(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパウダートッピング装置として、例えば本出願人がすでに出願した特許文献1に記載されたものが知られている。このパウダートッピング装置は、上下方向に移動自在の円筒状のパウダー容器と、このパウダー容器を、最上位の待機位置と最下位のトッピング位置との間で昇降駆動する駆動機構などを備えている。パウダー容器の底部には、切り抜かれた所定の図柄に網目を有するステンシルが設けられている。このパウダートッピング装置を内蔵するカップ式自動販売機では、カプチーノなどのコーヒーやミルクティーなどの紅茶がカップに注ぎ入れられた後、そのカップがパウダー容器の真下に搬送され、カップ内の飲料に、ココアや抹茶などのパウダーがトッピングされる。
【0003】
具体的には、パウダー容器を所定回数、昇降させ、特に、ばねの付勢力でトッピング位置に勢い良く下降させることによって、そのパウダー容器に衝撃を付与する。この衝撃により、パウダー容器内のパウダーが、ステンシルの図柄の網目を介して落下する。これにより、カップ内の飲料の液面上に、所定の図柄が描かれるように、パウダーがトッピングされる。
【0004】
しかし、上記のパウダートッピング装置では、パウダー容器内のパウダーを篩い落とすようにして払い出すため、トッピングされるパウダーの量が安定しない。このため、飲料の販売ごとに、パウダーによる図柄の濃淡が異なることがあり、飲料の液面上における図柄の描画精度が不十分であった。そこで、本出願人は、パウダー容器からのパウダーの払出し手法を改良し、新たなパウダートッピング装置として出願した(特許文献2参照)。
【0005】
このパウダートッピング装置では、パウダー容器内のステンシル上でパウダー払出し羽根を回転させることによって、パウダーを払い出すようになっている。具体的には、パウダー払出し羽根は、ステンシル上に接した状態でパウダー容器内の径方向に延びる羽根本体と、上下方向に延び、下端部が羽根本体の中央部に連結されるとともに、上部がパウダー容器から上方に突出する回転軸とで構成されている。羽根本体は、その中央部から、径方向に沿って互いに反対方向にアーム状に延びる2つの羽根部を有している。そして、トッピング時には、回転軸がモータ又は手動によって回転駆動され、その回転軸と一体に羽根本体が回転しながら、ステンシル上を摺動する。これにより、パウダー容器内のパウダーを、羽根本体の両羽根部でステンシルの上面に押し付けながら、その下方に適度に払い出すことができ、所定量のパウダーの払出しを安定して行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、このパウダートッピング装置では、パウダー払出し羽根は、羽根本体の中央部が回転軸の下端部に固定されるとともに、その羽根本体の中央部から両羽根部が径方向に沿って延びている。このため、パウダー払出し羽根を回転させながらパウダー容器内のパウダーを払い出す際には、次のような問題がある。
【0008】
すなわち、パウダー容器内のパウダーは、回転する羽根本体の両羽根部によってステンシルに押し付けながら払い出されるものの、両羽根部の間、すなわち、回転軸の真下に対応し、羽根本体の回転中心である中央部の下方には、パウダーを十分に払い出すことができない。また、羽根本体の回転によってパウダーに作用する力は、羽根本体の中央部から遠いほど大きく、その中央部側ほど小さい。加えて、その力は、回転軸を中心とする同心円の接線方向や、その接線方向に対し若干外向きに作用する。
【0009】
このため、羽根本体の中央部の真下に存在するパウダーに対し、それを払い出すために作用する力が小さく、しかもそのパウダーの密度が低くなってしまう。その結果、羽根本体の中央部に対応するステンシルの中央から、パウダーを十分に払い出せず、それにより、そのステンシルの中央に対応する、飲料の液面上における図柄が、その外側部分よりも薄くなってしまうことがある。この点において、上記のパウダートッピング装置には、改善の余地がある。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、パウダーをステンシルの中央側に送り出しながら、ステンシルの下方に払い出すことができ、それにより、そのパウダーによって、飲料の液面上に、全体として均一でかつ高精細な図柄を描くことができるパウダートッピング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、カップ内の飲料に食用のパウダーをトッピングするパウダートッピング装置であって、上下方向に延びる筒状に形成され、内部にパウダーを収容するパウダー容器と、上下方向に貫通する多数の細孔によって形成された所定の図柄を有し、パウダー容器の底面開口を塞ぐように、パウダー容器の底部に設けられたステンシルと、駆動手段と、パウダー容器内に設けられ、ステンシルの中央を通る鉛直軸線を中心として、鉛直軸線から径方向にアーム状に延びかつステンシルの上面に沿って摺動しながら回転自在に構成され、トッピング時に、駆動手段によって回転駆動されることにより、パウダー容器内のパウダーを、多数の細孔を介してステンシルの下方に払い出すパウダー払出し部材と、を備え、パウダー払出し部材は、パウダー払出し部材の回転に伴い、パウダーをステンシルの中央側に送り出すための中央側送出し部を有して
おり、中央側送出し部は、パウダー払出し部材の回転によって移動する方向の前面が、鉛直軸線側に傾斜するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、上下方向に延びる筒状のパウダー容器の底部には、その底面開口を塞ぐように、ステンシルが設けられており、このステンシルには、上下方向に貫通する多数の細孔によって所定の図柄が形成されている。また、パウダー容器内には、ステンシルの中央を通る鉛直軸線を中心として、その鉛直軸線から径方向にアーム状に延びかつステンシルの上面に沿って摺動しながら回転自在に構成されたパウダー払出し部材が設けられている。そして、トッピング時に、駆動手段によってパウダー払出し部材が回転駆動されることにより、パウダー容器内のパウダーは、パウダー払出し部材でステンシルの上面に押し付けられながら、多数の細孔を介して、ステンシルの下方に払い出される。またこの場合、パウダー払出し部材の中央側送出し部により、パウダーがステンシルの中央側に送り出されるので、前述した従来のパウダートッピング装置に比べて、パウダー払出し部材の回転中心に対応する部位の真下に存在するパウダーの密度を高めることができる。これにより、ステンシルの中央を含め、ステンシルの全体からその下方にパウダーを十分に払い出すことができ、そのパウダーによって、飲料の液面上に、全体として均一でかつ高精細な図柄を描くことができる。
また、上記の構成によれば、中央側送出し部の上記前面が、鉛直軸線側に傾斜するように構成されているので、パウダー払出し部材の回転に伴い、中央側送出し部の前面によって、パウダーが鉛直軸線側、すなわち、ステンシルの中央側に送り出される。このように、パウダー払出し部材において、前面が鉛直軸線側に傾斜した中央側送出し部を設けるという、比較的簡単な構成によって、前述した作用、効果を、容易に得ることができる。
【0015】
請求項
2に係る発明は、請求項
1に記載のパウダートッピング装置において、パウダー払出し部材は、鉛直軸線を中心として回転自在に構成され、下端部が下方に向かって径が次第に小さくなる円錐状に形成された回転部と、各々が中央側送出し部を有し、回転部から鉛直軸線の径方向にかつ互いに反対方向に延び、トッピング時にパウダー容器内のパウダーを払い出す2つの羽根部と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、パウダー払出し部材が、回転部から径方向にかつ互いに反対方向に延びる2つの羽根部を備えており、各羽根部が、パウダーをステンシルの中央側に送り出すための中央側送出し部を有している。したがって、パウダー払出し部材を、少なくとも半回転させることにより、ステンシルの全体からその下方にパウダーを払い出すことができる。また、パウダー払出し部材の回転中心である回転部において、その下端部が下方に向かって径が次第に小さくなる円錐状に形成されているので、パウダー払出し部材の回転に伴い、各羽根部の中央側送出し部によって、パウダー払出し部材の回転部の真下にパウダーを円滑に送り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の一実施形態によるパウダートッピング装置を適用したトッピング専用機(以下「トッピング機」という)を示している。このトッピング機1は、飲食店の調理スペースやフリードリンクコーナーなどに設置され、店員あるいはお客自身が手動で操作することによって、カップ内のコーヒー(例えばカプチーノやカフェラテ)や、紅茶(例えばミルクティー)などの飲料に、食用のパウダー(例えばココアパウダーや抹茶パウダー、シナモンパウダー)をトッピングすることにより、そのパウダーによって、飲料の液面上に文字や絵、模様などの図柄Fを描くためのものである。なお、
図1(b)は、トッピング機1によってパウダーがトッピングされたカップ入り飲料の一例を示しており、本例では、カップC内の飲料Dの液面上に「ABC」の文字の図柄Fが描かれるように、パウダーがトッピングされている。
【0019】
図1(a)に示すように、トッピング機1は、平面形状が円形のベース2と、このベース2の後端部に立設され、上下方向に所定長さ延びる円柱状の支柱3と、この支柱3の上端部に固定され、パウダーをトッピングするためのトッピング本体部4とを備えている。なお、ベース2の中央には、所定サイズの貫通孔2aが形成されており、この貫通孔2aがカップCの真下に位置するよう、カップCをベース2上に載置することにより、そのカップCがトッピング本体部4の真下に位置するようにセットされる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、トッピング本体部4は、上面が開放したケース5と、このケース5の上面に着脱自在に取り付けられた上蓋6とにより外殻が構成され、パウダーをトッピングするためのトッピング機構7が内蔵されている。
【0021】
図3に示すように、ケース5は、平面形状が円形の円形部11と、この円形部11から連なり、後方に突出する方形部12とを有している。円形部11には、上下方向に貫通し、所定の径を有する開口13が形成されている。また、この開口13の周縁部には、所定の高さ寸法を有する円筒状に形成され、後述するパウダー容器31を保持するホルダ壁14が設けられている。このホルダ壁14には、前後2箇所に、U字状のガイド溝14a、14a(
図3では後ろ側の1つのみ図示)が形成されている。
【0022】
また、ケース5の方形部12には、下方に開放し、横断面が円形の凹部12aが形成されている。この凹部12aに前記支柱3の上端部が下方から挿入された状態で、ケース5が支柱3に固定されている。
【0023】
一方、上蓋6は、平面形状がケース5の上面と相補的な所定形状に形成されている。また、上蓋6には、手動によるトッピング操作を行うための手動用ダイヤル20(駆動手段)が、所定の一方向(本実施形態では時計方向)にのみ回転可能に設けられている。
【0024】
図3に示すように、上蓋6には、上方に開放する凹状に形成され、手動用ダイヤル20の外径とほぼ同じ径を有するダイヤル収容部6aが設けられている。また、このダイヤル収容部6aの底部には、上下方向に貫通し、所定の径を有する開口6bが形成されるとともに、その開口6bの外側に、手動用ダイヤル20の後述するラチェット部22aに係合する係合爪6cが設けられている。そして、このように構成された上蓋6には、上記のダイヤル収容部6a及び開口6bに嵌合し、上面が上蓋6のそれと面一の状態で、手動用ダイヤル20が取り付けられている。
【0025】
手動用ダイヤル20は、平面形状が円形に形成され、上部には、ほぼ半円状の2つの凹部21a、21aの間に、径方向に延びる摘み部21bが形成されている。また、摘み部21bの一端部には、ほぼ円形の凹部21cが形成されている。さらに、半円状の各凹部21a内の底面には、トッピング機1の利用者に、手動用ダイヤル20を操作する際の回転方向を指示するための矢印21dが表記されている。
【0026】
また、
図2及び
図3に示すように、手動用ダイヤル20の下部には、下方に所定長さ突出するスリーブ状に形成され、上蓋6の開口6bに嵌合した状態に係合する係合スリーブ22が設けられている。この係合スリーブ22の外周上部には、その周方向に沿う多数の歯を有するラチェット部22aが形成されており、このラチェット部22aに上蓋6の前記係合爪6cが係合している。これにより、手動用ダイヤル20は、時計方向にのみ回転が許容され、反時計方向への回転ができないようになっている。また、
図2に示すように、係合スリーブ22には、2つの係止爪22b、22bが設けられており、両係止爪22bが、上蓋6の開口6bの縁部に係止されている。これにより、手動用ダイヤル20は、上蓋6に対し、抜止め状態で取り付けられている。
【0027】
さらに、手動用ダイヤル20の下部には、上記係合スリーブ22の内側に、後述するパウダー払出し羽根32の回転軸38の上端部が挿入された状態で連結されるボス部23が設けられている。このボス部23は、手動用ダイヤル20の中心部において、下方に開放する円筒状に形成されており、その内周面には、回転軸38の上部のスプライン部38aに係合する複数の溝が形成されている。
【0028】
トッピング機構7は、パウダーを内部に収容するパウダー容器31と、前記手動用ダイヤル20と一体に回転することにより、パウダー容器31からその下方にパウダーを払い出すパウダー払出し羽根32とを備えている。
【0029】
図4は、左半部にパウダー容器31を示し、右半部にそれを分解して示している。また、
図5は、左半部にパウダー払出し羽根32を示し、右半部にそれを分解して示している。パウダー容器31は、多量のパウダーがあらかじめ収容されるものであり、
図4に示すように、上下方向に所定長さ延びる円筒状の容器本体33と、この容器本体33内の底部に着脱自在に取り付けられたステンシル34と、容器本体33内に着脱自在に取り付けられ、ステンシル34を容器本体33内の底部に固定するとともに、パウダー払出し羽根32を回転自在に保持する固定・保持リング35とを有している。
【0030】
なお、容器本体33には、
図3及び
図4などに示すように、その上面開口を閉鎖する蓋30が着脱自在に取り付けられている。この蓋30の中央部には、パウダー払出し羽根32の回転軸38が貫通する孔30aが形成されている。
【0031】
容器本体33の外周面の上部には、周方向の全体にわたって外方に若干突出する外側フランジ部33aが設けられるとともに、外側フランジ部33aから下方に若干突出する2つの係合凸部33b、33b(
図3及び
図4では1つのみ図示)が設けられている。両係合凸部33b、33bは、容器本体33の中心に対して互いに対称な位置に設けられている。そして、この容器本体33を有するパウダー容器31が前記ケース5に取り付けられたときには、両係合凸部33b、33bがケース5のホルダ壁14の両ガイド溝14a、14aにそれぞれ係合するとともに、外側フランジ部33aがホルダ壁14に下方から支持される。これにより、パウダー容器31は、その周方向に回転不能な状態で、ケース5に取り付けられる。
【0032】
また、
図4に示すように、容器本体33の底部には、周方向の全体にわたって内方に若干突出する内側フランジ部33cが設けられている。この内側フランジ部33cにステンシル34の下面周縁部が載置された状態で、ステンシル34が容器本体33の底面開口を塞ぐように取り付けられている。
【0033】
ステンシル34は、容器本体33の内径よりも小さくかつ内側フランジ部33cの内径よりも大きい直径を有し、円形でかつ非常に薄い所定厚さ(例えば100μm)の金属板からなり、所定の図柄34a(本実施形態では「ABC」の文字)が、多数の細孔によって形成されている。
【0034】
なお、ステンシル34の外周縁部の所定位置には、外方に若干突出し、周方向に沿って互いに等角度(120°)ごとに、3つの係合凸部34bが設けられている。これらの係合凸部34bが容器本体33の内周面の底部に設けられた図示しない係合凹部に挿入されることにより、ステンシル34は、容器本体33に対し、鉛直軸線回りの所定の角度位置に位置決めされかつ鉛直軸線回りに不動に保持される。
【0035】
図5に示すように、パウダー払出し羽根32は、互いに反対方向にアーム状に延びる2つの羽根部36、36を有する羽根本体37(パウダー払出し部材)と、上下方向に所定長さ延び、固定・保持リング35に回転自在に支持されるとともに下端部が羽根本体37の中央部に連結された回転軸38とで構成されている。
【0036】
上記の固定・保持リング35は、容器本体33の内径よりも若干小さい外径を有するとともに、内側フランジ部33cの内径とほぼ同じ内径を有する円筒状のリング部35aと、その中心部に上下方向に延びる円筒状に形成され、回転軸38が遊挿された状態でこれを回転自在に支持する支持部35bと、この支持部35bとリング部35aとの間に延びる3つのリブ35cとを有している。これらのリブ35cは、支持部35bの周方向に沿って互いに等角度(120°)で配置され、各リブ35cの下端面が、羽根本体37の各羽根部36の上面との間に若干の隙間を存している。
【0037】
パウダー払出し羽根32の回転軸38は、固定・保持リング35の支持部35bよりも長い所定長さを有しており、上端部が支持部35bの内径よりも大きく形成される一方、上端部よりも下側部分が支持部35bの内径よりも若干小さく形成されている。また、この回転軸38の上端部には、スプライン部38aが形成されており、前述したように、そのスプライン部38aが、手動用ダイヤル20の下部中央のボス部23に挿入された状態で係合する。
【0038】
図6(a)〜(c)に示すように、パウダー払出し羽根32の羽根本体37は、その中央部に設けられ、回転軸38に連結される連結部39(回転部)と、この連結部39から径方向に延びる前記2つの羽根部36、36とを有している。連結部39は、上方に開放する凹状に形成されており、回転軸38の下端部が挿入された状態で、これに連結される。また、この連結部39の下端部39aは、下方に向かって径が次第に小さくなる円錐状に形成されている。
【0039】
また、両羽根部36、36は、連結部39を中心とする点対称に形成されている。具体的には、各羽根部36の上面部36aは、連結部39側から外方に向かって、幅が次第に狭まるように形成されている。また、各羽根部36は、その上面部36aから所定長さ垂下し、平面形状が
図6(a)に破線で示すように屈曲した状態で径方向に延びる垂下部40を有している。この垂下部40は、径方向にほぼ沿うように延び、連結部39側に設けられた内側羽根部40a及び外側に設けられた外側羽根部40bと、これらの内側及び外側羽根部40a及40bの間に設けられ、径方向に対して傾斜する傾斜羽根部40c(中央側送出し部)とで構成されている。より具体的には、傾斜羽根部40cは、時計方向側の前面が羽根本体37の中央の連結部39側に傾斜するように構成されている。
【0040】
また、
図6(d)に示すように、各羽根部36の垂下部40の時計方向側の前面の下部には、垂下部40の底面に連なり、斜め下向きに若干傾斜した傾斜面40dが、垂下部40の長さ方向の全体にわたって形成されている。この傾斜面40dは、鉛直面に対し、所定の角度α(例えば10〜20°)分、傾斜している。
【0041】
ここで、トッピング機1によるパウダーのトッピング動作について説明する。まず、
図1(a)に示すように、飲料入りのカップCをベース2上にセットする。次いで、手動用ダイヤル20の摘み部21bを摘み、そのダイヤル20を矢印21dで示す方向、すなわち時計方向に回転させる。これにより、手動用ダイヤル20に連結されたパウダー払出し羽根32も時計方向に回転する。
【0042】
図7は、トッピング時におけるパウダー払出し羽根32の羽根本体37及びステンシル34を示している。同図(a)に示す待機状態から、パウダー払出し羽根32が時計方向に回転駆動されると、同図(b)及び(c)に順に示すように、羽根本体37が回転しながら、ステンシル34の上面に沿って摺動する。この場合、パウダー容器31内のパウダーは、羽根本体37の両羽根部36、36によって、それらの移動方向及び下方に押圧されながら、ステンシル34の下方に払い出される。
【0043】
具体的には、
図7(b)及び(c)の白抜き矢印で示すように、内側及び外側羽根部40a及び40bによって押圧されるパウダーは、羽根本体37の中央の連結部39を中心とする周方向(同心円の接線方向)に押圧される一方、傾斜羽根部40cによって押圧されるパウダーは、羽根本体37の中央の連結部39側、すなわち、ステンシル34の中央側に押圧される。そして、パウダー容器31内のパウダーは、底部のステンシル34上に押し付けられながら、そのステンシル34の図柄34aを構成する多数の細孔を介して、下方に払い出され、カップC内の飲料Dの液面上に、その図柄34aに対応する図柄Fを描くようにトッピングされる。
【0044】
以上詳述したように、本実施形態によれば、パウダー容器31内のパウダーを払い出すために回転させるパウダー払出し羽根32の羽根本体37において、各羽根部36の傾斜羽根部40cによって、パウダーがステンシル34の中央側に送り出されるので、羽根本体37の中央の連結部39の真下に存在するパウダーの密度を高めることができる。これにより、ステンシル34の中央側を含め、ステンシル34の全体からその下方にパウダーを十分に払い出すことができ、そのパウダーによって、飲料Dの液面上に、全体として均一でかつ高精細な図柄Fを描くことができる。
【0045】
また、パウダー払出し羽根32の羽根本体37には、互いに反対方向に延びる2つの羽根部36、36が設けられているので、パウダー払出し羽根32を、少なくとも半回転させることにより、ステンシル34の全体からその下方にパウダーを払い出すことができる。加えて、羽根本体37の中央の連結部39において、その下端部が円錐状に形成されているので、パウダー払出し羽根32の回転に伴い、羽根本体37の両傾斜羽根部40c、40cによって、羽根本体37の連結部39の真下にパウダーを円滑に送り出すことができる。
【0046】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、本発明のパウダートッピング装置を、手動で操作されるトッピング専用機に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、モータなどによって、パウダー払出し羽根32を自動で回転させるようにしてもよい。また、このような自動で回転するパウダー払出し羽根32を有するトッピング装置を、カップ式自動販売機や飲料ディスペンサなどに内蔵することにより、それらによって調理されたカップ内の飲料にパウダーを自動的にトッピングすることも可能である。
【0047】
さらに、実施形態では、パウダー払出し羽根32において、2つの羽根部36、36を有する羽根本体37を採用したが、羽根部36の数はこれに限定されるものではなく、1つ、又は3つ以上の羽根部を有する羽根本体を採用することも可能である。例えば、
図8(a)〜(c)はそれぞれ、前述した
図6(a)〜(c)に対応し、単一の羽根部36を有する羽根本体37Aを示している。
図8に示すように、この羽根本体37Aは、前記羽根本体37と同一の形状及びサイズの羽根部36を1つのみ有している。なお、この羽根本体37Aを採用することにより、パウダーの種類やステンシルによっては、より良好な図柄を描くように、パウダーをトッピングすることが可能である。
【0048】
また、実施形態で示したトッピング機1や、パウダー払出し羽根32の羽根本体37の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。