特許第6136897号(P6136897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6136897
(24)【登録日】2017年5月12日
(45)【発行日】2017年5月31日
(54)【発明の名称】電流値取得方法及び負荷制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20170522BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20170522BHJP
【FI】
   B60R16/02 645A
   H02H5/04
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-246524(P2013-246524)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-104943(P2015-104943A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2015年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】前田 和輝
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−298210(JP,A)
【文献】 特開2004−247834(JP,A)
【文献】 特開2010−273445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
H02H 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、前記複数のスイッチング素子に通流する各電流値を1つの検出部で時系列的に検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する負荷制御装置における電流値取得方法において、
前記スイッチング素子それぞれの、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM制御のパルス波形の前記所定時点を基準とする安定状態開始時点、及び前記パルス波形の前記所定時点を基準とする立下り開始時点を収集してテーブルを作成し、作成したテーブル、及び前記アナログ/ディジタル変換の所要時間に基づき、前記各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する各時点を設定することを特徴とする電流値取得方法。
【請求項2】
前記スイッチング素子それぞれのPWM周期のオン期間の長さを更に収集して前記テーブルを作成する請求項1に記載の電流値取得方法。
【請求項3】
前記PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量を昇順にソートし、ソートした遅れ量及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定する請求項1又は2に記載の電流値取得方法。
【請求項4】
前記立下り開始時点を早い順にソートし、ソートした立下り開始時点及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定する請求項1又は2に記載の電流値取得方法。
【請求項5】
直流電源からの電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、前記複数のスイッチング素子に通流する各電流値を1つの検出部で時系列的に検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する負荷制御装置において、
前記スイッチング素子それぞれの、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM制御のパルス波形の前記所定時点を基準とする安定状態開始時点、及び前記パルス波形の前記所定時点を基準とする立下り開始時点を収集してテーブルを作成するテーブル作成手段と、該テーブル作成手段が作成したテーブル、及び前記アナログ/ディジタル変換の所要時間に基づき、前記各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する各時点を設定する設定手段とを備えることを特徴とする負荷制御装置。
【請求項6】
前記テーブル作成手段は、前記スイッチング素子それぞれのPWM周期のオン期間の長さを更に収集して前記テーブルを作成する請求項5に記載の負荷制御装置。
【請求項7】
前記設定手段は、前記PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量を昇順にソートする手段を備え、該手段がソートした遅れ量及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定する請求項5又は6に記載の負荷制御装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記立下り開始時点を早い順にソートする手段を備え、該手段がソートした立下り開始時点及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定する請求項5又は6に記載の負荷制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、複数のスイッチング素子に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する負荷制御装置における電流値取得方法及び負荷制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された複数の負荷(ランプ、モータ等)を駆動制御する負荷制御装置では、オルタネータ(車載発電機)又はバッテリが出力した直流電力を、負荷それぞれのスイッチング素子によりPWM(Pulse Width Modulation)制御して、負荷それぞれに印加する電圧を制御する。この場合、各スイッチング素子を過電流から保護する為に、各スイッチング素子に通流する電流値を検出し、検出した各電流値は、負荷制御装置が取得して過電流に達しているか否かを判定している。過電流に達していると判定されたスイッチング素子はオフにされる。
【0003】
特許文献1には、半導体スイッチ素子の端子間電圧を検出することにより電線温度が推定され、推定された電線温度が異常に上昇した場合には、その通電が遮断され、簡単な構造により、電線の異常な温度上昇から電線を保護する電線保護方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、負荷への通流電流が所定時間毎に検出され、電線の上昇温度が、検出された通流電流を用いて、電線の放熱及び発熱に係る関係式により算出され、算出された上昇温度が基準温度に加算されて電線の温度が推定される電線保護方法が開示されている。推定電線温度と所定の上限温度との高低が判定され、その判定結果により、電力供給が停止、又は上昇温度算出が継続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−226984号公報
【特許文献2】特開2009−130944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来の負荷制御装置では、検出した各電流値を取得する際に、PWM制御のパルス波形がオン(デューティ期間)であれば、取得した電流値×デューティ比で、通流した電流値を算出できるが、電流値を取得する際に、パルス波形がオフ(非デューティ期間)であれば、通流した電流値を正しく算出できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、PWM制御される複数のスイッチング素子及び負荷に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する場合に、正確な電流値を取得することができる電流値取得方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、また、PWM制御される複数のスイッチング素子及び負荷に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する場合に、正確な電流値を取得することができる負荷制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る電流値取得方法は、直流電源からの電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、前記複数のスイッチング素子に通流する各電流値を1つの検出部で時系列的に検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する負荷制御装置における電流値取得方法において、前記スイッチング素子それぞれの、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM制御のパルス波形の前記所定時点を基準とする安定状態開始時点、及び前記パルス波形の前記所定時点を基準とする立下り開始時点を収集してテーブルを作成し、作成したテーブル、及び前記アナログ/ディジタル変換の所要時間に基づき、前記各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する各時点を設定することを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る電流値取得方法は、前記スイッチング素子それぞれのPWM周期のオン期間の長さを更に収集して前記テーブルを作成することを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る電流値取得方法は、前記PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量を昇順にソートし、ソートした遅れ量及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る電流値取得方法は、前記立下り開始時点を早い順にソートし、ソートした立下り開始時点及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る負荷制御装置は、直流電源からの電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、前記複数のスイッチング素子に通流する各電流値を1つの検出部で時系列的に検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する負荷制御装置において、前記スイッチング素子それぞれの、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM制御のパルス波形の前記所定時点を基準とする安定状態開始時点、及び前記パルス波形の前記所定時点を基準とする立下り開始時点を収集してテーブルを作成するテーブル作成手段と、該テーブル作成手段が作成したテーブル、及び前記アナログ/ディジタル変換の所要時間に基づき、前記各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する各時点を設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第1発明に係る電流値取得方法及び第5発明に係る負荷制御装置では、直流電源からの電力を複数のスイッチング素子によりそれぞれPWM制御して複数の負荷に与え、複数のスイッチング素子に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する。テーブル作成手段が、スイッチング素子それぞれの、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、及びパルス波形の所定時点を基準とする立下り開始時点を収集してテーブルを作成する。設定手段が、テーブル作成手段が作成したテーブル、及びアナログ/ディジタル変換の所要時間に基づき、各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する各時点を設定する。
【0015】
第6発明に係る負荷制御装置は、前記テーブル作成手段は、前記スイッチング素子それぞれのPWM周期のオン期間の長さを更に収集して前記テーブルを作成することを特徴とする。
【0016】
第2発明に係る電流値取得方法及び第6発明に係る負荷制御装置では、テーブル作成手段は、スイッチング素子それぞれのPWM周期のオン期間の長さを更に収集してテーブルを作成する。
【0017】
第7発明に係る負荷制御装置は、前記設定手段は、前記PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量を昇順にソートする手段を備え、該手段がソートした遅れ量及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定することを特徴とする。
【0018】
第3発明に係る電流値取得方法及び第7発明に係る負荷制御装置では、設定手段は、ソートする手段が、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量を昇順にソートし、ソートした遅れ量及び安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定する。
【0019】
第8発明に係る負荷制御装置は、前記設定手段は、前記立下り開始時点を早い順にソートする手段を備え、該手段がソートした立下り開始時点及び前記安定状態開始時点に基づき、前記取得する各時点を設定することを特徴とする。
【0020】
第4発明に係る電流値取得方法及び第8発明に係る負荷制御装置では、設定手段は、ソートする手段が、立下り開始時点を早い順にソートし、ソートした立下り開始時点及び安定状態開始時点に基づき、電流値を取得する各時点を設定する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電流値取得方法によれば、PWM制御される複数のスイッチング素子及び負荷に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する場合に、正確な電流値を取得することができる電流値取得方法を実現することができる。
【0022】
本発明に係る負荷制御装置によれば、PWM制御される複数のスイッチング素子及び負荷に通流する各電流値を検出し、検出した各電流値をアナログ/ディジタル変換して取得する場合に、正確な電流値を取得することができる負荷制御装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る電流値取得方法及び負荷制御装置の実施の形態の要部構成を示す回路図である。
図2】テーブルのイメージ例を示す説明図である。
図3】PWM信号の各属性を示す説明図である。
図4図2に示すテーブルの内容を示すタイミングチャートである。
図5】本発明に係る負荷制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図6】テーブルの内容を、PWM周期の開始時点の遅れ量の昇順でソートした結果の例を示すタイミングチャートである。
図7】本発明に係る負荷制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】テーブルの内容を、パルス波形の立下り開始時点が早い順でソートした結果の例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る電流値取得方法及び負荷制御装置の実施の形態1の要部構成を示す回路図である。
この負荷制御装置1は、例えば車両に搭載された12個の負荷19〜30(ここではランプ)毎にPWM信号を作成し、作成した各PWM信号によりIPD(Intelligent Power Device)7〜18を駆動するPWM駆動回路4を備えている。
【0025】
負荷制御装置1は、また、IPD7〜18が、電源(オルタネータ、バッテリ)31からの直流電力をPWM制御して、負荷19〜30へそれぞれ通流させた各電流値に応じた各電圧値を、A/D(アナログ/ディジタル)変換するA/D変換器5と、A/D変換器5がそれぞれA/D変換した各電圧値を各電流値として取得するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと記載)2とを備えている。
【0026】
マイコン2は、IPD7〜18毎に通流する各電流値を取得して、過電流に達しているか否かを判定し、過電流に達したと判定したときは、PWM駆動回路4に当該IPDを遮断させる。
マイコン2は、外部から与えられた電源31の電圧値、及び負荷19〜30毎の操作信号に基づき、負荷19〜30毎にデューティ比を算出し、算出したデューティ比でPWM駆動回路4にIPD7〜18をそれぞれオン/オフ制御させる。
【0027】
マイコン2は、PWM駆動回路4に作成させるIPD7〜18毎のPWM信号の属性、例えば、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始(前縁)時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする立下り開始(後縁)時点、及びPWM周期のオン期間の長さを収集して、図2に示すようなイメージのテーブル6を作成し、メモリ3に記憶させる。尚、ここでは、例えばIPD7〜18をチャネル1〜12にそれぞれ対応させる。
【0028】
尚、PWM周期のオン期間の長さは、必要の都度、パルス波形の立上り開始時点及び立下り時点から算出できるが、予め算出しておけば、その都度算出する手間が省ける。
また、上記各時点の基準となる所定時点は、何れかのIPD7〜18(チャネル1〜12)のPWM周期の開始時点とすれば良い。
【0029】
尚、PWM周期の開始時点の遅れ量a、PWM周期b、デューティ比c、パルス波形の立上り開始時点d、パルス波形の安定状態開始時点e、パルス波形の立下り開始時点f、及びPWM周期のオン期間(デューティ比)cを、パルス波形図上に図示すれば、図3に示すとおりである。
また、図2に示すテーブル6の内容をタイミングチャートで示すと、図4に示すとおりである。
【0030】
以下に、このような構成の負荷制御装置1の動作を、それを示す図5のフローチャートを参照しながら説明する。
マイコン2は、先ず、チャネル1〜12毎の、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする立下り開始時点、及びPWM周期のオン期間の長さを収集し、図2に示すようなイメージのテーブル6を作成し(S1)更新する(S3)。
【0031】
マイコン2は、次に、更新したテーブル6の内容を、図6に示すように、PWM周期の開始時点の遅れ量の昇順でソート(整列)する(S5)。ここでは、チャネル3のPWM周期の開始時点を、上記各時点の基準となる所定時点としている。尚、ここでは、各PWM周期の開始時点と各パルス波形の立上り開始時点とを一致させて、各PWM周期内でのパルス波形の立上り開始の遅れ(位相ずれ[°])を0としている。
【0032】
マイコン2は、次に、ソートしたPWM周期の開始時点の遅れ量に基づき、パルス波形の安定状態開始時点(各PWM周期の開始時点から200μs後)が最も早いチャネル(ここでは3チャネル(IPD9))の電圧信号のA/D(AD)変換をA/D変換器5に開始させる(S7)。
【0033】
マイコン2は、次に、実行中のAD変換の終了時点(AD変換の所要時間は既知である)でパルス波形が安定状態である(安定状態開始時点が経過している)チャネルが有るか否かを判定し(S9)、安定状態であるチャネルが有れば、安定状態であるチャネル中で、PWM周期の開始時点の遅れ量が最も短いチャネルを選択する(S11)。次いで、選択したチャネルの電圧信号のAD変換を、実行中のAD変換の終了時点で、A/D変換器5に開始させる(S13)。尚、マイコン2は、AD変換の終了時点で、AD変換した電圧値(電流値)の読込み(取得)を終了している。
【0034】
マイコン2は、次に、全チャネルのAD変換が完了見込み(AD変換は実行中である)であるか否かを判定し(S15)、完了しないのであれば、再度、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが有るか否かを判定する(S9)。
マイコン2は、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが無ければ(S9)、残りのチャネル中で、PWM周期の開始時点の遅れ量が最も短いチャネルを選択する(S19)。次いで、選択したチャネルの電圧信号のAD変換を、当該チャネルのパルス波形の安定状態開始時点で、A/D変換器5に開始させる(S21)。
【0035】
マイコン2は、次に、全チャネルのAD変換が完了見込み(AD変換は実行中である)であるか否かを判定し(S15)、完了しないのであれば、再度、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが有るか否かを判定する(S9)。
マイコン2は、全チャネルのAD変換が完了見込みであれば(S15)、チャネル1〜12毎の、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする立下り開始時点、及びPWM周期のオン期間の長さを収集し、図2に示すようなイメージのテーブル6を作成し(S17)更新する(S3)。
【0036】
(実施の形態2)
図7は、本発明に係る電流値取得方法及び負荷制御装置の実施の形態2の動作を示すフローチャートである。尚、本実施の形態2の要部構成は、実施の形態1で説明した負荷制御装置1の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0037】
以下に、この負荷制御装置1の動作を、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
マイコン2は、先ず、チャネル1〜12毎の、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする立下り開始時点、及びPWM周期のオン期間の長さを収集し、図2に示すようなイメージのテーブル6を作成し(S23)更新する(S25)。
【0038】
マイコン2は、次に、更新したテーブル6の内容を、図8に示すように、パルス波形の立下り開始時点が早い順でソート(整列)する(S27)。ここでは、チャネル3のPWM周期の開始時点を、上記各時点の基準となる所定時点としている。尚、ここでは、各PWM周期の開始時点と各パルス波形の立上り開始時点とを一致させて、各PWM周期内でのパルス波形の立上り開始の遅れ(位相ずれ[°])を0としている。
【0039】
マイコン2は、次に、ソートしたパルス波形の立下り開始時点に基づき、パルス波形の立下り開始時点が最も早いチャネル(ここでは2チャネル(IPD8))の電圧信号のAD変換を、当該チャネルのパルス波形の安定状態開始時点で、A/D変換器5に開始させる(S29)。
【0040】
マイコン2は、次に、実行中のAD変換の終了時点(AD変換の所要時間は既知である)でパルス波形が安定状態である(安定状態開始時点が経過している)チャネルが有るか否かを判定し(S31)、安定状態であるチャネルが有れば、安定状態であるチャネル中で、パルス波形の立下り開始時点が最も早いチャネルを選択する(S33)。次いで、選択したチャネルの電圧信号のAD変換を、実行中のAD変換の終了時点で、A/D変換器5に開始させる(S35)。尚、マイコン2は、AD変換の終了時点で、AD変換した電圧値(電流値)の読込み(取得)を終了している。
【0041】
マイコン2は、次に、全チャネルのAD変換が完了見込み(AD変換は実行中である)であるか否かを判定し(S37)、完了しないのであれば、再度、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが有るか否かを判定する(S31)。
マイコン2は、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが無ければ(S31)、残りのチャネル中で、パルス波形の立下り開始時点が最も早いチャネルを選択する(S41)。次いで、選択したチャネルの電圧信号のAD変換を、当該チャネルのパルス波形の安定状態開始時点で、A/D変換器5に開始させる(S43)。
【0042】
マイコン2は、次に、全チャネルのAD変換が完了見込み(AD変換は実行中である)であるか否かを判定し(S37)、完了しないのであれば、再度、実行中のAD変換の終了時点でパルス波形が安定状態であるチャネルが有るか否かを判定する(S31)。
マイコン2は、全チャネルのAD変換が完了見込みであれば(S37)、チャネル1〜12毎の、PWM周期の開始時点の所定時点からの遅れ量、PWM周期、デューティ比、パルス波形の所定時点を基準とする立上り開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする安定状態開始時点、パルス波形の所定時点を基準とする立下り開始時点、及びPWM周期のオン期間の長さを収集し、図2に示すようなイメージのテーブル6を作成し(S39)更新する(S25)。
【0043】
実施の形態2のように、パルス波形の立下り開始時点をソートするようにすることにより、実施の形態1のようにPWM周期の開始時点の遅れ量の昇順でソートする場合に比べて、全チャネルのAD変換の処理に要する時間が短縮される。
負荷制御装置1が、上述したように作動することにより、異なるPWM制御のパルス波形においても、確実にオン期間に電流値をAD変換することができ、電流値を取得することができる。
【0044】
負荷制御装置1は、負荷のチャネル情報をテーブル情報に編集するので、テーブル情報を変更するだけで、負荷の出力順番等を簡単に変更することができる。
また、デューティ比及びPWM周期の開始時点の遅れ量が導的に変化する負荷についても、電流値を取得する前にテーブル情報を更新し、AD変換の開始時点を算出することで、確実にオン期間にAD変換することができ、電流値を取得することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 負荷制御装置
2 マイクロコンピュータ
3 メモリ
4 PWM駆動回路
5 A/D変換器
6 テーブル
7〜18 IPD
19〜30 負荷
31 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8