(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに、(F)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、ストロンチウム、バリウム、セリウムおよびハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む酸化物である無機酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
支持フィルムと、請求項1〜4のいずれかに1項に記載の感放射線性樹脂組成物を用いて該支持フィルム上に3μm〜30μmの膜厚で形成された感放射線性樹脂層と、該感放射線性樹脂層の上に配置された保護フィルムとを有することを特徴とする感光性ドライフィルム。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明者は、鋭意検討の結果、例えば、タッチパネルの金属配線等のような金属材料を覆って保護する保護膜を、有機材料からなる有機膜とする場合、その形成材料にリン酸エステル変性多官能アクリレートを用いることで、金属材料と保護膜との密着性を向上できることを確認した。その一方で、リン酸エステル変性多官能アクリレートを用いた保護膜では透湿性が増大し、金属材料の腐食等の劣化を誘発することを見出した。したがって、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線を有するタッチパネルに、リン酸エステル変性多官能アクリレートを用いた保護膜を適用した場合、配線の腐食等の劣化が誘発される。
【0043】
そこで、本発明者は、さらなる検討を行い、有機材料からなる保護膜の形成にある特有の成分を用いることで、得られる保護膜と金属材料との間の優れた密着性を保つとともに、金属材料の腐食等の劣化が促進されるのを抑えることができることを見出した。有機材料からなる有機膜である保護膜は、感放射線性の樹脂組成物である感放射線性樹脂組成物を用いて形成することが可能である。したがって、その感放射線性樹脂組成物の含有成分として、リン酸エステル変性多官能アクリレート系の成分と、ある特有成分とを含有させることで、形成される有機膜において、金属材料に対する密着性の向上と金属材料の劣化抑制が可能である。
【0044】
したがって、検討の結果得られた本発明の感放射線性樹脂組成物を用い、それを硬化して得られる硬化膜は、金属材料に対する密着性に優れる一方、その腐食等の劣化の促進が低減され、保護膜としての使用が可能である。すなわち、本発明の感放射線性樹脂組成物を用いることにより、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線を有するタッチパネルに好適な保護膜を提供することができる。本発明の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された保護膜は、金属配線との密着性に優れ、その腐食等の劣化が促進されるのを抑制して、タッチパネルの高信頼化を実現することができる。
【0045】
以下、感放射線性樹脂組成物およびタッチパネル等、本発明の実施形態について、適宜図面を用いて説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」には、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線等が含まれる。
【0046】
実施の形態1.
<感放射線性樹脂組成物>
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、金属材料との密着性に優れた保護膜であって、保護する金属材料の腐食等の劣化が促進されるのを抑制できる保護膜を形成するのに好適な感放射線性の樹脂組成物である。そして、後述する本発明の実施形態のタッチパネルは、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線等を有することができる。したがって、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、本発明の実施形態のタッチパネルに好適に使用できる保護膜を提供することができる。
【0047】
本発明の第2実施形態である感放射線性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー(単に、(A)成分と称することがある。)、(B)光重合開始剤(単に、(B)成分と称することがある。)、(C)下記式(1)で示される化合物(単に、(C)成分または(C)化合物と称することがある。)、および、(D)下記式(2)で示される化合物(単に、(D)成分または(D)化合物と称することがある。)を含有して構成される。
【0048】
【化4】
(式(1)において、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、単結合または2価〜4価の有機基を示し、R
3および
4はそれぞれ独立に、不飽和複素環基、炭素数11〜20のアルキル基、オキシラニル基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、メルカプト基およびスルホ基のうちのいずれかを示す。nおよびmはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。)
【0049】
【化5】
(式(2)において、R
11およびR
12は水素原子またはメチル基を示す。jは1〜5の整数を示し、kは1〜2の整数を示す。)
【0050】
以下、本実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される各成分について詳述する。
【0051】
〔(A)バインダーポリマー〕
本発明の実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(A)バインダーポリマーは、(a1)不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸無水物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「化合物(a1)」という。)と、(a2)他の不飽和化合物(以下、「化合物(a2)」という。)との共重合体である。
【0052】
本実施形態において、(A)バインダーポリマーとしては、[A1]化合物(a1)と、1分子中に1つ以上の水酸基を含有する不飽和化合物(以下、「化合物(a2−1)」という。)の共重合体(以下、「共重合体〔α〕」という。)に、不飽和イソシアネート化合物を反応させて得られる重合体(以下、「共重合体〔A1〕」という。)、および[A2]化合物(a1)と、オキシラニル基またはオキセタニル基を有する不飽和化合物(以下、「化合物(a2−2)」という。)の共重合体(以下、「共重合体〔A2〕」という。)よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0053】
上記化合物(a1)としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のモノカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;
前記ジカルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。
【0054】
これらの化合物(a1)のうち、共重合反応性、得られる重合体および共重合体のアルカリ現像液に対する溶解性および入手が容易である点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0055】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕において、化合物(a1)、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0056】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕において、化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは5重量%〜50重量%、より好ましくは10重量%〜40重量%、さらに好ましくは15重量%〜30重量%である。化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率が5重量%未満では、得られる重合体のアルカリ現像液に対する溶解性が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、得られる重合体のアルカリ現像液に対する溶解性が大きくなりすぎるおそれがある。
【0057】
尚、化合物(a1)がカルボキシル基を有するものである場合には、カルボキシル基を保護したうえで重合に供し、次いで脱保護することによりカルボキシル基を再生してもよい。ここで、カルボキシル基を保護する保護基としては、特に限定されずカルボキシル基の保護基として公知のものが使用できる。例えばトリアルキルシリル基、1−アルコキシアルキル基、環状1−アルコキシアルキル基などがあげられる。さらに具体的には、例えばトリメチルシリル基、ジメチルブチルシリル基、1−エトキシエチル基、1−プロポキシエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、トリフェニルメチル基などが挙げられる。
【0058】
共重合体〔α〕における化合物(a2−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシペンチルエステル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸7−ヒドロキシヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルエステル、(メタ)アクリル酸9−ヒドロキシノニルエステル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシルエステル、(メタ)アクリル酸11−ヒドロキシウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシドデシルエステルの如き(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシ−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシエチル−シクロヘキシルエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエチルエステル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシメチル−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル−オクタヒドロ−4,7−メタノ−インデン−5−イルエチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−アダマンタン−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシメチル−アダマンタン−1−イルメチルエステル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシエチル−アダマンタン−1−イルエチルエステルの如き脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;
【0059】
(メタ)アクリル酸1,2−ジヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸1,3−ジヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸3,4−ジヒドロキシブチルエステル、(メタ)アクリル酸3−[3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシプロポキシ]−2−ヒドロキシプロピルエステル等の(メタ)アクリル酸ジヒドロキシアルキルエステル;
アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、アクリル酸3−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピルエステル、アクリル酸4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ブチルエステル、アクリル酸5−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ペンチルエステル、アクリル酸6−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)へキシルエステルの如きアクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル;
メタクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、メタクリル酸3−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)プロピルエステル、メタクリル酸4−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)ブチルエステル、メタクリル酸5−(6−ヒドロキシエチルヘキサノイルオキシ)ペンチルエステル、メタクリル酸6−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)へキシルエステルの如きメタクリル酸(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)アルキルエステル等のその他の化合物(a2−1)(以下、「他の化合物(a2−1)」という。)を挙げることができる。
【0060】
これらの化合物(a2−1)のうち、共重合反応性およびイソシアネート化合物との反応性の点から、アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチルエステル、アクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、メタクリル酸4−ヒドロキシメチル−シクロヘキシルメチルエステル、アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、メタクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピルエステル、他の化合物(a2−1)等が好ましい。
【0061】
また、化合物(a2−1)のうち、他の化合物(a2−1)は、現像性の向上の点や、得られる保護膜の強度向上の観点から特に好ましい。他の化合物(a2−1)のうち特に、アクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステル、メタクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステルが好ましく、メタクリル酸2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルエステルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルエステルの混合物の市販品としては、商品名で、PLACCEL(登録商標) FM1D、FM2D(ダイセル化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0062】
共重合体〔α〕において、化合物(a2−1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0063】
共重合体〔α〕において、化合物(a2−1)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは1重量%〜50重量%、より好ましくは3重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜30重量%である。化合物(a2−1)に由来する繰り返し単位の含有率が1重量%未満では、不飽和イソシアネート化合物の重合体への導入率が低下して、感度が低下する傾向があり、一方50重量%を超えると、不飽和イソシアネート化合物との反応により得られる重合体の保存安定性が低下する傾向がある。
【0064】
共重合体〔A2〕における化合物(a2−2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−メチルグリシジル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等の(メタ)アクリル酸エポキシ(シクロ)アルキルエステル;
α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル等の他のα−アルキルアクリル酸エポキシ(シクロ)アルキルエステル;
o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;
3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−ペンタフロロエチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2−ジフロロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2,4−トリフロロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2,2,4,4−テトラフロロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−(メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−2−ペンタフロロエチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、2,2−ジフロロ−3−(メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−2,2,4−トリフロロオキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−2,2,4,4−テトラフロロオキセタン等のメタクリル酸エステル;
【0065】
3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−ペンタフロロエチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2−ジフロロオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2,4−トリフロロオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2,2,4,4−テトラフロロオキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−(アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−2−ペンタフロロエチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−2−フェニルオキセタン、2,2−ジフロロ−3−(アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−2,2,4−トリフロロオキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−2,2,4,4−テトラフロロオキセタン等のアクリル酸エステルが挙げられる。
【0066】
これのうち特に、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3−メチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン等が重合性の点から好ましい。
【0067】
共重合体〔A2〕において、化合物(a2−2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
共重合体〔A2〕において、化合物(a2−2)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは0.5重量%〜70重量%、より好ましくは1重量%〜60重量%、さらに好ましくは3重量%〜50重量%である。化合物(a2−2)に由来する繰り返し単位の含有率が0.5重量%未満では、得られる共重合体の耐熱性が低下する傾向にあり、一方70重量%を超えると、共重合体の保存安定性が低下する傾向がある。
【0069】
上記共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕において、化合物(a2−1)および化合物(a2−2)以外の化合物(a2)「以下、「化合物(a2−3)」という。」を共重合体の成分として使用することができる。その具体例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル等のアクリル酸アルキルエステル;
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等のメタクリル酸アルキルエステル;
アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、アクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル、アクリル酸イソボロニル等のアクリル酸脂環式エステル;
メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、メタクリル酸2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシ)エチル、メタクリル酸イソボロニル等のメタクリル酸脂環式エステル;
アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸のアリールエステルあるいはアラルキルエステル;
メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸のアリールエステルあるいはアラルキルエステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル;
アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、アクリル酸テトラヒドロピラン−2−イル、アクリル酸2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル等の含酸素複素5員環あるいは含酸素複素6員環を有するアクリル酸エステル;
メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イル、メタクリル酸2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル等の含酸素複素5員環あるいは含酸素複素6員環を有するメタクリル酸エステル;
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等のビニル芳香族化合物;
1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等の共役ジエン化合物の他、
アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0070】
これらのうち、共重合反応性の点からから、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、スチレン、p−メトキシスチレン、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル、1,3−ブタジエン等が好ましい。
【0071】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕において、化合物(a2−3)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0072】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕において、化合物(a2−3)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%、さらに好ましくは30重量%〜50重量%である。化合物(a2−3)の繰り返し単位の含有率が10重量%未満では、共重合体の分子量が低下する傾向があり、一方70重量%を超えると、化合物(a1)、化合物(a2−1)および化合物(a2−2)成分の奏する効果が低下する。
【0073】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕は、適当な溶媒中、ラジカル重合開始剤の存在下で重合することにより製造することができる。
【0074】
前記重合に用いられる溶媒としては、例えば、
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;
エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルプロピオネート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のジエチレングリコールアルキルエーテル;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル等のジプロピレングリコールアルキルエーテル;
【0075】
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート;
プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルプロピオネート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;
メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン;
2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸n−プロピル、2−メトキシプロピオン酸n−ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸n−プロピル、2−エトキシプロピオン酸n−ブチル、2−n−プロポキシプロピオン酸メチル、2−n−プロポキシプロピオン酸エチル、2−n−プロポキシプロピオン酸n−プロピル、2−n−プロポキシプロピオン酸n−ブチル、2−n−ブトキシプロピオン酸メチル、2−n−ブトキシプロピオン酸エチル、2−n−ブトキシプロピオン酸n−プロピル、2−n−ブトキシプロピオン酸n−ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸n−プロピル、3−メトキシプロピオン酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸n−プロピル、3−エトキシプロピオン酸n−ブチル、3−n−プロポキシプロピオン酸メチル、3−n−プロポキシプロピオン酸エチル、3−n−プロポキシプロピオン酸n−プロピル、3−n−プロポキシプロピオン酸n−ブチル、3−n−ブトキシプロピオン酸メチル、3−n−ブトキシプロピオン酸エチル、3−n−ブトキシプロピオン酸n−プロピル、3−n−ブトキシプロピオン酸n−ブチル等のアルコキシプロピオン酸アルキル;
【0076】
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸n−プロピル、ヒドロキシ酢酸n−ブチル、酢酸4−メトキシブチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−メトキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、酢酸3−プロキシブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸n−プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸n−ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸n−プロピル、メトキシ酢酸n−ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸n−プロピル、エトキシ酢酸n−ブチル、n−プロポキシ酢酸メチル、n−プロポキシ酢酸エチル、n−プロポキシ酢酸n−プロピル、n−プロポキシ酢酸n−ブチル、n−ブトキシ酢酸メチル、n−ブトキシ酢酸エチル、n−ブトキシ酢酸n−プロピル、n−ブトキシ酢酸n−ブチル等の他のエステル
等を挙げることができる。
【0077】
これらの溶媒のうち、ジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルコキシプロピオン酸アルキル、酢酸エステル等が好ましい。
前記溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0078】
前記ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物;過酸化水素等を挙げることができる。
【0079】
ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、それを還元剤とを併用して、レドックス型開始剤としてもよい。
これらのラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0080】
このようにして得られた共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕は、溶液のまま共重合体〔A1〕の製造に供しても、また一旦溶液から分離して共重合体〔A1〕の製造に供してもよい。
【0081】
共重合体〔α〕および共重合体〔A2〕のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、好ましくは2000〜100000、より好ましくは5000〜50000である。Mwが2000未満であると、得られる被膜のアルカリ現像性、残膜率等が低下したり、またパターン形状、耐熱性等が損なわれたりするおそれがあり、一方100000を超えると、解像度が低下したり、パターン形状が損なわれたりするおそれがある。
【0082】
本実施形態における共重合体〔A1〕は、上記共重合体〔α〕に、不飽和イソシアネート化合物を反応させることにより得られる。
不飽和イソシアネート化合物としては、例えば、
2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−アクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−アクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−アクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−アクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−アクリロイルオキシデシルイソシアネート、
アクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、
アクリル酸2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エチル、
アクリル酸2−{2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、アクリル酸2−(2−イソシアネートプロポキシ)エチル、
アクリル酸2−[2−(2−イソシアネートプロポキシ)プロポキシ]エチル等のアクリル等のアクリル酸誘導体;
2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、3−メタクリロイルオキシプロピルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシブチルイソシアネート、6−メタクリロイルオキシヘキシルイソシアネート、8−メタクリロイルオキシオクチルイソシアネート、10−メタクリロイルオキシデシルイソシアネート
メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル、
メタクリル酸2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エチル、
メタクリル酸2−{2−[2−(2−イソシアネートエトキシ)エトキシ]エトキシ}エチル、
メタクリル酸2−(2−イソシアネートプロポキシ)エチル、
メタクリル酸2−[2−(2−イソシアネートプロポキシ)プロポキシ]エチル等のメタクリル酸誘導体を挙げることができる。
【0083】
また、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名で、カレンズAOI(昭和電工(株)製)、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの市販品としては、商品名で、カレンズMOI(登録商標)(昭和電工(株)製)、メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチルの市販品としては、商品名で、カレンズMOI(登録商標)−EG(昭和電工(株)製)を挙げることができる。
【0084】
これらの不飽和イソシアネート化合物のうち、共重合体〔α〕との反応性の点から、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、4−メタクリロイルオキシブチルイソシアネート、メタクリル酸2−(2−イソシアネートエトキシ)エチル等が好ましい。
共重合体〔A1〕において、不飽和イソシアネート化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
本実施形態において、共重合体〔α〕と不飽和イソシアネート化合物との反応は、例えば、ジラウリン酸ジ−n−ブチルすず(IV)等の触媒やp−メトキシフェノール等の重合禁止剤を含む共重合体〔α〕溶液に、室温または加温下で、攪拌しつつ、不飽和イソシアネート化合物を投入することによって実施することができる。
【0086】
共重合体〔A1〕を製造する際の不飽和イソシアネート化合物の使用量は、共重合体〔α〕中の化合物(a2−1)に由来する水酸基1当量に対して、好ましくは0.1モル%〜95モル%、さらに好ましくは1.0モル%〜80モル%、特に好ましくは5.0モル%〜75モル%である。不飽和イソシアネート化合物の使用量が0.1モル%未満では、感度および耐熱性向上への効果が小さく、一方95モル%を超えると、未反応の不飽和イソシアネート化合物が残存し、得られる重合体溶液や感放射線性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
【0087】
(A)バインダーポリマーとして、共重合体〔A1〕および共重合体〔A2〕は、それぞれ単独で使用することもできるが、得られる感放射線性樹脂組成物の保存安定性、並びに保護膜の強度および耐熱性をさらに向上させることができる点において、共重合体〔A1〕と共重合体〔A2〕を併用することが好ましい。
【0088】
本実施形態において、(A)バインダーポリマーとして共重合体〔A1〕と共重合体〔A2〕とを併用する場合、共重合体〔A2〕の使用量は、共重合体〔A1〕100重量部に対して、好ましくは0.5重量部〜50重量部、より好ましくは1重量部〜40重量部であり、さらに好ましくは3重量部〜30重量部である。共重合体〔A2〕の使用量が0.5重量部未満では、保護膜の強度や耐熱性向上に効果が小さく、一方50重量部を超えると、感放射線性樹脂組成物の保存安定性を低下させる傾向がある。
【0089】
〔(B)光重合開始剤〕
本発明の実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(B)光重合開始剤としては、例えば、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、α−ジケトン化合物、多核キノン化合物、キサントン化合物、ホスフィン化合物、トリアジン化合物等を挙げることができる。
【0090】
前記O−アシルオキシム化合物としては、例えば、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−ノナン−1,2−ノナン−2−オキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−ノナン−1,2−ノナン−2−オキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−ペンタン−1,2−ペンタン−2−オキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−(1,3,5−トリメチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾアート、1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセタート、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等を挙げることができる。
【0091】
これらO−アシルオキシム化合物のうち、特に1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセタート、1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−アセタート、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
【0092】
これらO−アシルオキシム化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0093】
前記アセトフェノン化合物としては、例えば、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物等を挙げることができる。
【0094】
前記α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等を挙げることができ、また前記α−アミノケトン化合物としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等を挙げることができる。これら以外の化合物として、例えば、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等を挙げることができる。
【0095】
これらのアセトフェノン化合物のうち、特に、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オンが好ましい。
【0096】
本実施形態においては、アセトフェノン化合物を併用することにより、感度や保護膜の強度をさらに改善することが可能となる。
【0097】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等を挙げることができる。
【0098】
これらのビイミダゾール化合物のうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が好ましく、特に2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましい。
【0099】
本実施形態においては、ビイミダゾール化合物を併用することにより、感度、解像度や保護膜の密着性をさらに改善することが可能となる。
【0100】
また、ビイミダゾール化合物を併用する場合、それを増感するため、ジアルキルアミノ基を有する脂肪族系または芳香族系の化合物(以下、「アミノ増感剤」という。)を添加することができる。
【0101】
アミノ増感剤としては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸i−アミル等を挙げることができる。
【0102】
これらのアミノ増感剤のうち、特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
前記アミノ増感剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0103】
ビイミダゾール化合物とアミノ増感剤とを併用する場合、アミノ増感剤の添加量は、ビイミダゾール化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部〜200重量部、さらに好ましくは10重量部〜150重量部である。この場合、アミノ増感剤の添加量が1重量部未満では、感度、解像度や密着性の改善効果が低下する傾向があり、一方、200重量部を超えると、得られるパターニング性が損なわれる傾向がある。
【0104】
さらに、ビイミダゾール化合物とアミノ増感剤とを併用する場合、水素供与化合物として、チオール化合物を添加することができる。ビイミダゾール化合物は前記アミノ増感剤によって増感されて開裂し、イミダゾールラジカルを発生するが、そのままでは高い重合開始能が発現されず、得られる保護膜のパターニングがうまく行えずに、好ましくない形状となる場合が多い。しかし、ビイミダゾール化合物とアミノ増感剤とが共存する系に、チオール化合物を添加することにより、イミダゾールラジカルにチオール化合物から水素ラジカルが供与される結果、イミダゾールラジカルが中性のイミダゾールに変換されるとともに、重合開始能の高い硫黄ラジカルを有する成分が発生し、それにより保護膜のパターニングを所望するように行うことができる。
【0105】
前記チオール化合物としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール等の芳香族化合物;3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等の脂肪族モノチオール;3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)等の2官能以上の脂肪族チオールを挙げることができる。
【0106】
これらのチオール化合物のうち、特に2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
【0107】
チオール化合物の添加量は、ビイミダゾール化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部〜150重量部、より好ましくは10重量部〜100重量部である。この場合、チオール化合物の添加量が1重量部未満では、保護膜のパターニング性の改善効果が低下したり、膜減りを生じやすくなる傾向があり、一方、150重量部を超えると、保護膜のパターニング性が損なわれる傾向がある。
【0108】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物において、(B)光重合開始剤の使用量は、(A)成分、後述する(C)成分および後述する(D)成分の合計100重量部に対して、好ましくは5重量部〜30重量部、より好ましくは5重量部〜25重量部である。この場合、重量部使用量が5重量部未満では、アルカリ水溶液からなる現像液による現像時の残膜率が低下する傾向があり、一方、30重量部を超えると、未露光部の該現像液に対する溶解性が低下する傾向がある。
【0109】
〔(C)化合物〕
本発明の実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(C)化合物は、下記式(1)で示される化合物である。(C)化合物は、式(1)の−NH−CO−NH−部位や−NH−CS−NH−部位を有する。(C)化合物は、これらの部位が弱い求核性を有することから、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された保護膜が、保護する金属材料の腐食等の劣化を誘発することを抑制することができる。そして、通常の塩基性化合物とは異なり、多量に使用されても、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された保護膜の金属材料への密着力を低下させることは無い。
【0111】
上記式(1)において、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、単結合または2価〜4価の有機基を示し、R
3およびR
4はそれぞれ独立に、不飽和複素環基、炭素数11〜20のアルキル基、オキシラニル基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、メルカプト基およびスルホ基のうちのいずれかを示す。nおよびmはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
【0112】
より詳しく説明すると、上記式(1)において、R
1およびR
2の好ましい例としては、単結合、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へプチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、−(C
2H
4O)
maC
2H
4−、−(C
3H
6O)
maC
2H
4−(maは1〜5の整数を表す。)、下記式(4a)、下記式(4b)で表される基等を挙げることができる。
【0114】
上記式(4a)および式(4b)中、e、f、gおよびhは、互いに同一であっても異なっていてもよく、0〜12の整数を表す。
【0115】
上記式(1)中、R
3およびR
4はそれぞれ独立に、不飽和複素環基、炭素数11〜20のアルキル基、オキシラニル基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、メルカプト基、スルホ基を示す。
【0116】
不飽和複素環基は、アリール(Aryl)基(芳香族炭化水素基)とは、区別されるものであり、不飽和結合を有する複素環基を示す。具体的には、2−フリル基、フルフリル基、2−チエニル基、2−テニル基、2−テノイル基、2−ピロリル基、2−ピリジル基、2−キノイル基、カルバゾール基、イミダゾール基、ベンゾイミダゾール基、インドール基等を示す。
【0117】
上記式(1)中、nおよびmはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
【0118】
(C)化合物の中で、特に下記式(3)で示されるような、両末端に重合性基を有する化合物が特に好ましい。このような化合物は上述した(C)化合物の効果に加え、重合性基がポストベーク時の加熱で、熱架橋することで、硬化膜の硬度を一層高めることが可能となり、得られるパターニングされた保護膜の耐熱性や熱に対する形状安定性を向上することが可能となる。
【0120】
上記式(3)において、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立に、単結合または2価〜4価の有機基を示し、R
5およびR
6はそれぞれ独立に、水素原子およびメチルのいずれかを示す。nおよびmはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。R
1およびR
2は上記式(1)と同義である。
【0121】
上記(3)で表される(C)化合物としては、例えば、下記式(3−1)〜(3−6)で表される化合物等が挙げられる。
【0123】
(C)化合物の具体例としては、例えば、1,3−ビス(アクリロイルオキシエチル)ウレア、1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア、1,3−ビス(メタアクリロイルオキシブチル)ウレア、1,3−ビス(メタアクリロイルオキシ−2−エトキシエチル)ウレア、1,3−ビス(m−メタアクリロイルオキシフェニル)ウレア、1,3−ビス(1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチル)ウレア等を挙げることができる。
【0124】
(C)化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0125】
(C)化合物は、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和イソシアネート化合物を、適当な溶媒中、水とともに反応させることにより製造することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和イソシアネート化合物としては、共重合体〔A1〕の製造に使用される不飽和イソシアネート化合物と同様の化合物を挙げることができる。
【0126】
また、(C)化合物の製造に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、塩化メチレン等を挙げることができる。
【0127】
また、(C)化合物を製造する際の水の使用量は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する不飽和イソシアネート化合物に対して、好ましくは50モル%〜500モル%、より好ましくは50モル%〜100モル%である。このようにして得られた(C)化合物は、メタノール、エタノール等を用いて再結晶等により精製することが好ましい。
【0128】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(C)化合物の使用量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1重量部〜100重量部、より好ましくは1重量部〜50重量部、さらに好ましくは3重量部〜20重量部である。(C)化合物の使用量が0.1重量部未満では、所望の効果が得られないおそれがあり、一方100重量部を超えると、得られる感放射線性樹脂組成物の保存中に析出物が発生するおそれがある。
【0129】
〔(D)化合物〕
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有される(D)化合物は、下記式(2)で示される化合物である。本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(D)化合物を含有することにより、金属に対して優れた密着力を示す硬化膜を形成することができる。そして、後述する本発明の実施形態のタッチパネルは、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線等を有することができる。したがって、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、本発明の実施形態のタッチパネルに好適に使用できる優れた密着力の保護膜を提供することができる。
【0131】
上記式(2)において、R
11およびR
12は水素原子またはメチル基を示す。jは1〜5の整数を示し、kは1〜2の整数を示す。
【0132】
上記式(2)で示される(C)化合物の市販品としては、PM21(日本化薬(株)製)等を挙げることができる。
【0133】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(D)化合物の使用量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.1重量部〜100重量部、より好ましくは10重量部〜60重量部、さらに好ましくは30重量部〜50重量部である。(D)化合物の使用量が0.1重量部未満であると、保護膜において密着力向上効果が十分に表れない。また、100重量部を超えて含有すると、形成される保護膜により被覆される金属材料において、腐食等の劣化が促進されるおそれがある。
【0134】
〔(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物〕
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)上記式(1)で示される化合物、および、(D)上記式(2)で示される化合物に加え、任意の成分として、(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物(単に、(E)成分または(E)化合物と称することがある。)を含有することができる。
【0135】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(E)化合物を含有することにより、得られる保護膜が、腐食等の金属の劣化を誘発するのを低減することができる。また、(E)化合物の使用により、形成される保護膜の柔軟性を向上することができ、例えば、金属に対する保護膜の密着性を向上させることができる。そして、後述する本発明の実施形態のタッチパネルは、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線等を有することができる。したがって、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、金属配線の腐食等の劣化を抑え、柔軟で、優れた密着力を示し、本発明の実施形態のタッチパネルに好適に使用できる保護膜を提供することができる。
【0136】
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物に含有可能な(E)化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネートを構成成分として含有するものが用いられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルのうちの少なくとも1種のモノマーと、ポリオールとを用いて、水酸基を1個以上有するヒドロキシアクリレートおよび水酸基を1個以上有するヒドロキシメタクリレートの少なくとも一方を作製し、これをジイソシアネートと反応させることによりウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートの少なくとも一方を製造することができる。
【0137】
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物において、(E)化合物は、1種類を単独で使用してもよく、または2種類以上を併用してもよい。
【0138】
上述したアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリオール、ジイソシアネート等は、特に制限されないが、例えば、特開2007−290341号公報の第0032段落〜第0034段落に例示されている物質が挙げられる。
【0139】
これらの(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物の市販品としては、UN−9200、UN−3320、UN−901、UN−905、UN−952、UN−5507、UN−904、UN−906AVN(根上工業製)等が挙げることができる。
【0140】
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物における(E)化合物の使用量は、特に制限されない。本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物における(E)化合物の使用割合は、その感放射線性樹脂組成物中の樹脂100質量部に対し、例えば、1重量部〜70重量部、好ましくは、5重量部〜45重量部の範囲である。この範囲で使用することにより、金属配線等の金属の腐食を防止する効果と、金属配線等の金属に対する密着性を高いレベルで向上させることができる。
【0141】
〔(F)無機酸化物粒子〕
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)上記式(1)で示される化合物、および、(D)上記式(2)で示される化合物に加え、任意の成分として、(F)無機酸化物粒子を含有することができる。
【0142】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物の(F)成分である(F)無機酸化物粒子は、感放射線性樹脂組成物中に含有されて、得られる硬化膜の電気絶縁性が維持されるとともに、誘電特性である比誘電率を制御することができる。また、無機酸化物粒子は、硬化膜の屈折率の制御、硬化膜の透明性の制御、硬化収縮を緩和することによるクラックの抑制、硬化膜の表面硬度向上という目的等でも使用することができる。すなわち、(F)無機酸化物粒子は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から得られる保護膜の比誘電率の制御、屈折率の制御、透明性の制御、クラックの抑制、表面硬度の向上等を実現することができる。
【0143】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物の(F)無機酸化物粒子は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、ストロンチウム、バリウム、セリウムおよびハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む酸化物である無機酸化物粒子である。
【0144】
そして、この群の中でもケイ素、ジルコニウム、チタンまたは亜鉛の酸化物粒子が好ましく、ケイ素の酸化物粒子であるシリカ粒子、ジルコニウムまたはチタンの酸化物粒子やチタン酸バリウム(BaTiO
3)が特に好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、(F)無機酸化物粒子としては、上述の元素の複合酸化物粒子であってもよい。この複合酸化物粒子としては例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また硬化物の電気絶縁性を損なわない範囲でATO(antimoy−tin oxide)、ITO(indium−tin oxide)、IZO(indium−zinc oxide)等を用いることもできる。これらの無機酸化物粒子としては、市販のもの、例えば、シーアイ化成(株)のナノテック(登録商標)等を使用することができる。
【0145】
(F)無機酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、動的光散乱法で求めた(F)無機酸化物粒子の体積平均粒子径は5nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがさらに好ましく、10nm〜80nmが特に好ましい。(F)無機酸化物粒子の体積平均粒子径が5nm未満であると、感放射線性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜の硬度が低下するおそれや、意図した比誘電率を発現できないおそれがあり、200nmを超えると硬化膜のヘイズが高くなり透過率が低下するおそれや、硬化膜の平滑性が悪くなるおそれがある。
【0146】
(F)無機酸化物粒子の配合量としては、特に限定されないが、上述の(A)バインダーポリマー100質量部に対して、1質量部〜500質量部が好ましく、5質量部〜300質量部がより好ましい。(F)無機酸化物粒子の配合量が1質量部未満であると、得られる硬化膜の上述した特性を所望とする範囲内に制御することができない。逆に、(F)無機酸化物粒子の配合量が500質量部を超えると塗布性や膜の硬化性が低下し、また、得られる保護膜のヘイズが高くなるおそれがある。
【0147】
(F)無機酸化物粒子は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を調製する際に、粉体として、(A)成分等、並びに、後述の(G)成分としての溶剤およびその他の任意成分と混合してもよく、あらかじめ(F)無機酸化物粒子を、後述の(G)成分としての溶剤と混合し、(F)無機酸化物粒子の分散液として扱ってもよい。さらに(F)無機酸化物粒子の分散液には、その他の任意成分としての分散剤を添加して扱ってもよい。また、(F)無機酸化物粒子を他の成分と混合する場合、(F)無機酸化物粒子の凝集を防ぎ、均一な粒径に制御するために、分散処理を行うことが好ましい。
【0148】
分散処理としては、ペイントシェーカ、SCミル、アニュラー型ミル、ピン型ミル等の各種ビーズミルを用いて、粒径の低下が観察されなくなるまで継続することによって行われるとよい。この継続時間としては、数時間とすることが好ましい。また、この分散の際に、ガラスビーズやジルコニアビーズ等の分散ビーズを用いることが好ましい。このビーズ径は特に限定されないが、好ましくは0.05mm〜0.5mm、より好ましくは0.08mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.08mm〜0.2mmである。
【0149】
また、(F)無機酸化物粒子は、凝集した粗大な粒子を上述のように分散処理することで均一な粒径に制御してもよいし、気相中あるいは液相中でのゾルゲル反応等により、粒径が制御された(F)無機酸化物粒子あるいは(F)無機酸化物粒子の分散液を直接作製してもよい。
【0150】
〔(G)溶剤およびその他の任意成分〕
本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)上記式(1)で示される化合物、および、(D)上記式(2)で示される化合物に加え、任意の成分として、(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物や(F)無機酸化物粒子を含有することができ、さらに、(G)溶剤およびその他の任意成分を含有することができる。
【0151】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(F)無機酸化物粒子を含有する場合、(G)成分として分散剤をさらに含有することにより、感放射線性樹脂組成物内部に均一に(F)無機酸化物粒子を分散させることができ、塗布性を高めることができる。そして、本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、それを用いて得られる硬化膜の基板等への密着性を高め、比誘電率や屈折率等の特性が一様に所望の値となるように制御することができる。
【0152】
(G)分散剤としては、ノニオン系分散剤、カチオン系分散剤、アニオン系分散剤等を挙げることができる。
【0153】
(G)分散剤に好適なノニオン系分散剤としては、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、エチレンジアミンプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルまたは脂肪酸アルカノールアミドであることが好ましい。
【0154】
上述のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルとしては、下記式(5)で表される化合物が好ましい。
【0155】
【化11】
(式(5)中、R
31は、各々独立に、C
qH
2q+1−CH
2O−(CH
2CH
2O)
q’−CH
2CH
2O−である。そのqは12〜16の整数である。そのq’は8〜10の整数である。そのLは1〜3の整数である。)
【0156】
上記式(5)で表される分散剤の市販品としては、楠本化成(株)製PLAAD ED151等が挙げられる。以上のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルによれば、無機酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0157】
上述の高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩としては、下記式(6)で表されるものが好ましい。
【0158】
【化12】
(式(6)中、rおよびsは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が、10000〜40000となるように選択される数である。)
【0159】
上記式(6)で表される分散剤の市販品としては、楠本化成(株)製PLAAD ED211等が挙げられる。以上の高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩によっても無機酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0160】
上述のエチレンジアミンプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド縮合物としては下記式(7)で表されるものが好ましい。
【0161】
【化13】
(式(7)中、tおよびuは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められたポリスチレン換算数平均分子量が1000〜30000となるように選択される数である。)
【0162】
上記式(7)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカプルロニックTR−701、TR−702、TR−704等が挙げられる。以上のエチレンジアミンプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド縮合物によっても、(F)無機酸化物粒子の均一分散性をさらに向上させることができる。
【0163】
上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、下記式(8)で表されるものが好ましい。
【0164】
【化14】
(式(8)中、R
34は炭素数1〜20のアルキル基である。vは10〜300の整数である。)
【0165】
上記式(8)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいて、R
34としては、炭素数1〜12にアルキル基が特に好ましい。
上記式(8)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカトール(登録商標)TN/SO/UAシリーズ等が挙げられる。
【0166】
上述のポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルとしては、下記式(9)で表される化合物が好ましい。
【0167】
【化15】
(式(9)中、R
35は炭素数1〜12のアルキル基である。wは10〜300の整数である。)
【0168】
上記式(9)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカトール(登録商標)SP/PCシリーズ等が挙げられる。
【0169】
上述のアルキルグルコシドとしては、下記式(10)で表されるものが好ましい。
【0170】
【化16】
(式(10)中、R
36、R
37、R
38、R
39およびR
40は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜12のアルキル基である。)
【0171】
上述のポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては下記式(11)で表されるものが好ましい。
【0172】
【化17】
(式(11)中、R
41は、炭素数1〜20のアルキル基である。R
42は、水素または炭素数2〜13のアシル基である。yは10〜300の整数である。)
【0173】
上記式(11)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステルにおいて、R
41としては、炭素数1〜12のアルキル基が特に好ましい。
【0174】
上記式(11)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカエストール(登録商標)OEGシリーズ、アデカエストール(登録商標)TLシリーズ等が挙げられる。
【0175】
上述のショ糖脂肪酸エステルとしては、下記式(12)で表されるものが好ましい。
【0176】
【化18】
(式(12)中、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49およびR
50はそれぞれ独立して、水素または炭素数2〜13のアシル基である。)
【0177】
上述のソルビタン脂肪酸エステルとしては、下記式(13)で表されるものが好ましい。
【0178】
【化19】
(式(13)中、R
51は、−(CH
2CH
2O)
z1−Hで表される基である。z1は、10〜300の整数である。)
【0179】
上記式(13)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカエストール(登録商標)Sシリーズ等が挙げられる。
【0180】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、下記式(14)で表されるものが好ましい。
【0181】
【化20】
(式(14)中、R
52、R
53およびR
54は、それぞれ独立して、水素または−(CH
2CH
2O)
z2−Hで表される基である。z2は、10〜300の整数である。)
【0182】
脂肪酸アルカノールアミドとしては、下記式(15)で表されるものが好ましい。
【0183】
【化21】
(式(15)中、R
55は、炭素数1〜20のアルキル基である。)
【0184】
上記式(15)で表される脂肪酸アルカノールアミドにおいて、R
55としては、炭素数1〜12のアルキル基が特に好ましい。
【0185】
上記式(15)で表される分散剤の市販品としては、(株)ADEKA製アデカトール(登録商標)シリーズ等が挙げられる。
【0186】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物において、(G)成分としての分散剤の配合量としては、特に限定されないが、(F)無機酸化物粒子が含有される場合、(F)無機酸化物粒子100質量部に対して、0.1質量部〜100質量部が好ましく、10質量部〜60質量部がより好ましい。(G)成分としての分散剤の配合量が0.1質量部より小さいと、(F)無機酸化物粒子の分散性が低下することによって、感放射線性樹脂組成物の塗布性や保存安定性の低下が生じるとともにパターニング性が低下するおそれがある。逆にこの配合量が100質量部を超えると、本実施形態の感放射線性樹脂組成物において、感放射線特性が低下するおそれがある。また、分散剤の配合が多すぎることによって、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて得られる硬化物の基板等への密着性が低下するおそれや耐熱透明性が損なわれるおそれがある。
【0187】
(G)成分としての分散剤は、感放射線性樹脂組成物を調製する際に添加してもよく、その分散剤と(F)無機酸化物粒子とをあらかじめ(G)成分としての任意の溶剤中で混合して分散処理を行い、(F)無機酸化物粒子の分散液として取り扱ってもよい。
【0188】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物の(G)溶剤およびその他の任意成分としては、分散剤以外にも、溶剤や界面活性剤等を含有することができる。以下、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の(G)溶剤およびその他の任意成分である、溶剤および界面活性剤について説明する。
【0189】
(G)成分である溶剤は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を所望の固形分濃度に調整したり、(A)バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)上記式(1)で示される化合物、および、(D)上記式(2)で示される化合物等、並びに(G)成分としてのその他任意成分を均一かつ安定に溶解させたり、(F)無機酸化物粒子を含有する場合、その(F)無機酸化物粒子を感放射線性樹脂組成物中に均一かつ安定に分散させることができる。また、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を基板に塗布する際の、塗布性および成膜性を向上させることができる。すなわち、(G)成分である溶剤は、上述のような機能を有すれば特に限定されない。
【0190】
(G)溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。(G)溶剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0191】
(G)成分としての界面活性剤は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤およびその他の界面活性剤が挙げられる。
【0192】
上述のフッ素系界面活性剤としては、例えば、1,1,2,2−テトラフルオロオクチル(1,1,2,2−テトラフルオロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフルオロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロペンチル)エーテル等のフルオロエーテル類;パーフルオロドデシルスルホン酸ナトリウム;1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフルオロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロデカン等のフルオロアルカン類;フルオロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム類;フルオロアルキルオキシエチレンエーテル類;フルオロアルキルアンモニウムヨージド類;フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル類;パーフルオロアルキルポリオキシエタノール類;パーフルオロアルキルアルコキシレート類;フッ素系アルキルエステル類等を挙げることができる。
【0193】
上記フッ素系界面活性剤の市販品としては、商品名で、例えば、BM−1000、同−1100(以上、BM CHEMIE社製)、メガファック(登録商標)F142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、DIC(株)製)、フロラードFC 170C、同FC−171、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロン(登録商標)S−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、新秋田化成(株)製)、フタージェント(登録商標)FT−100、同FT−110、同FT−140A、同FT−150、同FT−250、同FT−251、同FTX−251、同FTX−218、同FT−300、同FT−310、同FT−400S(以上、(株)ネオス製)等を挙げることができる。
【0194】
上記シリコーン系界面活性剤としては、市販品として、商品名で、例えば、トーレシリコーンDC3PA、同DC7PA、同SH11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH−190、同SH−193、同SZ−6032、同SF−8428、同DC−57、同DC−190(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、TSF−4440、同−4300、同−4445、同−4446、同−4460、同−4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等を挙げることができる。
【0195】
上記その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレート等のポリオキシエチレンジアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤や、市販品として、商品名で、例えば、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.57、同No.95(共栄社化学(株)製)等を挙げることができる。
【0196】
上述した界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0197】
界面活性剤を使用する場合の配合量は、(A)バインダーポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.05質量部〜5質量部である。界面活性剤の配合量を0.01質量部〜10質量部とすることによって、本実施形態の感放射線性樹脂組成物の塗布性を最適化することができる。
【0198】
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、(G)成分として、必要に応じてさらに種々の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、接着助剤、保存安定剤、耐熱性向上剤等を挙げることができる。
【0199】
上述した接着助剤は、本実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成される保護膜とその保護膜が設けられる基体との密着性をさらに改善する作用を有する成分であり、官能性シランカップリング剤が好ましい。
【0200】
前記官能性シランカップリング剤としては、例えば、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性官能基を有する化合物を挙げることができ、より具体的には、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0201】
これらの接着助剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0202】
接着助剤の配合量は、(A)バインダーポリマー100重量部に対して、好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。接着助剤の配合量が20重量部を超えると、現像時の現像残りが生じやすくなる傾向がある。
【0203】
上述した保存安定剤としては、例えば、硫黄、キノン化合物、ヒドロキノン化合物、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等を挙げることができ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等を挙げることができる。
【0204】
これらの保存安定剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0205】
保存安定剤の配合量は、(A)バインダーポリマー100重量部に対して、好ましくは3重量部以下、さらに好ましくは0.001重量部〜0.5重量部である。保存安定剤の配合量が3重量部を超えると、感度が低下してパターン形状が損なわれるおそれがある。
【0206】
上述した耐熱性向上剤としては、例えば、N−(アルコキシメチル)グリコールウリル化合物、N−(アルコキシメチル)メラミン化合物挙げることができる。
前記N−(アルコキシメチル)グリコールウリル化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(n−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(i−プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(n−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N’,N’−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0207】
これらのN−(アルコキシメチル)グリコールウリル化合物のうち、特にN,N,N’,N’−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリルが好ましい。
【0208】
上述のN−(アルコキシメチル)メラミン化合物としては、例えば、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(n−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(i−プロポキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(n−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミン等を挙げることができる。
【0209】
これらのN−(アルコキシメチル)メラミン化合物のうち、特にN,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(メトキシメチル)メラミンが好ましく、その市販品としては、商品名で、例えば、ニカラック(登録商標)N−2702、同MW−30M(以上、三和ケミカル(株)製)等を挙げることができる。
【0210】
これらの耐熱性向上剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0211】
耐熱性向上剤の配合量は、(A)バインダーポリマー重量部に対して、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは20重量部以下である。耐熱性向上剤の配合量が30重量部を超えると、感放射線性樹脂組成物の保存安定性が低下する傾向がある。
【0212】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
本実施形態の感放射線性樹脂組成物は、上述した(A)バインダーポリマー、(B)光重合開始剤、(C)上記式(1)で示される化合物および(D)上記式(2)で示される化合物を所定の割合で混合することで調製される。
【0213】
また、本実施形態の感放射線性樹脂組成物が、必要に応じて、(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物、(F)無機酸化物粒子、(G)溶剤およびその他の任意成分、を含有する場合、(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物、(F)無機酸化物粒子、(G)溶剤およびその他の任意成分を所定の割合で混合することで、調製される。(A)バインダーポリマーは、あらかじめ溶剤に溶解させて、(A)バインダーポリマーの溶液として扱ってもよく、(B)光重合開始剤等の必須成分は、あらかじめ溶剤に溶解させて、(B)光重合開始剤等の溶液として扱ってもよく、(F)無機酸化物粒子は、上述の通り(F)無機酸化物粒子の分散液として扱ってもよく、(G)成分としてのその他の任意成分は、あらかじめ溶剤に溶解させて、(G)その他任意成分の溶液として扱ってもよい。これらの場合に用いる溶剤は、上述の(G)溶剤と同様のものを用いることができる。また、(F)無機酸化物粒子を含有する場合は、上述の通り、必要に応じて分散処理を行ってもよい。
【0214】
実施の形態2.
<感光性ドライフィルム>
上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物は、後述する本発明の実施形態のタッチパネルの保護膜の形成に好適に使用することができる。その場合、タッチパネルを構成するための、金属配線等の形成された基板上に、直接に、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を適用して、乾燥、パターニング(露光と現像等)および必要に応じて硬化等を行って、所望形状の保護膜を形成することができる。
【0215】
そして、本実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いてタッチパネルの保護膜を形成するにあたり、より好ましい方法としては、感放射線性樹脂組成物から本発明の感光性ドライフィルムを形成し、その本発明の感光性ドライフィルムを用いて保護膜を形成する方法を挙げることができる。
【0216】
以下、本発明の実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された本発明の実施形態の感光性ドライフィルム、および、感光性ドライフィルムを用いた、保護膜となる感放射線性樹脂層の積層方法について説明する。
【0217】
図1は、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムを示す模式的な断面図である。
【0218】
図1に示すように、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルム100は、支持フィルム101と、支持フィルム101上に形成された感放射線性樹脂層102と、感放射線性樹脂層102の上に配置された保護フィルム103とを有して構成される。感放射線性樹脂層102は、上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて支持フィルム101上に形成されたものである。
【0219】
より具体的には、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルム100の形成において、上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を用い、それを支持フィルム101上に塗布し、乾燥して感放射線性樹脂層102を形成する。次いで、その感放射線性樹脂層102上に保護フィルム103を貼り合わせることにより感光性ドライフィルム100を形成する。したがって、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルム100は、上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0220】
尚、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムは、別の例として、支持フィルム上の感放射線性樹脂層の上に保護フィルムを設けない構造とすることも可能である。すなわち、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムの別の例は、
図1に示す感光性ドライフィルム100と異なり、支持フィルムおよび感放射線性樹脂層からなる構造とすることも可能である。
【0221】
感光性ドライフィルム100の支持フィルム101としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン等からなるフィルムが挙げられる。具体的には、帝人社製テトロンフィルムGSシリーズ、デュポン社製マイラーフィルムDシリーズ等のポリエステルフィルム等が挙げられる。そして、好ましくは、ポリエチレンテレフタレートフィルムが用いられる。
【0222】
支持フィルム101の厚さは、5μm〜100μm程度が好ましく、被覆性の確保と、支持フィルムを介した露光を高効率に行うため、10μm〜70μmがより好ましい。
【0223】
感光性ドライフィルム100の感放射線性樹脂層102は、上述したように、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成される。
【0224】
保護フィルム103としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、および、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの積層フィルム等からなる厚さ5μm〜100μm程度のフィルムが挙げられる。
【0225】
本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルム100は、試料上に、上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物からなる感放射線性樹脂層102を積層するために用いることができる。
【0226】
そして、例えば、後述する本発明の実施形態のタッチパネルを製造するにあたり、検知電極や、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線等を有するタッチパネルの基板上に、感放射線性樹脂層102を積層することができる。そして、配設された感放射線性樹脂層102から、露光と現像等のパターニング工程等を経て、保護膜を形成することができる。
【0227】
感光性ドライフィルム100を用い、タッチパネルの基板等の試料上に、感放射線性樹脂層102を積層する方法としては、保護フィルム103を除去しながら、その試料に感放射線性樹脂層102が密着するようにしてラミネートすることにより実施することができる。より具体的には、感光性ドライフィルム100から保護フィルム103を除去した後、残る感光性ドライフィルム100を加熱しながら、例えば、金属配線の設けられたタッチパネルの基板表面等の試料の表面に、感放射線性樹脂層102を圧着する。その結果、上述の試料上に感放射線性樹脂層102を積層することができる。
【0228】
圧着時の加熱温度としては、感放射線性樹脂層102が熱劣化しないように、10℃〜180℃とすることが好ましく、20℃〜160℃とすることがより好ましく、30℃〜150℃とすることがさらに好ましい。
【0229】
また、圧着時の圧着手段としては、圧着ロールの使用が好ましい。そして、圧着圧力は、試料の変形を抑える観点から、線圧で、50N/m〜1×10
5N/mとすることが好ましく、2.5×10
2N/m〜5×10
4N/mとすることがより好ましく、5×10
2N/m〜4×10
4N/mとすることがさらに好ましい。
【0230】
以上の方法に従い、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルム100は、試料上に、上述した本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物からなる感放射線性樹脂層102を積層することができる。そして、感放射線性樹脂層102は、露光と現像等のパターニング工程や、必要に応じてさらなる露光処理や加熱処理を経て、保護膜を形成することができる。
【0231】
実施の形態3.
<タッチパネル>
本発明の第3実施形態であるタッチパネルは、金属配線とその金属配線の少なくとも一部を覆う保護膜とを有するタッチパネルである。すなわち、本実施形態のタッチパネルは、基板上に、操作者の指等のタッチ操作を検出するための検知電極を有する。そして、本実施形態のタッチパネルは、検知電極に電気的に接続する配線を有し、その配線は、金属材料を用い形成された金属配線である。本実施形態のタッチパネルにおいて、検知電極に接続する配線は、検知電極をタッチパネルの基板の端部に引き回すための配線を含み、また、分断された検知電極の部分同士を接続するための配線を含む。本実施形態のタッチパネルは、これら配線を覆って保護する保護膜を有して構成される。
【0232】
本実施形態のタッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルとすることができる。
【0233】
図2は、本発明の第3実施形態のタッチパネルを示す平面図である。
【0234】
図3は、
図2のB−B’線に沿う断面図である。
【0235】
図2に示すように、本実施形態のタッチパネル21は、透明基板22の表面に、X方向に延在する第1検知電極23と、X方向に直交するY方向に延在する第2検知電極24とを有する。
【0236】
透明基板22はガラス基板とすることができる。また、透明基板22は、樹脂基板とすることもでき、その場合、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、環状オレフィンの開環重合体フィルムおよびその水素添加物からなるフィルム等を用いることができる。透明基板22の厚みとしては、ガラス基板の場合、0.1mm〜3mmとすることができる。樹脂基板の場合、10μm〜3000μmとすることができる。
【0237】
第1検知電極23および第2検知電極24は、それぞれ複数が配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24は、タッチパネル21の操作領域でマトリクス状に配置されている。第1検知電極23は、操作者によるタッチ位置のY方向の座標を検出するために用いられる。第2検知電極24は、操作者によるタッチ位置のX方向の座標を検出するために用いられる。第1検知電極23と第2検知電極24とは、透明基板22の同一面の同一層に設けられている。尚、第1検知電極23および第2検知電極24の数は
図2の例に限られるものではなく、操作領域の大きさと必要とされるタッチ位置の検出精度に応じて決定されることが好ましい。すなわち、より多い数や少ない数の第1検知電極23および第2検知電極24を用い、タッチパネル21を構成することができる。
【0238】
図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、菱形形状の複数の電極パッド30から構成されている。第1検知電極23と第2検知電極24とは、第1検知電極23の電極パッド30がそれと隣接する第2検知電極24の電極パッド30と離間するように配置される。このとき、それら電極パッド30間の隙間は、絶縁性が確保できる程度のごく小さなものとされる。
【0239】
そして、第1検知電極23と第2検知電極24とは、互いに交差する部分をできる限り小さくできるように配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24を構成する電極パッド30がタッチパネル21の操作領域全体に配置されるようにする。
図2に示すように、電極パッド30は菱形形状とすることができるが、こうした形状に限られず、例えば、六角形等の多角形形状とすることができる。
【0240】
第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、透明電極であることが好ましい。ここで、透明電極とは、可視光に対して高い透過性を備える電極である。第1検知電極23および第2検知電極24としては、ITOからなる電極や、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる電極等、透明導電材料からなる電極を用いることができる。第1検知電極23および第2検知電極24がそれぞれITOからなる場合、十分な導電性を確保できるよう、それらの厚さを10nm〜100nmとすることが好ましい。
【0241】
第1検知電極23および第2検知電極24の形成は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ITO等の透明導電材料からなる膜をスパッタリング法等を用いて成膜し、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングすることで行うことができる。
【0242】
図2および
図3に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、透明基板22の同一面上に形成されており、同一層をなしている。そのため、第1検知電極23と第2検知電極24とは、操作領域において、複数の箇所で交差しており、交差部28を形成している。
【0243】
本実施形態のタッチパネル21では、
図3に示すように、交差部28において、第1検知電極23および第2検知電極24のいずれか一方が他方と接触しないように分断される。すなわち、交差部28において、第1検知電極23は繋がっているが、
図3の左右方向に伸びる第2検知電極24は分断されて形成されている。そして、第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるために、ブリッジ配線32が設けられている。ブリッジ配線32と第1検知電極23との間には、絶縁性物質からなる層間絶縁膜29が設けられている。
【0244】
図3に示すように、交差部28で、第1検知電極23の上に設けられた層間絶縁膜29は、光透過性に優れた材料から形成されている。層間絶縁膜29は、ポリシロキサン、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマー等の印刷法を用いて塗布し、必要な場合にパターニングを行った後、それを加熱硬化させて形成することができる。ポリシロキサンを用いて形成した場合には、層間絶縁膜29はシリコン酸化物(SiO
2)からなる無機絶縁層となる。また、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマーを用いた場合には、層間絶縁膜29は樹脂からなる有機絶縁層となる。層間絶縁膜29にSiO
2を用いる場合には、例えば、マスクを用いたスパッタリング法によって、交差部28における第1検知電極23の上にのみSiO
2膜を形成して、層間絶縁膜29を構成することもできる。
【0245】
層間絶縁膜29の上層には、ブリッジ配線32が設けられている。ブリッジ配線32は、上述したように、交差部28で途切れた第2検知電極24同士を電気的に接続する機能を果たす。ブリッジ配線32は、ITO等の光透過性に優れた材料によって形成されることが好ましい。また、ブリッジ配線32は、抵抗特性に優れた金属材料を用いて構成し、金属配線とすることも可能である。ブリッジ配線32は、抵抗特性に優れた金属配線とすることにより、線幅を細くすることができ、タッチパネル21の操作者に対して目立ち難くすることができる。タッチパネル21では、ブリッジ配線32を設けることにより、第2検知電極24をY方向に電気的に接続することができる。
【0246】
図3に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、上述したように、菱形の電極パッド30を縦または横に複数並べた形状を有する。第1検知電極23において、交差部28に位置する接続部分は、第1検知電極23の菱形の電極パッド30より幅の狭い形状とされる。また、ブリッジ配線32も、菱形の電極パッド30より幅の狭い形状であって、短冊状に形成されている。
【0247】
タッチパネル21の第1検知電極23と第2検知電極24の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子からそれぞれ配線31が引き出される。配線31は、アルミニウム、銅、モリブデンおよび銅−マンガン合金等を用いた金属配線とすることができる。また、例えば、モリブデンとアルミニウムの金属膜を用い、Mo/Al/Moとなる積層構造を形成して構成された金属配線とすることができる。
【0248】
配線31は、その端部の接続端子(図示されない)を用いて、第1検知電極23および第2検知電極24への電圧印加やタッチ操作の位置を検出する外部の制御回路(図示されない)に電気的に接続される。
【0249】
図2および
図3に示すように、第1検知電極23、第2検知電極24および配線31の形成された透明基板22の表面には、配線31を覆うように、光透過性の保護膜25が設けられている。同様に、保護膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24も覆うように形成されている。したがって、ブリッジ配線32が、配線31と同様に金属配線である場合、保護膜25は、配線31とともに、金属配線であるブリッジ配線32も覆うことができる。
【0250】
保護膜25は、タッチパネル21の配線形成領域で配線31の少なくとも一部を覆って保護し、また、操作領域で、第1検知電極23および第2検知電極24等を覆って保護するようにパターニングされて形成される。具体的に、保護膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24から引き出される配線31の端部の接続端子(図示されない)が露出するようにパターニングされて形成される。
【0251】
保護膜25の形成には、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物を用いて形成された、上述の本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムを使用することができる。すなわち、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムを用い、上述した感放射線性樹脂層を積層する方法にしたがって、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成された感放射線性樹脂層をタッチパネル21の透明基板22上に積層する。次いで、所望のパターニング等を行って、保護膜25を形成することができる。
【0252】
保護膜25の形成方法について、以下でより詳細に説明する。
【0253】
はじめに、
図1に示されたものと同様の本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムを準備する。
【0254】
次に、その感光性ドライフィルムを用い、保護フィルムを除去しながら、第1検知電極23、第2検知電極24および配線31等の形成された透明基板22の表面に、感放射線性樹脂層が密着するようにしてラミネートする。ラミネートの具体的方法については、上述した感放射線性樹脂層を積層する方法に従うことが好ましい。その結果、透明基板22の配線31等の形成された表面に、感光性ドライフィルムの有していた感放射線性樹脂層が積層される。
【0255】
次いで、透明基板22上の感放射線性樹脂層の少なくとも一部に、放射線を照射(以下、露光とも言う。)する。この場合、感放射線性樹脂層の一部に露光する際には、通常、タッチパネル21の保護膜25の形成に好適な所定のパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
【0256】
感放射線性樹脂層の一部に露光する際の露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100J/m
2〜10000J/m
2、より好ましくは500J/m
2〜6000J/m
2である。
【0257】
次いで、露光後の感放射線性樹脂層を現像することにより、不要な部分(感放射線性樹脂組成物からなる感放射線性樹脂層がネガ型の場合は、放射線の非照射部分。)を除去して、所定のパターンを形成し、所望形状にパターニングされた硬化膜を得る。
【0258】
現像に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液かならるアルカリ現像液の使用が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
【0259】
また、このようなアルカリ現像液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、感放射線性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒間〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、例えば、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
【0260】
尚、現像の後、必要に応じて、さらなる露光により硬化膜をさらに硬化させてもよい。また、現像後の露光の代わりに、あるいは、露光と併せて、80℃〜280℃の加熱処理を施してもよい。
【0261】
保護膜25の膜厚としては、好ましくは0.1μm〜8μm、より好ましくは0.1μm〜6μm、さらに好ましくは0.1μm〜4μmである。
【0262】
このようにして透明基板22上で所望形状となるようにパターニングされた硬化膜は、透明性が高く、また、配線31や第1検知電極23等を保護するように被覆して、タッチパネル21の保護膜25となる。
【0263】
保護膜25は、本発明の第2実施形態の感光性ドライフィルムを用いて形成され、ひいては、本発明の第1実施形態の感放射線性樹脂組成物から形成されることになる。したがって、保護膜25は光透過性に優れ、また、タッチパネルの透明基板22上に形成された、金属配線である配線31に対して優れた密着性を備えている。さらに、保護膜25は、配線31において腐食等の劣化が促進されるのを抑制することができる。
【0264】
したがって、タッチパネル21は、保護膜25を有することによって高信頼化を実現することができる。
【0265】
また、保護膜25の形成されたタッチパネル21は、透明基板22の配線31並びに第1検知電極23および第2検知電極24の形成面に、例えば、アクリル系の透明接着剤からなる接着層(図示されない)を用いて透明な樹脂からなるカバーフィルム(図示されない)を設けることが可能である。
【0266】
以上の構成を有するタッチパネル21は、第1検知電極23と第2検知電極24がマトリクス状に配置された操作領域において静電容量を計測し、操作者の指等のタッチ操作があった場合に生じる静電容量の変化から、指等の接触位置を検知することができる。そして、タッチパネル21は、第1検知電極23および第2検知電極24に電気的に接続する配線31を介して接続され、液晶表示素子や有機EL素子等のディスプレイの上に載置され、電子機器のディスプレイの入力装置として好適に使用することが可能である。
【実施例】
【0267】
以下、実施例に基づき本発明の実施形態をより詳しく説明するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0268】
<感放射線性樹脂組成物の調製>
合成例1
[バインダーポリマーの合成]
フラスコにメタクリル酸(19w%)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(19w%)、ベンジルメタクリレート(44w%)、シクロヘキシルマレイミド(10w%)、P−イソプロぺニルフェノール(8w%)、アゾビスイソブチロニトリル(4w%)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(2w%)を投入し、S/M比が2になるようにメチル3−メトキシプロピオネートを加えた。室温、窒素雰囲気下で撹拌し全てのモノマーが溶解した後、90℃、窒素雰囲気下で反応させた。反応開始4h後にP−メトキシフェノールを仕込み全量に対し0.1w%量加え、窒素を止めてAirバブリングを開始した。その10分後に2−ヒドロキシエチルメタクリレートと等モルの2−イソシアナトエチルメタクリレートを滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了から1.5h後に冷却して反応を終了させて、バインダーポリマーを得た。
【0269】
合成例2
[(C)化合物の合成]
冷却管と撹拌機を備えたフラスコに、2−メタアクリロイルオキシエチルイソシアネート10部およびテトラヒドロフラン30部を仕込んだ。引き続き蒸留水2部を仕込み、溶液の温度を40℃に上昇させ1時間緩やかに撹拌を行った。減圧留去によりテトラヒドロフラン、蒸留水を除去した後、エタノール50部より再結晶を行い、針状白色結晶として、上記式(3−1)の1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレアを得た。
得られた化合物が1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)であることを、溶媒として重DMSO、基準としてTMSを用いて、
1H−NMRにより確認した。
1H−NMRの測定結果を以下に示す。ケミカルシフト(プロトン比、分裂);1.82(3H,s)、3.26(2H,q)、3.99(2H,t)、5.61(1H,s)、6.00(1H,s)、6.08(1H,t)。
【0270】
調製例1
[(F)無機酸化物粒子の分散液の調製]
ポリビンまたはガラス瓶にZrO
2の紛体であるUEP−100(第一希元素社製)を30質量部と、酸性分散剤S55000(日本ルーブリゾール社製)を2.5質量部、カルボン酸部位を持つ多官能アクリレートのアロニックス(登録商標)M−520(東亞合成社製)を2.5質量部加えた。溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を65質量部添加し、0.1mmのジルコニアビーズを仕込重量の3.5倍分添加して密封し軽く撹拌して溶剤と粒子、有機成分をなじませた。これをペイントシェーカーにセットし3時間分散処理し、メッシュフィルターでジルコニアビーズを除去して(F)無機酸化物粒子の分散液を得た。
【0271】
[感放射線性樹脂組成物の調製]
実施例で使用した各成分の詳細を下記に示す。
【0272】
(A)バインダーポリマー((A)成分)
上述の合成例1によるバインダーポリマー
【0273】
(B)光重合開始剤((B)成分)
Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)
【0274】
(C)上記式(1)で示される化合物((C)成分)
1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)
【0275】
(D)上記式(2)で示される化合物((D)成分)
D−1:Kayamer(登録商標) PM−21(日本化薬社製)
D−2:ライトエステル P−2M(共栄社化学社製)
D−3:JPA−514(城北化学社製)
【0276】
(E)ウレタン結合を有する不飽和化合物((E)成分)
E−1:UN−906AVN(根上工業社製)
E−2:UN−5507(根上工業社製)
E−3:UN−904(根上工業社製)
【0277】
(F)無機酸化物粒子の分散液((F)成分)
上述の調製例1による無機酸化物粒子の分散液
【0278】
実施例1
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるKayamer(登録商標) PM−21(日本化薬社製)を40質量、(E)成分であるUN−906AVN(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0279】
実施例2
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるKayamer(登録商標) PM−21(日本化薬社製)を40質量、(E)成分であるUN−5507(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0280】
実施例3
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるKayamer(登録商標) PM−21(日本化薬社製)を40質量、(E)成分であるUN−904(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0281】
実施例4
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるライトエステルP−2M(共栄社化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−906AVN(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0282】
実施例5
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるライトエステルP−2M(共栄社化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−5507(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0283】
実施例6
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるライトエステルP−2M(共栄社化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−904(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0284】
実施例7
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるJPA−514(城北化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−906AVN(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0285】
実施例8
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるJPA−514(城北化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−5507(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0286】
実施例9
(A)バインダーポリマーの固形分が100質量部に対し、(B)光重合開始剤:Irgacure(登録商標) OXE02(BASF社製)を3質量部、(C)成分である1,3−ビス(メタアクリロイルオキシエチル)ウレア(3−1)を10質量部、(D)成分であるJPA−514(城北化学社製)を40質量、(E)成分であるUN−904(根上工業社製)を100質量部、および、(F)成分である上記の調製例1による無機酸化物粒子を固形分で500質量部、加え、固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈し、全ての原料が溶解するまで撹拌して、感放射線性樹脂組成物を得た。
【0287】
<保護膜の評価>
実施例10
実施例1〜実施例9で得られた感放射線性樹脂組成物を用い、支持フィルムと感放射線性樹脂層とからなる感光性ドライフィルムをそれぞれ形成した後、各感光性ドライフィルムを用いて保護膜を形成し、各保護膜について評価を行った。
評価は、パターニング性、透水率(透湿度とも言う。)、密着性、硬度、および、プレッシャークッカー試験(PCT)後の密着性について行い、評価方法を以下で説明するとともに、評価結果を下記の表1にまとめてを示した。
【0288】
[パターニング性の評価]
支持フィルムであるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの未処理面に実施例1〜実施例9で調製した感放射線性樹脂組成物を硬化後膜厚が8μmになるようにバーコーター(テスター産業 AUTO FILM APPLICATOR)で塗工し、クリーンオーブンで100℃/2分間プリベークして溶剤を除去しドライフィルム化した。そして、支持フィルム上に感放射線性樹脂層が形成された感光性ドライフィルムを形成した。
【0289】
この感光性ドライフィルムを用い、その感放射線性樹脂層を、ロール温度を90℃に設定したラミネーター(大成ラミネーター FIRST LAMINATOR VAII−700特殊型)で、銅基板上に転写し、その後、UV露光機(TOPCON Deep−UV露光機TME−400PRJ)を使用し、90μm幅のラインと100μm幅のスペースとが交互に連なるライン・アンド・スペースパターンを備えたマスクを用い、マスク露光(60mJ)した。次いで、感光性ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、感光性ドライフィルムの感放射線性樹脂層が転写された基板を2%炭酸ナトリウム水溶液で50秒間アルカリ現像し、次いで、超純水で60秒間リンスして未露光部を除去した。この基板をポスト露光(250mJ)し、ポストベイク(140度/25分間)で感放射線性樹脂層をさらに硬化させて、パターニングされた硬化膜として保護膜を得た。
【0290】
パターニング性の評価については、90μmのラインと100μmのスペースが連なるマスクパターンが残さなく形成できる場合を「良好(○)」と判断し、残差が残る、または形成したパターンがマスクのパターンに比べ著しく太くなる場合を「不良(×)」と判断した。
【0291】
[透湿度の評価]
実施例1〜実施例9の感放射線性樹脂組成物を用い、アプリケーターを用いて硬化後膜厚が40μmになるように、支持フィルムであるPETフィルムの未処理面に塗工し、クリーンオーブンで100℃/2分間プリベークして溶剤を除去しドライフィルム化した。そして、支持フィルム上に感放射線性樹脂層が形成された感光性ドライフィルムを形成した。
【0292】
この感光性ドライフィルムをUV露光機(TOPCON Deep−UV露光機TME−400PRJ)で全面露光(60mJ)し、2%炭酸ナトリウム水溶液で50秒間アルカリ現像し、次いで、超純水で60秒間リンスした。この感光性ドライフィルムをポスト露光(250mJ)し、次いで、ポストベイク(140度/25分間)で感放射線性樹脂層をさらに硬化させ、PETフィルムから硬化膜として保護膜を剥離して取り出した。
【0293】
この保護膜を用い、透湿カップ法により、露光後の透水率として、透湿度を測定した。透湿カップには株式会社井元製作所の「透湿カップ(ねじ締付式) JIS Z0208」を使用した。吸湿剤として関東化学株式会社の塩化カルシウム(水分測定用)を用い、この吸湿剤を5g測り取った透湿カップを上記のドライフィルムの硬化膜で覆い、器具で固定して硬化膜でカップを完全に密閉し、65℃/90%RHの恒温恒湿化に24時間(h)静置し試験前と試験後の吸湿剤の重量変化から透湿度を算出した。透湿度算出式は以下の通りである。
透湿度(g/m
2・24h)
=(吸湿剤の重量変化量[g]×24)/(透湿面積[m
2]×試験時間[h])
【0294】
[密着性の評価]
支持フィルムであるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの未処理面に実施例1〜実施例9で調製した感放射線性樹脂組成物を硬化後膜厚が8μmになるようにバーコーター(テスター産業 AUTO FILM APPLICATOR)で塗工し、クリーンオーブンで100℃/2分間プリベークして溶剤を除去しドライフィルム化した。そして、支持フィルム上に感放射線性樹脂層が形成された感光性ドライフィルムを形成した。
【0295】
この感光性ドライフィルムを用い、その感放射線性樹脂層を、ロール温度を90℃に設定したラミネーター(大成ラミネーター FIRST LAMINATOR VAII−700特殊型)で、ITOでガラス基板の表面を被覆してなるITO基板上に転写し、その後、UV露光機(TOPCON Deep−UV露光機TME−400PRJ)で全面露光(60mJ)した。次いで、感光性ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、感光性ドライフィルムの感放射線性樹脂層が転写された基板を2%炭酸ナトリウム水溶液で50秒間アルカリ現像し、次いで、超純水で60秒間リンスした。この基板をポスト露光(250mJ)し、ポストベイク(140度/25分間)で感放射線性樹脂層をさらに硬化させて、基板上に硬化膜として保護膜が形成された試験片を得た。
【0296】
密着性を評価する密着性試験は、上述の保護膜の形成された基板をコーテック株式会社のクロスカットガイドCCJ−1を用いた。そして、碁盤目試験(JIS K5400−8.5)の方法に準じて評価を行った。具体的には、ITO基板上での評価で、剥がれた部分が全くない場合を5B、一部剥がれるが剥がれた部分が全体の5%以下なら4B、剥がれた部分が5%を超え15%以下なら3B、剥がれた部分が15%を超え35%以下なら2B、剥がれた部分が35%を超え65%以下なら1B、剥がれた部分が65%を超える場合を0Bとして評価した。
【0297】
[硬度の評価]
支持フィルムであるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの未処理面に実施例1〜実施例9で調製した感放射線性樹脂組成物を硬化後膜厚が8μmになるようにバーコーター(テスター産業 AUTO FILM APPLICATOR)で塗工し、クリーンオーブンで100℃/2分間プリベークして溶剤を除去しドライフィルム化した。そして、支持フィルム上に感放射線性樹脂層が形成された感光性ドライフィルムを形成した。
【0298】
この感光性ドライフィルムを用い、その感放射線性樹脂層を、ロール温度を90℃に設定したラミネーター(大成ラミネーター FIRST LAMINATOR VAII−700特殊型)でガラス基板上に転写し、その後、UV露光機(TOPCON Deep−UV露光機TME−400PRJ)で全面露光(60mJ)した。次いで、感光性ドライフィルムのPETフィルムを剥離し、感光性ドライフィルムの感放射線性樹脂層が転写された基板を2%炭酸ナトリウム水溶液で50秒間アルカリ現像し、次いで、超純水で60秒間リンスした。この基板をポスト露光(250mJ)し、ポストベイク(140度/25分間)で感放射線性樹脂層をさらに硬化させて、基板上に硬化膜として保護膜が形成された試験片を得た。
【0299】
硬度は、ガラス基板上に製膜した保護膜を用い、新東科学株式会社の連続荷重式引掻強度試験機TYPE18を用いて鉛筆硬度測定法(JIS 5600)に準じて測定した。
【0300】
[プレッシャークッカー試験(PCT)後の密着性の評価]
実施例1〜実施例9で調製した感放射線性樹脂組成物を用い、上述した密着性の評価と同様の方法で、ITO基板上に保護膜を形成してなる試験片を作製した後、プレッシャークッカー試験を行い、上述した密着性の評価と同様の方法で、プレッシャークッカー後の保護膜の密着性試験を行った。プレッシャークッカーは(株)平山製作所のPC−304R8を使用し、試験条件は100℃/100%RH/0.1MPaで2時間(h)行った。そして、上述した密着性の評価と同様の方法で評価を行った。
【0301】
【表1】
【0302】
表1には、実施例1〜実施例9で調製した感放射線性樹脂組成物の組成を示すとともに、それらを用いて製造された保護膜の評価結果をまとめて示している。
【0303】
表1に示すように、パターニング性、密着性、透湿度の相関を見ると、透湿度(透水率)が約1000g/m
2・24時間(h)以下となる保護膜ではパターニング性が不良である。これは親水性が低いため現像時のアルカリ溶解性が低く、残渣が残りやすいためだと考えられる。
【0304】
また、透湿度(透水率)が約2000g/m
2・24時間(h)を超えるとプレッシャークッカー試験(PCT)後のITO密着性が悪化することがわかる。これは密着性に主に寄与する(D)成分において、高極性基を有するものが増加すると保護膜の吸水性が増大し、PCTにより保護膜が膨潤することで密着性が低下すると考えられる。以上から、保護膜は、露光後の透水率が1000g/m
2・24時間〜2000g/m
2・24時間であることがより好ましい。
【0305】
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。