(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ詳説する。なお、理解を容易にするために、操縦席に搭乗した操縦者から見て、前方を前側、後方を後側、右手側を右側、左手側を左側として便宜的に方向を示して説明しているが、これらにより構成が限定されるものではない。
【0016】
図1,2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下方には、左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の上部左側には、脱穀・選別を行う脱穀装置3が設けられ、脱穀装置3の前側には、圃場の穀桿を収穫する刈取装置4が設けられている。脱穀装置3で脱穀・選別された穀粒は、脱穀装置3の右側に設けられたグレンタンク5に貯留され、貯留された穀粒は、排出筒7によって外部に排出される。
【0017】
機体フレーム1の上部右側には、操作者が搭乗する操作部を備えた操縦席6が設けられ、操縦席6の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム8が設けられている。また、エンジンルーム8の右側には、エンジンルーム8の保守・点検用のカバー8Aが装着されており、カバー8Aの上下方向における中間部と下部には、目抜き鉄板等から形成された濾過体8Bが取付けられている。
【0018】
図3〜5に示すように、エンジンルーム8の内側には、エンジンEが設けられている。このエンジンEの排気ヘッドに接続された排気管には、排気温度を検出する排気温度センサGPが設けられている。また、
図11〜14に示すように、エンジンEの上部左側には、エンジンEから排出された排気ガス中の未燃燃料を酸化するDOC等の酸化触媒装置11が設けられている。これにより、酸化触媒装置11により加熱された内気を効率的に脱穀装置3に向かって送風し、脱穀装置3内の脱穀穀粒の乾燥を促進させることができる。なお、酸化触媒装置11は、エンジンEの上部左側に設けられたステー11Bに、前後2本の支持部材11Aにより着脱自在に取付けられている。また、上記の排気温度センサGPを酸化触媒装置11に取り付け、この酸化触媒装置11の内部の温度を検出する構成としてもよい。また、上記の酸化触媒装置11の排気ガス流動方向に、粒子状物質を濾過するフィルターを備えたDPF(Diesel Particulate Filter)を備えた構成としてもよく、上記の排気温度センサGPによって、このDPFの内部の温度を検出する構成としてもよい。
【0019】
エンジンEの右側には、所定の間隔を隔ててエンジンEに供給される冷却水を冷却するラジエータ50が設けられ、エンジンEとラジエータ50を接続するゴム製のラジエータホース50Aは、エンジンルーム8における酸化触媒装置11と同一高さに設けられている。これにより、エンジンEとラジエータ50の間の空間にラジエータホース50Aを設ける必要がなく、エンジンEとラジエータ50の間に大きな空間を確保することができる。尚、このラジエータ50には、冷却水の温度を検出する水温センサ50Tが備えられている。
【0020】
エンジンEとラジエータ50の間には、エンジンルーム8の外部から内部に向かって外気を吸入するラジエータファン(冷却ファン)20と、ラジエータファン20の左側に、エンジンルーム8の内部から外部に向かって内気を排気して濾過体8B上に付着した粉塵を除去する排塵ファン30が設けられている。
【0021】
ラジエータファン20の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、外気をエンジンルーム8の内側に吸入して、ラジエータ50等の表面に送風することにより、ラジエータ50の冷却効率を高めることができる。また、排塵ファン30の回転時には、カバー8Aの濾過体8Bを介して、内気を外部に排気して、内気を濾過体8Bに送風することにより、濾過体8Bに付着した粉塵を除去することができ、ラジエータファン20による外気の吸入効率を一定に維持することができる。なお、便宜上、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転時を駆動状態といい、ラジエータファン20、排塵ファン30の回転の停止時を停止状態という。
【0022】
ラジエータファン20は、回転軸24に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率を高めるために、本実施形態では羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の吸入能力が得られる範囲で任意の枚数に変更することができる。
【0023】
同様に、排塵ファン30は、筒状回転軸34に取付けられる中心部と、中心部から径方向に向かって延出する羽根から形成されている。ラジエータファン20による外気の吸入効率の低下を防止するために、排塵ファン30の羽根の外径は、ラジエータファン20の羽根の外径よりも小さく形成されている。また、ラジエータファン20と、排塵ファン30の伝動構成を簡易にし、エンジンルーム8内の空間を有効に活用するために、排塵ファン30の羽根の翼角度は、ラジエータファン20の羽根の翼角度とは逆の翼角度を持って中心部に立設されている。これにより、排塵ファン30が取付けられた筒状回転軸34に伝動された回転方向と、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24に伝動された回転方向が同一回転方向であっても、ラジエータファン20においては、外気を吸入してエンジンルーム8の内側に送風でき、排塵ファン30においては、内気をエンジンルーム8の外側に排気することができる。なお、排塵ファン30の羽根は、中心部の円周方向に所定の間隔を隔てて8枚設けているが、所望の送風能力が得られる範囲で任意の枚数に設定することができる。
【0024】
ラジエータ50とカバー8Aの間には、刈取装置4を昇降する油圧シリンダに供給されるオイルを冷却するオイルクーラ51と、エンジンEに供給される燃焼用の混合気体を冷却するインタークーラ52が設けられている。
【0025】
オイルクーラ51の前部は、蝶版53を介してプレート1Fの前部に取付けられ、オイルクーラ51と油圧シリンダを接続するゴム製のホース54は、プレート1Gに形成された開口部55内に挿通している。これにより、ラジエータ50の保守・点検作業時には、オイルクーラ51を蝶版53により回動し、ラジエータ50の右面を開放してラジエータ50の保守・点検を容易に行なうことができる。
【0026】
インタークーラ52の上下部は、それぞれ支持部材56を介してプレート1Fに取付けられ、インタークーラ52とエンジンEを接続するプレート1Fの右側に位置する金属製の配管57Aは、プレート1Gに形成された開口部58の外周部に固着されている。
【0027】
また、インタークーラ52とエンジンEを接続するプレート1Fの左側に位置する金属製の配管57Bは、エンジンルーム8における酸化触媒装置11と同一高さに設けられている。これにより、エンジンEとラジエータ50の間の空間に配管57Bを設ける必要がなく、エンジンEとラジエータ50の間に大きな空間を確保することができる。
【0028】
プレート1Fは、操縦席6を支持するフレーム1A〜1Dの右前側フレーム1Aと右後側フレーム1Bに支持部材59Aを介して取付けられている。同様に、プレート1Gは、右前側フレーム1Aと右後側フレーム1Bに支持部材59Bを介して取付けられている。
【0029】
図10に示すように、エンジンEの回転動力は、エンジンEから右側に向かって延出するクランクシャフト60に伝動され、クランクシャフト60に伝動された回転動力は、プーリ61、ベルト62、プーリ63を介して、プーリ63を支持する後部伝動軸110に伝動される。
【0030】
なお、クランクシャフト60に替えてエンジンEのクランクシャフト60の上側に位置するウオータポンプシャフト60Aや、クランクシャフト60の左上側に位置するオルタネータシャフト60Dや、エンジンEから左側に向かって延出するフライホイールシャフト60Bに伝動された回転動力をプーリ、ベルト等を介して後部伝動軸110に伝動させることもできる。また、クランクシャフト60と、ウオータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに軸支されたプーリには、ベルト60Eが巻回されており、クランクシャフト60の回転動力は、ベルト60Eを介して、ウオータポンプシャフト60Aと、オルタネータシャフト60Dに伝動される。
【0031】
後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ121、ベルト(請求項の「第1ベルト」)122、プーリ(請求項の「第3プーリ」)23を介して、プーリ23を支持する回転軸24に伝動され、回転軸24の右側端部に支持されたラジエータファン20を回転させる。
【0032】
同様に、後部伝動軸110に伝動された回転動力は、プーリ131、ベルト(請求項の「第2ベルト」)132、プーリ(請求項の「第4プーリ」)33を介して、プーリ33を支持する筒状回転軸34に伝動され、筒状回転軸34の右側端部に支持された排塵ファン30を回転させる。なお、回転軸24は、ベアリングを介して支持部25の内側に内嵌されており、筒状回転軸34は、ベアリングを介して支持部25の外側に外嵌されている。
【0033】
プーリ(請求項の「第1プーリ」)121とプーリ23に巻回されたベルト122には、テンションローラ26が備えられており、テンションローラ26によりベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。即ち、このベルト122とテンションローラ26とによって、動力伝達の接続と遮断を行うラジエータファン20用の冷却クラッチC1が構成される。また、ベルト132とテンションローラ36とによって、動力伝達の接続と遮断を行う排塵ファン30用の排塵クラッチC2が構成される。
【0034】
同様に、プーリ(請求項の「第2プーリ」)131とプーリ33に巻回されたベルト132には、テンションローラ36が備えられており、テンションローラ36によりベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0035】
ラジエータファン20に回転動力を伝動するベルト122は、排塵ファン30に回転動力を伝動するベルト132よりもエンジンE側に設けられている。これにより、駆動時間が長いためにベルト132よりも早く劣化するベルト122の保守・点検作業を容易に行なうことができる。
【0036】
また、後部伝動軸110に伝動された回転動力は、一対の対向するベベルギヤを備えた伝動ギヤボックス70を介して、伝動ギヤボックス70から後側に向かって延出する軸71に伝動される。
【0037】
軸71に伝動された回転動力は、プーリ72、ベルト73、プーリ74を介して、プーリ74を支持する排出螺旋軸75に伝動される。排出螺旋軸75は、グレンタンク5の下部に前後方向に延在して設けられており、グレンタンク5に貯留された穀粒を排出筒7へ移送すると共に、排出筒7に内装された螺旋軸を駆動する。なお、プーリ72とベルト73に巻回されたベルト73には、テンションローラ(図示省略)が備えられており、テンションローラによりベルト73の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行う。
【0038】
本明細書において、中間伝動部150とは、プーリ61、ベルト62、プーリ63、後部伝動軸110、プーリ121、プーリ131、伝動ギヤボックス70、軸71、及びプーリ72から構成される部位をいい、ファン伝動部160とは、ベルト122、テンションローラ26、プーリ23、回転軸24、ラジエータファン20、ベルト132、テンションローラ36、プーリ33、筒状回転軸34、及び排塵ファン30から構成される部位をいい、排出伝動部170とは、ベルト73、プーリ74、及び排出螺旋軸75から構成される部位をいう。
【0039】
図3〜5に示すように、中間伝動部150は、エンジンルーム8の後部に設けられている。中間伝動部150のプーリ63、後部伝動軸110、プーリ121、プーリ131、伝動ギヤボックス70、軸71、及びプーリ72は、側面視において右後側フレーム1Bと左後側フレーム1Dよりも後側で、且つ、グレンタンク5の前壁5Aよりも前側の空間Sに設けられている。
【0040】
ファン伝動部160のベルト122、テンションローラ26、プーリ23、ベルト132、テンションローラ36、及びプーリ33は、エンジンEよりも右側で、且つ、ラジエータファン20の左側に並設された排塵ファン30よりも左側の間隔部Bに設けられている。すなわち、ファン伝動部160は、エンジンルーム8の後側に設けられた中間伝動部150から、間隔部Bに入り込んで設けられている。
【0041】
これにより、間隔部Bに設けられる部品を少なくし、エンジンEとラジエータファン20を接近して設けることができ、ラジエータファン20によって吸入された外気によりエンジンEを効率良く冷却させることができる。
【0042】
また、エンジンEのクランクシャフト60と中間伝動部150のプーリ63を接近して設けることができ、ベルト62に起因する回転動力の伝動ロスを少なくすることができる。
【0043】
さらに、中間伝動部150の保守・点検作業も容易に行なうことができ、中間伝動部150を小型・軽量に製作することが可能となる。
次に、ラジエータファン20と排塵ファン30の駆動状態を切換える駆動状態切換手段45について説明する。
【0044】
図6等に示すように、駆動状態切換手段45は、エンジンルーム8の左後側に位置する左後側フレーム1Dの後側に設けられている。より詳細には、駆動状態切換手段45は、左後側フレーム1Dから後側に向かって延出するエンジンEやラジエータ50を循環する冷却水の一部を一時的に貯留するリザーバタンク92を支持するするステー90の上部にボルト等の締結手段によって着脱自在に連結されたブラケット91に取付けられている。これにより、駆動状態切換手段45の保守・点検作業を容易に行うことができ、また、駆動状態切換手段45がラジエータファン20や排塵ファン30の送風を妨げることを防止できる。
【0045】
ブラケット91は、ステー90にリザーバタンク92を支持する締結手段を利用して共締めすることによりステー90に連結され、駆動状態切換手段45は、リザーバタンク92と反対側のブラケット91の左側面に取付けられている。これにより、部品点数を削減し、リザーバタンク92の破損時にリザーバタンク92から飛び散った冷却水により駆動状態切換手段45が故障することを防止できる。
【0046】
モータMと減速機を備えた駆動状態切換手段45の出力軸45Dには、略長方形状のプレート45Eが支持されている。
図6に示すように、プレート45Eには、出力軸45Dから前後に所定間隔を隔てて2本のピン45Cが立設されている。2本のピン45Cにはそれぞれ連繋手段80のアウターケーブル80Aに内装されたインナーケーブル80Bの後端部が接続される。なお、出力軸45Dは、駆動状態切換手段45から右側に向かって延出し、プレート45E、インナーケーブル80B等は、リザーバタンク92の上側に設けられている。これにより、リザーバタンク92の上側の空間を有効活用することができる。
【0047】
次に、連繋手段80とベルト122,132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26,36の接続について説明する。
図7,8に示すように、一側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、連繋手段80とステー81が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0048】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ23とプーリ121に巻回されたベルト122の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ26のベルトストッパ26Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。これにより、過度の負荷が駆動状態切換手段45に加わる回数を減少させ、駆動状態切換手段45の耐久性を向上させることができる。
【0049】
なお、ベルトストッパ26Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト122に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム26Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0050】
テンションローラ26は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム26Bと、テンションアーム26Bの先端部に回転自在に支持されたローラ26Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ26Cを備えて構成されている。なお、支軸86は、ラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。これにより、支軸86が、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。
【0051】
また、テンションローラ26のテンションアーム26Bとステー81の下部は、テンションローラ26をベルト122に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
同様に、
図7,8に示すように、他側の連繋手段80のアウターケーブル80Aの前端部は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側上部に設けられたステー81に支持され、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24と排塵ファン30の外周よりも外側に設けられている。
【0052】
連繋手段80のインナーケーブル80Bの前端部は、プーリ33とプーリ131に巻回されたベルト132の張力を変化させ回転動力の伝動の接続と遮断を行うテンションローラ36のベルトストッパ36Cにスプリング等の弾性部材82を介して接続されている。なお、ステー81は、回転軸24の軸心方向視においてラジエータファン24の外周よりも外側に設けられている。なお、ベルトストッパ36Cは、回転軸24の軸心方向視において略く字形状に形成され、ベルト132に接触する先端側のベルト接触部と、テンションアーム36Bに固着される接続部とを備えている。また、接続部の中間部には、弾性部材82を介してインナーケーブル80Bの前端部が接続されている。
【0053】
テンションローラ36は、後述するブラケット140の後アーム部142の後側下部に左右方向に設けられた支軸86に回転自在に取付けられたテンションアーム36Bと、テンションアーム36Bの先端部に回転自在に支持されたローラ36Aと、テンションアーム26Bの基部に固着されたベルトストッパ36Cを備えて構成されている。
【0054】
また、テンションローラ36のテンションアーム36Bとステー81の下部は、テンションローラ36をベルト132に向かって付勢するスプリング85で接続されている。
図8は、ラジエータファン20が駆動状態であり、排塵ファン30が停止状態であるテンションローラ26,36の状態が図示されている。
【0055】
図8に示すように、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを引込みテンションローラ26のベルトストッパ26Cが時計方向に回転した場合には、テンションローラ26のローラ26Aは、ベルト122を押圧し、テンションローラ26のベルトストッパ26Cは、ベルト122から離間して非制動状態となり、プーリ121に伝動されたエンジンEの回転動力をプーリ23に伝動する。即ち、このベルト122とテンションローラ26によって冷却クラッチC1が構成され、ベルト122に対するテンションローラ26の押圧によって冷却クラッチC1が接続され、エンジンEからの駆動力がラジエータファン(冷却ファン)20へ伝達される。
【0056】
一方、駆動状態切換手段45によりプレート45Eを回転させて、連繋手段80のインナーケーブル80Bを押出しテンションローラ36のベルトストッパ36Cが反時計方向に回転した場合には、テンションローラ36のローラ36Aは、ベルト132から離間し、テンションローラ36のベルトストッパ36Cは、ベルト132を押圧して制動状態となり、プーリ131に伝動されたエンジンEの回転動力のプーリ23への伝動を速やかに遮断する。これにより、
図8においては、排塵ファン30の回転を速やかに停止し、ラジエータファン20の送風を妨げることを防止することができる。即ち、このベルト132とテンションローラ36によって排塵クラッチC2が構成され、ベルト132に対するテンションローラ36の押圧によって排塵クラッチC2が接続され、エンジンEからの駆動力が排塵ファン30へ伝達される。
【0057】
また、この駆動状態切換手段45の作動状態を中間状態で停止させることにより、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2の両方が遮断された状態に維持することができる。即ち、この駆動状態切換手段45の作動状態は、モータMの作動制御により、冷却クラッチC1を接続して排塵クラッチC2を遮断する冷却状態と、冷却クラッチC1を遮断して排塵クラッチC2を接続する排塵状態と、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2の両方を遮断する昇温状態とに切り換えられる。
【0058】
なお、駆動状態切換手段45の駆動は、制御装置(図示省略)によりラジエータ50の冷却水の温度等の状態に合わせて自動的に行なわれるものであるが、操縦者が駆動状態切換手段45の切換えを手動操作できるように、操縦席6や、エンジンルーム8とグレンタンク5の前壁5Aの空間Sに切換えレバーを設けることもできる。
【0059】
次に、ラジエータファン20が取付けられた回転軸24と、排塵ファンが取付けられた筒状回転軸34を支持するブラケット140について説明する。
図7,8に示すように、ブラケット140は、ブラケット140の中心部に回転軸24を内嵌し、筒状回転軸34を外嵌する支持部25が固着され、
図3に示すように、ブラケット140における支持部25は、ラジエータ50の上下方向の中心部よりも上側に偏倚した位置に設けられている。これにより、ラジエータファン20により吸入された外気がエンジンEの上側に送風され、エンジンEや、エンジンEの上側に設けられた酸化触媒装置11を効率良く冷却することができる。
【0060】
ブラケット140は、回転軸24の軸心方向視で支持部25を中心に放射状に径方向に延在する3つのアーム部を有する三又形状に形成されている。すなわち、ブラケット140は、支持部25から略上前側に延在する前アーム部141と、支持部25から略後側に延在する後アーム部142と、支持部25から略下側に延在する下アーム部143を有している。
【0061】
前アーム部141は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、右前側フレーム1Aに連結されている。後アーム部142は、回転軸24と直交する方向へ延在し、先端部は、右後側フレーム1Bと連結されている。下アーム部143は、先端側に延在するに従って右側(機体外側)に傾斜し、先端部は、機体フレーム1の上側に固着されたブラケット1Eに連結されている。
【0062】
これにより、ラジエータファン20と排塵ファン30の送風の障害にならずラジエータファン20と排塵ファン30の送風効率を向上させることができる。また、ブラケット140の剛性が高まり、回転軸24、筒状回転軸34を安定して支持することができ、ラジエータファン20、排塵ファン30を安定して回転させることができる。さらに、前アーム部141と下アーム部143の先端側は、右側(機体外側)に向かい傾斜しているので、ブラケット140の前側、下側において間隔部Bを広く形成できるので、ラジエータファン20、排塵ファン30、エンジンE等の保守・点検作業が容易に行なうことができる。
【0063】
次に、プーリ63の後部伝動軸110における取付け位置を変更する手段について説明する。
図9に示すように、エンジンEの回転動力が伝動されるプーリ63は、後部伝動軸110にキー64により固定されている。後部伝動軸110の外周面にキー溝111が形成されている。キー溝111内に挿入されたキー64が、プーリ63と後部伝動軸110の間に介在することで、プーリ63が、後部伝動軸110に相対回転不能な状態で固定される。なお、キー溝111は、後部伝動軸110の軸心方向に間隔をおいて、後部伝動軸110の外周面の2箇所に形成されている。
【0064】
また、後部伝動軸110の外周面には、カラー112,113が外嵌されている。カラー112,113は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向に移動することを規制する部材である。なお、
図9におけるカラー113の左右方向の長さは、カラー112の左右方向の長さよりも大きく形成されている。
【0065】
これにより、
図9(a),(b)に示すように、プーリ63の後部伝動軸110の軸心方向における取付け位置を容易に変更することができる。
図9(a)は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向の左側部に取付けられた状態を示し、
図9(b)は、プーリ63が後部伝動軸110の軸心方向の右側部に取付けられた状態を示している。プーリ63の取付け位置を変更する場合には、キー64の挿入位置を変更し、プーリ63の左右側に配置されるカラー112,113を左右入替えて後部伝動軸110に外嵌する。また、プーリ63の位置変更に伴って、プーリ61とプーリ63に巻回されたベルト62を押圧するテンションローラ115A,115Bの位置を変更する。
【0066】
テンションローラ115A,115Bは、ローラ118と、ローラ118を支持するテンションアーム117を備えて構成されている。テンションローラ115A,115Bは、機体フレーム1にボルト等の締結手段により取付けられた支持部116に、テンションアーム117の基部に設けられたピン117Aが回転自在に支持されている。なお、テンションローラ115A,115Bをベルト62に付勢するために、テンションアーム117には、スプリング(図示省略)が接続されている。
【0067】
図9(a)に示すように、プーリ63を後部伝動軸110の軸心方向の左側部に取付けた場合は、ローラ118の右側にテンションアーム117が設けられている左側用テンションローラ115Aを使用し、
図9(b)に示すように、プーリ63を後部伝動軸110の軸心方向の右側部に取付けた場合には、ローラ118の左側にテンションアーム117が設けられている右側用テンションローラ115Bを使用するのが好適である。
【0068】
左側用テンションローラ115Aのテンションアーム117は、後部伝動軸110の軸心方向に屈曲しながら後部伝動軸110から離れる方向に延在している。一方、右側用テンションローラ115Bのテンションアーム117は、後部伝動軸110の軸心方向に屈曲せずに後部伝動軸110から離れる方向に延在し、テンショアーム117の基部に設けられたピン117Aは、左側用テンションローラ115Aのピン117Aよりも左右方向に長く形成されている。なお、右側用テンションローラ115Bは、左側用テンションローラ115Aよりも右側に設けるのが好適である。
(制御回路)
図15に示すように、タイマー回路を備えたコントローラCUの入力側に、上記駆動状態切換機構45の作動状態が、上述の冷却状態と排塵状態と昇温状態のいずれの状態にあるかを検出する切換位置検出センサSSと、ラジエータ50の冷却水の温度を検出する水温センサ50Tと、エンジンEの排気ガスの温度を検出する排気温度センサGPを接続し、コントローラCUの出力側に、上記作動状態切換手段45のモータMを作動させるリレーL1及びリレーL2を接続して、制御装置Uを構成する。尚、上記作動状態検出センサSSは、モータMの回転数を検出する回転センサとしてもよい。
(通常の制御)
しかして、コントローラCUに備えたタイマー回路によって、コントローラCUからリレーL1及びリレーL2へ設定時間間隔で交互に出力がなされ、モータMの作動によって駆動状態切換手段45が、冷却クラッチC1を接続して排塵クラッチC2を遮断する冷却状態と、冷却クラッチC1を遮断して排塵クラッチC2を接続する排塵状態とを、背反的に繰り返す。これによって、冷却状態では、排塵ファン30が停止しており、ラジエータファン(冷却ファン)20の回転によって濾過体8Bを介して外気が吸入され、ラジエータ50及びエンジンEの周辺を通過する。また、排塵状態では、ラジエータファン20が停止しており、排塵ファン30の回転によって、ラジエータ50の内側から濾過体8Bの外側方へ向けて排塵風が吹き出し、濾過体8Bに吸着されていた藁屑等の塵埃が吹き飛ばされる。これによって、濾過体8Bの目詰まりが除去され、冷却風の吸気面積が確保される。
(背反作動の時間間隔設定)
尚、冷却クラッチC1が遮断されてから、設定時間(例えば0.5秒)をおいて、排塵クラッチC2が接続されるように構成してもよい。これによって、ラジエータファン20の慣性による回転が停止または減速してから、排塵ファン30が回転するので、ラジエータファン20の回転による外気の吸入によって排塵ファン30による内気の吹き出しが阻害されにくくなり、濾過体8Bに付着した塵埃を効果的に除去することができる。また、エンジンEの出力軸から、ラジエータファン20へ至る動力伝達経路、及び排塵ファン30へ至る伝達経路にかかる負荷が減少し、耐久性が向上する。
(背反作動の時間間隔の変更)
また、冷却クラッチC1が遮断されてから排塵クラッチC2が接続されるまでの設定時間が、エンジンEの出力回転速度に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。即ち、エンジンEの出力回転速度が定格回転速度(例えば2,800回転/分)よりも低い場合には、上記の設定時間を長くし、一方、エンジンEの出力回転速度が定格回転速度以上に高い場合には、上記の設定時間を短くする。これによって、エンジンEの出力状態や発熱状態に応じてラジエータファン20の停止時間が自動的に制御されることとなり、エンジンEの出力低下を少なくして作業車輌の作業能率の低下を防ぐことができる。
【0069】
また、冷却クラッチC1が遮断されてから排塵クラッチC2が接続されるまでの設定時間が、ラジエータ50の冷却水の温度に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。即ち、冷却水の温度が、摂氏85度〜90度の適正範囲を基準として、これよりも低い場合には上記の設定時間を長くし、一方、これ以上に高い場合には、上記の設定時間を短くする。これによって、冷却水温が低い場合には、ラジエータファン20が停止している時間を長くし、冷却水の温度を適正範囲まで上昇させ、エンジンEの出力を高めることができる。また、冷却水温が高い場合には、ラジエータファン20が停止している時間を短くし、エンジンEのオーバーヒートによる出力低下を少なくして作業車輌の作業能率の低下を防ぐことができる。
【0070】
また、冷却クラッチC1が遮断されてから排塵クラッチC2が接続されるまでの設定時間が、エンジンEの排気温度を検出する排気温度センサGPの検出結果に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。即ち、排気温度が適正範囲よりも低い場合には上記の設定時間を長くし、一方、これ以上に高い場合には、上記の設定時間を短くする。これによって、排気温度が低い場合には、ラジエータファン20が停止している時間を長くし、エンジンEのシリンダ内の燃焼温度を適正範囲まで上昇させ、エンジンEの出力を高めることができる。また、排気温度が高い場合には、ラジエータファン20が停止している時間を短くし、エンジンEのオーバーヒートによる出力低下を少なくして作業車輌の作業能率の低下を防ぐことができる。
(水温センサによる制御)
エンジンEの始動時に、水温センサ50Tによるラジエータ水温の検出結果が、設定温度(例えば寒冷地では摂氏5度)よりも低い場合には、コントローラCUからリレーL1/L2へ出力がなされ、駆動状態切換機構45が作動する。そして、切換位置検出センサSSによって、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2の両方が遮断された状態が検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2への出力が停止し、駆動状態切換機構45はこの作動位置を保持する。
【0071】
これによって、ラジエータファン20及び排塵ファン30の回転が停止し、ラジエータファン20による冷却風の吸入と、排塵ファン30による排塵風の吹き出しが停止する。このため、エンジンEおよびラジエータ50の周囲に雰囲気の流動がなくなり、エンジンEの駆動継続によってこのエンジンE及びラジエータ水温が上昇し、エンジンEのシリンダ内の燃焼効率が高まり、エンジン出力が向上する。
【0072】
そして、水温センサ50Tによって検出される冷却水温が設定温度以上の温度に上昇したことが検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2へ出力がなされ、駆動状態切換機構45が作動する。切換位置検出センサSSによって、冷却クラッチC1が接続されたことが検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2への出力が停止し、駆動状態切換機構45はこの作動位置を保持する。
【0073】
これによって、ラジエータファン20が回転し、冷却風の吸入によってラジエータ50及びエンジンEが冷却され、エンジンEのオーバーヒートによる出力低下が防止される。
(排気温度センサによる制御)
エンジンEの始動時に、排気温度センサGPによる排気温度の検出結果が、設定温度よりも低い場合には、コントローラCUからリレーL1/L2へ出力がなされ、駆動状態切換機構45が作動する。そして、切換位置検出センサSSによって、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2の両方が遮断された状態が検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2への出力が停止し、駆動状態切換機構45はこの作動位置を保持する。
【0074】
これによって、ラジエータファン20及び排塵ファン30の回転が停止し、ラジエータファン20による冷却風の吸入と、排塵ファン30による排塵風の吹き出しが停止する。このため、エンジンEおよびラジエータ50の周囲に雰囲気の流動がなくなり、エンジンEの駆動継続によってこのエンジンEのシリンダ内の燃焼温度が上昇して燃焼効率が高まり、エンジン出力が向上する。
【0075】
そして、排気温度センサGPによって検出される排気温度が設定温度以上の温度に上昇したことが検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2へ出力がなされ、駆動状態切換機構45が作動する。切換位置検出センサSSによって、冷却クラッチC1が接続されたことが検出されると、コントローラCUからリレーL1/L2への出力が停止し、駆動状態切換機構45はこの作動位置を保持する。
【0076】
これによって、ラジエータファン20が回転し、冷却風の吸入によってラジエータ50及びエンジンEが冷却され、エンジンEのオーバーヒートによる出力低下が防止される。
(その他制御)
上述のようにラジエータファン20と排塵ファン30を背反的に駆動する制御において、排出筒7による穀粒排出作業中には、排塵ファン30の駆動時間がラジエータファン20の駆動時間よりも長くなるように設定するとよい。これにより、穀粒排出作業中に発生する塵埃が濾過体8Bに吸着されにくくなる。
【0077】
また、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2が同時に接続されるように構成してもよい。これにより、ラジエータファン20と排塵ファン30が共に回転し、ラジエータファン20による冷却風の吸入が阻害され、エンジンEの暖気運転が促進される。
【0078】
また、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2が交互に駆動される設定時間(周期)が、刈取穀稈の量に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。これにより、刈取穀稈の量が多い場合には、冷却クラッチC1の接続時間の方を長くすることで、脱穀負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。
【0079】
また、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2が交互に駆動される設定時間(周期)が、脱穀装置3の選別棚上の処理物の層厚に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。これにより、処理物の量が多い場合には、冷却クラッチC1の接続時間の方を長くすることで、脱穀・選別負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。
【0080】
また、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2が交互に駆動される設定時間(周期)が、脱穀後の排藁の量に応じて自動的に変更されるように構成してもよい。これにより、排藁の量が多い場合には、冷却クラッチC1の接続時間の方を長くすることで、脱穀負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。
【0081】
また、冷却クラッチC1と排塵クラッチC2が交互に駆動される設定時間(周期)が、直進走行状態と旋回状態との切り換わりによって自動的に変更されるように構成してもよい。これにより、旋回状態では、冷却クラッチC1の接続時間の方を長くすることで、旋回負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。また、逆に、直進状態で冷却クラッチC1の接続時間の方を長くし、旋回状態では排塵クラッチC2の接続時間の方を長くすることで、塵埃の少ない旋回状態で、濾過体8Bに吸着された塵埃を一気に吹き飛ばすことができる。
【0082】
また、刈取走行中には冷却クラッチC1の接続時間の方が長くなり、路上走行等の非刈取走行中には、排塵クラッチC2の接続時間の方が長くなるように設定してもよい。これにより、刈取作業の負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。
【0083】
また、エンジンEの回転速度が低下する高負荷状態では、冷却クラッチC1の接続時間の方が長くなり、エンジンEの回転速度が上昇する低負荷状態では、排塵クラッチC2の接続時間の方が長くなるように設定してもよい。これにより、刈取作業の負荷によるエンジンEのオーバーヒートを防ぐことができる。