(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る記録媒体積載機構、及び画像形成装置の一例を
図1〜
図8に従って説明する。なお、図中に示す矢印Vは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Hは水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0013】
(全体構成)
図8に示されるように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0014】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっている。そして、画像処理部12によって処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が装置本体10A内の中央側に設けられている。
【0015】
また、露光装置14の鉛直方向上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置され、装置本体10Aに着脱可能とされている。この画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kで、各色のトナー画像が形成されるようになっている。なお、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0016】
一方、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される一次転写ユニット18が設けられている。さらに、一次転写ユニット18の側方(図中右側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送される記録媒体の一例としてのシート部材Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を転写する(形成する)二次転写ロール22(形成部材の一例)が設けられている。
【0017】
二次転写ロール22に対してシート部材Pの搬送方向の下流側には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によってシート部材Pに定着させる定着装置24が設けられている。また、この定着装置24に対してシート部材Pの搬送方向の下流側には、トナー画像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
【0018】
一方、露光装置14の鉛直方向下方及び側方には、シート部材Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。
【0019】
〔画像形成ユニット〕
先ず、画像形成ユニット16について説明する。
【0020】
各色の画像形成ユニット16は、すべて同様に構成されている。そして、各色の画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、この像保持体34の外周面を帯電させる帯電部材36と、帯電した像保持体34の外周面に前述した露光装置14の画像露光によって形成された静電潜像を現像剤(トナー)で現像してトナー画像とする現像器38と、像保持体34の外周面を清掃する清掃ブレード(図示省略)とを備えている。
【0021】
〔露光装置〕
次に、露光装置14について説明する。
【0022】
露光装置14の筐体14Aの内部には、回転多面鏡であるポリゴンミラー32が配置されている。光源の一例としての半導体レーザ54から出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、シリンドリカルレンズ(図示省略)を介してこのポリゴンミラー32に照射され、このポリゴンミラー32によって主走査方向に偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー32によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、結像レンズ及び複数枚のミラー(図示省略)を介して、像保持体34上の露光位置に、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0023】
このように、露光装置14は、斜め下方から像保持体34上を走査露光するものである。このため、この露光装置14には、上方に位置する各色の画像形成ユニット16に備えられた現像器38等からトナー等の異物が落下する虞が有る。そこで、筐体14Aの外周面において上方を向いた部分には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に向けて透過させる透明なガラス製の透過部材の一例としての透過ガラス40Y、40M、40C、40Kが設けられている。
【0024】
〔一次転写ユニット・二次転写ロール〕
次に、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22について説明する。
【0025】
一次転写ユニット18は、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方に配置されている。この一次転写ユニット18は、無端状の中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転する従動ロール50と、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に夫々配置される一次転写ロール52とを備えている。
【0026】
これにより、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写されるようになっている。
【0027】
さらに、中間転写ベルト42の外周面に接して中間転写ベルト42の外周面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。また、中間転写ベルト42を挟んで従動ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送されるシート部材Pに転写する二次転写ロール22が設けられている。
【0028】
以上により、中間転写ベルト42上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト42によって搬送される。搬送されるトナー画像は、従動ロール50と二次転写ロール22とに挟まれ、後述する供給搬送ユニット30により搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0029】
〔供給搬送ユニット〕
次に、シート部材Pを供給して搬送する記録媒体積載機構の一例としての供給搬送ユニット30について説明する。
【0030】
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において露光装置14の鉛直方向下方に配置され、複数のシート部材Pが積載される給紙ユニット62を備えている。
【0031】
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙ユニット62に積載された最上位のシート部材Pを搬送経路60へ送り出す搬送部材の一例としての給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出されたシート部材Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、シート部材Pの搬送タイミングを合わせる位置合せロール68と、を備えている。そして、各ロールが、シート部材Pの搬送方向の上流側から下流側に向けてこの順番で配置されている。
【0032】
この構成により、給紙ユニット62から供給されたシート部材Pは、回転する位置合せロール68によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22とが接触する位置(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出されるようになっている。なお、給紙ユニット62、給紙ロール64については、詳細を後述する。
【0033】
さらに、供給搬送ユニット30は、定着装置24によって一方の面にトナー画像が定着されたシート部材Pを、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出させずに、他方の面にトナー画像を形成するために用いる両面搬送装置70を備えている。
【0034】
そして、この両面搬送装置70は、排出ロール28から位置合せロール68に向けてシート部材Pの表裏を反転させるようにシート部材Pが搬送される両面搬送経路72と、両面搬送経路72に沿ってシート部材Pを搬送する搬送ロール74及び搬送ロール76とを備えている。
【0035】
(全体構成の作用)
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0036】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力される。そして、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材36によって帯電した像保持体34の外周面を走査露光する(主走査方向に露光する)。これにより、像保持体34の外周面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0037】
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。
【0038】
周回する中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙ユニット62から給紙ロール64、分離ロール66、位置合せロール68によって搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写ロール22によって二次転写される。
【0039】
さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置44によってシート部材Pに定着される。トナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
【0040】
一方、シート部材Pの両面に画像を形成させる場合は、定着装置44によって一方の面(表面)にトナー画像が定着されたシート部材Pは、排出ロール28によって排出部26にそのまま排出されない。排出ロール28を逆転させることで、シート部材Pの搬送方向が切り替えられる。そして、このシート部材Pは、搬送ロール74、76により両面搬送経路72に沿って搬送される。
【0041】
両面搬送経路72に沿って搬送されるシート部材Pは、表裏が反転されて再度位置合せロール68へと搬送される。今度は、シート部材Pの他方の面(裏面)にトナー画像が転写・定着された後、シート部材Pは、排出部26に排出ロール28によって排出される。
【0042】
(要部構成)
次に、給紙ロール64、及び給紙ユニット62について説明する。
【0043】
〔給紙ロール〕
給紙ロール64は、
図1に示されるように、装置奥行方向(一方向及び回転軸方向の一例)に延びる円柱状の軸部64Aと、円筒状に形成され、軸部64Aに取り付けられると共に離間して配置される2個のロール部64Bと、を備えている。
【0044】
軸部64Aは、装置奥行方向の奥側(
図1の左側)で、装置本体10A(
図8参照)に固定されるフレーム80に図示せぬ軸受部材を介して回転可能に支持されている(一方向の一方の端部が支持されている)。このように、給紙ロール64は一方の端部のみが支持された片持ち状態(片持ち梁のように一方の端部のみが支持されている状態)とされており、軸部64Aの自由端からロール部64Bが軸部64Aに対して脱着される(交換される)ようになっている。
【0045】
また、軸部64Aにおいてフレーム80に対してロール部64Bの反対側には、図示せぬ駆動源の回転力が伝達されるギヤ64Cが取り付けられている。
【0046】
〔給紙ユニット〕
給紙ユニット62は、
図1に示されるように、装置上下方向の上方が開放された箱状のトレイ90と、トレイ90の内部に配置され、複数のシート部材Pが積載される積載部材の一例としてのボトムプレート92と、を備えている。そして、トレイ90を装置本体10Aから装置幅方向の一側(
図1、
図8の左側:矢印B参照)に引き出すことで、ボトムプレート92に複数のシート部材Pが積載可能となっている(詳細は後述する)。
【0047】
ボトムプレート92は、板面が装置上下方向を向いた板状とされている。このボトムプレート92は、装置幅方向の一側(
図1の左側)に位置する基端部92Aと、装置幅方向の他側(
図1の右側)に位置する先端部92Bと、基端部92Aと先端部92Bとに挟まれ、基端部92A及び先端部92Bに対して幅が狭くされる中間部92Cと、を含んで形成されている。そして、先端部92Bが、給紙ロール64に対して装置上下方向の下方に位置している。
【0048】
また、ボトムプレート92の基端部92Aは、トレイ90の底板90Aに取り付けられると共に装置奥行方向に延びる軸部材96に回転可能に支持されている。これにより、ボトムプレート92は、軸部材96を中心に先端部92Bが底板90Aに対して上下移動するように、回転移動するようになっている。
【0049】
さらに、ボトムプレート92の先端部92Bと底板90Aとの間には、ボトムプレート92に積載される最上位のシート部材P(以下単に「最上位のシート部材P」と記載することがある)を、給紙ロール64に押し付ける押付部材の一例としてのコイルバネ98が2個配置されている。具体的には、2個のコイルバネ98は、装置奥行方向に並んで範囲され、装置奥行方向の手前側に配置されるコイルバネ98Aと、装置奥行方向の奥側に配置されるコイルバネ98Bとが、先端部92Bと底板90Aとの間に配置されている。
【0050】
また、給紙ユニット62は、コイルバネ98A、98Bによって最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられることで傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bが傾くのを許容する許容機構100を備えている。
【0051】
許容機構100は、ボトムプレート92の先端部92Bの下面に取り付けられ、装置奥行方向に延びる円柱状の延設部材の一例としてのシャフト102を備えている。
【0052】
図1、
図2に示されるように、先端部92Bの装置奥行方向の両端部には、下方に突出する突出部104が夫々形成され、夫々の突出部104には、装置幅方向に延び、シャフト102が挿入される長孔104Aが形成されている。さらに、トレイ90において板面が装置奥行方向を向いた一対の側板90Bには、装置上下方向に延び、シャフト102が挿入されてシャフト102を装置上下方向に案内する案内孔106が夫々形成されている。これにより、シャフト102が案内孔106内を装置上下方向に移動することで、ボトムプレート92が軸部材96を中心に回転移動し、ボトムプレート92の先端部92Bが装置上下方向に移動するようになっている。
【0053】
さらに、許容機構100は、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付状態が解除された解除状態で、シャフト102の一端の移動とシャフトの102の他端の移動とを同期させ、押付状態で、シャフト102の一端とシャフトの102の他端との相対移動を可能する移動可能部材の一例としての移動可能モジュール110を備えている。
【0054】
移動可能モジュール110は、
図1、
図2に示されるように、シャフト102の装置奥行方向の手前側の端部に取り付けられるピニオン112と、シャフト102の装置奥行方向の奥側の端部に取り付けられるピニオン114とを備えている。これにより、ピニオン112とピニオン114とは、同期して回転するようになっている。
【0055】
さらに、移動可能モジュール110は、装置上下方向に延び、ピニオン112が噛合うラック118と、装置上下方向に延び、ピニオン114が噛合うラック120とを備えている。ラック120は、トレイ90と一体的に形成され、ラック118は、トレイ90と一体的に形成された保持部124に保持されている。なお、ピニオン112のギヤ歯の形状と、ピニオン114のギヤ歯の形状とは同様とされ、ラック118のギヤ歯の形状と、ラック120のギヤ歯の形状とは同様とされている。
【0056】
保持部124は、
図4(A)(B)に示されるように、装置幅方向の一側(図中左側)が開放された装置上下方向に延びる箱状とされ、この保持部124内にラック118が装置上下方向に移動可能に保持されている。具体的には、ラック118の背面118Aと保持部124の底面124Aとが接触している。さらに、保持部124内における装置上下方向の寸法Fは、ラック118の装置上下方向の寸法Gに比して大きくされている。また、装置上下方向においてラック118を挟むように、ラック118と保持部124との間には、装置上下方向に伸縮する一対のコイルバネ130が配置されている。これにより、ラック118に装置上下方向の荷重が負荷されない状態では、ラック118は、保持部124内において装置上下方向の中央側に配置されている(
図4(B)参照)。
【0057】
この構成において、コイルバネ98(
図1参照)の付勢力によりボトムプレート92に積載された最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付状態では、この押付力がシャフト102及びピニオン112を介してラック118に伝達される。これにより、ラック118が保持部124に対して装置上下方向に移動するようになっている。つまり、押付状態では、装置上下方向におけるシャフト102の一端とシャフトの102の他端との相対移動が可能となっている。
【0058】
このように、許容機構100によって、ボトムプレート92の先端部92Bの装置奥行方向における両端が相対的に移動可能となっている。
【0059】
一方、押付状態が解除された解除状態(最上位のシート部材Pと給紙ロール64とが離間した状態)では、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付力が生じない。これにより、ラック118が保持部124に対して装置上下方向に移動することなく、シャフト102の一端の移動とシャフトの102の他端の移動とが同期するようになっている。なお、詳細については、後述する作用と共に説明する。
【0060】
〔その他〕
画像形成装置10の装置本体10Aは、トレイ90を装置本体10Aから
図1に示す矢印B方向に引き出す際に、コイルバネ98の付勢力に対抗してボトムプレート92の先端部92Bを装置上下方向の下方へ移動させるガイドレール134を備えている。
【0061】
ガイドレール134は、
図1、
図3に示されるように、装置幅方向に延び、ピニオン114から装置奥行方向の奥側へ突出したシャフト102の突出部102Aに上方から接触するように配置されている。そして、ガイドレール134における装置幅方向の一側(
図1、
図3の左側)の装置上下方向の位置は、ガイドレール134における装置幅方向の他側(
図1、
図3の右側)の装置上下方向の位置に比して、下方とされている。
【0062】
この構成において、装置本体10A内に装着されたトレイ90(
図1参照)を、矢印B方向に引き出すと、シャフト102の突出部102Aがガイドレール134によって押圧されて装置上下方向の下方に移動する。そして、コイルバネ98の付勢力に対抗してボトムプレート92の先端部92Bが装置上下方向の下方へ移動して、ボトムプレート92は、ボトムプレート92にシート部材Pが積載可能な積載可能位置へ移動するようになっている(
図3参照)。
【0063】
さらに、トレイ90には、
図3に示されるように、ボトムプレート92が積載可能位置へ移動した際に、ボトムプレート92の先端部92Bに引っ掛かり、ボトムプレート92を積載可能位置に保持するラッチ部材136が取り付けられている。そして、このラッチ部材136は、装置奥行方向において装置奥側に配置されている。なお、ボトムプレート92が積載可能位置に保持された状態では、
図5(B)に示されるように、ラッチ部材136が装置奥行方向において装置奥側に配置されているため、装置幅方向から見て、ボトムプレート92の先端部92B及びシャフト102が水平方向に対して傾くようになっている。
【0064】
また、トレイ90を
図3に示す矢印C方向に移動させて装置本体10Aに装着すると、ラッチ部材136は、図示せぬ解除部材と接触して、ボトムプレート92の先端部92Bと離間するようになっている。これにより、コイルバネ98の付勢力により、ボトムプレート92の先端部92Bが、装置上下方向の上方に移動して、ボトムプレート92に積載された最上位のシート部材Pが、給紙ロール64に押し付けられるようになっている。
【0065】
(要部構成の作用)
次に、要部構成の作用について、装置本体10Aから引き出されたトレイ90を装置本体10Aに装着してシート部材Pを搬送可能とするまでの工程を用いて説明する。
【0066】
装置本体10Aからトレイ90を引き出した状態では、
図3に示されるように、ラッチ部材136が、ボトムプレート92の先端部92Bに引っ掛かり、ボトムプレート92が積載可能位置に保持されている。
【0067】
ボトムプレート92が積載可能位置に保持された状態では、
図5(B)に示されるように、装置幅方向から見て(シート部材Pの搬送方向から見て)、ボトムプレート92の先端部92B及びシャフト102が水平方向に対して傾いている。
【0068】
具体的には、装置幅方向から見て、先端部92B、及びシャフト102の装置奥行方向の手前側(図中右側)が、先端部92B、及びシャフト102の装置奥行方向の奥側(図中左側)に比して、上方に位置している。また、ラック118に装置上下方向の荷重が負荷されていないため、ラック118は、
図5(C)に示されるように、保持部124内において装置上下方向の中央側に配置されている。
【0069】
この状態で、ボトムプレート92に複数のシート部材Pが積載される。さらに、ボトムプレート92に複数のシート部材Pが積載された状態で、トレイ90が装置本体10Aに装着される。具体的には、トレイ90を
図3に示す矢印C方向に移動させると、トレイ90が装置本体10Aに装着され、ラッチ部材136は、図示せぬ解除部材と接触して、ボトムプレート92の先端部92Bと離間する(ラッチが解除される)。
【0070】
これにより、
図1に示されるように、コイルバネ98の付勢力により、ボトムプレート92の先端部92Bが上方に移動し、ボトムプレート92に積載される最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる。
【0071】
以下、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられることによる各部材の作用について説明する。
【0072】
ボトムプレート92の先端部92Bを上方に移動させようとするコイルバネ98の付勢力が先端部92Bに付与されると、
図6(A)(B)(C)に示されるように、ピニオン114がラック120と噛合いながら回転して上方へ移動する。シャフト102を介いてピニオン114と同期して回転するピニオン112も同様に、ラック118と噛合いながら回転して上方へ移動する。
【0073】
ここで、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付状態となるまでは、ラック118には、装置上下方向の荷重が負荷されない。このため、ラック118は、保持部124に対して装置上下方向に移動せず、シャフト102の一端の移動と、シャフト102の他端の移動とが同期する。つまり、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付状態が解除される解除状態では、シャフト102の一端と、シャフト102の他端との移動が同期する。
【0074】
これにより、
図6(B)に示されるように、装置幅方向から見て、ボトムプレート92の先端部92B及びシャフト102が水平方向に対して傾いた状態で、ボトムプレート92の先端部92B及びシャフト102が上方へ移動する。そして、ボトムプレート92の先端部92Bが傾いているため、図中右側に配置されたロール部64Bの角部と最上位のシート部材Pとが図中J部で接触する。
【0075】
さらに、コイルバネ98の付勢力によってボトムプレート92の先端部92Bが上方へ移動してボトムプレート92に積載される最上位のシート部材Pが図中右側に配置されたロール部64Bに押し付けられる。そして、
図7(A)(B)(C)に示されるように、片持ち状態の給紙ロール64は、自由端が支持端に対して上方に位置するように水平方向に対して傾き、傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bも傾く。
【0076】
具体的には、ボトムプレート92の先端部92Bが上方へ移動する際に、ピニオン114がラック120と噛合いながら回転して上方へ移動する。シャフト102を介いてピニオン114と同期して回転するピニオン112も同様に、ラック118と噛合いながら回転して上方へ移動する。
【0077】
シャフト102の一端と、シャフト102の他端との移動が常に同期している比較例に係る給紙ユニットでは、傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bが傾かない。
【0078】
ここで、給紙ユニット62では、最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられた押付状態でピニオン112が回転すると、ラック118に下方の荷重が負荷され、
図7(B)(C)に示されるように、ラック118が保持部124に対して下方に移動する。これにより、シャフト102の一端と、シャフト102の他端とが相対移動して、装置幅方向から見て、傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bが傾く。つまり、ボトムプレート92に積載される最上位のシート部材Pが給紙ロール64に押し付けられる押付状態で、シャフト102の一端と、シャフト102の他端とが装置上下方向に相対移動する。
【0079】
(まとめ)
以上説明したように、シャフト102の一端と、シャフト102の他端とが相対移動することで、装置幅方向から見て、傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bが傾く。
【0080】
また、傾いた給紙ロール64に沿うようにボトムプレート92の先端部92Bが傾くことで、最上位のシート部材Pとロール部64Bとの片当たり(シート部材Pが一方のロール部64Bとのみ強く当たる状態)するのが抑制される。そして、給紙ロール64において夫々のロール部64Bの
図7中右側(他方の端部側)と、ロール部64Bの
図7中左側(一方の端部側)との両方の端部側がシート部材Pに接触する。
【0081】
また、ロール部64Bにおいて両方の端部側がシート部材Pに接触することで、給紙ロール64によって搬送経路60に送り出されるシート部材Pが、シート部材Pの搬送方向に対して傾くのが抑制される。
【0082】
また、押付状態が解除される解除状態では、ラック118が保持部124に対して移動しないため、シャフト102の一端の移動と、シャフト102の他端の移動とが同期する。
【0083】
また、解除状態で、シャフト102の一端の移動とシャフト102の他端の移動とが同期するため、同期しない場合と比して、ボトムプレート92の先端部92Bの上下方への移動が安定する(同様の姿勢で上下移動する)。
【0084】
また、画像形成装置10においては、搬送されるシート部材Pの傾きが抑制されることで、シート部材Pに画像が傾いて転写されるのが抑制される。
【0085】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、給紙ロール64は、ロール部64Bを2個備えたが、1個であってもよく3個以上であってもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、コイルバネ98の付勢力により最上位のシート部材Pと給紙ロール64とが互いに押し付けられたが、給紙ロールをボトムプレートに向けて付勢する付勢部材を設けることで最上位のシート部材Pと給紙ロールとを互いに押し付けてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、積載可能位置に配置されたボトムプレート92の先端部92Bは、水平方向に対して傾いていたが、ガイドレール134及びラッチ部材136の構成を変えることで、積載可能位置に配置されたボトムプレート92の先端部92Bが傾かないようにしてもよい。この場合には、装置奥行方向の奥側に配置されたロール部64Bと最上位のシート部材Pとが強く当たることで、給紙ロール64が傾いてしまう。