(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記吸着装置によって前記吸着面に前記電極を吸着させたタイミングから前記吸着装置を前記電極の収納部上まで移送するまでの間中、前記吸引装置を駆動させる請求項1に記載の搬送装置。
前記吸着装置を昇降させる昇降装置を備え、前記収納部上まで移送された前記吸着装置を、前記昇降装置によって前記収納部に向けて下降させる際、前記制御装置は、前記昇降装置の下降開始と同時に前記吸引装置を停止させる請求項2に記載の搬送装置。
前記電極は金属箔の少なくとも片面に前記活物質層を有するとともに、前記金属箔の露出した未塗工部を有し、前記電極は、矩形状であり、前記電極の三辺に沿って前記活物質層の縁部が延びるとともに、前記電極の残りの一辺に沿って前記未塗工部の縁部が延び、前記吸引口は、前記電極の四辺に沿って延びる四角環状である請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の搬送装置。
【背景技術】
【0002】
二次電池やキャパシタのような蓄電装置は再充電が可能であり、繰り返し使用することができるため電源として広く利用されている。二次電池では、活物質層を有するシート状の正極電極及び負極電極が、間にセパレータが介在する状態で層をなすように積層された電極組立体がケースに収容されている。シート状の正極電極及び負極電極は、金属箔の両面に活物質層を有するとともに、活物質層が設けられずに金属箔が露出した未塗工部を有する。
【0003】
二次電池は、シート状物である正極電極及び負極電極を製造し、それらを積層して電極組立体を製造した後、電極組立体をケースに収容して製造される。正極電極及び負極電極の製造方法としては、一例として、まず、長尺状の金属箔上に、ペースト状の活物質合剤を塗工して、活物質合剤の塗工部、及び活物質合剤が塗布されずに金属箔の露出した露出部を有する電極材料を形成する。その後、塗工部を乾燥し、プレスする。そして、その電極材料を、切断装置により、活物質層、未塗工部及びタブを含む所定サイズの電極形状に切断することで製造される。製造された正極電極及び負極電極は、それぞれ切断された場所で吸着装置の吸着面に吸着され、正極電極用の収納部及び負極電極用の収納部へ搬送される。さらに、電極組立体は、各収納部に収納された正極電極及び負極電極を積層テーブル上に搬送し、セパレータを介して積層して製造される。
【0004】
ところで、正極電極及び負極電極の製造のために電極材料を切断するのに伴い、活物質層の縁部や金属箔の縁部からは、欠落した活物質や金属片等の異物が生じる。この異物が正極電極や負極電極に付着したままだと、異物がケース内や電極組立体に混入し、異物がセパレータを貫通して電極組立体での内部短絡の原因となる虞があり、また、活物質層に損傷を与えてしまう虞がある。このため、正極電極及び負極電極の製造のために電極材料を切断した後、その切断によって生じた異物を除去することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示の電極切断装置は、電極材料を切断する第1のカッターと第2のカッターを備え、その第1のカッターに吸引路、及び吸引路に連結された吸引手段を設けている。そして、電極材料の切断時に吸引手段を作動させ、切断時に生じた異物を吸引路から吸引し、電極材料から除去するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前述の正極電極又は負極電極のように、シート状物を切断により整形した後、次工程に吸着装置で吸着して搬送するケースが多いが、シート状物の切断により発生する異物は、切断時だけに生じるのではなく、材質によっては、切断後にしばらく時間が経過した後、切断面より剥離して発生することがある。例えば、前述の正極電極や負極電極においては、それらを吸着装置で吸着する際や、切断された場所から各収納部まで搬送する途中にて、活物質層の切断面より活物質の一部が剥離したり、金属箔の縁部から金属片が欠落し、異物が生じる虞がある。この場合、すなわち、正極電極や負極電極の搬送途中、搬送路上で異物が落下したり、収納部で異物が落下してしまい、例えば、他の正極電極又は負極電極上に異物が付着してしまう虞がある。
【0008】
本発明は、搬送途中に異物を生じる場合にも、発生した異物の不適切な落下を抑制できる電極搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するための搬送装置は、吸着面を有する吸着装置を備えた搬送装置であって、前記吸着装置を移送させる移送装置と、前記吸着装置と一体化され、溝状に開口する吸引口を前記吸着面に有し、前記吸引口からの吸引を可能にする吸引装置と、前記吸着装置及び前記吸引装置を制御する制御装置と、を備え
、前記吸着装置は、活物質層を有するシート状の電極を吸着し、前記吸引口は、前記活物質層の縁部の少なくとも一部に沿って開口していることを要旨とする。
【0010】
これによれば、吸着面に吸着されたシート状物の、吸着装置を用いた搬送途中において、異物が生じるタイミングや期間があっても、そのタイミングや期間で制御装置によって吸引装置を駆動させることで、そのタイミングや期間に生じた異物を吸引装置によって吸引することができる。
【0012】
電極の搬送途中、ある程度の時間の経過の後、電極における活物質層の縁部からは活物質が剥離し、異物が発生する虞がある。この活物質層の縁部に沿って吸引口が開口しているため、搬送途中、異物を落下させることなく吸引することができる。
【0013】
また、搬送装置について、前記制御装置は、前記吸着装置によって前記吸着面に前記電極が吸着されたタイミングから前記吸着装置を前記電極の収納部上まで移送するまでの間中、前記吸引装置を駆動させる。
【0014】
これによれば、電極が吸着されてから収納部上に搬送されるまでの間、吸引装置によって異物の吸引が行われる。このため、電極を吸着する際や、電極を吸着してから収納部上まで電極を搬送する途中に異物が生じても、その異物を吸引装置で吸引することができ、電極の搬送途中の全ての間で異物が落下することを抑制できる。
【0015】
また、搬送装置について、前記吸着装置を昇降させる昇降装置を備え、前記収納部上まで移送された前記吸着装置を、前記昇降装置によって前記収納部に向けて下降させる際、前記制御装置は、前記昇降装置の下降開始と同時に前記吸引装置を停止させるのが好ましい。
【0016】
これによれば、収納部上からの昇降装置の下降中は吸引装置による吸引が行われない。このため、収納部に積層状態で既に収納された電極が、吸引装置によって吸引されてしまうことが無く、積層状態で収納された電極の積層ずれが発生しない。
【0017】
また、搬送装置について、前記電極は金属箔の少なくとも片面に前記活物質層を有するとともに、前記金属箔の露出した未塗工部を有し、前記電極は、矩形状であり、前記電極の三辺に沿って前記活物質層の縁部が延びるとともに、前記電極の残りの一辺に沿って前記未塗工部の縁部が延び、前記吸引口は、前記電極の四辺に沿って延びる四角環状であるのが好ましい。
【0018】
これによれば、活物質層の縁部から活物質が剥離しても吸引口から吸引できる。また、未塗工部の縁部から金属片が発生しても吸引口から吸引できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、搬送途中に異物を生じる場合にも、発生した異物の不適切な落下を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、搬送装置を電極搬送装置に具体化した一実施形態を
図1〜
図10にしたがって説明する。
まず、蓄電装置としての二次電池10について説明する。
【0022】
図1に示すように、二次電池10は、ケース11内に電極組立体14及び電解液を備える。ケース11は、有底四角筒状の本体部材12と、本体部材12に電極組立体14を挿入するための開口部を塞ぐ矩形平板状の蓋13とからなる。本体部材12と蓋13は、いずれも金属製(例えばステンレス製やアルミニウム製)である。二次電池10は角型電池であり、リチウムイオン電池である。
【0023】
電極組立体14には、正極端子15と負極端子16が電気的に接続されている。そして、正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁部材13bがそれぞれ取り付けられている。また、正極端子15と負極端子16は、蓋13からケース11外に露出している。
【0024】
図2に示すように、電極組立体14は、電極としての複数のシート状の正極電極21と、電極としての複数のシート状の負極電極26と、両者を絶縁するセパレータ31と、を有する。正極電極21は、正極金属箔(アルミニウム箔)22の両面に正極活物質層23を備える。正極電極21は、その一辺に沿って、正極活物質層23が設けられず、正極金属箔22の露出した正極未塗工部24を有する。そして、正極電極21において、正極未塗工部24の一辺の一部には、正極用の集電タブ25が突出する状態に設けられている。
【0025】
負極電極26は、負極金属箔(銅箔)27の両面に負極活物質層28を備える。負極電極26は、その一辺に沿って、負極活物質層28が設けられず、負極金属箔27の露出した負極未塗工部29を有する。そして、負極電極26において、負極未塗工部29の一辺の一部には、負極用の集電タブ30が突出する状態に設けられている。電極組立体14は、複数の正極電極21と複数の負極電極26が交互に積層されるとともに、正極電極21と負極電極26の間にセパレータ31が介在された積層構造である。シート状の正極電極21及び負極電極26は、電極材料を用いて製造される。
【0026】
正極電極21及び負極電極26を製造するための電極材料38は、活物質を含む活物質合剤を、帯状の正極金属箔22又は負極金属箔27の幅方向の両側を除いてほぼ塗布し、その活物質合剤をプレスし、乾燥させて製造される。そして、
図3に示すように、正極電極21又は負極電極26は、電極材料38を打ち抜き装置で所定形状に打ち抜き切断して製造される。
【0027】
打ち抜き装置39は、電極材料38が載置される支持台39aと、支持台39aの上方に配置される刃部支持台42を備える。この刃部支持台42は、正極電極21又は負極電極26の外形に沿う形状の刃部42aを有する。また、打ち抜き装置39は、刃部支持台42を昇降させる図示しない打ち抜き用昇降装置を備え、この打ち抜き用昇降装置が刃部支持台42を昇降(上下動)させることで、刃部42aは、支持台39a上に搬送された長尺状の電極材料38を正極電極21又は負極電極26の外形に沿う所定形状に打ち抜く。
【0028】
次に、打ち抜き装置39によって製造されたシート状物としての正極電極21又は負極電極26を、その打ち抜かれた(切断された)場所である支持台39aから搬送する電極搬送装置50について説明する。
【0029】
図3に示すように、電極搬送装置50は、複数枚の正極電極21又は負極電極26を、集電タブ25が同じ方向に揃った状態で積層して収納する箱状の収納部51と、支持台39aと収納部51との間で電極材料38を移動させる吸着装置53と、を備える。
図3では、収納部51に正極電極21を収納した状態を示している。収納部51は、平面視矩形状の載置台51aを備える。収納部51では、正極電極21又は負極電極26は、正極の集電タブ25又は負極の集電タブ30が積層方向に沿って列状に配置されるように積層される。そして、収納部51では、複数の正極電極21又は複数の負極電極26が、それらの面に沿う全方位へ位置ずれしないで積層されていく。
【0030】
吸着装置53は、吸着パット54と、吸着パット54を移動させるために載置台51a上に配置されたガイドレール40と、を備える。吸着パット54は、略L字状のアーム43の一端に取り付けられている。アーム43の他端は、移送装置52を介してガイドレール40に連結されている。吸着パット54は、ガイドレール40から垂下されている。よって、吸着パット54は、移送装置52により、ガイドレール40に沿って支持台39aと載置台51aとの間を移動可能である。
【0031】
なお、吸着パット54が支持台39aまで移送されたとき、吸着パット54が、上昇した刃部支持台42の下方に入り込むように、アーム43においてガイドレール40から垂下した部分の長さが設定されている。また、吸着装置53は、吸着パット54に吸着力を発生させる減圧ポンプPを有する。吸着パット54の平面形状は、矩形状である。
【0032】
図4及び
図5に示すように、吸着パット54の吸着面54aは矩形状であり、吸着面54aには複数の吸着孔54bが等間隔おきに配設されている。吸着孔54bは、吸着面54aの長手方向及び短手方向に沿って複数配置されている。吸着装置53は、吸着用配管56を備え、吸着用配管56は一端が吸着パット54の内部に連通するとともに、吸着用配管56の他端は減圧ポンプPに連結されている。また、吸着装置53は、吸着用配管56に吸着用バルブ57を備え、吸着用バルブ57は吸着用配管56を開閉可能とする開閉弁である。そして、減圧ポンプPが駆動され、かつ吸着用バルブ57が開状態とされると、吸着パット54の内部全体が減圧され、矢印Y1に示す方向への吸引が全ての吸着孔54bから可能になる。一方、吸着用バルブ57が閉状態とされると、吸着パット54内は減圧されず、全ての吸着孔54bからの吸引が不可能になる。
【0033】
なお、正極電極21又は負極電極26は、支持台39a上の予め定められた打ち抜き場所で電極材料38を打ち抜いて製造され、その予め定められた場所から電極搬送装置50によって搬送される。支持台39a上の正極電極21又は負極電極26は、吸着面54aの所定位置に吸着されるようになっている。
【0034】
電極搬送装置50は、吸着面54aの所定位置に吸着された正極電極21又は負極電極26に付着した異物を吸引する吸引装置65を備える。なお、吸引装置65は、吸着装置53に内蔵されており、吸着装置53と一体的に移動する。吸引装置65は、吸着面54aの所定位置に吸着された正極電極21又は負極電極26の外形に沿う矩形環状及び溝状の吸引口55を備える。吸引口55は、四角環状の内縁部55aと、この内縁部55aよりも一回り大きい外縁部55bの間に開口している。吸着面54aに沿った内縁部55aと外縁部55bと間隔を吸引口55の開口幅Wとすると、吸引口55の開口幅Wは、各吸着孔54bの開口幅より長い。
【0035】
そして、吸引口55からは、吸着面54aに吸着された正極電極21又は負極電極26の四辺から異物を吸引可能である。正極電極21又は負極電極26の四辺とは、正極活物質層23又は負極活物質層28の縁部を含む三辺と、正極の集電タブ25又は負極の集電タブ30が突出する残りの一辺とからなり、残りの一辺は集電タブ25,30の突出部分を除いた部分である。
【0036】
また、吸引装置65は、吸着用配管56において、吸着用バルブ57よりも減圧ポンプP側から分岐する吸引用配管58を有し、吸引用配管58は一端が吸着パット54の内部を通って吸引口55に連通するとともに、吸引用配管58の他端は吸着用配管56に連結されている。また、吸引装置65は、吸引用配管58に設けられた吸引用バルブ59を有し、吸引用バルブ59は吸引用配管58を開閉可能とする開閉弁である。よって、本実施形態では、吸引装置65は、吸引口55と、吸引用配管58と、吸引用バルブ59と、減圧ポンプPを有し、減圧ポンプPは、吸着装置53と兼用されている。
【0037】
そして、減圧ポンプPが駆動され、かつ吸引用バルブ59が開状態とされると、吸引口55が減圧され、矢印Y2に示す方向への吸引が吸引口55から可能になる。一方、吸引用バルブ59が閉状態とされると、吸引口55は減圧されず、吸引口55からの吸引が不可能になる。よって、電極搬送装置50では、吸着孔54bと吸引口55を独立して作動させることが可能である。
【0038】
図3に示すように、吸着装置53のアーム43は、その軸方向の途中に、吸着装置53及び吸引装置65を昇降させる昇降装置61を備える。昇降装置61はシリンダであり、昇降装置61のピストンには、アーム43の一端が連結されている。ピストンは昇降装置61のシリンダチューブ63内で移動可能に収容され、ピストンの移動に伴いアーム43がシリンダチューブ63に対し出没する。そして、昇降装置61へのエアの給排を制御することにより、シリンダチューブ63に対するアーム43の出没が制御されるとともに、吸着装置53及び吸引装置65が一体で昇降する。
【0039】
電極搬送装置50は、移送装置52、吸着装置53、吸引装置65、及び昇降装置61の駆動を制御する制御装置60を備える。制御装置60の記憶部(図示せず)には、移送装置52、吸着装置53、吸引装置65及び昇降装置61の制御プログラムが記憶されている。制御プログラムには、支持台39a上の正極電極21又は負極電極26を収納部51に搬送するまでに移送装置52、吸着装置53、吸引装置65及び昇降装置61の駆動を制御するプログラムが組み込まれている。
【0040】
次に、電極搬送装置50の作用を制御装置60が行う制御とともに記載する。なお、電極としての正極電極21を支持台39aから収納部51まで搬送する場合に具体化する。また、矢印Y1によって吸着装置53による吸引を示し、矢印Y2によって吸引装置65による吸引を示す。
【0041】
まず、打ち抜き装置39によって、支持台39aの所定位置で電極材料38が打ち抜かれ、支持台39a上に正極電極21が製造される。次に、制御装置60は、電極搬送装置50を駆動させる。具体的には、制御装置60は、移送装置52を駆動させ、移送装置52によって吸着装置53及び吸引装置65を支持台39a上まで移送させる。次に、制御装置60は昇降装置61を駆動させ、昇降装置61によって吸着装置53及び吸引装置65を支持台39aに向けて下降させる。
【0042】
そして、
図6及び
図10に示すように、吸着面54aが正極電極21の正極活物質層23に接触すると、制御装置60は、吸着装置53を駆動させ、減圧ポンプPを駆動させるとともに吸着用バルブ57を開状態とする。同時に、制御装置60は、吸引装置65を駆動させ、吸引用バルブ59も開状態とする。すなわち、吸着装置53による正極電極21の吸着開始のタイミングで、吸着用バルブ57及び吸引用バルブ59を開状態とする。すると、吸着装置53によって、正極電極21が吸着面54aに吸着されるとともに、吸引装置65によって、正極電極21の縁部に付着した異物が吸引口55から吸引される。すなわち、電極材料38の切断後、正極電極21の吸着が開始されると同時に異物の吸引が開始される。
【0043】
次に、
図7に示すように、制御装置60は昇降装置61を駆動させ、吸着装置53及び吸引装置65を上昇させる。この上昇途中も制御装置60は、吸着装置53及び吸引装置65を駆動させ、吸着用バルブ57及び吸引用バルブ59を開状態とし、正極電極21の吸着及び異物の吸引を継続する。
【0044】
次に、
図8及び
図10に示すように、制御装置60は、移送装置52を駆動させ、吸着装置53及び吸引装置65をガイドレール40に沿って収納部51上まで移送し、正極電極21を支持台39aから収納部51に向けて搬送する。すなわち、正極電極21の搬送途中も、制御装置60は、吸着装置53及び吸引装置65を駆動させ、吸着用バルブ57及び吸引用バルブ59を開状態とし、正極電極21の吸着及び異物の吸引を継続する。
【0045】
次に、
図9に示すように、制御装置60は、昇降装置61によって吸着装置53及び吸引装置65を下降させ、収納部51の載置台51a上に既に形成されている積層体37に正極電極21を積層する。
図10に示すように、制御装置60は、吸着装置53及び吸引装置65の下降開始のタイミングで、吸着用バルブ57は開状態としたまま、吸引装置65の吸引用バルブ59を閉状態とし、吸引装置65による吸引口55からの異物の吸引を停止させる。
【0046】
そして、正極電極21が積層体37に積層されたタイミング(積層時)では、制御装置60は、吸着用バルブ57を閉状態とし、吸着装置53による吸着面54aへの正極電極21の吸着を解除する。すると、支持台39aから搬送された正極電極21が積層体37に積層され、収納部51に正極電極21が収納されるとともに、支持台39aから収納部51までの正極電極21の搬送が完了する。
【0047】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電極搬送装置50は、吸着装置53及び吸引装置65を備えるとともに、吸着装置53及び吸引装置65を制御可能な制御装置60を備える。このため、吸着面54aに吸着された正極電極21又は負極電極26の搬送途中において、所定のタイミングで制御装置60によって吸引装置65を駆動させることができる。したがって、吸着面54aに正極電極21又は負極電極26を吸着しながらも、所定のタイミングで吸引装置65によって異物を吸引することができる。
【0048】
本実施形態では、打ち抜き装置39によって電極材料38を切断して正極電極21又は負極電極26を製造した後、支持台39aから収納部51上まで吸着面54aに吸着させて正極電極21又は負極電極26を搬送する間中、制御装置60によって吸引装置65を駆動させることができる。よって、吸着面54aに吸着させた正極電極21又は負極電極26の搬送途中、ある程度の時間の経過後、正極の正極活物質層23又は負極電極26の負極活物質層28の縁部から活物質が剥離し、異物が生じても、その異物を吸引装置65で吸引することができ、搬送路上に異物が落下することを抑制できる。
【0049】
(2)また、打ち抜き装置39によって電極材料38を切断して正極電極21又は負極電極26を製造した後、吸着装置53によって正極電極21又は負極電極26を吸着するタイミングでも、制御装置60によって吸引装置65を駆動させることができる。よって、打ち抜き装置39の打ち抜きによって、正極電極21又は負極電極26から異物が発生しても、支持台39a上で異物を吸引して、搬送される正極電極21又は負極電極26に付着してしまう異物を減らすことができる。
【0050】
(3)吸着装置53が収納部51に向けて下降を開始したタイミングでは、制御装置60は吸引装置65を停止させ、吸引装置65による吸引を停止させる。このため、吸引口55からの吸引により、収納部51に既に形成されている積層体37が吸着パット54に吸着されることを無くすことができる。よって、正極電極21又は負極電極26を収納部51に収納する際に積層体37が積層ずれすることを抑制できる。
【0051】
(4)吸引口55は、吸着面54aに吸着された正極電極21又は負極電極26の四辺に沿った外側で開口している。よって、吸引口55からは、正極活物質層23又は負極活物質層28の縁部から欠落した活物質や、正極金属箔22又は負極金属箔27から発生した金属片を適格に吸引することができる。
【0052】
(5)吸引口55は、吸着面54aに吸着された正極電極21又は負極電極26の正極活物質層23又は負極活物質層28の三辺に沿った外側で開口している。このため、吸引口55によって正極活物質層23又は負極活物質層28が直接吸引されることが無く、吸引口55からの吸引によって正極活物質層23又は負極活物質層28が損傷を受けることが無い。
【0053】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、吸着装置53による正極電極21又は負極電極26の吸着開始から、収納部51上での吸着装置53の下降開始まで吸着装置53及び吸引装置65を駆動させたが、これに限らない。例えば、吸着装置53による吸着開始時は、制御装置60は吸引装置65を駆動させず、吸引動作は行わない。そして、吸着装置53を昇降装置61で昇降させ、移送装置52によって吸着装置53を収納部51上まで移送する間だけ、制御装置60によって吸引装置65を駆動させ、吸引動作を行ってもよい。すなわち、吸引装置65は、制御装置60によって任意のタイミングで駆動させてもよい。
【0054】
○ 実施形態では、電極搬送装置50として、吸着装置53が正極電極21又は負極電極26を、打ち抜き装置39の支持台39aから搬送する構成を示したが、電極搬送装置50は、特に打ち抜き装置39からの搬送に限定されるものではない。例えば、リチウムイオン電池の製造工程において、前述の実施形態の後工程では、各々個別の収納部51に積層された正極電極21又は負極電極26を、積層治具上に移動させ、セパレータ31を介して交互に積層し、電極組立体14を組み立てる。電極組立体14を組み立てる積層工程において、収納部51より積層治具上へ正極電極21又は負極電極26を移動させる装置として搬送装置を用いてもよい。
【0055】
このように構成した場合、正極電極21又は負極電極26の搬送途中に、正極電極21又は負極電極26の周囲の切断面から活物質が剥離し、例えば、セパレータ31上に落下すると、製造された電極組立体14の不良の原因となるが、搬送装置を用いれば、剥離した活物質は落下することなく吸引される。
【0056】
○ 吸引口55は、正極電極21又は負極電極26の四辺に沿った四角環状でなくてもよい。例えば、正極活物質層23又は負極活物質層28の三辺に沿った略U字状であってもよいし、正極活物質層23又は負極活物質層28の二辺又は一辺に沿った形状でもよい。
【0057】
○ 吸引口55は、集電タブ25,30を含めた正極電極21又は負極電極26の外形に沿った形状であってもよい。
○ 実施形態では、支持台39aと、収納部51は同一直線上に並ぶ状態に配置され、電極搬送装置50はガイドレール40に沿って移動可能としているが、支持台39aと収納部51をターンテーブル状に配置し、電極搬送装置50を回動させて移動可能としてもよい。
【0058】
○ 搬送装置は、正極電極21又は負極電極26以外のシート状物を吸着して搬送してもよく、シート状物としては、例えば、基材シートに塗料が塗布された材料を所定形状に切断して製造されたものでもよい。
【0059】
○ 蓄電装置は、二次電池10に限らず、例えば、電気二重層コンデンサ等の蓄電装置に具体化してもよい。
○ 電極組立体14を構成する正極電極21、及び負極電極26の枚数は適宜変更してもよい。
【0060】
○ 実施形態では、正極電極21は、正極金属箔22の両面に正極活物質層23を有するとしたが、正極金属箔22の片面のみに正極活物質層23を有していてもよい。同様に、負極電極26は、負極金属箔27の両面に負極活物質層28を有するとしたが、負極金属箔27の片面のみに負極活物質層28を有していてもよい。
【0061】
○ 二次電池10はリチウムイオン電池であったが、これに限られず、ニッケル水素等の他の二次電池であってもよい。要は、正極活物質層23と負極活物質層28との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであればよい。
【0062】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記吸引口は、前記電極の四辺よりも外側に位置している搬送装置。