特許第6136824号(P6136824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136824
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】圃場溝切機
(51)【国際特許分類】
   A01B 13/00 20060101AFI20170522BHJP
   E02B 11/02 20060101ALI20170522BHJP
   E02F 5/02 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   A01B13/00
   E02B11/02 Z
   E02F5/02 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-203601(P2013-203601)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-65909(P2015-65909A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2015年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395008849
【氏名又は名称】株式会社富士トレーラー製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(72)【発明者】
【氏名】皆川 功
(72)【発明者】
【氏名】皆川 俊男
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−212134(JP,A)
【文献】 実公昭12−006157(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−002534(JP,U)
【文献】 実公昭02−002157(JP,Y1)
【文献】 実開昭51−087015(JP,U)
【文献】 実開昭57−012430(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 13/00 − 13/02
A01B 39/00 − 39/28
E02B 11/02
E02F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に駆動源を含む進行機構を設けると共に圃場面に排水溝を溝切可能な溝切体を設け、該溝切体を溝切進行させる該進行機構を遠隔操縦可能な無線操縦手段を設けてなり、上記機体に上記溝切進行に伴う排水溝の両側方位置の排土による溝切済みの交差する排水溝の水路閉塞を当該排土を崩壊して防ぐ水路開口機構を設けてなることを特徴とする圃場溝切機。
【請求項2】
上記機体の前部位置及び後部位置の両方位置にそれぞれ上記溝切体を設けてなることを特徴とする請求項1記載の圃場溝切機。
【請求項3】
上記機体の前部位置又は後部位置の一方位置に上記溝切体を設けてなることを特徴とする請求項1記載の圃場溝切機。
【請求項4】
上記溝切体に該機体の蛇行を防ぐ蛇行防止部材を設けてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圃場溝切機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば水田等の圃場に水はけ用の排水溝を形成する圃場溝切機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圃場溝切機として、機体に駆動源を含む進行機構を設けると共に圃場面に排水溝を溝切可能な溝切体を設けてなる構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3775957号
【特許文献2】特許第4032109号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、機体の進行に伴い作業者は圃場内を機体と一緒に同行する必要があり、それだけ、労苦を伴う作業になると共に作業性が低下することがあるという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、請求項1記載の発明は、機体に駆動源を含む進行機構を設けると共に圃場面に排水溝を溝切可能な溝切体を設け、該溝切体を溝切進行させる該進行機構を遠隔操縦可能な無線操縦手段を設けてなり、上記機体に上記溝切進行に伴う排水溝の両側方位置の排土による溝切済みの交差する排水溝の水路閉塞を当該排土を崩壊して防ぐ水路開口機構を設けてなることを特徴とする圃場溝切機にある。
【0006】
又、請求項2記載の発明は、上記機体の前部位置及び後部位置の両方位置にそれぞれ上記溝切体を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記機体の前部位置又は後部位置の一方位置に上記溝切体を設けてなることを特徴とするものである。
【0007】
又、請求項4記載の発明は、上記溝切体に該機体の蛇行を防ぐ蛇行防止部材を設けてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、無線操縦手段により駆動源を含む進行機構を遠隔操縦することができ、進行機構の遠隔操縦により機体を進行して溝切体で圃場面の複数個の条間又は株間に排水溝を溝切りすることができ、それだけ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができ、さらに、上記機体に上記溝切進行に伴う排水溝の両側方位置の排土による溝切済みの交差する排水溝の水路閉塞を当該排土を崩壊して防ぐ水路開口機構を設けているから、溝切済みの交差する排水溝の水路閉塞を防止することができ、交差する排水溝の相互の水路を維持することができ、水はけ機能の良好な排水溝を溝切りすることができる。
【0009】
又、請求項2記載の発明にあっては、機体の前部位置及び後部位置の両方位置にそれぞれ上記溝切体を設けているから、機体を条間又は株間において遠隔操縦により前進進行させることで前部位置の溝切体により排水溝を溝切りすることができ、後退進行時において、後部位置の溝切体により前進進行時に溝切りされた排水溝を再度、溝切り又は修復することができ、遠隔操縦により圃場面の複数個の条間又は株間に排水溝を溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記機体の前部位置又は後部位置の一方位置に上記溝切体を設けてなるから、機体の前進進行又は後退進行により遠隔操縦で圃場面に排水溝を溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができる。
【0010】
又、請求項4記載の発明にあっては、上記溝切体に機体の蛇行を防ぐ蛇行防止部材を設けているから、機体の前進及び後退の往復進行の直進性を高めることができ、水はけ機能の良好な排水溝を溝切りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の第一形態例の全体側面図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の全体平面図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の全体側断面図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の全体平断面図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の部分側断面図ある。
図6】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の横断面図である。
図8】本発明の実施の第一形態例の前面図である。
図9】本発明の実施の第一形態例の説明横断面図である。
図10】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
図11】本発明の実施の第一形態例の部分平断面図である。
図12】本発明の実施の第一形態例の作業状態の説明平面図である。
図13】本発明の実施の第二形態例の部分側面図である。
図14】本発明の実施の第二形態例の部分横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1乃至図14は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図12は第一形態例、図13図14は第二形態例である。
【0013】
図1乃至図12の第一形態例において、1は機体であって、圃場H、例えば、水田の田面を進行可能に形成され、機体1に圃場面Mに排水溝Wを溝切可能な溝切体2が設けられ、この場合、機体1の前部位置及び後部位置の両方位置にそれぞれ上記溝切体2・2が設けられ、機体1に駆動源3を含む進行機構4が設けられている。
【0014】
この場合、上記溝切体2として、図5図6図9の如く、金属製の板材により形成され、排水溝Wの対向する両内側斜面W・Wに合う斜面材2a、底面に対向する底面材2b及び斜面材2aの上部左右両端部に突設された上面材2c・2cからなる全体として断面は略V形状、図7図8の如く、平面視及び側面視は略先細三角形状に形成され、機体1の前部位置及び後部位置の両方位置に同一形状に形成された溝切体2・2を配置し、機体1の前部位置の溝切体2は進行方向D前部に先細部分が配置され、後部位置の溝切体2は進行方向D後部に先細部分が配置され、底面材2bに機体1の蛇行を防ぐ進行方向Dに延びる板状の蛇行防止部材2dを垂設して構成している。
【0015】
この場合、図3の如く、上記駆動源3は、電動モータ3a及び充電池3bにより構成されている。なお、電動モータ3a及び充電池3bに代えて、原動機及び油圧モータ等の駆動源3を採用することもある。
【0016】
又、この場合、上記進行機構4として、上記機体1に回転軸5bの外周部位に螺旋状の泥掻羽根5aを有する螺旋推進軸5を軸受6・6により回転自在に配設し、螺旋推進軸5の回転軸線Lは機体1の進行方向Dに設けられ、螺旋推進軸5を回転駆動する回転駆動機構7が設けられている。
【0017】
この場合、回転駆動機構7として、駆動源3としての電動モータ3aに主軸の正逆回転手段や回転数制御手段等を含む制御手段3cが接続され、電動モータ3aと上記螺旋推進軸5との間にチェーン式の伝導機構7aを介装し、電動モータ3aにより伝導機構7aを介して螺旋推進軸5を回転させるように構成している。
【0018】
8は無線操縦手段であって、この場合、送信機8a及び受信機8bからなり、送信機8aからの無線信号Sを受信機8bにより受信し、駆動源3としての電動モータ3aに制御手段3cを介して受信機8bが接続され、例えば、制御手段3cにより駆動源3としての電動モータ3aの回転開始、回転停止や上記螺旋推進軸5の正転又は逆転、回転数の制御等を遠隔操縦可能に構成している。
【0019】
9は水路開口機構であって、溝切体2の進行方向D後部位置、即ち、前部位置の溝切体2にあっては、図1図2中、左位置に形成され、後部位置の溝切体2にあっては、同図中、右位置に形成され、図1図2図3図4図5図6図7図8図9の如く、前部及び後部位置の各溝切体2・2の左右の斜面材2a・2aにそれぞれ三角形状の上面T及び下面T、長方形状の三個の側面T・T・Tからなる三角筒材状の崩壊部材9aの側面Tと側面Tとの交差角部としての角縁部のうちの斜め上下方向に延びる一個の角縁部を枢着部9bにより枢着すると共に崩壊部材9aを外方に向けて押動して崩壊部材9aの三個の長方形状の側面T・T・Tのうちの外方位置の側面9cを排水溝Wの内側斜面W・Wに弾圧接触させる押動バネ材9dを設けて構成している。
【0020】
しかして、図10の如く、溝切進行時においては、崩壊部材9aの三個の長方形状の側面T・T・Tのうちの外方位置の側面9cは押動バネ材9dにより排水溝Wの内側斜面W・Wに弾圧接触し、そして、図10から図11の如く、溝切進行により交差する溝切済みの排水溝Wに差し掛かると、排水溝Wの内側斜面Wに弾圧接触している崩壊部材9aは排水溝Wの内側斜面Wから解放されて枢着部9bを支点として押動バネ材9dにより外方に押開揺動され、この崩壊部材9aの押開揺動により、図1図2の如く、溝切済みの交差する排水溝Wの水路を閉塞している溝切進行により生じた側方位置の排土W・Wを崩壊部材9aの外方位置の側面9cにより外方に押動して圃場面Mを均すように排土W・Wを崩壊し、これにより溝切進行に伴う排水溝Wの両側方位置の排土W・Wによる溝切済みの交差する排水溝Wの水路閉塞を防ぐことになる。
【0021】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、図12の如く、無線操縦手段8により駆動源3を含む進行機構4を遠隔操縦することができ、遠隔操縦により機体1を進行して溝切体2で圃場面Mの複数個の条間又は株間に排水溝Wを溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができる。
【0022】
この場合、遠隔操縦により外周部位に螺旋状の泥掻羽根5aを有する螺旋推進軸5を回転させることができ、螺旋推進軸5の回転軸線Lは機体1の進行方向Dに設けられているから、螺旋推進軸5の回転により機体1を圃場面Mで進行させることができ、螺旋推進軸5の正逆回転により機体1を圃場面Mで往復進行させることもでき、回転駆動機構7の遠隔操縦により機体1を進行して溝切体2で圃場面Mの複数個の条間又は株間に排水溝Wを溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができる。
【0023】
この場合、機体1の前部位置及び後部位置の両方位置にそれぞれ上記溝切体2・2を設けているので、螺旋推進軸5の正回転により機体1を前進進行させることができ、螺旋推進軸5の逆回転により機体1を後退進行させることができ、例えば、畦F上の作業者は対向する畦Fに向かって機体1を条間又は株間において遠隔操縦により前進進行させることで前部位置の溝切体2により排水溝Wを溝切りすることができ、機体1が対向する畦Fに到達する直前において、機体1を遠隔操縦により後退進行させ、後退進行時において、後部位置の溝切体2により前進進行時に溝切りされた排水溝Wを再度、溝切り又は修復することができ、機体1が手前側の畦Fに到達する直前において、機体1の後退進行を停止し、機体1を持ち上げて、機体1を隣の条間又は株間に移行設置し、そして、上記同様に、畦F上の作業者は対向する畦Fに向かって機体1を条間又は株間において遠隔操縦により前進進行させることにより溝切体2により排水溝Wを溝切りすることができ、機体1が対向する畦Fに到達する直前において、機体1を遠隔操縦により停止した後、後退進行させ、機体1が畦Fに到達する直前において、機体1の後退進行を停止し、この機体1の往復進行の繰り返しにより一人の作業者で圃場面Mの複数個の条間又は株間に排水溝Wを溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができる。
【0024】
又、例えば、他の実施の形態例として、上記機体1の前部位置又は後部位置の一方位置に上記溝切体2を設けることにより手前側の畦F上及び対向する畦F上にそれぞれ作業者を配置して二人の作業者で機体1の遠隔操縦による前進進行及び反転を伴う隣の条間又は株間への持ち上げ移行により圃場面Mに排水溝Wを溝切りすることができ、作業者の労苦を軽減することができ、溝切作業性を向上することができる。
【0025】
又、この場合、上記溝切体2・2に機体1の蛇行を防ぐ蛇行防止部材2dを設けているから、機体1の前進及び後退の往復進行の直進性を高めることができ、水はけ機能の良好な排水溝Wを溝切りすることができ、又、この場合、上記機体1に上記溝切進行に伴う排水溝Wの両側方位置の排土W・Wによる溝切済みの交差する排水溝Wの水路閉塞を当該排土W・Wを崩壊して防ぐ水路開口機構9を設けているから、溝切済みの交差する排水溝Wの水路閉塞を防止することができ、交差する排水溝W・Wの相互の水路を維持することができ、水はけ機能の良好な排水溝Wを溝切りすることができる。
【0026】
図13図14の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記螺旋推進軸5の外周縁部に上記圃場面Mの雑草を除去可能な刃部5c・5c・・を配設している。
【0027】
この第二形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に、上記螺旋推進軸5の回転により刃部5c・5c・・で圃場面Mの雑草を除去することができ、排水溝Wの溝切りと同時に除草作業も行うことができる。
【0028】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、上記実施の第一形態例においては、機体1の前後位置及び後部位置に溝切体2・2を配置しているが、上記他の実施の形態例として示した、機体1の前部位置又は後部位置の一方位置に上記溝切体2を設ける構造を採用した場合、溝切体2を設けていない機体1の前部位置又は後部位置には前進進行により溝切りした排水溝Wの内側斜面Wにより後退進行時が阻害されないような構造又は部材を配置する構成を採用することもあり、又、機体1、溝切体2、蛇行防止部材2d、駆動源3、進行機構4、螺旋推進軸5、回転駆動機構7、無線操縦手段8、水路開口機構9の構造や形態等は適宜変更して設計される。
【0029】
以上の如く、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0030】
M 圃場面
W 排水溝
排土
1 機体
2 溝切体
2d 蛇行防止部材
3 駆動源
4 進行機構
8 無線操縦手段
9 水路開口機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14