(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
順番が決まっている一連の画像がそれぞれ形成された複数の媒体を第1経路及び当該第1経路から分岐する第2経路及び第3経路で搬送する第1搬送装置と、前記第3経路で搬送された媒体を収容する収容装置と、前記媒体が搬送される経路を前記第1、第2及び第3経路のいずれかに切り替える切替装置と、前記収容装置から前記第1経路まで媒体を搬送する第2搬送装置とを備える搬送制御装置のコンピュータを、
前記切替装置を制御して、前記媒体のうち、前記画像が或る基準を満たす第1媒体は前記第1経路で搬送させ、前記画像が前記基準を満たさない第2媒体は前記第2経路で搬送させ、当該第2媒体のあとに前記画像が形成され且つ当該画像が前記基準を満たす第3媒体は前記第3経路で搬送させ、前記第2媒体に形成されていた画像が形成され且つ当該画像が前記基準を満たす第4媒体は前記第1経路で搬送させるように、前記媒体の経路を切り替える切替手段と、
前記第2搬送装置を制御して、前記収容装置に収容された前記第3媒体を、収容された順番で、前記第4媒体よりもあとに搬送されるように前記第1経路に送り込む送込手段と、
前記媒体に画像を形成する画像形成手段に対して、前記第2媒体が前記第2経路で搬送される場合に画像の形成を停止させ、前記画像の形成を停止させてから前記収容装置に収容されている前記第3媒体の量に応じた時間が経過した場合に、前記画像の形成を再開させるように指示する指示手段
として機能させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[1]第1実施形態
[1−1]ハードウェア構成
図1は、第1実施形態の画像形成システムの全体構成の一例を示す図である。この例では、画像形成装置10と、判定装置20と、搬送制御装置30と、後処理装置40とを備える画像形成システム1が示されている。画像形成装置10は、給紙部11及び画像形成部12を備え、給紙部11に収容された複数の媒体Pに画像を形成する装置である。
【0019】
図2は、画像形成部12のハードウェア構成の一例を示す図である。画像形成部12は、現像部13と、中間転写部14と、二次転写部15と、搬送部16と、定着部17と、制御装置18とを備える。現像部13は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)のトナー像をそれぞれ現像する複数の現像ユニットを備え、画像データにより示される各色の画像を表すトナー像をそれぞれ現像する。また、現像部13は、現像した各色のトナー像を中間転写部14に一次転写する。中間転写部14は、無端のベルトを備え、現像部13から一次転写された各色のトナー像をそのベルトに保持する。二次転写部15は、ニップ領域を形成し、ニップ領域に搬送されてくる媒体Pに、中間転写部14が保持するトナー像を二次転写する。搬送部16は、
図1に示す給紙部11から搬出される媒体Pをニップ部に搬送し、ニップ部でトナー像が二次転写された媒体Pを定着部17に搬送する。以下では、搬送部16が媒体Pを搬送する方向を搬送方向A0という。定着部17は、媒体Pに形成されたトナー像に例えば熱及び圧力を加えて媒体Pに定着させる。
【0020】
制御装置18は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びリアルタイムクロックを備え、CPUが、RAMをワークエリアとして用いてROMや記憶部に記憶されたプログラムを実行することによって各装置の動作を制御する。リアルタイムクロックは、現在の日時を算出してCPUに通知する。また、制御装置18は、ハードディスク等を備え、CPUが制御に用いるデータやプログラムなどを記憶する。また、制御装置18は、有線LAN(Local Area Network)等の回線に接続され、外部装置から送信されてくる画像データを受信し、受信した画像データが示す画像を形成するように各部を制御する。
【0021】
画像形成部12は、例えば、順番が決まっている一連の画像を示す画像データに基づいて、その画像データが示す一連の画像を、給紙部11から順番に搬送されてくる媒体Pにそれぞれ順番に形成する。ここでいう一連の画像とは、例えば雑誌や単行本、写真集などの出版物の各ページの内容を表す画像群である。媒体Pに画像が形成される際、媒体Pが搬送方向A0に対して傾いていたり、媒体Pにシワが生じていたりすると、形成された画像と画像データが示す画像とが一致しなくなる場合がある。媒体Pが出版物に用いられるような場合には、そのような媒体Pは取り除く必要がある。画像形成システム1では、そのような媒体Pを見つけるために、判定装置20が媒体Pに形成された画像を判定する。
【0022】
判定装置20は、画像形成装置10により媒体に形成された画像が或る基準を満たしているか否かを判定する装置である。本実施形態では、判定装置20は、スキャナ等の読取部21を備え、画像形成装置10から搬出された媒体Pに形成された画像を読取部21により読み取り、読み取った画像とその媒体Pに画像を形成する際に用いられた画像データが示す画像とが一致している場合に、基準を満たすと判定する。以下では、判定装置20により一致している(基準を満たす)と判定された画像を「良画像」といい、一致していない(基準を満たさない)と判定された画像を「不良画像」という。判定装置20は、無線LAN等の回線に接続されており、判定の結果を示す結果データを画像形成装置10及び搬送制御装置30に出力する。詳細には、判定装置20は、判定に用いられた画像を示す画像データを含み、且つ、その画像データにより示される画像(つまり媒体Pに形成された画像)を良画像及び不良画像のいずれと判定したかを示すデータを結果データとして出力する。
【0023】
後処理装置40は、媒体Pに裁断や綴じ合わせなどの後処理を行う装置である。後処理装置40は、トレイ41を備え、後処理を行った媒体Pをトレイ41に搬出する。こうして搬出された媒体Pは、
図1に示すようにトレイ41に積み重ねられた状態となる。トレイ41に搬出された複数の媒体Pは、各々に形成された画像、すなわち一連の画像が順番に並ぶようになっていることが望ましい。一方で、それらの媒体Pには、前述したように、不良画像と判定された画像が形成されたものは含まれないことが望ましい。搬送制御装置30は、複数の媒体Pがトレイ41に積み重ねられた状態となったときに、不良画像が形成された媒体が含まれないようにして且つそれらの媒体Pにそれぞれ形成された一連の画像が順番に並ぶように搬送を制御する装置である。
【0024】
図3は、搬送制御装置30のハードウェア構成の一例を示す図である。搬送制御装置30は、制御装置31と、第1搬送装置32と、切替装置33と、トレイ34と、収容装置35と、第2搬送装置36とを備える。制御装置31は、
図2に示す制御装置18と共通の構成を備え、搬送制御装置30が備える各装置の動作を制御する。また、制御装置31は、無線LAN等の回線で判定装置20と接続されている。制御装置31には、判定装置20から出力されてきた結果データが供給される。
【0025】
第1搬送装置32は、ローラ等の複数の回転部材を備え、媒体Pを第1経路及びその第1経路から分岐する第2経路及び第3経路で搬送する搬送手段の一例である。第1搬送装置32は、本実施形態では、順番が決まっている一連の画像がそれぞれ形成された複数の媒体を搬送する。
図3の例では、第1、第2及び第3経路がR1、R2及びR3で示されている。第1経路R1は、判定装置20から搬出された媒体Pが搬入され、後処理装置40へ搬出される経路である。第2経路R2は、判定装置20により不良画像と判定された画像が形成された媒体Pが排出される経路である。第3経路R3は、前述した搬送の制御を行うために搬送制御装置30の内部に一時的に保持される媒体Pを搬送する経路である。
【0026】
切替装置33は、媒体Pが搬送される経路を第1経路R1、第2経路R2及び第3経路R3のいずれかに切り替える装置である。切替装置33の詳細について、
図4を参照して説明する。
図4は、切替装置33を拡大して示す図である。切替装置33は、第1仕切り331と、第2仕切り332とを備える。第1仕切り331は軸333を中心に回転し、第1経路R1及び第2経路R2を仕切る部材である。第2仕切り332は軸334を中心に回転し、第1経路R1及び第3経路R3を仕切る部材である。
【0027】
制御装置31は、第1仕切り331及び第2仕切り332を、
図4(a)、(b)及び(c)に示す各状態となるように制御する。
図4(a)では、媒体Pが第1経路R1に搬送されるように第1仕切り331及び第2仕切り332が各経路を仕切っている。また、
図4(b)では媒体Pが第2経路R2に搬送されるように、
図4(c)では媒体Pが第3経路R3に搬送されるように、第1仕切り331及び第2仕切り332が各経路を仕切っている。
【0028】
トレイ34は、第2経路R2で搬送された媒体Pを蓄積する。
収容装置35は、第3経路R3で搬送された媒体Pを収容する収容手段の一例である。収容装置35においては、鉛直方向上側の開口部321から媒体Pが収容され、鉛直方向下側の側面に設けられた開口部322から媒体Pが搬出されるようになっている。
第2搬送装置36は、ローラ等の複数の回転部材を備え、収容装置35の開口部322から媒体Pを搬出し、
図3に示す第4経路R4に沿って第1経路R1まで搬送する。以下では、第2搬送装置36により搬送された媒体Pが第1経路R1に合流する箇所を合流箇所Q1という。
【0029】
[1−2]機能構成
画像形成装置10及び搬送制御装置30は、以上のハードウェア構成に基づき、媒体Pの搬送を制御するための搬送制御処理を行う。制御装置18及び31が各々記憶しているプログラムを実行して各装置を制御することで、以下に述べる機能が実現される。
図5は、画像形成装置10及び搬送制御装置30の機能構成の一例を示す図である。画像形成装置10は、形成手段101と、再形成手段102とを備え、搬送制御装置30は、切替手段301と、送込手段302とを備える。
【0030】
[1−2−1]形成手段101
形成手段101は、順番が決まっている一連の画像を複数の媒体Pにそれぞれ形成する手段の一例である。形成手段101は、
図1及び
図2に示す給紙部11及び画像形成部12により実現される機能である。形成手段101は、例えば外部装置からそのような画像を示す画像データが送信されてくると、給紙部11から媒体Pを1枚ずつ特定の間隔で搬送し、受信した画像データが示す一連の画像を、搬送されてくる各媒体Pに順番に形成する。
【0031】
[1−2−2]再形成手段102
再形成手段102は、形成手段101により形成された画像が判定装置20により不良画像と判定された場合に、その画像を再度媒体Pに形成する手段の一例である。再形成手段102は、給紙部11及び画像形成部12により実現される機能である。再形成手段102には、判定装置20から結果データが供給される。
【0032】
再形成手段102は、供給された結果データに含まれる画像データにより示される画像が不良画像であることがその結果データにより示されている場合に、その画像を媒体Pに形成する。以下では、再形成手段102により媒体Pに形成される画像を「再形成画像」という。再形成手段102は、本実施形態では、結果データが供給されたときに
図2に示す現像部13による現像が開始されている画像(つまり形成されている最中の画像であり、以下では「形成中画像」という)の次に、結果データが示す画像を再形成画像として形成する。形成中画像と再形成画像との関係について、
図6を参照して説明する。
【0033】
図6は、搬送される媒体の様子の一例を示す図である。
図6には、給紙部11から搬出された10枚の媒体p1からp10までが示されている。この例では、媒体p1に形成された画像が判定され、不良画像と判定された瞬間の状態が示されている。
図6に示す状態では、媒体p6にトナー像が二次転写されるとともに、中間転写部14にも既に画像が一次転写されている。この例では3つの画像が一次転写されているものとする。それらの形成中画像は、この例では媒体p7、p8及びp9にそれぞれ形成されることになる。従って、再形成手段102は、媒体p9の次に搬送される媒体p10に再形成画像を形成する。再形成手段102は、形成した再形成画像を示す再形成画像データを、切替手段301に出力する。
【0034】
[1−2−3]切替手段301
切替手段301は、媒体Pが搬送される経路を切り替える手段の一例である。切替手段301は、制御装置31及び切替装置33により実現される機能である。切替手段301は、媒体Pに形成された画像が或る基準を満たすか否かに応じて経路を切り替える。本実施形態では、媒体Pに形成された画像が良画像である場合に満たされる基準、すなわち、判定装置20により媒体Pから読み取られた画像とその媒体Pに画像を形成する際に用いられた画像データが示す画像とが一致している場合に満たされる基準が用いられる。
【0035】
以下では、媒体Pのうち、良画像が形成された媒体、すなわち形成された画像が基準を満たす媒体を第1媒体といい、不良画像が形成された媒体、すなわち形成された画像が基準を満たさない媒体を第2媒体という。また、第2媒体のあとに画像が形成され且つその画像が基準を満たす媒体を第3媒体という。切替手段301には、判定装置20から出力された結果データ、すなわち媒体Pに形成された画像が良画像と不良画像のいずれと判定されたかを示すデータが、媒体の判定が行われる度に順次供給される。切替手段301は、供給された結果データが示す内容に基づいて、判定装置20から搬送されてくる媒体Pが第1、第2及び第3媒体のいずれであるかを判断し、第1媒体P1は第1経路R1で搬送させ、第2媒体P2は前記第2経路R2で搬送させ、第3媒体P3は前記第3経路R3で搬送されるように、各媒体の経路を切り替える。
【0036】
また、画像形成システム1においては、第2媒体、すなわち形成された画像が基準を満たさない媒体が見つかった場合、上記のとおり再形成手段102が再形成画像を媒体Pに形成し、再形成画像データを切替手段301に出力する。切替手段301は、出力されてきた再形成画像データの示す画像と判定装置20から出力されてきた結果データの示す画像とが一致し、媒体Pに形成された画像(この場合、再形成画像)が良画像と判定されたことがその結果データにより示されていた場合、その媒体Pは第1経路R1で搬送されるように経路を切り替える。この媒体Pは、第2媒体に形成されていた画像(つまり不良画像と判定された画像)が形成され且つその画像が基準を満たす媒体であり、以下では第4媒体という。つまり、切替手段301は、第4媒体は第1経路R1で搬送されるように経路を切り替える。切替手段301は、第4媒体の経路を切り替えると、その旨を送込手段302に通知する。
【0037】
[1−2−4]送込手段302
送込手段302は、収容装置35に収容された第3媒体を、収容された順番で、第4媒体よりもあとに搬送されるように第1経路R1に送り込む手段の一例である。送込手段302は、制御装置31及び第2搬送装置36により実現される機能である。送込手段302は、切替手段301から第4媒体の経路が切り替えられたことが通知されると、第2搬送装置36を稼働させて第3媒体を搬送し、第1経路R1に送り込む。送込手段302は、この送り込みを、収容装置35に収容されている第3媒体がなくなるまで続ける。
【0038】
図7は、媒体が搬送される順番の一例を示す図である。この例では、30の一連の画像(図中の1から30までの番号が各画像の先頭からの順番を示している)が複数の媒体Pにそれぞれ形成されている。
図7(a)では、画像形成装置10によりこれらの一連の画像が形成される順番が示されている。この例では、良画像と判定された1から4番目までの画像が形成された第1媒体と、不良画像と判定された5番目の画像が形成された第2媒体が示されている。また、良画像と判定された6から13番目までの画像が形成された第3媒体と、それに続いて良画像と判定された5番目の再形成画像が形成された第4媒体と、それに続いて良画像と判定された14から30番目までの画像が形成された第3媒体とが示されている。
【0039】
図7(b)では、
図7(a)に示す媒体Pが第1経路R1を通って搬送制御装置30から搬出される順番が示されている。この例では、1から4番目までの画像が形成された第1媒体に続き、5番目の再形成画像が形成された第4媒体が搬出され、そのあとに、6から30番目までの画像が形成された第3媒体が順番に搬出されている。
図7(a)では、13番目の画像の次に5番目の画像が形成され、その次に14番目の画像が形成されている。つまり、画像が形成される順番が一連の画像に対して決められた順番どおりになっていない。一方、
図7(b)では、複数の媒体にそれぞれ形成された各画像が決められた順番通りに並んでいる。つまり、複数の媒体が第1経路R1を通って搬出されるときには、それらの媒体にそれぞれ形成された各画像が決められた順番通りに並ぶようになっている。
送込手段302は、以上のとおり第3媒体P3を第1経路R1に送り込み、その送り込みを終了すると、その旨を形成手段101に通知する。
【0040】
[1−2−5]形成手段101
形成手段101は、本実施形態では、送込手段302に一連の画像の形成が終了したことを通知したあとは、他の画像データを受信していても、送込手段302から第3媒体P3の送り込みを終了した旨(または送り込みがまもなく終了する旨)が通知されるまでは、その画像データを用いた画像の形成を開始せずに待機する。形成手段101は、送込手段302からの通知がされたことを契機として、画像の形成を開始する。
【0041】
[1−3]動作
搬送制御装置30は、以上の構成に基づき、上述した搬送制御処理を行う。
図8は、搬送制御処理における搬送制御装置30の動作の一例を示すフロー図である。搬送制御装置30は、画像形成装置10による画像の形成が開始され、形成された画像の判定を判定装置20が行い、その結果データを受け取ることを契機に搬送制御処理を開始する。搬送制御装置30は、まず、判定装置20からの結果データを受け取る(ステップS11)。
【0042】
次に、搬送制御装置30は、受け取った結果データに基づいて、媒体Pに形成された画像が良画像と判定されたか否かを判断し(ステップS12)、良画像ではない(つまり不良画像)と判定された(NO)と判断した場合には、その媒体P(この場合第2媒体P2となる)を第2経路R2で搬送する(ステップS13)。そして、搬送制御装置30は、判定装置20からの結果データの出力が終わったか否かを判断し(ステップS20)、終わっていない(NO)と判断した場合には、ステップS11に戻って動作を行う。具体的には、搬送制御装置30は、結果データを受け取ってから決められた時間(例えば5秒)が経過しても次の結果データが出力されていない場合に、結果データの出力が終わったと判断する。
【0043】
搬送制御装置30は、ステップS12において良画像と判定された(YES)と判断した場合には、その媒体Pが第2媒体のあとに画像が形成された媒体であるか否かを判断し(ステップS14)、そうではない(NO)と判断した場合には、その媒体P(この場合第1媒体P1となる)を第1経路R1で搬送する(ステップS15)。具体的には、搬送制御装置30は、搬送制御処理を開始してからステップS13の動作をまだ行っていない場合に、第2媒体のあとに画像が形成された媒体ではないと判断し、既にステップS13の動作を行っていた場合に、第2媒体のあとに画像が形成された媒体であると判断する。
【0044】
搬送制御装置30は、ステップS14において第2媒体のあとに画像が形成された媒体である(YES)と判断した場合には、媒体Pに形成された画像が再形成画像であるか否かを判断する(ステップS16)。搬送制御装置30は、ステップS16で再形成画像である(YES)と判断した場合には、その媒体P(この場合第4媒体となる)を第1経路R1で搬送し(ステップS17)、第3媒体P3の第1経路R1への送り込みを開始する(ステップS18)。搬送制御装置30は、ステップS15及びS18のあとも、ステップS20の動作を行う。
【0045】
搬送制御装置30は、ステップS16で再形成画像ではない(NO)と判断した場合には、その判断をした媒体P(この場合第3媒体P3となる)を第3経路R3で搬送する(ステップS19)。そして、搬送制御装置30は、ステップS20の動作を行い、出力が終わった(YES)と判断した場合には、第3媒体P3の第1経路R1への送り込みが終了したか否かを判断する(ステップS21)。搬送制御装置30は、送り込みが終了した(YES)と判断するまでステップS21の動作を繰り返し行い、終了したと判断すると、第3媒体の送り込みが終了した旨を画像形成装置10に通知して(ステップS22)、搬送制御処理を終了する。ステップS11からS17までとS19は、第1搬送装置32及び切替手段301が行う動作である。また、ステップS18、S21及びS22は、送込手段302が行う動作である。
【0046】
[1−4]第1実施形態による効果
本実施形態では、
図7の説明で述べたように、画像が形成される順番が一連の画像に対して決められた順番どおりになっていない場合であっても、複数の媒体が第1経路R1を通って搬出されるときには、それらの媒体にそれぞれ形成された各画像が決められた順番通りに並ぶようになっている。このような本実施形態によれば、複数の媒体の中に基準を満たさない画像の形成された媒体が含まれている場合でも、基準を満たす画像の形成された媒体が決められた順番で搬出されることになる。
【0047】
[2]第2実施形態
本発明の第2実施形態について、以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。第1実施形態では、第3媒体の送り込みが開始されたあとも、媒体への画像の形成が続けられたが、第2実施形態では、第3媒体の送り込みがされているときには、媒体への画像の形成が停止する。
【0048】
[2−1]機能構成
図9は、第2実施形態における各装置の機能構成の一例を示す図である。この例では、
図5に示す各手段に加え、指示手段303を備える搬送制御装置30aが示されている。送込手段302は、第3媒体の送り込みが終了すると、その旨を切替手段301に通知する。切替手段301は、この通知に基づき、送込手段302により送り込まれた第3媒体よりもあとに第1経路R1から搬出される媒体については、形成された画像が基準を満たさない媒体(つまり不良画像が形成された媒体)が第2媒体として搬送されるまでは、形成された画像が基準を満たす媒体(つまり良画像が形成された媒体)が第1媒体として第1経路R1で搬送させるように経路を切り替える。また、切替手段301は、判定装置20から搬送されてくる媒体が第1、第2、第3及び第4媒体のいずれであるかを判断した結果を指示手段303に通知する。
【0049】
指示手段303は、媒体Pに画像を形成する画像形成手段(
図1等に示す画像形成部12)に対して、第2媒体P2が第2経路R2で搬送される場合に画像の形成を停止させ、定められた条件(以下「再開条件」という)が満たされたときに画像の形成を再開させることを指示する手段の一例である。指示手段303は、本実施形態では、画像の形成を停止させてから収容装置35に収容されている第3媒体P3の量(以下「収容量」という)に応じた時間が経過した場合に再開条件が満たされたとして画像の形成を再開させるように指示を行う。つまり、指示手段303により指示された時間だけ画像の形成が停止することになる。以下ではこの時間のことを「停止時間」という。収容量は、例えば収容されている第3媒体P3の枚数で表される。
【0050】
指示手段303は、停止時間と収容量との相関を示す第1相関データを記憶している。
図10は、第1相関データの一例を示す図である。この例では、縦軸が停止時間T(単位は秒)を示し、横軸が収容量U(単位は枚)を示すグラフによって、停止時間Tと収容量Uとの相関が表されている。例えば、収容量Uが1枚だと停止時間TがT1秒であり、あとは収容量Uの増加に比例して停止時間Tも増加するという相関が表されている。指示手段303は、切替手段301から通知される内容に基づいて第3媒体が搬送された数を計数し、計数した数を収容量Uとして用いる。指示手段303は、切替手段301から第2媒体P2が搬送されたことが通知されると、計数した収容量Uに第1相関データで対応している停止時間Tを特定し、特定した停止時間Tが経過するまで画像の形成を停止することを指示する指示データを画像形成装置10に送信する。
【0051】
指示データは形成手段101及び再形成手段102に供給される。形成手段101は、供給された指示データが示すように画像の形成を停止して、停止時間Tが経過するまでその状態を維持する。再形成手段102は、指示データが供給される前に、第1実施形態で述べたように、判定装置20から供給される結果データに基づいて再形成画像を媒体Pに形成している。再形成手段102は、そのあとに指示データが供給されると、それに基づいて画像の形成を停止時間Tが経過するまで停止する(つまり、不良画像が判定されたことを示す結果データが供給されても再形成画像を形成しない)。形成手段101及び再形成手段102は、停止時間Tが経過したあとは、それぞれ画像の形成を再開する。このように、指示手段303は指示データを送信することで上記の指示を行う。
【0052】
図11は、媒体が搬送される順番の一例を示す図である。この例では、
図7に示した一連の画像が複数の媒体Pにそれぞれ形成されている。
図11(a)では、画像形成装置10によりこれらの一連の画像が形成される順番が示されている。この例では、
図7の例のように1から4番目までが第1媒体、5番目が第2媒体となっている。この第2媒体が第2経路R2を搬送されるように切替手段301による切り替えが行われると、指示手段303は、画像の形成を停止するように指示する。このとき、既に画像の形成が開始されている6から13番目までの画像は、第3媒体として収容装置35に搬送される。13番目の画像の次には、再形成手段102により再形成画像である5番目の画像が第4媒体に形成される。
【0053】
画像形成システム1では、停止時間Tが経過してから画像の形成が再開されることで、再開後に搬送される媒体の先頭、すなわち14番目の画像が形成された媒体Pが第1経路R1を搬送された場合に、
図7に示す合流箇所Q1に到達する前に、収容装置35に収容されていた第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれて合流箇所Q1を通過するようになっている。言い換えると、そうなるように停止時間Tと収容量Uとの相関が決められている。具体的には、画像の形成が開始されてからその画像が形成された媒体の先頭が合流箇所Q1に到達するまでに要する時間Taと、各収容量Uにおいて第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでに要する時間Tb(U)とを測定しておき、T=Tb(U)−Ta+αを上記相関として定める。αは、搬送される媒体同士の距離を表す。なお、指示手段303は、搬送される媒体の搬送方向のサイズなどに応じてαの大きさを変更してもよいし、媒体同士の距離に安全のためのマージンを加えた長さをαとしてもよい。
【0054】
以上のとおり第1相関データが定められることで、14番目の画像が形成された媒体Pは、13番目の画像が形成された媒体Pよりもあとに第1経路R1から搬出されることになる。ここで、本実施形態では切替手段301が、上記のとおり、第3媒体よりもあとに第1経路R1から搬出される媒体については、形成された画像が基準を満たす媒体が第1経路R1を搬送されるように切り替えを行うため、14番目以降の画像が基準を満たす場合、
図11(a)に示すようにそれらは第1媒体として第1経路R1を搬送されることになる。なお、切替手段301は、第3媒体の送り込みが行われたあとに判定装置20から搬送されてくる媒体であれば、第3媒体よりもあとに第1経路R1から搬出される媒体とみなして切り替えを行う。
【0055】
図11(b)では、
図11(a)に示す媒体Pが搬送制御装置30から搬出される順番が示されている。この例では、1から4番目までの画像が形成された第1媒体に続き、5番目の再形成画像が形成された第4媒体が搬出され、そのあとに、画像の形成が停止する前に収容装置35に収容されていた6から13番目までの第3媒体が搬出され、そこから30番目までの画像が形成された媒体が第1媒体として順番に搬出されている。このように、画像が形成される順番は一連の画像に決められた順番どおりになっていなくても、搬送制御装置30から搬出されるときには、複数の媒体Pに形成された各画像がその順番通りに並べられるようになっている。
【0056】
[2−2]動作
図12は、第2実施形態の搬送制御処理の一例を示すフロー図である。本実施形態では、搬送制御装置30は、
図8に示すステップS11(結果データの受け取り)からステップS20(結果データの出力が終わったか否かの判断)の動作を行う。その際、搬送制御装置30は、ステップS13(第2経路で搬送)の動作のあとに、画像形成装置10の画像形成部12に対して画像の形成を停止することを指示する(ステップS31)。ステップS31は指示手段303が行う動作である。また、搬送制御装置30は、ステップS20において結果データの出力が終わった(YES)と判断した場合には、搬送制御処理を終了する。
【0057】
[2−3]第2実施形態による効果
本実施形態では、第2媒体が第2経路で搬送される場合に画像の形成が停止する。これにより、
図11に示すように、第2及び第4媒体で挟まれた媒体は第3媒体として収容装置35に収容されるが、第4媒体よりもあとの媒体は第1媒体として搬送され、収容装置35に収容されない。ここで画像の形成を停止させないと、第4媒体よりもあとに形成される媒体も、第3媒体として収容装置35に収容されることになる。つまり、本実施形態によれば、画像の形成を停止させない場合に比べて、収容手段に収容される媒体の量が少なくなる。
【0058】
また、上記のように停止時間Tだけ画像の形成を停止させる場合、停止時間Tが長くなるほど、画像を形成させる媒体の単位時間あたりの量が少なくなり、生産性が低くなるから、停止時間Tはできるだけ短いことが望ましい。より詳細に言うと、停止時間Tを短くして、第1経路に送り込まれる第3媒体の後端と、再開後に搬送される媒体の先頭との距離を小さくするほど、単位時間あたりにより多くの画像が形成されて生産性が向上する。収容された第3媒体の全てが第1経路に送り出されるまでに要する時間は、収容量(収容装置35に収容された第3媒体の量)に応じて変化する。本実施形態では、その収容量に応じたタイミングで(具体的には収容量に応じた停止時間Tが経過した場合に)画像の形成を再開させることで、収容量、すなわち第3媒体の量に関係ないタイミングで画像の形成を再開させる場合に比べて、再開後に搬送される媒体の先頭と第3媒体の後端との距離が小さくなりやすくなり、画像の形成の生産性が向上する。
【0059】
[3]変形例
上述した各実施形態は、それぞれが本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した各実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じてそれぞれ組み合わせて実施してもよい。
【0060】
[3−1]収容量
第2実施形態において、収容量、すなわち収容装置35に収容されている第3媒体P3の量は、上記実施形態では収容されている第3媒体P3の枚数で表されたが、これとは異なる方法で表されてもよい。具体例として、収容されている第3媒体の各々に、それぞれの搬送方向のサイズに応じた重みを付けて、それらの重みを合計した値を収容量とする方法がある。例えば、A4横(媒体の長辺を横に向けて搬送されるといこと。この場合、搬送方向のサイズは媒体の短辺の長さになる)、B4横、A4縦及びB4縦という第3媒体のサイズに対して、1.0、1.2、1.4及び1.6という重みを定めておく。
【0061】
図11に示す例において第3媒体の搬送方向のサイズがA4縦であれば、6から13番目の画像が形成された8枚の第3媒体の収容量は1.4×8=11.2と表される。媒体の搬送方向のサイズが大きいほど、搬送に要する時間が長くなり、収容されている第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでに要する時間も長くなる。媒体の搬送方向のサイズが大きいほど収容量も大きくなるようにしておくことで、収容量に応じて決まる停止時間も大きくなり、第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでは再開後に画像が形成された媒体が合流箇所Q1に到達しないように停止時間が確保されやすくなる。
【0062】
[3−2]停止時間Tの決め方
指示手段303は、
図10の例とは異なる方法で停止時間Tを決めてもよい。例えば、指示手段303は、
図10に示す第1相関データのように一次式で変化する相関ではなく、二次式等で変化する相関を表す相関データを用いたり、収容量の範囲と停止時間Tとを対応付けたテーブルを用いたりして停止時間Tを決めてもよい。また、停止時間Tには、収容装置35に収容可能な媒体の枚数に応じて上限が定められていてもよい。
【0063】
[3−3]停止時間を変化
指示手段303は、上記のように決めた停止時間を、さらに変化させてもよい。例えば、指示手段303は、第3媒体の搬送方向のサイズまたは媒体に形成される画像の解像度に応じて停止時間Tを変化させて指示を行う。指示手段303は、例えば係数Kを乗じることで停止時間Tを変化させる。指示手段303は、第3媒体の搬送方向のサイズと係数Kとを対応付けた第1係数テーブルまたは媒体に形成される画像の解像度と係数Kとを対応付けた第2係数テーブルを記憶している。
【0064】
図13は、第1及び第2係数テーブルの一例を示す図である。
図13(a)では第1係数テーブルの一例が示されている。この例では、「300以上」、「200以上300未満」及び「200未満」という第3媒体の搬送方向のサイズ(単位はmm)に、「1.50」、「1.25」及び「1.00」という係数Kがそれぞれ対応付けられている。指示手段303は、例えば収容量に応じた停止時間Tが10秒であり、且つ、A4縦の長さである297mmが第3媒体の搬送方向のサイズである場合、「200以上300未満」に対応付けられた「1.25」という係数Kを10秒に乗じた12.5秒という時間に停止時間Tを変化させる。
【0065】
図13(b)では第2係数テーブルの一例が示されている。この例では、「300以上」、「150以上300未満」及び「150未満」という画像の解像度(単位はdpi(dot per inch))に、「1.00」、「1.25」及び「1.50」という係数Kがそれぞれ対応付けられている。指示手段303は、例えば収容量に応じた停止時間Tが10秒であり、且つ、画像の解像度が130dpiである場合、「150未満」に対応付けられた「1.50」という係数Kを10秒に乗じた15.0秒という時間に停止時間Tを変化させる。
【0066】
媒体の搬送方向のサイズが大きいほど、上述したように、収容されている第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでに要する時間が長くなる。また、画像の解像度が低いほど、画像が形成される速度が速くなり、画像の形成が再開されてから最初の媒体が合流箇所Q1に到達するまでに要する時間が短くなる。これらの場合には、いずれも、停止時間Tをより長くして、画像の形成が再開されたあとに搬送されてくる媒体と第3媒体とが合流箇所Q1において衝突しないようにする必要がある。本変形例では、例えば
図13の例のように停止時間Tを変化させることで、第3媒体の搬送方向のサイズまたは画像の解像度に関係なく指示を行う場合に比べて、画像の形成が再開されたあとに搬送されてくる媒体と第3媒体との衝突が生じにくくなる。
【0067】
[3−4]再開条件
指示手段303は、上記の各例では停止時間Tに基づいて満たされる再開条件(画像の形成を再開させるための条件)を用いたが、これに限らず、例えば収容量に基づいて満たされる再開条件を用いてもよい。指示手段303は、例えば、収容装置35に収容されている第3媒体の量、すなわち収容量が閾値以下になった場合に、再開条件が満たされたとして画像の形成を再開させるように指示を行う。
【0068】
この閾値は、例えば上述した時間Ta(画像の形成が開始されてからその画像が形成された媒体の先頭が合流箇所Q1に到達するまでに要する時間)と時間Tb(U)(各収容量Uにおいて第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでに要する時間)とに基づいて定められる。例えば、時間Taよりも大きい時間Tb(U)のうち、最も小さい収容量Uminを閾値として定めればよい。なお、時間Taと時間Tb(U)との差が小さすぎると、媒体同士の距離が短くなりすぎることがあるので、この差が閾値未満である場合には、収容量Uminよりも1段階大きい収容量を閾値としてもよい。
【0069】
1段階大きい収容量とは、収容量が枚数で表される場合には単に1枚多い収容量であり、上記の変形例のように重みを付けて収容量を表す場合にはその重みを第3媒体の1枚分だけ増やした収容量である。この場合、指示手段303は、収容量UがUmin以下になった場合に、画像の形成を再開することを指示する指示データを画像形成装置10に送信することで、画像の形成の再開を指示する。これにより、収容量、すなわち収容手段に収容されている第3媒体の量に関係なく指示を行う場合に比べて、再開後に搬送される媒体の先頭と第3媒体の後端との距離が小さくなりやくなる。
【0070】
[3−5]搬送速度の調整
第2実施形態においては、画像の形成が再開されたあとに搬送されてくる媒体と第3媒体とが合流箇所Q1において一定の距離以上近づかないように停止時間Tが決められる。
図11で述べた例であれば、停止時間T=Tb(U)−Ta+αという相関を用いて停止時間Tが決められる。しかし、例えば
図3に示す第2搬送装置36の回転部材が収容装置35から第3媒体を送り出すときに媒体と回転部材とで滑りが生じて、想定されていた時間Tb(U)よりも第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれるまでに要する時間が長くなる場合がある。その場合に媒体の衝突を回避するための処理(以下「回避処理」という)が行われてもよい。
【0071】
図14は、本変形例における搬送制御装置の機能構成の一例を示す図である。この例では、切替手段301と、送込手段302bと、指示手段303と、調整手段304とを備える搬送制御装置30bが示されている。送込手段302bは、
図3に示す第4経路R4に媒体を検知するセンサを複数備え、第4経路R4における第3媒体の位置及び速度を計測し、その計測データを調整手段304に供給する。指示手段303は、画像形成装置10に指示データを送信する際に、調整手段304にも指示データを供給する。
【0072】
調整手段304は、指示手段303による再開の指示のあとに画像が形成された媒体の先頭と第3媒体の後端との距離(以下「第1距離」という)が閾値未満となる場合に、第1経路R1のうち第3媒体が送り込まれる位置(すなわち合流箇所Q1)よりも上流側における搬送速度を下流側に比べて遅くするように第1搬送装置32の搬送速度を調整する手段の一例である。調整手段304は、制御装置31により実現される機能である。
【0073】
調整手段304は、供給された指示データが示す停止時間Tから、再開後に画像が形成された媒体の先頭が合流箇所Q1に到達する第1時刻を算出する。また、調整手段304は、供給された計測データから、第3媒体の後端が合流箇所Q1を通過する第2時刻を算出する。また、調整手段304は、第1搬送装置32が備える回転部材の回転速度から第1経路R1における現時点の搬送速度を算出する。調整手段304は、第1時刻と第2時刻との差に算出した搬送速度を乗じた値を第1距離として算出する。
【0074】
調整手段304は、閾値として例えば上記のα(搬送される媒体同士の距離などを表す値)を用いる。調整手段304は、第1距離の算出を決められた時間の間隔(例えば0.1秒毎)に行い、算出した第1距離が閾値未満となる場合に、第1搬送装置32を制御して各回転部材の回転速度を変更し、前述したように搬送速度を調整する。このように搬送速度が調整されると、調整がされない場合に比べて、再開の指示のあとに画像が形成された媒体の先頭が合流箇所Q1に到達する時刻が遅くなる。これにより、搬送速度を上記のように調整させない場合に比べて、媒体同士が接触しにくくなる。
【0075】
[3−6]画像形成の中途停止時に送り込み
送込手段302は、上述した各実施形態とは異なるタイミングで第3媒体の送り込みを行ってもよい。媒体に画像を形成する画像形成手段には、画像形成の途中であっても、画像の濃度や各現像ユニットが形成するトナー像の位置のずれなどを調節する(これをセットアップともいう)ために、画像形成を一時的に停止するものがある。このような停止を以下では「中途停止」という。画像形成装置10がそのような画像形成手段を備えていれば、送込手段302は、画像形成手段が一連の画像の形成を途中で停止している場合に、第3媒体を第1経路R1に送り込む。
【0076】
中途停止には、数秒間だけ停止させるものもあれば、数分間停止させるものもある。送込手段302は、中途停止がされているときに第3媒体の送り込みが完了しなければ、次の中途停止がされたときに第3媒体を送り込む。このように送込手段302が中途停止が行われる度に第3媒体の送り込みを行うことで、画像の形成の停止中に第3媒体を送り込まない場合に比べて、収容装置35に収容されている媒体の量が少なくなる。これにより、同様の場合に比べて、第3媒体が収容装置35に収容しきれなくなることが起こりにくくなる。また、第1実施形態における送り込みと併用したときには、次の画像の形成の開始が早まることになり、第2実施形態における送り込みと併用したときには、停止時間Tが短くなる。これらの場合には、画像の形成の生産性も向上する。
【0077】
[3−7]送り込みの開始タイミング
送込手段302は、第3媒体を第1経路R1に送り込むタイミングを変動させてもよい。例えば、送込手段302は、第4媒体に形成された画像が基準を満たすことが分かったあと、第1経路R1を媒体Pが搬送される速度(以下「第1搬送速度」という)に応じた時間(以下「速度対応時間」という)が経過した場合に、第3媒体P3を第1経路R1に送り込む。送込手段302は、第1搬送速度と速度対応時間とを対応付けた時間テーブルを記憶している。
【0078】
図15は、時間テーブルの一例を示す図である。この例では、「100未満」、「100以上200未満」及び「200以上」という第1搬送速度(単位はmm毎秒)と、「2」、「1.5」及び「1」という速度対応時間(単位は秒)とがそれぞれ対応付けられている。第1搬送装置32は、制御装置31により制御されて第1搬送速度で媒体Pを搬送する。送込手段302は、例えば第1搬送速度が150mm毎秒である場合に、その第1搬送速度に時間テーブルにおいて対応付けられている1.5秒を速度対応時間とする。
【0079】
送込手段302には、判定装置20から出力されてきた結果データが供給される。この結果データにより再形成画像が良画像であると判定されたことが示されている場合、この結果データの内容を読み取った時刻が第4媒体に形成された画像が基準を満たすことが分かった時刻となる。送込手段302は、上記の例では、この時刻から1.5秒が経過したときに、第3媒体P3を第1経路R1に送り込む。
【0080】
より詳細には、送込手段302は、
図3に示す開口部322から合流箇所Q1まで第4経路R4に沿って媒体Pを搬送するのに要する時間(つまり媒体Pの送り込みに要する時間であり、以下「送込時間」という)を予め記憶しておき、上記時刻のあと、速度対応時間から送込時間を減じた時間が経過したときに送り込みを開始する。これにより、第4媒体に形成された画像が基準を満たすことが分かったあと1.5秒が経過したとき第3媒体P3が第1経路R1に合流することになる。
【0081】
第1搬送速度は、画像形成装置10において画像が形成されるプロセスの速度や、後処理装置40における後処理の内容によって変化することがある。第1搬送速度が変化すると、第4媒体が合流箇所Q1に到達する時刻が変化する。本変形例では、上記のとおり第1搬送速度に応じたタイミングで第3媒体を第1経路R1に送り込むことで、このように変化する時刻に合わせて第3媒体が第1経路R1に送り込まれることになる。これにより、速度対応時間に関係ないタイミングで第3媒体を第1経路R1に送り込む場合に比べて、第3媒体の先頭と第4媒体との距離が狙った長さに近づけやすくなる。
【0082】
なお、第1搬送速度は、前述したとおり画像が形成されるプロセスの速度によって変化することがあり、このプロセスの速度は、媒体の搬送方向のサイズまたは媒体に形成される画像の解像度に応じて変化することがある。従って、送込手段302は、第1搬送速度の代わりに、これらのサイズまたは解像度に応じた時間が経過した場合に、第3媒体を前記第1経路に送り込んでもよい。この場合も、上記のとおり、第3媒体の先頭と第4媒体との距離が狙った長さに近づけやすくなる。
【0083】
[3−8]送り込み終了の通知
第1実施形態において、送込手段302は、第3媒体P3の送り込みが終了した旨を形成手段101に通知する際、実際に送り込みが終了するよりも決められた時間だけ前に、送り込みがまもなく終了する旨を通知するようにしてもよい。決められた時間とは、例えば、上述した時間Ta、すなわち、画像の形成が開始されてからその画像が形成された媒体の先頭が合流箇所Q1に到達するまでに要する時間である。この場合、形成手段101は、送り込みが終了するよりも時間Taだけ前に次の画像データによる画像の形成を開始する。これにより、このような通知が行われない場合に比べて、前の画像データの画像が形成された媒体の後端と次の画像データの画像が形成された媒体の先頭との距離が小さくなり、画像形成の生産性が向上する。
【0084】
[3−9]送り込み終了の通知
第1実施形態において、形成手段101は、送り込みの終了の通知に関係なく次の画像データの画像の形成を開始してもよい。この場合、収容装置35に第3媒体が収容されていれば、次の画像データの画像が形成された媒体も、形成された画像が良画像と判定されても第3媒体として収容装置35に終了されることになる。そして、画像形成装置10が次の画像データを受信するまでに十分な時間が空いて収容された第3媒体が全て第1経路R1に送り込まれた場合に、それ以降に形成される画像は良画像と判定されれば第1経路R1に搬送されることになる。
【0085】
[3−10]判定装置による判定
判定装置は、上記とは異なる判定を行ってもよい。判定装置は、例えば、媒体に形成された画像の決められた位置に決められた画像(例えばロゴや透かし画像など)が形成されているか否かを判定したり、画像中の濃度が共通しているはずの部分における濃度が一定に保たれているか否かを判定したりしてもよい。要するに、判定装置は、画像形成装置10により媒体に形成された画像が或る基準を満たしているか否かを判定するものであれば、どのような基準について判定を行ってもよい。
【0086】
[3−11]ハードウェアの構成
上述した各実施形態では、画像形成装置10、判定装置20、搬送制御装置30及び後処理装置40はそれぞれ異なる筐体であったが、共通の筐体に設けられていてもよい。また、画像形成装置は、上述した実施形態では、電子写真方式でカラーの画像を媒体に形成するものであったが、これに限らず、白黒の画像を形成するものであってもよいし、インクジェット方式で画像を形成するものであってもよい。要するに、画像形成装置は、順番が決まっている一連の画像を複数の媒体Pにそれぞれ形成する手段として機能するものであればよい。
【0087】
[3−12]或る事項に応じた動作
図13等で説明した動作において用いられるテーブルは、それらの図に示したものに限らない。例えば、テーブルの行数は2以上であればいくつでもよい。また、昇順(または降順)に並べられているものを降順(または昇順)に並び替えてもよいし、そのような順番に関係なく並び替えをしてもよい。また、テーブルを用いずに、各セルの内容を数値で表し、数式を用いて算出される値を用いてもよい。
図13(a)の例であれば、例えば、第3媒体の搬送方向のサイズ(単位はmm)をそのまま用いて、このサイズを200で除した値を係数Kとする、といった具合である。この場合、例えばサイズ250mmであれば、250÷200=1.25という係数Kが算出されることになる。要するに、これらの動作では、或る事項(
図13(a)の例であれば第3媒体の搬送方向のサイズ)に応じて他の事項(
図13(a)の例であれば係数K)が決まるようになっていればよい。
【0088】
[3−13]発明のカテゴリ
本発明は、例えば上述した搬送制御装置及び画像形成システムとして捉えられる。また、本発明は、その他にも、これらの装置及びシステムが実施する処理を実現するための処理方法としても捉えられる。ここでいう処理とは、例えば、
図8等に示す搬送制御処理である。また、本発明は、これらの装置及びシステムのような制御装置を備えるコンピュータを、
図5等に示す手段として機能させるためのプログラムとしても捉えられるものである。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態でも提供されたりするものであってもよい。