(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バスバーが、前記規制溝の配置位置に基溝を有する銅製または銅合金性の基材の表面にニッケルメッキを施すことにより形成された部材である、請求項1または請求項2に記載のスイッチング基板。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、
図1〜
図15を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態のスイッチング装置1は、メインバッテリと補助バッテリとを備える車両において、メインバッテリおよび補助バッテリからの電装品への電力供給の切り替えを行うものである。
【0020】
スイッチング装置1は、
図2に示すように、スイッチング基板10と、上部ケース90と、下部ケース96と、スタッドボルト110A、110Bとを備えている。
【0021】
スイッチング基板10は、回路構成体11と、この回路構成体11に搭載される6つの半導体スイッチング素子60A、60Bとを備える。
【0022】
回路構成体11は、制御回路基板20と、絶縁シート70と、3枚のバスバー30、40、50と、補助板80とを備えている。
【0023】
制御回路基板20は、ガラス基材またはガラス不織布基材からなる絶縁板の一面に、導電性材料からなる制御回路を備えるプリント基板である(
図7参照)。制御回路の一部は、半導体スイッチング素子60A、60B(スイッチング素子に該当)との接続のためのランド21となっている。
【0024】
図10に示すように、制御回路基板20は、半導体スイッチング素子60A、60Bの搭載のための6つの実装窓22、23を有している。実装窓22、23は、制御回路基板20において制御回路が配されている面から、その逆側の面まで貫通する開口部である。
【0025】
6つの実装窓22、23のうち3つの実装窓は、第1実装窓22であって、1列に並んで配置されている。6つの実装窓22、23のうち残り3つの実装窓は、第2実装窓23であって、1列に並んで配置されている。第1実装窓22は、
図11に示すように、孔縁の形状が矩形の大孔部22Lと、この大孔部22Lの一辺に連なり、孔縁の形状が大孔部22Lよりも一回り小さな矩形の小孔部22Sとを有する。第2実装窓23は、第1実装窓22と同様の形状であって、大孔部23Lと小孔部23Sとを備える。
【0026】
制御回路基板20は、複数の第1ねじ挿通孔24と、複数の第2ねじ挿通孔25とを有している。複数の第1ねじ挿通孔24および第2ねじ挿通孔25のそれぞれは、制御回路基板20の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0027】
絶縁シート70は、樹脂等の絶縁性材料からなる矩形の薄いシートである。絶縁シート70は、
図2および
図6に示すように、制御回路基板20の他面(制御回路が形成されている面とは逆側の面)に重ねられている。
【0028】
図9に示すように、絶縁シート70は、矩形のシートであって、6つの挿通窓71、72を備えている。各挿通窓71、72は、絶縁シート70において制御回路基板20が配されている面から、その逆側の面まで貫通する開口部である。
【0029】
各第1挿通窓71は、孔縁の形状が第1実装窓22の孔縁の形状と同じである。つまり、各第1挿通窓71は、
図10および
図11に示すように、孔縁の形状が矩形の大孔部71Lと、大孔部71Lの一辺に連なり、孔縁の形状が大孔部71Lよりも一回り小さな矩形の小孔部71Sとを有する。3つの第1挿通窓71のそれぞれは、3つの第1実装窓22のそれぞれと重なって配置されている。同様に、各第2挿通窓72は、孔縁の形状が第2実装窓23の孔縁の形状と同じであり、大孔部72Lと小孔部72Sとを備える。3つの第2挿通窓72のそれぞれは、3つの第2実装窓23のそれぞれと重なって配置されている。
【0030】
絶縁シート70は、複数の第1ねじ挿通孔73と、複数の第2ねじ挿通孔74とを有している。複数の第1ねじ挿通孔73のそれぞれは、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。各第1ねじ挿通孔73は、絶縁シート70の一面から他面まで貫通する貫通孔である。複数の第2ねじ挿通孔74のそれぞれは、制御回路基板20の第2ねじ挿通孔25と重なって配置されている。各第2ねじ挿通孔74は、絶縁シート70の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0031】
3枚のバスバー30、40、50は、
図2および
図6に示すように、絶縁シート70の制御回路基板20が配置されている面とは逆側の面に並んで配置されている。3枚のバスバー30、40、50のうち1枚は入力バスバー30であり、他の1枚は出力バスバー40である。
【0032】
図7に示すように、入力バスバー30は、導電性材料により形成された矩形の厚板である。入力バスバー30は、ボルト挿通孔31を備えている。ボルト挿通孔31は、入力バスバー30の一方の板面から他方の板面まで貫通する貫通孔である。
【0033】
出力バスバー40は、
図7に示すように、導電性材料により形成された矩形の厚板である。出力バスバー40は、ボルト挿通孔41を備えている。ボルト挿通孔41は、入力バスバー30の一方の板面から他方の板面まで貫通する貫通孔である。
【0034】
入力バスバー30と出力バスバー40とは、互いに間隔を空けて、平行に配置されている。入力バスバー30および出力バスバー40は、
図10に示すように、一部が制御回路基板20と重なっており、ボルト挿通孔31、41が配置された部分は絶縁シート70および制御回路基板20から外れて配置されている。
【0035】
3枚のバスバー30、40、50のうち残りの1枚は、接続バスバー50である。接続バスバー50は、
図7に示すように、導電性材料により形成されたT字形の厚板である。接続バスバー50は、接続部51と、補強部52とを備えている。
【0036】
接続部51は、T字の縦板部分をなす、細長い長方形の板である。接続部51は、入力バスバー30と出力バスバー40との間に、入力バスバー30および出力バスバー40に対して隙間を空けて配置されている。接続部51は、入力バスバー30および出力バスバー40と平行に配置されている。
【0037】
補強部52は、T字の横板部分をなす、細長い長方形の板であって、接続部51の一端に、接続部51と垂直に配置されている。補強部52は、入力バスバー30および出力バスバー40に対して隙間を空けて配置されている。補強部52は、入力バスバー30、接続部51、および出力バスバー40の並び方向に沿って延びている。
【0038】
図6、
図8、および
図10に示すように、複数の第1実装窓22および第1挿通窓71のそれぞれは、それぞれ、入力バスバー30と接続部51とにまたがる位置に配され、大孔部22L、71Lが入力バスバー30に重なり、小孔部22S、71Sが接続部51に重なって配置されている。大孔部22L、71Lにおいて小孔部22S、71Sが連なる一辺は、入力バスバー30と接続部51との隙間に沿って配置されている。大孔部22L、71Lの内部に入力バスバー30の一部が、小孔部22S、71Sの内部に接続部51の一部が露出している。
【0039】
複数の第2実装窓23および第2挿通窓72のそれぞれは、出力バスバー40と接続部51とにまたがる位置に配され、大孔部23L、72Lが出力バスバー40に重なり、小孔部23S、72Sが接続部51に重なって配置されている。大孔部23L、72Lにおいて小孔部23S、72Sが連なる一辺は、入力バスバー30と接続部51との隙間に沿って配置されている。大孔部23L、72Lの内部に出力バスバー40の一部が、小孔部23S、72Sの内部に接続部51の一部が露出している。
【0040】
入力バスバー30は、
図7に示すように、複数のはんだ付着領域32と複数の第1規制溝33(規制溝に該当)とを有している。はんだ付着領域32は、半導体スイッチング素子60A、60Bの接続のためのはんだSが載せられる領域である。第1規制溝33は、はんだSが溶融してはんだ付着領域32の外側に拡散することを規制するための溝である。各はんだ付着領域32および各第1規制溝33のそれぞれは、入力バスバー30において各大孔部22Lの内側に露出する領域に配置されている。
【0041】
第1規制溝33は、大孔部22Lの孔縁のうち小孔部22Sが連なる一辺を除く3辺に沿って延びる溝である。はんだ付着領域32は、入力バスバー30において、入力バスバー30と接続部51との隙間と、第1規制溝33とで囲まれた領域である。
【0042】
同様に、出力バスバー40は、複数のはんだ付着領域42と複数の第2規制溝43(規制溝に該当)とを有している。各はんだ付着領域42および各第2規制溝43のそれぞれは、出力バスバー40において各大孔部23Lの内側に露出する領域に配置されている。第2規制溝43は、大孔部23Lの孔縁のうち小孔部23Sが連なる一辺を除く3辺に沿って延びる溝である。はんだ付着領域42は、出力バスバー40において、出力バスバー40と接続部51との隙間と、第1規制溝33とで囲まれた領域である。
【0043】
同様に、接続部51は、複数のはんだ付着領域53と、複数の第3規制溝54(規制溝に該当)とを有している。各はんだ付着領域53および各第3規制溝54のそれぞれは、接続バスバー50において各小孔部22S、23Sの内側に露出する領域に配置されている。小孔部22Sの内側に配置される第3規制溝54は、小孔部22Sの孔縁(大孔部22Lと連なる一辺を除く3辺)に沿って延びる溝である。小孔部22Sの内側に配置されるはんだ付着領域53は、接続部51において、入力バスバー30と接続部51との隙間と、第3規制溝54とで囲まれた領域である。小孔部23Sの内側に配置される第3規制溝54は、小孔部23Sの孔縁(大孔部23Lと連なる一辺を除く3辺)に沿って延びる溝である。小孔部23Sの内側に配置されるはんだ付着領域53は、接続部51において、出力バスバー40と接続部51との隙間と、第3規制溝54とで囲まれた領域である。
【0044】
図12に示す例のように、入力バスバー30Aが、銅製の基材36Aと、この基材36Aの表面に配置されたニッケルメッキ層37Aとを有するものであり、入力バスバー30Aの第1規制溝33Aが配置された面(ニッケルメッキ層37Aの表面)から第1規制溝33Aの底面38Aまでの距離で定義される溝の深さD
Aが、ニッケルメッキ層37Aの厚さよりも小さくなっていてもよい。このような形状の第1規制溝33Aは、エッチングによってニッケルメッキ層37Aの一部を削ることにより形成できるため、大きな製造設備が不要であり、製造コストを削減できるという利点を有する。
【0045】
あるいは、
図13に示す例のように、入力バスバー30Bが、銅製の基材36Bと、この基材36Bの表面に配置されたニッケルメッキ層37Bとを有するものであり、入力バスバー30Bの第1規制溝33Bが配置された面(ニッケルメッキ層37Bの表面)から第1規制溝33Bの底面38Bまでの距離で定義される溝の深さD
Bが、ニッケルメッキ層37Bの厚さと等しくなっていてもよい。このような形状の第1規制溝33Bは、例えば、エッチングによって、ニッケルメッキ層37Bを基材36Bの表面に至るまで削ることによって形成することができる。第1規制溝33Bは、その底面38B(内面に該当)に、基材36Bが露出している。
【0046】
あるいは、
図14に示す例のように、入力バスバー30Cが、銅製の基材36Cと、この基材36Cの表面に配置されたニッケルメッキ層37Cとを有するものであり、入力バスバー30Cの第1規制溝33Cが配置された面(ニッケルメッキ層37Cの表面)から第1規制溝33Cの底面38Cまでの距離で定義される溝の深さD
Cが、ニッケルメッキ層37Cの厚さよりも大きくなっていてもよい。このような形状の第1規制溝33Cは、例えば、機械加工により、バスバー30Cを、ニッケルメッキ層37Cの表面から基材37Cにおいてニッケルメッキ層36Cとの境界面よりもやや深い位置まで削ることにより形成することができる。第1規制溝33Cは、その底面38C(内面に該当)に、基材36Cが露出している。
【0047】
図13、
図14に示す形状の第1規制溝33B、33Cは、その底面38B、38Cに基材36B、36Cが露出している。つまり、第1規制溝33B、33Cは、ニッケルよりもはんだSとの親和性が高い銅が溝の内側に露出しているので、はんだSの流れ出しを効果的に規制できるという利点を有する。
【0048】
あるいは、
図15で示す例のように、入力バスバー30Dが、銅製の基材36Dと、この基材36Dの表面に配置されたニッケルメッキ層37Dとを有するものであり、第1規制溝33Dが、基材36Dに設けられた基溝39の内面にニッケルメッキ層37Dが配置された溝であってもよい。このような溝を有する入力バスバー30Dは、基溝39を有する基材36Dの表面にニッケルメッキを施すことにより形成することができる。このような製法は、後めっきと呼ばれ、ニッケルメッキが施された銅板を削って溝を形成する製法よりもコストを低減できる場合がある。
【0049】
第2規制溝43および第3規制溝54についても、同様である。
【0050】
入力バスバー30は、
図7に示すように、複数の第1ねじ挿通孔34と、複数の第2ねじ挿通孔35とを有している。複数の第1ねじ挿通孔34のそれぞれは、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。各第1ねじ挿通孔34は、入力バスバー30の一面から他面まで貫通する貫通孔である。複数の第2ねじ挿通孔35のうち一部は、それぞれ、制御回路基板20の第2ねじ挿通孔25と重なって配置されており、他の第2ねじ挿通孔35は、制御回路基板20から外れた位置に配置されている。各第第2ねじ挿通孔35は、入力バスバー30の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0051】
出力バスバー40は、複数の第1ねじ挿通孔44と、複数の第2ねじ挿通孔45とを有している。複数の第1ねじ挿通孔44のそれぞれは、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。各第1ねじ挿通孔44は、出力バスバー40の一面から他面まで貫通する貫通孔である。複数の第2ねじ挿通孔45のうち一部は、それぞれ、制御回路基板20の第2ねじ挿通孔25と重なって配置されており、他の第2ねじ挿通孔45は、制御回路基板20から外れた位置に配置されている。各第2ねじ挿通孔45は、出力バスバー40の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0052】
接続バスバー50は、複数の第1ねじ挿通孔55を有している。複数の第1ねじ挿通孔55のそれぞれは、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。各第1ねじ挿通孔55は、入力バスバー30の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0053】
補助板80は樹脂等の絶縁性材料からなる矩形の板である。補助板80は、
図2および
図6に示すように、バスバー30、40、50の絶縁シート70が配置されている面とは逆側の面に配置されている。
【0054】
補助板80は、複数の第1ねじ孔81と、複数の第2ねじ挿通孔82を有している。複数の第1ねじ孔81のそれぞれは、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。各第1ねじ孔81は、内周面にねじが切られた有底の孔である。複数の第2ねじ挿通孔82は、制御回路基板20の第2ねじ挿通孔25と重なって配置されている。各第2ねじ挿通孔82は、補助板80の一面から他面まで貫通する貫通孔である。
【0055】
半導体スイッチング素子60A、60Bは、パワーMOSFETであって、ハウジング61と、このハウジング61に設けられたドレイン端子62(端子に該当)、ソース端子63(端子に該当)およびゲート端子64を備えている。ドレイン端子62は、
図6に示すように、ハウジング61の下面に配置されている。また、ソース端子63およびゲート端子64は、
図4に示すように、ハウジング61の側面から突出している。
【0056】
図3に示すように、6つの半導体スイッチング素子60A、60Bのうち3つは、第1半導体スイッチング素子60Aである。6つの半導体スイッチング素子60A、60Bのうち残り3つは、第2半導体スイッチング素子60Bである。
【0057】
3つの第1半導体スイッチング素子60Aは、それぞれ、第1実装窓22および第1挿通窓71の内側に配置されている。そして、入力バスバー30のはんだ付着領域32にドレイン端子62が、接続部51のはんだ付着領域53にソース端子63がそれぞれ接続されている。ゲート端子64は、ランド21に接続されている。
【0058】
同様に、3つの第2半導体スイッチング素子60Bは、それぞれ、第2実装窓23および第2挿通窓72の内側に配置されている。そして、出力バスバー40のはんだ付着領域42にドレイン端子62が、接続部51のはんだ付着領域53にソース端子63がそれぞれ接続され、ランド21にゲート端子64が接続されている。接続は、はんだ付けにより行われる。
【0059】
このように配置されることによって、並列に接続された3つの半導体スイッチング素子60A、60Bが1組とされ、2組の半導体スイッチング素子60A、60Bが直列に接続される。2組の半導体スイッチング素子60A、60Bは、互いに背中合わせ(back to back)に配置されている。
【0060】
スタッドボルト110Aは、
図1および
図2に示すように、入力バスバー30に、メインバッテリにつながるワイヤーハーネス100Aの一端に接続された締結端子101Aを固定するための部材である。
スタッドボルト110Bは、出力バスバー40に、補助バッテリにつながるワイヤーハーネス100Bの一端に接続された締結端子101Bを固定するための部材である。
【0061】
スタッドボルト110Aは、金属丸棒の外周面にねじを切った軸部112Aと、軸部112Aの一端に配置された角柱形の頭部111Aとを有している。同様に、スタッドボルト110Bは、軸部112Bと頭部111Bとを備えている。
【0062】
上部ケース90は、合成樹脂製であって、スイッチング基板10の補助板80が配置された面を覆うケースである。上部ケース90は、
図2に示すように、スイッチング基板10の外形よりも一回り大きい外形を有するトレイ状のケースであって、スイッチング基板10と平行に配置される矩形の天板91と、この天板91の周縁からスイッチング基板10に向かって延びる側板92とを備えている。
【0063】
上部ケース90は、補助板80を内部に収容する収容凹部93と、複数のねじ孔94と、2つの締結窓95A、96Bとを備えている。
【0064】
収容凹部93は、上部ケース90のスイッチング基板10と対向する面から、スイッチング基板10と離間する方向に凹む凹部であって、その外形は補助板80の外形よりもわずかに大きな矩形である。
【0065】
複数のねじ孔94のうち一部は、制御回路基板20の第1ねじ挿通孔24と重なって配置されている。複数のねじ孔94のうち他の一部は、入力バスバー30の第2ねじ挿通孔35、または出力バスバー40の第2ねじ挿通孔45と重なって配置されている。
【0066】
2つの締結窓95A、96Bのうち一方の締結窓95Aは、ボルト挿通孔31が配置される位置およびその周囲に配置されている。同様に、他方の締結窓95Bは、ボルト挿通孔31が配置される位置およびその周囲に配置されている。各締結窓95A、95Bは、天板91の一方の面から他方の面まで貫通する開口部である。
【0067】
下部ケース96は、合成樹脂製であって、スイッチング基板10の制御回路基板20が配置された面を覆うケースである。下部ケース96は、
図2に示すように、上部ケース90とほぼ同じ外形を有する厚板であって、スイッチング基板10と平行に配置される。
【0068】
上記のように構成されたスイッチング装置1を組み立てる手順を、以下に説明する。
【0069】
まず、スイッチング基板10を組み立てる。
まず、回路構成体11を組み立てる。制御回路基板20と、絶縁シート70と、3枚のバスバー30、40、50と、補助板80とをこの順に重ねる。そして、第1ねじ挿通孔24、34、46、73に第1ねじ120(ねじに該当)を挿通して第1ねじ孔81にねじ付けることにより、制御回路基板20と、絶縁シート70と、3枚のバスバー30、40、50と、補助板80とを互いに固定する。
【0070】
次に、回路構成体11に半導体スイッチング素子60A、60Bを実装する。
複数のはんだ付着領域32、42、53および複数のランド21のそれぞれに、例えばスクリーン印刷によりはんだSを塗布する。次に、複数の半導体スイッチング素子60Aのそれぞれを、位置合わせして第1実装窓22および第1挿通窓71の内側に配置する。つまり、半導体スイッチング素子60Aを、大孔部22L内のはんだ付着領域32上にドレイン端子62が、小孔部22S内のはんだ付着領域53上にソース端子63が、制御回路基板20のランド21上にゲート端子64が配置されるように位置合わせして、回路構成体11上に載置する。同様に、複数の半導体スイッチング素子60Bのそれぞれを、位置合わせして第2実装窓23および第2挿通窓72の内側に配置する。
【0071】
次に、図示しないリフロー炉内に回路構成体11を設置し、はんだ溶融温度まで加熱を行い、その後冷却を行なうことにより、各端子62、63、64をはんだ付けする。
【0072】
次に、スイッチング基板10に上部ケース90および下部ケース96を組み付ける。
【0073】
まず、スイッチング基板10に上部ケース90を重ねる。そして、第2ねじ挿通孔25、35、47、57、74、82に第2ねじ121を挿通してねじ孔94にねじ止めすることにより、スイッチング基板10を上部ケース90に固定する。スイッチング基板10は、入力バスバー30においてボルト挿通孔31が配置された部分の周辺部分が締結窓95Aの内側に露出し、出力バスバー40においてボルト挿通孔41が配置された部分の周辺部分が締結窓95Bの内側に露出した状態で配置される。
【0074】
次に、スタッドボルト110Aの軸部112Aをボルト挿通孔31に、スタッドボルト110Bの軸部112Bをボルト挿通孔41に、それぞれ挿通する。軸部112Aは締結窓95Aの内側に、軸部112Bは締結窓95Bの内側に、それぞれ配置される。
【0075】
次に、下部ケース96をスイッチング基板10に重ね、上部ケース90に組み付ける。
【0076】
入力バスバー30には、メインバッテリにつながるワイヤーハーネス100Aと接続された締結端子101Aが、スタッドボルト110Aと、このスタッドボルト110Aの先端に締め付けられたナット113Aとによって固定される。また、出力バスバー40には、補助バッテリにつながるワイヤーハーネス100Bと接続された締結端子101Bが、スタッドボルト110Bと、このスタッドボルト110Bの先端に締め付けられたナット113Bとによって固定される。
【0077】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、複数のはんだ付着領域32、42、53のそれぞれの周囲に、第1規制溝33、第2規制溝43、または第3規制溝54が配置されることによって、はんだ付着領域32、42、53とそれよりも外側の領域とが分断されている。これにより、リフローはんだ付けの際に、融けたはんだSがはんだ付着領域32、42、53から外側に濡れ広がり、バスバー30、40、50と絶縁シート70との隙間、あるいは絶縁シート70と制御回路基板20との隙間に拡散することが規制される。
【0078】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、入力バスバー30が、銅製の基材36と、この基材36の表面に配置されたニッケルメッキ層37を有していたが、基材が銅合金性であってもよい。あるいは、バスバーが、メッキされていない銅板または銅合金板であってもよい。
【0079】
(2)上記実施形態では、第1規制溝33が、大孔部22Lの孔縁のうち小孔部22Sが連なる一辺を除く3辺に沿って延びる溝であったが、規制溝は、はんだ付着領域を全周にわたって囲んで配置されていてもよく、はんだ付着領域の外縁のうち一部にのみ配置されていても構わない。