特許第6136676号(P6136676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136676
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20170522BHJP
   H04N 1/46 20060101ALI20170522BHJP
   H04N 1/60 20060101ALI20170522BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20170522BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   G03G15/01 R
   H04N1/46 Z
   H04N1/40 D
   G06T1/00 510
   G03G21/00 384
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-145732(P2013-145732)
(22)【出願日】2013年7月11日
(65)【公開番号】特開2015-18121(P2015-18121A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】小谷津 淳
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭一
(72)【発明者】
【氏名】田代 陽介
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−108021(JP,A)
【文献】 特開2009−063744(JP,A)
【文献】 特開2006−243209(JP,A)
【文献】 特開2009−139561(JP,A)
【文献】 特開2008−145858(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0138121(US,A1)
【文献】 特開2008−292579(JP,A)
【文献】 特開2012−064994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 21/00
G06T 1/00
H04N 1/46
H04N 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、
白色の色材と白色以外の複数の基本色の色材とを記録媒体に一括して転写して定着させる第1出力モード、及び、白色の色材を用いずに複数の基本色の色材を記録媒体に転写して定着させる第2出力モードの中から選択されたモードに従い、前記画像形成手段による画像形成を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記第1出力モードが選択された場合には記録媒体上の複数の基本色の色材量に関する第1パラメータ値に従って前記画像形成を制御し、前記第2出力モードが選択された場合には記録媒体上の複数の基本色の色材量に関する第2パラメータ値に従って前記画像形成を制御し、
前記第1パラメータ値は前記第2パラメータ値よりも小さい値であり、
前記制御手段は、記録媒体として透明材が用いられる場合、前記第1出力モードに従って前記画像形成を制御する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1パラメータ値は、前記第1出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量を指定する値であり、前記第2パラメータ値は、前記第2出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量を指定する値であり、
前記制御手段は、前記第1出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量が、前記第2出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量よりも少なくなるように、前記画像形成を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1出力モードでは、複数の基本色の色材量の比率を維持しつつ各基本色の色材量を制限する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、複数の基本色の色材目標量と総量制限値とに基づき総色材目標量を算出し、前記総色材目標量から白色の色材目標量を減算することで、基本色の色材総目標量を算出し、基本色の色材総目標量と各基本色の色材目標量とに基づき、複数の基本色の色材量の比率を維持しつつ各基本色の色材量を削減することで各基本色の色材設定量を算出し、前記第1出力モードにおいては、白色の色材目標量と各基本色の色材設定量とに基づき、前記画像形成を制御する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ、帯電した像保持体に対して画像信号に応じた光を照射して静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤によって静電潜像を現像し、現像されたトナー像を記録媒体に転写して定着させることで、記録媒体上に画像を形成し、
前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面に照射する光の強度、前記画像形成手段が前記像保持体の表面を帯電させるときの帯電電位、前記画像形成手段が現像剤によって静電潜像を現像するときの現像電位、及び、前記画像形成手段が前記トナー像を記録媒体に転写させるときに用いる転写電流のうちの少なくとも1つを前記第1パラメータ値又は前記第2パラメータ値に従って制御する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トナーやインク等の色材を用いて画像を形成する画像形成装置の中には、白色(W)トナーや白色インク等を用いるものがある。例えば、透明材や反射率の低い色紙といった記録媒体上に画像を形成する場合、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)等のカラーの色材からなるカラー層の下に白色の色材からなる下地層が形成される。つまり、カラー層の下に白色下地層を設けることにより、色再現性の低下が防止又は軽減されている。
【0003】
なお、特許文献1には、トナー顔料として酸化チタンや炭酸カルシウム等を用いることにより、白色が電子写真方式の画像形成装置で得られることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−186787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像形成装置においては、転写ディフェクト(トナーの飛び散り等)や定着ディフェクト(トナーの定着不良等)を防止するためにトナー総量制限値が設けられている。白色下地層の白色度は、それを構成する白色の色材の量が多いほど高くなる。よって、良好な色再現性を生じさせるためには、白色下地層を構成する白色の色材の量を増大させることが望ましい。しかしながら、カラーの色材と白色の色材とを記録媒体に一括して転写して定着させる場合、白色の色材を用いずにカラーの色材のみを記録媒体に転写して定着させる場合と比べて、色材の総量が増大して転写ディフェクトや定着ディフェクトが発生しやすくなる。そこで、カラーの色材と白色の色材とを記録媒体に別々に転写して定着させることが考えられる。この手法においては、記録媒体に白色の色材を転写して定着させることで記録媒体上に白色下地層を形成し、その後、白色下地層上にカラーの色材を転写して定着させることで白色下地層上にカラー層を形成する。この場合、カラーの色材と白色の色材とを記録媒体に一括して転写して定着させる場合と比べて、一度の転写定着プロセスに用いられる色材の総量が減少するので、転写ディフェクトや定着ディフェクトの発生が抑制される。しかしながら、転写及び定着を少なくとも2回行う必要があるため、生産性が低下する。また、1回目の転写及び定着によって形成された白色下地層の上に、2回目の転写及び定着によってカラー層を形成する必要があるため、カラー層と白色下地層とのレジストレーション(見当合わせ(各色版の位置合わせ))がずれるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、白色の色材を用いた場合に、転写ディフェクトや定着ディフェクトの発生を抑制するとともに、白色の色材と白色以外の基本色の色材とのレジストレーションのずれを抑制し、また、生産性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、記録媒体上に画像を形成する画像形成手段と、白色の色材と白色以外の複数の基本色の色材とを記録媒体に一括して転写して定着させる第1出力モード、及び、白色の色材を用いずに複数の基本色の色材を記録媒体に転写して定着させる第2出力モードの中から選択されたモードに従い、前記画像形成手段による画像形成を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第1出力モードが選択された場合には記録媒体上の複数の基本色の色材量に関する第1パラメータ値に従って前記画像形成を制御し、前記第2出力モードが選択された場合には記録媒体上の複数の基本色の色材量に関する第2パラメータ値に従って前記画像形成を制御し、前記第1パラメータ値は前記第2パラメータ値よりも小さい値であり、前記制御手段は、記録媒体として透明材が用いられる場合、前記第1出力モードに従って前記画像形成を制御する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記第1パラメータ値は、前記第1出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量を指定する値であり、前記第2パラメータ値は、前記第2出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量を指定する値であり、前記制御手段は、前記第1出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量が、前記第2出力モードにおいて記録媒体上に形成される複数の基本色の色材量よりも少なくなるように、前記画像形成を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記制御手段は、前記第1出力モードでは、複数の基本色の色材量の比率を維持しつつ各基本色の色材量を制限する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置である。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記制御手段は、複数の基本色の色材目標量と総量制限値とに基づき総色材目標量を算出し、前記総色材目標量から白色の色材目標量を減算することで、基本色の色材総目標量を算出し、基本色の色材総目標量と各基本色の色材目標量とに基づき、複数の基本色の色材量の比率を維持しつつ各基本色の色材量を削減することで各基本色の色材設定量を算出し、前記第1出力モードにおいては、白色の色材目標量と各基本色の色材設定量とに基づき、前記画像形成を制御する、ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記画像形成手段は、像保持体を帯電させ、帯電した像保持体に対して画像信号に応じた光を照射して静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤によって静電潜像を現像し、現像されたトナー像を記録媒体に転写して定着させることで、記録媒体上に画像を形成し、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面に照射する光の強度、前記画像形成手段が前記像保持体の表面を帯電させるときの帯電電位、前記画像形成手段が現像剤によって静電潜像を現像するときの現像電位、及び、前記画像形成手段が前記トナー像を記録媒体に転写させるときに用いる転写電流のうちの少なくとも1つを前記第1パラメータ値又は前記第2パラメータ値に従って制御する、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、白色の色材を用いた場合に、転写ディフェクトや定着ディフェクトの発生が抑制されるとともに、白色の色材と基本色の色材とを記録媒体に別々に転写して定着させる場合と比べて、白色の色材と基本色の色材とのレジストレーションのずれが抑制され、また、生産性が向上する。
【0013】
請求項2に係る発明によると、白色の色材を用いた場合であっても、記録媒体上に形成される色材の総量の増大が抑制される。
【0014】
請求項3に係る発明によると、本発明の構成を有していない場合と比較して、色再現性の低下が抑制される。
【0015】
請求項4に係る発明によると、本発明の構成を有していない場合と比較して、白色の色材量を維持しつつ、色再現性の低下が抑制される。
【0016】
請求項5に係る発明によると、画像形成手段による各処理を制御することで、各モードにおける色材量が制御される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る画像形成装置の構造の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る画像形成部及びプロセス制御部の一例を示す図である。
図3】参考例に係る画像構造体を示す図である。
図4】トナー重量と転写ディフェクトとの関係を示すグラフである。
図5】実施形態に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図6】実施形態に係る画像構造体の一例を示す図である。
図7】実施形態及び参考例の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1に、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す。画像形成装置1は、画像受付部10と、画像形成部20と、プロセス制御部30とを含み、複数の色材を用いて、画像信号に応じた画像を記録紙等の記録媒体上に形成するものである。本実施形態では、色材としてトナーが用いられる。他の色材としてはインク等があげられる。
【0019】
本実施形態では、画像形成装置1は、第1出力モード及び第2出力モードの中から選択されたモードに従い、画像を記録媒体に形成する。第1出力モードは、白色(W)のトナーと白色以外の複数の基本色のトナーとを記録媒体に一括して転写して定着させるモードである。第2出力モードは、白色トナーを用いずに複数の基本色トナーを記録媒体に転写して定着させるモードである。基本色としては、例えば、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の4色が用いられる。但し、本発明はこの例に限定されるものではなく、5色以上の色が基本色として用いられてもよい。例えば、オレンジ(O)、バイオレット(V)及びグリーン(G)等の色が本実施形態の基本色に含まれてもよい。以下では、CMYKの4色を基本色として説明し、基本色のトナーを「カラートナー」と称することとする。
【0020】
画像受付部10は、画像を形成するために与えられた画像信号と出力モード信号とを受け付ける。画像信号は、画像形成部20が形成するトナーの色に対応しており、例えば、CMYKの4色の色成分に分けられた各画素の階調値、又は、CMYKWの5色の色成分に分けられた各画素の階調値を含む。出力モード信号は、第1出力モード又は第2出力モードを示す。例えば、画像信号にCMYKWの5色の階調値が含まれる場合、出力モード信号は第1出力モードを示すことになり、画像信号にCMYKの4色の階調値が含まれる場合、出力モード信号は第2出力モードを示すことになる。
【0021】
画像形成部20は、給紙トレイ21と、画像形成エンジン22と、中間転写ベルト23と、2次転写器24と、定着器25と、搬送路26とを含み、画像受付部10から供給された画像信号に応じた画像を記録媒体に形成する。
【0022】
給紙トレイ21は、複数枚の記録媒体を収容するものである。給紙トレイ21に収容された記録媒体は、給紙トレイ21から一枚ずつ取り出され、2次転写器24及び定着器25を経由して排紙口へと繋がる搬送路26上を順次搬送されるようになっている。
【0023】
画像形成エンジン22は、CMYKW又はCMYKの各色の画像信号に応じた各色のトナー像を中間転写ベルト23に重畳して形成する。
【0024】
2次転写器24は、画像形成エンジン22によって各色のトナー像が重畳形成された中間転写ベルト23のベルト面と、給紙トレイ21から搬送路26経由で搬送されてくる記録媒体とが、転写位置に到達すると、主動ロールの作用によってトナー像を中間転写ベルト23から記録媒体へと転写する。
【0025】
定着器25は、記録媒体に転写されたトナー像を定着する。具体的には、定着器25は、内部に加熱源を有する加熱ロールと加圧ロールとで搬送路26を挟むことによって接触領域を形成する。2次転写器24によるトナー像の転写を経た記録媒体がこの接触領域に移動させられると、定着器25は、加熱ロールによる加熱作用と加圧ロールによる加圧作用とによってトナー像を記録媒体に定着する。
【0026】
プロセス制御部30は、画像受付部10から供給された画像信号と出力モード信号とに基づき、画像形成部20を制御するための制御パラメータを求め、当該制御パラメータに基づき画像形成部20を制御する。例えば、プロセス制御部30は、出力モード信号が第1出力モードを示す場合、第1出力モードで画像形成部20を動作させ、出力モード信号が第2出力モードを示す場合、第2出力モードで画像形成部20を動作させる。制御パラメータは、プロセス制御部30の図示しないメモリに予め記憶されている。
【0027】
画像形成エンジン22は、一例として、イエロー(Y)のトナー像を中間転写ベルト23に形成するY機構、マゼンダ(M)のトナー像を中間転写ベルト23に形成するM機構、シアン(C)のトナー像を中間転写ベルト23に形成するC機構、ブラック(K)のトナー像を中間転写ベルト23に形成するK機構、及び、白色(W)のトナー像を中間転写ベルト23に形成するためのW機構を含む。一例として、中間転写ベルト23の上流側から順番に、Y機構、M機構、C機構、K機構及びW機構の順番で、各機構が配置されている。
【0028】
次に、図2を参照して、画像形成エンジン22及びプロセス制御部30の詳細な構成について説明する。Y機構、M機構、C機構、K機構及びW機構は同じ構成であるから、以下では、それらのうちの1つの機構のみを図2に示して説明する。
【0029】
画像形成エンジン22は、周回する感光体ドラム201を取り囲むように備えられた、帯電器202、電位センサ203、露光器204、現像器205、1次転写器206、トナー濃度センサ207、クリーナ208、レーザードライバ209、帯電器電源210、現像バイアス電源211及び環境センサ212を含む。
【0030】
感光体ドラム201は、例えば電荷受容体としてのOPC(Organic Photo Conductor:有機光電体)からなる電荷発生層や電荷輸送層を含む2層又は3層の光導電層が導体基板上に積層されることによって形成された像保持体である。感光体ドラム201は、図示しない駆動機構によってその中心軸を中心として図に示す矢印Aの方向(例えば時計周り方向)へ回転させられる。
【0031】
帯電器202は、感光体ドラム201の表面を一様に帯電させる一次帯電用のスコロトロンであり、感光体ドラム201の表面を予め設定された帯電電位に帯電させる。電位センサ203は、矢印A方向に対して帯電器202の帯電位置よりも下流側、かつ、現像器205の現像位置よりも上流側の感光体ドラム201の表面電位を検知するセンサであり、検知した表面電位を示す表面電位信号をプロセス制御部30に出力する。
【0032】
露光器204は、ポリゴンミラーに向けてレーザー光を照射し、その反射光を感光体ドラム201の表面に照射することにより、光導電性により感光体ドラム201の表面電位を予め設定された電位まで低下させて静電潜像を形成する。
【0033】
現像器205は、現像剤に含まれているトナーを用いて静電潜像を現像する。このとき、現像器205は、プロセス制御部30による制御に応じた量のトナーを供給する。
【0034】
1次転写器206は、感光体ドラム201の表面に形成されたトナー像が、その感光体ドラム201の回転に伴って、自身と感光体ドラム201とが中間転写ベルト23を挟む位置(転写位置)に到達すると、そのトナー像を中間転写ベルト23に転写する。具体的には、1次転写器206にはプロセス制御部30が求めた制御パラメータに応じた大きさの1次転写電流が供給され、それに応じた電位(転写電位)に帯電された主動ロールと、感光体ドラム201との電位差によって静電力が発生し、その静電力の作用でトナー像が転写される。
【0035】
トナー濃度センサ207は、トナー像が形成された感光体ドラム201の表面に検出光を照射し、その反射光の光量に応じてトナー像の濃度を検出し、検出したトナー像の濃度を示す信号を出力する。クリーナ208は、感光体ドラム201の表面の残留トナーや紙粉を除去する。
【0036】
レーザードライバ209は、プロセス制御部30が求めた制御パラメータに応じて、露光器204が照射する光の強度(露光量)を制御し、感光体ドラム201の表面に静電潜像を形成する。
【0037】
帯電器電源210は、感光体ドラム201を帯電させるための電力を帯電器202に供給する。現像バイアス電源211は、現像バイアスを印加させるための電力を現像器205の現像ロールに供給する。帯電器202及び現像器205に供給される電力は、プロセス制御部30が求めた制御パラメータに応じた電力である。
【0038】
環境センサ212は、画像形成装置1内の温度及び湿度を検出し、検出値を示す温湿度信号をプロセス制御部30に出力する。
【0039】
次に、プロセス制御部30の構成について説明する。プロセス制御部30は、電位制御部301、現像制御部302及び転写制御部303を含む。
【0040】
電位制御部301は、レーザードライバ209、帯電器電源210及び現像バイアス電源211の駆動を制御する。電位制御部301は、画像形成装置1の出力モードに応じて、記録媒体上における単位面積当たりのトナーの量TMA(以下、「トナー重量」と称する)を制御するための制御パラメータに基づき各部を駆動させる。このトナー重量は、一例としてg/mの単位で表される。
【0041】
ここで、電位制御部301によるトナー重量の制御について説明する。現像時に現像器205から感光体ドラム201の表面に移るトナーの重量は、感光体ドラム201の表面電位と現像器205の現像バイアスとの電位差によって決まり、この電位差が小さいほど静電力が小さくなり、トナー重量は少なくなる。例えば、現像バイアス及び帯電電位を一定に維持し、露光量を少なくすると、露光された領域すなわち静電潜像の領域の電位は大きくなるため、静電潜像と現像バイアスとの電位差が小さくなり、トナー重量も少なくなる。また、帯電電位及び露光量を一定に維持し、現像バイアスを小さくした場合にも、現像バイアスと静電潜像との電位差が小さくなり、トナー重量は小さくなる。また、露光量及び現像バイアスを一定に維持し、帯電電位を大きくすると、これに応じて静電潜像の電位も高くなるため、静電潜像と現像バイアスとの電位差は小さくなり、トナー重量も少なくなる。このように、露光量、帯電電位及び現像バイアスに応じて、感光体ドラム201上のトナー重量が変化する。
【0042】
電位制御部301は、目標とするトナー重量のトナー像が形成されるよう、画像信号に含まれる階調値と出力モードとに応じた各制御パラメータに基づき、レーザードライバ209、帯電器電源210及び現像バイアス電源211を制御する。
【0043】
現像制御部302は、現像器205のトナー供給量を制御する。
【0044】
転写制御部303は、画像形成装置1の出力モードに応じた1次転写電流制御信号を1次転写器206に供給し、1次転写器206に流れる1次転写電流を制御する。これにより、感光体ドラム201から中間転写ベルト23に転写されるトナーの重量が制御される。具体的には、感光体ドラム201の表面電位と1次転写器206の転写電位とは逆極性であり、1次転写電流が小さくなるほどこれらの間に生じる静電力は小さくなるので、転写されるトナーの重量は減少する(転写率は低くなる)。一方で、1次転写電流を大きくするほど、これらの電位差は大きくなるので、中間転写ベルト23に転写されるトナーの重量は増大する(転写率が高くなる)。
【0045】
また、図2には図示しないが、プロセス制御部30は定着制御部を含む。定着制御部は、図1に示す定着器25の定着ロール温度に基づき、定着器25の定着温度、定着速度及び定着圧力を制御する。
【0046】
次に、図1を参照して、第1出力モード及び第2出力モードにおける画像形成装置1の動作について簡単に説明する。画像形成エンジン22には、一例として、中間転写ベルト23の上流側から順番に、Y機構、M機構、C機構、K機構及びW機構の順番で各機構が配置されているため、第1出力モードでは、画像形成エンジン22によって、YMCKWの順番で各色のトナー像が中間転写ベルト23に転写される。これにより、YMCKWの各色のトナー像が中間転写ベルト23に重畳して形成される。そして、2次転写器24によって、中間転写ベルト23から記録媒体にYMCKWのトナー像が転写される。これにより、記録媒体上において白色トナー層が最下層となり、白色トナー層上にカラー層が重畳して形成される。そして、記録媒体に転写されたトナー像は、定着器25によって定着される。
【0047】
また、第2出力モードでは、画像形成エンジン22によって、YMCKの順番で各色のトナー像が中間転写ベルト23に転写されることで、YMCKの各色のトナー像が中間転写ベルト23に重畳して形成される。そして、2次転写器24によって、中間転写ベルト23から記録媒体にYMCKのトナー像が転写され、記録媒体に転写されたトナー像は、定着器25によって定着される。
【0048】
ここで、図3を参照して、参考例に係る画像形成方法によって記録媒体(用紙)上に形成された画像構成体(各色のトナー層)について説明する。図3(a)に、CMYK4色のカラートナーで画像形成を行うモード(CMYK4色モード)によって形成された画像構造体を示し、図3(b)に、CMYKW5色のトナーで画像形成を行うモード(CMYKW5色モード)によって形成された画像構造体を示す。なお、CMYK4色モードが、本実施形態の第2出力モードに相当する。
【0049】
一例として、画像信号の各色の網点面積率(カバレッジイン:Cin)が100%の場合、シアン(C)、マゼンダ(M)及びイエロー(Y)のそれぞれのトナー重量を3.5〜4.5g/mとし、ブラック(K)のトナー重量を最大で4.8g/m程度とし、白色(W)のトナー重量を最大で4.0g/m程度とする。
【0050】
図3(a)に示すように、CMYK4色のカラートナーを用いる場合、4色のトナー重量の合計(総トナー重量)は、一例として12.8g/mとなる。一方、図3(b)に示すように、CMYKW5色のトナーを用いる場合、5色の総トナー重量は、一例として16.8g/m(CMYK4色分のトナー重量(12.8g/m)+白色トナーのトナー重量(4.0g/m))となる。
【0051】
ここで、図4を参照して、トナー重量と転写ディフェクトとの関係について説明する。図4のグラフにおいて、横軸はトナー重量(g/m)を示し、縦軸は、転写ディフェクトの一種であるトナーの飛び散りの度合い(グレード)を示す。例えば、グレードが「1」以下であれば、記録媒体上のトナーの飛び散りは目立ち難いが、グレードが高くなるほど、記録媒体上のトナーの飛び散りが目立ちやすくなる。図4に示すように、トナー重量が多くなるほどグレードが高くなり、トナーの飛び散りが目立ちやすくなる。例えば図3(a)に示すCMYK4色モードの総トナー重量は12.8g/mであるため、グレードはほぼ「1」となる。従って、転写ディフェクトは発生し難い。一方、図3(b)に示すCMYKW5色モードの総トナー重量は16.8g/mであるため、グレードはほぼ「4」となる。従って、転写ディフェクトが発生し、転写ディフェクトが目立ちやすくなる。このように、トナーの種類を増やすと総トナー重量が増大しやすくなるため、転写ディフェクトが発生しやすくなる。
【0052】
そこで、本実施形態では、プロセス制御部30は、第1出力モード(CMYKW5色モード)において記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量を、第2出力モード(CMYK4色モード)において記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量よりも少なくしている。各モードにおいて、カラートナーの量を規定するために、個々のモード毎に後述するパラメータ値が定められている。プロセス制御部30は、選択されたモード及び当該モード用のパラメータ値に従って、画像形成部20の各部を制御する。このようなトナー重量を実現するために、露光量、帯電電位、現像バイアス、トナー供給量及び1次転写電流(転写電位)の各制御パラメータが、出力モード毎にプロセス制御部30に記憶されている。そして、画像形成時において、画像受付部10が画像信号を画像形成部20に出力する一方、プロセス制御部30によって第1出力モードが検知された場合、カラートナーの総トナー重量が第2出力モードにおけるカラートナーの総トナー重量よりも少なくなるように、各制御パラメータが決定されてトナー像が形成されることになる。
【0053】
例えば、電位制御部301は、第1出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量を、第2出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量よりも少なくしている。具体的には、電位制御部301は、画像信号に含まれる階調値と出力モードとに応じた各制御パラメータに基づき、レーザードライバ209、帯電器電源210及び現像バイアス電源211を制御する。これらの制御パラメータは、出力モードを示す識別情報に対応付けられて電位制御部301の図示しないメモリに予め記憶されている。
【0054】
また、現像制御部302は、第1出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量を、第2出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量よりも少なくしている。具体的には、現像制御部302は、画像信号に含まれる階調値と出力モードとに応じた制御パラメータに基づき、現像器205のトナー供給量を制御する。この制御パラメータは、出力モードを示す識別情報に対応付けられて現像制御部302の図示しないメモリに予め記憶されている。
【0055】
また、転写制御部303は、第1出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量を、第2出力モードにおいて記録媒体上に形成されるカラートナーの総トナー重量よりも少なくしている。具体的には、転写制御部303は、画像信号に含まれる階調値と出力モードとに応じた制御パラメータに基づき、1次転写器206に流れる1次転写電流を制御する。この制御パラメータは、出力モードを示す識別情報に対応付けられて転写制御部303の図示しないメモリに予め記憶されている。
【0056】
なお、第1出力モードが実行される場合、プロセス制御部30は、露光量、帯電電位、現像バイアス、トナー供給量及び転写電位(1次転写電流)のすべてのパラメータを制御することで、カラートナーのトナー重量を第2出力モードにおけるカラートナーのトナー重量よりも少なくしてもよいし、これらのパラメータのうちの少なくとも1つを制御することで、カラートナーのトナー重量を制限してもよい。例えば、1次転写電流のみを変化させても、この電流値に応じた量のトナーが中間転写ベルト23に転写されるので、記録媒体に形成されるトナーの重量が変化する。
【0057】
次に、図5に示すフローチャートを参照して、第1出力モードにおける各カラートナーのトナー重量設定値を求める手順について説明する。トナー重量設定値は予め求められ、トナー重量設定値に対応する制御パラメータがプロセス制御部30に予め記憶されることになる。一例として、プロセス制御部30がトナー重量設定値を求める。
【0058】
まず、プロセス制御部30に、各カラートナーのトナー重量目標値(カラートナー重量目標値)と、1画素単位のトナー総量の制限値と、白色トナーのトナー重量目標値(白色トナー重量目標値)とが設定される(S01)。
【0059】
以下に、カラートナー重量目標値、トナー総量制限値及び白色トナー重量目標値を示す。
カラートナー重量目標値:C’,M’,Y’,K’
トナー総量制限値:TAC
白色トナー重量目標値:W’
【0060】
各カラートナー重量目標値は、第2出力モードにおいて、各基本色の網点面積率がある値のときに記録媒体に形成される各カラートナーのトナー重量に相当する。例えば、各基本色のカラートナー重量目標値は、各基本色の網点面積率が100%のときに記録媒体に形成される各カラートナーのトナー重量に相当する。
【0061】
トナー総量制限値TACは予め決定された値であり、例えば、各色のトナー出力(網点面積率)の最大値をそれぞれ100%とした場合、240%〜280%に設定される。但し、トナー総量制限値TACの値は一例であり、300%程度の値が設定されてもよい。
【0062】
白色トナー重量目標値は、白色の網点面積率がある値のときに記録媒体に形成される白色トナーのトナー重量に相当する。例えば、白色トナー重量目標値は、白色の網点面積率が100%のときに記録媒体に形成される白色トナーのトナー重量に相当する。
【0063】
次に、プロセス制御部30は、以下の式(1)に従い、カラートナー重量目標値とトナー総量制限値とに基づき、総トナー重量目標値Taを求める(S02)。
総トナー重量目標値Ta=(C’+M’+Y’+K’)×TAC/400・・・式(1)
【0064】
総トナー重量目標値Taは、第1出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYKW5色のトナー重量の合計に相当し、また、第2出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYK4色のトナー重量の合計に相当する。すなわち、第1出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYKW5色のトナー重量の合計と、第2出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYK4色のトナー重量の合計とが、一致又はほぼ一致することになる。
【0065】
次に、プロセス制御部30は、以下の式(2)に従い、総トナー重量目標値Taから白トナー重量目標値W’を減算することで、カラートナー総重量目標値Tcを求める(S03)。
カラートナー総重量目標値Tc=Ta−W’・・・式(2)
カラートナー総重量目標値Tcは、カラートナーに割り当てられた総トナー重量に相当する。
【0066】
そして、プロセス制御部30は、以下の式(3)に従い、カラートナーのトナー重量比を一定に維持する条件下で、カラートナー総重量目標値Tcとカラートナー重量目標値C’,M’,Y’,K’とに基づき、各カラートナーのトナー重量設定値C’’,M’’,Y’’,K’’(カラートナー重量設定値)を求める(S04)。
C’’=Tc×C’/(C’+M’+Y’+K’)
M’’=Tc×M’/(C’+M’+Y’+K’)
Y’’=Tc×Y’/(C’+M’+Y’+K’)
K’’=Tc×K’/(C’+M’+Y’+K’)・・・式(3)
【0067】
つまり、各カラートナーのトナー重量比を一定に維持しつつ、各カラートナーのトナー重量を制限する。カラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’は、各基本色の網点面積率が100%のときに記録媒体に形成される各カラートナーのトナー重量に相当する。各カラートナーのトナー重量が制限されているため、カラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’は、元々のカラートナー重量目標値C’M’Y’K’よりも小さい。そのため、同じ網点面積率であっても、第1出力モードにおいて記録媒体に形成されるカラートナーのトナー重量は、第2出力モードにおいて記録媒体に形成されるカラートナーのトナー重量よりも少なくなる。一方で、第1出力モード及び第2出力モードにおいて記録媒体に形成されるトナーの総トナー重量は、総トナー重量目標値Taによって規定されるため、第1出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYKW5色のトナー重量の合計と、第2出力モードにおいて記録媒体に形成されるCMYK4色のトナー重量の合計とは、一致又はほぼ一致する。つまり、第1出力モードでは白色トナーを使用するので、カラートナーの総トナー重量を減らすことで、CMYKW5色の総トナー重量を、第2出力モードにおけるCMYK4色の総トナー重量に一致させる。
【0068】
そして、第1出力モードにおいて、各基本色の網点面積率に応じたカラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’を実現するための、露光量、帯電電位、現像バイアス、トナー供給量及び1次転写電流の各制御パラメータが、プロセス制御部30に予め記憶される。例えば、各網点面積率に対応するカラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’を予め求めておき、各網点面積率に応じたカラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’を実現するための各制御パラメータを、プロセス制御部30に予め記憶させておく。また、各網点面積率に対応する白トナー重量目標値W’を予め求めておき、各網点面積率に応じた白トナー重量目標値W’を実現するための各制御パラメータを、プロセス制御部30に予め記憶させておく。本実施形態では、第1出力モードにおけるカラートナーのトナー重量は、同じ網点面積率であっても、第2出力モードにおけるカラートナーのトナー重量よりも少ない量である。
【0069】
また、第2出力モードにおいて、各基本色の網点面積率に応じたカラートナー重量目標値C’M’Y’K’を実現するための、露光量、帯電電位、現像バイアス、トナー供給量及び1次転写電流の各制御パラメータが、プロセス制御部30に予め記憶される。例えば、各網点面積率に対応するカラートナー重量目標値C’M’Y’K’を予め求めておき、各網点面積率に応じたカラートナー重量目標値C’M’Y’K’を実現するための各制御パラメータを、プロセス制御部30に予め記憶させておく。
【0070】
プロセス制御部30は、画像受付部10から供給された出力モード信号に基づき、画像信号の出力モードを特定する。出力モード信号が第1出力モードを示す場合、プロセス制御部30は、画像信号に表されたCMYKの網点面積率に対応するカラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’を実現するための制御パラメータに基づき、記録媒体に形成される各カラートナーのトナー重量がカラートナー重量設定値C’’M’’Y’’K’’となるように、画像形成部20の各部を制御する。また、プロセス制御部30は、画像信号に表された白色の網点面積率に対応する白色トナー重量目標値W’を実現するための制御パラメータに基づき、記録媒体に形成される白色トナーのトナー重量が白色トナー重量目標値W’となるように、画像形成部20の各部を制御する。
【0071】
一方、出力モード信号が第2出力モードを示す場合、プロセス制御部30は、画像信号に表されたCMYKの各網点面積率に対応するカラートナー重量目標値C’M’Y’K’を実現するための制御パラメータに基づき、記録媒体に形成される各カラートナーのトナー重量がカラートナー重量目標値C’M’Y’K’となるように、画像形成部20の各部を制御する。
【0072】
以上のように、白色トナーが用いられる第1出力モードが実行される場合、白色トナーが用いられない第2出力モードよりも、記録媒体に形成されるカラートナーのトナー重量を減らすことで、総トナー重量が減少して第2出力モードにおける総トナー重量と一致又はほぼ一致するので、転写ディフェクトや定着ディフェクトの発生が抑制される。
【0073】
また、本実施形態では、白色トナーとカラートナーとを一括して記録媒体に転写して定着させているので、白色トナーとカラートナーとを別々に記録媒体に転写して定着させる場合と比べて、白色トナーとカラートナーとのレジストレーションのずれが発生し難くなり、また、生産性が向上する。すなわち、本実施形態では、カラートナーのトナー重量を減らしているので、白色トナーとカラートナーとを一括して記録媒体に転写して定着させても、転写ディフェクトや定着ディフェクトの発生が抑制されるので、白色トナーとカラートナーとを別々に記録媒体に転写して定着させずに済む。転写定着プロセスを複数回実行しなくて済むため、白色トナーとカラートナーとのレジストレーションのずれが発生し難くなり、また、生産性が向上する。
【0074】
また、カラートナーのトナー重量が制限されても、白色トナーの重量とカラートナーの重量との合計である総トナー重量は、第2出力モードにおける総トナー重量と一致又はほぼ一致し、カラートナーのトナー重量の比率は一定に維持されるので、色再現性の低下が抑制される。
【0075】
ここで、図6に、第1出力モードを実行することで記録媒体上に形成された画像構造体(各色のトナー層)を示す。第1出力モードでは、CMYKWの各色のトナーが一括して記録媒体に転写されて定着される。5色のトナーの総トナー重量は、一例として12.9g/mであり、図3(a)に示すCMYK4色の総トナー重量とほぼ同じ量である。また、実施形態に係る画像構造体と図3(b)に示す参考例に係る画像構造体とを比較すると、白トナーのトナー重量は同じであるが、CMYK4色のカラートナーのトナー重量が異なる。実施形態に係る画像構造体におけるカラートナーのトナー重量は、上記の式(3)で求められた量であり、参考例に係る画像構造体におけるカラートナーのトナー重量よりも少なくなっている。このように、実施形態では、白色トナーを用いた場合にカラートナーのトナー重量が制限されて、総トナー重量は第2出力モードにおける総トナー重量とほぼ同じになるので、転写ディフェクトや定着ディフェクトが抑制される。
【0076】
図7に、実施形態及び参考例の評価結果を示す。参考例1(2パス)では、白色トナーとカラートナーとを別々に記録媒体に転写して定着させる。具体的には、1回目の転写定着プロセスで記録媒体に白色トナーを転写して定着させ、2回目の転写定着プロセスで定着後の白色トナー層上にカラートナーを転写して定着させる。
【0077】
参考例2(1パス)では、白色トナーとカラートナーとを一括して記録媒体に転写して定着させる。参考例2では、記録媒体上に形成されるカラートナーのトナー重量がカラートナー重量目標値C’,M’,Y’,K’となり、記録媒体上に形成される白色トナーのトナー重量が白色トナー重量目標値W’となるように、CMYKW各色のトナーが記録媒体に形成される。図3(b)に示す画像構造体が、参考例2(1パス)によって形成された画像構造体に相当する。
【0078】
実施形態(1パス)では、本実施形態の第1出力モードに従い、白色トナーとカラートナートナーとを一括して記録媒体に転写して定着させる。
【0079】
参考例1(2パス)では、2回の転写定着プロセスが必要となるので、生産性が低下し、レジストレーションのずれが大きくなる。また、参考例2(1パス)では、総トナー重量がトナー総量制限値を超えて転写ディフェクトが発生しやすくなり、また、カラートナーによる色再現性も低下する。これに対して、実施形態では、1回の転写定着プロセスで5色のトナーが記録媒体に形成されるので、生産性が向上し、また、レジストレーションのずれも発生し難くなる。また、総トナー重量がトナー総量制限値を超えないように画像形成部20が制御されるので、転写ディフェクトの発生が抑制され、カラートナーによる色再現性の低下も抑制される。
【0080】
なお、カラートナー以外の特色トナーとして、白色トナーの他に、金色トナーや銀色トナー等のメタリックトナーが用いられてもよい。例えば、白色トナーに替えてメタリックトナーを用いて第1出力モードを実行する場合も、プロセス制御部30は、カラートナーのトナー重量が、第2出力モードにおけるカラートナーのトナー重量よりも少なくなるように、画像形成部20の各部を制御する。このように、白色トナーに替えてメタリックトナーを用いた場合であっても、白色トナーを用いた場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置、10 画像受付部、20 画像形成部、21 給紙トレイ、22 画像形成エンジン、23 中間転写ベルト、24 2次転写器、25 定着器、26 搬送路、30 プロセス制御部、201 感光体ドラム、202 帯電器、203 電位センサ、204 露光器、205 現像器、206 1次転写器、207 トナー濃度センサ、208 クリーナ、209 レーザードライバ、210 帯電器電源、211 現像バイアス電源、301 電位制御部、302 現像制御部、303 転写制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7