(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された画像情報について、当該画像情報が取り得る最大階調値に対しては階調補正に対応した閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を第1の出力値として出力し、他の階調値に対しては当該閾値との比較を行うことで決定される第2の出力値に変換して出力する変換部と、
前記変換部により出力された前記第1の出力値に対しては補正を行うが、前記第2の出力値は変更しない補正部と、
を備えることで入力された前記画像情報にハーフトーン処理を施すとともに前記階調補正を施し出力する画像処理装置。
前記ディザマスクパターン作成部は、元となるディザマスクの閾値と前記階調補正の程度を表す階調補正情報とに基づいて、当該階調補正に対応した前記閾値を算出することで前記ディザマスクのパターンを作成することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
前記マスクパターン作成部は、入力された画像情報の最大階調値を階調補正したときの階調値を比較値とし、当該比較値と元となるディザマスクの閾値との比較を行うことにより決定される閾値を算出することで前記マスクのパターンを作成することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
前記補正部は、前記変換部により出力された前記第1の出力値を、前記変換部において前記画像情報が取り得る最大値に対して前記閾値との比較を行ったときに出力される第2の出力値に補正することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<画像形成装置の全体構成の説明>
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概要を示す図である。
この画像形成装置1は、例えば電子写真方式にて各色成分トナー像が形成される複数(本実施の形態では4つ)の画像形成ユニット10(具体的には10Y(イエロー)、10M(マゼンタ)、10C(シアン)、10K(黒))を備える。また、この画像形成装置1は、各画像形成ユニット10で形成された各色成分トナー像を順次転写(一次転写)保持させる中間転写ベルト20を具備する。さらに、この画像形成装置1は、中間転写ベルト20に転写されたトナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写装置30を備える。さらにまた、この画像形成装置1は、二次転写されたトナー像を用紙P上に定着させる定着装置50、および画像形成装置1の各機構部を制御する制御部70を有している。
本実施の形態では、画像形成ユニット10、中間転写ベルト20、二次転写装置30、および定着装置50により画像を形成する画像形成手段が構成される。
【0010】
各画像形成ユニット10(10Y、10M、10C、10K)は、使用されるトナーの色を除き、同じ構成を有している。そこで、イエローの画像形成ユニット10Yを例に説明を行う。イエローの画像形成ユニット10Yは、図示しない感光層を有し、矢印A方向に回転可能に配設され、像を保持する感光体ドラム11を具備している。この感光体ドラム11の周囲には、帯電ロール12、露光部13、現像器14、一次転写ロール15、およびドラムクリーナ16が配設される。
【0011】
このうち、帯電ロール12は、感光体ドラム11に接触配置される回転体である。そして図示しない帯電電源に接続され、この帯電電源は、帯電ロール12に対し予め定められた周波数の交流帯電バイアスを重畳した正極性または負極性の直流帯電バイアスを供給する。
また露光部13は、帯電ロール12によって帯電された感光体ドラム11に、レーザ光Bmによって静電潜像を書き込む。現像器14は、対応する色成分トナー(イエローの画像形成ユニット10Yではイエローのトナー)を収容し、このトナーによって感光体ドラム11上の静電潜像を現像する。一次転写ロール15は、感光体ドラム11上に形成されたトナー像を中間転写ベルト20に一次転写する。ドラムクリーナ16は、一次転写後の感光体ドラム11上の残留物(トナー等)を除去する。
【0012】
中間転写ベルト20は、複数(本実施の形態では5つ)の支持ロールに回転可能に張架支持される。これらの支持ロールのうち、駆動ロール21は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20を駆動して矢印B方向に回転させる。また、張架ロール22および張架ロール25は、中間転写ベルト20を張架するとともに駆動ロール21によって駆動される中間転写ベルト20に従がって回転する。補正ロール23は、中間転写ベルト20を張架するとともに中間転写ベルト20の搬送方向に直交する方向の蛇行を規制するステアリングロール(軸方向一端部を支点として傾動自在に配設される)として機能する。さらに、バックアップロール24は、中間転写ベルト20を張架するとともに二次転写装置30の構成部材として機能する。
また、中間転写ベルト20を挟んで駆動ロール21と対向する部位には、二次転写後の中間転写ベルト20上の残留物(トナー等)を除去するベルトクリーナ26が配設されている。
【0013】
二次転写装置30は、中間転写ベルト20のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール31と、中間転写ベルト20の裏面側に配置されて二次転写ロール31の対向電極をなすバックアップロール24とを備えている。このバックアップロール24には、トナーの帯電極性と同極性の二次転写バイアスを印加する給電ロール32が接触して配置されている。一方、二次転写ロール31は接地されている。
【0014】
また、用紙搬送系は、用紙トレイ40、搬送ロール41、レジストレーションロール42、搬送ベルト43、および排出ロール44を備える。用紙搬送系では、用紙トレイ40に積載された用紙Pを搬送ロール41にて搬送した後、レジストレーションロール42で一旦停止させ、その後予め定められたタイミングで二次転写装置30の二次転写位置へと送り込む。また、二次転写後の用紙Pを、搬送ベルト43を介して定着装置50へと搬送し、定着装置50から排出された用紙Pを排出ロール44によって機外へと送り出す。
【0015】
次に、この画像形成装置1の基本的な作像プロセスについて説明する。今、図示外のスタートスイッチがオン操作されると、予め定められた作像プロセスが実行される。具体的に述べると、例えばこの画像形成装置1をプリンタとして構成する場合には、PC(パーソナルコンピュータ)等、外部から入力されるデジタル画像信号をメモリに一時的に蓄積する。そして、メモリに蓄積されている4色(Y色、M色、C色、K色)のデジタル画像信号に基づいて各色のトナー像形成を行う。すなわち、各色のデジタル画像信号に応じて各画像形成ユニット10(具体的には10Y、10M、10C、10K)をそれぞれ駆動する。次に、各画像形成ユニット10では、帯電ロール12により帯電された感光体ドラム11に、露光部13によりデジタル画像信号に応じたレーザ光Bmを照射することで、静電潜像を形成する。そして、感光体ドラム11に形成された静電潜像を現像器14により現像し、各色のトナー像を形成させる。なお、この画像形成装置1を複写機として構成する場合には、図示しない原稿台にセットされる原稿をスキャナで読み取り、得られた読み取り信号を処理回路によりデジタル画像信号に変換した後、上記と同様にして各色のトナー像の形成を行うようにすればよい。
【0016】
その後、各感光体ドラム11上に形成されたトナー像は、感光体ドラム11と中間転写ベルト20とが接する一次転写位置で、一次転写ロール15によって中間転写ベルト20の表面に順次一次転写される。一方、一次転写後に感光体ドラム11上に残存するトナーは、ドラムクリーナ16によってクリーニングされる。
【0017】
このようにして中間転写ベルト20に一次転写されたトナー像は中間転写ベルト20上で重ね合わされ、中間転写ベルト20の回転に伴って二次転写位置へと搬送される。一方、用紙Pは予め定められたタイミングで二次転写位置へと搬送され、バックアップロール24に対して二次転写ロール31が用紙Pを挟持する。
【0018】
そして、二次転写位置において、二次転写ロール31とバックアップロール24との間に形成される転写電界の作用で、中間転写ベルト20上に保持されたトナー像が用紙Pに二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは、搬送ベルト43により定着装置50へと搬送される。定着装置50では、用紙P上のトナー像が加熱・加圧定着され、その後、機外に設けられた排紙トレイ(図示せず)に送り出される。一方、二次転写後に中間転写ベルト20に残存するトナーは、ベルトクリーナ26によってクリーニングされる。
【0019】
<信号処理系の説明>
図2は、画像形成装置1の制御部70における信号処理系を示すブロック図である。
なお
図2では、制御部70における信号処理系のみならず、画像形成装置1の外部装置であるPC(Personal Computer)および信号処理系により処理された画像信号に基づき、画像の形成を行なうマーキングエンジンについても併せて図示している。このマーキングエンジンは、例えば、
図1で説明した画像形成装置1において実際に画像を形成する画像形成手段に対応する。なお、この例では、画像形成装置1をプリンタとして構成する例を示している。以下、
図2を参照しつつ画像信号の処理の流れについて説明を行なう。
【0020】
制御部70は、本実施の形態では、画像処理装置(画像処理手段)として機能する。制御部70は、印刷データを受け取りページ記述言語(PDL:Page Description Language)に変換するPDL生成部71と、PDL生成部71により生成されたPDLからラスタイメージを作成するラスタライズ(rasterize)部72と、RGBデータをYMCKデータに変換する色変換処理部73と、色変換処理部73により変換されたラスタイメージの調整を行なうラスタイメージ調整部74と、ハーフトーン処理を行なうハーフトーン処理部75とを備える。
【0021】
本実施の形態では、まずPDL生成部71がPCから印刷データを受け取る。この画像データは、PCを使用するユーザが、画像形成装置1により印刷したい画像データ(画像情報)である。画像データを受け取ったPDL生成部71は、これをPDLで記述されたコードデータに変換して出力する。
【0022】
ラスタライズ部72は、PDL生成部71から出力されてくるPDLで記述されたコードデータを各画素毎のラスタデータに変換し、ラスタイメージとする。そして、ラスタライズ部72は、変換後のラスタデータをRGB(Red、Green、Blue)のビデオデータ(RGBビデオデータ)として出力する。このとき、ラスタライズ部72は、1ページ毎にRGBデータを出力することになる。
【0023】
色変換処理部73は、ラスタライズ部72から入力されるRGBデータをデバイスインディペンデントな[XYZ]、[L
*a
*b
*]、[L
*u
*v
*]等のカラーバリューに変換した後、画像形成装置1の再現色(イエロー、マゼンタ、シアン、黒)であるYMCKデータに変換して出力する。このYMCKデータは、色毎に分離されたY色データ、M色データ、C色データ、K色データで構成される。
【0024】
ラスタイメージ調整部74は、色変換処理部73から入力されるYMCKデータに対し、γ変換、精細度処理、中間調処理等を施すことで、より良好な画質を画像形成装置1で得られるように各種の調整を行なう。
【0025】
ハーフトーン処理部75は、詳しくは後述するが、主走査方向および副走査方向に予め定められた閾値配列を有するディザマスクを使用したディザマスク処理により、画像情報にハーフトーン処理を行なう。これにより画像データは、例えば、多値で表されるものから二値で表されるものとなる。なお本実施の形態では、ハーフトーン処理部75は、入力された画像データにハーフトーン処理を施すだけでなく、階調補正を施し出力する機能を有する。ハーフトーン処理部75には、入力された画像データに階調補正を施すために必要な階調補正データが入力される。
【0026】
次に本実施の形態のハーフトーン処理部75の構成についてさらに詳しく説明を行う。
【0027】
<ハーフトーン処理部の説明>
図3は、本実施の形態のハーフトーン処理部75について説明した図である。
図示したようにハーフトーン処理部75は、ディザマスク処理により入力された画像データ(入力画像データ)を変換する変換部751と、マスク処理を行うことで変換部751により変換された画像データに対し補正を行う補正部752と、変換部751で行うディザマスク処理で用いるディザマスクのパターンを作成するディザマスクパターン作成部753と、ディザマスクのパターンを作成するために必要となる元となるディザマスクのパターンを保持するディザマスクパターン保持部754と、補正部752で行うマスク処理で用いるマスクのパターンを作成するマスクパターン作成部755と、階調補正を行うための階調補正データを取得する階調補正データ取得部756とを備える。
【0028】
変換部751は、入力画像データを上述したようにディザマスクを用いたディザマスク処理により変換を行う。この変換は、ディザマスクを用いてハーフトーン処理を行うものである。
また変換部751は、入力画像データについて、画像データが取り得る最大階調値(Y色データ、M色データ、C色データ、K色データのそれぞれについて最も濃い色を出力する画像データ)に対してはディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を出力する。本実施の形態では、この場合出力される出力値を、「第1の出力値」と言うことにする。ハーフトーン処理部75から最終的に出力される画像データ(出力画像データ)が二値画像データであったときは、この値は、「1」となる。
一方、画像データが最大階調値以外の他の階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行なうことで決定される出力値を出力する。本実施の形態では、この場合出力される出力値を、「第2の出力値」と言うことにする。このとき出力画像データが二値画像データであったときは、入力画像データが閾値以上であれば、「1」が出力され、それ以外であれば、「0」が出力される。
【0029】
補正部752は、変換部751から出力された出力値に対し補正を行う。実際には、補正部752は、マスクを用いたマスク処理を行うことで補正を行う。このとき補正部752は、変換部751により出力された第1の出力値に対しては補正を行うが、第2の出力値は変更しない。そして詳しくは後述するが、補正部752は、変換部751により出力された第1の出力値を、変換部751において画像データが取り得る最大値に対してディザマスクの閾値との比較を行ったときに出力される第2の出力値に補正する。
【0030】
ディザマスクパターン作成部753は、変換部751で用いるディザマスクのパターンを作成する。詳しくは後述するが、このディザマスクのパターンは、ハーフトーン処理を行うだけでなく、階調補正を行うように構成されたものとなる。
【0031】
ディザマスクパターン保持部754は、ディザマスクパターン作成部753でディザマスクのパターンを作成するために必要となる元となるディザマスクのパターンを保持する。詳しくは後述するが、この元となるディザマスクのパターンは、階調補正を考慮しないで構成されたものである。そして、ディザマスクパターン作成部753は、この元となるディザマスクのパターンから、閾値を予め定められた規則により変更する。これによりディザマスクのパターンは、ハーフトーン処理を行うとともに階調補正も行うことができるものとなる。
【0032】
マスクパターン作成部755は、詳しくは後述するが、補正部752で用いるマスクのパターンを作成する。
【0033】
階調補正データ取得部756は、階調補正を行う程度を表す階調補正データ(階調補正情報)を取得する。具体的には、階調補正データは、0〜1の値を採り、階調補正を行わないときに対して濃度再現を行いたい割合を示す。例えば、階調補正を行わないときは、階調補正データは、1であり、70%の濃度再現を行いたい場合は、0.7となる。この階調補正データは、ユーザが入力してもよく、予め定められた規定値を使用してもよい。
【0034】
本実施の形態では、出力画像データは、全ての入力画像データに対し、変換部751でディザマスクの閾値との比較を行ない、この比較結果により出力値を決定した場合と、最終的な出力値は、同じとなる。ただし、本実施の形態のように変換部751と補正部752とによる2段階の処理を行った方が、全体の処理としては、より軽い処理となり、ハーフトーン処理部75は、より高速に処理を行うことができる。
以下、ハーフトーン処理部75の動作について具体例を用いてさらに詳しく説明を行う。
【0035】
<ハーフトーン処理部の動作の説明>
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。
ハーフトーン処理部75に入力される入力画像データは、実際には、階調値として0〜255の整数値を採る8bitのものが使用されることが多い。ただし以下の説明では、説明を簡単にするため、ハーフトーン処理部75に入力される入力画像データは、階調値として0〜63の整数値を採る6bitのものであるとする。また第1の実施の形態では、ハーフトーン処理部75から最終的に出力される出力画像データの出力値は、1bitであり、「0」または「1」の二値の何れかを採る。
【0036】
図4は、第1の実施の形態におけるハーフトーン処理部75の動作を説明したフローチャートである。
以下、
図3および
図4を使用してハーフトーン処理部75の動作を説明する。
【0037】
まず階調補正データ取得部756が階調補正データを取得する(ステップ101)。本実施の形態では、階調補正データ取得部756は、階調補正データとして「0.7」を取得したとする。
【0038】
次にディザマスクパターン作成部753が、ディザマスクパターン保持部754から元となるディザマスクのパターンを取得する(ステップ102)。
【0039】
図5は、本実施の形態において、ディザマスクパターン保持部754に保持されているディザマスクのパターンの一例を示した図である。
図示するようにこのディザマスクは、8行×8列の閾値パターンを有するパターンを有する。このパターンでは、閾値として1〜62の整数がそれぞれ1つずつと、閾値として63の整数が2つランダムに配列したものとなっている。
【0040】
次にディザマスクパターン作成部753が、階調補正データ取得部756が取得した階調補正データとディザマスクパターン保持部754から取得した
図5に例示されるディザマスクのパターンとから、変換部751で用いるディザマスクのパターンを作成する(ステップ103)。
【0041】
ここでは、
図5のディザマスクのパターンの各閾値を生成前閾値とし、ディザマスクパターン作成部753が作成するディザマスクのパターンの各閾値を生成後閾値とする。
このとき生成後閾値は、生成前閾値と階調補正データとから、次の(1)式により、算出することができる。
【0042】
(生成後閾値)=(生成前閾値)/(階調補正データ) …(1)
【0043】
図6は、本実施の形態において、ディザマスクパターン作成部753が生成したディザマスクのパターンの一例を示した図である。
なおこの場合、(1)式における階調補正データは、0.7であり、(1)式により算出された生成後閾値は、小数点以下を四捨五入した値が採用される。
このように閾値を変更することで、この閾値は、階調補正に対応したものとなり、ハーフトーン処理のみでなく、階調補正も行うことができるディザマスクのパターンの作成が行われる。
ここでディザマスクパターン作成部753は、元となるディザマスクの閾値と階調補正データとに基づいて、階調補正に対応した生成後閾値を算出することでディザマスクのパターンを作成すると言うこともできる。
【0044】
図4に戻り、マスクパターン作成部755が、補正部752で用いるマスクのパターンを作成する(ステップ104)。
図7は、本実施の形態において、マスクパターン作成部755が作成したマスクのパターンの一例を示した図である。
図示するようにこのマスクは、8行×8列の閾値パターンを有し、それぞれの閾値が、「0」または「1」からなるパターンを有する。
【0045】
このマスクは、階調補正データ取得部756が取得した階調補正データとディザマスクパターン保持部754から取得した
図5に例示されるディザマスクのパターンから作成することができる。
具体的には、まず次の(2)式により比較値を算出する。
【0046】
(比較値)=63×(階調補正データ) …(2)
【0047】
なおこここでも、(2)式における階調補正データは、0.7である。
そして
図5のディザマスクのパターンの各閾値である生成前閾値と比較値を比較し、次の関係により、マスクのパターンの各閾値である生成後閾値を導出する。
【0048】
(生成前閾値)>(比較値)ならば、(生成後閾値)=0
その他の場合は、(生成後閾値)=1
【0049】
これにより
図7で示すマスクのパターンを算出することができる。
ここでマスクパターン作成部755は、入力画像データの最大階調値を階調補正したときの階調値を比較値とし、この比較値と元となるディザマスクの閾値との比較を行うことにより決定される閾値を算出することでマスクのパターンを作成すると言うこともできる。
【0050】
以上のようにしてディザマスクのパターンとマスクのパターンが生成した後、入力画像データの処理を行う。
つまりまず変換部751が、
図6に例示されるディザマスクを用いて、入力画像データのハーフトーン処理を行う(ステップ105)。
ここで上述のように、変換部751は、入力画像データについて、入力画像データが取り得る最大階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を第1の出力値として出力する。この場合、第1の出力値として、「1」が出力される。
さらに入力画像データが最大階調値以外の他の階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行なうことで決定される第2の出力値を出力する。このとき入力画像データが閾値以上であれば、第2の出力値として、「1」が出力され、それ以外であれば、「0」が出力される。
【0051】
そして補正部752が、
図7に例示されるマスクを用いたマスク処理を行い、ハーフトーン処理後の画像データに対し補正を行う(ステップ106)。このとき行うマスク処理は、変換部751の出力値が「1」かつマスクの閾値が「1」であれば、「1」を出力し、その他の場合は、「0」を出力する。
そして
図7のマスクを使用し、ステップ106で示した規則によりマスク処理することで、変換部751により出力された第1の出力値に対しては補正を行うが、第2の出力値に対しては変更しないようにすることができる。即ち、第2の出力値にマスク処理を行ったとしても、第2の出力値の値は変化することはない。本実施の形態では、マスクパターンの生成の仕方に特徴があり、その結果、第2の出力値に対してマスク処理しても値が変わらない。
一方、このマスクは、変換部751により出力された第1の出力値を、変換部751において入力画像データが取り得る最大階調値に対してディザマスクの閾値との比較を行ったときに出力される第2の出力値に補正するようにすることができる。
【0052】
さらに具体的に説明すると、第1の出力値は、「1」の場合しかないが、このときマスクの閾値が「0」のときは第1の出力値を「0」に変更し、マスクの閾値が「1」のときは出力値として「1」を出力する。
第2の出力値が「0」のときは、マスクの閾値が「0」または「1」の可能性があるが、どちらであっても出力値は「0」になる。
第2の出力値が「1」のときは、マスクの閾値は「1」のみになり、出力値は「1」となる。
結果的に、上記マスクを使用したマスク処理をしても第2の出力値の値は変わらないことになる。
【0053】
図8(a)〜(f)は、本実施の形態において、変換部751により変換され、補正部752により補正される画像データの変化について説明した図である。
ここで
図8(a)〜(c)は、入力画像データが、全て63だった場合を示している。つまり入力画像データは、全て最大階調値を採る。さらに
図8(d)〜(f)は、入力画像データが、最大階調値以外の他の階調値として全て32だった場合を示している。
【0054】
図8(a)に図示するように入力画像データが、全て63だった場合は、変換部751では、ディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大階調値を第1の出力値として出力する。この場合、
図8(b)に示すように変換部751による変換後の画像データは、全て「1」となる。さらに補正部752によりマスク処理した後の画像データは、
図8(c)に示すものとなる。
【0055】
一方、
図8(d)に図示するように入力画像データが、全て32だった場合は、変換部751によって、ディザマスクの閾値との比較を行ない、第2の出力値として出力する。この場合、変換後の画像データは、
図8(e)に示すものとなる。さらに補正部752によりマスク処理した後の画像データは、
図8(f)に示すものとなる。ここで
図8(e)と
図8(f)とを比較すると同じものであることがわかる。つまり補正部752は、変換部751により出力された第2の出力値に対しては値を変更しない。
【0056】
なお入力画像データが、全て63だった場合に、ディザマスクの閾値との比較を行なったときに出力される画像データは、
図8(c)と同様となる。つまり補正部752は、変換部751により出力された第1の出力値に対して補正を行う。そして補正部752は、変換部751でディザマスクの閾値との比較を行ったときに出力される第2の出力値に補正する。
【0057】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態について説明する。
第1の実施の形態では、ハーフトーン処理部75から最終的に出力される出力画像データは、二値画像データであった。即ち、出力値は、1bitであり、「0」か「1」の何れかを採るものであった。しかし第2の実施の形態では、出力画像データは、四値画像データである。つまり出力値は、2bitであり、「0」、「1」、「2」、「3」の値の何れかを採る。
【0058】
第2の実施の形態におけるハーフトーン処理部75の動作は、
図4に示すフローチャートと同様のものとなる。
以下、第2の実施の形態におけるハーフトーン処理部75の動作を、
図3および
図4を使用しつつ、第1の実施の形態と相違する箇所を中心に説明を行う。
【0059】
図9は、本実施の形態において、ディザマスクパターン保持部754に保持されているディザマスクのパターンの一例を示した図である。
図4では、ステップ102に対応する。
図示するようにこのディザマスクは、8行×8列の閾値パターンを有するパターンを有する。ただしこの閾値はそれぞれ3つずつ用意されており、3つの閾値は、異なる値を採る。
【0060】
また
図10は、ディザマスクパターン作成部753が生成したディザマスクのパターンの一例を示した図である。
図4では、ステップ103に対応する。
なおこの場合も階調補正データは、0.7とし、上記(1)式を使用して生成後閾値を算出することでディザマスクのパターンを生成することができる。
【0061】
さらに
図11は、本実施の形態において、マスクパターン作成部755が作成したマスクのパターンの一例を示した図である。
図4では、ステップ104に対応する。
図示するようにこのマスクは、8行×8列の閾値パターンを有し、それぞれの閾値が、「0」、「1」、「2」、「3」の何れかの値からなるパターンを有する。
このマスクは、第1の実施の形態と同様に、上記(2)式を使用し比較値を算出する。そして階調補正データ取得部756が取得した階調補正データ(この場合、0.7)と
図9に例示されるディザマスクのパターンから作成することができる。このとき
図9の3つの生成前閾値が「a」、「b」、「c」であったとすると、生成後閾値は次のようになる。
【0062】
(比較値)<a ならば、(生成後閾値)=0
a≦(比較値)<b ならば、(生成後閾値)=1
b≦(比較値)<c ならば、(生成後閾値)=2
c≦(比較値) ならば、(生成後閾値)=3
【0063】
またステップ105で、入力画像データのハーフトーン処理を行う際には、次のようにする。
【0064】
変換部751は、入力画像データについて、入力画像データが取り得る最大階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を第1の出力値として出力する。この場合、第1の出力値として、「3」が出力される。
【0065】
また入力画像データについて、入力画像データが最大階調値以外の他の階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行なうことで決定される第2の出力値を出力する。このとき入力画像データとそれぞれ3つずつ用意された閾値との比較が行われる。このとき3つの閾値が「a」、「b」、「c」であったとすると、出力値は次のようになる。
【0066】
(入力画像データ)<a ならば、「0」を出力
a≦(入力画像データ)<b ならば、「1」を出力
b≦(入力画像データ)<c ならば、「2」を出力
c≦(入力画像データ) ならば、「3」を出力
【0067】
本実施の形態において、ステップ106で、マスク処理を行う際の方法は、第1の実施の形態と異なる方法となる。即ち、変換部751の出力値が、「3」の場合は、マスクの閾値をそのまま出力し、その他の場合は、変換部751の出力値をそのまま出力する。
【0068】
図12(a)〜(f)は、本実施の形態において、変換部751により変換され、補正部752により補正される画像データの変化について説明した図である。
ここで
図12(a)〜(c)は、入力画像データの階調値が、全て最大階調値である63だった場合を示している。さらに
図12(d)〜(f)は、入力画像データの階調値が、最大階調値以外の他の階調値として全て32だった場合を示している。
【0069】
図12(a)に図示するように入力画像データが、全て63だった場合は、変換部751によって、ディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大階調値を第1の出力値として出力する。この場合、
図12(b)に示すように変換部751による変換後の画像データは、全て「3」となる。さらに補正部752によりマスク処理した後の画像データは、
図12(c)に示すものとなる。
【0070】
一方、
図12(d)に図示するように入力される画像データが、全て32だった場合は、変換部751によって、ディザマスクの閾値との比較を行ない、第2の出力値として出力する。この場合、変換後の画像データは、
図12(e)に示すものとなる。さらに補正部752によりマスク処理した後の画像データは、
図12(f)に示すものとなる。ここで
図12(e)と
図12(f)とを比較すると同じものであることがわかる。つまり補正部752は、変換部751により出力された第2の出力値は変更しない。
【0071】
さらに入力画像データが、全て63だった場合に、ディザマスクの閾値との比較を行なったとしたときに出力される画像データは、
図12(c)と同様のものとなる。つまり補正部752は、変換部751により出力された第1の出力値に対して補正を行うとともに、変換部751でディザマスクの閾値との比較を行ったときに出力される第2の出力値に補正する。
【0072】
このように本実施の形態では、ハーフトーン処理部75の変換部751において、入力画像データについて、入力画像データが取り得る最大階調値に対してはディザマスクの閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を出力する。
【0073】
ハーフトーン処理部75をこのような構成とするのは、特にオフィスなどで用紙Pに画像形成を行う画像は、黒文字が多く、画像が写真等の場合に用いられる中間階調が少ないためである。つまり黒文字の場合、その画像データは通常最大階調値を採るため、ディザマスクの閾値との比較を行わず、処理後の最大階調値が出力される。そして黒文字が多い場合、この処理が多くなるため、ハーフトーン処理部75は、より高速に処理を行うことができる。
【0074】
ここで画像形成装置1に色材であるトナーを節約するためトナーセーブ機能が搭載されることがある。これは、形成される画像全体の色を明るくすることでトナーの消費量を節約する機能であり、用紙Pに形成される画像の色は、全体に薄くなる。
【0075】
しかしながら上記構成のハーフトーン処理部75では、黒の階調は変化しないため、トナーの消費量は、あまり変化しない。よってトナーの消費量を小さくするためには、黒の階調値を小さくし、グレーの画像として出力することが求められる。これを実現するため、例えば、入力された全ての画像データに対しディザマスクの閾値との比較を行ない、この比較結果により出力値を決定することが考えられる。ただしこの方法では、ハーフトーン処理部75で行う処理が増加する。よってこの処理をソフトウェアで行う場合は、ソフトウェアの速度低下が生じ、この処理をハードウェアで行う場合は、必要とされるハードウェア資源が増加することになる。
【0076】
以上説明した第1の実施の形態および第2の実施の形態によれば、変換部751と補正部752とを設け、この2段階の処理を行うことで、全体の処理としては、より軽い処理となり、ハーフトーン処理部75は、より高速に処理を行うことができる。また既に変換部751を備えたハーフトーン処理部75があったときに、補正部752を後から追加することで、容易に本実施の形態のハーフトーン処理部75を実現することができる。これはハーフトーン処理部75の処理を、ソフトウェアで行う場合でもハードウェアで行う場合でも、補正部752を実現するソフトウェアやハードウェアを追加すればよい。よってソフトウェアやハードウェアの仕様を全面的に変更する必要はなく、仕様の変更が比較的容易となる。
【0077】
なお第1の実施の形態と第2の実施の形態とを比較したとき、第1の実施の形態の方がハーフトーン処理部75の処理は、高速となる。一方、第2の実施の形態の方が、色再現性は良好なものとなる。
【0078】
なお上述した例では、補正部752で第1の出力値と第2の出力値の双方に対してマスク処理を行っていたが、上述の通り、補正部752にてマスク処理を行っても、第2の出力値の値は変わらない。よって、補正部752では、第1の出力値のみに対して補正部752にてマスク処理を行い、第2の出力値に対しては、何も処理を行わなくてもよい。つまりこの場合、第2の出力値の場合、補正部752をスルーする。これは、補正部752は、変換部751により出力された第1の出力値に対して選択的に補正を行うと言い換えることもできる。
【0079】
また上述した例では、階調補正データは、0.7の固定であり、この場合、階調補正は、線形性を有するものとなる。ただしこれに限られるものではなく、階調補正を非線形性を有するように行ってもよい。
【0080】
さらに上述した例では、ディザマスクパターン作成部753がディザマスクの作成を行うのに(1)式を使用していたが、これに限られるものではなく、例えば、LUT(Look up Table)を用いる方法でもよい。
【0081】
図13〜
図14は、ディザマスクパターン作成部753がディザマスクの作成を行うために使用するLUTを作成する方法について説明した図である。
まず
図13に示すように入力の階調値(in)を0〜63として、これに階調補正データ(この場合、0.7)を乗算することで階調補正後の階調値(out)を算出する。
【0082】
そして
図13のLUTを基にinとoutを逆にした
図14に示す逆LUTを作成する。そしてこの逆LUTを用いることで、ディザマスクパターン作成部753がディザマスクの作成を行う。即ち、生成前閾値を
図14のinの欄の中から探し、これに対応するoutの値を生成後閾値とすればよい。
このようにLUTを用いる方法では、階調補正を非線形性を有するように行う場合でも容易に対応が可能である。
【0083】
さらに上述した例では、電子写真方式の画像形成装置1について説明を行ったが、これに限られるものではない。例えば、インクジェット方式の画像形成装置についても適用できる。なおこの場合インクが色材となる。
【0084】
<プログラムの説明>
なお本実施の形態におけるハーフトーン処理部75が行なう処理は、例えば、図示しないCPUが、図示しないROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)を図示しないRAM等にロードして実行することにより行なわれる。
【0085】
よってハーフトーン処理部75が行なう処理は、コンピュータに、入力された画像データについて、画像データが取り得る最大階調値に対しては階調補正に対応した閾値との比較を行わず変換後に取り得る最大値を第1の出力値として出力し、他の階調値に対しては閾値との比較を行うことで決定される第2の出力値に変換して出力する変換機能と、変換機能により出力された第1の出力値に対しては補正を行うが、第2の出力値は変更しない補正機能と、を実現させることで入力された画像データにハーフトーン処理を施すとともに階調補正を施し出力する処理を行うプログラムとして捉えることもできる。
【0086】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。