを特徴とする。
【0023】
第1
3発明の杭頭構造は、第1
1発明において、前記補強鋼材は、一体化された前記鉄筋定着鋼板が用いられることを特徴とする。
【0024】
第1
4発明の杭頭構造の構築方法は、上部構造物の基礎杭に用いられる杭頭構造の構築方法であって、杭頭部の外周を取り囲むようにして、杭頭部に裏当金を設ける第1工程と、前記裏当金に補強鋼材の端部を載置し
た状態で、前記補強鋼材の端部を溶接によって杭頭部の外側面に取り付ける第2工程とを備えることを特徴とする。
【0025】
第1
5発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明において、前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、帯状鋼板を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0026】
第1
6発明の杭頭構造の構築方法は、第1
5発明において、前記第1工程では、締め金具付きの前記帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0027】
第1
7発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明において、前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、L形断面鋼を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0028】
第1
8発明の杭頭構造の構築方法は、第1
7発明において、前記第1工程では、締め金具付きの前記L形断面鋼に設けられた締め金具で締め付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0029】
第
19発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明において、前記第1工程では、杭頭部の外周を取り囲むようにして、鉄筋を巻き付けることによって、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0030】
第2
0発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明〜第
19発明の何れかにおいて、前記第1工程では、複数に分割された分割裏当金を用いて、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0031】
第2
1発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明〜第2
0発明の何れかにおいて、前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重ならないようにして、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0032】
第2
2発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明〜第2
0発明の何れかにおいて、前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部と重なるようにして、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0033】
第2
3発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明〜第2
0発明の何れかにおいて、前記第1工程では、基礎杭に形成された重防食層の上端部を
、締め金具付きの帯状鋼板に設けられた締め金具で締め付けるようにして、杭頭部に前記裏当金を設けることを特徴とする。
【0034】
第2
4発明の杭頭構造の構築方法は、第1
4発明〜第2
3発明の何れかにおいて、前記第2工程では、上部構造物の補強鉄筋が取り付けられる鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いることを特徴とする。
【0035】
第2
5発明の杭頭構造の構築方法は、第2
4発明において、前記第2工程では、複数に分割された前記鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いることを特徴とする。
【0036】
第26発明の杭頭構造の構築方法は、第2
4発明において、前記第2工程では、一体化された前記鉄筋定着鋼板を前記補強鋼材として用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
第1発明〜第1
1発明によれば、補強鋼材の下面に裏当金が当接された状態で、補強鋼材が基礎杭の杭頭部の外側面及び裏当金に溶接されるため、補強鋼材と基礎杭の杭頭部の外側面及び裏当金とが溶け込んで一体化されるものとなり、溶込溶接によって補強鋼材と基礎杭の杭頭部とを十分な溶接強度で接合させることが可能となる。
【0038】
第1発明〜第1
1発明によれば、補強鋼材に取り付けられた補強鉄筋から引張力が作用した場合であっても、補強鋼材が基礎杭の杭頭部から脱離することを防止することが可能となり、基礎杭と上部構造物との接合強度を十分なものとして、上部構造物が倒壊することを防止することが可能となる。
【0039】
第1発明〜第
7発明によれば、基礎杭の杭頭部の外周を取り囲むようにして設けられた裏当金に、補強鋼材の端部が載置されるため、基礎杭の杭頭部の外周で複数の補強鋼材の高さを容易に合わせることができ、複数の補強鋼材の取付作業を容易にすることが可能となる。
【0040】
特に、第
9発明、第1
0発明によれば、裏当金が重防食層の上端部と重なるようにして設けられるため、重防食層の上端部と基礎杭の杭頭部の外側面との隙間に、海水等が浸入することを防止することができ、海水等の浸入によって基礎杭が腐食することを防止することが可能となる。
【0041】
第1
4発明〜第2
6発明によれば、補強鋼材に取り付けられた補強鉄筋から引張力が作用した場合であっても、補強鋼材が基礎杭の杭頭部から脱離することを防止することが可能となり、基礎杭と上部構造物との接合強度を十分なものとして、上部構造物が倒壊することを防止することが可能となる。
【0042】
特に、第1
5発明〜第2
0発明によれば、基礎杭の杭頭部の外周を取り囲むようにして設けられた裏当金に、補強鋼材の端部が載置されるため、基礎杭の杭頭部の外周で複数の補強鋼材の高さを容易に合わせることができ、複数の補強鋼材の取付作業を容易にすることが可能となる。
【0043】
特に、第2
2発明、第2
3発明によれば、裏当金が重防食層の上端部と重なるようにして設けられるため、重防食層の上端部と基礎杭の杭頭部の外側面との隙間に、海水等が浸入することを防止することができ、海水等の浸入によって基礎杭が腐食することを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明を適用した杭頭構造が設けられた上部構造物を示す斜視図である。
【
図2】本発明を適用した杭頭構造を示す斜視図である。
【
図3】(a)は、本発明を適用した杭頭構造が用いられる基礎杭を示す正面図であり、(b)は、その平面図である。
【
図4】本発明を適用した杭頭構造の第1実施形態を示す平面図である。
【
図5】本発明を適用した杭頭構造の第1実施形態の変形例を示す平面図である。
【
図6】本発明を適用した杭頭構造の第1実施形態を示す断面図である。
【
図7】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の帯状鋼板を示す平面図であり、(b)は、ヒンジと締め金具とが設けられた帯状鋼板を示す平面図である。
【
図8】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の2分割された分割裏当金を示す平面図であり、(b)は、4分割された分割裏当金を示す平面図である。
【
図9】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の裏当金を示す拡大断面図であり、(b)は、その第1変形例を示す拡大断面図である。
【
図10】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の裏当金の第2変形例を示す拡大断面図であり、(b)は、その第3変形例を示す拡大断面図である。
【
図11】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の裏当金の第4変形例を示す拡大断面図であり、(b)は、その第5変形例を示す拡大断面図である。
【
図12】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の裏当金の第6変形例を示す拡大断面図であり、(b)は、その第7変形例を示す拡大断面図である。
【
図13】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の裏当金に鉄筋が用いられた態様を示す断面図であり、(b)は、その平面図である。
【
図14】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の構築方法における第1工程を説明する正面図であり、(b)は、その平面図である。
【
図15】(a)は、本発明を適用した杭頭構造の構築方法における第2工程を説明する正面図であり、(b)は、その平面図である。
【
図16】本発明を適用した杭頭構造の補強鋼材と裏当金及び基礎杭の杭頭部の外側面との溶接箇所を示す拡大断面図である。
【
図17】本発明を適用した杭頭構造の第1実施形態を示す正面図である。
【
図18】本発明を適用した杭頭構造の裏当金によって重防食層の上端部と基礎杭の杭頭部の外側面との隙間に海水等が浸入することを防止した状態を示す拡大断面図である。
【
図19】本発明を適用した杭頭構造の第2実施形態を示す平面図である。
【
図20】本発明を適用した杭頭構造の第2実施形態を示す正面図である。
【
図21】従来の杭頭補強構造を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明を適用した杭頭構造1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図1に示すように、主に、港湾鋼構造物等の水域構造物、擁壁、土留壁、フーチング等の陸域構造物等を上部構造物7として、これらの上部構造物7の基礎杭10となる鋼管杭等の杭頭部11に設けられるものである。
【0047】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図2に示すように、基礎杭10の杭頭部11に取り付けられる補強鋼材2と、補強鋼材2の下方に設けられる裏当金3とを備え、基礎杭10の杭頭部11が上部構造物7に埋め込まれることによって、基礎杭10と上部構造物7とが接合される。
【0048】
上部構造物7は、複数の補強鉄筋5が内部に配設された鉄筋コンクリート等を、現場打ちのコンクリート等で構築するものであり、複数の基礎杭10で下方から支持されるものである。上部構造物7は、現場打ちのコンクリート等で構築された鉄筋コンクリートの下面7aの近傍に、略水平方向に延びる複数の補強鉄筋5が設けられる。
【0049】
複数の補強鉄筋5は、略水平方向に延びる複数の補強鉄筋5の一部が略矩形状に切り欠かれる。このとき、複数の補強鉄筋5は、鉄筋コンクリート等の上部構造物7の下面7aの近傍で、基礎杭10の杭頭部11と干渉することのないように設けられて、上部構造物7に作用する引張力に対して、複数の補強鉄筋5で対抗するものとなる。
【0050】
基礎杭10は、断面略円形状の鋼管杭や、鋼管矢板等が用いられる。基礎杭10は、
図3(a)に示すように、下端部10aから中間部10bまで地盤80に打ち込まれ、地盤80から支持力を得るものとなる。基礎杭10は、下端部10a又は中間部10bから上端部10cまでの間に、上端部10cから所定の間隔を空けた状態で、重防食層12が形成される。
【0051】
重防食層12は、上部構造物7の下面7aから3cm〜5cm程度の高さで離間した位置で、基礎杭10の杭頭部11の外周を取り囲むようにして、上端部12aが形成される。重防食層12は、基礎杭10が海中81に設けられる範囲等で、
図3(b)に示すように、鋼管杭や鋼管矢板等の基礎杭10の外周が、エポキシ樹脂等で被覆されることによって形成される。
【0052】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図4に示すように、第1実施形態において、基礎杭10として鋼管杭が用いられ、補強鋼材2として4枚等の複数に分割された略平板状の鉄筋定着鋼板4が用いられる。本発明を適用した杭頭構造1は、第1実施形態において、これに限らず、
図5に示すように、補強鋼材2として一体化された略平板状の鉄筋定着鋼板4が変形例として用いられてもよい。
【0053】
鉄筋定着鋼板4は、
図4に示すように、杭頭部11の外側面11aに溶接で取り付けられる側端部41と、複数の補強鉄筋5が溶接で取り付けられる取付部42とを備える。4枚の鉄筋定着鋼板4は、基礎杭10の杭頭部11の外周を取り囲むようにして、略水平方向に並べて設けられる。
【0054】
鉄筋定着鋼板4は、杭頭部11の外側面11aに沿うように、側端部41が略円弧状に形成されるとともに、
図6に示すように、鉄筋定着鋼板4の下面4aから上面4bに向けて、拡径するように傾斜した開先面41aが側端部41に形成される。鉄筋定着鋼板4は、上面4bに複数の補強鉄筋5を並べて載置できるように、取付部42が略平板状に形成される。
【0055】
裏当金3は、
図7(a)に示すように、杭頭部11の外側面11aに沿うように、略円形状に形成された帯状鋼板30が用いられる。裏当金3は、これに限らず、如何なる材質のものが用いられてもよく、例えば、銅を材質とした帯状銅板が用いられてもよい。裏当金3は、杭頭部11の外側面11aに、溶接等で仮止めされて固定される。裏当金3は、
図7(b)に示すように、帯状鋼板30にヒンジ32が設けられて、締め金具33で固定されてもよい。なお、裏当金3は、これに限らず、図示しないL形断面鋼34にヒンジ32が設けられて、締め金具33で固定されてもよい。
【0056】
裏当金3は、例えば、
図8(a)に示すように、杭頭部11の外周を取り囲むようにして、2分割された分割裏当金31が杭頭部11に巻き付けられて、杭頭部11に設けられる。裏当金3は、これに限らず、如何なる数量によって複数に分割された分割裏当金31が杭頭部11に巻き付けられてもよく、例えば、
図8(b)に示すように、4分割された分割裏当金31が杭頭部11に巻き付けられて、杭頭部11に設けられてもよい。
【0057】
裏当金3は、
図9(a)に示すように、基礎杭10に形成された重防食層12の上端部12aと重なるようにして、帯状鋼板30が杭頭部11に設けられる。裏当金3は、帯状鋼板30が断面略矩形状に形成されて、重防食層12の上端部12aと重なる部分で、帯状鋼板30の中間部30bから下端部30aに向けて、拡径するように傾斜したテーパ部38が形成される。裏当金3は、
図9(b)に示すように、第1変形例において、
図7(b)に示す締め金具33で締め付けられることで、重防食層12の上端部12aをテーパ部38で押圧してもよい。
【0058】
裏当金3は、例えば、管軸直交方向Xの板厚tが0.6〜1.2cm程度で、管軸方向Yの高さhが1〜10cm程度の帯状鋼板30が用いられ、特に、管軸方向Yの高さhを5cm程度とすることが望ましい。これにより、裏当金3は、帯状鋼板30の形態安定性を向上させることができ、帯状鋼板30の運搬や、杭頭部11への設置を容易にすることが可能となる。
【0059】
裏当金3は、
図10(a)に示すように、第2変形例において、重防食層12の上端部12aと重ならないようにして、杭頭部11に設けられる。また、裏当金3は、
図10(b)に示すように、第3変形例において、重防食層12の上端部12aと重なるようにして、杭頭部11に設けられ、重防食層12の上端部12aと重なる部分で、帯状鋼板30の中間部30bから下端部30aにかけて、切欠部39が形成されてもよい。
【0060】
裏当金3は、
図11(a)に示すように、第4変形例において、重防食層12の上端部12aと重なるようにして、帯状鋼板30の上端部30cから下端部30aにかけて、テーパ部38や切欠部39を形成させることなく、帯状鋼板30を傾斜させて設けられる。また、裏当金3は、
図11(b)に示すように、第5変形例において、重防食層12の上端部12aと重なるようにして、帯状鋼板30の上端部30cから下端部30aにかけて、帯状鋼板30を湾曲させて設けられる。
【0061】
裏当金3は、
図12(a)に示すように、第6変形例において、重防食層12の上端部12aと重なるようにして、L形断面鋼34の上端部30cから下端部30aにかけて、テーパ部38や切欠部39を形成させることなく、L形断面鋼34を傾斜させて設けられる。また、裏当金3は、
図12(b)に示すように、第7変形例において、重防食層12の上端部12aと重なるようにして、L形断面鋼34の上端部30cから下端部30aにかけて、L形断面鋼34を湾曲させて設けられる。
【0062】
なお、裏当金3は、
図13(a)に示すように、断面略円形状に形成された鉄筋35が用いられ、重防食層12の上端部12aが締め付けられることで、鉄筋35が杭頭部11に設けられてもよい。このとき、裏当金3は、
図13(b)に示すように、鉄筋35が杭頭部11に巻き付けられることによって、杭頭部11に設けられる。裏当金3は、これに限らず、重防食層12の上端部12aと重ならないようにして、鉄筋35が杭頭部11に設けられてもよい。
【0063】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図4、
図6に示すように、4枚の略平板状の鉄筋定着鋼板4の側端部41が、杭頭部11の外周を取り囲むようにして、杭頭部11の外側面11aに取り付けられる。本発明を適用した杭頭構造1は、鉄筋定着鋼板4の下面4aが裏当金3の上面3aに当接された状態で、裏当金3の上面3a及び杭頭部11の外側面11aに、鉄筋定着鋼板4の側端部41が溶接によって取り付けられる。
【0064】
本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、第1実施形態において、基礎杭10の杭頭部11に裏当金3を設ける第1工程と、補強鋼材2の端部を溶接によって杭頭部11の外側面11a取り付ける第2工程とを備える。
【0065】
本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、第1工程において、
図14に示すように、杭頭部11の外周を取り囲むようにして、裏当金3となる帯状鋼板30を杭頭部11に巻き付けて、基礎杭10の杭頭部11に裏当金3を設けるものである。このとき、帯状鋼板30は、締め金具33付きのものが用いられて、重防食層12の上端部12aと重なるようにして設けられ、締め金具33で締め付けられてもよく、また、重防食層12の上端部12aと重ならないようにして設けられてもよい。なお、裏当金3は、これに限らず、締め金具33付きのL形断面鋼34や、鉄筋35等が用いられてもよい。
【0066】
本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、第2工程において、
図15に示すように、複数の補強鉄筋5が略水平方向に並べられて、鉄筋定着鋼板4の略平板状に形成された取付部42に、複数の補強鉄筋5の先端が溶接によって取り付けられる。このとき、鉄筋定着鋼板4は、基礎杭10の杭頭部11の外側面11aに、補強鋼材2の端部となる鉄筋定着鋼板4の側端部41が溶接によって取り付けられる。
【0067】
本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、詳述すると、第2工程において、
図16に示すように、第1工程で基礎杭10の杭頭部11に設けられた裏当金3の上面3aに、補強鋼材2の端部となる鉄筋定着鋼板4の側端部41を載置して、開先面41aを溶接することによって、基礎杭10の杭頭部11の外側面11a及び裏当金3の上面3aに、鉄筋定着鋼板4の側端部41を取り付けるものとなる。
【0068】
本発明を適用した杭頭構造1は、補強鋼材2として用いられる鉄筋定着鋼板4の下面4aに、裏当金3の上面3aが当接された状態で、鉄筋定着鋼板4の側端部41が開先面41aで溶接されるため、鉄筋定着鋼板4の側端部41と、基礎杭10の杭頭部11の外側面11a及び裏当金3の上面3aとが十分に溶け込んで一体化されるものとなる。
【0069】
このとき、本発明を適用した杭頭構造1は、補強鋼材2として用いられる鉄筋定着鋼板4の側端部41を基礎杭10の杭頭部11の外側面11aに溶込溶接させて、鉄筋定着鋼板4と基礎杭10の杭頭部11とを十分な溶接強度で接合させることができる。
【0070】
これにより、本発明を適用した杭頭構造1は、補強鋼材2として用いられる鉄筋定着鋼板4に取り付けられた複数の補強鉄筋5から引張力が作用した場合であっても、鉄筋定着鋼板4が基礎杭10の杭頭部11から脱離することを防止することが可能となる。
【0071】
本発明を適用した杭頭構造1は、上部構造物7の荷重等で複数の補強鉄筋5から引張力が作用した場合であっても、鉄筋定着鋼板4の側端部41が基礎杭10の杭頭部11の外側面11aから脱離することを防止して、基礎杭10と上部構造物7との接合強度を十分なものとすることができ、上部構造物7が倒壊することを防止することが可能となる。
【0072】
また、本発明を適用した杭頭構造1は、杭頭部11の外周を取り囲むようにして巻き付けられた裏当金3に、補強鋼材2として用いられる4枚の鉄筋定着鋼板4の側端部41が載置されるため、杭頭部11の外周で各々の鉄筋定着鋼板4の高さを容易に合わせることができ、補強鋼材2として用いられる4枚の鉄筋定着鋼板4の取付作業を容易にすることが可能となる。
【0073】
ここで、本発明を適用した杭頭構造1は、
図17に示すように、海面から所定の高さで離間させて上部構造物7が設けられ、上部構造物7の下面7aから3cm〜5cm程度の高さで離間した位置で、重防食層12の上端部12aが基礎杭10の杭頭部11に形成される。
【0074】
上部構造物7は、基礎杭10の杭頭部11を取り囲むようにして、現場打ちのコンクリート等で構築されるため、底型枠と基礎杭10との間の隙間処理が不適切に行われると、コンクリートが十分に充填されないものとなり、
図18に示すように、基礎杭10の杭頭部11の周囲で、コンクリートの被りが浅くなるおそれがある。このとき、上部構造物7は、重防食層12の上端部12aを上部構造物7の下面7aから3cm〜5cm程度の高さで離間させることができず、重防食層12の上端部12aが外部に露出するおそれがある。
【0075】
本発明を適用した杭頭構造1は、重防食層12の上端部12aが露出する場合であっても、裏当金3が重防食層12の上端部12aと重なるようにして設けられるため、重防食層12の上端部12aと基礎杭10の杭頭部11の外側面11aとの隙間が裏当金3で塞がれて、この隙間に海水等が浸入することを防止することができる。
【0076】
これにより、本発明を適用した杭頭構造1は、重防食層12の上端部12aと基礎杭10の杭頭部11の外側面11aとの隙間への海水等の浸入を防止することができ、さらに、裏当金3で重防食層12の上端部12aが締め付けられることで、この隙間への海水等の浸入を強固に防止することができ、海水等の浸入による基礎杭10の腐食を防止することが可能となる。
【0077】
次に、本発明を適用した杭頭構造1の第2実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0078】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図19に示すように、第2実施形態において、基礎杭10として鋼管矢板が用いられ、鋼管矢板の継手部13と干渉しないように、補強鋼材2として2枚の略平板状の鉄筋定着鋼板4が用いられる。
【0079】
裏当金3は、
図20に示すように、杭頭部11の外側面11aに沿うように、略円弧状に形成された帯状鋼板30や、帯状銅板、L形断面鋼34、鉄筋35等が用いられ、杭頭部11の外側面11aで、鋼管矢板の継手部13と干渉しないように、溶接等で仮止めされて固定される。
【0080】
裏当金3は、基礎杭10に形成された重防食層12の上端部12aと重なるようにして、帯状鋼板30や、帯状銅板、L形断面鋼34、鉄筋35等が杭頭部11に設けられ、さらに、これらの帯状鋼板30等で重防食層12の上端部12aが締め付けられてもよい。裏当金3は、これに限らず、重防食層12の上端部12aと重ならないようにして、帯状鋼板30等が杭頭部11に設けられてもよい。
【0081】
本発明を適用した杭頭構造1は、
図19、
図20に示すように、2枚の略平板状の鉄筋定着鋼板4の側端部41が、杭頭部11の外側面11aに取り付けられる。本発明を適用した杭頭構造1は、鉄筋定着鋼板4の下面4aが裏当金3の上面3aに当接された状態で、裏当金3の上面3a及び杭頭部11の外側面11aに、鉄筋定着鋼板4の側端部41が溶接によって取り付けられる。
【0082】
本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、第2実施形態においても、基礎杭10の杭頭部11に裏当金3を設ける第1工程と、補強鋼材2の端部を溶接によって杭頭部11の外側面11a取り付ける第2工程とを備える。本発明を適用した杭頭構造1の構築方法は、第2工程において、基礎杭10の杭頭部11に設けられた裏当金3の上面3aに、2枚の鉄筋定着鋼板4の側端部41を載置して、開先面41aを溶接することによって、基礎杭10の杭頭部11の外側面11a及び裏当金3の上面3aに、鉄筋定着鋼板4の側端部41が取り付けられる。
【0083】
本発明を適用した杭頭構造1は、鉄筋定着鋼板4の側端部41と、基礎杭10の杭頭部11の外側面11a及び裏当金3の上面3aとが十分に溶け込んで一体化されるものとなり、鉄筋定着鋼板4に取り付けられた複数の補強鉄筋5から引張力が作用した場合であっても、各々の鉄筋定着鋼板4が基礎杭10の杭頭部11から脱離することを防止することが可能となる。
【0084】
また、本発明を適用した杭頭構造1は、杭頭部11の外周を取り囲むようにして巻き付けられた裏当金3に、2枚の鉄筋定着鋼板4の側端部41が載置されるため、杭頭部11の外周で各々の鉄筋定着鋼板4の高さを容易に合わせることができ、2枚の鉄筋定着鋼板4の取付作業を容易にすることが可能となる。
【0085】
さらに、本発明を適用した杭頭構造1は、重防食層12の上端部12aが露出する場合であっても、裏当金3が重防食層12の上端部12aと重なるようにして設けられるため、重防食層12の上端部12aと基礎杭10の杭頭部11の外側面11aとの隙間に、海水等が浸入することを防止することができ、海水等の浸入によって基礎杭10が腐食することを防止することが可能となる。
【0086】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0087】
例えば、本発明を適用した杭頭構造1は、補強鋼材2として補強鉄筋5が用いられ、裏当金3の上面3aに補強鉄筋5の端部が直接に載置され、補強鉄筋5が裏当金3の上面3aに当接された状態で、裏当金3の上面3a及び杭頭部11の外側面11aに、補強鉄筋5の端部が溶接によって取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 :杭頭構造
10 :基礎杭
10a :下端部(基礎杭)
10b :中間部(基礎杭)
10c :上端部(基礎杭)
11 :杭頭部
11a :外側面
12 :重防食層
12a :上端部(重防食層)
13 :継手部
2 :補強鋼材
3 :裏当金
3a :上面(裏当金)
30 :帯状鋼板
30a :下端部
30b :中間部
30c :上端部
31 :分割裏当金
32 :ヒンジ
33 :締め金具
34 :L形断面鋼
35 :鉄筋
38 :テーパ部
39 :切欠部
4 :鉄筋定着鋼板
4a :下面(鉄筋定着鋼板)
4b :上面(鉄筋定着鋼板)
41 :側端部
41a :開先面
42 :取付部
5 :補強鉄筋
7 :上部構造物
7a :下面(上部構造物)
80 :地盤
81 :海中
X :管軸直交方向
Y :管軸方向