【実施例】
【0057】
以下、実施例により本発明を具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例1〜8及び比較例1〜7で評価された項目の評価方法を以下に示す。
【0058】
(1)1%網点直径
キーエンス社製レーザー顕微鏡VF9500を用いて、150線の網点1%の直径を測定した。なお、評価に使用したネガティブフィルムの網点直径は19μmであった。
【0059】
(2)耐溶剤インキ性
版をIPA/酢酸プロピル=80/20の溶液に24時間浸漬させ、浸漬後の膨潤率で評価した。
10%未満→○
10%〜20%→○△
20%〜30%→△
30%〜40%→△×
40%超→×
【0060】
(感光性樹脂組成物Aの調製)
ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF 固形分濃度 55%)91質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Aを得た。
【0061】
(感光性樹脂組成物Bの調製)
ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF 固形分濃度 55%)73質量部、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製、SX1503A 固形分濃度42%)24質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Bを得た。
【0062】
(感光性樹脂組成物Cの調製)
ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF 固形分濃度 55%)55質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)35質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Cを得た。
【0063】
(感光性樹脂組成物Dの調製)
ラテックスとしてカルボキシ変性メチルメタクリレート−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製、MR174 固形分濃度 50%)100質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Dを得た。
【0064】
(感光性樹脂組成物Eの調製)
ラテックスとしてスチレン−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製、Nipol C4850 固形分濃度 70%)71質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Eを得た。
【0065】
(感光性樹脂組成物Fの調製)
ラテックスとしてアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本エイアンドエル製、NA105 固形分濃度 50%)100質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Fを得た。
【0066】
(感光性樹脂組成物Gの調製)
ラテックスとしてアクリロニトリル−ブタジエンラテックス(日本ゼオン製、SX1503A 固形分濃度 42%)119質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Gを得た。
【0067】
(感光性樹脂組成物Hの調製)
固形ブタジエンゴム(日本合成ゴム社製、BR022 固形分濃度 100%)50質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Hを得た。
【0068】
(感光性樹脂組成物Iの調製)
ラテックスとしてブタジエンラテックス(日本ゼオン製、LX111NF 固形分濃度 55%)36質量部、固形ブタジエンゴム(日本合成ゴム社製、BR022、固形分濃度100%)30質量部、光重合性化合物としてオリゴブタジエンアクリレート(共栄社化学製ABU−3:数平均分子量2700)15質量部、ラウリルメタクリレート10質量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート10質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、親水性重合体として共栄社化学製のPFT−3(ウレタンウレア構造を有する数平均分子量約20,000の重合物、固形分濃度25%)20質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、可塑剤として液状ブタジエン9質量部をトルエン5質量部とともに容器中で混合してから、加圧ニーダーを用いて105℃で混練りし、その後トルエンと水を減圧留去して感光性樹脂組成物Iを得た。
【0069】
実施例1
(フレキソ印刷原版の製造)
メチルセルロース(信越化学工業製、SM15)を水とイソプロピルアルコールの混合溶剤に溶解した後、マット処理化PETフィルム(厚さ100μm)上に、塗工・乾燥して粘着防止層付きカバーフィルムを得た。粘着防止層の厚みは1.2μmであった。続いて、共重合ポリエステル系接着剤を塗工したPETフィルム支持体上に表1記載の感光性樹脂組成物を配置し、その上から粘着防止層付きカバーフィルム重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて100℃でラミネートした。PET支持体、接着層、感光層、粘着防止層、カバーフィルムからなるフレキソ印刷原版を得た。版の総厚は1.7mmであった。
【0070】
(フレキソ印刷原版から印刷版の製造)
まず、フロアー層を形成するために原版のPET指示体側から化学線(光源 Phillips 10R 365nmにおける照度8mW/cm
2)を1分間照射した。続いてカバーフィルムを剥離した。その後ネガティブフィルムを粘着防止層上に減圧下で密着させ化学線(光源 Phillips 10R 365nmにおける照度8mW/cm
2)を6分間照射した。その後、A&V社製現像機(Stuck System)で、40℃で8分間現像を行った。現像液には、食器洗剤Cascade(P&G製)を1%添加した水道水を使用した。現像後、60℃で10分乾燥し、化学線を10分間照射し、最後に表面粘着性を除去するために殺菌灯を5分照射した。印刷版の評価結果を表1に示す。
【0071】
実施例2
粘着防止用組成物としてメチルセルロース(信越化学工業製、SM4、低粘度タイプ)を用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0072】
実施例3
粘着防止用組成物として、メチルセルロースの他に可塑剤(脂肪族多価アルコール系ポリエーテルポリオール、SE270、三洋化成製)を配合した以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0073】
実施例4
粘着防止用組成物としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業製、60SH−15)を用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0074】
実施例5
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0075】
実施例6
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Cを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0076】
実施例7
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Dを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0077】
実施例8
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Eを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0078】
比較例1
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Fを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0079】
比較例2
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Gを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0080】
比較例3
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Hを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0081】
比較例4
感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Iを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0082】
比較例5
粘着防止用組成物として高ケン化度のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA117)を用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0083】
比較例6
粘着防止用組成物として低ケン化度のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA505)を用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0084】
比較例7
粘着防止用組成物として高ケン化度のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA117)を用い、感光性樹脂層に感光性樹脂組成物Bを用いた以外は、実施例1と同様の製造・評価を行った。
【0085】
上述のようにして得られた実施例1〜8、比較例1〜7の印刷原版の詳細と評価結果を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
表1から明らかなように、実施例1〜8に示すように、感光性樹脂層にゲル化度の高いラテックスを使用し且つ粘着防止層にセルロース誘導体を使用すると、印刷版でのドット太りが無く且つ耐溶剤インキ性に優れる版が得られる。実施例3では、粘着防止層に可塑剤を配合しており、粗雑なハンドリングをした場合でも版面に皺は発生しなかった。一方、比較例1〜3に示すように、低ゲル化度もしくは非ゲル化ラテックスを使用した場合では、印刷版でのドット太りは無いものの耐溶剤インキ性が不足している。比較例4に示すように、高ゲル化度のラテックスを配合した場合でも、その配合量が少ない場合、耐溶剤性が劣る。比較例5〜7に示すように、粘着防止層にポリビニルアルコールを使用した場合、印刷版でのドット太りが顕著に発生する。
【0088】
(感光性樹脂組成物A′の調製)
ε−カプロラクタム55.0質量部、N,N−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンアジペート40.0質量部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート7.5質量部および水100質量部を反応器に入れ、充分な窒素置換を行った後に密閉して徐々に加熱した。内圧が10kg/cm
2に達した時点から、反応器内の水を徐々に留出させて、1時間で常圧に戻し、その後1.0時間常圧で反応させ、透明淡黄色の三級窒素原子含有ポリアミドを得た。
【0089】
続いて、得られたポリアミドを50.0質量部、メタノールを50.0質量部、および水10.0質量部を、攪拌付き加熱溶解釜中で60℃、2時間混合してポリマーを完全に溶解し、次いでトリメチロールプロパントリグリシジルエステルのアクリル酸付加物44.0質量部、メタクリル酸3質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン0.02質量部およびベンジルメチルケタール2質量部を添加して30分間攪拌し、溶解した。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させ、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠なアンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミドを含有する感光性樹脂組成物A′を得た。
【0090】
(感光性樹脂組成物B′の調製)
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン77質量部と2−メチルペンタメチレンジアミン22質量部をメタノール550質量部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600質量部とヘキサメチレンジイソシアネート369質量部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー451質量部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応はポリマー固形分濃度50%の条件下に約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを20質量%、ポリエーテルセグメントを47質量%含有し、比粘度が1.71のポリエーテルウレアウレタンを得た。
【0091】
次に得られたポリエーテルウレアウレタン55.0質量部と4級化剤として安息香酸2.1質量部をメタノール200.0質量部および水10部質量に攪拌付き加熱反応釜中65℃で4時間溶解・4級化反応を行った。その後にグリセリンジメタクリレート33.7質量部、エチレングリコールジエポキシアクリレート5質量部、可塑剤としてN−エチルトルエンスルホン酸アミド3.1質量部、ハイドロキノンモノエチルエーテル0.1質量部、ベンジルジメチルケタール1.0質量部を加え、アンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリエーテルウレタンウレアを含む感光性樹脂組成物溶液を得た。この溶液を次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させ、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠なアンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリエーテルウレタンウレアを含む感光性樹脂組成物B′を得た。
【0092】
(実施例1′)
(粘着防止層を設けたカバーフィルムの作成)
メチルセルロース(信越化学工業製、SM15)を水とイソプロピルアルコールの混合溶剤に溶解した後、PETフィルム(厚さ125μm)上に、塗工・乾燥して粘着防止層付きカバーフィルムを得た。粘着防止層の厚みは1.2μmであった。
【0093】
(感光性樹脂積層体の調製)
共重合ポリエステル系接着剤(20μm)を塗工したPETフィルム支持体上に感光性樹脂組成物A′を配置し、その上から粘着防止層を合わせるように上記粘着防止層付きカバーフィルムを重ね合わせ、ヒートプレス機を用いて110℃でラミネートした。本積層体は、レタープレス印刷機で使用できる全厚みが1075μmのシート状感光性樹脂原版として使用することができる。
【0094】
(印刷用レリーフ版の作成)
上述のようにして得られた感光性樹脂積層体のカバーフィルムを剥がし、原図フィルムを載せ、露出した感光性樹脂層に対して露光を行い、自動ブラシ現像機JOW−A2−PD(日本電子精機株式会社製)を用いて25℃の水で現像を行って製版した。現像により感光性樹脂の洗い残りが無い状態となった時点で自動ブラシ現像機から取り出し、水を切って60℃で10分間乾燥させ、印刷用レリーフ版を得た。
【0095】
得られた印刷用レリーフ版について、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製、超深度カラー3D形状測定顕微鏡、VK−9500)を用いて1%網点径を観察した。原図フィルムの1%網点直径20μmに対し、製版後の1%網点直径は何μmで再現されているかを評価した。
【0096】
また、得られた印刷用レリーフ版について、製版工程で感光性樹脂層を硬化させる際、1%網点および30μm細線の再現に要する最短露光時間(分)を測定・記録した。
【0097】
また、得られた印刷用レリーフ版について、製版工程で感光性樹脂積層体からカバーフィルムを取り除き原図フィルムを版表面に載せる際、粘着防止層の表面で粘着性の有無を調べた。評価に使用する版は、予め温度30℃湿度90%の条件下で長期保管したものを使用した。
【0098】
また、得られた印刷用レリーフ版について、製版工程でカバーフィルムを取り除く際に、カバー剥離をスムーズに行うことができるかを調べた。評価に使用する版は、予め温度30℃湿度90%の条件下で長期保管したものを使用した。
【0099】
(実施例2′)
感光性樹脂層に使用する感光性樹脂組成物を表2に記載のように感光性樹脂組成物Bに変更する以外は実施例1′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0100】
(実施例3′)
粘着防止層に用いるメチルセルロースを表2に記載のようにヒドロキシプロピルセルロースに変更する以外は実施例1′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0101】
(実施例4′)
粘着防止層に用いるメチルセルロース溶解液の組成中に、可塑剤として総重量比0.5%のSE270(三洋化成工業製)を添加する以外は実施例1′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0102】
(実施例5′)
粘着防止層に用いるヒドロキシプロピルセルロース溶解液の組成中に、可塑剤として総重量比0.5%のSE270(三洋化成工業製)を添加する以外は実施例3′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0103】
(比較例1′)
粘着防止層に用いるメチルセルロースを表2に記載のように高ケン化度ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、AH−26、ケン化度97モル%以上)に変更する以外は実施例1′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0104】
(比較例2′)
粘着防止層に用いるメチルセルロースを表2に記載のように低ケン化度ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製、KP−08R、ケン化度71〜72.5モル%)に変更する以外は実施例1′と同じ方法により感光性樹脂積層体を作製、評価した。
【0105】
実施例1′〜5′及び比較例1′,2′の感光性樹脂積層体の詳細と評価結果を表2に示す。
【0106】
【表2】
【0107】
表2からわかるように、実施例1′〜5′の感光性樹脂積層体から作成された印刷用レリーフは、製版時に用いる原図フィルムの1%網点直径よりも小さい1%網点直径を再現し、かつ高湿度下のカバー剥離性を満足することができる。一方、ポリビニルアルコールを用いた比較例1′及び2′では、レリーフ網点直径、原図フィルム版面粘着性、及び高湿度下のカバー剥離性のいずれの特性も満足できなかった。