(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエステル樹脂を含むトナー粒子が、ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子および着色剤粒子を含有する分散液を水性媒体中で凝集させることにより得られたトナー粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0030】
<液体現像剤>
本実施形態に係る液体現像剤は、シリコーンオイルを主成分とするキャリア液と、高分子アミン類により表面処理された、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子と、を含み、前記トナー粒子に下記式(I)で示されるフルオレセインイソチオシアネート誘導体を反応させたときの、前記トナー粒子に対する前記フルオレセインイソチオシアネート誘導体の吸着量が5×10
−6mol/g以上である。
【0031】
【化5】
(I)
(式(I)中、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子を示す。)
【0032】
トナー粒子をキャリア液中に分散させた液体現像剤において、トナー粒子を正に帯電させるために、高分子アミン類で表面処理することが検討されているが、液体現像剤の特性を管理するためには、トナー粒子表面に吸着している高分子アミン類の量を把握することが求められるが、トナー粒子表面の高分子アミン類の量はごく少量であることから、簡易な方法により定量することが難しく、その結果、トナーの帯電特性を好適に維持することが難しかった。
【0033】
本発明者らは、上記条件を満たすトナー粒子を用いることにより、優れた正の帯電特性を有する液体現像剤が実現されることを見出した。また、高分子アミン類により表面処理された、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子に、上記式(I)で示されるフルオレセインイソチオシアネート誘導体を反応させたときの、トナー粒子に対するフルオレセインイソチオシアネート誘導体の吸着量を求めることにより、トナー粒子表面に吸着している高分子アミン類の量を定量することができる。
【0034】
トナー粒子に上記式(I)で示されるフルオレセインイソチオシアネート誘導体を反応させたときの、トナー粒子に対するフルオレセインイソチオシアネート誘導体の吸着量は、5×10
−6mol/g以上であることが好ましい。前記吸着量が5×10
−6mol/g未満であると、正の帯電特性に劣る。
【0035】
以下、本実施形態に係る液体現像剤の構成成分について、詳細に説明する。
【0036】
本実施形態に係る液体現像剤は、カルボキシル基含有シリコーン化合物を含有することが好ましい。結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナー粒子をキャリア液中に分散してなる液体現像剤において、トナー粒子として高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用い、かつカルボキシル基含有シリコーン化合物を含有させることにより、より優れた正の帯電特性を有する液体現像剤が実現される。
【0037】
カルボキシル基含有シリコーン化合物としては、下記式(III)で示される化合物等が挙げられる。下記一般式(III)で示される化合物は、カチオン性が高く、正帯電化しやすい。
【化6】
(III)
(式(III)中、X、YおよびZは、それぞれ独立して水素原子またはカルボキシル基を示し、かつX、YおよびZのうち少なくとも一つは、カルボキシル基を示す。mは、1以上1,000以下の整数を示し、nは、1以上10以下の整数を示す。R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
【0038】
式(III)において、X、YおよびZのうち一つがカルボキシル基であっても、X、YおよびZのうち二つがカルボキシル基であっても、X、YおよびZの全てがカルボキシル基であってもよい。
【0039】
式(III)において、R
3、R
4およびR
5は、それぞれ独立して単結合または炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基であり、単結合または炭素数3以上12以下の2価の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1以上20以下の2価の脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基等が挙げられ、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基等が好ましい。
【0040】
式(III)において、mは、1以上1,000以下の整数であり、5以上100以下の整数が好ましい。式(III)において、nは、1以上10以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましい。
【0041】
液体現像剤中のカルボキシル基含有シリコーン化合物の量は、例えば、液体現像剤100質量部に対して0.001質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましく、0.01質量部以上1質量部以下の範囲であることがより好ましい。液体現像剤に対するカルボキシル基含有シリコーン化合物の量が液体現像剤100質量部に対して0.001質量部未満であると、帯電性に劣る場合があり、10質量部を超えると、導電性が高くなりすぎて、かえって帯電性が低下する場合がある。
【0042】
カルボキシル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量は、100以上100,000以下の範囲であることが好ましく、1,000以上10,000以下の範囲であることがより好ましい。カルボキシル基含有シリコーン化合物の重量平均分子量が100未満であると、液体現像剤との相溶性が十分でない場合があり、100,000を超えると、現像剤の定着性を阻害する場合がある。
【0043】
本実施形態に係る液体現像剤は、主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体を含有することが好ましい。結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むトナー粒子をキャリア液中に分散してなる液体現像剤において、トナー粒子として高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用い、かつ主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体を含有させることにより、優れた正の帯電特性を有する液体現像剤が実現される。
【0044】
正帯電性に優れる理由としては、例えば、この液体現像剤において、カチオン性が高い高分子アミン類がトナー粒子の表面に強固に付着し、それに対して、主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体が対アニオンを形成するためと考えられる。
【0045】
主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体としては、下記一般式(IV)で示される化合物等が挙げられる。
【化7】
(IV)
(式(IV)中、A
1はNR
1R
2またはOR
1を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子、または置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、A
2はR
3またはOR
3を示し、R
3は置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、Xは主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有する2価の有機基を示し、jおよびkはそれぞれ独立して1以上1000以下の整数を示し、lは1以上100以下の整数を示す。)
【0046】
上記一般式(IV)で示される化合物としては、例えば、下記一般式(V)で示される化合物、下記一般式(VI)で示される化合物、および下記一般式(VII)で示される化合物等が挙げられる。
【化8】
(V)
(式(V)中、A
1はNR
1R
2またはOR
1を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子、または置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、A
2はR
3またはOR
3を示し、R
3は置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、R
4は炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、jおよびkはそれぞれ独立して1以上1000以下の整数を示し、lは1以上100以下の整数を示し、mは1以上20以下の整数を示し、nは1以上1000以下の整数を示す。)
【0047】
【化9】
(VI)
(式(VI)中、A
1はNR
1R
2またはOR
1を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子、または置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、A
2はR
3またはOR
3を示し、R
3は置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、Yは酸素原子またはNHを示し、R
4およびR
5はそれぞれ独立して炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、jおよびkはそれぞれ独立して1以上1000以下の整数を示し、lは1以上100以下の整数を示し、mは1以上20以下の整数を示し、nは1以上1000以下の整数を示し、pは0以上1000以下の整数を示す。)
【0048】
【化10】
(VII)
(式(VII)中、A
1はNR
1R
2またはOR
1を示し、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子、または置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、A
2はR
3またはOR
3を示し、R
3は置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、Zは2価の有機基を示し、jおよびkはそれぞれ独立して1以上1000以下の整数を示し、lは1以上100以下の整数を示し、mは1以上20以下の整数を示し、nは1以上1000以下の整数を示す。)
【0049】
式(IV)〜(VII)において、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子、または置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、溶解性、製造性等の点から、水素原子、または置換されていてもよい炭素数3以上20以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。R
3は置換されていてもよい炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基を示し、溶解性、製造性等の点から、置換されていてもよい炭素数4以上18以下の脂肪族または芳香族炭化水素基が好ましい。R
4およびR
5はそれぞれ独立して炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、製造性等の点から、炭素数1以上10以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。
【0050】
炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、溶解性等の点から、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が好ましい。
【0051】
炭素数1以上20以下の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基等が挙げられ、製造性、安定性等の点から、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0052】
炭素数1以上20以下の脂肪族または芳香族炭化水素基に置換してもよい置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、炭素数1以上10以下のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基等が挙げられ、溶解性、帯電制御特性等の点から、炭素数1以上10以下のアルキル基、ジアルキルアミノ基が好ましい。
【0053】
式(VII)における2価の有機基としては、−CH(CH
3)−(CH
2)
2C(=O)NH−、−C(CH
3)(CN)−(CH
2)
2C(=O)NH−、−C(CH
3)(CN)−(CH
2)
3C(=O)NH−等が挙げられ、製造性等の点から、−C(CH
3)(CN)−(CH
2)
2C(=O)NH−が好ましい。
【0054】
式(IV)において、jおよびkはそれぞれ独立して1以上1000以下の整数を示し、溶解性、帯電制御特性等の点から、5以上100以下の整数が好ましい。
【0055】
式(IV)〜(VII)において、lは1以上100以下の整数を示し、溶解性、帯電制御特性等の点から、1以上10以下の整数が好ましい。
【0056】
式(V)〜(VII)において、mは1以上20以下の整数を示し、製造性等の点から、3以上10以下の整数が好ましい。nは1以上1000以下の整数を示す。
【0057】
式(VI)において、pは0以上1000以下の整数を示し、溶解性、製造性等の点から、10以上300以下の整数が好ましい。
【0058】
液体現像剤中の主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体の量は、例えば、液体現像剤100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上0.5質量部以下の範囲であることがより好ましい。液体現像剤に対する主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体の量が液体現像剤100質量部に対して0.01質量部未満であると、帯電性に劣る場合があり、1質量部を超えると、導電性が高くなりすぎて、かえって帯電性が低下する場合がある。
【0059】
主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体の重量平均分子量は、1000以上100000以下の範囲であることが好ましく、5000以上20000以下の範囲であることがより好ましい。主鎖または側鎖にポリシロキサン構造を有するオレフィン/マレイン酸誘導体共重合体の重量平均分子量が1000未満であると、液体現像剤との相溶性が十分でない場合があり、100000を超えると、現像剤の定着性を阻害する場合がある。
【0060】
[トナー粒子]
本実施形態に係る液体現像剤に含まれるトナー粒子は、結着樹脂を含み、必要に応じて、着色剤、離型剤等のその他成分を含んでもよい。トナー粒子は、高分子アミン類により表面処理されたものである。高分子アミン類により表面処理されたトナー粒子を用いることにより、液体現像剤に正帯電性が付与される。
【0061】
高分子アミン類としては、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類、ポリジアリルアミン類等が挙げられる。これらのうち、カチオン性が高く、正帯電化しやすい等の点から、ポリアルキレンイミン類、ポリアリルアミン類が好ましい。
【0062】
ポリアルキレンイミン類としては、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0063】
ポリアリルアミン類としては、下記一般式(II)で示されるポリアリルアミン類等が挙げられる。
【化11】
(II)
(式(II)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基を示し、aおよびbは、それぞれ独立して100以上1,000以下の整数を示す。)
【0064】
R
1およびR
2は、水素原子または炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基であり、炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基が好ましい。炭素数1以上20以下の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、直鎖または分岐のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0065】
aおよびbは、それぞれ独立して1以上10,000以下の整数であり、5以上1,000以下の整数が好ましい。
【0066】
トナー粒子に対する高分子アミン類の量は、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.01質量部以上100質量部以下の範囲であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下の範囲であることがより好ましい。トナー粒子に対する高分子アミン類の量がトナー粒子100質量部に対して0.01質量部未満であると、帯電性に劣る場合があり、100質量部を超えると、現像剤の導電率が高すぎて、かえって帯電性が低下する場合がある。
【0067】
高分子アミン類の重量平均分子量は、100以上1,000,000以下の範囲であることが好ましく、1,000以上100,000以下の範囲であることがより好ましい。高分子アミン類の重量平均分子量が100未満であると、トナー表面への吸着性が低く、目的とする帯電性能が得られない場合があり、1,000,000を超えると、トナー粒子間の癒着が発生する場合がある。
【0068】
(結着樹脂)
結着樹脂は、主成分としてポリエステル樹脂を含む。ポリエステル樹脂は、酸(多価カルボン酸)成分とアルコール(多価アルコール)成分とから合成されるものであり、本実施形態において、「酸由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前には酸成分であった構成部位を指し、「アルコール由来構成成分」とは、ポリエステル樹脂の合成前にはアルコール成分であった構成部位を指す。主成分とは、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して50質量部以上のことをいう。
【0069】
[酸由来構成成分]
酸由来構成成分は、特に制限はなく、脂肪族ジカルボン酸、芳香族カルボン酸が好ましく用いられる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。また芳香族カルボン酸としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類の低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。また、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類等が挙げられる。さらに良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが好ましい。また、前述のアルケニルコハク酸類の具体的なものとしては、ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、ステアリルコハク酸、オクチルコハク酸、オクセニルコハク酸等が挙げられる。
【0070】
[アルコール由来構成成分]
アルコール由来構成成分としては特に制限はないが、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。また、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどや、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が用いられる。また、良好な定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0071】
ポリエステル樹脂の製造方法としては特に制限はなく、酸成分とアルコール成分を反応させる一般的なポリエステル重合法で製造すればよく、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、単量体の種類によって使い分けて製造すればよい。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、通常1/1程度である。
【0072】
ポリエステル樹脂の製造は、例えば、重合温度180℃以上230℃以下の間で行えばよく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させてもよい。単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、重合反応が部分的に早くなったり、遅くなる場合があり、無着色粒子を多く発生する場合があるため、高沸点の溶媒を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶媒を留去しながら行ってもよい。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合はあらかじめ相溶性の悪い単量体と、その単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させてもよい。
【0073】
ポリエステル樹脂の製造時に使用してもよい触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられる。この中でも、例えば、スズ、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド等のスズ含有触媒を用いることが好ましい。
【0074】
本実施形態においては、静電荷像現像用トナー用の樹脂として共重合可能なものであれは、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。具体例としては、仮に用いる樹脂がポリエステルである場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物が挙げられる。
【0075】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwは5,000以上であることが好ましく、5,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。このポリエステル樹脂を含むと、擦摺性に優位である。ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mwが5,000を下回ると、場合によっては分離しやすくなることから、遊離した樹脂に由来する問題(フィルミング、脆さによる微粉増加、粉体流動性悪化など)が発生する場合がある。
【0076】
本実施形態に係るトナーにおいて、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含んでもよい。ポリエステル樹脂以外の樹脂としては特に制限されないが、具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルフォン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、またはそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
結着樹脂の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して80質量%以上95質量%以下の範囲である。
【0078】
本実施形態に係るトナー粒子は、必要に応じて、着色剤、離型剤、帯電制御剤、シリカ粉末、金属酸化物等の他の添加剤を含有してもよい。これら添加剤は、結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、粒子としてトナー粒子を得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。
【0079】
着色剤としては、特に制限はなく、公知の顔料が用いられ、必要に応じて、公知の染料を含んでもよい。具体的には、以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒(ブラック)等の各顔料が用いられる。
【0080】
イエローの顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物等に代表される化合物が用いられる。
【0081】
マゼンタの顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が用いられる。
【0082】
シアンの顔料としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が用いられる。
【0083】
黒の顔料としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が用いられる。
【0084】
着色剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して5質量%以上20質量%以下の範囲である。
【0085】
離型剤としては、特に制限はなく、例えば、カルナバワックス、木蝋、米糠蝋等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物性ワックス、エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、特殊脂肪酸エステル、多価アルコールエステル等の合成脂肪酸固体エステルワックス;パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリアミドワックス、およびシリコーン化合物等の合成ワックス;等が挙げられる。離型剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0086】
離型剤の含有量は、例えばトナー粒子全体に対して0.1質量%以上10質量%以下の範囲である。
【0087】
帯電制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の帯電制御剤が使用される。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性帯電制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性帯電制御剤;等が挙げられる。帯電制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0088】
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0089】
(トナー粒子の製造方法)
本実施形態で用いるトナー粒子を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、粉砕トナー、液中乳化乾燥トナー、もしくは重合トナー等の製造方法で製造したトナーをキャリア液中で粉砕して得られる。
【0090】
例えば、結着樹脂、必要に応じて、着色剤、他の添加剤等をヘンシェルミキサー等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー等で溶融混練した後、ドラムフレーカー等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナーが得られる。
【0091】
また、結着樹脂、必要に応じて、着色剤、他の添加剤を酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウム等の分散安定剤が添加された水中に乳化、懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過、乾燥することによって液中乳化乾燥トナーが得られる。
【0092】
また、結着樹脂を形成する重合性単量体、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤等を含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過、乾燥することによって重合トナーが得られる。
【0093】
なお、トナーを得る際の各材料(結着樹脂、着色剤、その他の添加剤等)の配合割合は、要求される特性、低温定着性、色等を考慮して設定すればよい。得られたトナーは、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で粉砕することにより本実施形態の液体現像剤用のトナー粒子が得られる。
【0094】
本実施形態において、高分子アミン類による表面処理する場合に、高分子アミン類による表面処理の容易さ等の点から、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子が、ポリエステル樹脂を含む樹脂粒子および着色剤粒子を含有する分散液を水性媒体中で凝集させることにより得られたトナー粒子であることが好ましい。高分子アミン類は水溶性高分子であるので、液中で造粒する湿式製法では乾燥工程前の水洗浄後等にそのまま高分子アミン類をトナー粒子表面に吸着すればよい。
【0095】
(トナー粒子の特性)
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。上記範囲内であることで、付着力が高く、現像性の向上が図られる。また、画像の解像性の向上も図られる。トナー粒子の体積平均粒径D50vは、0.8μm以上4.0μm以下の範囲であることがより好ましく、1.0μm以上3.0μm以下の範囲であることがさらに好ましい。
【0096】
トナー粒子の体積平均粒径D50v、数平均粒度分布指標(GSDp)、体積平均粒度分布指標(GSDv)等は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置、例えば、LA920(堀場製作所社製)を用いて測定される。粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描き、累積16%となる粒子径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)
1/2として算出される。
【0097】
[キャリア液]
キャリア液は、トナー粒子を分散させるための絶縁性の液体であり、ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン、ハイドロジェン変性シリコーン化合物の重合度が20より大きいシリコーンオイル、環状シロキサン化合物等のシリコーンオイル(シリコーン系溶剤)が挙げられる。これらのうち、粘度、分散性等の点から、ジメチルシリコーンが好ましい。なお、「シリコーンオイルを主成分とする」とは、キャリア液中シリコーンオイルを50質量%以上含むことをいう。
【0098】
本実施形態に係る液体現像剤に含まれるキャリア液は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。キャリア液を2種以上の混合系として用いる場合は、例えば、シリコーン系溶剤と植物油との混合系等が挙げられる。
【0099】
キャリア液の体積抵抗率としては、例えば1.0×10
10Ω・cm以上1.0×10
14Ω・cm以下の範囲が挙げられ、1.0×10
12Ω・cm以上1.0×10
14Ω・cm以下の範囲であってもよい。
【0100】
キャリア液の粘度としては25℃における定常せん断粘度で1mPas以上100mPas以下の範囲であることが好ましい。より好ましくは1mPas以上80mPas以下の範囲、さらに好ましくは1mPas以上60mPas以下の範囲である。定常せん断粘度が1mPasより小さくなると、シリコーンオイルの分子量が低くなる場合がある。また、定常せん断粘度が100mPasよりも大きくなると、このキャリアオイルを用いた現像剤の粘度が高くなるため、所要の特性が得られなくなる場合がある。
【0101】
キャリア液は、各種副資材、例えば、分散剤、乳化剤、界面活性剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電制御剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等を含んでいてもよい。
【0102】
[液体現像剤の製造方法]
本実施形態に係る液体現像剤は、上記トナー粒子とキャリア液とを、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ビーズミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な撹拌羽根を高速で回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
【0103】
キャリア液中のトナー粒子の濃度は、現像剤の粘度を適性に制御し、現像機内の現像液循環を円滑にする等の観点から、0.5質量%以上40質量%以下の範囲とすることが好ましく、1質量%以上30質量%以下の範囲とすることがより好ましい。
【0104】
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μm程度の膜フィルタ等のフィルタ等を用いて濾過し、ゴミおよび粗大粒子等を除去してもよい。
【0105】
<現像剤カートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態に係る液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、を備える。
【0106】
上記画像形成装置において、例えば現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。このプロセスカートリッジとしては、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。プロセスカートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるものである。
【0107】
また、本実施形態に係る現像剤カートリッジは、上記本実施形態に係る液体現像剤が収容されているものであればよく、特に制限はない。現像剤カートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る液体現像剤を収容し、像保持体上に形成された潜像を液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備える画像形成装置に着脱されるものである。
【0108】
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0109】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。画像形成装置100は、感光体(像保持体)10と、帯電装置(帯電手段)20と、露光装置(潜像形成手段)12と、現像装置(現像手段)14と、中間転写体(転写手段)16と、クリーナ(清掃手段)18と、転写定着ローラ(転写手段、定着手段)28とを含んで構成される。感光体10は円筒形状を有し、感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、および、クリーナ18が順次に設けられている。
【0110】
以下、この画像形成装置100の動作について説明する。
【0111】
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ(帯電工程)、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザ光線等によって露光して潜像(静電潜像)を形成する(潜像形成工程)。
【0112】
現像装置14は、現像ローラ14aと現像剤収納容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤収納容器14bに収納される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。液体現像剤24は、絶縁性のキャリア液と、結着樹脂を含むトナー粒子と、上記帯電制御剤とを含む。
【0113】
液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤収納容器14b内に設けられる撹拌部材によって撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきは低減される。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0114】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって一定の供給量に制限された状態で感光体10に搬送され、現像ローラ14aと感光体10とが近接(あるいは接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる(現像工程)。
【0115】
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され、用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、感光体10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する(中間転写工程)。このとき、感光体10および中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0116】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写されると共に定着される(転写工程、定着工程)。転写定着ローラ28は、中間転写体16と共に用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、用紙上にトナー像が定着され、定着画像29となる。トナー像の定着は、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧および加熱により行うことが好ましい。定着温度は、通常、120℃以上200℃以下の範囲である。
【0117】
中間転写体16が
図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16、転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ、押圧ローラに準じた構成となって定着機能を発揮する。すなわち、用紙30が中間転写体16と転写定着ローラ28との間で形成されるニップを通過する際、トナー像が転写されると共に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して加熱および押圧される。これにより、トナー像を構成するトナー粒子中の結着樹脂が軟化すると共に、トナー像が用紙30の繊維中に浸潤して、用紙30に定着画像29が形成される。
【0118】
本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。この場合には、感光体10からトナー像を転写する転写ローラが、中間転写体16に準じた機能を有することとなる。
【0119】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写されずに残留したトナー粒子がクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設けなくてもよい。
【0120】
画像形成装置100は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
【0121】
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、および、クリーナ18等は、例えば、すべてが感光体10の回転速度と同期をとって動作されてもよい。
【実施例】
【0122】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0123】
[
参考例1]
(液体現像剤(シアン)の調製)
ポリエステル樹脂(花王(株)製、重量平均分子量:15,000)60質量部にシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3、クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0124】
次に以下の組成の混合物をボールミルで24時間溶解、分散した。
ポリエステル樹脂(花王(株)製、重量平均分子量:15,000):70質量部
上記シアン顔料マスターバッチ:25質量部
酢酸エチル:100質量部
【0125】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)60質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)50質量部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体170質量部に前記混合物100質量部を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタックスT−50)を用いて8,000rpm以上24,000rpm以下で1分間乳化して懸濁液を得た。撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を付けたセパラブルフラスコに上記懸濁液を入れ、窒素導入管より窒素を流入しながら、60℃で3時間撹拌して酢酸エチルを留去した。放冷後、混合物に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離機により固形分を分離し、1Lのイオン交換水で3回洗浄して、体積平均粒径3.5μmのトナー粒子のスラリを得た。
【0126】
上記で得られたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水400質量部に分散し、1N塩酸5質量部を加えてpH2に調整して、1時間撹拌後に混合物を濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。回収したケーキに蒸留水300質量部を加えて再分散し、撹拌しながら、ポリエチレンイミン(重量平均分子量70,000;AlfaAeser社製)の5質量%水溶液20質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子63質量部を回収した。
【0127】
上記で得られたシアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。
【0128】
(FITC溶液の調製)
イソチオシアン酸フルオレセイン イソマーI型(上記式(I)において、XおよびYは水素原子、(株)同仁化学研究所製)0.0039gを秤量し、りん酸pH標準液(和光純薬工業(株)製)400mLに溶解して、濃度2.5×10
−5mol/kgのFITC溶液を調製した。
【0129】
(FITC反応率の測定:トナー粒子表面に吸着している高分子アミン類の量の定量)
上記で得られた乾燥トナー粒子、10mg、20mg、30mgを秤量して各々10mLの試料びんにとり、上記の2.5×10
−5mol/kgのFITC溶液10gを加え、マグネティックスターラ上で24時間撹拌した後に、0.2μmのPTFEフィルタ(25HP020AN、アドバンテック東洋(株)製)で溶液を濾過し、石英セル(10mm×10mm×50mm)に入れて、日立分光光度計U−3010型で493nmにおける吸光度を測定した。得られた吸光度の値から溶液中のFITCの濃度を求め、これを溶液中のトナー濃度に対してプロットして、トナー重量あたりのFITCの反応量を求めた。
参考例1のトナーの値は、5.6×10
−6mol/gであった。結果を
図2、表1に示す。
【0130】
<帯電特性の評価>
(帯電極性)
5cm×1cmに加工したITO付ガラス基板(EHC社製:100Ω/□)2枚を、絶縁スペーサとしてナフロンシート(アズワン社製:1cm×1cm×1.0mm)を挟んで、電極面が内向きになるように固定した。ディスポーザブルセル(アズワン社製:12×12×45mm)に液体現像剤サンプル1mLを入れ、上記の電極基板を浸漬して、250Vの直流電圧を30秒間印加し、電圧を印加したままの状態で電極を引き上げて、正極および負極のITO電極面の粒子の付着状態を観察して、帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。なお下記で帯電特性が±を示すものは、正極性の粒子および負極性の粒子が同程度混在していることを示しており、このような特性を示す現像剤は実際のシステムにおいて明画像部でカブリを生じるため、正帯電系または負帯電系のいずれのシステムにおいても不適合とされる。
+:負極のみに付着する
−:正極のみに付着する
±:両極に付着する
−:両極とも付着しない
【0131】
(帯電性)
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤について、マイクロチック・ニチオン社製の「顕微鏡式レーザーゼータ電位計」ZC−3000を用いて電位差を測定し、以下の5段階の基準に従い評価した。測定は、液体現像剤を希釈溶媒で希釈して、10mmの透明セルに入れ、電極間9mmで300Vの電圧をかけると同時に顕微鏡でセル内の粒子の移動速度を観察することで、移動速度を算出して、その値からゼータ電位を求めることにより行った。結果を表1に示す。
A:電位差が+100mV以上(非常に良い)
B:電位差が+85mV以上、+100mV未満(良い)
C:電位差が+70mV以上、+85mV未満(普通)
D:電位差が+50mV以上、+70mV未満(やや悪い)
E:電位差が+50mV未満(非常に悪い)
【0132】
なお、トナー粒子は液体現像剤から以下の方法により採取することができる。液体現像剤を遠心分離(1,000rpm×5分)により沈降させ、上澄み液をデカンテーションによって取り除き、トナー粒子を取り出す。取り出したトナー粒子をヘキサン、あるいはアイソパー等で洗浄する(混合溶媒は、トナー樹脂により適宜変更すればよい)。
【0133】
[
参考例2]
参考例1で得られたシアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、およびカルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−162C、信越化学工業(株)製、上記式(III)において、XおよびYはCOOH、Zは水素原子であり、R
3およびR
4はアルキレン基(詳細不明)、R
5はメチレン基である。数平均分子量:4,600)(化合物(III−1))0.01質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0134】
【化12】
(III−1)
【0135】
[
参考例3]
参考例1で用いたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水300質量部に分散し、1N塩酸5質量を加えてpH2に調整して1時間撹拌した後に混合物を濾過、蒸留水で繰り返し洗浄した。回収したケーキに蒸留水300質量部を加えて再分散し、この混合物を撹拌しながら、PAA−1112(15質量%溶液、ニットーボーケミカル社製、上記式(II)において、R
1=メチル基、R
2=メチル基、m=9、n=8、重量平均分子量1,000)10質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子58質量部を回収した。得られた乾燥トナーについて、
参考例1と同様にしてFITCの反応率を測定した。結果を表1に示す。
【0136】
上記で得られたシアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0137】
[
参考例4]
参考例3で得られたシアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、およびカルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−3710;信越化学工業(株)製、上記式(III)において、XはCOOH、YおよびZは水素原子であり、R
3はアルキレン基(詳細不明)、R
4およびR
5はメチレン基である。数平均分子量:1,450)(化合物(III−2))0.01質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0138】
【化13】
(III−2)
【0139】
[
参考例5]
(液体現像剤(マゼンタ)の調製)
ポリエステル樹脂(花王(株)製、重量平均分子量:15,000)60質量部にマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122、クラリアント(株)製)40質量部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、マゼンタ顔料マスターバッチを作製した。
【0140】
次に以下の組成の混合物をボールミルで24時間溶解、分散した。
ポリエステル樹脂(花王(株)製、重量平均分子量:15,000):70質量部
上記マゼンタ顔料マスターバッチ:25質量部
酢酸エチル:100質量部
【0141】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)60質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)50質量部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。この分散媒体170質量部に前記混合物100質量部を投入して、乳化装置(IKA社製、ウルトラタックスT−25)を用いて8,000ppm以上24,000rpm以下で1分間乳化して懸濁液を得た。撹拌機、温度計、冷却管および窒素導入管を付けたセパラブルフラスコに上記懸濁液を入れ、窒素導入管より窒素を流入しながら、60℃で3時間撹拌して酢酸エチルを留去した。
放冷後、混合物に10%塩酸水溶液を加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離機により固形分を分離し、1Lのイオン交換水で3回洗浄して、体積平均粒径3.2μmのトナー粒子の湿潤ケーキを得た。
【0142】
上記で得られたマゼンタトナー粒子のケーキ100質量部を蒸留水400質量部に分散し、1N塩酸5質量部を加えてpH2に調整して、1時間撹拌した後に混合物を濾過し、蒸留水で繰り返し洗浄した。回収したケーキに蒸留水300質量部を加えて再分散し、撹拌しながら、ポリエチレンイミン(重量平均分子量70,000;AlfaAesar社製)の5質量%水溶液20質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥マゼンタトナー粒子60質量部を回収した。
【0143】
上記で得られたマゼンタトナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0144】
[
参考例6]
参考例5で得られた乾燥マゼンタトナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、およびカルボキシ変性シリコーンオイル(X−22−3701E;信越化学工業(株)製、上記式(III)において、XおよびYは水素原子、ZはCOOHであり、R
3およびR
4はメチレン基、R
5はアルキレン基(詳細不明)である。数平均分子量:40,000)(化合物(III−3))0.1質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0145】
【化14】
(III−3)
【0146】
[実施例
1]
参考例5で得られた乾燥マゼンタトナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、および下記化合物(IV−1)0.1質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0147】
【化15】
(IV−1)
【0148】
なお、化合物(IV−1)は次のようにして合成した。
(前駆体の合成)
1−オクタデセン25.5質量部、無水マレイン酸10質量部、および(3−メタクリルオキシ)プロピルポリジメチルシロキサン(サイラプレーンFM−0725;JNC社製)20質量部をトルエン50質量部に溶解し、窒素置換を行った後にオイルバスで70℃まで昇温し、過酸化ベンゾイル0.5質量部をトルエン5質量部に溶解した溶液を加え、80℃で20時間撹拌した。反応終了後、混合物を2−プロパノール800質量部中に注加し、生じた沈殿を吸引濾過、2−プロパノールで洗浄後、減圧乾燥して下記前駆体(淡黄色固体)35.5質量部を得た。
【0149】
【化16】
【0150】
上記の前駆体5.5質量部、ヘキサデシルアミン2.6質量部、およびピリジン0.1質量部をキシレン25質量部に溶解し、窒素気流下130℃で20時間撹拌した。反応終了後、混合物をメタノール500質量部中に注加し、生じた沈殿を吸引濾過、メタノールで洗浄後、減圧乾燥して淡黄色固体6.3質量部を得た。得られた化合物(IV−1)の重量平均分子量をGPCで測定したところ、Mw:36,000(ポリスチレン換算)であった。
【0151】
[
参考例8]
(A)トナー材料分散液
ポリエステル樹脂(R−1):50質量部(Tg:65℃、Tm:102℃、酸価:25、Mw:9000)
銅フタロシアニン顔料:50質量部(C.I.ピグメントブルー15:3、シアニンブルー4933M、大日精化社製)
酢酸エチル:100質量部
以上の分散液を、ガラスビーズを入れたサンドミル分散機に導入した。その分散容器の周囲を25℃に冷却しながら、酢酸エチル20質量部を加えて希釈し、高速撹拌モードにより3時間分散させ、最後に酢酸エチルの蒸発原料分を追加して、顔料濃度が10質量%のトナー材料分散液を調整した。
【0152】
(B)ポリエステル樹脂分散物(コア粒子)
ポリエステル樹脂(R−2):87質量部(Tg:50℃、Tm:85℃、酸価:8、Mw:5000)
上記(A)の顔料分散液(顔料濃度10質量%):50質量部
酢酸エチル:32質量部
上記材料を用いて、ポリエステル樹脂が十分に溶解した混合溶液を得た。この混合溶液をホモミキサー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し、毎分15,000回転の速度で2分間撹拌して、均一な油相を調製した。この油相にトリエチルアミン2.7質量部を添加し、次にイオン交換水1,000質量部を加えた後、スリーワンモータを具備した撹拌装置を用いて撹拌し、30℃、20mmHg以上30mmHg以下の減圧下に酢酸エチルを留去した。その後、遠心沈降を3回繰り返して上澄み液を交換し、固形物量30質量%のポリエステル樹脂の微分散物(W−1)を得た。得られた微分散物の平均粒度は0.5μmであり、また、そのゼータ電位は−52mVであった。
【0153】
同様にして、ポリエステル樹脂(R−1)90質量部およびポリエステル樹脂(R−2)5質量部を用いて、ポリエステル樹脂の微分散物(W−2;平均粒度は0.4μm、Tg=64℃)を得た。
【0154】
(C)トナーの製造方法(コア粒子の被覆)
温度計、コンデンサおよび撹拌機を設けたフラスコに、W−1微分散物1,000質量部およびジメチルアミノエチルプロピオネート58質量部を仕込んだ溶液(pH:10.2)を得た。この溶液を70℃に昇温させて240分間撹拌を続けて、微分散物粒子を成長させた。この粒子成長後の溶液のpHは、7.5まで低下していた。得られた粒子をコールターカウンタTA−II型(コールター社製)を用いて測定したところ、成長した微粒子(P1)の体積平均粒度は3.8μmであった。次に、この微粒子(P1)100質量部に、上記の微分散物(W−2)150質量部を加えて、60℃で120分間撹拌させることによりトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒度は5.8μmであり、粒度分布の指標とされるGSD(体積平均粒度であるd84/d16のルート値)は1.22であった。得られた粒子を、吸引ロートで脱水濾過した後、凍結乾燥により粉体化させることによりシアントナー粒子を得た。
【0155】
得られたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水300質量部に分散し、1N塩酸4質量部を加えてpH2に調整した。この混合物を撹拌しながら、ポリエチレンイミン(重量平均分子量70,000;AlfaAesar社製)の5質量%水溶液20質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子53質量部を回収した。
【0156】
得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0157】
[
参考例9]
参考例8で得られたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水300質量部に分散し、1N塩酸4質量部を加えてpH2に調整した。この混合物を撹拌しながら、ポリアリルアミンPAA−1112(15質量%溶液;ニットーボーメディカル(株)製)10質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子55質量部を回収した。
【0158】
得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0159】
[比較例1]
参考例1で用いたシアントナー粒子のスラリをそのまま20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子60質量部を回収した。得られた乾燥トナーについて、
参考例1と同様にしてFITCの反応率を測定した。結果を表1に示す。
【0160】
得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0161】
[比較例2]
比較例1で得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、および化合物(III−3)0.1質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0162】
[比較例3]
参考例1で用いたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水300質量部に分散し、1N塩酸5質量部を加えてpH2に調整した。この混合物を濾過することなく、そのまま撹拌しながら、ポリエチレンイミン(重量平均分子量70,000;AlfaAesar社製)の5質量%水溶液20質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子60質量部を回収した。
【0163】
得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0164】
[比較例4]
比較例3で得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、および化合物(III−3)0.1質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0165】
[比較例5]
参考例1で用いたシアントナー粒子のスラリ100質量部を蒸留水300質量部に分散し、1N塩酸5質量部を加えてpH2に調整した。この混合物を濾過することなく、そのまま撹拌しながら、ポリアリルアミンPAA−1112(15質量%溶液;ニットーボーメディカル(株)製)10質量部を徐々に滴下し、添加終了後1時間撹拌を続けた。撹拌終了後、分散液を吸引濾過し、水で繰り返し洗浄した後、得られたケーキを20℃で24時間凍結乾燥して、乾燥シアントナー粒子60質量部を回収した。
【0166】
得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0167】
[比較例6]
比較例5で得られた乾燥シアントナー粒子20質量部を、シリコーンオイル(KE−96L−20cs;信越化学工業(株)製)80質量部、および化合物(III−3)0.1質量部と混合し、固形分濃度20質量%の液体現像剤を得た。以下、
参考例1と同様にして帯電特性を判定した。その結果を表1に示す。
【0168】
【表1】
【0169】
このように、トナー粒子に上記式(I)で示されるフルオレセインイソチオシアネート誘導体を反応させたときの、トナー粒子に対するフルオレセインイソチオシアネート誘導体の吸着量が5×10
−6mol/g以上である、高分子アミン類により表面処理された、ポリエステル樹脂を含むトナー粒子を含有する液体現像剤を用いた実施例
1では、比較例1〜6に比べて、正帯電性に優れた。